説明

キャップ整列装置

【課題】整列プレートのセットや取り出し作業が容易で、キャップの整列のミスが防止でき、供給すべきキャップの数を少なくし、保管プレートと同じピッチを有する多数の整列プレートに短時間で効率よくキャップを整列させるキャップ整列装置を提供すること。
【解決手段】マイクロチューブMTのキャップCを整列プレートPに整列収容させるキャップ整列装置100であって、整列プレートPを複数載置可能な整列プレート装着部123と未整列のキャップCが滞留するキャップ滞留部124とを備えた振動ボックス120を基体110に対して揺動可能に設け、収容開口部Kの上方を露出し外周部を上方から押えて整列プレートPを載置面121に固定するプレート固定機構130を有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロチューブの開口部を密封するキャップを整列プレートに整列収容させるキャップ整列装置に関し、特に、創薬(drug discovery)、すなわち、医学、生物工学および薬学において薬剤を発見したり設計したりするプロセスにおいて、創薬用試料を封入するために使用される保管プレートに多数整列収容される複数のマイクロチューブに対して、開口部を一度にキャップで封鎖するために保管ラックと同ピッチの整列プレートにキャップを整列させるのに最適なキャップ整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
創薬研究の分野においては、大量の試料を低温で保管したり分析したりする実験を高効率で行う必要がある。
そのため、図18、図19に示すように、試料を溶解した溶液をマイクロチューブMTと呼ばれる円筒状または四角筒状の小型容器に注入し、このマイクロチューブMTをSBS(Society for Biomolecular Screening)規格に準拠した16行×24列の合計384個の区画を有する保管プレートRに縦列収容し、マイクロチューブMTの開口部を着脱可能なキャップCで密封して保管や搬送を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような保管プレートRは、上記の規格によれば区画のピッチが4.5mmときわめて短いため、保管プレートRに収容されているマイクロチューブMTの開口部へのキャップCの機械による装着は、きわめて困難であった。
【0004】
そのため、人手によって、一本ずつキャップCを装着することが余儀なくされており、保管プレートRに収容された384本のマイクロチューブMTの開口部の全てにキャップCを装着するためには、かなりの手間と時間を要していた。
【0005】
そこで、本発明者らは、図20乃至図22に示すような、保管プレートRと同じピッチの収容開口部Kを有する整列プレートPを用い、この整列プレートPの全ての収容開口部KにマイクロチューブMTのキャップCを予め整列させ、この整列プレートPを保管プレートRの上に被せて、整列プレートPの収容開口部Kに整列させたキャップCを保管プレートRに収容されたマイクロチューブMTの開口部に一斉に押し込む方法を開発した。
【0006】
整列プレートPの収容開口部Kは上下に開口しており、キャップCは通常は整列プレートPの収容開口部Kに保持され、押し込まれることによって弾性変形して収容開口部Kを通過するように構成されている。
整列プレートPの各収容開口部Kに整列収容されたキャップCを一度に上方から下方に押し込むことで、保管プレートRに収容された全てのマイクロチューブMTの開口部を一度にキャップCで封鎖することが可能となる。
【0007】
そして、このようなキャップ装着方法を効率よく実施するためには、整列プレートPの収容開口部KにキャップCを短時間で整列させる必要があり、そのための装置として、整列プレート装着部とキャップ滞留部を有する振動ボックスに整列プレートPと多数のキャップCを収容し、該振動ボックスに振動を与えるとともに、整列プレート装着部とキャップ滞留部とが交互に上下するように揺動させることで、整列プレートPの収容開口部Kに短時間で整列させるキャップ整列装置が公知である(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−33061号公報(第6頁、図1)
【特許文献2】特開2009−204406号公報(全頁、全図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述した特許文献2に記載のキャップ整列装置は、人手によってキャップCを個別に供給するのに比較すると格段に効率化されるものの、振動ボックスの整列プレート装着部に整列プレートPを1枚ずつ載置するものであるため、多数の整列プレートPにキャップCを整列させるためには、整列プレートPをキャップ整列装置に1枚ずつセットし、整列後に1枚ずつ取り出す必要があり、依然として多くの手間と時間を要するという問題があった。
【0010】
また、整列プレート装着部には整列プレートPの周囲に凹部や隙間が存在するため、キャップCの整列後に振動ボックスを揺動させても、当該凹部や隙間にキャップCが残留して整列プレートPのセットや取り出し作業の障害となったり、振動ボックスを振動させた際に当該凹部や隙間から整列プレートPの下部にキャップCが入り込んで整列プレートPが浮き上がり、キャップCの整列に失敗する虞れがあるという問題があった。
【0011】
さらに、振動ボックスに振動を与える際に、整列プレートPの収容開口部Kの外周にもキャップCが拡がるため、収容開口部Kの全てに抜けなくキャップCを整列させるためには、キャップ滞留部に収容開口部Kの数より相当に多量のキャップCを供給しておく必要があるというキャップ供給上の問題があった。
【0012】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、整列プレートのセットや取り出し作業が容易で、キャップの整列のミスが防止でき、供給すべきキャップの数を少なくし、保管プレートと同じピッチを有する多数の整列プレートに短時間で効率よくキャップを整列させるキャップ整列装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本請求項1に係る発明は、マイクロチューブのキャップを整列プレートに整列収容させるキャップ整列装置であって、基体と、該基体に対して揺動機構を介して揺動可能に設けられた振動ボックスとを備え、前記振動ボックスは、載置面と側壁部を有して上面が開放され、前記載置面の上面側には、前記整列プレートを複数載置可能な整列プレート装着部と、未整列のキャップが滞留するキャップ滞留部とを備え、前記載置面の裏面側には、前記振動ボックスに振動を与える振動機構を備え、前記整列プレート装着部には、前記整列プレートを載置面に固定するプレート固定機構を有し、前記プレート固定機構が、前記整列プレート装着部に載置された複数の整列プレートのそれぞれの収容開口部の上方を露出し、それぞれの外周部を上方から押える形状のプレート固定枠体と、該プレート固定枠体を固定位置と開放位置の間で載置面に対して揺動可能に支持するヒンジ機構とを有することにより、前記課題を解決したものである。
【0014】
本請求項2に係る発明は、請求項1に係るキャップ整列装置の構成に加えて、前記整列プレート装着部の載置面が、前記キャップ滞留部の載置面より一段低く形成されるとともに、前記整列プレート装着部の載置面と前記キャップ滞留部の載置面が、傾斜面で接続されるように形成されていることにより、前記課題を解決したものである。
【0015】
本請求項3に係る発明は、請求項2に係るキャップ整列装置の構成に加えて、前記整列プレート装着部の載置面と前記キャップ滞留部の載置面が、前記整列プレート装着部の載置面に整列プレートを載置した際に、前記整列プレートの収容開口部の上面と前記キャップ滞留部の載置面とが同一平面となるように形成され、前記プレート固定枠体が、前記整列プレートの外周部のキャップ滞留部側の前方枠と、外周部のキャップ滞留部反対側の後方枠と、外周部の両側方側の側方枠とを有し、該前方枠が、前記整列プレートの収容開口部の上面と前記キャップ滞留部の載置面との間を同一平面となるように埋める形状に形成されていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0016】
本請求項4に係る発明は、請求項3に係るキャップ整列装置の構成に加えて、前記プレート固定枠体の後方枠と側方枠が整列プレートの外周部を押えるとともに、前記プレート固定枠体の後方枠と側方枠の上端部が、前記整列プレートの収容開口部の上面より高くなるように形成されていることにより、前記課題を解決したものである。
【0017】
本請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに係るキャップ整列装置の構成に加えて、前記ヒンジ機構が、前記プレート固定枠体を任意の位置に保持可能に構成され、前記整列プレート装着部の載置面の側方には、前記プレート固定枠体を固定位置にロックするロック手段を有することにより、前記課題を解決したものである。
【0018】
本請求項6に係る発明は、請求項5に係るキャップ整列装置の構成に加えて、前記基体の内部に、前記揺動機構および前記振動機構の動作を制御する制御手段が設けられ、前記基体の外側面に、前記制御手段に対し設定や動作を指示する操作手段が設けられていることにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0019】
本請求項1に係るキャップ整列装置は、マイクロチューブのキャップを整列プレートに整列収容させるキャップ整列装置であって、基体と、該基体に対して揺動機構を介して揺動可能に設けられた振動ボックスとを備え、振動ボックスは、載置面と側壁部を有して上面が開放され、載置面の上面側には、整列プレートを複数載置可能な整列プレート装着部と、未整列のキャップが滞留するキャップ滞留部とを備え、載置面の裏面側には、振動ボックスに振動を与える振動機構を備えていることにより、整列プレートをキャップ整列装置に複数枚同時にセットすることが可能になるため、多数の整列プレートに短時間で効率よくキャップを整列させることができる。
【0020】
また、整列プレート装着部には、整列プレートを載置面に固定するプレート固定機構を有し、プレート固定機構が、整列プレート装着部に載置された複数の整列プレートのそれぞれの収容開口部の上方を露出し、それぞれの外周部を上方から押える形状のプレート固定枠体と、該プレート固定枠体を固定位置と開放位置の間で載置面に対して揺動可能に支持するヒンジ機構とを有することにより、整列プレートを整列プレート装着部の載置面に確実に固定することが可能になるため、振動ボックスを振動させた際に整列プレートが浮き上がることがなく、キャップの整列に失敗することを防止できる。
【0021】
本請求項2に記載の構成を有するキャップ整列装置によれば、整列プレート装着部の載置面が、キャップ滞留部の載置面より一段低く形成されるとともに、整列プレート装着部の載置面と前記キャップ滞留部の載置面が、傾斜面で接続されるように形成されていることにより、整列プレートの整列プレート装着部へのセットや取り出し作業が容易となる。
【0022】
本請求項3に記載の構成を有するキャップ整列装置によれば、整列プレート装着部の載置面とキャップ滞留部の載置面が、整列プレート装着部の載置面に整列プレートを載置した際に、整列プレートの収容開口部の上面とキャップ滞留部の載置面とが同一平面となるように形成され、プレート固定枠体が、整列プレートの外周部のキャップ滞留部側の前方枠と、外周部のキャップ滞留部反対側の後方枠と、外周部の両側方側の側方枠とを有し、該前方枠が、整列プレートの収容開口部の上面と前記キャップ滞留部の載置面との間を同一平面となるように埋める形状に形成されていることにより、キャップ滞留部の載置面と整列プレートの収容開口部との間に段差や凹部や隙間が生じることがないため、キャップがキャップ滞留部と収容開口部の間を円滑移動するため、キャップの整列のミスが防止できる。
また、凹部や隙間にキャップが残留して整列プレートのセットや取り出し作業の障害となることを防止することができる。
【0023】
本請求項4に記載の構成を有するキャップ整列装置によれば、プレート固定枠体の後方枠と側方枠が整列プレートの外周部を押えるとともに、プレート固定枠体の後方枠と側方枠の上端部が、整列プレートの収容開口部の上面より高くなるように形成されていることにより、振動ボックスに振動を与える際に、整列プレートの収容開口部の外周にキャップが拡がることがなく、キャップ滞留部に供給するキャップを少なくしても、収容開口部の全てに抜けなくキャップを整列させることができる。
【0024】
本請求項5に記載の構成を有するキャップ整列装置によれば、ヒンジ機構が、プレート固定枠体を任意の位置に保持可能に構成されていることにより、整列プレートのセットや取り出し作業が容易となるとともに、プレート固定枠体により作業者の手がはさまれる等の事故が防止される。
【0025】
また、整列プレート装着部の載置面の側方には、プレート固定枠体を固定位置にロックするロック手段を有することにより、整列プレートを整列プレート装着部の載置面にさらに確実に固定することが可能になるため、振動ボックスを振動させた際に整列プレートが浮き上がることがなく、キャップの整列に失敗することを防止できる。
【0026】
本請求項6に記載の構成を有するキャップ整列装置によれば、基体の内部に、揺動機構および振動機構の動作を制御する制御手段が設けられ、基体の外側面に、制御手段に対し設定や動作を指示する操作手段が設けられていることにより、整列プレートのセット後、キャップ整列装置を全て自動的に作動させて、多数の整列プレートに短時間で効率よくキャップを整列させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のキャップ整列装置の振動ボックス傾斜時の全体斜視図。
【図2】本発明のキャップ整列装置の振動ボックス水平時の全体斜視図。
【図3】図2に示すキャップ整列装置の平面図。
【図4】図2に示すキャップ整列装置の正面図。
【図5】図2に示すキャップ整列装置の側面図。
【図6】図1に示すキャップ整列装置の整列プレート載置前の全体斜視図。
【図7】図6に示すキャップ整列装置の平面図。
【図8】図6に示すキャップ整列装置の正面図。
【図9】図6に示すキャップ整列装置の側面図。
【図10】本発明のキャップ整列装置の振動ボックスおよび揺動機構の斜視図。
【図11】図10に示す振動ボックスおよび揺動機構の平面図。
【図12】図10に示す振動ボックスおよび揺動機構の正面図。
【図13】図10に示す振動ボックスおよび揺動機構の側面図。
【図14】本発明のキャップ整列装置の振動ボックスの作動時姿勢の説明図。
【図15】本発明のキャップ整列装置の振動ボックスの他の作動時姿勢の説明図。
【図16】本発明のキャップ整列装置のプレート固定枠体の固定状態を示す説明図。
【図17】本発明のキャップ整列装置のロック手段の固定状態を示す説明図。
【図18】従来の保管プレートおよびマイクロチューブの斜視図。
【図19】従来のキャップの斜視図。
【図20】従来の整列プレートの平面図。
【図21】図20の正面図。
【図22】図20の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のキャップ整列装置は、マイクロチューブのキャップを整列プレートに整列収容させるキャップ整列装置であって、基体と、該基体に対して揺動機構を介して揺動可能に設けられた振動ボックスとを備え、振動ボックスは、載置面と側壁部を有して上面が開放され、載置面の上面側には、整列プレートを複数載置可能な整列プレート装着部と、未整列のキャップが滞留するキャップ滞留部とを備え、載置面の裏面側には、振動ボックスに振動を与える振動機構を備え、整列プレート装着部には、整列プレートを載置面に固定するプレート固定機構を有し、プレート固定機構が、整列プレート装着部に載置された複数の整列プレートのそれぞれの収容開口部の上方を露出し、それぞれの外周部を上方から押える形状のプレート固定枠体と、該プレート固定枠体を固定位置と開放位置の間で載置面に対して揺動可能に支持するヒンジ機構とを有しており、整列プレートのセットや取り出し作業が容易で、キャップの整列のミスが防止でき、供給すべきキャップの数を少なくし、保管プレートと同じピッチを有する多数の整列プレートに短時間で効率よくキャップを整列させるものであれば、その具体的な実施の態様は、いかなるものであっても何ら構わない。
【実施例】
【0029】
本発明の一実施例であるキャップ整列装置100は、図1乃至図9に示すように、基体110と、該基体110に対して揺動機構111を介して揺動可能に設けられた振動ボックス120とを備えている。
【0030】
振動ボックス120は、載置面121と側壁部122を有して上面が開放され、載置面121の上面側には、整列プレートPを複数載置可能な整列プレート装着部123と、未整列のキャップが滞留するキャップ滞留部124とを備え、載置面121の裏面側には、振動ボックス120に振動を与える振動機構125を備えている。
【0031】
整列プレート装着部123には、整列プレートPを載置面121に固定するプレート固定機構130を有している。
なお、本実施例では、整列プレートPを整列プレート装着部123の載置面121に4枚載置可能で、該4枚の整列プレートPをプレート固定機構130で固定するように構成されている。
【0032】
プレート固定機構130は、整列プレート装着部123に載置された複数の整列プレートPのそれぞれの収容開口部Kの上方を露出し、それぞれの外周部を上方から押える形状のプレート固定枠体131と、該プレート固定枠体131を固定位置と開放位置の間で振動ボックス120の載置面121に対して揺動可能に支持するヒンジ機構132を有している。
【0033】
振動ボックス120の整列プレート装着部123の載置面121は、図6に示すように、キャップ滞留部124の載置面121より一段低く形成されるとともに、整列プレート装着部123の載置面121とキャップ滞留部124の載置面121は、傾斜面126で接続されるように形成されている。
【0034】
また、整列プレート装着部123の載置面121とキャップ滞留部124の載置面121は、図16に示すように、整列プレート装着部123の載置面121に整列プレートPを載置した際に、整列プレートPの収容開口部Kの上面とキャップ滞留部124の載置面121とが同一平面となるように形成されている。
【0035】
プレート固定枠体131は、整列プレート装着部123の載置面121に載置された整列プレートPの外周部のキャップ滞留部124側の前方枠133と、キャップ滞留部124反対側の後方枠134と、整列プレートPの外周部のそれぞれの両側方側の側方枠135とを有している。
【0036】
プレート固定枠体131の前方枠133は、図16に示すように、整列プレート装着部123の載置面121に載置された整列プレートPの収容開口部Kの上面とキャップ滞留部124の載置面121との間に生じる凹部を埋めて、その上端面によって同一平面となるような形状に形成されている。
【0037】
また、プレート固定枠体131の後方枠134と側方枠135は、整列プレート装着部123の載置面121に載置された整列プレートPの外周部を押えるとともに、プレート固定枠体131の後方枠134と側方枠135の上端部が、整列プレートPの収容開口部Kの上面より高くなるように形成されている。
【0038】
プレート固定機構130のヒンジ機構132は、図10乃至図13、図16に示すように、プレート固定枠体131を任意の位置に保持可能に構成されるとともに、整列プレート装着部123の載置面121の側方には、図17に示すように、プレート固定枠体131の最外側の側方枠135の上方にロックピン128が突出して係合し、プレート固定枠体131を固定位置にロックするロック手段127を有している。
【0039】
また、基体110の内部には、揺動機構111および振動機構125の動作を制御する制御手段が設けられ、基体110の外側面に、該制御手段に対し設定や動作を指示する操作手段112が設けられている。
【0040】
操作手段112は、揺動機構111および振動機構125の作動時間や動作速度の設定手段等、いかなるものであっても良い。
また、一連の動作を制御手段に記憶させ、自動的に作動させるための入力手段であっても良い。
【0041】
揺動機構111は、図10乃至図13に示すように、振動ボックス120を載置する揺動板113と、揺動板113の両側方から突出して基体110の軸支部118に固定される揺動軸114と、該揺動軸114の一方に対して揺動板113を回転駆動する揺動モータ115とを有し、振動ボックス120が、図1、図6乃至図9に示すようなキャップ滞留部124が下方に下がるように傾斜した位置と、図14に示すような整列プレート装着部123が下方に下がるように傾斜した位置との間で揺動可能であり、任意の位置で停止可能となるように構成されている。
【0042】
なお、振動ボックス120の側壁部122は、キャップ滞留部124が下方に下がるように傾斜した際にキャップ滞留部124に残留したキャップCが外に脱落しないよう、キャップ滞留部124側が高くなるように構成されている。
【0043】
振動機構125は、振動ボックス120を揺動板113に固定する弾性固定具116と、揺動板113に支持されて振動ボックス120を加振する振動モータ117とを有し、振動モータ117を駆動することで振動ボックス120が揺動板113に対して弾性固定具116の変形範囲内において振動することで構成されている。
【0044】
以上のように構成された本実施例のキャップ整列装置100の動作について説明する。
まず、図6乃至図9に示すように、振動ボックス120内には整列プレートPもキャップCも載置されない状態、かつ、プレート固定枠体131が開放位置にある状態で、整列プレート装着部123の載置面121に整列プレートPを載置する。
【0045】
次いで、プレート固定枠体131を固定位置に移動させ、側方に設けられたロック手段127により整列プレートPを固定し、振動ボックス120内に多数のキャップCを投入する。
そして、揺動機構111によって、図14に示すような整列プレート装着部123が下方に下がるように傾斜した位置まで揺動させる。
なお、整列プレートPの載置前に、図2乃至図5に示すように、振動ボックス120の載置面121が水平となる位置まで揺動させ、載置面121が水平な状態で整列プレートPの載置およびプレート固定枠体131による固定を行っても良い。
【0046】
そして、プレート固定枠体131によって整列プレートPが整列プレート装着部123の載置面121に固定され、整列プレート装着部123の載置面121が下方に下がるように傾斜した状態で、振動モータ117を駆動して振動ボックス120を加振する。
【0047】
このとき、プレート固定枠体131の前方枠133が、図16に示すように、整列プレート装着部123の載置面121に載置された整列プレートPの収容開口部Kの上面とキャップ滞留部124の載置面121との間に生じる凹部を埋めて、その上端面によって同一平面となるような形状に形成され、整列プレート装着部123とキャップ滞留部124との間をキャップCが円滑に移動できる。
【0048】
また、プレート固定枠体131の後方枠134と側方枠135の上端部が、整列プレートPの収容開口部Kの上面より高くなるように形成されているため、振動ボックス120の加振によってキャップCがより効率的に収容開口部Kの上面に集まる。
【0049】
さらに、プレート固定枠体131の前方枠133、後方枠134および側方枠135によって整列プレートPを整列プレート装着部123の載置面121に確実に固定することができるため、振動ボックスを振動させた際に整列プレートPが浮き上がることがない。
【0050】
投入されるキャップCの個数は、全ての整列プレートPの収容開口部Kの数より多くの数が必要であるが、本発明の上記構成によれば、例えば、384個の収容開口部Kを持つ整列プレートPが4枚装着されている場合、収容開口部Kの数の約3倍の4000個程度が投入されれば良い。
【0051】
そして、一旦振動モータ117を停止し、揺動機構111を作動させて、図15に示すように、キャップ滞留部124が下方にやや下がるように傾斜した状態として、再び振動モータ117を駆動して振動ボックス120を加振する。
図14に示す整列プレート装着部123の載置面121が下方に下がるように傾斜した状態と、図15に示すキャップ滞留部124が下方にやや下がるように傾斜した状態を所定の回数繰り返して振動ボックス120を加振することで、キャップCが整列プレートPの全ての収容開口部Kに収容整列される。
なお、それぞれの状態を繰り返す回数や、それぞれの状態での振動モータ117の駆動時間は任意に設定される。
また、揺動機構111の作動を、振動モータ117を駆動した状態のまま行っても良い。
【0052】
所定回数の揺動動作を終えると、揺動機構111によって、図6乃至図9に示すキャップ滞留部124が下方に最も下がるように傾斜した位置まで揺動させ、残ったキャップCをキャップ滞留部124側に集めた後に、振動モータ117を停止して振動ボックス120の加振を停止する。
【0053】
このとき、キャップ滞留部124の載置面121と整列プレートPの収容開口部Kとがプレート固定枠体131の前方枠133によって同一平面となっており、プレート固定枠体131の前方枠133、後方枠134および側方枠135によって整列プレートPの周囲に段差や凹部や隙間が存在しないため、キャップCが整列プレート装着部123に残留することがない。
なお、キャップ滞留部124が下方に最も下がるように傾斜した位置まで揺動させた後、振動モータ117を停止して振動ボックス120の加振を停止するまでの時間は、数秒間で良い。
【0054】
そして、ロック手段127を解除し、プレート固定枠体131を開放して、全ての収容開口部KにキャップCが収容整列された整列プレートPを取り出すことが可能となる。
このとき、図6に示すように、整列プレート装着部123の載置面121とキャップ滞留部124の載置面121は傾斜面126で接続され、ヒンジ機構132によってプレート固定枠体131を任意の位置に保持可能に構成されていることにより、整列プレートPの取り出し作業は容易であり、また、プレート固定枠体131により作業者の手がはさまれる等の事故が防止される。
【0055】
そして、この状態から、続けて新たな整列プレートPを整列プレート装着部123の載置面121に載置して、上記手順を繰り返すことにより、連続的して多数の整列プレートPにキャップCが収容整列することができる。
連続して作業する場合は、キャップ滞留部124にキャップCが残留しているため、整列プレートPの収容開口部Kと同数のキャップCを補充すればよい。
【0056】
以上のように、本発明のキャップ整列装置100によれば、整列プレートのセットや取り出し作業が容易で、キャップの整列のミスが防止でき、供給すべきキャップの数を少なくし、保管プレートと同じピッチを有する多数の整列プレートに短時間で効率よくキャップを整列させることが可能となるなど、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0057】
100 ・・・ キャップ整列装置
110 ・・・ 基体
111 ・・・ 揺動機構
112 ・・・ 操作手段
113 ・・・ 揺動板
114 ・・・ 揺動軸
115 ・・・ 揺動モータ
116 ・・・ 弾性固定具
117 ・・・ 加振モータ
118 ・・・ 軸支部
120 ・・・ 振動ボックス
121 ・・・ 載置面
122 ・・・ 側壁部
123 ・・・ 整列プレート装着部
124 ・・・ キャップ滞留部
125 ・・・ 振動機構
126 ・・・ 傾斜面
127 ・・・ ロック手段
128 ・・・ ロックピン
130 ・・・ プレート固定機構
131 ・・・ プレート固定枠体
132 ・・・ ヒンジ機構
133 ・・・ 前方枠
134 ・・・ 後方枠
135 ・・・ 側方枠
MT ・・・ マイクロチューブ
C ・・・ キャップ
R ・・・ 保管プレート
P ・・・ 整列プレート
K ・・・ 収容開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロチューブのキャップを整列プレートに整列収容させるキャップ整列装置であって、
基体と、該基体に対して揺動機構を介して揺動可能に設けられた振動ボックスとを備え、
前記振動ボックスは、載置面と側壁部を有して上面が開放され、
前記載置面の上面側には、前記整列プレートを複数載置可能な整列プレート装着部と、未整列のキャップが滞留するキャップ滞留部とを備え、
前記載置面の裏面側には、前記振動ボックスに振動を与える振動機構を備え、
前記整列プレート装着部には、前記整列プレートを載置面に固定するプレート固定機構を有し、
前記プレート固定機構が、前記整列プレート装着部に載置された複数の整列プレートのそれぞれの収容開口部の上方を露出し、それぞれの外周部を上方から押える形状のプレート固定枠体と、該プレート固定枠体を固定位置と開放位置の間で載置面に対して揺動可能に支持するヒンジ機構とを有することを特徴とするキャップ整列装置。
【請求項2】
前記整列プレート装着部の載置面が、前記キャップ滞留部の載置面より一段低く形成されるとともに、
前記整列プレート装着部の載置面と前記キャップ滞留部の載置面が、傾斜面で接続されるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ整列装置。
【請求項3】
前記整列プレート装着部の載置面と前記キャップ滞留部の載置面が、前記整列プレート装着部の載置面に整列プレートを載置した際に、前記整列プレートの収容開口部の上面と前記キャップ滞留部の載置面とが同一平面となるように形成され、
前記プレート固定枠体が、前記整列プレートの外周部のキャップ滞留部側の前方枠と、外周部のキャップ滞留部反対側の後方枠と、外周部の両側方側の側方枠とを有し、
該前方枠が、前記整列プレートの収容開口部の上面と前記キャップ滞留部の載置面との間を同一平面となるように埋める形状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のキャップ整列装置。
【請求項4】
前記プレート固定枠体の後方枠と側方枠が整列プレートの外周部を押えるとともに、
前記プレート固定枠体の後方枠と側方枠の上端部が、前記整列プレートの収容開口部の上面より高くなるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載のキャップ整列装置。
【請求項5】
前記ヒンジ機構が、前記プレート固定枠体を任意の位置に保持可能に構成され、
前記整列プレート装着部の載置面の側方には、前記プレート固定枠体を固定位置にロックするロック手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のキャップ整列装置。
【請求項6】
前記基体の内部に、前記揺動機構および前記振動機構の動作を制御する制御手段が設けられ、
前記基体の外側面に、前記制御手段に対し設定や動作を指示する操作手段が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のキャップ整列装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−68219(P2012−68219A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215674(P2010−215674)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】