キャップ機構及びこれを用いる方法
【課題】当接部を、被キャップ面の傾きに沿って傾かせて確実に密着させる。
【解決手段】本発明は、ノズル面21をキャップするキャップ機構であって、ノズル面21に当接される当接部1が設けられているキャップ上部体18と、キャップ上部体18を支持するものであり、当接部1とは反対側に位置するキャップ台6と、キャップ上部体18およびキャップ台6の間を接続し、キャップ上部体18およびキャップ台6の間の距離を広げたり狭めたりする向きに弾性力を有する圧縮バネ9及び10とを備え、キャップ上部体18のキャップ台6側の面と、キャップ台6のキャップ上部体18側の面とのうち、一方には支持部11が、他方には支持部11と嵌合される支持穴12が設けられており、当接部1にノズル面21が当接されていないときには、支持部11と支持穴12との間に、圧縮バネ9及び10の弾性力により隙間13が生じている。
【解決手段】本発明は、ノズル面21をキャップするキャップ機構であって、ノズル面21に当接される当接部1が設けられているキャップ上部体18と、キャップ上部体18を支持するものであり、当接部1とは反対側に位置するキャップ台6と、キャップ上部体18およびキャップ台6の間を接続し、キャップ上部体18およびキャップ台6の間の距離を広げたり狭めたりする向きに弾性力を有する圧縮バネ9及び10とを備え、キャップ上部体18のキャップ台6側の面と、キャップ台6のキャップ上部体18側の面とのうち、一方には支持部11が、他方には支持部11と嵌合される支持穴12が設けられており、当接部1にノズル面21が当接されていないときには、支持部11と支持穴12との間に、圧縮バネ9及び10の弾性力により隙間13が生じている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被キャップ面をキャップするキャップ機構及びこれを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被キャップ面を備える装置として、被噴射物に対して液体を噴射する液体噴射装置における液体噴射ヘッドが知られている。例えば、被噴射物に対して着色等のインク塗布を行う液体噴射装置は、インクなどの液体を噴射して被印刷物に対して処理を行うために、インクジェットヘッドなどの液体噴射ヘッドを搭載しており、近年液晶テレビのカラーフィルター製作などに使用されるなど、生産装置として利用されることが多くなっている。
【0003】
一般に、液体噴射ヘッド(以下、単に「ヘッド」とも称する。)を使用した装置においては、ヘッド未使用時またはヘッドのメンテナンスを行う際にヘッドのノズル面を覆って密閉するためのキャップが設けられている。このようなキャップとしては、ノズルの乾燥が促進されるのを確実に防止するために、確実にノズル面を覆い、密閉性を高めることができるものが求められている。
【0004】
通常、キャップにおけるヘッドとの当接面は、ゴム材などの弾性を持った部材で構成されており、これがヘッドにおけるノズル面と当接されることで変形して、高い密閉性を発揮する。したがってキャップの当接面におけるゴム材等としては、弾性力が小さいものが用いられている。
【0005】
ここで、ヘッドがキャップに対して傾きを持っており、ヘッドにおけるノズル面と、キャップの当接面とが平行ではない場合、当該当接面とノズル面とを当接させると、一部の面のみで当接が始まるため、キャップにおける当接面の一部だけが撓んでしまう。その後、ノズル面の全面を覆うために更にノズル面をキャップの当接面に押し込んでも、最初に撓みはじめた箇所と、他の箇所とで、押し込み量が傾き分だけ異なってしまい、最初に撓みはじめた箇所の撓み量が他の箇所に比べて多くなり、良好な密閉性を得ることが困難になるという問題がある。さらに、キャップの当接面に対して過剰な偏荷重がかかることになるので、キャップの耐久性を損なうという問題も生ずる。
【0006】
このようにヘッドが傾斜を有していても、そのノズル面を気密にキャップするために、特許文献1には、キャップ装置として、キャップと、そのキャップを保持するキャップホルダとを含む構造のものが開示されている。このキャップは、キャップ本体部と、そのキャップ本体部と一体に設けられた弾性部とからなり、キャップ本体部とキャップホルダとの間に前記弾性部を配設し、弾性部を介してキャップホルダにキャップ本体部をあらゆる方向に相対移動可能に保持させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−300671号明細書(1996年11月19日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、キャップにおけるヘッドとの当接面を傾かせるためには、キャップ全体を押し下げる必要がある。特許文献1に記載された構造では、キャップがヘッドの傾きに沿って傾いていないうちから、このキャップ全体を押し下げる力が、キャップ本体部とキャップホルダとの間の弾性部だけでなく、キャップにおけるヘッドとの当接面にもかかることとなり、キャップの当接面に偏荷重がかかってしまうので、キャップの耐久性が低くなるという上述した問題が依然として残っている。また、このような状態でキャップとヘッドとを密着しようとしても、良好な密着性は得られず、その結果ヘッドが乾燥してしまうという問題が生じる。
【0009】
また、昨今のヘッドには、一度に噴射できる領域を増やし、噴射による処理時間を短縮化する等といった目的で、数百個のノズルを有するものもある。このようなヘッドはノズル列方向の幅が長くなっており、一般的に長尺ヘッドと言われている。しかし、ヘッドの幅が長いほど、装置に取り付ける際の傾き量が大きくなってしまうので、長尺ヘッドなど、ノズル面の面積が大きいヘッドを用いた場合にも、そのノズル面の全面をキャップによって確実に密閉するための技術が求められている。
【0010】
そこで、本発明は、被キャップ面、特にキャップされる面積が大きい被キャップ面に対しても、被キャップ面と当接される当接部を、被キャップ面の傾きに沿って確実に傾かせ、偏荷重をかけることなく被キャップ面に確実に密着させることができるとともに、高い耐久性を有するキャップ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明に係るキャップ機構は、被キャップ面をキャップするキャップ機構であって、上記被キャップ面に当接される当接部が設けられているキャップ体と、上記キャップ体を支持するものであり、上記当接部とは反対側に位置する支持体と、上記キャップ体および上記支持体の間を接続し、上記キャップ体および上記支持体の間の距離を広げたり狭めたりする向きに弾性力を有する第1の弾性体とを備え、上記キャップ体の上記支持体側の面と、上記支持体の上記キャップ体側の面とのうち、一方には支持部が、他方には上記支持部と嵌合される嵌合部が設けられており、上記当接部に上記被キャップ面が当接されていないときには、上記支持部と上記嵌合部との間に、第1の弾性体の弾性力により隙間が生じていることを特徴とする。
【0012】
上記の構成であれば、第1の弾性体の弾性力によって生じた支持部と嵌合部との間の隙間により、当接部に被キャップ面が当接されるときに、当接される被キャップ面が傾いているときにも、第1の弾性体の弾性変形によって、キャップ体が、被キャップ面の傾きに沿って柔軟に傾くことができる。したがって、キャップされる面積が大きい被キャップ面に用いた場合にも、その傾きに対してキャップ体を確実に傾かせることができる。
【0013】
さらに、上記の構成であれば、キャップ体が被キャップ面の傾きに沿って傾いたあとに、当接部が被キャップ面に押されることによって、第1の弾性体がさらに弾性変形してキャップ体が支持体の方向に移動し、支持部と嵌合部とが嵌合され当接されてキャップ体の位置が固定された後、被キャップ面と当接部とが相対的に押し付けられて密着される。このように、当接部と被キャップ面とが密着される前に、当接部を被キャップ面の傾きに沿って確実に傾かせることができるので、当接部に偏荷重がかかることがなく、当接部全体に一様に力を加えることができる。これにより、当接部を被キャップ面に確実に密着させることができるとともに、キャップ機構の耐久性を維持することができる。
【0014】
また、本発明に係るキャップ機構では、上記当接部は、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第2の弾性体により構成されていることが好ましい。
【0015】
上記の構成であれば、第2の弾性体が有する弾性力は、第1の弾性体が有する弾性力より大きいので、第1の弾性体の弾性変形によって、当接部が被キャップ面の傾きに沿って傾き、かつ支持部と嵌合部とが嵌合されて、キャップ体の位置が固定されるまで、第2の弾性体が弾性変形することがない。したがって、第2の弾性体に偏荷重がかかることがない。また、キャップ体の位置が固定された後、被キャップ面と当接部とがさらに相対的に押し付けられると、第2の弾性体が圧縮して、第2の弾性体の弾性変形により当接部と被キャップ面とがより確実に密着するので、被キャップ面を密閉することができる。また、当接部が被キャップ面の傾きに沿って確実に傾くため、第2の弾性体全体に一様に力を加えることができるので、第2の弾性体の耐久性を高めることができる。
【0016】
また、本発明に係るキャップ機構では、上記支持部は突起物であり、上記嵌合部は凹部であることが好ましい。
【0017】
上記の構成であれば、支持部と嵌合部とを確実に嵌合させて当接させることができ、キャップ体の位置を確実に固定することができる。
【0018】
また、本発明に係るキャップ機構では、上記支持部は、突起の先端が半球状、またはピン形状であることが好ましい。
【0019】
上記の構成であれば、キャップ体が傾いている場合でも、傾いた状態を保ったまま、支持部と嵌合部とを偏らずに嵌合させて当接させることができるので、より確実に位置を固定することができる。
【0020】
また、本発明に係るキャップ機構では、上記支持部は、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第3の弾性体を介して設けられていることが好ましい。
【0021】
上記の構成であれば、支持部が、該支持部が設けられた支持体またはキャップ体に対して、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第3の弾性体の弾性変形により伸縮する。したがって、支持部と嵌合部とが嵌合されて当接された後に、被キャップ面が当接部に過剰な力によって押し込まれた場合でも、第3の弾性体が弾性変形することによりキャップ体を支持体により近づけることができる。したがって、当接部に押し込まれる力を第3の弾性体へと逃がすことができ、キャップ機構及び被キャップ面の破損を防ぐことができる。
【0022】
これにより、被キャップ面が当接部に当接される力が変化した場合でも、当接部にかかる負荷の変化に対する感度を鈍らせることができる。特に、幅が長い被キャップ面など、当接する面積が大きい被キャップ面に用いる場合には、当接させる力が少し変化するだけでも当接部に大きな負荷がかかることになるが、本発明であれば、このような負荷の変化に対する感度を鈍らせることができる。これにより、本発明であれば、キャップ機構と被キャップ面とが当接される力のばらつきを小さくさせ、当接される力の強さによるキャップ機構の性能のばらつきをも小さくすることができる。したがって、当接される力を厳密に調整する必要がないので、当接される力を調整するために必要な部材を少なくできるので、本発明のキャップ機構が用いられる装置などの製造コストを低くすることができる。
【0023】
また、本発明に係るキャップ機構では、上記支持部と上記嵌合部との間の距離を所定の長さまでに規制する規制手段をさらに備えていることが好ましい。
【0024】
上記の構成であれば、当接部に被キャップ面が当接されていないときには、第1の弾性体の弾性力によりキャップ体に支持体から離れる向きに力が加えられるとともに、規制手段によって、支持部と嵌合部との間の距離が所定の長さとなっている状態でキャップ体の位置を固定できるので、キャップ体の位置合わせを正確に行うことができ、したがって当接部と被キャップ面とを正確に当接させることができる。
【0025】
また、本発明に係るキャップ機構では、上記規制手段は、上記支持体を貫通して形成された貫通材により構成されており、上記貫通材は、一端が上記キャップ体に接続され、他端には、上記支持体における上記キャップ体と反対側の面に当接される支持体当接部が設けられていることが好ましい。
【0026】
上記の構成であれば、当接部に被キャップ面が当接されていないときには、第1の弾性体の弾性力により、キャップ体には、支持体から離れる向きに力が加えられ、キャップ体と貫通材とが一体となって支持体から離れる向きに変位し、貫通材における支持体当接部が支持体におけるキャップ体とは反対側の面に当接される位置で固定され、これにより支持部と嵌合部との間の距離を所定の長さまでに規制することができる。これによって、支持部と嵌合部との間の距離が所定の長さとなっている状態でキャップ体の位置を固定できるので、キャップ体の位置合わせをより正確に行うことができ、したがって当接部と被キャップ面とをより正確に当接させることができる。
【0027】
本発明に係る方法は、被キャップ面に当接される当接部が設けられているキャップ体と、上記キャップ体を支持するものであり、上記当接部とは反対側に位置する支持体と、上記キャップ体および上記支持体の間を接続し、上記キャップ体および上記支持体の間の距離を広げたり狭めたりする向きに弾性力を有する第1の弾性体とを備え、上記キャップ体の上記支持体側の面と、上記支持体の上記キャップ体側の面とのうち、一方には支持部が、他方には上記支持部と嵌合される嵌合部が設けられている、被キャップ面をキャップするキャップ機構を用いる方法であって、上記支持部と上記嵌合部との間に第1の弾性体の弾性力により隙間を生じさせておき、上記当接部に上記被キャップ面を当接させる工程と、上記被キャップ面を上記当接部に押し込んで上記支持部と上記嵌合部とを嵌合させる工程とを有することを特徴とする。
【0028】
上記の構成であれば、第1の弾性体の弾性力によって生じた支持部と嵌合部との間の隙間により、当接部に被キャップ面を当接させるときに、当接する被キャップ面が傾いているときにも、第1の弾性体の弾性変形によって、キャップ体を、被キャップ面の傾きに沿って柔軟に傾かせることができる。したがって、キャップされる面積が大きい被キャップ面に用いた場合にも、その傾きに対してキャップ体を確実に傾かせることができる。
【0029】
さらに、上記の構成であれば、キャップ体を被キャップ面の傾きに沿って傾かせて当接部と被キャップ面とを当接させたあとに、被キャップ面を当接部に押し込むことによって、第1の弾性体をさらに弾性変形させてキャップ体を支持体の方向に移動させ、支持部と嵌合部とを嵌合させて当接させ、キャップ体の位置を固定することができる。これにより被キャップ面と当接部とを密着させることができる。このように、当接部と被キャップ面とを密着させる前に、当接部を被キャップ面の傾きに沿って傾かせることができるので、当接部に偏荷重をかけることがなく、当接部を被キャップ面に確実に密着させることができるとともに、キャップ機構の耐久性を維持することができる。
【0030】
本発明に係る方法では、上記当接部は、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第2の弾性体により構成されており、上記支持部と上記嵌合部とを嵌合させた後に、上記被キャップ面を上記当接部にさらに押し込んで、第2の弾性体を圧縮させる工程をさらに有することが好ましい。
【0031】
上記の構成であれば、第2の弾性体が有する弾性力は、第1の弾性体が有する弾性力より大きいので、当接部に被キャップ面を当接させる工程において、第1の弾性体の弾性変形によって、当接部が被キャップ面の傾きに沿って傾き、その後の被キャップ面を当接部に押し込んで支持部と嵌合部とを嵌合させる工程において、支持部と嵌合部とが嵌合されて当接され、キャップ体の位置が固定されるまで、第2の弾性体が弾性変形することがないので、第2の弾性体に偏荷重がかかることがない。また、キャップ体の位置が固定された後、被キャップ面を当接部にさらに押し込んで、第2の弾性体を圧縮させることによって、第2の弾性体の弾性変形により当接部と被キャップ面とをより確実に密着させることができるので、被キャップ面を確実に密閉することができる。また、当接部を被キャップ面の傾きに沿って確実に傾かせるため、第2の弾性体全体に一様に力を加えることができるので、第2の弾性体の耐久性を高めることができる。
【0032】
本発明に係る方法では、上記支持部は、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第3の弾性体を介して設けられており、上記支持部と上記嵌合部とを嵌合させた後に、上記被キャップ面を上記当接部にさらに押し込んで、第3の弾性体を圧縮させる工程をさらに有することが好ましい。
【0033】
上記の構成であれば、支持部が、該支持部が設けられた支持体またはキャップ体に対して、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第3の弾性体の弾性変形により伸縮する。したがって、被キャップ面を当接部に押し込むと、まず、支持部と嵌合部とが嵌合し、その後、さらに被キャップ面を当接部に過剰な力によって押し込んでしまった場合でも、第3の弾性体を圧縮させることによってキャップ体を支持体により近づけることができ、キャップ機構及び被キャップ面の破損を防ぐことができる。
【0034】
これにより、被キャップ面を当接部に当接させる力が変化した場合でも、当接部にかかる負荷の変化に対する感度を鈍らせることができる。特に、幅が長い被キャップ面など、当接する面積が大きい被キャップ面をキャップする場合には、当接させる力が少し変化するだけでも当接部に大きな負荷がかかることになるが、本発明であれば、このような負荷の変化に対する感度を鈍らせることができる。これにより、本発明であれば、キャップ機構と被キャップ面とを当接させる力のばらつきを小さくさせ、当接させる力の強さによるキャップ機構の性能のばらつきをも小さくすることができる。したがって、当接させる力を厳密に調整する必要がないので、当接させる力を調整するために必要な部材を少なくできるので、本発明のキャップ機構が用いられる装置などの製造コストを低くすることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、被キャップ面をキャップするキャップ機構であって、上記被キャップ面に当接される当接部が設けられているキャップ体と、上記キャップ体を支持するものであり、上記当接部とは反対側に位置する支持体と、上記キャップ体および上記支持体の間を接続し、上記キャップ体および上記支持体の間の距離を広げたり狭めたりする向きに弾性力を有する第1の弾性体とを備え、上記キャップ体の上記支持体側の面と、上記支持体の上記キャップ体側の面とのうち、一方には支持部が、他方には上記支持部と嵌合される嵌合部が設けられており、上記当接部に上記被キャップ面が当接されていないときには、上記支持部と上記嵌合部との間に、第1の弾性体の弾性力により隙間が生じているので、被キャップ面、特にキャップされる面積が大きい被キャップ面に対しても、被キャップ面と当接される当接部を、被キャップ面の傾きに沿って確実に傾かせ、偏荷重をかけることなく被キャップ面に確実に密着させることができるとともに、高い耐久性を有するキャップ機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1実施形態におけるキャップ機構の断面図である。
【図2】第1実施形態のキャップ機構を、インクジェットヘッドと当接される側から見た図である。
【図3】第1実施形態のキャップ機構を、継手側の側面から見た図である。
【図4】第1実施形態のキャップ機構を、図3とは別の側面から見た図である。
【図5】図2に示すキャップ機構のB−B矢視断面図である。
【図6】第1実施形態において、当接部の上に荷重がかかっていないときの支持穴と支持部との関係を示す断面図である。
【図7】第1実施形態におけるキャップ機構に、インクジェットヘッドを当接させる前の状態を示す図である。
【図8】第1実施形態におけるキャップ機構に、傾いたインクジェットヘッドを当接させた後の状態を示す図である。
【図9】第2実施形態におけるキャップ機構の断面図である。
【図10】第2実施形態におけるキャップ機構を側面から見た図である。
【図11】第2実施形態において、当接部の上に荷重がかかっていないときの支持穴と支持部材との関係を示す断面図である。
【図12】第2実施形態におけるキャップ機構に、インクジェットヘッドを当接させる前の状態を示す図である。
【図13】第2実施形態におけるキャップ機構に、傾いたインクジェットヘッドを当接させ、支持穴と支持部材とが嵌合されて当接されるまで押し込んだ状態を示す図である。
【図14】本実施形態におけるキャップ機構に、インクジェットヘッドを支持穴と支持部材とが嵌合されて当接されるまで押し込んだ後、さらに押し込んだ状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
〔第1実施形態〕
本発明に係るキャップ機構の一実施形態について、以下に説明する。本実施形態では、被キャップ面としてノズル面を備えるインクジェットヘッドに適用するキャップ機構について説明する。
【0038】
本実施形態におけるキャップ機構は、例えばインクジェットヘッドの未使用時や、インクジェットヘッドのメンテナンスを行う場合等に、インクジェットヘッド14におけるノズル面(被キャップ面)21をキャップする装置である。ノズル面21とは、インクジェットヘッド14において、インクを噴出するための多数のノズルが開口されており、インクを噴出する面である。
【0039】
(キャップ機構の構造)
まず、本実施形態におけるキャップ機構の構造について、図1〜図6を参照して詳細に説明する。
【0040】
図1は、本実施形態におけるキャップ機構の断面図である。なお、図1には、後述する図7に示すインクジェットヘッド14と当接される側を上にして示している。本実施形態においては、キャップ機構のうちインクジェットヘッド14と当接される側を上側、キャップ台(支持体)6が設けられている側を下側として説明する。
【0041】
図2は、本実施形態のキャップ機構を、上から、すなわちインクジェットヘッド14と当接される側から見た図である。なお、図1は、図2におけるA−A矢視断面図である。また、図3は、本実施形態のキャップ機構を、吸引継手5側の側面から見た図であり、図4は、本実施形態のキャップ機構を、図3とは別の側面から見た図であり、図5は、図2に示すキャップ機構のB−B矢視断面図である。なお、図4及び図5は、インクジェットヘッド14と当接される側が左になるよう回転した状態を示している。
【0042】
本実施形態におけるキャップ機構は、キャップ上部体(キャップ体)18と、キャップ上部体18を支持するキャップ台6とを備えている。
【0043】
キャップ上部体18は、当接部1及びキャップホルダ2により構成されている。
【0044】
当接部1は、後述する図7に示すインクジェットヘッド14のノズル面21に当接される部分であり、圧縮可能なゴム(第2の弾性体)で形成されている。なお、本発明における当接部を形成する第2の弾性体としては、上述したゴムに限らず、例えばテフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン(PFA)、ウレタン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材をはじめとする樹脂材等を用いてもよい。
【0045】
キャップホルダ2は、当接部1を保持しており、その下面、すなわち後述するキャップ台6側の面には、支持穴(嵌合部)12となる凹部が設けられている。
【0046】
図2に示すように、キャップホルダ2内には、当接部1の下に空間があり、キャップホルダ底部4に、廃液を吸引するための吸引穴3と、この吸引穴3と流路を介して繋がっている吸引継手5とが設けられている。なお、1つのキャップホルダに設けられる吸引穴および流路は本実施の形態のように1つであってもよく、複数であってもよい。
【0047】
キャップ台6は、キャップ上部体18の下側、すなわちキャップ上部体18において当接部1が設けられた側とは反対側に位置しており、その上面、すなわちキャップ上部体18側の面に支持部11が形成されている。支持部11は、図1に示すように先端が半球状である突起物として形成されている。支持部11は、キャップホルダ2における支持穴12と当接することにより、キャップ上部体18の位置を固定させる。
【0048】
なお、本発明における支持部と嵌合部との形状は、互いに嵌合する形状であればどのような組み合わせでもよいが、キャップ体が傾いた状態でも嵌合され当接され得る形状であることが好ましい。例えば嵌合部が凹形状であり、支持部が、先端が半球状、ピン形状等である突起物である組み合わせ等が好ましい。これにより、キャップ体が傾斜した状態で嵌合部と支持部とが当接しても、偏った当たりにならずにキャップ体の位置を確実に固定することができる。
【0049】
また、本発明においては、上述した形態に限定されず、キャップ体の下面と、支持体の上面とのうち、一方に支持部が設けられ、他方に嵌合部が設けられていればよい。すなわち、例えば嵌合部が支持体に、支持部がキャップ体に設けられた形態であってもよい。
【0050】
本実施形態におけるキャップ機構には、さらに、図1に示すように貫通材(規制手段)7及び8が設けられている。貫通材7及び8のそれぞれの一端は、キャップ上部体18の下側にネジ止めされており、他端は、キャップ台6の下側に突き出し、これらの貫通材7及び8の軸は、キャップ台6を貫通している。貫通材7及び8における他端には、その軸より太く形成された、キャップ台6の下面に当接される当接部(支持体当接部)22及び23が設けられている。また、貫通材7及び8は、キャップ台6を貫通する軸部分において、キャップ台6に対して上下方向にスライドできるようになっている。
【0051】
貫通材7及び8は、キャップ台6に対して上下方向にスライドすることによって、キャップ上部体18をキャップ台6に対して近づけたり離したりする向きに変位させる。これにより、キャップ上部体18は、支持部11と支持穴12とが当接するまでキャップ台6に近づくことができるとともに、貫通材7及び8における当接部22及び23がキャップ台6の下面に当接されるまで、キャップ台6から離れることができる。また、後述する圧縮バネ9及び10の下面と当接部22及び23との間における、貫通材7及び8とキャップ台6との間には、微小な隙間(図示せず)が設けられており、これによりキャップ上部体18は、キャップ台6に対して傾くことができる。なお、この微小な隙間は、キャップ上部体18の傾きを許容できる程度の微小なものであればよい(例えば、インクジェットヘッドの長さが50mmであり、その最大の傾きが両端において0.5mmである場合、この傾きを許容するための隙間としては、圧縮バネ9及び10の下面からキャップ台6の下面までの長さが5mmであるなら、0.05mm程度の幅があればよい。すなわち隙間の幅は、インクジェットヘッドの長さに対する最大の傾きの割合から適宜設定すればよい。)。
【0052】
貫通材7及び8における、キャップ上部体18の下面から当接部22及び23までの長さは、キャップ上部体18が傾かずに支持部11と支持穴12とが嵌合され、当接されて固定されているときの、キャップ上部体18の下面からキャップ台6の下面までの長さよりも、所定の長さだけ長くなっている。これにより、当接部22及び23がキャップ台6の下面に当接されたときには、支持部11と支持穴12との間の距離が所定の長さとなり、隙間13が生じることとなる。
【0053】
このような構成により、キャップ上部体18は、キャップ台6の下面と貫通材7及び8の当接部22及び23とが当接するときには、上方向への移動が規制されている。また、貫通材7及び8によって、キャップ上部体18は、上述した微小な隙間による移動を除けば、左右方向への動きも規制されている。
【0054】
キャップ上部体18とキャップ台6との間における、貫通材7及び8の軸には、圧縮バネ(第1の弾性体)9及び10が設けられている。図1に示すように、圧縮バネ9及び10は、キャップ上部体18の下面と、キャップ台6の上面から貫通材7及び8の軸に沿って形成された溝との間に設けられ、キャップ上部体18およびキャップ台6の間を接続しており、キャップ上部体18とキャップ台6との距離を広げたり狭めたりする向き(上下方向)に弾性力を有している。
【0055】
なお、本発明における第1の弾性体は、上述した形態に限定されず、キャップ体および支持体の間を接続し、キャップ体と支持体との距離を広げたり狭めたりする向きに弾性力を有していれば、どのように設けられていてもよい。また、第1の弾性体は、上述した圧縮バネに限定されず、例えば弾力性を有したゴム材、板バネ等であってもよい。
【0056】
圧縮バネ9及び10は、当接部1を形成するゴムよりも小さいバネ定数を有するものであることが好ましい。すなわち、圧縮バネ9及び10は、当接部1を形成するゴムが有する弾性力より小さい弾性力を有していることが好ましい。また、圧縮バネ9及び10は、当接部1の上に荷重がかかっていないときには、キャップ上部体18を、貫通材7及び8における当接部22及び23がキャップ台6の下面に当接されるまで持ち上げることができる弾性力を有していることが好ましい。
【0057】
図6は、本実施形態において、当接部1の上に荷重がかかっていないときの支持部11と支持穴12との関係を示す断面図である。上述した構成により、本実施形態におけるキャップ機構は、当接部1の上にインクジェットヘッド14などの荷重がかかっていないときには、圧縮バネ9及び10の弾性力によって、キャップ上部体18がキャップ台6から持ち上げられ、貫通材7及び8における当接部22及び23がキャップ台6の下面に当接され、支持部11と支持穴12との間の距離が所定の長さとなり、隙間13が生じている。
【0058】
支持部11と支持穴12との間の距離における、所定の長さとは、上述したように、貫通材7及び8における当接部22及び23がキャップ台6の下面に当接されているときの、支持部11と支持穴12との間の距離であり、支持部11と支持穴12との間の距離のとりうる最大の長さである。この最大の長さ、すなわち貫通材7及び8によって規制される、支持部11と支持穴12との間の距離における所定の長さは、当接部1の両端における最大傾き量の1/2以上であることが好ましい。また、支持部11と支持穴12との間の距離は、当接部1の両端が最大傾き量において傾いているキャップ上部体18を押し込んだときに、キャップホルダ2とキャップ台6とが支持部11と支持穴12とのみで当接し、それ以外の場所では接触しないような長さであることが好ましい。傾き量とは、当接部1の両端それぞれにおける、キャップ台6からの距離の差である。また、当接部1の両端における最大傾き量とは、当接部1に当接されるノズル面21が、予想される最大の傾きで傾いて当接され、このノズル面21に沿って傾いたときの、当接部1の両端における傾き量であればよい。これにより、ノズル面21に予想される最大の傾きが生じた場合でも、確実に当接部1をノズル面21の傾きに沿って傾かせることができる。
【0059】
また、貫通材7及び8と、圧縮バネ9及び10とが設けられることによって、当接部1の上に荷重がかかっていないときには、支持部11と支持穴12との間の距離が所定の長さとなっている状態でキャップ上部体18の位置を固定できるので、キャップ上部体18の位置合わせを正確に行うことができ、したがって当接部1とノズル面21とを正確に当接することができる。
【0060】
なお、貫通材7及び8、ならびに圧縮バネ9及び10は、本実施形態においては2個ずつ設けられているが、本発明においては特に限定されず、1個ずつでもよいし、多数設けられていてもよい。貫通材及び圧縮バネが多数設けられている方が、キャップ体の位置合わせをより正確に行うことができるので、当接部1とノズル面21とをより正確に当接させることができるため、好ましい。
【0061】
上述した構成により、本実施形態におけるキャップ機構では、圧縮バネ9及び10が傾き補正専用の働きを担っており、さらに支持部11と支持穴12との間に隙間13が生じていることにより、当接部1を柔軟に傾かせることができる。したがって、当接部1に当接されるノズル面21が傾いているときにも、当接部1をノズル面21の傾きに沿って確実に傾かせることができる。
【0062】
また、当接部1をノズル面21の傾きに傾かせて当接させた後、ノズル面21により当接部1が押し込まれると、支持部11と支持穴12とが嵌合して当接することによって、キャップ上部体18が傾きを保ったままで姿勢を保持される。これにより、確実にノズル面21に当接部1を当接させることができる。
【0063】
さらにノズル面21により当接部1が押し込まれると、当接部1を形成するゴムの弾性変形によって、当接部1とノズル面21とがより密着される。これにより、当接部1とノズル面21との良好な密着性を確保することができる。したがって、インクジェットヘッド14の保湿効果を維持できるので、インクジェットヘッド14の性能を損なうことを防ぐことができる。
【0064】
また、キャップ機構の性能においては、当接部を傾かせるための弾性体のバネ定数の大きさは、当接部の変形防止、当接部に対する偏荷重、ひいてはインクジェットヘッドの保護に大きな影響を与えるので、綿密に設計されることが好ましい。例えば、本実施の形態のように、第1の弾性体の弾性力を第2の弾性体の弾性力より小さくするように設計することが好ましい。
【0065】
また、上述した特許文献1のように、キャップがキャップ本体部と弾性部とからなる一体成型である場合には、キャップを傾かせるための弾性部のバネ定数に不具合があった場合には再度成型から作り直さなければならない。しかし、本実施形態におけるキャップ機構であれば、キャップ上部体18と、これを傾かせるための圧縮バネ9及び10とを別々に準備することができるので、例えば圧縮バネ9及び10の弾性力が弱すぎるなどの不具合があった場合にも、圧縮バネ9及び10を取り替えるだけでよく、容易に製造できる。
【0066】
(キャップ機構の使用方法)
次に、上述したキャップ機構の使用方法について、図7及び図8を用いて説明する。
【0067】
図7は、本実施形態におけるキャップ機構に、インクジェットヘッド14を当接させる前の状態を示す図であり、図8は、本実施形態におけるキャップ機構に、傾いたインクジェットヘッド14を当接させた後の状態を示す図である。
【0068】
ここでは、当接されるインクジェットヘッド14は、図7及び図8に示すように、右側が低く傾いている。
【0069】
本実施形態における方法では、以下の工程を行うことにより、キャップ機構の当接部1とインクジェットヘッド14のノズル面21とを当接させる。
【0070】
まず、キャップ機構における当接部1にインクジェットヘッド14のノズル面21を当接させる工程を行う。
【0071】
この工程の前には、キャップ機構における支持部11と支持穴12との間に隙間13を生じさせておく。本実施形態においては、図7に示すように、キャップ上部体18は、圧縮バネ9及び10の弾性力によってキャップ台6から持ち上げられ、貫通材7及び8における当接部22及び23がキャップ台6の下面に当接され、これにより支持部11と支持穴12との間に隙間13が生じた状態となっている。
【0072】
このような状態のキャップ機構における当接部1に、右側が低く傾いたインクジェットヘッド14のノズル面21を当接させると、当接部1よりも小さい弾性力を有する圧縮バネ9及び10が弾性変形し、キャップ上部体18がインクジェットヘッド14におけるノズル面21の傾きに沿って傾く。このときには、当接部1を形成するゴムはほとんど変形しない。これにより、当接部1は、インクジェットヘッド14におけるノズル面21に均一に当接される。
【0073】
次に、ノズル面21を当接部1に押し込んで、支持部11と支持穴12とを嵌合させる工程を行う。
【0074】
この工程では、ノズル面21が当接部1に押し込まれると、図8に示すように、キャップ上部体18がノズル面21に沿って傾いた上で、圧縮バネ9及び10が圧縮して支持部11と支持穴12とが嵌合して当接され、キャップ上部体18の位置が固定される。
【0075】
次に、ノズル面21を当接部1にさらに押し込んで、当接部1を形成するゴムを圧縮させる工程を行う。
【0076】
この工程では、キャップ上部体18は、支持部11と支持穴12とが当接されていることにより、ノズル面21に沿って傾いた上で固定されている。この状態で、ノズル面21を当接部1にさらに押し込むと、キャップ上部体18及びキャップ台6の位置はこれ以上動かない。したがって当接部1を形成するゴムが圧縮される。これにより、ノズル面21が当接部1に密着される。
【0077】
本実施形態における方法によれば、キャップ上部体18をノズル面21に沿って傾かせて当接部1とノズル面21とを当接させたあとに、支持部11と支持穴12とを嵌合させて当接させることによってキャップ上部体18の位置を固定するので、当接部1に偏荷重をかけることなく当接部1とノズル面21とを密着させることができる。したがって、ノズル面21を確実に密閉することができるとともに、キャップ装置の耐久性を高めることができる。
【0078】
〔第2実施形態〕
本発明に係るキャップ機構の他の実施形態について、以下に説明する。本実施形態におけるキャップ機構は、第1実施形態における支持部11の代わりに、支持部材(支持部)15が圧縮バネ(第3の弾性体)17を介してキャップ台6に設けられている点のみが、第1実施形態と異なっており、他は第1実施形態と同様に構成されている。そこで、説明の便宜上、第1実施形態における部材と同様に構成された部材には同一の番号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、主に、第1実施形態との相違点について説明するものとする。
【0079】
(キャップ機構の構造)
まず、本実施形態におけるキャップ機構の構造について、図9〜図11を参照して説明する。図9は、本実施形態におけるキャップ機構の断面図である。なお、図9には、インクジェットヘッド14と当接される側を上にして示している。また、図10は、本実施形態におけるキャップ機構を側面から見た図であり、インクジェットヘッド14と当接される側が左になるよう回転した状態を示している。図11は、本実施形態において、当接部1の上に荷重がかかっていないときの支持穴12と支持部材15との関係を示す断面図である。
【0080】
本実施形態においては、図9〜図11に示すように、キャップ台6の上面に穴が形成されており、この穴にバネ受け16が設けられ、バネ受け16の上に圧縮バネ17を介して支持部材15が設けられている。
【0081】
支持部材15は、上側が半球状となっており、キャップホルダ2の下面に設けられた支持穴12に入って当接することにより、キャップ上部体18の位置を固定させる。支持部材15としては、第1実施形態に記載した支持部11の好ましい形状と同様のものを用いることができる。
【0082】
圧縮バネ17は、上下方向に伸縮するバネであり、これにより支持部材15のキャップ台6に対する高さを変えることができる。圧縮バネ17は、圧縮バネ9及び10よりも大きい弾性力を有するものであることが好ましく、当接部1を形成するゴムが有する弾性力と同程度の弾性力を有するものであることがより好ましい。なお、本発明における第3の弾性体は、上述した圧縮バネに限定されず、例えば弾力性を有したゴム材、板バネ等であってもよい。
【0083】
支持穴12と支持部材15との間の距離のとりうる最大値、すなわち貫通材7及び8によって規制される、支持穴12と支持部材15との間の距離における所定の長さについての好ましい構成は、第1実施形態に記載した、支持部11と支持穴12との間の距離における所定の長さについての好ましい構成と同じである。本実施形態においては、支持穴12と支持部材15との間の距離のとりうる最大値は、バネ受け16の高さによって調整されることができる。したがって、調整が必要ないときには、バネ受け16を設けなくてもよい。このように、バネ受け16の高さを調整することで、支持穴12と支持部材15との間の距離のとりうる最大値を容易に調整することができる。
【0084】
上述した構成により、支持部材15がキャップ台6に対して圧縮されることができるので、本実施形態におけるキャップ機構がインクジェットヘッド14に当接されたときに、インクジェットヘッド14の傾きに沿ってキャップ上部体18が傾き、支持穴12と支持部材15とが嵌合して当接した後に、さらにインクジェットヘッド14が押し込まれた場合、当接部1のみでなく、圧縮バネ17も圧縮される。したがって、当接部1にかかる力の感度を鈍らせることができ、インクジェットヘッド14の押し込み量が過大になった場合にも、その力を圧縮バネ17へと逃がすことができ、キャップ機構やインクジェットヘッド14の損傷を防ぐことができる。
【0085】
また、本実施形態におけるキャップ機構であれば、キャップする面積が広いインクジェットヘッド、例えば長尺ヘッド等に用いても、良好な密着性を得ることができる。キャップする面積が広いインクジェットヘッドをキャップする場合には、当接部1におけるインクジェットヘッド14と当接される面積が大きくなるため、少ない押し込み量でも、当接部1が変形する量が小さくなる代わりに、キャップ機構にかかる力が大きくなると予想される。また、押し込み量が微小に変化しただけでも、当接部1に大きな負荷がかかることが予想される。このような場合でも、本実施形態におけるキャップ機構であれば、上述したように当接部1にかかる力に対する感度を鈍らせることができるので、インクジェットヘッド14による押し込み量の設定を厳密に調整する必要がなく、インクジェットヘッド14をキャップ機構に押し込む際に必要な、押し込み量を調整するための部材にかかるコストを低減させることができる。
【0086】
(キャップ機構の使用方法)
次に、上述したキャップ機構の使用方法について、図12〜図14を用いて説明する。第1実施形態と同様に、キャップ機構の当接部1と、インクジェットヘッド14のノズル面21とを当接させる場合について説明する。
【0087】
図12は、本実施形態におけるキャップ機構に、インクジェットヘッド14を当接させる前の状態を示す図であり、図13は、本実施形態におけるキャップ機構に、傾いたインクジェットヘッド14を当接させ、支持穴12と支持部材15とが嵌合されて当接されるまで押し込んだ状態を示す図である。そして、図14は、本実施形態におけるキャップ機構に、インクジェットヘッド14を支持穴12と支持部材15とが嵌合されて当接されるまで押し込んだ後、さらに押し込んだ状態を示す図である。
【0088】
ここでは、当接されるインクジェットヘッド14は、図12〜14に示すように、右側が低く傾いている。
【0089】
本実施形態における方法では、以下の工程を行うことにより、キャップ機構の当接部1とインクジェットヘッド14のノズル面21とを当接させる。
【0090】
まず、キャップ機構における当接部1にインクジェットヘッド14のノズル面21を当接させる工程を行う。
【0091】
この工程により当接部1にノズル面21を当接させる前には、キャップ機構における支持穴12と支持部材15との間に隙間13を生じさせておく。本実施形態においては、図12に示すように、キャップ上部体18は、圧縮バネ9及び10の弾性力によってキャップ台6から持ち上げられ、貫通材7及び8における当接部22及び23がキャップ台6の下面に当接され、これにより支持穴12と支持部材15との間に隙間13が生じた状態となっている。
【0092】
このような状態のキャップ機構における当接部1に、右側が低く傾いたインクジェットヘッド14のノズル面21を当接させると、当接部1よりも小さい弾性力を有する圧縮バネ9及び10が弾性変形し、キャップ上部体18がインクジェットヘッド14におけるノズル面21の傾きに沿って傾く。このときには、当接部1を形成するゴムはほとんど変形しない。これにより、当接部1は、インクジェットヘッド14におけるノズル面21に均一に当接される。
【0093】
次に、ノズル面21を当接部1に押し込んで、支持部材15と支持穴12とを嵌合させる工程を行う。
【0094】
この工程では、ノズル面21が当接部1に押し込まれると、図13に示すように、圧縮バネ9及び10が圧縮して支持部材15と支持穴12とが嵌合して当接されて、キャップ上部体18の位置が固定される。
【0095】
次に、ノズル面21を当接部1にさらに押し込んで、当接部1を形成するゴムと、圧縮バネ17とを圧縮させる工程を行う。
【0096】
この工程では、支持部材15と支持穴12とが当接された状態で、ノズル面21を当接部1にさらに押し込むと、当接部1を形成するゴムと圧縮バネ17とが圧縮され、ノズル面21が当接部1に密着される。
【0097】
当接部1を形成するゴムが圧縮されることにより、当接部1とノズル面21とを確実に密着させることができるので、ノズル面21を密封することができる。
【0098】
また、圧縮バネ17が圧縮されることにより、当接部1にノズル面21を過剰な力によって押し込んでしまった場合でも、キャップ上部体18をキャップ台6側により近づけることができるので、キャップ機構及びインクジェットヘッド14の破損を防ぐことができる。
【0099】
さらにまた、圧縮バネ17が当接部1とともに圧縮されることにより、当接部1のみが圧縮される場合に比べて、当接部1にかかる力に対する感度を鈍らせることができる。また、圧縮バネ17と当接部1を形成するゴムとが同程度の弾性力を有していれば、圧縮バネ17により、より効率よく当接部1にかかる力に対する感度を鈍らせることができる。
【0100】
したがって、本実施形態であれば、第1実施形態において述べた効果が得られるとともに、さらに、インクジェットヘッド14の押し込み量の精度を調整できない場合でも、ノズル面21と当接部1との密着性を良好に保つことができる。また、インクジェットヘッド14の押し込み量が過大になった場合でも、圧縮バネ17が圧縮変形することにより、インクジェットヘッド14やキャップ機構の損傷を防止することができる。
【0101】
なお、本発明に係るキャップ機構が適用される装置は、上述したインクジェットヘッドに限らず、キャップされる被キャップ面を備えている装置であればよい。特に、液体を噴出する液体噴射装置の液体噴射ヘッドなどに本発明にかかるキャップ機構を適用すれば、液体噴射ヘッドの液体噴射面を密閉することができるので、液体噴射ヘッドの保湿効果を維持することができる。
【0102】
また、本発明に係るキャップ機構及びこれを用いる方法を用いれば、被キャップ面と当接部とが相対的に傾きを持っていても、これらにダメージを与えることなく、精度よく当接させることができる。したがって、本発明は、相対的に傾きを持つ2つの面を当接させる用途や、2つの部材を密着させる用途などにも好適に適用できる。
【0103】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明であれば、被キャップ面、特にキャップされる面積が大きい被キャップ面に対しても、被キャップ面と当接される当接部を、被キャップ面の傾きに沿って確実に傾かせ、偏荷重をかけることなく被キャップ面に確実に密着させることができるとともに、高い耐久性を有するキャップ機構を提供できるので、被キャップ面をキャップするための装置や、この装置を使用して製造されるものの製造などに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0105】
1 当接部
2 キャップホルダ
3 吸引穴
4 キャップホルダ底部
5 吸引継手
6 キャップ台(支持体)
7 貫通材(規制手段)
8 貫通材(規制手段)
9 圧縮バネ(第1の弾性体)
10 圧縮バネ(第1の弾性体)
11 支持部
12 支持穴(嵌合部)
13 隙間
14 インクジェットヘッド
15 支持部材(支持部)
16 バネ受け
17 圧縮バネ(第3の弾性体)
18 キャップ上部体(キャップ体)
21 ノズル面(被キャップ面)
22 当接部(支持体当接部)
23 当接部(支持体当接部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、被キャップ面をキャップするキャップ機構及びこれを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被キャップ面を備える装置として、被噴射物に対して液体を噴射する液体噴射装置における液体噴射ヘッドが知られている。例えば、被噴射物に対して着色等のインク塗布を行う液体噴射装置は、インクなどの液体を噴射して被印刷物に対して処理を行うために、インクジェットヘッドなどの液体噴射ヘッドを搭載しており、近年液晶テレビのカラーフィルター製作などに使用されるなど、生産装置として利用されることが多くなっている。
【0003】
一般に、液体噴射ヘッド(以下、単に「ヘッド」とも称する。)を使用した装置においては、ヘッド未使用時またはヘッドのメンテナンスを行う際にヘッドのノズル面を覆って密閉するためのキャップが設けられている。このようなキャップとしては、ノズルの乾燥が促進されるのを確実に防止するために、確実にノズル面を覆い、密閉性を高めることができるものが求められている。
【0004】
通常、キャップにおけるヘッドとの当接面は、ゴム材などの弾性を持った部材で構成されており、これがヘッドにおけるノズル面と当接されることで変形して、高い密閉性を発揮する。したがってキャップの当接面におけるゴム材等としては、弾性力が小さいものが用いられている。
【0005】
ここで、ヘッドがキャップに対して傾きを持っており、ヘッドにおけるノズル面と、キャップの当接面とが平行ではない場合、当該当接面とノズル面とを当接させると、一部の面のみで当接が始まるため、キャップにおける当接面の一部だけが撓んでしまう。その後、ノズル面の全面を覆うために更にノズル面をキャップの当接面に押し込んでも、最初に撓みはじめた箇所と、他の箇所とで、押し込み量が傾き分だけ異なってしまい、最初に撓みはじめた箇所の撓み量が他の箇所に比べて多くなり、良好な密閉性を得ることが困難になるという問題がある。さらに、キャップの当接面に対して過剰な偏荷重がかかることになるので、キャップの耐久性を損なうという問題も生ずる。
【0006】
このようにヘッドが傾斜を有していても、そのノズル面を気密にキャップするために、特許文献1には、キャップ装置として、キャップと、そのキャップを保持するキャップホルダとを含む構造のものが開示されている。このキャップは、キャップ本体部と、そのキャップ本体部と一体に設けられた弾性部とからなり、キャップ本体部とキャップホルダとの間に前記弾性部を配設し、弾性部を介してキャップホルダにキャップ本体部をあらゆる方向に相対移動可能に保持させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−300671号明細書(1996年11月19日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、キャップにおけるヘッドとの当接面を傾かせるためには、キャップ全体を押し下げる必要がある。特許文献1に記載された構造では、キャップがヘッドの傾きに沿って傾いていないうちから、このキャップ全体を押し下げる力が、キャップ本体部とキャップホルダとの間の弾性部だけでなく、キャップにおけるヘッドとの当接面にもかかることとなり、キャップの当接面に偏荷重がかかってしまうので、キャップの耐久性が低くなるという上述した問題が依然として残っている。また、このような状態でキャップとヘッドとを密着しようとしても、良好な密着性は得られず、その結果ヘッドが乾燥してしまうという問題が生じる。
【0009】
また、昨今のヘッドには、一度に噴射できる領域を増やし、噴射による処理時間を短縮化する等といった目的で、数百個のノズルを有するものもある。このようなヘッドはノズル列方向の幅が長くなっており、一般的に長尺ヘッドと言われている。しかし、ヘッドの幅が長いほど、装置に取り付ける際の傾き量が大きくなってしまうので、長尺ヘッドなど、ノズル面の面積が大きいヘッドを用いた場合にも、そのノズル面の全面をキャップによって確実に密閉するための技術が求められている。
【0010】
そこで、本発明は、被キャップ面、特にキャップされる面積が大きい被キャップ面に対しても、被キャップ面と当接される当接部を、被キャップ面の傾きに沿って確実に傾かせ、偏荷重をかけることなく被キャップ面に確実に密着させることができるとともに、高い耐久性を有するキャップ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明に係るキャップ機構は、被キャップ面をキャップするキャップ機構であって、上記被キャップ面に当接される当接部が設けられているキャップ体と、上記キャップ体を支持するものであり、上記当接部とは反対側に位置する支持体と、上記キャップ体および上記支持体の間を接続し、上記キャップ体および上記支持体の間の距離を広げたり狭めたりする向きに弾性力を有する第1の弾性体とを備え、上記キャップ体の上記支持体側の面と、上記支持体の上記キャップ体側の面とのうち、一方には支持部が、他方には上記支持部と嵌合される嵌合部が設けられており、上記当接部に上記被キャップ面が当接されていないときには、上記支持部と上記嵌合部との間に、第1の弾性体の弾性力により隙間が生じていることを特徴とする。
【0012】
上記の構成であれば、第1の弾性体の弾性力によって生じた支持部と嵌合部との間の隙間により、当接部に被キャップ面が当接されるときに、当接される被キャップ面が傾いているときにも、第1の弾性体の弾性変形によって、キャップ体が、被キャップ面の傾きに沿って柔軟に傾くことができる。したがって、キャップされる面積が大きい被キャップ面に用いた場合にも、その傾きに対してキャップ体を確実に傾かせることができる。
【0013】
さらに、上記の構成であれば、キャップ体が被キャップ面の傾きに沿って傾いたあとに、当接部が被キャップ面に押されることによって、第1の弾性体がさらに弾性変形してキャップ体が支持体の方向に移動し、支持部と嵌合部とが嵌合され当接されてキャップ体の位置が固定された後、被キャップ面と当接部とが相対的に押し付けられて密着される。このように、当接部と被キャップ面とが密着される前に、当接部を被キャップ面の傾きに沿って確実に傾かせることができるので、当接部に偏荷重がかかることがなく、当接部全体に一様に力を加えることができる。これにより、当接部を被キャップ面に確実に密着させることができるとともに、キャップ機構の耐久性を維持することができる。
【0014】
また、本発明に係るキャップ機構では、上記当接部は、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第2の弾性体により構成されていることが好ましい。
【0015】
上記の構成であれば、第2の弾性体が有する弾性力は、第1の弾性体が有する弾性力より大きいので、第1の弾性体の弾性変形によって、当接部が被キャップ面の傾きに沿って傾き、かつ支持部と嵌合部とが嵌合されて、キャップ体の位置が固定されるまで、第2の弾性体が弾性変形することがない。したがって、第2の弾性体に偏荷重がかかることがない。また、キャップ体の位置が固定された後、被キャップ面と当接部とがさらに相対的に押し付けられると、第2の弾性体が圧縮して、第2の弾性体の弾性変形により当接部と被キャップ面とがより確実に密着するので、被キャップ面を密閉することができる。また、当接部が被キャップ面の傾きに沿って確実に傾くため、第2の弾性体全体に一様に力を加えることができるので、第2の弾性体の耐久性を高めることができる。
【0016】
また、本発明に係るキャップ機構では、上記支持部は突起物であり、上記嵌合部は凹部であることが好ましい。
【0017】
上記の構成であれば、支持部と嵌合部とを確実に嵌合させて当接させることができ、キャップ体の位置を確実に固定することができる。
【0018】
また、本発明に係るキャップ機構では、上記支持部は、突起の先端が半球状、またはピン形状であることが好ましい。
【0019】
上記の構成であれば、キャップ体が傾いている場合でも、傾いた状態を保ったまま、支持部と嵌合部とを偏らずに嵌合させて当接させることができるので、より確実に位置を固定することができる。
【0020】
また、本発明に係るキャップ機構では、上記支持部は、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第3の弾性体を介して設けられていることが好ましい。
【0021】
上記の構成であれば、支持部が、該支持部が設けられた支持体またはキャップ体に対して、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第3の弾性体の弾性変形により伸縮する。したがって、支持部と嵌合部とが嵌合されて当接された後に、被キャップ面が当接部に過剰な力によって押し込まれた場合でも、第3の弾性体が弾性変形することによりキャップ体を支持体により近づけることができる。したがって、当接部に押し込まれる力を第3の弾性体へと逃がすことができ、キャップ機構及び被キャップ面の破損を防ぐことができる。
【0022】
これにより、被キャップ面が当接部に当接される力が変化した場合でも、当接部にかかる負荷の変化に対する感度を鈍らせることができる。特に、幅が長い被キャップ面など、当接する面積が大きい被キャップ面に用いる場合には、当接させる力が少し変化するだけでも当接部に大きな負荷がかかることになるが、本発明であれば、このような負荷の変化に対する感度を鈍らせることができる。これにより、本発明であれば、キャップ機構と被キャップ面とが当接される力のばらつきを小さくさせ、当接される力の強さによるキャップ機構の性能のばらつきをも小さくすることができる。したがって、当接される力を厳密に調整する必要がないので、当接される力を調整するために必要な部材を少なくできるので、本発明のキャップ機構が用いられる装置などの製造コストを低くすることができる。
【0023】
また、本発明に係るキャップ機構では、上記支持部と上記嵌合部との間の距離を所定の長さまでに規制する規制手段をさらに備えていることが好ましい。
【0024】
上記の構成であれば、当接部に被キャップ面が当接されていないときには、第1の弾性体の弾性力によりキャップ体に支持体から離れる向きに力が加えられるとともに、規制手段によって、支持部と嵌合部との間の距離が所定の長さとなっている状態でキャップ体の位置を固定できるので、キャップ体の位置合わせを正確に行うことができ、したがって当接部と被キャップ面とを正確に当接させることができる。
【0025】
また、本発明に係るキャップ機構では、上記規制手段は、上記支持体を貫通して形成された貫通材により構成されており、上記貫通材は、一端が上記キャップ体に接続され、他端には、上記支持体における上記キャップ体と反対側の面に当接される支持体当接部が設けられていることが好ましい。
【0026】
上記の構成であれば、当接部に被キャップ面が当接されていないときには、第1の弾性体の弾性力により、キャップ体には、支持体から離れる向きに力が加えられ、キャップ体と貫通材とが一体となって支持体から離れる向きに変位し、貫通材における支持体当接部が支持体におけるキャップ体とは反対側の面に当接される位置で固定され、これにより支持部と嵌合部との間の距離を所定の長さまでに規制することができる。これによって、支持部と嵌合部との間の距離が所定の長さとなっている状態でキャップ体の位置を固定できるので、キャップ体の位置合わせをより正確に行うことができ、したがって当接部と被キャップ面とをより正確に当接させることができる。
【0027】
本発明に係る方法は、被キャップ面に当接される当接部が設けられているキャップ体と、上記キャップ体を支持するものであり、上記当接部とは反対側に位置する支持体と、上記キャップ体および上記支持体の間を接続し、上記キャップ体および上記支持体の間の距離を広げたり狭めたりする向きに弾性力を有する第1の弾性体とを備え、上記キャップ体の上記支持体側の面と、上記支持体の上記キャップ体側の面とのうち、一方には支持部が、他方には上記支持部と嵌合される嵌合部が設けられている、被キャップ面をキャップするキャップ機構を用いる方法であって、上記支持部と上記嵌合部との間に第1の弾性体の弾性力により隙間を生じさせておき、上記当接部に上記被キャップ面を当接させる工程と、上記被キャップ面を上記当接部に押し込んで上記支持部と上記嵌合部とを嵌合させる工程とを有することを特徴とする。
【0028】
上記の構成であれば、第1の弾性体の弾性力によって生じた支持部と嵌合部との間の隙間により、当接部に被キャップ面を当接させるときに、当接する被キャップ面が傾いているときにも、第1の弾性体の弾性変形によって、キャップ体を、被キャップ面の傾きに沿って柔軟に傾かせることができる。したがって、キャップされる面積が大きい被キャップ面に用いた場合にも、その傾きに対してキャップ体を確実に傾かせることができる。
【0029】
さらに、上記の構成であれば、キャップ体を被キャップ面の傾きに沿って傾かせて当接部と被キャップ面とを当接させたあとに、被キャップ面を当接部に押し込むことによって、第1の弾性体をさらに弾性変形させてキャップ体を支持体の方向に移動させ、支持部と嵌合部とを嵌合させて当接させ、キャップ体の位置を固定することができる。これにより被キャップ面と当接部とを密着させることができる。このように、当接部と被キャップ面とを密着させる前に、当接部を被キャップ面の傾きに沿って傾かせることができるので、当接部に偏荷重をかけることがなく、当接部を被キャップ面に確実に密着させることができるとともに、キャップ機構の耐久性を維持することができる。
【0030】
本発明に係る方法では、上記当接部は、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第2の弾性体により構成されており、上記支持部と上記嵌合部とを嵌合させた後に、上記被キャップ面を上記当接部にさらに押し込んで、第2の弾性体を圧縮させる工程をさらに有することが好ましい。
【0031】
上記の構成であれば、第2の弾性体が有する弾性力は、第1の弾性体が有する弾性力より大きいので、当接部に被キャップ面を当接させる工程において、第1の弾性体の弾性変形によって、当接部が被キャップ面の傾きに沿って傾き、その後の被キャップ面を当接部に押し込んで支持部と嵌合部とを嵌合させる工程において、支持部と嵌合部とが嵌合されて当接され、キャップ体の位置が固定されるまで、第2の弾性体が弾性変形することがないので、第2の弾性体に偏荷重がかかることがない。また、キャップ体の位置が固定された後、被キャップ面を当接部にさらに押し込んで、第2の弾性体を圧縮させることによって、第2の弾性体の弾性変形により当接部と被キャップ面とをより確実に密着させることができるので、被キャップ面を確実に密閉することができる。また、当接部を被キャップ面の傾きに沿って確実に傾かせるため、第2の弾性体全体に一様に力を加えることができるので、第2の弾性体の耐久性を高めることができる。
【0032】
本発明に係る方法では、上記支持部は、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第3の弾性体を介して設けられており、上記支持部と上記嵌合部とを嵌合させた後に、上記被キャップ面を上記当接部にさらに押し込んで、第3の弾性体を圧縮させる工程をさらに有することが好ましい。
【0033】
上記の構成であれば、支持部が、該支持部が設けられた支持体またはキャップ体に対して、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第3の弾性体の弾性変形により伸縮する。したがって、被キャップ面を当接部に押し込むと、まず、支持部と嵌合部とが嵌合し、その後、さらに被キャップ面を当接部に過剰な力によって押し込んでしまった場合でも、第3の弾性体を圧縮させることによってキャップ体を支持体により近づけることができ、キャップ機構及び被キャップ面の破損を防ぐことができる。
【0034】
これにより、被キャップ面を当接部に当接させる力が変化した場合でも、当接部にかかる負荷の変化に対する感度を鈍らせることができる。特に、幅が長い被キャップ面など、当接する面積が大きい被キャップ面をキャップする場合には、当接させる力が少し変化するだけでも当接部に大きな負荷がかかることになるが、本発明であれば、このような負荷の変化に対する感度を鈍らせることができる。これにより、本発明であれば、キャップ機構と被キャップ面とを当接させる力のばらつきを小さくさせ、当接させる力の強さによるキャップ機構の性能のばらつきをも小さくすることができる。したがって、当接させる力を厳密に調整する必要がないので、当接させる力を調整するために必要な部材を少なくできるので、本発明のキャップ機構が用いられる装置などの製造コストを低くすることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、被キャップ面をキャップするキャップ機構であって、上記被キャップ面に当接される当接部が設けられているキャップ体と、上記キャップ体を支持するものであり、上記当接部とは反対側に位置する支持体と、上記キャップ体および上記支持体の間を接続し、上記キャップ体および上記支持体の間の距離を広げたり狭めたりする向きに弾性力を有する第1の弾性体とを備え、上記キャップ体の上記支持体側の面と、上記支持体の上記キャップ体側の面とのうち、一方には支持部が、他方には上記支持部と嵌合される嵌合部が設けられており、上記当接部に上記被キャップ面が当接されていないときには、上記支持部と上記嵌合部との間に、第1の弾性体の弾性力により隙間が生じているので、被キャップ面、特にキャップされる面積が大きい被キャップ面に対しても、被キャップ面と当接される当接部を、被キャップ面の傾きに沿って確実に傾かせ、偏荷重をかけることなく被キャップ面に確実に密着させることができるとともに、高い耐久性を有するキャップ機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1実施形態におけるキャップ機構の断面図である。
【図2】第1実施形態のキャップ機構を、インクジェットヘッドと当接される側から見た図である。
【図3】第1実施形態のキャップ機構を、継手側の側面から見た図である。
【図4】第1実施形態のキャップ機構を、図3とは別の側面から見た図である。
【図5】図2に示すキャップ機構のB−B矢視断面図である。
【図6】第1実施形態において、当接部の上に荷重がかかっていないときの支持穴と支持部との関係を示す断面図である。
【図7】第1実施形態におけるキャップ機構に、インクジェットヘッドを当接させる前の状態を示す図である。
【図8】第1実施形態におけるキャップ機構に、傾いたインクジェットヘッドを当接させた後の状態を示す図である。
【図9】第2実施形態におけるキャップ機構の断面図である。
【図10】第2実施形態におけるキャップ機構を側面から見た図である。
【図11】第2実施形態において、当接部の上に荷重がかかっていないときの支持穴と支持部材との関係を示す断面図である。
【図12】第2実施形態におけるキャップ機構に、インクジェットヘッドを当接させる前の状態を示す図である。
【図13】第2実施形態におけるキャップ機構に、傾いたインクジェットヘッドを当接させ、支持穴と支持部材とが嵌合されて当接されるまで押し込んだ状態を示す図である。
【図14】本実施形態におけるキャップ機構に、インクジェットヘッドを支持穴と支持部材とが嵌合されて当接されるまで押し込んだ後、さらに押し込んだ状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
〔第1実施形態〕
本発明に係るキャップ機構の一実施形態について、以下に説明する。本実施形態では、被キャップ面としてノズル面を備えるインクジェットヘッドに適用するキャップ機構について説明する。
【0038】
本実施形態におけるキャップ機構は、例えばインクジェットヘッドの未使用時や、インクジェットヘッドのメンテナンスを行う場合等に、インクジェットヘッド14におけるノズル面(被キャップ面)21をキャップする装置である。ノズル面21とは、インクジェットヘッド14において、インクを噴出するための多数のノズルが開口されており、インクを噴出する面である。
【0039】
(キャップ機構の構造)
まず、本実施形態におけるキャップ機構の構造について、図1〜図6を参照して詳細に説明する。
【0040】
図1は、本実施形態におけるキャップ機構の断面図である。なお、図1には、後述する図7に示すインクジェットヘッド14と当接される側を上にして示している。本実施形態においては、キャップ機構のうちインクジェットヘッド14と当接される側を上側、キャップ台(支持体)6が設けられている側を下側として説明する。
【0041】
図2は、本実施形態のキャップ機構を、上から、すなわちインクジェットヘッド14と当接される側から見た図である。なお、図1は、図2におけるA−A矢視断面図である。また、図3は、本実施形態のキャップ機構を、吸引継手5側の側面から見た図であり、図4は、本実施形態のキャップ機構を、図3とは別の側面から見た図であり、図5は、図2に示すキャップ機構のB−B矢視断面図である。なお、図4及び図5は、インクジェットヘッド14と当接される側が左になるよう回転した状態を示している。
【0042】
本実施形態におけるキャップ機構は、キャップ上部体(キャップ体)18と、キャップ上部体18を支持するキャップ台6とを備えている。
【0043】
キャップ上部体18は、当接部1及びキャップホルダ2により構成されている。
【0044】
当接部1は、後述する図7に示すインクジェットヘッド14のノズル面21に当接される部分であり、圧縮可能なゴム(第2の弾性体)で形成されている。なお、本発明における当接部を形成する第2の弾性体としては、上述したゴムに限らず、例えばテフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン(PFA)、ウレタン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材をはじめとする樹脂材等を用いてもよい。
【0045】
キャップホルダ2は、当接部1を保持しており、その下面、すなわち後述するキャップ台6側の面には、支持穴(嵌合部)12となる凹部が設けられている。
【0046】
図2に示すように、キャップホルダ2内には、当接部1の下に空間があり、キャップホルダ底部4に、廃液を吸引するための吸引穴3と、この吸引穴3と流路を介して繋がっている吸引継手5とが設けられている。なお、1つのキャップホルダに設けられる吸引穴および流路は本実施の形態のように1つであってもよく、複数であってもよい。
【0047】
キャップ台6は、キャップ上部体18の下側、すなわちキャップ上部体18において当接部1が設けられた側とは反対側に位置しており、その上面、すなわちキャップ上部体18側の面に支持部11が形成されている。支持部11は、図1に示すように先端が半球状である突起物として形成されている。支持部11は、キャップホルダ2における支持穴12と当接することにより、キャップ上部体18の位置を固定させる。
【0048】
なお、本発明における支持部と嵌合部との形状は、互いに嵌合する形状であればどのような組み合わせでもよいが、キャップ体が傾いた状態でも嵌合され当接され得る形状であることが好ましい。例えば嵌合部が凹形状であり、支持部が、先端が半球状、ピン形状等である突起物である組み合わせ等が好ましい。これにより、キャップ体が傾斜した状態で嵌合部と支持部とが当接しても、偏った当たりにならずにキャップ体の位置を確実に固定することができる。
【0049】
また、本発明においては、上述した形態に限定されず、キャップ体の下面と、支持体の上面とのうち、一方に支持部が設けられ、他方に嵌合部が設けられていればよい。すなわち、例えば嵌合部が支持体に、支持部がキャップ体に設けられた形態であってもよい。
【0050】
本実施形態におけるキャップ機構には、さらに、図1に示すように貫通材(規制手段)7及び8が設けられている。貫通材7及び8のそれぞれの一端は、キャップ上部体18の下側にネジ止めされており、他端は、キャップ台6の下側に突き出し、これらの貫通材7及び8の軸は、キャップ台6を貫通している。貫通材7及び8における他端には、その軸より太く形成された、キャップ台6の下面に当接される当接部(支持体当接部)22及び23が設けられている。また、貫通材7及び8は、キャップ台6を貫通する軸部分において、キャップ台6に対して上下方向にスライドできるようになっている。
【0051】
貫通材7及び8は、キャップ台6に対して上下方向にスライドすることによって、キャップ上部体18をキャップ台6に対して近づけたり離したりする向きに変位させる。これにより、キャップ上部体18は、支持部11と支持穴12とが当接するまでキャップ台6に近づくことができるとともに、貫通材7及び8における当接部22及び23がキャップ台6の下面に当接されるまで、キャップ台6から離れることができる。また、後述する圧縮バネ9及び10の下面と当接部22及び23との間における、貫通材7及び8とキャップ台6との間には、微小な隙間(図示せず)が設けられており、これによりキャップ上部体18は、キャップ台6に対して傾くことができる。なお、この微小な隙間は、キャップ上部体18の傾きを許容できる程度の微小なものであればよい(例えば、インクジェットヘッドの長さが50mmであり、その最大の傾きが両端において0.5mmである場合、この傾きを許容するための隙間としては、圧縮バネ9及び10の下面からキャップ台6の下面までの長さが5mmであるなら、0.05mm程度の幅があればよい。すなわち隙間の幅は、インクジェットヘッドの長さに対する最大の傾きの割合から適宜設定すればよい。)。
【0052】
貫通材7及び8における、キャップ上部体18の下面から当接部22及び23までの長さは、キャップ上部体18が傾かずに支持部11と支持穴12とが嵌合され、当接されて固定されているときの、キャップ上部体18の下面からキャップ台6の下面までの長さよりも、所定の長さだけ長くなっている。これにより、当接部22及び23がキャップ台6の下面に当接されたときには、支持部11と支持穴12との間の距離が所定の長さとなり、隙間13が生じることとなる。
【0053】
このような構成により、キャップ上部体18は、キャップ台6の下面と貫通材7及び8の当接部22及び23とが当接するときには、上方向への移動が規制されている。また、貫通材7及び8によって、キャップ上部体18は、上述した微小な隙間による移動を除けば、左右方向への動きも規制されている。
【0054】
キャップ上部体18とキャップ台6との間における、貫通材7及び8の軸には、圧縮バネ(第1の弾性体)9及び10が設けられている。図1に示すように、圧縮バネ9及び10は、キャップ上部体18の下面と、キャップ台6の上面から貫通材7及び8の軸に沿って形成された溝との間に設けられ、キャップ上部体18およびキャップ台6の間を接続しており、キャップ上部体18とキャップ台6との距離を広げたり狭めたりする向き(上下方向)に弾性力を有している。
【0055】
なお、本発明における第1の弾性体は、上述した形態に限定されず、キャップ体および支持体の間を接続し、キャップ体と支持体との距離を広げたり狭めたりする向きに弾性力を有していれば、どのように設けられていてもよい。また、第1の弾性体は、上述した圧縮バネに限定されず、例えば弾力性を有したゴム材、板バネ等であってもよい。
【0056】
圧縮バネ9及び10は、当接部1を形成するゴムよりも小さいバネ定数を有するものであることが好ましい。すなわち、圧縮バネ9及び10は、当接部1を形成するゴムが有する弾性力より小さい弾性力を有していることが好ましい。また、圧縮バネ9及び10は、当接部1の上に荷重がかかっていないときには、キャップ上部体18を、貫通材7及び8における当接部22及び23がキャップ台6の下面に当接されるまで持ち上げることができる弾性力を有していることが好ましい。
【0057】
図6は、本実施形態において、当接部1の上に荷重がかかっていないときの支持部11と支持穴12との関係を示す断面図である。上述した構成により、本実施形態におけるキャップ機構は、当接部1の上にインクジェットヘッド14などの荷重がかかっていないときには、圧縮バネ9及び10の弾性力によって、キャップ上部体18がキャップ台6から持ち上げられ、貫通材7及び8における当接部22及び23がキャップ台6の下面に当接され、支持部11と支持穴12との間の距離が所定の長さとなり、隙間13が生じている。
【0058】
支持部11と支持穴12との間の距離における、所定の長さとは、上述したように、貫通材7及び8における当接部22及び23がキャップ台6の下面に当接されているときの、支持部11と支持穴12との間の距離であり、支持部11と支持穴12との間の距離のとりうる最大の長さである。この最大の長さ、すなわち貫通材7及び8によって規制される、支持部11と支持穴12との間の距離における所定の長さは、当接部1の両端における最大傾き量の1/2以上であることが好ましい。また、支持部11と支持穴12との間の距離は、当接部1の両端が最大傾き量において傾いているキャップ上部体18を押し込んだときに、キャップホルダ2とキャップ台6とが支持部11と支持穴12とのみで当接し、それ以外の場所では接触しないような長さであることが好ましい。傾き量とは、当接部1の両端それぞれにおける、キャップ台6からの距離の差である。また、当接部1の両端における最大傾き量とは、当接部1に当接されるノズル面21が、予想される最大の傾きで傾いて当接され、このノズル面21に沿って傾いたときの、当接部1の両端における傾き量であればよい。これにより、ノズル面21に予想される最大の傾きが生じた場合でも、確実に当接部1をノズル面21の傾きに沿って傾かせることができる。
【0059】
また、貫通材7及び8と、圧縮バネ9及び10とが設けられることによって、当接部1の上に荷重がかかっていないときには、支持部11と支持穴12との間の距離が所定の長さとなっている状態でキャップ上部体18の位置を固定できるので、キャップ上部体18の位置合わせを正確に行うことができ、したがって当接部1とノズル面21とを正確に当接することができる。
【0060】
なお、貫通材7及び8、ならびに圧縮バネ9及び10は、本実施形態においては2個ずつ設けられているが、本発明においては特に限定されず、1個ずつでもよいし、多数設けられていてもよい。貫通材及び圧縮バネが多数設けられている方が、キャップ体の位置合わせをより正確に行うことができるので、当接部1とノズル面21とをより正確に当接させることができるため、好ましい。
【0061】
上述した構成により、本実施形態におけるキャップ機構では、圧縮バネ9及び10が傾き補正専用の働きを担っており、さらに支持部11と支持穴12との間に隙間13が生じていることにより、当接部1を柔軟に傾かせることができる。したがって、当接部1に当接されるノズル面21が傾いているときにも、当接部1をノズル面21の傾きに沿って確実に傾かせることができる。
【0062】
また、当接部1をノズル面21の傾きに傾かせて当接させた後、ノズル面21により当接部1が押し込まれると、支持部11と支持穴12とが嵌合して当接することによって、キャップ上部体18が傾きを保ったままで姿勢を保持される。これにより、確実にノズル面21に当接部1を当接させることができる。
【0063】
さらにノズル面21により当接部1が押し込まれると、当接部1を形成するゴムの弾性変形によって、当接部1とノズル面21とがより密着される。これにより、当接部1とノズル面21との良好な密着性を確保することができる。したがって、インクジェットヘッド14の保湿効果を維持できるので、インクジェットヘッド14の性能を損なうことを防ぐことができる。
【0064】
また、キャップ機構の性能においては、当接部を傾かせるための弾性体のバネ定数の大きさは、当接部の変形防止、当接部に対する偏荷重、ひいてはインクジェットヘッドの保護に大きな影響を与えるので、綿密に設計されることが好ましい。例えば、本実施の形態のように、第1の弾性体の弾性力を第2の弾性体の弾性力より小さくするように設計することが好ましい。
【0065】
また、上述した特許文献1のように、キャップがキャップ本体部と弾性部とからなる一体成型である場合には、キャップを傾かせるための弾性部のバネ定数に不具合があった場合には再度成型から作り直さなければならない。しかし、本実施形態におけるキャップ機構であれば、キャップ上部体18と、これを傾かせるための圧縮バネ9及び10とを別々に準備することができるので、例えば圧縮バネ9及び10の弾性力が弱すぎるなどの不具合があった場合にも、圧縮バネ9及び10を取り替えるだけでよく、容易に製造できる。
【0066】
(キャップ機構の使用方法)
次に、上述したキャップ機構の使用方法について、図7及び図8を用いて説明する。
【0067】
図7は、本実施形態におけるキャップ機構に、インクジェットヘッド14を当接させる前の状態を示す図であり、図8は、本実施形態におけるキャップ機構に、傾いたインクジェットヘッド14を当接させた後の状態を示す図である。
【0068】
ここでは、当接されるインクジェットヘッド14は、図7及び図8に示すように、右側が低く傾いている。
【0069】
本実施形態における方法では、以下の工程を行うことにより、キャップ機構の当接部1とインクジェットヘッド14のノズル面21とを当接させる。
【0070】
まず、キャップ機構における当接部1にインクジェットヘッド14のノズル面21を当接させる工程を行う。
【0071】
この工程の前には、キャップ機構における支持部11と支持穴12との間に隙間13を生じさせておく。本実施形態においては、図7に示すように、キャップ上部体18は、圧縮バネ9及び10の弾性力によってキャップ台6から持ち上げられ、貫通材7及び8における当接部22及び23がキャップ台6の下面に当接され、これにより支持部11と支持穴12との間に隙間13が生じた状態となっている。
【0072】
このような状態のキャップ機構における当接部1に、右側が低く傾いたインクジェットヘッド14のノズル面21を当接させると、当接部1よりも小さい弾性力を有する圧縮バネ9及び10が弾性変形し、キャップ上部体18がインクジェットヘッド14におけるノズル面21の傾きに沿って傾く。このときには、当接部1を形成するゴムはほとんど変形しない。これにより、当接部1は、インクジェットヘッド14におけるノズル面21に均一に当接される。
【0073】
次に、ノズル面21を当接部1に押し込んで、支持部11と支持穴12とを嵌合させる工程を行う。
【0074】
この工程では、ノズル面21が当接部1に押し込まれると、図8に示すように、キャップ上部体18がノズル面21に沿って傾いた上で、圧縮バネ9及び10が圧縮して支持部11と支持穴12とが嵌合して当接され、キャップ上部体18の位置が固定される。
【0075】
次に、ノズル面21を当接部1にさらに押し込んで、当接部1を形成するゴムを圧縮させる工程を行う。
【0076】
この工程では、キャップ上部体18は、支持部11と支持穴12とが当接されていることにより、ノズル面21に沿って傾いた上で固定されている。この状態で、ノズル面21を当接部1にさらに押し込むと、キャップ上部体18及びキャップ台6の位置はこれ以上動かない。したがって当接部1を形成するゴムが圧縮される。これにより、ノズル面21が当接部1に密着される。
【0077】
本実施形態における方法によれば、キャップ上部体18をノズル面21に沿って傾かせて当接部1とノズル面21とを当接させたあとに、支持部11と支持穴12とを嵌合させて当接させることによってキャップ上部体18の位置を固定するので、当接部1に偏荷重をかけることなく当接部1とノズル面21とを密着させることができる。したがって、ノズル面21を確実に密閉することができるとともに、キャップ装置の耐久性を高めることができる。
【0078】
〔第2実施形態〕
本発明に係るキャップ機構の他の実施形態について、以下に説明する。本実施形態におけるキャップ機構は、第1実施形態における支持部11の代わりに、支持部材(支持部)15が圧縮バネ(第3の弾性体)17を介してキャップ台6に設けられている点のみが、第1実施形態と異なっており、他は第1実施形態と同様に構成されている。そこで、説明の便宜上、第1実施形態における部材と同様に構成された部材には同一の番号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、主に、第1実施形態との相違点について説明するものとする。
【0079】
(キャップ機構の構造)
まず、本実施形態におけるキャップ機構の構造について、図9〜図11を参照して説明する。図9は、本実施形態におけるキャップ機構の断面図である。なお、図9には、インクジェットヘッド14と当接される側を上にして示している。また、図10は、本実施形態におけるキャップ機構を側面から見た図であり、インクジェットヘッド14と当接される側が左になるよう回転した状態を示している。図11は、本実施形態において、当接部1の上に荷重がかかっていないときの支持穴12と支持部材15との関係を示す断面図である。
【0080】
本実施形態においては、図9〜図11に示すように、キャップ台6の上面に穴が形成されており、この穴にバネ受け16が設けられ、バネ受け16の上に圧縮バネ17を介して支持部材15が設けられている。
【0081】
支持部材15は、上側が半球状となっており、キャップホルダ2の下面に設けられた支持穴12に入って当接することにより、キャップ上部体18の位置を固定させる。支持部材15としては、第1実施形態に記載した支持部11の好ましい形状と同様のものを用いることができる。
【0082】
圧縮バネ17は、上下方向に伸縮するバネであり、これにより支持部材15のキャップ台6に対する高さを変えることができる。圧縮バネ17は、圧縮バネ9及び10よりも大きい弾性力を有するものであることが好ましく、当接部1を形成するゴムが有する弾性力と同程度の弾性力を有するものであることがより好ましい。なお、本発明における第3の弾性体は、上述した圧縮バネに限定されず、例えば弾力性を有したゴム材、板バネ等であってもよい。
【0083】
支持穴12と支持部材15との間の距離のとりうる最大値、すなわち貫通材7及び8によって規制される、支持穴12と支持部材15との間の距離における所定の長さについての好ましい構成は、第1実施形態に記載した、支持部11と支持穴12との間の距離における所定の長さについての好ましい構成と同じである。本実施形態においては、支持穴12と支持部材15との間の距離のとりうる最大値は、バネ受け16の高さによって調整されることができる。したがって、調整が必要ないときには、バネ受け16を設けなくてもよい。このように、バネ受け16の高さを調整することで、支持穴12と支持部材15との間の距離のとりうる最大値を容易に調整することができる。
【0084】
上述した構成により、支持部材15がキャップ台6に対して圧縮されることができるので、本実施形態におけるキャップ機構がインクジェットヘッド14に当接されたときに、インクジェットヘッド14の傾きに沿ってキャップ上部体18が傾き、支持穴12と支持部材15とが嵌合して当接した後に、さらにインクジェットヘッド14が押し込まれた場合、当接部1のみでなく、圧縮バネ17も圧縮される。したがって、当接部1にかかる力の感度を鈍らせることができ、インクジェットヘッド14の押し込み量が過大になった場合にも、その力を圧縮バネ17へと逃がすことができ、キャップ機構やインクジェットヘッド14の損傷を防ぐことができる。
【0085】
また、本実施形態におけるキャップ機構であれば、キャップする面積が広いインクジェットヘッド、例えば長尺ヘッド等に用いても、良好な密着性を得ることができる。キャップする面積が広いインクジェットヘッドをキャップする場合には、当接部1におけるインクジェットヘッド14と当接される面積が大きくなるため、少ない押し込み量でも、当接部1が変形する量が小さくなる代わりに、キャップ機構にかかる力が大きくなると予想される。また、押し込み量が微小に変化しただけでも、当接部1に大きな負荷がかかることが予想される。このような場合でも、本実施形態におけるキャップ機構であれば、上述したように当接部1にかかる力に対する感度を鈍らせることができるので、インクジェットヘッド14による押し込み量の設定を厳密に調整する必要がなく、インクジェットヘッド14をキャップ機構に押し込む際に必要な、押し込み量を調整するための部材にかかるコストを低減させることができる。
【0086】
(キャップ機構の使用方法)
次に、上述したキャップ機構の使用方法について、図12〜図14を用いて説明する。第1実施形態と同様に、キャップ機構の当接部1と、インクジェットヘッド14のノズル面21とを当接させる場合について説明する。
【0087】
図12は、本実施形態におけるキャップ機構に、インクジェットヘッド14を当接させる前の状態を示す図であり、図13は、本実施形態におけるキャップ機構に、傾いたインクジェットヘッド14を当接させ、支持穴12と支持部材15とが嵌合されて当接されるまで押し込んだ状態を示す図である。そして、図14は、本実施形態におけるキャップ機構に、インクジェットヘッド14を支持穴12と支持部材15とが嵌合されて当接されるまで押し込んだ後、さらに押し込んだ状態を示す図である。
【0088】
ここでは、当接されるインクジェットヘッド14は、図12〜14に示すように、右側が低く傾いている。
【0089】
本実施形態における方法では、以下の工程を行うことにより、キャップ機構の当接部1とインクジェットヘッド14のノズル面21とを当接させる。
【0090】
まず、キャップ機構における当接部1にインクジェットヘッド14のノズル面21を当接させる工程を行う。
【0091】
この工程により当接部1にノズル面21を当接させる前には、キャップ機構における支持穴12と支持部材15との間に隙間13を生じさせておく。本実施形態においては、図12に示すように、キャップ上部体18は、圧縮バネ9及び10の弾性力によってキャップ台6から持ち上げられ、貫通材7及び8における当接部22及び23がキャップ台6の下面に当接され、これにより支持穴12と支持部材15との間に隙間13が生じた状態となっている。
【0092】
このような状態のキャップ機構における当接部1に、右側が低く傾いたインクジェットヘッド14のノズル面21を当接させると、当接部1よりも小さい弾性力を有する圧縮バネ9及び10が弾性変形し、キャップ上部体18がインクジェットヘッド14におけるノズル面21の傾きに沿って傾く。このときには、当接部1を形成するゴムはほとんど変形しない。これにより、当接部1は、インクジェットヘッド14におけるノズル面21に均一に当接される。
【0093】
次に、ノズル面21を当接部1に押し込んで、支持部材15と支持穴12とを嵌合させる工程を行う。
【0094】
この工程では、ノズル面21が当接部1に押し込まれると、図13に示すように、圧縮バネ9及び10が圧縮して支持部材15と支持穴12とが嵌合して当接されて、キャップ上部体18の位置が固定される。
【0095】
次に、ノズル面21を当接部1にさらに押し込んで、当接部1を形成するゴムと、圧縮バネ17とを圧縮させる工程を行う。
【0096】
この工程では、支持部材15と支持穴12とが当接された状態で、ノズル面21を当接部1にさらに押し込むと、当接部1を形成するゴムと圧縮バネ17とが圧縮され、ノズル面21が当接部1に密着される。
【0097】
当接部1を形成するゴムが圧縮されることにより、当接部1とノズル面21とを確実に密着させることができるので、ノズル面21を密封することができる。
【0098】
また、圧縮バネ17が圧縮されることにより、当接部1にノズル面21を過剰な力によって押し込んでしまった場合でも、キャップ上部体18をキャップ台6側により近づけることができるので、キャップ機構及びインクジェットヘッド14の破損を防ぐことができる。
【0099】
さらにまた、圧縮バネ17が当接部1とともに圧縮されることにより、当接部1のみが圧縮される場合に比べて、当接部1にかかる力に対する感度を鈍らせることができる。また、圧縮バネ17と当接部1を形成するゴムとが同程度の弾性力を有していれば、圧縮バネ17により、より効率よく当接部1にかかる力に対する感度を鈍らせることができる。
【0100】
したがって、本実施形態であれば、第1実施形態において述べた効果が得られるとともに、さらに、インクジェットヘッド14の押し込み量の精度を調整できない場合でも、ノズル面21と当接部1との密着性を良好に保つことができる。また、インクジェットヘッド14の押し込み量が過大になった場合でも、圧縮バネ17が圧縮変形することにより、インクジェットヘッド14やキャップ機構の損傷を防止することができる。
【0101】
なお、本発明に係るキャップ機構が適用される装置は、上述したインクジェットヘッドに限らず、キャップされる被キャップ面を備えている装置であればよい。特に、液体を噴出する液体噴射装置の液体噴射ヘッドなどに本発明にかかるキャップ機構を適用すれば、液体噴射ヘッドの液体噴射面を密閉することができるので、液体噴射ヘッドの保湿効果を維持することができる。
【0102】
また、本発明に係るキャップ機構及びこれを用いる方法を用いれば、被キャップ面と当接部とが相対的に傾きを持っていても、これらにダメージを与えることなく、精度よく当接させることができる。したがって、本発明は、相対的に傾きを持つ2つの面を当接させる用途や、2つの部材を密着させる用途などにも好適に適用できる。
【0103】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明であれば、被キャップ面、特にキャップされる面積が大きい被キャップ面に対しても、被キャップ面と当接される当接部を、被キャップ面の傾きに沿って確実に傾かせ、偏荷重をかけることなく被キャップ面に確実に密着させることができるとともに、高い耐久性を有するキャップ機構を提供できるので、被キャップ面をキャップするための装置や、この装置を使用して製造されるものの製造などに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0105】
1 当接部
2 キャップホルダ
3 吸引穴
4 キャップホルダ底部
5 吸引継手
6 キャップ台(支持体)
7 貫通材(規制手段)
8 貫通材(規制手段)
9 圧縮バネ(第1の弾性体)
10 圧縮バネ(第1の弾性体)
11 支持部
12 支持穴(嵌合部)
13 隙間
14 インクジェットヘッド
15 支持部材(支持部)
16 バネ受け
17 圧縮バネ(第3の弾性体)
18 キャップ上部体(キャップ体)
21 ノズル面(被キャップ面)
22 当接部(支持体当接部)
23 当接部(支持体当接部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被キャップ面をキャップするキャップ機構であって、
上記被キャップ面に当接される当接部が設けられているキャップ体と、
上記キャップ体を支持するものであり、上記当接部とは反対側に位置する支持体と、
上記キャップ体および上記支持体の間を接続し、上記キャップ体および上記支持体の間の距離を広げたり狭めたりする向きに弾性力を有する第1の弾性体とを備え、
上記キャップ体の上記支持体側の面と、上記支持体の上記キャップ体側の面とのうち、一方には支持部が、他方には上記支持部と嵌合される嵌合部が設けられており、
上記当接部に上記被キャップ面が当接されていないときには、上記支持部と上記嵌合部との間に、第1の弾性体の弾性力により隙間が生じていることを特徴とするキャップ機構。
【請求項2】
上記当接部は、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第2の弾性体により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ機構。
【請求項3】
上記支持部は突起物であり、上記嵌合部は凹部であることを特徴とする請求項1または2に記載のキャップ機構。
【請求項4】
上記支持部は、突起の先端が半球状、またはピン形状であることを特徴とする請求項3に記載のキャップ機構。
【請求項5】
上記支持部は、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第3の弾性体を介して設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のキャップ機構。
【請求項6】
上記支持部と上記嵌合部との間の距離を所定の長さまでに規制する規制手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のキャップ機構。
【請求項7】
上記規制手段は、上記支持体を貫通して形成された貫通材により構成されており、
上記貫通材は、一端が上記キャップ体に接続され、他端には、上記支持体における上記キャップ体と反対側の面に当接される支持体当接部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のキャップ機構。
【請求項8】
被キャップ面に当接される当接部が設けられているキャップ体と、
上記キャップ体を支持するものであり、上記当接部とは反対側に位置する支持体と、
上記キャップ体および上記支持体の間を接続し、上記キャップ体および上記支持体の間の距離を広げたり狭めたりする向きに弾性力を有する第1の弾性体とを備え、
上記キャップ体の上記支持体側の面と、上記支持体の上記キャップ体側の面とのうち、一方には支持部が、他方には上記支持部と嵌合される嵌合部が設けられている、被キャップ面をキャップするキャップ機構を用いる方法であって、
上記支持部と上記嵌合部との間に第1の弾性体の弾性力により隙間を生じさせておき、上記当接部に上記被キャップ面を当接させる工程と、
上記被キャップ面を上記当接部に押し込んで上記支持部と上記嵌合部とを嵌合させる工程とを有することを特徴とする方法。
【請求項9】
上記当接部は、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第2の弾性体により構成されており、
上記支持部と上記嵌合部とを嵌合させた後に、上記被キャップ面を上記当接部にさらに押し込んで、第2の弾性体を圧縮させる工程をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記支持部は、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第3の弾性体を介して設けられており、
上記支持部と上記嵌合部とを嵌合させた後に、上記被キャップ面を上記当接部にさらに押し込んで、第3の弾性体を圧縮させる工程をさらに有することを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項1】
被キャップ面をキャップするキャップ機構であって、
上記被キャップ面に当接される当接部が設けられているキャップ体と、
上記キャップ体を支持するものであり、上記当接部とは反対側に位置する支持体と、
上記キャップ体および上記支持体の間を接続し、上記キャップ体および上記支持体の間の距離を広げたり狭めたりする向きに弾性力を有する第1の弾性体とを備え、
上記キャップ体の上記支持体側の面と、上記支持体の上記キャップ体側の面とのうち、一方には支持部が、他方には上記支持部と嵌合される嵌合部が設けられており、
上記当接部に上記被キャップ面が当接されていないときには、上記支持部と上記嵌合部との間に、第1の弾性体の弾性力により隙間が生じていることを特徴とするキャップ機構。
【請求項2】
上記当接部は、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第2の弾性体により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ機構。
【請求項3】
上記支持部は突起物であり、上記嵌合部は凹部であることを特徴とする請求項1または2に記載のキャップ機構。
【請求項4】
上記支持部は、突起の先端が半球状、またはピン形状であることを特徴とする請求項3に記載のキャップ機構。
【請求項5】
上記支持部は、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第3の弾性体を介して設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のキャップ機構。
【請求項6】
上記支持部と上記嵌合部との間の距離を所定の長さまでに規制する規制手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のキャップ機構。
【請求項7】
上記規制手段は、上記支持体を貫通して形成された貫通材により構成されており、
上記貫通材は、一端が上記キャップ体に接続され、他端には、上記支持体における上記キャップ体と反対側の面に当接される支持体当接部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のキャップ機構。
【請求項8】
被キャップ面に当接される当接部が設けられているキャップ体と、
上記キャップ体を支持するものであり、上記当接部とは反対側に位置する支持体と、
上記キャップ体および上記支持体の間を接続し、上記キャップ体および上記支持体の間の距離を広げたり狭めたりする向きに弾性力を有する第1の弾性体とを備え、
上記キャップ体の上記支持体側の面と、上記支持体の上記キャップ体側の面とのうち、一方には支持部が、他方には上記支持部と嵌合される嵌合部が設けられている、被キャップ面をキャップするキャップ機構を用いる方法であって、
上記支持部と上記嵌合部との間に第1の弾性体の弾性力により隙間を生じさせておき、上記当接部に上記被キャップ面を当接させる工程と、
上記被キャップ面を上記当接部に押し込んで上記支持部と上記嵌合部とを嵌合させる工程とを有することを特徴とする方法。
【請求項9】
上記当接部は、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第2の弾性体により構成されており、
上記支持部と上記嵌合部とを嵌合させた後に、上記被キャップ面を上記当接部にさらに押し込んで、第2の弾性体を圧縮させる工程をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記支持部は、第1の弾性体が有する弾性力より大きい弾性力を有する第3の弾性体を介して設けられており、
上記支持部と上記嵌合部とを嵌合させた後に、上記被キャップ面を上記当接部にさらに押し込んで、第3の弾性体を圧縮させる工程をさらに有することを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−221677(P2010−221677A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74756(P2009−74756)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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