説明

キャップ

【課題】開封済みか否かを簡単に見分けることが可能なキャップを提供する。
【解決手段】容器の注出口に取り付けられるキャップは、キャップ本体11を備える。連結部13を介して、キャップ本体11と接続されるリング15を備える。キャップ本体11と、リング15の少なくとも一方は、空気通路11bと、空気通路11bに設けられ自身と接触する空気に含まれる特定の物質の濃度に応じて色が変化する検知剤11cと、検知剤11cの色の変化が外部から見える位置に配置された窓11dを有し、キャップ本体11とリング15とが連結部13を介して接続されている間は、空気通路11bは、連結部13によって封止され、キャップ本体11とリング15との連結部13を介した接続状態が解除されると、空気通路11bの封止状態が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の注出口に取り付けられるキャップに関し、特に、不正開封防止機能を有するキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1などで、不正開封防止機能を有するキャップが提案されている。かかるキャップは、開封時に、キャップ本体とリングとの連結部を介した接続状態が解除される。一度連結部を介した接続状態が解除されると、再度キャップ本体を注出口に取り付けても、キャップ本体とリングとの間に隙間が生じる。このため、よく見れば、キャップ本体が開封済みのものであるかどうかを知ることは出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−285208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、その隙間は大きいものではなく、注意してみなければ開封済みであることを気づかないことも考えられる。
【0005】
したがって本発明の目的は、開封済みか否かを簡単に見分けることが可能なキャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る容器の注出口に取り付けられるキャップは、キャップ本体と、連結部を介して、キャップ本体と接続されるリングとを備え、キャップ本体と、リングの少なくとも一方は、空気通路と、空気通路に設けられ自身と接触する空気に含まれる特定の物質の濃度に応じて色が変化する検知剤と、検知剤の色の変化が外部から見える位置に配置された窓を有し、キャップ本体とリングとが連結部を介して接続されている間は、空気通路は、連結部によって封止され、キャップ本体とリングとの連結部を介した接続状態が解除されると、空気通路の封止状態が解除される。
【0007】
空気通路が連結部によって封止されると、空気通路の内部における空気の変化は無いため、検知剤の色に変化はない。連結部による封止が解除されて開放されると、空気通路に空気が流れ、検知剤の色が変化する。検知剤の色は、窓を介して視認することが可能であるため、検知剤の色の変化を見ることにより、キャップ本体とリングとの接続状態が解除されたことを簡単に確認することが可能になる。
【0008】
好ましくは、窓の周囲は、接続状態が解除された後における、窓を介して見える検知剤の色に比べて、接続状態が解除される前における、窓を介して見える検知剤の色に近い。
【0009】
これにより、検知剤の色が変化した時に、キャップ本体の色との差異を視認しやすくなる。
【0010】
さらに好ましくは、窓は、開封済みであることを示す情報に関する形状を有する。
【0011】
これにより、色だけでなく、文字の情報でも開封済みであることを視認することが可能になる。
【0012】
また、好ましくは、検知剤は、酸素濃度に応じて色が変化する酸素検知剤である。
【0013】
また、好ましくは、リングが注出口に取り付けられた状態で残され、キャップ本体が注出口から取り外されることにより、接続状態が解除される。
【0014】
また、好ましくは、空気通路における特定の物質の濃度が低い状態で、連結部による空気通路の封止が行われる。
【0015】
これにより、封止の解除前と解除後とで、空気通路における特定の物質の濃度の変化度合いが大きくなり、検知剤の色変化が視認しやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明によれば、開封済みか否かを簡単に見分けることが可能なキャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1状態におけるキャップと注出口の位置関係を示す斜視図である。
【図2】第1状態におけるキャップと注出口の位置関係を示す断面図である。
【図3】第2状態におけるキャップと注出口の位置関係を示す斜視図である。
【図4】第2状態におけるキャップと注出口の位置関係を示す断面図である。
【図5】第3状態におけるキャップと注出口の位置関係を示す斜視図である。
【図6】第3状態におけるキャップと注出口の位置関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。本実施形態における不正開封防止機能付きのキャップ10は、キャップ本体11、キャップ本体11の下部に設けられキャップ本体11から切断可能な複数の連結部13、連結部13を介してキャップ本体11と接続されているリング15を有し、ペットボトルなどの飲料を収容する容器の注出口50に取り付けられる。
【0019】
キャップ本体11は、注出口50の口部の外周面にある外ネジ部51に対応した内ネジ部11a、キャップ本体11の下部から上面にかけて内部に設けられた複数の空気通路11b、キャップ本体11の上面で且つ空気通路11bに設けられた酸素検知剤11c、及び酸素検知剤11cの色の変化が外部から見えるようにキャップ本体11の上部に設けられた窓(透過部材)11dを有する。なお、図1、図3、図5では、キャップ本体11の内部に設けられており、実際には外部からは見えない空気通路11b、及び酸素検知剤11cを点線で示す。
【0020】
リング15は、リング内周側に係止手段として複数の係止フラップ15aを有する。係止フラップ15aはリング15の下縁部からリング15の中心に向けて張り出している。
【0021】
注出口50に取り付けられる前は、キャップ本体11とリング15とが、連結部13を介して接続している(第1状態、図1、図2参照)。
【0022】
キャップ本体11とリング15とが連結部13を介して接続した状態で、口部回りのキャップ取り付け方向に回転させると、キャップ本体11の内ネジ部11aが、注出口50の外ネジ部51に係合し、キャップ10が注出口50に取り付けられる(第2状態、図3、図4参照)。
【0023】
取り付け後、キャップ本体11を、口部回りのキャップ取り外し方向に回転させると、連結部13を介して接続されたリング15もキャップ本体11と一緒に注出口50から取り外される方向に回転するが、係止フラップ15aが、注出口50から径方向に突出したリブ53に係止し、係止後も、キャップ本体11のキャップ取り外し方向の回転を続けると、連結部13がキャップ本体11から切断され、キャップ本体11だけが注出口50から取り外され、連結部13とリング15は注出口50に取り付けられた状態で残される(第3状態、図5、図6参照)。
【0024】
次に、空気通路11b、酸素検知剤11c、及び窓11dの詳細について説明する。
【0025】
空気通路11bは、キャップ本体11の下部からキャップ本体11の内部に空気を取り入れる通路であり、キャップ本体11とリング15とが連結部13を介して接続されている(第1状態、第2状態)間は、空気通路11bは、連結部13によって封止される。
【0026】
キャップ11の製造工程において、空気通路11bを真空状態にする、あるいは空気通路11bに窒素を充填するなど、空気通路11b内の酸素濃度が低い状態で、連結部13による空気通路11bの封止が行われるのが望ましい。この場合、封止の解除前と解除後とで、空気通路11bにおける酸素濃度の変化度合いが大きくなり、酸素検知剤11cの色変化が視認しやすくなる。
【0027】
リング15が注出口50に取り付けられた状態で残され、キャップ本体11が注出口50から取り外されることにより、キャップ本体11とリング15との連結部13を介した接続状態が解除されると(第3状態)、空気通路11bの下部の封止状態が解除され、下部から空気通路11bを通って空気が流れる状態になる。特に、製造工程において、空気通路11bを真空状態にした状態で連結部13による封止が行われると、封止状態の解除により、圧力差で、空気通路11bに空気が流れやすくなる。
【0028】
酸素検知剤11cは、自身と接触する空気に含まれる酸素の濃度に応じて色が変化する。例えば、シクロデキストリン類、可逆変色性有機色素、及び還元剤を含む構成が挙げられる。第1状態、第2状態では、端部(下部)が連結部13によって封止されているため、空気通路11bの内部における空気の酸素濃度の変化は無い。第3状態では、端部(下部)の連結部13による封止が解除されて開放されているため、空気通路11bに空気が流れ、空気通路11bの内部における空気の酸素濃度が変化し、酸素検知剤11cの色が変化する。酸素検知剤11cの色は、窓11dを介して視認することが可能である。
【0029】
図1、図3では、例として、色変化前の酸素検知剤11cを白色で示し、図5では、色変化後の酸素検知剤11cを灰色で示し、窓11dから見える領域は更に斜線を付けた状態で示す。
【0030】
キャップ本体11とリング15とは、一度連結部13を介した接続が切れると、キャップ本体11を注出口50に取り付けても、キャップ本体11とリング15との間に隙間が生じる。このため、よく見れば、キャップ本体11が開封済みのものであるかどうかを知ることは出来る。
【0031】
しかしながら、その隙間は大きいものではなく、注意してみなければ開封済みであることを気づかないことも考えられる。これに対して、本実施形態では、キャップ本体11の上面に設けられた窓11dから見える酸素検知剤11cの色状態(色の変化)を見れば、開封済みか否かを簡単に見分けることが可能になる。
【0032】
なお、封止解除後との酸素濃度の差を大きくして酸素検知剤11cの色の変化度合いを大きくするため、製造工程における連結部13による封止は、空気通路11b内の酸素濃度が低い状態で行われるのが望ましい。
【0033】
また、酸素検知剤11cの色が変化した時に、キャップ本体11の上面の色との差異を視認しやすくするために、キャップ本体11における窓11dの周囲は、キャップ本体11とリング15との連結部13を介した接続状態が解除された後における、窓11dを介して見える酸素検知剤11cの色に比べて、キャップ本体11とリング15との連結部13を介した接続状態が解除される前における、窓11dを介して見える酸素検知剤11cの色に近いことが望ましい。例えば、キャップ本体11の上面(窓11dの周囲)を、第1状態における酸素検知剤11cとほぼ同じ色にする。
【0034】
また、窓11dは、図1〜図6に示すように、丸型形状など、キャップの開閉状態と関連しない形状であってもよいが、開封済みであることを示す文字(例えば“開”の文字)や記号の形状を有する形態であってもよい。この場合、色だけでなく、文字でも開封済みであることを視認することが可能になる。
【0035】
また、酸素検知剤11cや窓11dをキャップ本体11の上面に設ける形態を説明したが、キャップ本体11の側面に設ける形態であってもよい。
【0036】
また、空気通路11b、酸素検知剤11c、及び窓11dを、リング15に設ける形態であってもよい。この場合は、連結部13は、リング15から切断可能な状態にされ、キャップ本体11とリング15との連結部13を介した接続状態が解除された時に、連結部13とリング15との接続が切れ、連結部13による空気通路11bの封止状態が解除される。
【0037】
また、酸素濃度に応じて色が変化する酸素検知剤11cに代えて、他の物質の濃度に応じて色が変化する検知剤を用いる形態であってもよい。この場合、連結部13による空気通路11bの封止の解除前と解除後とで検知剤で検知する物質の濃度が大きく変化するように、製造工程における空気通路11bに充填する気体を考慮する(真空状態であってもよい)。
【符号の説明】
【0038】
10 キャップ
11 キャップ本体
11a 内ネジ部
11b 空気通路
11c 酸素検知剤
11d 窓
13 連結部
15 リング
15a 係止フラップ
50 注出口
51 外ネジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ本体と、
連結部を介して、前記キャップ本体と接続されるリングとを備え、
前記キャップ本体と、前記リングの少なくとも一方は、空気通路と、前記空気通路に設けられ自身と接触する空気に含まれる特定の物質の濃度に応じて色が変化する検知剤と、前記検知剤の色の変化が外部から見える位置に配置された窓を有し、
前記キャップ本体と前記リングとが前記連結部を介して接続されている間は、前記空気通路は、前記連結部によって封止され、前記キャップ本体と前記リングとの前記連結部を介した接続状態が解除されると、前記空気通路の封止状態が解除されることを特徴とする、容器の注出口に取り付けられるキャップ。
【請求項2】
前記窓の周囲は、前記接続状態が解除された後における、前記窓を介して見える前記検知剤の色に比べて、前記接続状態が解除される前における、前記窓を介して見える前記検知剤の色に近いことを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記窓は、開封済みであることを示す情報に関する形状を有することを特徴とする請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記検知剤は、酸素濃度に応じて色が変化する酸素検知剤であることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項5】
前記リングが前記注出口に取り付けられた状態で残され、前記キャップ本体が前記注出口から取り外されることにより、前記接続状態が解除されることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項6】
前記空気通路における前記特定の物質の濃度が低い状態で、前記連結部による前記空気通路の封止が行われることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−163180(P2010−163180A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5601(P2009−5601)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(502181595)株式会社 ゼネテック (19)
【Fターム(参考)】