説明

キャパシタ、キャパシタの製造方法、及び、キャパシタの使用方法

【課題】ハイレートな充放電が可能でしかも大きな静電容量を有するキャパシタを提供する。
【解決手段】本発明のキャパシタは、少なくとも対向する分極性電極、基材、及び、電解液から形成されるキャパシタであって、前記分極性電極が、前記基材との界面を備え、前記分極性電極が、金属電極であり、前記分極性電極の負極が、前記基材との界面において、前記負極に含まれる金属成分と、前記電解液中に含まれるリチウムイオン及び/又はリチウムから形成されるリチウム合金を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも分極性電極、基材、及び、電解液から形成されるキャパシタ、キャパシタの製造方法、及び、キャパシタの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシタは、コンデンサまたは蓄電器(キャパシタ)と呼ばれ、電極間に電荷を貯える装置あるいは回路素子である。キャパシタは、近年、パソコンや携帯端末等のメモリのバックアップ用電源としての用途を初め、瞬時の停電対応用電源、または太陽電池と組み合わせたソーラー発電エネルギー貯蔵システム等の用途に用いることができるために注目されている。
【0003】
キャパシタに用いられる電極には、主に、金属電極と炭素電極が存在する。炭素電極は、活性炭等の炭素材料を用いた電極であり、比表面積が大きいため、静電容量の大容量化に適している。しかし、粉末化した炭素材料を混練して使用するため、粉体を取り扱う必要があり、取り扱いが難しく、作業性に欠ける。
【0004】
また、電極が炭素材料から形成される場合、金属板等の集電体を必要とすることとなる。また、集電体を用いないキャパシタとするためには、ボタン型とするなど形状が限定されてしまい、キャパシタ形状の設計の自由度が減り、各種用途により所望の形状とすることができない問題が生じる。
【0005】
さらに、炭素材料からなる電極ごとに集電体を用いた場合には、集電体の厚さの分だけキャパシタが厚くなり、薄型化することができない問題が生じる。そのため、キャパシタに用いられる電極には、集電体を必要としない、金属電極を用いることが好ましい。
【0006】
前記金属電極を用いたキャパシタ(コンデンサ)には、高分子薄膜上に金属電極を形成した高分子フィルムコンデンサが開示されている(例えば、特許文献1参照)。前記高分子フィルムコンデンサは、面積1cmにおいて、厚さ0.35〜0.41μmの静電容量が、0.015〜0.02μFであり、厚さ0.8〜1.8μmの静電容量が、25〜40μFであり、これらの静電容量では、実用化するには、十分ではなく、更なる静電容量の向上が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−8153号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、キャパシタの構成について鋭意検討した結果、下記のキャパシタを用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明のキャパシタは、少なくとも対向する分極性電極、基材、及び、電解液から形成されるキャパシタであって、前記分極性電極が、前記基材との界面を備え、前記分極性電極が、金属電極であり、前記分極性電極の負極が、前記基材との界面において、前記負極に含まれる金属成分と、前記電解液中に含まれるリチウムイオン及び/又はリチウムから形成されるリチウム合金を有することを特徴とする。
【0010】
本発明のキャパシタは、更に 前記基材が、イオン交換性を有する層状無機化合物を含有することが好ましい。
【0011】
本発明のキャパシタは、前記基材の対向する表面に、前記層状無機化合物により形成される対向する層状無機化合物分散層を有することが好ましい。
【0012】
本発明のキャパシタは、前記対向する層状無機化合物分散層が、それぞれ同種のイオン交換性を有する層状無機化合物を含有することが好ましい。
【0013】
本発明のキャパシタは、前記基材が、多孔性基材であることが好ましい。
【0014】
本発明のキャパシタは、前記基材が、高分子電解質であることが好ましい。
【0015】
本発明のキャパシタは、前記高分子電解質が、イオン交換樹脂であることが好ましい。
【0016】
本発明のキャパシタは、比容量が、10F/cm以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のキャパシタ。
【0017】
本発明のキャパシタの製造方法は、前記金属錯体が吸着した基材に、還元剤溶液を接触させて金属を析出させて、分極性電極を形成する工程と、前記分極性電極に電圧を印加し、前記電解液中に含まれるリチウムイオン及び/又はリチウムと、前記金属電極に含まれる金属成分とにより形成されるリチウム合金を含有する分極性電極の負極を形成する工程と、を含むことが好ましい。
【0018】
本発明のキャパシタの製造方法は、更に、前記分極性電極を形成する工程において、あらかじめ、前記基材表面に、層状無機化合物を分散させて、層状無機化合物分散層を形成する工程を含み、前記層状無機化合物分散層に、金属錯体を吸着させる工程と、前記金属錯体が吸着した層状無機化合物分散層に、還元剤溶液を接触させて金属を析出させて、分極性電極を形成する工程と、を含むことが好ましい。なお、本発明において、金属錯体の吸着とは、金属錯体や、金属キレートの吸着を意味する。
【0019】
本発明のキャパシタの製造方法は、前記層状無機化合物が、金属コロイドを吸着させたものであることが好ましい。なお、前記金属錯体は、金属コロイドの前駆物質を意味する。
【0020】
本発明は、前記キャパシタの使用方法であって、前記分極性電極に、前記電解液の分解電圧以上の電圧を印加して、前記分極性電極の負極に、負極活物質を形成・蓄積させる操作と、前記分極性電極の負極の余剰の負極活物質を放電させる操作と、前記放電させる操作後に、前記電解液の分解電圧以下の電圧で充電を行ない、更に、放電する操作を含み、前記負極活物質が、前記リチウムイオン及び/又はリチウムから形成されるリチウム合金であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のキャパシタは、電解液中の電解質塩(例えば、リチウムイオン等)のインターカレーション及び脱インターカレーションの効果により、静電容量が非常に大きく、瞬時の停電の際におけるバックアップ用電源などとして広く用いることができる。しかも、金属電極を備えているため、集電体を用いる必要がなく、部品の数も少なくてすみ、薄型化及び小型軽量化が容易であり、有用であるまた、本発明のキャパシタの製造方法を用いることにより、前記キャパシタを得ることができ、有用である。更に、本発明のキャパシタの使用方法を用いることにより、静電容量(蓄電量)が飛躍的に向上し、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】基材の対向する表面に、金電極を形成したキャパシタの厚さ方向の断面について、走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影されたSEM写真の図(×500倍)。
【図2】基材の対向する表面に層状無機化合物分散層を形成した後、金電極を形成したキャパシタの厚さ方向の断面について、走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影されたSEM写真の図(×1000倍)。
【図3】リチウム含有負極形成(直流電解)後の充放電の繰り返し特性。
【図4】リチウム含有負極形成(繰り返し充放電)後の放電特性。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<キャパシタの製造方法>
本発明のキャパシタは、少なくとも対向する分極性電極、基材、及び、電解液から形成されるキャパシタであって、前記分極性電極が、前記基材との界面を備え、前記分極性電極が、金属電極であり、前記分極性電極の負極が、前記基材との界面において、前記負極に含まれる金属成分と、前記電解液中に含まれるリチウムイオン及び/又はリチウムから形成されるリチウム合金を有することを特徴とする。更に前記基材が、イオン交換性を有する層状無機化合物を含有することが好ましい。また、本発明のキャパシタの製造方法は、前記金属錯体が吸着した基材に、還元剤溶液を接触させて金属を析出させて、分極性電極を形成する工程と、前記分極性電極に電圧を印加し、前記電解液中に含まれるリチウムイオン及び/又はリチウムと、前記金属電極に含まれる金属成分とにより形成されるリチウム合金を含有する分極性電極の負極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。更に、前記分極性電極を形成する工程において、あらかじめ、前記基材表面に、層状無機化合物を分散させて、層状無機化合物分散層を形成する工程を含み、前記層状無機化合物分散層に、金属錯体を吸着させる工程と、前記金属錯体が吸着した層状無機化合物分散層に、還元剤溶液を接触させて金属を析出させて、分極性電極を形成する工程と、を含むことが好ましい。前記製造方法については、以下に詳細に説明する。
【0024】
<基材>
本発明のキャパシタに用いられる基材としては、分極性電極を界面に形成できるものであれば特に限定されないが、前記基材は、多孔性基材であってもよい。前記多孔性基材を用いることにより、基材表面だけでなく、基材内部にまで、層状無機化合物分散層を形成することができ、更に、金属錯体溶液や還元剤溶液を、基材の内部にまで、接触・浸透させることができ、分極性電極(金属電極)を基材の内部にまで形成でき、好ましい態様となる。
【0025】
前記多孔性基材としては、特に限定されることなく、使用することができる。たとえば、セルロース系基材や、ポリプロピレン系基材、ポリエステル系基材等をあげることができる。
【0026】
また、前記基材が、高分子電解質であることがより好ましい態様である。前記高分子電解質は、金属錯体(金属コロイド)を吸着することができる。また、高分子電解質から形成されたシート基材等は、空隙(多孔性あり)を有し、層状無機化合物を用いる場合に、前記層状無機化合物が表面だけでなく内部にまで、浸入(浸透)でき、基材表面及び基材内部にまで、層状無機化合物分散層を形成することができる点で、好ましい。また、前記高分子電解質としては、金属錯体を十分に吸着させるために、イオン交換樹脂を用いることがより好ましくは、フッ素系イオン交換樹脂や、炭化水素系イオン交換樹脂などを用いることが特に好ましくは、フッ素系イオン交換樹脂を用いることが更に好ましい態様である。前記フッ素系イオン交換樹脂は、特に限定されるものではなく、公知の樹脂を用いることができ、スルホン酸基や、カルボキシル基などの親水性官能基を導入したものを用いることができる。前記フッ素系イオン交換樹脂の具体例としては、パーフルオロカルボン酸樹脂、パーフルオロスルホン酸樹脂を用いることができ、例えばNafion樹脂(パーフルオロスルホン酸樹脂、DuPont社製)、フレミオン(パーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂、旭硝子社製)を用いることができる。前記イオン交換樹脂は、電解液中に含まれる電解質塩(イオン)を選択する自由度が大きく、用途や特性に応じた組み合わせの幅を広げることができることから、陽イオン交換樹脂であることがより好ましい。なお、前記高分子電解質は、無電解メッキ処理方法により得られるキャパシタとして、適した形状の高分子電解質成形品を用いることができ、膜状、板(シート)状、筒(円筒)状、柱状や管状等の所望の形状を用いることができる。
【0027】
前記イオン交換樹脂が、フッ素系のイオン交換樹脂であるパーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂である場合には、これらパーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂のイオン交換容量として、1.0〜1.8meq/gのものを用いることが好ましく、より好ましくは、1.2〜1.6meq/gである。前記範囲内にあるフッ素系イオン交換樹脂を用いることにより、静電容量と素子としての造膜特性、及び、メッキ特性(適性)に優れ、有用である。
【0028】
<層状無機化合物分散層の形成工程>
本発明のキャパシタの製造方法は、基材表面に、あらかじめ、層状無機化合物を分散させて、層状無機化合物分散層を形成する工程を含むことが好ましい。
【0029】
前記層状化合物としては、イオン交換性を有するものを用いる。層状無機化合物がイオン交換性を有することにより、前記層状無機化合物分散層や、層状無機化合物分散層の層間において、金属錯体(金属コロイド)等のカチオン種(ノ二オン種)を吸着・保持することができ、後に金属電極を形成できるため、有用である。また、層状であるため、層間に電解液中の電解質塩(例えば、リチウムイオン等)が、インターカレーション及び脱インターカレーションを容易に行うことができるため、従来品に比べて、より大きな静電容量を得ることができ、有用である。
【0030】
前記イオン交換性を有する層状無機化合物としては、特に限定されることなく、使用することができる。たとえば、代表的には、モンモリロナイト群鉱物等が挙げられる。モンモリロナイト群鉱物は、次の一般式
(X、Y)2〜3410(OH)2・mH2O・(W1/3)
〔ただし、X=Al、Fe(III)、Mn(III)、Cr(III)、Y=Mg、Fe(II)、Mn(II)、Ni、Zn、Li、Z=Si、Al、W=K、Na、Caであり、H2Oは層間水、mは整数を表す。〕
で表される3層構造の粘土鉱物である。XとYの組合せと置換数の違いによりモンモリロナイト、マグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイト、バイデライト、アルミニアンバイデライト、ノントロナイト、アルミニアンノントロナイト、サポナイト、アルミニアンサポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト等の多くの種類が存在するが、これら天然物の他に上記式中のOH基が、フッ素で置換された合成品も入手可能である。前記モンモリロナイト群鉱物の他にも、ナトリウムシリシックマイカ、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライト等の雲母群鉱物、リン酸ジルコニウム、タングステン酸化合物等を使用できる。特に、コスト性の観点から、粘土系層状無機化合物等を用いることが好ましい態様である。
【0031】
前記基材表面及び基材内部に、層状無機化合物を分散させて、層状無機化合物分散層を形成する方法としては、特に限定されないが、たとえば、適当な基材(表面)上に、結着剤と共に前記層状無機化合物を含有した溶液を直接塗布する方法、あるいは基材を含浸させる方法等により形成することができる。なお、前記結着剤としては、たとえば、フッ素系や炭素系の溶解型高分子電解質等をあげることができる。前記含浸させる方法においては、使用する基材(高分子電解質等)自体が、結着剤の役割も果たすものと推測される。
【0032】
<膨潤(前処理)工程>
また、本発明のキャパシタの製造方法において、基材(及び層状無機化合物分散層)を、少なくともアルコール類を含む溶媒により膨潤させる工程を含んでもよい。前記基材(及び無機化合物分散層)に、少なくともアルコール類を含む溶媒を浸透させることにより、膨潤した前記基材(及び層状無機化合物分散層)を得ることができる。また、前記膨潤工程を経ることにより、無電解メッキ処理等により、基材(及び層状無機化合物分散層)に金属錯体を吸着工程において、金属錯体が前記基材等の表面から、内部(層間も含む)へ吸着・浸透しやすくなり、また、還元工程においても、還元剤溶液中の還元剤が、基材等の表面から、内部へと吸着・浸透しやすくなると考えられる。特に、従来のイオン交換樹脂などの高分子電解質を基材として用いる場合には、膨潤することにより、高分子電解質中に、層状無機化合物を用いる場合には、前記層状無機化合物を浸透させやすくすることができ、また、層状無機化合物分散層を形成した後においては、層間が広げたり(膨潤)、縮めたりすることができ、層状無機化合物分散層の構造を調整することができ、有用である。
【0033】
なお、前記膨潤した状態での基材(及び層状無機化合物分散層)の厚さを、前記基材(及び無機層状化合物分散層)の乾燥した状態での厚さに対して、30%以上とする膨潤が好ましく、より好ましくは、50%以上である。前記膨潤工程を経ることにより、無電解メッキ処理の吸着工程において、金属錯体が前記基材(及び層状無機化合物分散層)の表面から、内部(層間)へ吸着しやすくなり、また、還元工程においても、還元剤溶液中の還元剤が、基材(及び層状無機化合物分散層)の表面から、内部へと吸着しやすくなると考えられる。
【0034】
前記膨潤工程は、温度及び浸漬時間等の条件が特に限定されるものではないが、温度20℃以上であることが効率よく膨潤するために好ましく、より好ましくは、30℃以上であり、特に好ましくは、40〜50℃である。
【0035】
前記膨潤工程を経て還元工程行った場合、上述のように金属錯体が基材等内部(層間を含む)に入り込み、これが還元工程により金属微粒子となり、図2に示すように、倍率1000倍のSEM写真でも、細部を観察することができない程度の金属微粒子(1μm以下)がお互い繋がることにより、金属電極が基材上及び基材内部に形成されるものである。本発明のキャパシタは、このようにして基材上及び基材内部に金属電極が形成されるのであるから、金属電極と基材の界面は必ずしも明確なものではなく、基材外側付近に金属成分がリッチな領域があり、基材の中心に向かうにつれ、段階的に基材成分がリッチになる構造をとりうる。すなわち本発明のキャパシタにおける金属電極とは、基材上及び基材表面に明確な金属電極が層として存在している必要はなく、少なくとも基材外側近辺に存在する金属が互いに繋がることにより、電極として使用可能な通電性の良い部分が形成されていることで足りるものである。従って本発明のキャパシタでは、金属電極と基材とが目視による明確な界面を持たない構造であって、基材としての抵抗値を有する基材部分が、金属を主成分として含み、電極として使用可能な通電性の良い部分で両側から挟まれた構造をとることもできる。
【0036】
前記膨潤溶媒としては、基材(及び層状無機化合物分散層)を良く膨潤させることができれば、特に制限されないが、少なくともアルコール類を含有することが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ジエチレングリコール、グリセリン、N-メチルホルムアミド、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレンカーボネート等を用いることがより好ましい態様である。特に、基材として、パーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂などのフッ素系イオン交換樹脂を用いる場合に、メタノール及び/又はエタノール、またはメタノール及び/又はエタノールを含み、更に他の溶媒を含む混合溶媒を浸透させて、前記基材等(例えば、イオン交換樹脂)を膨潤させることが好ましい。これらの溶媒は、膨潤がしやすく、取り扱いが容易であり、作業性が良好である。
【0037】
前記膨潤工程において、膨潤した前記基材等を得る方法としては、少なくともアルコール類を含む溶媒中に、基材等(層状無機化合物分散層を含む場合もある。)を、浸漬させる方法を用いてもよく、また、前記溶媒を基材表面に塗布する方法を用いても良いが、基材を浸漬させる方法を用いることが、作業性が容易なため、好ましい。
【0038】
<無電解メッキ処理工程>
本発明のキャパシタの製造方法は、前記金属錯体が吸着した基材に、還元剤溶液を接触させて金属を析出させて、分極性電極を形成する工程と、前記分極性電極に電圧を印加し、前記電解液中に含まれるリチウムイオン及び/又はリチウムと、前記金属電極に含まれる金属成分とにより形成されるリチウム合金を含有する分極性電極の負極を形成する工程と、を含むことが好ましい。更に、前記分極性電極を形成する工程において、あらかじめ、前記基材表面に、層状無機化合物を分散させて、層状無機化合物分散層を形成する工程を含み、前記層状無機化合物分散層に、金属錯体(及び/又は金属キレート)を吸着させる工程と、前記金属錯体が吸着した基材及び層状無機化合物分散層に、還元剤溶液を接触させて金属を析出させて、分極性電極を形成する工程と、を含むことが好ましい。
【0039】
<吸着工程>
本発明のキャパシタの製造方法における吸着工程は、金属錯体溶液を基材に塗布してもよいが、基材を金属錯体溶液に浸漬(含浸)させることにより行えば、作業が容易であるために好ましい。
【0040】
前記吸着工程は、基材に金属錯体を吸着させる工程であれば、温度及び浸漬時間等の条件が特に限定されるものではないが、温度20℃以上であることが効率よく膨潤するために好ましく、より好ましくは、30℃以上であり、特に好ましくは、35〜55℃である。また、前記吸着工程は、金属錯体が基材中へ容易に吸着させるために、金属錯体溶液中に、膨潤工程において用いられるアルコール類を含む溶媒を含んでいても良い。ここで、前記吸着工程の金属錯体溶液は、還元されることにより形成される金属層が金属電極として機能することができる金属錯体を含むものであれば、特に限定されるものではない。たとえば、フェナントロリン金属錯体、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート剤を用いたキレート化金属錯体等が挙げられる。また前記金属錯体は、導電性を確保できる金属であって、無電解メッキ方法として用いることができる金属錯体であれば、特に限定されるものではない。
【0041】
<還元工程・電極形成工程>
本発明の還元工程は、前記吸着工程により基材(及び層状無機化合物分散層)に吸着された金属錯体に、還元剤溶液を接触させて、金属を析出させ、分極性電極(金属電極)を形成する工程(電極形成工程)である。
【0042】
前記還元剤溶液は、還元剤が溶解されているものであれば、基材等の形状にかかわらず、特に限定されるものではない。前記還元剤としては、基材等に吸着される金属錯体溶液に使用される金属錯体の種類に応じて、適宜選択して使用することができる。例えば、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等を用いることができる。なお、金属錯体を還元する際に、必要に応じて、酸またはアルカリを添加してもよい。前記還元剤溶液の濃度は、金属錯体の還元により析出させる金属量を得ることができるのに十分な量の還元剤を含んでいればよく、特に限定されるものではないが、通常の無電解メッキ処理方法により電極を形成する場合に用いられる金属錯体溶液と同等の濃度を用いることも可能である。また、還元剤溶液中には、アルコール類を含む溶媒を用いることもできる。
【0043】
また、本発明のキャパシタの製造方法においては、吸着工程と還元工程とが繰り返し行われることにより、金属電極と基材との界面の静電容量を、従来の値よりも大きくすることができる。本発明において、前記吸着工程と前記還元工程とを交互に繰り返して行う場合には、前記吸着工程の後に前記還元工程を行うことを組として、この組を好ましくは 1回以上、更に好ましくは2回以上、特に好ましくは、3回以上行うことで、更に大きな静電容量を有するキャパシタを容易に得ることができる。なお、この際の還元工程における還元剤溶液の濃度は、低濃度の還元剤溶液から、段階的に濃度を上げていくことにより、具体的には、はじめに、低濃度の還元剤溶液を接触させた場合には、高分子電解質界面付近において、金属微粒子の密度の高い緻密な(高密度)領域が形成され、更に還元剤溶液の濃度を上げていくことや、更には温度条件などを変えることにより、金属微粒子の密度の異なる、つまりは低密度の領域(層)を形成することができる。
【0044】
<洗浄工程>
前記吸着工程と還元工程とを繰り返して行う場合において、還元剤を基材より除去して、吸着工程における金属錯体の吸着を容易に行うために、還元工程の後に洗浄工程を行い、前記洗浄工程の後に吸着工程を行うことが好ましい。前記洗浄工程としては、特に限定されるものではなく、水洗して還元剤を除去してもよい。
【0045】
本発明のキャパシタの製造方法は、更に、前記分極性電極に電圧を印加し、前記電解液中に含まれるリチウムイオン及び/又はリチウムと、前記金属電極に含まれる金属成分とにより形成されるリチウム合金を含有する分極性電極である負極を形成する工程と、を含むことが好ましい。前記負極に含まれる金属成分と、電解液中に含まれるリチウムイオン及び/又はリチウムから形成されるリチウム合金は、可逆的な電気化学的酸化還元反応により、リチウムイオンを放出することができる合金である。
【0046】
また、前記リチウム合金は、放電時に、リチウムイオンを放出して、酸化還元反応を生じることができるため、電気二重層容量に加えて、酸化還元反応を伴って発生する容量をも有することになる。すなわち、本発明のキャパシタは、電気二重層のみによる容量を有する電気二重層キャパシタや、酸化還元反応のみによる容量を有するレドックスキャパシタよりも、大きな容量を有することができ、有用である。また、前記リチウム合金を、リチウムとともに形成する金属は、分極性電極に含まれる金属成分でもあるため、充放電を繰り返した後に、更にキャパシタの充電を行った場合であっても、前記リチウム合金を負極と基材との界面に、容易に形成することができる。そのため、充放電を繰り返し行っても、前記キャパシタの容量の低下が生じにくく、有用である。
【0047】
前記負極としては、負極と基材との界面が広い場合に、より多くの量のリチウム合金を形成することができることから、負極と基材との界面が、表面積の大きな凹凸状に形成されていることが好ましい。また、前記負極は、負極と基材との界面が広く、より多くの量のリチウム合金を界面に形成することができる理由から、多孔質状の分極性電極(金属電極)であることが好ましい。多孔質状の分極性電極(金属電極)を有することにより、大きな比容量を有することができる。
【0048】
本発明のキャパシタは、前記負極に加えて、分極性電極である正極を備えている。前記正極は、基材との界面において、電気二重層を形成することができる金属電極であることが好ましい。正極においては、電気二重層の形成が生じることにより、充放電がなされる。正極においてもリチウムイオンを吸収する物質を含んでも良い。なお、本発明のキャパシタは、負極において電気二重層を形成することも可能である。
【0049】
また、前記正極は、電気二重層を形成することができる金属電極であれば良いが、製造が容易である点においては、負極と同様の材質であることが好ましい。
【0050】
本発明のキャパシタで用いることのできる分極性電極は、金属電極であり、前記金属電極の材料には特に制限されず、上述した金属錯体溶液等を用いて製造することができる。たとえば、キャパシタ中に含まれる電解液に水を用いる場合には、金属電極には、金、白金、パラジウム等の貴金属の金属を用いることが好ましい。一方、キャパシタの溶媒として高沸点の非水極性液体を用いる場合では、上記以外の金属材料も好適に用いることができる。例えば、無電解メッキ処理(析出)が可能なコバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、白金、金、鉛、ビスマスといった金属や、単体では無電解メッキ(析出)が困難であるが、他の金属との共存により析出可能であるホウ素、窒素、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、亜鉛、モリブデン、タングステン、レニウム、チタン等の金属も好適に用いることができる。中でもインジウム、鉛、亜鉛、スズ、カドミウム、ビスマス、アンチモン、銅、銀、鉄、ニッケル、チタンが好ましく、スズ、銅、鉄、ニッケル等を用いることがより好ましい態様である。またこれらの金属を合金として使用することも可能である。なお、キャパシタの電解液に含まれる溶媒に水を用いて、かつ上記貴金属以外の鉄、銅、銀、アルミニウム等錆び易い金属を電極とする方法として、酸化皮膜を設ける等の公知の防錆処理を施すことにより、金属電極として使用することもできる。
【0051】
(電解液)
本発明のキャパシタは、電解質塩を含む電解液により、基材(及び基材に含有される層状無機化合物分散層)が膨潤した状態にあるものである。電解液は、有機電解液であっても良いし水系電解液であってもよい。また、前記高分子電解質中に電解液の溶媒分子を若干含んだ状態であっても良い。特に本発明においては、電解液に特定の電解質塩とともに、これらの化合物を配合することにより、より優れた静電容量を有するキャパシタを得ることができ、有効である。
【0052】
前記製造後のキャパシタの構成要素である電解液に用いる溶媒としては、水を用いることができる。しかし、水を溶媒にした場合には、キャパシタの充電・放電過程での金属のイオン化を防止するために、上述のように電極には貴金属を用いることが好ましい。一方、溶媒として、非水の極性液体を用いることもできる。高い誘電率、分解電圧を有する非水の極性液体を溶媒とした場合には、電位窓が広がり、電気分解が起こりにくくなり、電気化学的に安定になる。このため、耐電圧が高くなり、本発明に有用なリチウムの還元(分極性電極に電圧を印加し、前記電解液中に含まれるリチウムイオン及び/又はリチウムと、前記金属電極に含まれる金属成分とにより形成されるリチウム合金を含有する分極性電極の負極を形成することを意味する。)が容易となり、エネルギー密度が大きくなる。また、非水の極性液体を溶媒にすれば、水を溶媒とした場合にはキャパシタの電極として使用が難しかった貴金属以外の金属を電極とすることができ、コスト面においても有利である。具体的には、プロピレンカーボネイト、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、N−メチルアセトアミド、スルホランエチレンカーボネイト、グルタロニトリル、アジポニトリル、ニトロメタン、ニトロエタン、ピリジン、好ましくは、プロピレンカーボネイト、n−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、更に好ましくはプロピレンカーボネイト、N−メチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、1,4−ジオキソランなどの非水の極性液体を挙げることができ、特に好ましい極性液体として、プロピレンカーボネートを挙げることができる。
【0053】
本発明のキャパシタは、電解質塩(イオン)を含む電解液により、基材(及び層状無機化合物分散層)が膨潤した状態にあるものである。電解液中の溶媒は、非水溶媒であっても良く、水系溶媒であってもよい。なお、前記負極におけるリチウム合金の酸化還元反応を阻害することが無く、前記キャパシタの比容量を低下させなければ、リチウムイオン以外の他の陽イオンを含んでいても良い。本発明のキャパシタにおいて、基材(及び層状無機化合物分散層)中に含まれるリチウムイオンの濃度は、特に限定されるものでないが、0.1〜3.3mol/Lであることが好ましい。
【0054】
本発明のキャパシタの電解液中に含まれる陰イオンは、特に限定されるものではなく、公知の電解質塩に含まれる陰イオンを用いることができる。たとえば、陰イオンとして、BF、PF、ClO、Ts、SO2−、NO、Cl、Br、I、CFSO、CSO、パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオン、BCH(C、B(C、B(C、AsF及びSbFからなる群より選ばれた1種以上の陰イオンを好適に用いることができる。前記陰イオンとしては、BF、ClO、(CFSOが好ましく、BF、(CFSOが特に好ましい。また、イオンを含む溶液として、Li(CFSONや、LiBF、LiClOを含むイオン性液体(常温溶融塩)を用いることも可能である。
【0055】
前記電解質塩は、単独で使用してもよく、混合してもよいが、前記電解液中の含有量としては、好ましくは、3〜90重量%であり、より好ましくは、5〜75重量%である。前記範囲内にあると、イオン伝導性もしくはイオンの拡散性が良好となり、好ましい。
【0056】
(キャパシタ構造)
【0057】
図1は、キャパシタの厚さ方向の断面について、走査電子顕微鏡によって撮影された、倍率500倍で撮影した走査電子顕微鏡(SEM)写真の図(シート状メッキ状態)である。
【0058】
図2は、本発明のキャパシタにおける前記様態の厚さ方向の断面について、走査電子顕微鏡によって撮影された、倍率1000倍で撮影した走査電子顕微鏡(SEM)写真の図(シート状メッキ状態)である。前記SEM写真でも、細部を観察することができない程度に、基材及び層状無機化合物分散層に、金属錯体(金属コロイド)が吸着後、金属微粒子が析出した状態の、緻密な構造からなる。キャパシタの金属電極は、基材表面に形成され、かつ、基材内部および層状無機化合物分散層に侵入して、形成されている。このような金属電極を有するキャパシタと製造するには、基材、及び、基材注に存在する層状無機化合物分散層に、まず核となる平均粒子径が0.1μm以下の複数の金属微粒子を析出させ、次に前記金属粒子を成長させて、金属粒子同士間で金属結合することにより、金属電極を形成する。このようなキャパシタは、界面における金属電極と基材等とが強く、緻密に結合するので、前記界面における電子移動をスムーズに行うことができ、キャパシタとして好ましい特性を発揮させることができ、更に、キャパシタとしての一体性が向上することにより、機械的強度が向上する。
【0059】
図3は、分極性電極に電解液の分解電圧以上の電圧である6Vを印加(通電操作)して、分極性電極の負極に、負極活物質を形成・蓄積させ、前記分極性電極の負極の余剰の負極活物質を放電させた後に、電解液の分解電圧以下の電圧5V×3minの定電圧充電と、0.1mA/cmの放電を繰り返したときの充放電特性である。
【0060】
図4は、事前の通電操作を5.3V×10secの充電、及び、100mA/cm2の放電1secのキャパシタ動作に切り替えて、1000回に及ぶ充放電を行い、分極性電極の負極に、負極活物質を形成・蓄積させた時の電位が最大に達したところで、電流密度10mA/cm2で放電を行なったときの、放電特性である。
【0061】
(静電容量)
本発明のキャパシタは、正極及び負極に金属電極を用いているが、上述のように電極界面に形成された電気二重層による電気二重層容量と酸化還元反応に伴う擬似容量との和として、比容量を有する。そのため、従来の金属電極を用いたキャパシタよりも大きな容量を有することができる。本発明のキャパシタの静電容量としては、サイクリックボルタムメトリー法で10mF/cm以上、或いは定電流放電法による静電容量が10F/cm以上であれば、前記静電容量の上限が限定されるものではない。キャパシタの金属電極層の静電容量の値は、大きければ大きいほどキャパシタ容量が大きくなるので、実用的用途に好適に用いることができる。前記静電容量は、より多くの実用的用途に用いることができるので、サイクリックボルタムメトリー法で15mF/cm以上であることが好ましく、20mF/cm以上であることがさらに好ましい。これを定電流放電法でいえば、静電容量が15F/cm以上であること好ましく、20F/cm以上であることがさらに好ましい。本発明のキャパシタを用いることにより、キャパシタが乾燥した膜厚を換算して160μmとした場合であっても、静電容量がサイクリックボルタムメトリー法で20mF/cm以上の大きな容量のキャパシタを得ることができる。また、本発明のキャパシタは、低印加電圧でも従来の静電容量を得ることができるのでエネルギー効率にも優れている。キャパシタの乾燥膜厚を160μmに換算した静電容量の値を得る場合には、実際に測定で得られた電気二重層の値に、測定に用いたキャパシタの厚さ(d)〔μm〕で160μmを除した値(160/d)を乗ずることにより得ることができる。
【0062】
本願のキャパシタの静電容量は、下記の2電極のサイクリックボルタムメトリー法及び定電流放電法により測定された静電容量である。2電極のサイクリックボルタムメトリー法の場合、キャパシタの静電容量は、電圧が−0.5V〜+0.5Vの範囲であり、走査電圧速度が10mV/secである測定条件において、3サイクル目の値として得ることができる。
【0063】
本発明は、前記キャパシタの使用方法であって、前記分極性電極に、前記電解液の分解電圧以上の電圧を印加(通電操作)して、前記分極性電極の負極に、負極活物質を形成・蓄積させる操作と、前記分極性電極の負極の余剰の負極活物質を放電させる操作と、前記放電させる操作後に、前記電解液の分解電圧以下の電圧で充電を行ない、更に、放電する操作を含み、前記負極活物質が、前記リチウムイオン及び/又はリチウムから形成されるリチウム合金であることが好ましい。前記通電操作を用いることにより、静電容量が10倍 以上大きくなり、好ましい。
【0064】
(キャパシタ素子)
本発明のキャパシタは、基材(固体電解質層)と金属電極(電極層)を挟んで形成された、対向する2つの金属電極からなるキャパシタ素子を積層、折畳、又は捲回させて、更にコイン型やラミネート型に形成し、これをキャパシタ缶又はラミネートパック等のキャパシタ容器に収容し、キャパシタ缶であれば封缶、ラミネートパックであればヒートシールする方法により、キャパシタ部品として組み立てることができる。また、前記方法において、キャパシタ容器を封缶若しくはヒートシールする前に、容器を特定の電解質溶液で充填して、キャパシタ部品を得ることもできる。本発明のキャパシタを有底筒状の外装ケースに収納し、外装ケースの開口端部を弾性部材からなる封口体で封口することで、チップ部品であるキャパシタ部品を得ることができる。本発明のキャパシタを収納したケースには、線膨張率の小さい絶縁物質を充填しても良い。
【0065】
本発明のキャパシタは、ガスケットを介して金属蓋によって密封したコイン型、正極と負極との間にセパレータを介して巻回してなる素子を電解液とともに金属ケース中に収容して封口した巻回型、正極となる電極及び負極となる電極との間にセパレータを介して積層してなる素子の積層体が組み込まれた積層型等いずれの型でも使用できる。積層型が採用される場合においては、キャパシタを陽極同士および陰極同士が重なるように積層しても良い。
【0066】
本発明のキャパシタは、大型平板の積層型固体電解コンデンサとすることができる。また、本発明のキャパシタは、金属電極をU型または管状とすることもできる。管状の金属電極は、円形管、三角形管、方形管、長方形管、多角形管とすることができる。本発明のキャパシタは、キャパシタ自体の形状も任意であり、該形状に角部を有する場合においては、熱的ストレス、機械的ストレス、並びに樹脂外装体との熱膨脹差に起因する歪みによる損傷若しくは漏れ電流不良を防止するために、該角部に所定曲率の曲面を形成することができる。
【0067】
また、本発明のキャパシタは、電極積層型や断面楕円状捲回型のキャパシタ部品とすることができる。キャパシタ素子を巻回する場合においては、ビニロン繊維を主体とするビニロン不織布をセパレータとして、セパレータを介して巻回されたキャパシタ素子を用いて巻回型のキャパシタ部品とすることもできる。前記の巻回型のキャパシタ部品においては、捲回されたキャパシタ素子の外周面に絶縁保護層を設けても良い。捲回した構成のキャパシタにおいては、前記キャパシタの捲回長さ方向に線状体が蛇行状態で連続して介在されていることにより、該線状体をリードとして用いることもできる。なお、本発明のキャパシタを巻回したキャパシタとして用いる場合においては、キャパシタを巻き止めるためのテープの長さを、コンデンサ素子の外周の長さよりも短くしても良い。
【0068】
本発明のキャパシタは、複数個を一つの部品として並べて一体的にパッケージして、アレイ型に構成しても良い。また、前記キャパシタにおいて単一のシート状固体電解質にマス目状パターンの電極を形成してマス目毎にキャパシタを得て、各陰極層の表面と陰極リードフレームとをワイヤーボンダーを用いて金属ワイヤーに接合するか、または、各陰極層の表面の少なくとも一部に金属箔片を接合した後、該金属箔片の表面と陰極リードフレームとを、ワイヤーボンダーを用いて金属ワイヤーで接合しても良い。
【0069】
ボタン型のキャパシタ部品において、金属容器の下底部と上蓋部を絶縁性のリングパッキンにより密閉されるように接合されて、該金属容器内に前記キャパシタ素子を入れることができる。
【0070】
また、前記キャパシタ素子の表面を樹脂で被覆した後、有底筒状のアルミニウムケースに挿入し、開口部を絞り加工によってゴム封口して、エージングを行い、キャパシタ部品を形成しても良い。なお、封口部材の物性の改善による封止力の向上を適宜行うことができる。また、封口部材については、キャパシタ側に配された水素ガスを透過しない又は透過しにくい材料からなる一層目と電解コンデンサの外面側に配された弾性を有し前記一層目よりも水素ガスを透過しやすい材料からなる二層目との二層構造からなる封口部材を形成しても良い。キャパシタをケースに収納する際において、該封口部材の一層目をその上下から挟むようにケース外周面に押圧溝を形成して、開口部を封口しても良い。また、キャパシタを第1のケースが第2のケースに収納し、第2のケースの開口部をゴム等の弾性部材で封口し、前記キャパシタのリード端子が前記弾性封口部材を貫通して外部に引き出される様に構成しても良い。
【0071】
本発明のキャパシタにおいて、固体電解質と該固体電解質を挟んで形成された2つの金属電極とからなるキャパシタ素子を少なくとも2以上積層し、前記キャパシタ素子の陽極となる電極層に接続された陽極端子と陰極となる電極層に導電性接着剤を介して接続された陰極端子の一部が外表面に露呈するように前記キャパシタ素子の積層体を絶縁性の外装樹脂で被覆した構成としても良い。前記外装樹脂は、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を熱硬化することで、外装ケースとして用いることができる。積層型キャパシタ部品においては、リードフレームを面取り、つまり稜角の部分を少し平らに削ったり、丸味をつけたりして稜角部付近の素子の応力集中を緩和出来るように加工を施しておくことが好ましい。また、外装樹脂の外側のリードフレームを外装樹脂に沿って折曲げて外部リードとして積層型キャパシタ部品としても良い。また、外装樹脂については陽極導出線側の陽極導出面と対向する面とを研削するようにしたものとしてもよい。
【0072】
また前記キャパシタに外装を形成する場合には、樹脂を充填し、陰極導出部に角錐または円錐形状の外装樹脂部を金型にて形成し、該外装樹脂部を破断、除去して、前記キャパシタの電極を露出させた構成を用いても良い。
【0073】
外装樹脂の形成方法としては、一般に、エポキシ系の熱硬化性樹脂を使用して、ディップ成型(リード線タイプ)またはモールド成型(チップタイプ)により形成することができる。
【0074】
また、前記キャパシタは、側面を樹脂により被覆しても良く、電極よりも固体電解質層が突き出している場合には、その突出し部分を熱可塑性樹脂により埋めてもよい。また、角部分や綾線部分等の耐電圧が向上することから、本発明のキャパシタの固体電解質層に肉厚が薄い部分の表面に絶縁性樹脂層を設けることもできる。
【0075】
前記キャパシタ部品の構成において、金属電極に上に電極端子を接続することができる。前記電極端子を前記金属電極に接続する方法としてはカーボンペースト及び/又は銀ペーストを含む導電性接着剤を用いて、通電可能なように接続する方法を代表的に挙げることができる。また、前記電極端子を接続する際に、カーボンペースト、銀ペースト、若しくは金属部材を介在させて、前記金属層と前記電極端子とを接続しても良い。また、前記キャパシタ部品は、前記金属電極の表面に被覆層を設けること、前記電極端子(電極タブ部)に電気化学的な酸化皮膜層を設けること、または所定のセラミックス若しくは絶縁性の樹脂層(エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンやポリプロピレン等)をアルミニウム等の金属製の電極端子の表面に設けることにより、端子/電極の電位差コントロールや電位差電流を原因とする電気化学反応をコントロールすることができる。また、前記電極端子を、ポリピロールやスチレンスルホン酸などの特定の有機化合物と溶媒との混合物で処理することにより、漏れ電流を低下させることもできる。また、電極端子を設ける替わりに、銅などの金属箔を貼付けて集電部を形成し、該集電部にリードを接続しても良い。なお、前記電極端子は、繰り返し曲げ強度を備えることが好ましい。前記電極端子は、ワイヤー状であっても平型であっても良い。なお、前記酸化被膜層は、漏れ電流を防止するために、酸化皮膜中の不純物(皮膜の欠陥)を低減することが好ましい。また、デバイスの実装時に耐えることができる端子強度等の機械的強度が要求される用途についてはニッケル系金属(42アロイ等)が使用されている。前記電極端子は、陽極端子について、V字状の溝を有する略Vブロック形状として、前記陽極棒に対してその軸線と直交する方向から係合可能なように形成しても良い。
【0076】
前記キャパシタ素子を取り付けるための平坦部と、その平坦部に続く丸棒部と、その丸棒部に溶接部を介して固定される引出し線とからなるキャパシタ用タブ端子を用いることもできる。
【0077】
前記キャパシタ部品において、金属電極上に更に金属箔を設置して、引出電極部を設けても良い。前記引出電極部を束ねて重層部を作り、該重層部とリード部とを接続してもよい。また、エッチング処理により表面を粗面化した金属箔の表面を、金属表面に被着させることもできる。
【0078】
また、前記金属電極の一端に電極リードピンを形成しても良い。前記金属電極の植立端は、屋根形に盛り上げられた曲面又は連接面からなるように形成することができる。前記電極リードピン植立端は、角錐状、円錐状、ドーム状、蒲鉾状、切妻状、寄棟状から選ばれる屋根形に盛り上げられ、該屋根形の頂部又は稜部に、前記電極リードピンが植立されることができる。植設される電極リードピン若しくは電極リード線に固定電解質の這い上がり防止板を設ける場合には、這い上がり防止板の突設部がキャパシタ素子面に当接するように、前記這い上がり防止板を電極リードピン若しくは電極リード線に挿通しても良い。
【0079】
陽極端子のL字形脚部の一端を該L字形の外側へ向けて更に折り曲げて陽極リードピンに溶接し、陽極端子のL字形脚部の内側面を外装樹脂層に密着させることもできる。
【0080】
前記キャパシタ部品において、チップ型とする場合には、前記電極端子または前記重層部に接続されたリードに外部陽極端子を溶接し、エポキシ樹脂を用いたトランスファーモールド工法で外装を施した後、陽、陰両外部端子の外装樹脂から出た部分を外装樹脂に沿って折り曲げ、整形して、チップ型キャパシタ部品を形成することができる。また、陰極の電極端子の一部が外部に表出した外装樹脂層における陰極導出面は、表面導電体層が形成され、次いで高温中での電圧印加処理(エージング処理)と高温雰囲気中での熱処理のいずれか一方もしくは両方が施され、その後、前記表面導電体層が除去されても良い。
【0081】
本発明のキャパシタにおいては、キャパシタを被覆する外装樹脂の表面上に直接形成した金属層よりなる外部電極であって、且つこの外部電極と前記キャパシタの陽極電極および陰極電極を電気的に接続した外部電極を形成しても良い。なお、前記外部電極は、前記外装樹脂における陽極導出線及び/または陰極導出層の表出部を含む外部電極形成部に、無電解メッキ金属層を含むベース金属層を設けて形成しても良い。なお、外部電極若しくは電極端子と導出線との接続のために、接続部に無電解めっきを施しても良い。
【0082】
前記外部陽端子は、陽極に植立された陽極リードに外部陽極リードフレームを溶接した後、この溶接点を含む陽極リード導出面をモールドして、絶縁部材を形成し、次に、絶縁部材より導出した外部陰極リードフレームを切断し、絶縁部材に沿って折り曲げて外部陽極端子を形成しても良い。
【0083】
また、コ字型の断面を有する陰極端子板を陰極引出し層の底面および側面に嵌合させ、陰極端子板を除いたキャパシタ素子の周面に樹脂外装体を形成し、なおかつ、陽極端子板を陽極リードの引出し側において陰極端子板と対向するようにして上記樹脂外装体上に被せて、陰極端子及び陽極端子を設けても良い。
【0084】
本発明のキャパシタを用いたキャパシタ部品については、陽極リードに離型材を塗布し、同陰極端子板の露出面に離型剤を塗布した後、キャパシタ素子を樹脂液中に浸漬し、引き上げてその樹脂液を乾燥させてキャパシタの側面および段部を含む上面側にかけて樹脂外装体を形成し、次に対向する側縁に一対のフランジを有する陽極端子板をそのフランジを段部に係合させるようにしてキャパシタ素子の上面側に装着した後、同陽極端子板を陽極リードに接続し、陰極端子板および陽極リードに塗布されている離型材を除去することにより、通電性を確保した状態で樹脂外装を形成しても良い。前記フランジは断面コ字状であっても良い。
【0085】
前記チップ型キャパシタ部品についは、キャパシタ部品の底面の所定深さの陽極側段部および陰極側段部をそれぞれ陽極側と陰極側とに形成し、L字状に形成された陰極端子板をキャパシタ素子の陰極側側面から陰極側段部にかけて取り付けた後、陰極端子板に離型材を塗布して、該キャパシタ素子を樹脂液中に浸漬し、引き上げてその樹脂液を乾燥させて該キャパシタの陽極側段部を含めた周面に樹脂外装体を形成し、次にL字状に折り曲げられた陽極端子板を陽極側側面から陽極側段部にかけて取り付け、同陽極端子板を設けることにより該キャパシタ部品を得ても良い。また、前記陽極外部電極層側の前記陽極体の断面近傍に、陽極に絶縁樹脂を含浸せしめた絶縁樹脂含浸部を形成し、前記絶縁樹脂含浸部の形成領域で、前記陽極と前記陽極外部電極層とが電気的に接続するように、チップ状キャパシタ部品を構成しても良い。
【0086】
本発明のキャパシタを用いたキャパシタ部品は、キャパシタにおける電極の一体に陽極引き出し部を設け、かつこの陽極引き出し部としてマスキング用のレジスト膜を施した部分の延長部分に曲げ部と接続部を設け、さらに陰極導電体層および陽極引き出し部の設けられた接続部に別個のコム端子を接続しても良い。また、本発明のキャパシタを用いたキャパシタ素子に用いられる陽極用リード線は、引き出し面側の綾線部分の一部をR状にした陽極リード線としても良い。
【0087】
本発明のキャパシタにおいて樹脂により外装が形成される場合には、外装樹脂の表面に防湿性のコーティング材を塗布してもよい。また、本発明のキャパシタ部品を構成する各部分においては、固体電解質及び電極の湿潤を阻害しない程度に、撥水樹脂などの撥液性の樹脂を塗布しても良い。リードにおいては、リード付け根部分に絶縁物質等からなる保護層を形成して、短絡現象若しくは腐食を防止しても良い。
【0088】
また、複数枚のキャパシタ素子を積層してなるキャパシタ素子積層体を用いる場合において、外装部材の一方の側面に陰極層を、他方の側面に陽極層を備えてなるように構成することもできる。
【0089】
また、前記キャパシタ素子においては、金属電極のコーナー部を導電性高分子層で十分に被覆してショートを防ぐこともできる。
【0090】
また、前記キャパシタ素子の金属電極上に、更にカーボン層を形成し、該カーボン層上に銀ペーストを塗布して複層化された電極層を形成しても良い。
【0091】
前記キャパシタ部品においては、さらに集電板を設けても良い。前記集電板は、白金、導電性ブチルゴム等の導電性ゴムなどで形成してもよく、またアルミニウム、ニッケル等の金属の溶射によって形成してもよく、上記電極層の片面に金属メッシュを付設したものとしてもよい。
【0092】
前記キャパシタ部品においては、積層型のキャパシタ部品の組立を行う際には、必要な耐電圧分のセルをパッキン若しくはテフロン(登録商標)のスペーサと交互に積み重ねて、最後にエンドプレートで挟んで締め付けることにより密閉構造を形成することができる。また、この際において、エンドプレートをそれぞれ締め付け板と集電板に分離し、柔軟性シートを締め付け板と集電板との間に挟み、上下の締め付け板をボルトで締め付け、柔軟性シートを介して集電板とキャパシタ素子とを上下から押さえつけ密閉することもできる。
【0093】
本発明のキャパシタは、液への浸漬を容易とするために、電極の各面のうち少なくとも一つの面に、少なくとも一つの凹所を、当該凹所が少なくとも他の電極に達しないように設けても良い。
【0094】
また、キャパシタ部品を巻回型とする場合には、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにキャパシタ素子を収納し、密閉した構造を有している。例えば、キャパシタ素子をアルミニウム等からなる有底筒状の外装ケースに収納し、外装ケースとキャパシタ素子との間に、硬化時に吸湿性を有する樹脂を充填して、キャパシタ素子の少なくとも外周面に樹脂層を形成することもできる。なを、前記キャパシタ素子が非水系有機溶媒を電解液に用いている場合には、前記密閉構造においては、残留空気量を5%未満とすることが好ましい。また、前記キャパシタ部品においては、硬質部材と弾性部材を組み合わせてなる封口体を用いることにより、リード線に加わる機械的ストレスが内部に伝達することを防ぎ、内部への水分の侵入を防ぐことができる。
【0095】
薄肉部に開口部が生じて電解液が滲み出した場合に絶縁スリーブが滲み出し電解液中のイオンを捕捉するように、金属ケースの要部に薄肉部を設け、キャパシタを収納し電解液を充填し、絶縁スリーブにより該金属ケースを覆って被着してもよい。
【0096】
また、前記キャパシタ部品において、リードにも酸化皮膜を形成することができる。リードの接合部分に撥水性樹脂等を形成し、リードに固体電解質が付着するのを防止することもできる。接合されたリードの根元部にエポキシ樹脂等を形成し、ストレスを受けないようにリード根元部を補強し、酸化皮膜の欠陥発生を抑制して、より漏れ電流不良を低減することもできる。
【0097】
前記キャパシタ部品は、公知の構造とすることができ、適宜、絶縁性ガスケットを設けても良く、さらに封口後に所定の温度下において所定の電圧を印加することによる、公知のエージングを行うことができる。
【0098】
前記キャパシタ部品については、くし状に形成したアルミニウムリードフレームの先端部分を折曲げた複数のプラス端子群を備えていても良い。
【0099】
本発明のキャパシタは、固体電解質にマス目状に電極を形成して得たキャパシタシートを、マス目ごとに切断してキャパシタを得て、キャパシタ素子を形成するために、得られたキャパシタの電極を電極リード端子に接合させても良い。
【0100】
本発明のキャパシタは、湿潤性や含浸性を向上するために、固体電解質中に含まれる溶液中に界面活性剤を含んでも良い。
【0101】
本発明のキャパシタが絶縁容器内部に収納される場合において、キャパシタに伝わる機械的振動、衝撃を大幅に減衰するために、キャパシタ間、若しくはキャパシタと絶縁容器間のすき間に、ゲル状絶縁物及び弾性体に代表されるクッション材を満たしても良い。
【0102】
〔キャパシタ素子のサイズ〕
本発明のキャパシタは、公知のサイズとすることができ、例えば、7.3mm×4.3mm×2.0mmとすることができる。例えば、前記キャパシタは、縦寸法を通常10mm以上、好ましくは20mm以上であり、25〜50mmとすることができ、同様に、横寸法を、通常10mm以上、好ましくは20mm以上であり、25〜50mmとすることができる。また、本発明のキャパシタは、例えば、ケースサイズ10mmφ×16mmL、φ8×5L、4φ×7L、5φ×2.8L、または5φ×3L等の円筒形のキャパシタ部品とすることもできる。
【実施例】
【0103】
以下、本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0104】
[実施例1〜2、及び比較例1]
実施例1〜2及び、比較例1は、下記の方法により、キャパシタを形成した。なお、本発明は下記実施例等により、限定されるものではない。
【0105】
(層状無機化合物分散層を形成した膜状高分子電解質の調製方法)
ペレット状の高分子電解質(フッ素樹脂系イオン交換樹脂:パーフルオロカルボン酸樹脂、商品名「フレミオン」、旭硝子社製、イオン交換容量:1.8meq/g)1重量部をエタノール/水混合溶媒(3/7重量比)25重量部に溶解させた混合溶液と、層状無機化合物である層状ケイ酸塩(合成スメクタイト、商品名ルーセンタイトSWN、コープケミカル社製)1重量部を水25重量部に分散させた分散液とを等量混合して、分散液を調製した。次いで、前記分散液に、厚さ(i)25μmの膜状高分子電解質(フッ素樹脂系イオン交換樹脂:パーフルオロカルボン酸樹脂、商品名「フレミオン」、旭硝子社製、イオン交換容量:1.4meq/g)を室温で10秒浸漬して、その後引き上げ、室温で10分間自然乾燥した後にアイロンを用いて、表裏共に加熱圧着(120℃)して、層状ケイ酸塩を含有した層の厚さが1μm以下(約0.5μm)の層状無機化合物分散層を有する膜状高分子電解質を形成した。
なお、層状無機化合物分散層を設けていない膜状高分子電解質としては、厚さ(ii)160μm、および、(iii)25μmの膜状高分子電解質(フッ素樹脂系イオン交換樹脂:パーフルオロカルボン酸樹脂、商品名「フレミオン」、旭硝子社製、イオン交換容量:1.4meq/g)を使用した。
【0106】
(電極形成工程)
前記層状無機化合物分散層を形成した膜状高分子電解質、又は、前記分散層を設けてない膜状高分子電解質について、それぞれ下記(1)〜(4)の工程を実施し、金属電極(金属層)が形成された膜状高分子電解質を得た。なお、下記(2)及び(3)においては、これらの組み合わせを、合計3回行い、緻密で微細な構造を有する金属(金)電極を形成した。
【0107】
(1)膨潤工程:前記膜状高分子電解質を膨潤溶媒であるメタノール中に20℃で30分以上浸漬した。膨潤した前記膜状高分子電解質の膜厚を測定して、乾燥膜厚に対して膨潤後の膜厚の増加した割合(膨潤度(%))を算出し、膨潤度が30%になるように前記膜状高分子電解質を膨潤溶媒に浸漬した。
(2)吸着工程:1.1重量%のジクロロフェナントロリン金塩化物水溶液に12時間浸漬し、前記膜状高分子電解質の内部にまで、ジクロロフェナントロリン金錯体を吸着させた。
(3)還元工程:0.01重量%の亜硫酸ナトリウム水溶液中で、吸着したジクロロフェナントロリン金錯体を還元し、前記膜状高分子電解質表面及び内部に金電極を形成させた。このとき、水溶液の温度を40℃とし、亜硫酸ナトリウムを段階的に添加しながら、6時間ジクロロフェナントロリン金錯体の還元を行った。
(4)洗浄工程:表面に金電極が形成した膜状高分子電解質を取り出し、70℃の水で1時間洗浄した。この場合、高分子電解質に含まれるイオン種は亜硫酸ナトリウム由来のナトリウムイオンとなる。
【0108】
(キャパシタの製造工程)
前記金電極が形成された膜状高分子電解質を、LiTFSIを含むプロピレンカーボネート電解液(富山薬品工業社製、濃度:1M)に、60℃×10時間浸漬し、その後、取り出して、膜厚が約200μm(当初(i)160μm)、および、約30μm(当初(ii)、及び、(iii)25μm)のキャパシタ素子を得た。
【0109】
(実施例1)
実施例1としては、層状無機化合物分散層を設けてない約200μm(当初(ii)160μm)のキャパシタ素子を用いた。
【0110】
(実施例2)
実施例2としては、層状無機化合物分散層を設けてある約30μm(当初(i)25μm)のキャパシタ素子を用いた。
【0111】
(比較例1)
比較例1としては、層状無機化合物分散層を設けてない約30μm(当初(iii)25μm)のキャパシタ素子を用いた。
【0112】
〔評価〕
(SEM写真)
実施例1で得られたキャパシタをキャパシタ厚さ方向に対し垂直方向に切断して、断面を切り出し、切り出された断面にSEM観察のための所定の処理を施した後、当該断面をキャパシタのSEM写真(倍率500倍)で観察し、図1に示した。実施例2のキャパシタ断面のSEM写真(倍率1000倍)を図2に示した。
【0113】
(静電容量)
キャパシタの静電容量(体積)は、膨潤状態で、試料サイズが、縦5mm×横2mm×厚さ0.2mmおよび0.03mmの大きさのキャパシタ素子を用い、定電圧充電もしくは定電流充電後に蓄電された電荷を一定の電流値で放電した時の電位減衰の経時変化において0電位に至るまでの総電荷放出量を積分して求め、膜厚で除した値として得た。充放電装置として(北斗電工社製、HJ−201B)を用いて、測定した。
【0114】
実施例1では、前記プロピレンカーボネート電解液(Li塩電解液)中で、厚さ200μmのキャパシタ素子の両極間に、前記電解液の分解電圧以上の直流電圧6Vを、断続的に30分ずつ、2回印加して、ファラデー反応を誘起した後、一旦、余剰分である負極活物質(電荷)を放電させ、次に新しい電解液中に移して、5V×3minの定電圧充電と、0.1mA/cmの放電を繰り返した。この時の結果を図3に示した。
なお、前記事前の通電操作(電解液の分解電圧以上の電圧を印加)を行なわずに、他の条件を同じにして、充放電のみを行なうと、放電時間は、図1に示される場合に比べて、放電時間は1/10に減じた。この結果から、事前の通電操作(電解液の分解電圧以上の電圧を印加)を行うことにより、分極性電極の負極側に、ファラデー反応による負極活物質が蓄積され、大容量化していることが明らかとなった。
また、前記大容量化により、従来の電極型のリチウムイオンキャパシタに類似する動作をしていることが推測される。
【0115】
実施例2のキャパシタを用い、事前の通電操作を5.3V×10secの充電、及び、100mA/cm2の放電1secのキャパシタ動作に切り替えて、1000回に及ぶ充放電を行い、分極性電極の負極に、負極活物質を形成・蓄積させた時の電位が最大に達したところで、電流密度10mA/cm2で放電を行なったところ、図4に示す放電特性が得られた。
その際の静電容量は、上述した静電容量(体積)の算出方法により、350F/cmと見積もられ、層状無機化合物である層状ケイ酸塩を含有しない場合の比較例1と比べて、約3倍に達することが明らかとなった。
また、実施例2と、比較例1とを比較すると、放電電流密度は3倍以上の300mA/cmに達することも明らかとなった。これは、電気化学的なインターカレーションを起こし易い層状ケイ酸塩の層間表面に吸着して形成される金コロイドが、従来の基材(高分子電解質)と同様、負極活物質の吸蔵(蓄積)や放出を担うことができ、更に、従来の基材(高分子電解質)よりも、促進され、充放電の効率化に貢献しているものと推測される。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明のキャパシタは、公知の電気二重層キャパシタの用途に特に好適に用いることができ、蓄電用のデバイスとして様々な用途での利用可能性がある。特に本発明のキャパシタは、小型且つ軽量であることから、公知のキャパシタの用途に用いることができ、携帯用機械機器の電源用及び大容量の据え置き型電源用のキャパシタとして好適に用いることができる。特に、次世代低公害車の駆動電源、並びに自動車電装品の電源は、自然エネルギー発電の貯蔵用及び/または補助用電源は、植え込み可能な医療装置用の電源、携帯用電子機器のメモリバックアップ用電源、携帯可能な時計用電源、急速充電用蓄電器、デジタルカメラ用電源、電動玩具並びに持ち運び可能な家庭用電気製品用電源に好適に用いることができる。以下更に詳細な具体的用途を挙げる。
【0117】
本発明のキャパシタは、小型で軽量である特性により、携帯用機械機器の電源として好適であり、また大容量の電源が必要である場合においても占有空間を狭くすることができるので、大容量の据え置き型電源としても好適である。特に、本発明のキャパシタを用いたHEV、電気自動車、ハイブリッド自動車を含む次世代低公害車の自動車若しくは自動二輪車に用いる電源あるいは補助電源、電気自動車等の大電力型のパワーモジュール用電源、携帯可能な電話器に代表される情報通信機器の電力源、身分証明書用カード等のペーパー電池、太陽電池と併用したソーラー発電エネルギー貯蔵システム、並びに電池と組み合せたロードレベリング電源に好適に用いることができるものである。特に、燃料電池とキャパシタと電流出力型スイッチングレギュレータとを備えた電気自動車用のキャパシタとして好適に用いることができる。更に本発明のキャパシタを用いたカーオーディオ等の自動車電装品の電源は、本発明のキャパシタが軽量であることから車両の燃費の向上をすることができる。また、本発明のキャパシタを用いた太陽光発電システム、風力発電システム、風力・太陽光、ハイブリッド発電システム、波力発電システムに代表される自然エネルギー発電の貯蔵用及び/または補助用電源は、省スペースであり且つ大容量の電源として好適に用いることができる。本発明のキャパシタを用いた植え込み可能な医療装置は、キャパシタが軽量であることから、人体に対する重量による負担が少ないので、好適に用いることができる。本発明のキャパシタを用いたモバイルパソコン及び携帯電話、タイマー及び電源用時計機能に代表される携帯用電子機器の電源及びメモリバックアップ用の電源、ビデオカメラの電源或いは補助電源、携帯端末、パソコン、特にノート型パソコン等の電源及び瞬時停電対策用電源、本発明のキャパシタを用いた携帯可能な時計用の電源や寿命、温度特性及び高周波特性に優れたパソコンの電源回路、本発明のキャパシタを用いた急速充電用蓄電器、本発明のキャパシタを用いたデジタルカメラ用電源、本発明のキャパシタを用いた電動玩具並びに本発明のキャパシタを用いた電気シェーバ及び電気ポットに代表される持ち運び可能な家庭用電気製品用電源も、キャパシタが軽量であることから携帯性に優れている。
【0118】
本発明のキャパシタは、小型であって大容量であることから、公知の電気二重層キャパシタの用途以外の用途にも用いることができる。具体的には本発明のキャパシタは、小型であって大容量であることから、無停電電源装置、家庭用蓄電システム等屋外設置機器、バッテリとDC−DCコンバータとの間に並列につないだ自動車用電装機器の電源回路、スイッチングレギュレータ、モータ制御レギュレータ、コンピュータエレクトロニクス、テレビジョン受像機等に用いる陰極線管に使用されるフライバックトランス、オーディオ増幅器、サージプロテクタ、抵抗スポット溶接器のような電気装置、コージェネレーション設備、自家用発電装置、X線撮像パネル、高圧進相用コンデンサ(電力設備に用いるコンデンサ油浸紙フィルムコンデンサ)、岩盤などの被破壊物を破壊するための破壊装置、車両水没時の脱出装置、X線像(潜像)を画像信号として得るようにしたX線撮像装置、電池レス腕時計、表示パネルを用いた表示装置、液晶表示装置、特にプロジェクタ等に使用されるマトリクスの液晶表示装置陰極線管を用いた画像表示器、使い捨てカメラ、盗難防止を目的として商品等に貼着されて使用される共鳴ラベル、フラッシュ若しくはストロボ装置、並びに発光表示体についての電源若しくは補助電源として好適に用いることができる。
【0119】
特に、本発明のキャパシタは、大容量であることから、家電製品、工具若しくは電気自動車に組込(ビルトイン)の大パワーの動力源、受変電設備若しくは配電設備の蓄積デバイス、並びにエネルギー変換・貯蔵システムの補助貯電ユニットとして好適に用いることができる。本発明のキャパシタは、積層することにより、高電圧用途として用いることも可能である。
【0120】
本発明のキャパシタは、小型かつ大容量であるので用いられる装置の小型化が可能であることから、電気車駆動装置やインバータ装置に用いる制御モジュール、特に小型で冷却効率のよい水冷式制御モジュールに好適に用いることができる。またかかる性質から、加速度センサユニット、排気ガスや可燃ガスを測定するガスセンサ及びガス濃度制御器にも好適に用いることができる。更に本発明のキャパシタは、三端子の電気化学的デバイスとしての形態で、発熱抵抗式空気流量測定装置としても好適に用いることができる。
【0121】
本発明のキャパシタは、小型、大容量、かつ低等価直列抵抗であることから、半導体パッケージの最上層にチップ部品としてキャパシタ部品を搭載した半導体パッケージ、並びに基板にキャパシタ素子が組み込まれたプリント回路基板に好適に用いることができる。基板に前記キャパシタが組み込まれたプリント回路基板において、前記キャパシタを面実装または埋込実装したプリント配線基板は、該プリント配線基板が用いられる電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に好適である。従って、前記キャパシタは、小型、大容量、低等価直列抵抗であるために、メモリ装置、特にDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)やMMIC(モノリシック・マイクロ波集積回路)、並びに不揮発性強誘電体メモリ素子に好適に用いることができる。また、前記キャパシタは、小型、大容量、低等価直列抵抗であるために、LCR内蔵回路基板やノイズフィルタ等のフィルタ回路、強誘電体メモリ、ペロブスカイト型強誘電体、IC(Integrated
Circuit)カード等の薄型の半導体装置、強誘電体を用いたFeRAM、有機EL素子の発光素子アレイ、ICカードなどのICチップ、強誘電体キャパシタを有する半導体装置、並びに電力変換を行うスイッチング素子に好適に用いることができる。
【0122】
本発明のキャパシタは、電気電子機器の電源平滑用、ノイズ除去用および高周波でのESR値が要求される分野に適用が可能である。また、前記キャパシタは、コンバータやインバータが発生するノイズ成分である高周波の抑制作用を有するので、ノイズフィルタとしても好適である。従って、前記キャパシタが、小型化が容易で、大容量であり、低等価直列抵抗であることから、用いられる装置の小型化が可能であって、ノイズフィルタに用いることもできるので、プラズマ電位測定装置として好適に用いることができ、LC直列共振回路と共に備えることで触覚センサとして好適に用いることができる。さらに、かかる性質から、電気光学効果(ポッケルス効果)を利用して電圧を測定する光電圧センサ、光変換形計器用変圧器、高周波無線機器、衛星放送受信機器および無線LAN等の、取扱う信号の周波数が、概ね、400MHz〜20GHz(UHF〜SHF帯)の高周波機器におけるインピーダンス整合アンテナおよび指向性アンテナ等に関連して好適に実施されるインピーダンス整合器、携帯電話等の移動体通信機器に用いられるフィルタ部品、並びにテレビジョン信号受信用チューナにも好適に用いることができる。
【0123】
また、本発明のキャパシタは、家電製品、デバイス、設備、計測器または電気自動車を含む自動車若しくは自動二輪車における筐体、箱体、車台、シャーシ、車体、仕切り、支柱、カバー若しくはケースと、折り曲げ可能な金属板を電極層と接合して該金属板を接続することや銀ペーストを用いて直接接合することなどにより、実質的に一体化することが可能である。本発明のキャパシタと実質的に一体化した筐体、箱体、シャーシ、仕切り、カバー及びケーシングは、前記キャパシタが小型で、大容量で、しかも省スペース化に優れているので、電気自動車、電動自転車、電動車椅子、電動歩行器、電動スクータ、電動ランニングマシン、電動ゴルフカーの車台、シャーシ若しくは車体、ノート型パソコン、パーム型パソコン、携帯電話若しくは電動工具のパッケージングケース、または、太陽エネルギーを利用して発電する街灯の支柱とすることができる。
【0124】
また、本発明のキャパシタは、電力源としての用途以外にも、発電所などのボイラの給水、半導体製造工程、燃料電池発電等に用いられる純水の製造や、冷却塔用水の製造・循環使用、各種排水の回収に用いられる脱塩装置に用いることができる。前記キャパシタを用いて、原水中の各種イオンを除去するとともに、シリカをも除去して脱塩水や純水を得ることができ、さらには原水の起源や性状が変わった場合にもその前処理を変えることなくなくこれに対応して安定した水質の脱塩水や純水を製造し、またこれによって二次純水(超純水)の安定的な製造を可能とする脱塩装置とすることができる。
【0125】
本発明のキャパシタは、ディスプレイへの適用を可能な電気化学的素子に用いることができる。より具体的には、基板と前記基板上に設けられた一対の櫛形電極と前記櫛形電極に接して設けられ発光性物質および電解質を含む発光層とを具備する発光素子、電流制御用トランジスタ、および前記キャパシタからなる単位画素をマトリックス状に配列したアクティブマトリックス型の発光素子アレイを形成して、本発明のキャパシタをディスプレイに適用することにより適用することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも対向する分極性電極、基材、及び、電解液から形成されるキャパシタであって、
前記分極性電極が、前記基材との界面を備え、
前記分極性電極が、金属電極であり、
前記分極性電極の負極が、前記基材との界面において、前記負極に含まれる金属成分と、前記電解液中に含まれるリチウムイオン及び/又はリチウムから形成されるリチウム合金を有することを特徴とするキャパシタ。
【請求項2】
更に、前記基材が、イオン交換性を有する層状無機化合物を含有することを特徴とする請求項1記載のキャパシタ。
【請求項3】
前記基材の対向する表面に、前記層状無機化合物により形成される対向する層状無機化合物分散層を有することを特徴とする請求項2に記載のキャパシタ。
【請求項4】
前記対向する層状無機化合物分散層が、それぞれ同種のイオン交換性を有する層状無機化合物を含有することを特徴とする請求項3に記載のキャパシタ。
【請求項5】
前記基材が、多孔性基材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のキャパシタ。
【請求項6】
前記基材が、高分子電解質であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のキャパシタ。
【請求項7】
前記高分子電解質が、イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項6に記載のキャパシタ。
【請求項8】
比容量が、10F/cm以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のキャパシタ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のキャパシタの製造方法であって、
前記金属錯体が吸着した基材に、還元剤溶液を接触させて金属を析出させて、分極性電極を形成する工程と、
前記分極性電極に電圧を印加し、前記電解液中に含まれるリチウムイオン及び/又はリチウムと、前記金属電極に含まれる金属成分とにより形成されるリチウム合金を含有する分極性電極の負極を形成する工程と、を含むことを特徴とするキャパシタの製造方法。
【請求項10】
更に、前記分極性電極を形成する工程において、あらかじめ、前記基材表面に、層状無機化合物を分散させて、層状無機化合物分散層を形成する工程を含み、
前記層状無機化合物分散層に、金属錯体を吸着させる工程と、
前記金属錯体が吸着した基材及び層状無機化合物分散層に、還元剤溶液を接触させて金属を析出させて、分極性電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項9記載のキャパシタの製造方法。
【請求項11】
前記層状無機化合物が、金属コロイドを吸着させたものであることを特徴とする請求項10記載のキャパシタの製造方法。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれかに記載のキャパシタの使用方法であって、
前記分極性電極に、前記電解液の分解電圧以上の電圧を印加して、前記分極性電極の負極に、負極活物質を形成・蓄積させる操作と、
前記分極性電極の負極の余剰の負極活物質を放電させる操作と、
前記放電させる操作後に、前記電解液の分解電圧以下の電圧で充電を行ない、更に、放電する操作を含み、
前記負極活物質が、前記リチウムイオン及び/又はリチウムから形成されるリチウム合金であることを特徴とするキャパシタの使用方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate