説明

キャパシタの充電状態を制御する装置及びその組立方法

【課題】キャパシタの充電状態を監視する手段及び/又はキャパシタの充電状態を変化させる手段を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの起動キャパシタを含む回路保護装置に適用されるキャパシタ充電制御アセンブリ200であって、第1及び第2のユーザ入力を受け付けるように構成された少なくとも1つの入力装置110、112と、この入力装置が第1の位置とその反対側の第2の位置との間で可動であるように、前記入力装置と結合されたリンケージアセンブリ212と、前記入力装置と結合され、第1の信号及び第2の信号のうちの一方を生成するように構成された少なくとも1つのスイッチ254、256を備える。第1の信号は第1のユーザ入力に基づいており、少なくとも1つの起動キャパシタに蓄積されたエネルギーを放電させ、第2の信号は第2のユーザ入力に基づいており、少なくとも1つの起動キャパシタにエネルギーを蓄積させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、主に電力設備保護システムに関し、特に、回路保護装置の複数のキャパシタの充電状態の制御に用いる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の電力回路やスイッチギヤでは、一般に、複数の導体が空気等の絶縁体、或いは、気体又は固体の誘電体で隔てられている。しかし、これらの導体の位置が互いに近すぎる場合、或いは、導体間の電圧が、導体間の絶縁体の絶縁特性を超える場合には、アークが発生する可能性がある。例えば、導体間の絶縁体がイオン化する可能性があり、イオン化すると絶縁体は導電性になり、アークフラッシュの形成が可能になる。
【0003】
アークフラッシュとしては、2つの相導体の間、又は相導体と中性導体との間、又は相導体と接地点との間の漏電によるエネルギーの急激な放出がある。アークフラッシュの温度は、20000℃以上になることがあり、この温度では、導体及び隣接設備が蒸発する可能性がある。更に、アークフラッシュによって、導体及び隣接設備を損壊させるほどの大きなエネルギーが、熱としてだけでなく、強烈な光、圧力波、及び/又は音波としても放出される可能性がある。しかし、アークフラッシュを生じる漏電の電流レベルは、一般に、短絡の電流レベルよりも小さいため、回路遮断器は、特にアーク漏電状態に対応するように設計されていない限り、トリップしたり、遅延トリップしたりしないのが普通である。個人用保護衣及び保護装備の使用を義務付けることによりアークフラッシュの問題を抑制する媒体や規格は存在するが、アークフラッシュをなくす規制に沿って作られた装置は存在しない。
【0004】
少なくとも幾つかの既知の回路保護装置は、二次的アークフラッシュによって放出されるエネルギーを安全に収容するように設計された筺体内で、二次的アークフラッシュを生じさせる際に使用する、幾つかの高電圧/高エネルギーキャパシタを含む。これらのキャパシタを使用して、複数の電極間のギャップにプラズマを放出する溶発プラズマガンにエネルギーを供給することで、二次的アークフラッシュを形成させることができる。しかし、これらのキャパシタの充電状態を監視するのは困難である。これらの回路保護装置が、キャパシタが充電済みであるか、充電中であるときにラックから外れると、操作者が万一キャパシタに接触した場合に激しい電気的衝撃又は火傷を引き起こす恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7710080号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、キャパシタの充電状態を監視する手段及び/又はキャパシタの充電状態を変化させる手段の提供が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、少なくとも1つの起動キャパシタを含む回路保護装置に適用されるキャパシタ充電制御アセンブリを提供する。この制御アセンブリは、第1のユーザ入力及び第2のユーザ入力を受け付けるように構成された、少なくとも1つの入力装置と、上記の少なくとも1つの入力装置が第1の位置と第2の位置との間で可動であるように、上記の少なくとも1つの入力装置と結合されたリンケージアセンブリと、を含む。この制御アセンブリは更に、上記の少なくとも1つの入力装置と結合され、第1の信号及び第2の信号のうちの一方を生成するように構成された、少なくとも1つのスイッチを含む。第1の信号は、第1のユーザ入力に基づき、第2の信号は、第2のユーザ入力に基づく。この第1の信号は、上記の少なくとも1つの起動キャパシタに蓄積されたエネルギーを放電させ、この第2の信号は、上記の少なくとも1つの起動キャパシタにエネルギーを蓄積させる。
【0008】
別の態様において、回路保護装置に適用される制御装置を提供する。この制御装置は、論理回路と、論理回路と電気的に結合された、回路保護装置の動作を開始するように構成された複数のキャパシタと、を含む。この制御装置は更に充電制御アセンブリを含み、この制御アセンブリは、第1のユーザ入力及び第2のユーザ入力を受け付けるように構成された、少なくとも1つの入力装置と、上記の少なくとも1つの入力装置が第1の位置と第2の位置との間で可動であるように、上記の少なくとも1つの入力装置と結合されたリンケージアセンブリと、を含む。この制御アセンブリは更に、上記の少なくとも1つの入力装置と結合され、第1のユーザ入力に基づく第1の信号と第2のユーザ入力に基づく第2の信号とを生成するように構成されたスイッチを含む。この第1の信号は、上記の複数のキャパシタに蓄積されたエネルギーを放電させ、この第2の信号は、上記の複数のキャパシタにエネルギーを蓄積させる。
【0009】
別の態様において、複数の起動キャパシタを含む回路保護装置に適用されるキャパシタ充電制御アセンブリの組立方法を提供する。この方法は、少なくとも1つの入力装置が第1の位置と第2の位置との間で可動であるように、上記の少なくとも1つの入力装置にリンケージアセンブリを結合することと、上記の少なくとも1つの入力装置にスイッチを結合することと、を含む。このスイッチは、第1のユーザ入力に基づく第1の信号と、第2のユーザ入力に基づく第2の信号とを生成するように構成される。この第1の信号は、上記の複数のキャパシタに蓄積されたエネルギーを放電させ、この第2の信号は、上記の複数のキャパシタにエネルギーを蓄積させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】配電設備に適用される回路保護装置の一例の斜視図である。
【図2】図1に示した回路保護装置に適用可能な制御装置の正面図である。
【図3】図2に示した制御装置の部分分解図である。
【図4】図2及び3に示した制御装置に適用可能なキャパシタ充電制御アセンブリの分解図である。
【図5】図4に示したキャパシタ充電制御アセンブリに適用可能なクランクアセンブリの正面斜視図である。
【図6】図4に示したキャパシタ充電制御アセンブリの、一動作状態における上面図である。
【図7】キャパシタ充電制御アセンブリの、図6に示した動作状態における断面図である。
【図8】図4に示したキャパシタ充電制御アセンブリの、別の動作状態における上面図である。
【図9】キャパシタ充電制御アセンブリの、図8に示した動作状態における断面図である。
【図10】図4に示したキャパシタ充電制御アセンブリに適用可能な電気的アーキテクチャの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、配電設備に適用される例示的な回路保護装置100の斜視図である。装置100は、空気又は別の気体から成るメインギャップによって隔てられた複数の主電極(図示せず)を含む収納アセンブリ102を含む。各主電極は、電力回路のうちの電気的に異なる部分、例えば、異なる相、中性点、又はグラウンドと結合される。収納アセンブリ102は更に、溶発プラズマガン(図示せず)に電気パルスを送ることにより、この溶発プラズマガンを起動させるトリガ回路(図示せず)を含む。このパルスに対する応答として、プラズマガンは、主電極間にアークを形成させる溶発プラズマを発する。アークの形成によって、アークフラッシュからのエネルギーを回路上のどこか別の場所に逸らし、回路の保護が行われる。更に、収納アセンブリ102は、アークによって形成されたエネルギーを収容及び隔離する外側カバー104を含む。収納アセンブリ102は、この収納アセンブリ102を設備筺体に挿入できるように、寸法決めされてカセット106と結合される。更に、装置100は、収納アセンブリ102と(例えば、通信可能に)結合された制御装置108を含む。制御装置108は、回路を監視する1つ以上のセンサ(図示せず)から信号を受信し、アークフラッシュを検出する。これらのセンサで、回路の一部分を通る電流及び/又は回路の複数部分にかかる電圧を監視できる。これらのセンサはまた、アークフラッシュによって生成され得る閃光も検出できる。上記の信号に対する応答として、制御装置108は、収納アセンブリ102内でプラズマガンを起動させ、アークを発生させる。
【0012】
図2は、制御装置108の正面図である。図2に示すように、制御装置108は、1つ以上の入力装置を含む。本実施例において、入力装置は、第1の入力装置110及び第2の入力装置112を含む。更に、第1の入力装置110は、第1のユーザ入力を受け付けるように構成され、第2の入力装置112は、第2のユーザ入力を受け付けるように構成される。各入力装置110及び112は、例えば押しボタンであってよい。或いは、入力装置は、2つの位置間で調節可能なスイッチ、ロータリーダイヤル、又は第1のユーザ入力及び第2のユーザ入力の受け付けに適した他の任意の装置であってよい。本実施例において、第1のユーザ入力は、第1の入力装置110のボタンを押すことであり、第2のユーザ入力は、第2の入力装置112のボタンを押すことである。更に、制御装置108は、キャパシタの充電状態を複数の照光装置116で表示する状態インジケータ114を含む。例えば、状態インジケータ114は、複数のキャパシタが充電済みか、充電中か、放電中かを表示する。照光装置116は、例えば、発光ダイオード(LED)であってよい。
【0013】
図3は、制御装置108の部分分解図であり、制御装置108は、プリント回路基板(PCB)120を収容するように寸法決めされたハウジング118を含む。PCB120には、複数のキャパシタ122が電気的に結合されている。キャパシタ122は、本明細書では起動キャパシタと称されることがあるが、(図1に示した)収納アセンブリ102内でのアーク形成に用いる、収納アセンブリ102のプラズマガンへの給電に用いられる。更に、制御装置108は、PCB120と電気的に結合されたキャパシタ充電制御アセンブリ200を含む。以下に詳述するように、制御アセンブリ200は、第1のユーザ入力及び/又は第2のユーザ入力に従って、キャパシタ122の充電状態を制御する。
【0014】
図4は、キャパシタ充電制御アセンブリ200の分解図であり、この制御アセンブリ200はハウジング202を含み、ハウジング202は、後壁204、第1の側壁206、及び対向する第2の側壁208を有する。ハウジング202は、(いずれも図3に示した)制御装置108のハウジング118と結合される。更に、制御アセンブリ200は、前面アセンブリ210と、前面アセンブリ210と結合されたリンケージアセンブリ212とを含む。本実施例において、前面アセンブリ210は、第1の入力装置110及び第2の入力装置112を含む。更に、前面アセンブリ210は、第1のロックアウト部分214及び第2のロックアウト部分216を含む。各ロックアウト部分214及び216は、(図3に示した)キャパシタ122の充電状態の変化を防止するためのロックアウト/タグアウト装置をユーザが設置できるようにする、掛け金スロット218を含む。更に、各ロックアウト部分214及び216は、第1のロックアウト部分214及び第2のロックアウト部分216を第1の入力装置110及び第2の入力装置112とそれぞれ結合するために用いる、複数のガイドスロット220を含む。具体的には、クランクアセンブリ222が、第1のロックアウト部分214及び第2のロックアウト部分216を、第1の入力装置110及び第2の入力装置112とそれぞれ結合することにより、いつでも第1の入力装置110及び第2の入力装置112の一方だけが確実にユーザ入力を受け付けられるようにする。
【0015】
本実施例において、リンケージアセンブリ212は、第1のインターロック装置224を含み、第1のインターロック装置224は、上端部226と、反対側の下端部228とを含む。更に、リンケージアセンブリ212は、第1のアーム230を含み、第1のアーム230は、第1の入力装置110と、第1のインターロック装置の上端部226とに結合される。リンケージアセンブリ212は更に、第2のインターロック装置232を含み、第2のインターロック装置232は、上端部234と、反対側の下端部236とを含む。更にリンケージアセンブリ212は、第2のアーム238を含み、第2のアーム238は、第2の入力装置112と、第2のインターロック装置の上端部234とに結合される。メインシャフト240が、第1のインターロック装置224及び第2のインターロック装置232を貫通して延在するが、これによって、インターロック装置の上端部226及び234が互いに対して反対の位置に保持され、これに基づいて、入力装置110及び112がユーザ入力を受け付けることができる。
【0016】
更に、制御アセンブリ200は、リンケージアセンブリ212と結合されたロックアウトパッド242を含む。具体的には、ロックアウトパッド242は、複数のドライバアーム244を介して第1のインターロック装置224と結合される。より具体的には、ロックアウトパッド242は、底面246、第1の壁248、及び反対側の第2の壁250を含む。各壁248及び250には、複数のドライバスロット252が形成されており、それぞれに、対応するドライバアーム244がある。
【0017】
第1の入力装置110が第1のユーザ入力を受け付けると、第1の入力装置110は、第1の位置まで引き込まれ、これによって、第1のアーム230が第1のインターロック装置の上端部226を後壁204に向かって移動させる。メインシャフト240は、第2のインターロック装置232を貫通して延在しており、第1のインターロック装置の上端部226が後壁204に向かって移動すると、第2のインターロック装置の上端部234が後壁204から離れる方向に移動するようになっている。第2のインターロック装置の上端部234のこの移動により、第2のアーム238が、第2の入力装置112を外方に向かって第2の位置まで移動させる。更に、第1のインターロック装置の上端部226が後壁204に向かって移動すると、ドライバアーム244がドライバスロット252内で移動し、ロックアウトパッド242がロック解除位置まで移動するようになっている。このとき、ロックアウトパッド242の少なくとも一部分がハウジング202内に引き込まれる。これに対し、第2の入力装置112が第2のユーザ入力を受け付けると、第2の入力装置112が第1の位置まで引き込まれ、これによって、第2のアーム238が第2のインターロック装置の上端部234を後壁204に向かって移動させる。メインシャフト240は、第1のインターロック装置224を貫通して延在しており、第2のインターロック装置の上端部234が後壁204に向かって移動すると、第1のインターロック装置の上端部226が後壁204から離れる方向に移動するようになっている。第1のインターロック装置の上端部226のこの移動により、第1のアーム230が、第1の入力装置110を外方に向かって第2の位置まで移動させる。更に、第1のインターロック装置の上端部226が後壁204から離れる方向に移動すると、ドライバアーム244がドライバスロット252内で移動し、ロックアウトパッド242がロック位置まで移動するようになっている。このとき、ロックアウトパッド242の少なくとも一部分がハウジング202から延在している。
【0018】
更に、制御アセンブリ200は、第1のスイッチ254及び第2のスイッチ256を含む。各スイッチ254及び256は、スペーサブロック258を介して、それぞれ側壁206及び208と結合される。更に、第1のスイッチ254は、第1の入力装置110と結合されており、第1の入力装置110が第1のユーザ入力を受け付けると、第1のスイッチ254が、電気エネルギーの蓄積によるキャパシタ122の充電を開始させる第1の信号を生成するようになっている。同様に、第2のスイッチ256は、第2の入力装置112と結合されており、第2の入力装置112が第2のユーザ入力を受け付けると、第2のスイッチ256が、キャパシタ122に蓄積された電気エネルギーを放電させる第2の信号を生成するようになっている。
【0019】
図5は、クランクアセンブリ222の正面斜視図である。クランクアセンブリ222は、第1の入力装置110及び第2の入力装置112を、(それぞれ図4に示した)第1のロックアウト部分214及び第2のロックアウト部分216と、それぞれ結合する。本実施例において、クランクアセンブリ222はベース260を含み、ベース260は、上部262と、上部262に垂直な方向を向いた下部264とを有する。上部262は、第1の入力装置110及び第2の入力装置112をそれぞれ受け入れるように寸法決めされた、第1のスロット266及び第2のスロット268を含む。下部264は、第1の溝270及び第2の溝272を含む。
【0020】
更に、クランクアセンブリ222は、下部264と回転可能に結合されたプラットフォーム274を含む。プラットフォーム274は、トング部276を含み、トング部276は、上部262のトングスロット278に挿入されるように寸法決めされている。トング部276は、軸280のまわりをプラットフォーム274が所定量を超えて回転しないようにする、十分な長さを有している。プラットフォーム274は更に、第1の溝280及び第2の溝282を含む。第1の入力装置110及び第1のロックアウト部分214は、プラットフォームの第1の溝280及びベースの第1の溝270を貫通して延在するポスト又はピン(図示せず)によって結合される。同様に、第2の入力装置112及び第2のロックアウト部分216は、プラットフォームの第2の溝282及びベースの第2の溝272を貫通して延在するポスト又はピンによって結合される。本実施例において、クランクアセンブリ222は更に、下部264と結合された複数のガイドピン284を含む。各ガイドピン284は、第1のロックアウト部分214及び第2のロックアウト部分216の(図4に示した)対応するガイドスロット220に挿入されるように寸法決めされている。
【0021】
図6は、キャパシタ充電制御アセンブリ200の上面図であり、図7は、軸A−Aに沿った、充電制御アセンブリの断面図である。具体的には、図6及び7は、(図3に示した)キャパシタ122が、第2の入力装置112を介して受け付けた第2のユーザ入力に基づいて、蓄積した電気エネルギーを放電した状態又は放電している状態における、(図1〜3に示した)制御装置108の動作状態を示している。第2のユーザ入力は、一実施形態において、第2の入力装置112を押す操作であり、これによって、第2の入力装置112が第2の位置まで移動する。第2の入力装置112のこの移動によって、第2のスイッチ256は第2の信号を生成し、この第2の信号を(図3に示した)PCB120と結合された論理回路(図6及び7には示さず)に送信する。この論理回路は、キャパシタ122に蓄積された電気エネルギーを放電させ、これにより、(図1に示した)回路保護装置100を電気キャビネット(図示せず)から取り出すことが可能になる。この論理回路は更に、キャパシタ122が放電済み又は放電中であることを、(図2に示した)照光装置116を用いて示す。
【0022】
更に、第2の入力装置112の移動によって、第2のアーム238が後壁204に向かって移動し、第2のアーム238の一部分が後壁204を貫通して延伸する。第2のアーム238のこの移動によって、第2のインターロック装置の上端部234が後壁204に向かって移動し、更に、第2のロックアウト部分216が第2の位置まで延伸する。
【0023】
更に、第2の入力装置112の移動によって、プラットフォーム274が(図5に示した)軸280のまわりを回転し、これによって、第1の入力装置110が第1の位置まで移動する。第1の入力装置110のこの移動によって、第1のアーム230が後壁204から離れる方向に移動し、これによって、第1のインターロック装置の上端部226も後壁204から離れる方向に移動する。第1のインターロック装置の上端部226のこの移動によって、ドライバアーム244がドライバスロット252内を移動して、ロックアウトパッドの底面246がハウジング202内のロック解除位置まで引き込まれ、操作者が(図1に示した)カセット106を設備キャビネット(図示せず)から引き抜くことが可能になる。底面246がロック解除位置にあるとき、底面246は、制御アセンブリのハウジング202の底面から第1の距離d引込だけ延在している。
【0024】
図8は、充電制御アセンブリ200の上面図であり、図9は、軸A−Aに沿った、充電制御アセンブリの断面図である。具体的に、図8及び9は、(図3に示した)キャパシタ122が、第1の入力装置110を介して受け付けた第1のユーザ入力に基づいて、電気エネルギーの蓄積により充電された状態における、(図1〜3に示した)制御装置108の動作状態を示している。第1のユーザ入力は、一実施形態において、第1の入力装置110を押す操作であり、これによって、第1の入力装置110が第1の位置から第2の位置まで移動する。第1の入力装置110のこの移動によって、第1のスイッチ254が第1の信号を生成し、この第1の信号を(図3に示した)PCB120と結合された論理回路(図8及び9には示さず)に送信する。この論理回路により、(図1に示した)回路保護装置100の起動に用いる電気エネルギーの、キャパシタ122への蓄積が開始する。この論理回路は更に、キャパシタ122が充電済みであることを、(図2に示した)照光装置116を用いて示す。
【0025】
更に、第1の入力装置110の移動によって、第1のアーム230が後壁204に向かって移動する。第1のアーム230のこの移動によって、第1のインターロック装置の上端部226が後壁204に向かって移動し、更に、第1のロックアウト部分214が、引き込まれた第1の位置から第2の位置まで延伸する。第1のインターロック装置の上端部226のこの移動によって更に、ドライバアーム244がドライバスロット252内を移動して、ロックアウトパッドの底面246がハウジング202からロック位置まで延伸する。底面246がロック位置にあるとき、底面246は、制御アセンブリのハウジング202の底面から、第1の距離d引込よりも長い第2の距離d延伸だけ延在している。底面246を延伸させることで、回路保護装置100を正位置にロックし易くなり、キャパシタ122が充電済みの場合に回路保護装置100を設備筺体から取り出そうとすることを阻止できる。
【0026】
図10は、充電制御アセンブリ200に適用可能な電気的アーキテクチャ300の概略ブロック図である。本実施例において、アーキテクチャ300は、第1のスイッチ254及び第2のスイッチ256を含む。スイッチ254及び256は、PCB120と通信可能に結合されている。更に、第1のオプトカプラ302及び第2のオプトカプラ304を含む複数のオプトカプラが、PCB120と電気的に結合されている。オプトカプラ302及び304は、第1のスイッチ254及び第2のスイッチ256と、それぞれ通信可能に結合されている。オプトカプラ302及び304はそれぞれ、ハウジング内に発光ダイオード(LED)及びフォトトランジスタを含む(いずれも図示せず)。電気信号が、対応するオプトカプラの入力に印加されると、LEDは、隔離障壁を越えて光を発する。この光は、フォトトランジスタによって検出され、フォトトランジスタは、対応する電気信号を生成して送信する。例えば、第1のスイッチ254は、(図2に示した)第1の入力装置110を介して第1のユーザ入力を検出すると、第1の信号を第1のオプトカプラ302に送信する。第1のオプトカプラ302内のLEDが光を発し、この光は、第1のオプトカプラ302内のフォトトランジスタによって検知される。
【0027】
更に、アーキテクチャ300は、オプトカプラ302及び304と電気的に結合された論理回路306を含む。論理回路306は、放電キャパシタ308と通信可能に結合されている。論理回路306は、任意のプログラム可能なシステムであってよく、例えば、システム及びマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理回路(PLC)、及び本明細書に記載の機能を実行可能なその他任意の回路であってよい。上述の各例は例示にすぎず、したがって、論理回路という用語の定義及び/又は意味をいかなる形でも限定するものではない。
【0028】
本実施例において、放電キャパシタ308は更に、キャパシタ122と通信可能に結合され、第1の入力装置110からの第1のユーザ入力に対する応答としてキャパシタ122に放電制御信号を与える。更に、キャパシタ122は、電界効果トランジスタ310(例えば、Pチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET))と電気的に結合される。キャパシタ122は更に、(図1に示した)収納アセンブリ102内でアークを発生させるために使用するプラズマガン312と電気的に結合される。照光装置116は更に、論理回路306と通信可能に結合されている。図10に示したように、照光装置116は、第1の照光装置312、第2の照光装置314、及び第3の照光装置316を含む。第1の照光装置312は、キャパシタ122が第1のユーザ入力に対する応答として放電すると、論理回路306によって起動される。第2の照光装置314は、キャパシタ122が第2のユーザ入力に対する応答として充電中のとき、論理回路306によって起動される。第3の照光装置316は、キャパシタ122が第2のユーザ入力に対する応答として充電されると、論理回路306によって起動される。
【0029】
動作時には、第1のユーザ入力を第1の入力装置110が受け付け、第1の信号が第1のスイッチ254から第1のオプトカプラ302に送信される。第1のオプトカプラ302のLEDが、第1の信号に対する応答として光を発し、第1のオプトカプラ302のフォトトランジスタが、その光を検出して第1の信号を表す信号を生成する。このフォトトランジスタは、信号を論理回路306に送信する。論理回路306は、信号を放電キャパシタ308に送信し、放電キャパシタ308は、放電信号を電界効果トランジスタ310に送信する。放電信号に対する応答として、電界効果トランジスタ310は、キャパシタ122が蓄積エネルギーをグラウンドに放出するようにトリガされる。更に、論理回路306は、第1の照光装置312を起動することにより、キャパシタ122が放電済みであること、並びに回路保護装置100をその設置場所から安全に取り外し可能であることを示す。
【0030】
更に、第2のユーザ入力を第2の入力装置112で受け付けることもでき、これによって、第2のスイッチ256が第2の信号を第2のオプトカプラ304に送信する。第2のオプトカプラ304のLEDが、第2の信号に対する応答として光を発し、第2のオプトカプラ304のフォトトランジスタが、その光を検出して、第2の信号を表す信号を生成する。このフォトトランジスタは、信号を論理回路306に送信する。論理回路306は、キャパシタ122にエネルギーを蓄積させ、更に、第2の照光装置314を起動することにより、キャパシタ122が充電中であることを示す。キャパシタ122が充電されると、論理回路306は、第3の照光装置316を起動することにより、キャパシタ122が充電済みであることを示す。
【0031】
以上、回路保護装置に用いる複数のキャパシタの充電状態を制御する装置及び方法の実施例を詳細に説明した。本装置及び本方法は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、本方法の動作、及び/又は本システム及び/又は装置の部品を、本明細書に記載の他の動作及び/又は部品とは別個独立に利用可能である。更に、本明細書に記載の動作及び/又は部品を、他のシステム、方法、及び/又は装置の形で構成してもよいが、他のシステム、方法、及び/又は装置と組み合わせて使用してもよく、本明細書に記載のシステム、方法、及び記憶媒体のみによる実施に限定されるものではない。
【0032】
電力設備保護システム環境の一例に関連して本発明を説明したが、本発明の実施形態は、その他多くの汎用又は専用の電力設備保護システム環境又は構造でも機能する。この電力設備保護システム環境は、本発明のいかなる態様の用途又は機能の範囲についていかなる限定も示唆するものではない。また、この電力設備保護システム環境は、動作環境の例において説明したいかなる部品又は部品の組み合わせに関しても、いかなる依存又は要件も有するものではないことを理解されたい。
【0033】
本明細書において図示及び記述した、本発明の実施形態の動作の実行又は実施の順序は、特に明記しない限り必須ではない。即ち、明記しない限り、これらの動作をいかなる順序で実行してもよく、本発明の実施形態には、本明細書に記載したものよりも多くの動作又は少ない動作も含まれる。例えば、或る動作の実行又は実施が、別の動作の前であっても、別の動作と同時であっても、別の動作の後であっても、本発明の態様の範囲内であると考えられる。
【0034】
本発明の態様又は本発明の実施形態の要素を説明する際、数詞がないことや「前記」などの冠詞は、その要素が1つ以上あることを示すことを意図している。「有する」「含む」「備える」という用語は、包括的であることを意図しており、列挙した要素以外にも追加の要素があり得ることを意図している。
【0035】
本明細書では、最適な態様も含め、例を用いて本発明を開示したが、これによってまた、当業者は、任意の装置又はシステムの作製及び使用、並びに付随する任意の方法の実施を含め、本発明を実施できる。本発明の特許請求の範囲は、請求項に定義されているが、当業者に想到可能なその他の例も含み得る。こうした他の例は、請求項の文言と相違ない構成要素を有する場合、又は請求項の文言と実質的な相違を有さない等価の構成要素を有する場合、特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0036】
100 回路保護装置
102 収納アセンブリ
104 外側カバー
106 カセット
108 制御装置
110 第1の入力装置
112 第2の入力装置
114 状態インジケータ
116 照光装置
118 ハウジング
120 プリント回路基板
122 キャパシタ
200 キャパシタ充電制御アセンブリ
202 ハウジング
204 後壁
206 第1の側壁
208 第2の側壁
210 前面アセンブリ
212 リンケージアセンブリ
214 第1のロックアウト部分
216 第2のロックアウト部分
218 掛け金スロット
220 ガイドスロット
222 クランクアセンブリ
224 第1のインターロック装置
226 上端部
228 下端部
230 第1のアーム
232 第2のインターロック装置
234 上端部
236 下端部
238 第2のアーム
240 メインシャフト
242 ロックアウトパッド
244 ドライバアーム
246 底面
248 第1の壁
250 第2の壁
252 ドライバスロット
254 第1のスイッチ
256 第2のスイッチ
258 スペーサブロック
260 ベース
262 上部
264 下部
266 第1のスロット
268 第2のスロット
270 第1の溝
272 第2の溝
274 プラットフォーム
276 トング部
278 トングスロット
280 第1の溝
282 第2の溝
284 ガイドピン
300 電気的アーキテクチャ
302 第1のオプトカプラ
304 第2のオプトカプラ
306 論理回路
308 放電キャパシタ
310 電界効果トランジスタ
312 第1の照光装置
314 第2の照光装置
316 第3の照光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの起動キャパシタ(122)を含む回路保護装置(100)に適用されるキャパシタ充電制御アセンブリ(200)であって、
第1のユーザ入力及び第2のユーザ入力を受け付けるように構成された、少なくとも1つの入力装置(110、112)と、
前記少なくとも1つの入力装置(110、112)が第1の位置と第2の位置との間で可動であるように、前記少なくとも1つの入力装置(110、112)と結合されたリンケージアセンブリ(212)と、
前記少なくとも1つの入力装置(110、112)と結合され、第1の信号及び第2の信号のうちの一方を生成するように構成された、少なくとも1つのスイッチ(254、256)であって、前記第1の信号は、前記第1のユーザ入力に基づいており、前記第2の信号は、前記第2のユーザ入力に基づいており、前記第1の信号は、前記少なくとも1つの起動キャパシタ(122)に蓄積されたエネルギーを放電させ、前記第2の信号は、前記少なくとも1つの起動キャパシタ(122)にエネルギーを蓄積させる、少なくとも1つのスイッチ(254、256)と、
を備えるキャパシタ充電制御アセンブリ(200)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの入力装置(110、112)は、前記第1のユーザ入力を受け付けるように構成された第1の入力装置(110)と、前記第2のユーザ入力を受け付けるように構成された第2の入力装置(112)と、を含み、
前記少なくとも1つのスイッチ(254、256)は、
前記第1の入力装置(110)と結合された第1のスイッチ(254)であって、前記第1のユーザ入力によって前記第1の入力装置(110)が前記第1の位置から前記第2の位置に移動すると前記第1の信号を送信するように構成された第1のスイッチ(254)と、
前記第2の入力装置(112)と結合された第2のスイッチ(256)であって、前記第2のユーザ入力によって前記第2の入力装置(112)が前記第1の位置から前記第2の位置に移動すると前記第2の信号を送信するように構成された第2のスイッチ(256)と、を含む、
請求項1に記載のキャパシタ充電制御アセンブリ(200)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの入力装置(110、112)は、前記第1のユーザ入力を受け付けるように構成された第1の入力装置(110)と、前記第2のユーザ入力を受け付けるように構成された第2の入力装置(112)と、を含み、前記第1の入力装置(110)が前記第1の位置にあるときに前記第2の入力装置(112)が前記第2の位置にあるように、前記リンケージアセンブリ(212)が前記第1の入力装置(110)及び前記第2の入力装置(112)と結合されている、請求項1に記載のキャパシタ充電制御アセンブリ(200)。
【請求項4】
前記第1のユーザ入力によって前記第1の入力装置(110)が前記第1の位置から前記第2の位置まで移動すると、前記第2の入力装置(112)が前記第2の位置から前記第1の位置まで移動するように、前記リンケージアセンブリ(212)が前記第1の入力装置(110)及び前記第2の入力装置(112)と結合されている、請求項3に記載のキャパシタ充電制御アセンブリ(200)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの入力装置(110、112)の位置に基づいて第1のロックアウト位置と第2のロックアウト位置との間で可動であるように、前記リンケージアセンブリ(212)と結合された、少なくとも1つのロックアウト部分(214、216)を更に備える、請求項1に記載のキャパシタ充電制御アセンブリ(200)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの入力装置(110、112)は、第1の入力装置(110)及び第2の入力装置(112)を含み、前記少なくとも1つのロックアウト部分(214、216)は、第1のロックアウト部分(214)及び第2のロックアウト部分(216)を含み、前記第1の入力装置(110)が前記第1の位置にあるときに、前記第1のロックアウト部分(214)は前記第1のロックアウト位置にあり、前記第2のロックアウト部分(216)は前記第2のロックアウト位置にある、請求項5に記載のキャパシタ充電制御アセンブリ(200)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの入力装置(110、112)の位置に基づいてロック位置とロック解除位置との間で可動であるように、前記リンケージアセンブリ(212)と結合されたロックアウトパッド(242)を更に備える、請求項1に記載のキャパシタ充電制御アセンブリ(200)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの入力装置(110、112)が前記第2の位置にあるときに、前記ロックアウトパッド(242)は延伸位置にある、請求項7に記載のキャパシタ充電制御アセンブリ(200)。
【請求項9】
回路保護装置(100)に適用される制御装置であって、
論理回路(306)と、
前記論理回路(306)と電気的に結合され、前記回路保護装置(100)を起動するように構成された、複数のキャパシタ(122)と、
充電制御アセンブリ(200)と、を備え、
前記充電制御アセンブリ(200)は、
第1のユーザ入力及び第2のユーザ入力を受け付けるように構成された、少なくとも1つの入力装置(110、112)と、
前記少なくとも1つの入力装置(110、112)のそれぞれが、第1の位置と第2の位置との間で可動であるように、前記少なくとも1つの入力装置(110、112)と結合されたリンケージアセンブリ(212)と、
前記少なくとも1つの入力装置(110、112)と結合され、前記第1のユーザ入力に基づく第1の信号と前記第2のユーザ入力に基づく第2の信号とを生成するように構成された、少なくとも1つのスイッチ(254、256)であって、前記第1の信号は、前記複数のキャパシタ(122)に蓄積されたエネルギーを放電させ、前記第2の信号は、前記複数のキャパシタ(122)にエネルギーを蓄積させる、少なくとも1つのスイッチ(254、256)と、を備える、制御装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの入力装置(110、112)は、第1の入力装置(110)及び第2の入力装置(112)を含み、
前記少なくとも1つのスイッチ(254、256)は、前記第1の入力装置(110)と結合された第1のスイッチ(254)と、前記第2の入力装置(112)と結合された第2のスイッチ(256)とを含み、
前記第1のスイッチ(254)は、前記第1のユーザ入力によって前記第1の入力装置(110)が前記第1の位置から前記第2の位置に移動すると前記第1の信号を生成するように構成され、前記第2のスイッチ(256)は、前記第2のユーザ入力によって前記第2の入力装置(112)が前記第1の位置から前記第2の位置に移動すると前記第2の信号を生成するように構成された、請求項9に記載の制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate