説明

キャパシタ充電制御回路

【課題】等しい抵抗値の抵抗によって分圧回路を構成することができ、また回路構成の簡易な並列モニタ回路を提供する。
【解決手段】複数のキャパシタ26a、26b、…が直列に接続され、各キャパシタには並列モニタ回路25a、25b、…のバイパス素子32が並列に接続される。D−Aコンバータ23からは一定電圧ずつ異なる複数の電圧Vaが順次出力され、この電圧Vaは複数の並列モニタ回路に入力される。各キャパシタは、電圧Vaで決まるモニタ電圧によりも充電電圧が高くなるとバイパス素子を通じて放電し、所定のモニタ電圧に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直列接続された複数のキャパシタの各々に均等に充電するためのキャパシタ充電制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
2次電池が充電に時間が掛かるのに対し、電気二重層キャパシタは急速充電が可能である。しかも、電気二重層キャパシタには、大量にエネルギーが貯蔵できる(エネルギー密度が高い)という2次電池には無い特徴がある。しかし、電気二重層キャパシタは定格電圧が3.0V程度と低いため、通常複数の電気二重層キャパシタを直列に接続してより大きな電圧を確保している。
【0003】
このように電気二重層キャパシタを複数直列接続した大容量キャパシタを充電する際には、各電気二重層キャパシタの容量差や自己充電、自己放電などによって生ずる各キャパシタ毎の充電電圧の不均一が問題となる。
【0004】
この対策には通常、並列モニタ回路と呼ばれる充電均一化回路が用いられている。例えば、特許文献1に開示のキャパシタ充電監視制御装置では、直列に接続された各電気二重層キャパシタにそれぞれ並列モニタ回路を設けておき、電気二重層キャパシタの電圧(電気二重層キャパシタの両端間電圧)が所定のモニタ電圧に達したら、そのキャパシタの充電電流を並列モニタ回路のバイパストランジスタでバイパスさせることにより電気二重層キャパシタの電圧を所定のモニタ電圧値に保持するようにしている。そして、充電初期に各電気二重層キャパシタの電圧を一旦モニタ電圧に揃えて初期化し、各電気二重層キャパシタの電圧が所定のモニタ電圧に揃ってから各電気二重層キャパシタを満充電させるようにし、満充電時の充電バラツキを少なくしている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の並列モニタ回路のように、初期化時のモニタ電圧が1つでは様々な条件に応じた細かな制御ができないため、満充電を検出して充電を停止したときにおける各キャパシタの充電状態のバラツキが大きかった。
【0006】
そのため、特許文献2に開示された並列モニタ回路では、モニタ電圧を複数段に設定し、各電気二重層キャパシタの電圧があるモニタ電圧で揃ったら、さらに大きなモニタ電圧まで充電を行なって各電気二重層キャパシタのモニタ電圧を揃えるようにし、各電気二重層キャパシタの電圧を次第に大きなモニタ電圧に揃えながら満充電電圧まで充電させるようにしている。
【0007】
図1は特許文献2に開示されているモニタ電圧生成回路を示す回路図である。このモニタ電圧生成回路では、エミッタに抵抗R1、R2、…を接続されたバイパストランジスタQ1、Q2、…を各電気二重層キャパシタ(以下、単にキャパシタという。)C1、C2、…に並列接続し、キャパシタC1に電源Vddが接続されている。また、破線で囲まれた部分が各キャパシタC1、C2、…の並列モニタ回路PM1、PM2、…となっている。並列モニタ回路PM1、PM2、…はいずれも同じ構成となっているので、以下では並列モニタ回路PM1について説明する。
【0008】
並列モニタ回路PM1は、電圧設定回路VS1、コンパレータCMP11、コンパレータCMP12、基準電圧Vr1、出力制御回路OC1、バイパスドライブトランジスタM1を有しており、端子Cel11とCel12がキャパシタC1の両端に接続され、端子Out1がバイパストランジスタQ1のベースに接続されている。
【0009】
電圧設定回路VS1の両端にはキャパシタC1の両端間電圧(以下、キャパシタ電圧という。)が加わっており、その出力VSo1はキャパシタ電圧に比例した電圧を出力し、その比例定数は制御回路により設定される。
【0010】
コンパレータCMP12は、電圧設定回路VS1の出力VSo1と基準電圧Vr1とを比較し、出力VSo1が基準電圧Vr1よりも大きくなるとハイレベルを出力する。よって、キャパシタC1が充電されてキャパシタ電圧が高くなると、それに比例して出力VSo1が増加し、キャパシタ電圧がある値に達すると出力VSo1が基準電圧Vr1に達する。出力VSo1が基準電圧Vr1になると、コンパレータCMP12の出力がハイレベルに切り換わり、バイパスドライブトランジスタM1をオンにする(出力制御回路OC1は、ENIN1がアクティブのとき導通状態となる。)。こうしてバイパスドライブトランジスタM1がオンになると、バイパストランジスタQ1がオンになってキャパシタC1が放電され、キャパシタ電圧がある値に保持される。
【0011】
なお、コンパレータCMP11は、キャパシタC1の過放電による低電圧を監視し、低電圧になるとキャパシタC1の放電を停止するものである。
【0012】
図2は電圧設定回路VS1の構成を示す回路図である。デコーダDeCは4ビットの入力RC1a〜RC1d(図1のRC1)の値に応じて出力OUT1〜OUT16のいずれか1つの出力をハイレベルとし、他の出力をローレベルとする。出力OUT1B〜OUT16Bはそれぞれ、出力OUT1〜OUT16と反対のレベルとなる。分圧用の抵抗r0、r1、…r18は直列に接続されており、抵抗r0の上端は端子Cel11に接続し、抵抗r18の下端はNMOSトランジスタM1aを介して端子Cel12に接続している。この端子Cel11とCel12間の電圧はキャパシタC1の電圧である。
【0013】
アナログスイッチ(NMOSトランジスタとPMOSトランジスタによって構成されている。)ASW1〜ASW15は、それぞれの制御端子ASGをデコーダDeCの出力OUT1〜OUT15に接続し、制御端子ASGBをデコーダDeCの出力OUT1B〜OUT15Bに接続している。また、アナログスイッチASW1〜ASW15の端子INはいずれも抵抗r0とr1の中点に接続し、各端子OUTは抵抗r1とr2の中点、抵抗r2とr3の中点、…、抵抗r15とr16の中点に接続している。アナログスイッチASW1〜ASW15は、制御端子ASGがハイレベルでASGBがローレベルのときに端子IN−OUT間が導通状態となり、抵抗r1、r1〜r2、…、r1〜r15をショートさせるものである。
【0014】
電圧設定回路VS1は、キャパシタC1の満充電電圧を2.7Vとしたとき、入力RC1a〜RC1dの値に応じて、1.3V〜2.7Vまで0.1V刻みでキャパシタC1のモニタ電圧を変化させられるようにしている。すなわち、アナログスイッチASW1がオンのときにはモニタ電圧は1.3Vとなり、アナログスイッチASW2がオンのときにはモニタ電圧は1.4Vとなり、アナログスイッチASW3〜ASW14を順次オンに切り換えていくことによってモニタ電圧が0.1Vずつ大きくなり、アナログスイッチASW15がオンになるとモニタ電圧は満充電電圧2.7Vとなる。
【0015】
なお、キャパシタC1のモニタ電圧は絶対精度が要求されるので、抵抗r16と並列に接続されたヒューズ素子F1をトリミングすることによってモニタ電圧を変えられるようにしている。また、インバータINV1、アナログスイッチASW16及び抵抗r17は、コンパレータCMP12をヒステリシス動作させるものである。
【0016】
しかして、このモニタ電圧生成回路では、充電開始時には、それぞれの並列モニタ回路PM1、PM2、…のアナログスイッチASW1をオンにしてモニタ電圧を1.3Vに設定し、各キャパシタC1、C2、…に充電する。1.3Vに達したキャパシタはバイパストランジスタがオンとなって放電するのでモニタ電圧1.3Vに保持される。こうして全てのキャパシタC1、C2、…のキャパシタ電圧が1.3Vに達したことを検知すると、制御回路は入力RC1a〜RC1dの値を変化させてそれぞれの並列モニタ回路PM1、PM2、…のアナログスイッチASW2をオンにしてモニタ電圧を1.4Vに設定し、各キャパシタC1、C2、…に充電する。1.4Vに達したキャパシタはバイパストランジスタがオンとなって放電するのでモニタ電圧1.4Vに保持される。こうして全てのキャパシタC1、C2、…のキャパシタ電圧が1.4Vに達したことを検知すると、制御回路はモニタ電圧を1.5Vに引き上げる。このようにして、複数のキャパシタC1、C2、…のキャパシタ電圧を各々同一のモニタ電圧となるように揃えながら0.1Vずつ満充電電圧2.7Vまで昇圧させていくので、このモニタ電圧生成回路によれば複数のキャパシタC1、C2、…の充電完了時の充電レベルを均一に揃えることができる。
【0017】
【特許文献1】特許第3313647号公報
【特許文献2】特開2005−287155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
電気二重層キャパシタの充電電圧を揃えながら順次昇圧させるためのモニタ電圧は等間隔で昇圧させる必要がある。しかし、特許文献2に開示されたようなモニタ電圧生成回路では、分圧側でモニタ電圧を調整しているため、分圧用の抵抗r0〜r15を同じ値に揃えることができず、それぞれ独自の値を持つ。半導体集積回路では、抵抗の相対ペア精度を上げるためには、各抵抗の形状、幅、長さを揃える必要があるが、各抵抗r0〜r15の値が異なることで各抵抗値の精度バラツキが大きくなり、モニタ電圧の精度を得にくいという問題があった。
【0019】
しかも、特許文献2のモニタ電圧生成回路では、各並列モニタ回路毎に分圧用の抵抗r0〜r18が必要となるので、抵抗作製に手間が掛かると共に並列モニタ回路間での抵抗値も揃えなければならず、抵抗作製の困難度が高かった。そのため、特許文献2のような構造では、モニタ電圧生成回路ないし並列モニタ回路の歩留りが低下していた。
【0020】
なお、特許文献2の段落0025には、「抵抗r1〜r15の抵抗値を全て同じ抵抗値に設定すると、アナログスイッチASW1〜ASW15のオン/オフによって設定されるモニタ電圧の隣り合った電圧差を均等にすることができる。例えば、モニタ電圧を1.3Vから2.7Vまで0.1V刻みに設定可能である。」という記載が見られる。しかし、この電圧設定回路では、アナログスイッチASW1〜ASW15によって抵抗r1〜rn(n=1〜15)をショートさせるよう構成されているので、抵抗r1〜r15の各抵抗値を等しくした場合にはモニタ電圧が等間隔で変化せず、モニタ電圧を等間隔(例えば、0.1V刻み)で変化させようとすれば、各抵抗r1〜r15の抵抗値は互いに異なったものとなる。すなわち、モニタ電圧を低い側から順にVm1、Vm2、…Vm15とすれば、
Vm1=〔1+r0/(r2+r3+…r18)〕Vr1
Vm2=〔1+r0/(r3+r4+…r18)〕Vr1

Vm15=〔1+r0/(r16+r17+r18)〕Vr1
となるので、モニタ電圧を等間隔で変化させるためには、
r2/〔(r3+r4+…r18)(r2+r3+…r18)〕
=r3/〔(r4+r5+…r18)(r3+r4+…r18)〕

=r15/〔(r16+r17+r18)(r15+r16+r17+r18)〕
を満たさねばならず、抵抗r1〜r15は同じ値にはならず、独自の値をとる。
【0021】
また、特許文献2に開示された発明にあっては、各並列モニタ回路毎に複数個のアナログスイッチASW1〜ASW16が必要となるので、全体としては並列モニタ回路数×デコーダの出力ビット数だけのアナログスイッチが必要となり、多数のアナログスイッチを作製しなければならなかった。さらに、基準電圧Vr1、Vr2、…も各並列モニタ回路毎に必要となっていた。そのため、特許文献2のモニタ電圧生成回路では、構成要素が多く、構造が複雑となっていた。
【0022】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、等しい抵抗値の抵抗によって分圧回路を構成することができ、また回路構成の簡易なキャパシタ充電制御回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
このような目的を達成するために、本発明の第1のキャパシタ充電制御回路は、直列に接続された複数のキャパシタのそれぞれに接続された電流バイパス用の複数のバイパス素子と、前記バイパス素子のそれぞれに流れる電流を制御するための複数のバイパス素子制御手段と、複数の前記バイパス素子制御手段のそれぞれに同一の制御電圧を入力すると共に前記制御電圧を切り換え可能とした制御電圧設定手段とを備え、前記バイパス素子制御手段は、前記キャパシタのそれぞれを充電するとともに、前記キャパシタの充電電圧が前記制御電圧によって決まる所定電圧値未満であれば前記バイパス素子を遮断状態に保ち、前記キャパシタの充電電圧が前記所定電圧値を超えると前記バイパス素子を通じて前記キャパシタを放電させることによって前記キャパシタの充電電圧を一定に保持することを特徴としている。
【0024】
かかる第1のキャパシタ充電制御回路によれば、1つの制御電圧設定手段で発生した制御電圧を複数のバイパス素子制御手段に入力することができるので、複数レベルの制御電圧を発生させるための制御電圧設定手段を複数のバイパス素子制御手段に対して共用化することができ、キャパシタ充電制御回路の構成を簡略化することができる。また、1つの制御電圧設定手段で制御電圧を発生させているので、複数のバイパス素子制御手段にそれぞれ制御電圧設定手段を設ける場合のようにバイパス素子制御手段毎に制御電圧のバラツキが発生する恐れがなく、キャパシタ充電制御回路の動作精度を向上させることができる。
【0025】
また、本発明の第2のキャパシタ充電制御回路は、直列に接続された複数のキャパシタのそれぞれに接続された電流バイパス用の複数のバイパス素子と、前記バイパス素子のそれぞれに流れる電流を制御するための複数のバイパス素子制御手段と、複数の前記バイパス素子制御手段のそれぞれに同一の制御電圧を入力すると共に前記制御電圧を切り換え可能とした制御電圧設定手段とを備え、前記バイパス素子制御手段は、前記キャパシタのそれぞれを充電するとともに、前記キャパシタの充電電圧が前記制御電圧によって決まる所定電圧値の近傍にある場合には、前記キャパシタの充電電圧が上昇するに従って前記バイパス素子を通じて前記キャパシタから放電される電流量を次第に増加させることによって前記キャパシタの充電電圧を一定に保持することを特徴としている。
【0026】
かかる第2のキャパシタ充電制御回路によれば、1つの制御電圧設定手段で発生した制御電圧を複数のバイパス素子制御手段に入力することができるので、複数レベルの制御電圧を発生させるための制御電圧設定手段を複数のバイパス素子制御手段に対して共用化することができ、キャパシタ充電制御回路の構成を簡略化することができる。また、1つの制御電圧設定手段で制御電圧を発生させているので、複数のバイパス素子制御手段にそれぞれ制御電圧設定手段を設ける場合のようにバイパス素子制御手段毎に制御電圧のバラツキが発生する恐れがなく、キャパシタ充電制御回路の動作精度を向上させることができる。さらに、バイパス素子制御手段をアナログ動作(アンプ動作)させているので、キャパシタの充電電圧にリップル等が発生しにくく、充電動作が安定する。
【0027】
本発明の第1又は第2のキャパシタ充電制御回路のある実施態様においては、前記制御電圧設定手段が、抵抗値の等しい複数の抵抗を含む分圧回路と前記分圧回路からの電圧取出位置を変化させて制御電圧を切り換えるための切り換え手段とを有し、前記電圧設定手段により制御電圧を変化させて前記所定電圧値を等間隔で変化させるようにしている。かかる実施態様によれば、等間隔で所定電圧値を発生させるために分圧回路の抵抗値を等しくすることができるので、分圧回路を構成する抵抗の幅や形状を等しくすることができ、抵抗作製時のペアバラツキを低減でき、キャパシタ充電制御回路の動作精度を向上させることができる。
【0028】
本発明のキャパシタ充電制御回路の別な実施態様は、前記バイパス素子制御手段がそれぞれ、制御電圧設定手段の制御電圧に比例した電流を生成する電圧−電流変換回路と、前記電圧−電流変換回路の電流に比例した電圧を生成して前記所定電圧値を出力する電流−電圧変換回路と、前記所定電圧値と前記キャパシタの充電電圧を比較して前記バイパス素子を制御するバイパス素子駆動回路とによって構成することができる。
【0029】
上記別な実施態様においては、前記電流−電圧変換回路が、当該回路から出力される所定電圧値を微調整するためのトリミング抵抗を有していることが望ましい。トリミング抵抗を有していれば、各バイパス素子制御手段における所定電圧値をトリミング抵抗のトリミングによって微調整することができ、各バイパス素子制御手段の間における所定電圧値のバラツキを小さくできる。
【0030】
また、上記別な実施態様においては、前記電圧−電流変換回路を対応する各キャパシタの一方の極に接続してもよい。かかる構成によれば、電圧−電流変換回路を電流源として用いてキャパシタに充電させることができる。
【0031】
なお、本発明における前記課題を解決するための手段は、以上説明した構成要素を適宜組み合せた特徴を有するものであり、本発明はかかる構成要素の組合せによる多くのバリエーションを可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(実施形態1)
図3は本発明の実施形態1にかかるキャパシタ充電制御回路21の構成を示すブロック図である。このキャパシタ充電制御回路21は、基準電圧発生回路22、D−Aコンバータ23(制御電圧設定手段)、デコーダ24、複数の並列モニタ回路25a、25b、…(バイパス素子制御手段)、複数の電気二重層キャパシタ(以下、キャパシタという。)26a、26b、…よりなる。
【0033】
基準電圧発生回路22は所定の直流基準電圧(バンドギャップ基準電圧)Vbgを生成し、D−Aコンバータ23に基準電圧Vbgを供給する。デコーダ24は、制御回路から出力されたNビットの入力信号(2値デジタル信号)27をデコードし、2通りの制御信号をD−Aコンバータ23に出力し、D−Aコンバータ23を制御する。D−Aコンバータ23は、デコーダ24からの制御信号に応じて異なる電圧を出力するものであり、デコーダ24からの制御信号の値に応じて一定電圧ずつ異なる2乗とおりのレベルの電圧Va(例えば、1.2Vから2.7Vまで0.1V刻みの電圧)のうちいずれかを各々の並列モニタ回路25a、25b、…へ出力する。
【0034】
電気二重層キャパシタ26a、26b、…は、非常に表面積の大きな導体(例えば、活性炭)を用いたものであり、内部抵抗は多少犠牲にしてエネルギー密度を高くしたものである。
【0035】
並列モニタ回路25a、25b、…は、電圧−電流変換回路(定電流源)28a、28b、…、電流−電圧変換回路29a、29b、…、キャパシタ電圧分圧回路30a、30b、…、バイパス素子駆動回路31a、31b、…、バイパス素子32a、32b、…によって構成されている。これらの並列モニタ回路25a、25b、…は、いずれも同じ構成を有しているので、以下においては、並列モニタ回路25aについてのみ説明する。
【0036】
電圧−電流変換回路28aは、D−Aコンバータ23から出力された制御電圧Vaを、制御電圧Vaに比例した電流に変換する。この電圧−電流変換回路28aはキャパシタ26aに接続されており、電流供給ライン33aを通してキャパシタ26aに電流を供給する定電流源となっている。
【0037】
電流−電圧変換回路29aは、電圧−電流変換回路28aにより変換された電流を再び電圧に戻して比較電圧Vbを生成し、この比例電圧Vbをバイパス素子駆動回路31aに入力する。ただし、電流電圧変換回路29aで再生成される比較電圧Vbは、キャパシタ26aと縦列に接続されているキャパシタ26bとの間の電圧を基準とする電圧である。また、電流電圧変換回路29aはトリミング抵抗を有しており、トリミング抵抗をトリミングすることにより電圧値を微調整することができる。
【0038】
キャパシタ電圧分圧回路30aには、キャパシタ26aの両端間電圧Vc1(キャパシタ26aの下側電極を基準とした上側電極の電圧であって、図4の回路ではVc1<0となる。)が印加されており、キャパシタ電圧分圧回路30aはこのキャパシタ電圧Vc1を分圧した検知電圧kVc1をバイパス素子駆動回路31に入力する。
【0039】
バイパス素子駆動回路31aには電流電圧変換回路29aからの比較信号Vbとキャパシタ電圧分圧回路30aからの検知電圧kVc1とが入力されており、検知電圧|kVc1|が比較信号|Vb|よりも小さいときにはバイパス素子駆動回路31はオフとなっており、検知電圧|kVc1|が比較信号|Vb|よりも大きくなるとバイパス素子駆動回路31がオンとなる。
【0040】
バイパス素子32aはキャパシタ26aの両端に接続されており、バイパス素子駆動回路31aがオフのときにはバイパス素子32aは遮断状態となっているが、バイパス素子駆動回路31aがオンになるとバイパス素子32aが導通してキャパシタ26aが放電する。
【0041】
従って、この並列モニタ回路25aにあっては、キャパシタ26aの充電を開始したとき、キャパシタ26aのキャパシタ電圧Vc1が|Vb/k|に達したときにバイパス素子32aが導通状態となる。その結果、キャパシタ26aが放電することにより、キャパシタ26aの電圧Vc1が一定電圧(モニタ電圧)Vc1/kに保持される。また、比較電圧Vbは、入力信号27によって段階的に変化させることができる。
【0042】
各並列モニタ回路25a、25b、…が上記のような動作を行なうので、キャパシタ充電制御回路21が入力信号27によって各並列モニタ回路25a、25b、…を同じモニタ電圧に設定すると、各並列モニタ回路25a、25b、…のうちモニタ電圧に達したものは当該モニタ電圧に保持されるので、各並列モニタ回路25a、25b、…は同じキャパシタ電圧(モニタ電圧)に揃う。そして、制御回路(図示せず)が、すべてのキャパシタ26a、26b、…がモニタ電圧に達したことを検知すると、入力信号27を変化させてモニタ電圧を一段大きくする。こうして、各キャパシタ26a、26b、…はモニタ電圧に揃えられながら次第に昇圧し、最終的に満充電電圧まで充填されるので、各キャパシタ26a、26b、…は満充電時のバラツキが小さくなって均一に充電される。
【0043】
図4は実施形態1によるキャパシタ充電制御回路21を具体化した回路を示す回路図である。基準電圧発生回路22は、電源Vddから電力を供給されており、一定の基準電圧Vbgを出力している。
【0044】
D−Aコンバータ23は、直列に接続された複数の抵抗R1、R21、R22、…、R2n、R3(nは整数)とバックゲートをアース接続した複数のMOS41a、41b、…、41n+1からなる。直列に接続された抵抗R1、R21、…、R3は、上端に基準電圧発生回路22が接続されていて基準電圧Vbgが印加されており、下端は接地されている。各MOS41a、41b、…、41n+1は、抵抗R1とR21の中点、R21とR22の中点、…、R2nとR3の中点にそれぞれドレンを接続され、他端をD−Aコンバータ23の出力端で1点に結合され、それぞれのゲートにデコーダ24の各出力(各ビット)を接続されている。
【0045】
制御回路52からはNビットの入力信号27が入力され、この入力信号27はデコーダ24で2ビットの信号にデコードして出力される。デコーダ24でデコードされた2ビットの信号は、いずれかも1つのビットが1(ハイレベル)で他のビットが0(ローレベル)となっている。
【0046】
各MOS41a、41b、…のゲートには、デコーダ24でデコードされた信号の各ビットが接続されているので、MOS41a、41b、…はデコーダ24からの信号によりいずれか1つだけがオンになり、他はいずれもオフに保たれる。よって、D−Aコンバータ23の出力端には、オンになったNMOSのドレインがつながっている箇所の電圧が取り出される。具体的には、抵抗R21、R22、…、R2nの値は等しく(抵抗値も同じ記号で表わす。)、
R21=R22=R23=…=R2n
となっており、オンにするMOS41a、41b、…を切り換えるとD−Aコンバータ23の出力端には一定電圧ずつ異なる制御電圧Vaのうちいずれかの電圧が取り出される。
【0047】
従って、基準電圧をVbg、Rtot=R1+R21+R22+…+R2n+R3、オンになったNMOSのドレインがつながっている抵抗間中点と接地点との間の抵抗の合成抵抗値をRνとすれば、D−Aコンバータ23からの制御電圧Vaは、次式で表わされる。
Va=(Rν/Rtot)×Vbg (数式1)
【0048】
例えば、D−Aコンバータ23の出力端から1.2Vから2.7Vまで0.1V刻みで制御電圧Vaが出力される場合には、MOS41aのみをオンにした場合にはR1とR21の中点の電圧2.7Vが取り出され、MOS41bのみをオンにした場合にはR21とR22の中点の電圧2.6Vが取り出され、さらに、MOS41nのみをオンにした場合にはR2n−1とR2nの中点の電圧1.3Vが取り出され、MOS41n+1のみをオンにした場合にはR2nとR3の中点の電圧1.2Vが取り出される。
【0049】
D−Aコンバータ23の出力端は複数に分岐されており、複数の並列モニタ回路25a、25b、…のそれぞれの入力には、D−Aコンバータ23から同一の制御電圧Vaが入力される。また、キャパシタ26a、26b、…は異極どうしをつないで直列に接続されており、各並列モニタ回路25a、25b、…の出力端はそれぞれのキャパシタ26a、26b、…の両端に接続されている。なお、各並列モニタ回路25a、25b、…は同じ構成を有しているので、以下においては1つの並列モニタ回路25aだけを説明するが、その説明は他の並列モニタ回路25b、25c、…にも当てはまる。
【0050】
並列モニタ回路25aは、前記のように電圧−電流変換回路28a、電流−電圧変換回路29a、キャパシタ電圧分圧回路30a、バイパス素子駆動回路31a、バイパス素子32aによって構成されている。電圧−電流変換回路28aは、コンパレータ42、NMOS43、抵抗44よりなる。コンパレータ42の出力はNMOS43のゲートに接続され、NMOS43のソースには抵抗44の一端が接続され、抵抗44の他端は接地されている。また、NMOS43のソースがコンパレータ42の反転入力に接続されていて、コンパレータ42には負帰還が掛けられている。コンパレータ42の非反転入力にはD−Aコンバータ23の制御電圧Vaが印加され、NMOS43のドレインは電流電圧変換回路29aに接続されている。よって、抵抗44の上端の電圧がVaとなるので、抵抗44の抵抗値をR4とすれば、NMOS43及び抵抗44には、定電流I4=Va/R4が流れる。この定電流I4の電流値は、前記数式1を用いれば、
I4=(Rν/Rtot)×Vbg/R4 (数式2)
と表わされる。
【0051】
このように電圧−電流変換回路28a、28b、…としてVIアンプを用いているので、電圧−電流変換回路28a、28b、…の出力インピーダンスが低くなり、出力依存性をなくして各キャパシタ26a、26b、…に同じ電流を流すことができる。なお、部品点数を減らすために、各並列モニタ回路25a、25b、…の電圧−電流変換回路を共用化して1つにすることも可能である。
【0052】
電流−電圧変換回路29aは、カレントミラー回路45、抵抗46、トリミング抵抗47によって構成されている。カレントミラー回路45を構成する一方のPNPトランジスタは、コレクタが電圧−電流変換回路28のNMOS43のドレインにつながっているので、カレントミラー回路45を構成する2つのPNPトランジスタにはI4の電流が流れる。カレントミラー回路45を構成する他方のPNPトランジスタのコレクタはバイパス素子駆動回路31aのコンパレータ50の反転入力に接続され、当該反転入力と電流供給ライン33bとの間には抵抗46とトリミング抵抗47を直列に接続したものが挿入されているので、抵抗46の抵抗値をR5、トリミング抵抗47の抵抗値をRtrimとすると、コンパレータ50の反転入力には電流−電圧変換回路29aから電圧I4×(R5+Rtrim)が比較電圧Vrefとして入力される。この比較電圧Vrefは、上記数式2を用いれば、次式のように表わされる。
Vref=Vbg×(Rν/Rtot)(R5+Rtrim)/R4 (数式3)
【0053】
なお、トリミング抵抗47はレーザーでトリミングすることによって抵抗値Rtrimを微調整し、比較電圧Vrefを調整することができるので、各並列モニタ回路25a、25b、…毎のオフセットをキャンセルすることができる。
【0054】
また、カレントミラー回路45を構成する2つのトランジスタのエミッタは、電流供給ライン33aを通じてキャパシタ26aにつながっているので、電流−電圧変換回路29aを通じて定電流源(電圧−電流変換回路28a)からキャパシタ26aに充電することができる。
【0055】
キャパシタ電圧分圧回路30aは、直列に接続された抵抗48、49によって構成されている。キャパシタ電圧分圧回路30は、キャパシタ26と並列となるように、キャパシタ26の両端に接続されており、抵抗48、49の中点はバイパス素子駆動回路31aのコンパレータ50の非反転入力に接続されている。従って、キャパシタ26aの両端間電圧をVc1、抵抗48の抵抗値をR7、抵抗49の抵抗値をR8とすれば、抵抗48と49の中点における検知電圧Viは、
Vi=Vc1×R8/(R7+R8) (数式4)
となり、この検知電圧Viがコンパレータ50の非反転入力に入力される。
【0056】
バイパス素子駆動回路31aは、1つのコンパレータ50(アンプでもよい。)によって構成されている。コンパレータ50の反転入力端子には上記数式3で表わされる比較電圧Vrefが入力され、非反転入力には上記数式4で表わされる検知電圧Viが入力されている。また、バイパス素子32aとしてはNMOS51が用いられており、NMOS51はキャパシタ26aと並列となるようにしてキャパシタ26aの両端に接続されている。そして、NMOS51は、コンパレータ50の出力がハイレベルのときにオンとなってソース−ドレイン間が導通状態となり、コンパレータ50の出力がローレベルのときにオフとなってソース−ドレイン間が遮断状態となるように構成されている。
【0057】
従って、この並列モニタ回路25aにあっては、検知電圧Viが比較電圧Vrefよりも低いときにはコンパレータ50の出力がローレベルとなり、NMOS51がオフ状態に保たれているので、キャパシタ26は電圧−電流変換回路28aにより充電される。こうしてキャパシタ26aが充填されて検知電圧Viが比較電圧Vrefに達すると、コンパレータ50の出力がハイレベルとなり、NMOS51がオン状態となり、キャパシタ26aはNMOS51(バイパス素子32a)を通じて放電し、キャパシタ26aの充電電圧が保持される。
【0058】
上記数式3及び数式4を参照して言い換えると、キャパシタ26aの充電電圧Vc1が、
Vm=Vbg(Rν/Rtot)(R5+Rtrim)(R7+R8)/(R4×R8)
=Va(R5+Rtrim)(R7+R8)/(R4×R8) (数式5)
に達すると、バイパス素子32aがオンとなってキャパシタ26aが放電を開始し、キャパシタ26aの充電電圧Vc1がVmに保持される。
【0059】
上記モニタ電圧Vmと制御電圧Vaとの比は、各抵抗値によって任意に定めることができるが、必要に応じて定めた各段のモニタ電圧Vmに対して制御電圧Va=Vm/3となるように定めるのが望ましい。
【0060】
制御回路52は、デコーダ24に入力信号27を出力すると共に各キャパシタ26a、26b、…のキャパシタ電圧Vc1、Vc2、…を監視している。制御回路は、充電開始時には上記モニタ電圧が最も小さな値Vm1となるように入力信号27を出力してMOS41n+1のみをオンにする。MOS41n+1がオンになると、各キャパシタ26a、26b、…が充電を開始し、モニタ電圧Vm1に達したキャパシタは放電して充電電圧をVm1に維持する。
【0061】
こうして、すべてのキャパシタ26a、26b、…の充電電圧Vc1、Vc2、…がモニタ電圧Vm1に達したことを検知すると、制御回路52は入力信号27を変化させてMOS41nのみをオンにし、一段大きなモニタ電圧Vm2を設定する。こうしてキャパシタ充電制御回路21は、各キャパシタ26a、26b、…の充電電圧Vc1、Vc2、…を順次モニタ電圧Vm1→Vm2→Vm3…となるように充電電圧を揃えながら順次満充電電圧まで充電するので、各キャパシタ26a、26b、…を均一に充電させることが可能になる。
【0062】
さらに、本発明のキャパシタ充電制御回路21にあっては、モニタ電圧を切り換えるための分圧抵抗R1、R21、…、R3(モニタ電圧設定手段)を並列モニタ回路25a、25b、…よりも前段に設けているので、モニタ電圧設定手段を各並列モニタ回路25a、25b、…で共用化でき、抵抗作製の手間を軽減でき、抵抗作製を簡略にすることができる。
【0063】
また、分圧抵抗から各電圧値を取り出すためのスイッチング手段も、並列モニタ回路毎に必要とせず、またNMOSを用いることができるので、全体としてスイッチング手段の数を減らすことができ、構成部品を少なくして構造を簡略化することができる。
【0064】
また、上記数式5から分かるように、モニタ電圧を等間隔に変化させるようにした場合、上記分圧抵抗R21、R22、…、R2nを等しい抵抗値にすることができるので、分圧抵抗R21〜R2nの形状、幅、長さを揃えて抵抗の相対ペア精度を上げることができ、これらの抵抗値を均一化してモニタ電圧の精度を得ることができる。
【0065】
このキャパシタ充電制御回路21では、電圧−電流変換回路28として電圧依存性のないVIアンプを用いているので、カレントミラー回路45に入力される電流が各並列モニタ回路25a、25b、…で同じになり、並列モニタ回路25a、25b、…毎における比較電圧Vrefの電圧依存性が等しくなる。また、抵抗44と抵抗46を同じ抵抗(種類、幅)で構成することができるので、比較電圧Vrefのバラツキ要因はカレントミラー回路45のミラー比バラツキが支配的となる。このミラー比バラツキは、PNPミラー回路で構成される場合、バラツキ要因としてはhfeとVce電圧依存であるが、hfeばらつきによるコレクタ電流変化は1/hfeになるため微小である。さらに、D−Aコンバータ23の各出力電圧に対して、電圧依存性の少なき1:1の比較電圧Vrefを生成することができる。その結果、本発明においては、比較電圧Vrefは、このような電圧−電流変換と電流−電圧変換を用いることで、各並列モニタ回路25a、25b、…について電圧依存性がなく、バラツキの小さいキャパシタ電圧を得ることができる。
【0066】
なお、直列に接続された複数個のキャパシタに充電するためのキャパシタ充電制御回路としては、図5に示すような差動アンプを用いたものも考えられる。このキャパシタ充電制御回路61では、出力電圧が可変となったD−Aコンバータ62の出力を分岐させ、各並列モニタ回路63a、63b、63cに接続している。各並列モニタ回路63a、63b、63cは同じ構成を有しており、各並列モニタ回路63a、63b、63cの出力間にそれぞれキャパシタ72a、72b、72cが接続されている。
【0067】
各並列モニタ回路63a、63b、63cは、負帰還抵抗67を有する差動アンプ64を入力段に有しており、差動アンプ64の非反転入力端子には拡散抵抗65を介してD−Aコンバータ62の出力が接続されている。また、差動アンプ64の反転入力端子は、拡散抵抗66を介してアースされている。
【0068】
差動アンプ64の出力は、バイパス素子駆動回路であるコンパレータ68の非反転入力端子に接続されている。また、各並列モニタ回路63a、63b、63cでは各キャパシタ72a、72b、72cの両端間電圧を分圧抵抗69、70で分圧し、その分圧された電圧をコンパレータ68の反転入力端子に接続している。
【0069】
バイパス素子であるNMOS71は各キャパシタ72a、72b、72cと並列となるようにしてキャパシタ72a、72b、72cの両端に接続されている。そして、コンパレータ68の出力がNMOS71のゲートに接続されている。
【0070】
並列モニタ回路63a、63b、63cの出力側は図4に示した本発明の並列モニタ回路25a、25b、…と同じ構成となっているが、出力段に差動アンプ64を用いている点で並列モニタ回路25a、25b、…と異なっている。
【0071】
このようなキャパシタ充電制御回路61でも、D−Aコンバータ62の出力電圧を段階的に大きくすることにより、各キャパシタ72a、72b、72cの充電電圧を揃えながら段階的に大きくして行くことができる。
【0072】
しかしながら、このような差動アンプを用いたキャパシタ充電制御回路61では、拡散抵抗65、66の抵抗値のバイアス依存性のため、差動アンプ64の出力電圧VR5がばらつき、その結果、各キャパシタ72a、72b、72cの充電電圧にもばらつきが発生するという問題がある。拡散抵抗の抵抗値のバイアス依存性とは、拡散抵抗の両端の電圧をVH、VL(但し、VH>VL)とするとき、その拡散抵抗の抵抗値Rが、図6に示すように、
バイアス電圧 ΔVR=(VH−VL)/2
の大きさによって変化する現象である。
【0073】
例えば、図5に示すように、分圧抵抗69の抵抗値を1000kΩ、分圧抵抗70の抵抗値を500kΩとし、D−Aコンバータ62の出力電圧を1Vとしたときに各キャパシタ72a、72b、72cの両端間電圧が3Vになるとする。この場合、分圧抵抗69、70によって分圧された中点電圧(コンパレータ68の反転入力端子電圧)は、並列モニタ回路63a、63b、63cでそれぞれ7V、4V、1Vとなるので、並列モニタ回路63a、63b、63cの各コンパレータ68の出力電圧VR5はそれぞれ7V、4V、1Vとなっている。各並列モニタ回路63a、63b、63cの差動アンプ64の増幅率がいずれも2であるとすると、並列モニタ回路63aのコンパレータ68の反転入力端子電圧及び非反転入力端子電圧はともに3.5Vとなり、並列モニタ回路63bのコンパレータ68の反転入力端子電圧及び非反転入力端子電圧はともに2Vとなり、並列モニタ回路63cのコンパレータ68の反転入力端子電圧及び非反転入力端子電圧はともに0.5Vとなる。
【0074】
従って、並列モニタ回路63aでは、拡散抵抗66のバイアス電圧ΔVR=3.5V/2=1.75Vとなり、拡散抵抗65のバイアス電圧ΔVR=(3.5V−1V)/2=1.25Vとなる。また、並列モニタ回路63bでは、拡散抵抗66のバイアス電圧ΔVR=2V/2=1Vとなり、拡散抵抗65のバイアス電圧ΔVR=(2V−1V)/2=0.5Vとなる。このため、並列モニタ回路63aでも並列モニタ回路63bでも、拡散抵抗65と拡散抵抗66を等しい抵抗値となるように形成してあっても、バイアス電圧ΔVRが異なることによって抵抗値が異なったものとなり、コンパレータ68の出力電圧VR5が変動してキャパシタの充電電圧もばらつくことになる。また、キャパシタ72a、72b、72cの充電電圧を段階的に高くしていく際に、D−Aコンバータ62からの入力電圧が高くなっていくと、それに伴って拡散抵抗65、66のバイアス電圧がさらに変動するので、各差動アンプ64の出力電圧を高精度に生成することができない。特に、充電電圧を大きくするためにキャパシタのセル数を大きくするにつれ、この不具合は顕著になる。
【0075】
これに対し、本発明にかかるキャパシタ充電制御回路21では、このような問題は生じない。
【0076】
(実施形態2)
次に、実施形態2のキャパシタ充電制御回路を説明する。実施形態2のキャパシタ充電制御回路も、実施形態1のキャパシタ充電制御回路21と同様な構成を有しているので、図示を省略し、実施形態1と異なる部分だけを説明する。実施形態1では、バイパス素子駆動回路31a、31b、…としてコンパレータ50を用いたが、実施形態2ではバイパス素子駆動回路31a、31b、…としてアナログ動作するオペアンプを用いる。そして、検知電圧Viが比較電圧Vrefに近づき、あるいは比較電圧Vrefを超えると、オペアンプの出力電流が次第に大きくなってバイパス素子32a、32b、…に流れる放電電流が次第に増加し、キャパシタの充電電圧が所定のモニタ電圧と等しいところで安定するようにしている。
【0077】
このようにすればバイパス素子32a、32b、…に流れる放電電流が滑らかに変化するので、キャパシタの充電電圧にリップル等が発生せず、キャパシタ充電制御回路の動作が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、従来例(特許文献2)のモニタ電圧生成回路を示す回路図である。
【図2】図2は、上記モニタ電圧生成回路に用いられている電圧設定回路の構成を示す回路図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態によるモニタ電圧生成回路を示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態によるモニタ電圧生成回路を示す具体回路図である。
【図5】図5は、差動アンプを用いたキャパシタ充電制御回路を示す回路図である。
【図6】図6は、拡散抵抗の抵抗値のバイアス依存性を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0079】
21 キャパシタ充電制御回路
22 基準電圧発生回路
23 D−Aコンバータ
24 デコーダ
25a、25b、… 並列モニタ回路
26a、26b、… キャパシタ
27 入力信号
28a、28b、… 電圧−電流変換回路
29a、29b、… 電流−電圧変換回路
30a、30b、… キャパシタ電圧分圧回路
31a、31b、… バイパス素子駆動回路
32a、32b、… バイパス素子
33a、33b、… 電流供給ライン
41a、41b、… MOS
42 コンパレータ
43 NMOS
44 抵抗
45 カレントミラー回路
46 抵抗
47 トリミング抵抗
48、49 抵抗
50 コンパレータ
51 NMOS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された複数のキャパシタのそれぞれに接続された電流バイパス用の複数のバイパス素子と、前記バイパス素子のそれぞれに流れる電流を制御するための複数のバイパス素子制御手段と、複数の前記バイパス素子制御手段のそれぞれに同一の制御電圧を入力すると共に前記制御電圧を切り換え可能とした制御電圧設定手段とを備え、
前記バイパス素子制御手段は、前記キャパシタのそれぞれを充電するとともに、前記キャパシタの充電電圧が前記制御電圧によって決まる所定電圧値未満であれば前記バイパス素子を遮断状態に保ち、前記キャパシタの充電電圧が前記所定電圧値を超えると前記バイパス素子を通じて前記キャパシタを放電させることによって前記キャパシタの充電電圧を一定に保持することを特徴とするキャパシタ充電制御回路。
【請求項2】
直列に接続された複数のキャパシタのそれぞれに接続された電流バイパス用の複数のバイパス素子と、前記バイパス素子のそれぞれに流れる電流を制御するための複数のバイパス素子制御手段と、複数の前記バイパス素子制御手段のそれぞれに同一の制御電圧を入力すると共に前記制御電圧を切り換え可能とした制御電圧設定手段とを備え、
前記バイパス素子制御手段は、前記キャパシタのそれぞれを充電するとともに、前記キャパシタの充電電圧が前記制御電圧によって決まる所定電圧値の近傍にある場合には、前記キャパシタの充電電圧が上昇するに従って前記バイパス素子を通じて前記キャパシタから放電される電流量を次第に増加させることによって前記キャパシタの充電電圧を一定に保持することを特徴とするキャパシタ充電制御回路。
【請求項3】
前記制御電圧設定手段は、直列に接続された抵抗値の等しい複数の抵抗を含む分圧回路と前記分圧回路からの電圧取出位置を変化させて制御電圧を切り換えるための切り換え手段とを有し、
前記電圧設定手段により制御電圧を変化させて前記所定電圧値を等間隔で変化させるようにした、請求項1又は2に記載のキャパシタ充電制御回路。
【請求項4】
前記バイパス素子制御手段はそれぞれ、制御電圧設定手段の制御電圧に比例した電流を生成する電圧−電流変換回路と、前記電圧−電流変換回路の電流に比例した電圧を生成して前記所定電圧値を出力する電流−電圧変換回路と、前記所定電圧値と前記キャパシタの充電電圧を比較して前記バイパス素子を制御するバイパス素子駆動回路とによって構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキャパシタ充電制御回路。
【請求項5】
前記電流−電圧変換回路は、当該回路から出力される所定電圧値を微調整するためのトリミング抵抗を有することを特徴とする、請求項4に記載のキャパシタ充電制御回路。
【請求項6】
前記電圧−電流変換回路を対応する各キャパシタの一方の極に接続したことを特徴とする、請求項4に記載のキャパシタ充電制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−178202(P2008−178202A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8517(P2007−8517)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】