説明

キャビティ板

流体噴射に使用されるキャビティ板には、特に、流出端部が含まれる。細長ランド部が、流出端部からキャビティ板の流入端部に向かって延びる。細長ランド部は、キャビティ板の上面と下面との間に側壁を有し、細長キャビティを形成する。流体流出端部の上流かつ細長ランド部の間に構造的支持体があり、細長ランド部を支持する。

【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
本願は、2008年5月22日に出願された米国実用特許出願第12/125,648号の利益を主張するものであり、この実用特許は参照により本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
本記載はキャビティ板に関する。
【背景技術】
【0003】
キャビティ板は、インクを噴射するインクジェット装置の一部を形成することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般に、一態様では、流体噴射に使用されるキャビティ板は流出端部を含む。細長ランド部が、流出端部からキャビティ板の流入端部に向かって延びる。細長ランド部は、キャビティ板の上面と下面との間に側壁を有し、細長キャビティを形成する。流体流出端部の上流かつ細長ランド部の間に構造的支持体があり、細長ランド部を支持する。
【0005】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0006】
細長ランド部間にある構造的支持体は、キャビティ板の流入端部の下流に配置される。細長ランド部間にある構造的支持体は、流入端部に配置される。細長ランド部間にある構造的支持体によっては、キャビティ板の流入端部に配置されるものもあれば、流入端部の下流に配置されるものもある。細長ランド部間の構造的支持体は、流入端部と流出端部との中間に配置される。各構造的支持体は、1つのランド部を隣接するランド部に接続する。キャビティは、上面と下面との間の深さを有し、各構造的支持体は、キャビティの深さ未満の厚さを有する。キャビティは、上面と下面との間の深さを有し、各構造的支持体は、キャビティの深さの半分未満の厚さを有する。各構造的支持体は、キャビティ板の表面の1つと同じ平面内に表面を有する。構造的支持体はランド部に垂直である。側壁はエッチングされる。構造的支持体は、ランド部に一体化される。上面および下面には、キャビティを閉じて、ポンピングチャンバを形成するカバーがある。圧電素子が位置決めされて、キャビティから流体流出端部を通して流体をポンピングする。
【0007】
一般に、別の態様では、流体噴射に使用されるキャビティ板は、キャビティ板に、細長ランド部、ランド部間の細長キャビティ、およびランド部間にあり、流体を支持構造体を超えてキャビティに沿って流すように構成された支持構造体を形成することによって作られる。
【0008】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含む。
【0009】
形成はエッチングを含む。支持構造体の場所でのエッチングは、他の場所でのエッチングと異なる条件で行われる。エッチングは、支持構造体の場所では板の片面のみからエッチングし、他の場所では板の両面からエッチングすることにより、異なる条件で行われる。カバーがキャビティ板の各面に取り付けられて、ポンピングチャンバを形成する。カバーは高分子膜を含む。カバーは補剛板を含む。
【0010】
一般に、別の態様では、流体噴射に使用されるオリフィス板が、上面および下面を含む。上面は、流体ポンピングチャンバから噴射された流体を受ける2列になった開口部を含み、下面は、オリフィス板から基板上に流体を噴射するための1列になった開口部を含む。
【0011】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含む。
【0012】
オリフィス板の上面の2列になった開口部は、オリフィス板の長手寸法に沿って平行する。2列になった各開口部は、オリフィス板の長手寸法に沿って等しく距離を置かれる。2列のうちの1列の開口部は、長手寸法に沿って他方の列の開口部に対して互い違いになる。オリフィス板の上面において2列になった列の各開口部は、チャネルを通して下面の1つの開口部に接続される。各チャネルは、上面の開口部から下面の開口部に向かって先細りする。オリフィス板の下面の各開口部は、等しく距離を置かれる。オリフィス板の下面の開口部は、上面の2列になった開口部に交互に接続される。下面の各開口部は等しい形状を有する。下面の各開口部はオリフィスである。オリフィス板はシリコンを含む。上面および下面の開口図ならびにチャネルはエッチングされる。
【0013】
これらおよび他の態様および特徴は、機能を実行する方法、装置、システム、手段として、また他の方法で説明することができる。
【0014】
他の特徴および利点が以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】インクジェットプリント装置の分解組立斜視図である(一定の縮尺ではない)。
【図1B】インクジェット組立体の分解組立斜視図である(一定の縮尺ではない)。
【図1C】インクジェット組立体の分解組立斜視図である(一定の縮尺ではない)。
【図2−1】図2はキャビティ板の斜視図である(一定の縮尺ではない)。
【図2−2】図2Aはキャビティ板の上面図である(一定の縮尺ではない)。
【図2−3】図2Bはキャビティ板の断面図である(一定の縮尺ではない)。
【図3A】キャビティ板の拡大上面図である(一定の縮尺である)。
【図3B】キャビティ板の拡大上面図である(一定の縮尺である)。
【図4−1】図4はインクジェット組立体の分解組立斜視図である(一定の縮尺ではない)。
【図4−2】図4Aはインクジェット組立体の本体およびオリフィス板の部分の分解組立斜視図である(一定の縮尺ではない)。
【図4−3】図4Bは一定の縮尺でのオリフィス板内のチャネルの拡大上面図である。
【図4−4】図4Cは一定の縮尺でのチャネルの拡大断面側面図である。
【図5A】キャビティ板を形成する方法を示す(一定の縮尺ではない)。
【図5B】キャビティ板を形成する方法を示す(一定の縮尺ではない)。
【図5C】キャビティ板を形成する方法を示す(一定の縮尺ではない)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1Aを参照すると、例えば、キャビティ板は、カラー10に結合された噴射組立体4を含むインクジェットプリント装置2の一部をなすことができる。カラー10はマニフォルド板12に取り付けられ、マニフォルド板12は、オリフィス16を有するオリフィス板14に取り付けられる。インクジェットプリント装置2が使用中の場合、インクはカラー要素10を通って噴射組立体4内に供給され、オリフィス16を通って噴射されて、基板18上にイメージを形成する。
【0017】
図1Bを参照すると、インク噴射組立体4は本体20を含み、本体20の両側には、補剛板および細長キャビティを含むキャビティ板(図1C)が取り付けられる。底部が補剛板で覆われた細長キャビティにより、本体20の各面に1列のウェル22(すべては図示せず)が形成される。ウェル22は、上部が高分子膜32および32’により覆われた場合、ポンピングチャンバを形成する。補剛板およびキャビティ板の詳細については、図1Cにおいて以下に考察する。使用に際して、インクは、本体20の下部(図示せず)に接触するマニフォルド板12の上面3から、インク通路24を通ってインク充填通路26まで充填され、さらにインク流入口28を通ってポンピングチャンバまで下がり、インク流出端部30を通って補剛板46に流出し、再び本体20に戻り、本体20の下部にある列になった開口部(図示せず)から噴射される。
【0018】
図1Cを参照すると、それぞれ同じ寸法および設計を有するキャビティ板38およびキャビティ板38’は、サイズの合った補剛板46または46’とサイズの合った高分子膜32または32’との間に重ねられる。キャビティ板38は、それぞれキャビティ40内に向かって一端部が開いた平行する細長キャビティ42を含む。隣り合った各対の細長キャビティ42は、細長ランド部44により隔てられる。キャビティ40およびキャビティ板38に対するキャビティ40の相対位置の寸法は、本体20内のインク充填通路26の寸法に一致する。補剛板46は、キャビティ40、インク充填通路26、および下列のキャビティ47に一致する上部キャビティ48を含み、各上部キャビティ48は、対応するキャビティ42の閉じられた端部30に一致する。組み立てられ、使用される場合、ポンピングチャンバの端部30に達したインクは、補剛板46のキャビティ47を通って再び本体20内に水平に流れる。
【0019】
本体20は、例えば、焼結炭素から作られ、前面27および後面37を含む。1つまたは複数、例えば、2つの内蔵インク通路24はそれぞれ、本体20の下面19に開き、内蔵インク充填通路26に接続された開口部7を有し、開口部7は、本体20の長さ39に平行する長さ25を有する細長キャビティの形態である。キャビティ26の上下のそれぞれは、本体20の前面および後面27および37にある。本体20は、長さ39に沿って1列のインク噴射通路23(すべては図示せず)も含む。各インク噴射通路23は、本体20の前面または後面に開かれた開口部21または21’を有する水平部分11であって、開口部のサイズおよび場所が、補剛板46または46’のキャビティ47に一致する、水平部分11と、本体20の下面19に開かれ、下に配置される1つのオリフィス16に対応する開口部9を有する垂直部分15とを含む。本体20の前面27への開口部21’を有するインク噴射通路23は、本体20の後面37への開口部21を有するインク噴射通路23と交互に配置される。開口部9は列単位で、本体20の長さ39に平行に位置合わせされ、各キャビティ板38および38’により形成されるポンピングチャンバの密度の2倍の密度を有する。一般に、各ポンピングチャンバは、対応するインク噴射通路23、接続された開口部21および9、ならびに対応するオリフィス16と共に、ジェットと呼ばれる。
【0020】
重ねられたキャビティ板38および38’が本体20の前面および後面27および37に取り付けられ、噴射組立体4が使用中の場合、インクは、本体20からポンピングチャンバを通って流れ、インク噴射通路23を通り、開口部9からオリフィス16を通して基板18(図1A)上に噴射される。
【0021】
再び図1Bを参照すると、噴射組立体4は、キャビティ42から形成されたポンピングチャンバにインクを噴射させる電子構成要素29も含む。例えば、電気構成要素は、高分子膜32、32’上の2組の電極33および33’を含み、電極33および33’は、各可撓性プリント回路31、31’へのリード線(図示せず)により、集積回路34および34’に接続される。圧電素子36および36’は、高分子膜32および32’のそれぞれの逆側に取り付けられて、形成されたポンピングチャンバをそれぞれ覆い、それぞれ、高分子膜32および32’に接触する1組の電極35および35’を含む。
【0022】
使用に際して、集積回路34および34’から送信されたパルス電圧は、圧電素子36および36’に形状を変更させて、選択されたポンピングチャンバ22に圧力を加えさせる。インクジェットモジュール2についてのさらなる情報は、2000年12月29日に出願された米国特許出願第09/749,893号明細書(代理人整理番号09991−014001)にも提供されており、この特許出願を参照により本明細書に援用する。
【0023】
再び図1Aを参照すると、使用に際して、噴射組立体4は、x方向に沿って基板18を横切って、例えば、処理方向yに垂直に位置合わせされた長さ39(図1Bおよび図1Cにも)を有するように配置される。
【0024】
いくつかの実施形態では、上述した2つの噴射組立体4が各カラー10内に組み立てられる。各噴射組立体4は、例えば、100個を超える、例えば128個のジェットと、本体20の底部に列になった開口部9とを含み、開口部9において、インクが噴射される。2列になった開口部9からのインクは、マニフォルド板12において方向を直され、オリフィス板14上の1列になったオリフィス16を通って基板18に達する。
【0025】
いくつかの実施形態では、噴射組立体4は、カラー10およびマニフォルド12なしで使用される。オリフィス板14は、オリフィス16が本体20の開口部9に位置合わせされた状態で本体20の下部に取り付けられる。本体20の下部に接触している表面は、マニフォルド板3の表面3と同様に動作して、インク通路24を通してインクをインク充填通路26内に充填し、開口部9から噴射されたインクは、オリフィス16を直接通って基板18に達する。
【0026】
噴射組立体4が、いわゆるシングルパスプリンタ内に使用される場合、インクジェットプリント装置2は静止状態を保ち、y方向に沿って下で移動する基板18上にプリントする。x方向に沿った高解像度イメージ(平方インチ当たりのドット数またはピクセル数(dpi)として表される)の生成は、噴射組立体4内のジェットが長さ39に沿ってより高い密度を有するほど、より高速に行うことができる。同様のサイズの噴射組立体内でそのような高密度ジェットを達成するには、隣接するポンピングチャンバ22(およびキャビティ板内のキャビティ)(図1B)間のピッチを相対的に小さくし、ひいては、キャビティ42間のランド部44をより狭くする必要がある。
【0027】
図2を参照すると、キャビティ板50は、キャビティ54に接続された1列の細長平行キャビティ52を含む。各キャビティ52は、キャビティ板50の上面および下面70および72にそれぞれ垂直な2つの長い平行側壁53、55、これもまた表面70および72に垂直な湾曲端壁61、ならびにキャビティ52をキャビティ54に接続する開放端部62により形成される。
【0028】
各対の隣接キャビティ52は、細長ランド部56により隔てられる。各ランド部56は、2つの構造的支持体58により各隣接ランド部に接続される。上述したように、キャビティ板50にカバー、例えば、図1Cの高分子膜32または32’ならびに補剛板46または46’が組み立てられる場合、キャビティ52がポンピングチャンバを形成し、キャビティ54がインク充填通路を形成する。噴射中、インクは、上述したように、インク充填通路から開放端部62を通してポンピングチャンバに送られ、ポンピングチャンバの端部から再び本体20に水平にポンピングされ、噴射される(図1)。
【0029】
図2Aを参照すると、各キャビティ52は、キャビティ54に向けて開き、噴射するインクを受ける第1の開放端部62と、上述したように補剛板46および46’のキャビティに垂直方向において近く、水平方向において接続された第2の流出端部64とを含む。
【0030】
図に示される特定の例では、構造的支持体58および60は、両方ともキャビティ52の流出端部64の上流にあり、両方とも板の縁部66に平行する2つの平行な列69、71に配置される。列になった支持体69は、キャビティ52の上流端部62と下流端部64との間(例えば、中間)にある。いくつかの例では、異なる対の隣接ランド部間の構造的支持体58は、各キャビティ52の上流端部62と下流端部64との間の異なる場所に配置される(すなわち、すべてが共通列69内であるわけではない)。
【0031】
図に示される例では、列71は上流端部62に配置される。いくつかの実施形態では、各構造的支持体58および60は、接続される細長ランド部56に垂直にされる。いくつかの実施態様では、構造的支持体58および60のうちの1つまたは複数は、細長ランド部56に対して非直角の角度をなす。
【0032】
各対の隣接ランド部56の間に、キャビティ板50は、列69内の1つのみの構造的支持体58を含んでもよく、または2つ以上の列69があってもよい。列71内には、1組のみの支持体60があってもよく、または2組以上の支持体60があってもよい。
【0033】
支持体58および60のうちの両方ではなく一方が、各対の隣接ランド部56間に設けられる他の構成も可能である。
【0034】
キャビティ板50は、例えば、チタンまたは合金、例えば、ニッケル−コバルト合金鉄(例えば、Kovar、Carpenter Technology Coorporation)またはステンレス鋼で形成し得る。いくつかの例では、各細長平行キャビティ52は、例えば、約3.7mm〜約10mmの長さLを有する。各キャビティ52は、例えば、約380マイクロメートル〜約750マイクロメートルの幅Wも有し、各ランド部56は、幅W1(図2B)、例えば、約300マイクロメートル未満、約290マイクロメートル未満、約280マイクロメートル未満、約270マイクロメートル未満、約260マイクロメートル未満、または約250マイクロメートル未満であり、かつ/または約110マイクロメートル超、約120マイクロメートル超、約130マイクロメートル超、約140マイクロメートル超、または約150マイクロメートル超の幅W(図2B)を有する。いくつかの実施形態では、キャビティ板50上のキャビティ52は、図2Aおよび図2Bに示されるx軸に沿って少なくとも25、30、40、45、または50キャビティ/インチ(約2.54センチメートル)という線形密度を有することができる。上記寸法のキャビティおよびランド部を有するキャビティ板50を含む噴射組立体は、例えば、少なくとも300dpi、600dpi、または1200dpiの解像度のイメージを生成することができる。
【0035】
構造的支持体58または60は、例えば、約100マイクロメートル〜約150マイクロメートル、例えば、102マイクロメートルの幅dを有する。構造的支持体58または60は、キャビティ52(図2B)の深さD未満の厚さtも有する。例えば、構造的支持体58または60の厚さtは、例えば、キャビティ52の深さDの約80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、または30%未満であり、かつ/またはキャビティ52の深さDの約5%超、10%超、15%超、または20%超である。いくつかの実施形態では、キャビティ52の深さDは、約75マイクロメートル〜約150マイクロメートルである。
【0036】
構造化支持体58および60は、キャビティ板50を強化し、特に、キャビティ板50(およびランド部:ランド部は狭く薄く、壊れやすく、曲げ、折り、または破損を受けやすいため)が組み立てられたときから、カバーがキャビティ板50に取り付けられ、次に追加の支持を提供できるようになるまで、ランド部56を支持する。したがって、キャビティ板50を含む噴射組立体は、より高いノズルピッチを有し、高解像度イメージを生成することができる。
【0037】
図2B(開口部62からキャビティ52の端部64に向かっての図)を参照すると、各キャビティ52は、2つの平行する前面および後面70および72を有する。支持体58または60は、前面および後面70および72のうちの一方と同じ平面にある表面68を有する。いくつかの実施態様では、表面68は、前面および後面70および72のいずれか一方とは異なる平面にあり得る。
【0038】
キャビティ板50の上面図は、図3Aでは一定の縮尺で示される。キャビティ52、ランド部56、ならびに構造的支持体58および60を含むキャビティ板50の部分は、図3Bでは、一定の縮尺に拡大して示される。
【0039】
高分子膜32および32’ならびに補剛板46および46’(図1Bおよび図1C)を図2、図2A、および図2Bのキャビティ板50の2つの対抗する表面70および72に取り付けることにより、ポンピングチャンバおよびインク充填通路26が形成されて、インク噴射組立体本体20(図1B)が生成される。いくつかの実施形態では、高分子膜32および32’は、例えば、ポリイミド(例えば、Kapton,E.I.du Pont de Nernours and Company)で作られる。柔軟な高分子膜32および32’により、圧電素子36および36’(図1B)の形状を変更または変形させて、インクをポンピングチャンバ内で搬送して、インクを噴射させ、補剛板46および46’は、形成されたポンピングチャンバを補強し支持する。
【0040】
図4を参照すると、キャビティ板50は、シリコンベースの噴射組立体74にも使用可能である。噴射組立体74は、例えば、焼結炭素またはシリコンで作られ、それぞれインク充填通路82に接続され、インクをインク充填通路82に搬送する2つのインク通路80および80’を有する本体76を含み、インク充填通路82は、図1Bおよび図1Cのインク充填通路26と同様の細長キャビティの形態である。本体76は、インク噴射のために、図1Cの開口部9、21およびインク噴射通路23と同様の開口部列およびインク噴射通路も含む。キャビティ板50には、図1Cの補剛板46または46’と同じ性質を有する補剛板84ならびに図1Bおよび図1Cの高分子膜32または32’と同様の高分子膜86が重ねられる。図1Bの圧電素子36または36’と同じ性質を有する圧電素子83が、高分子膜86の他方の表面に取り付けられる。補剛板84、キャビティ板50、高分子膜86、および圧電素子83を含む組み立てられたセット81は、本体76の前側85および裏側(図示せず)に取り付けられ、補剛板84の他方の表面は本体76に接触する。噴射組立体74は、本体76に接続されたプリント回路基板78も含む。プリント回路基板78は、圧電素子83の電極および高分子膜86と組み合わせて集積回路87を含み、噴射組立体4に関して説明したように、圧電素子83をアクティブ化する。
【0041】
図4Aを参照すると、各噴射組立体74は、例えば、200個超、例えば256個のジェットおよび2つの列、例えば、2つの平行した列の開口部110および112(すべては図示せず)を本体76の下面114上に含むことができる。列112内の各開口部は、図1Cのインク噴射通路23と同様のインク噴射通路122に接続され、開口部126が本体76の後面128に向かって開く。同様に、列110内の各開口部は、表面85上の開口部130を使用してインク噴射通路124に接続される。各開口部112は、例えば、各開口部110から等しく距離を置かれ、各開口部110と互い違いになり、各開口部110も、本体76の長手寸法140に沿って等しく距離を置かれ得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、例えばエッチングにより、例えばシリコンで作られたオリフィス板132が本体76の下面114に取り付けられる。オリフィス板132は、本体76の開口部列110および112と位置合わせされた2つの列、例えば、2つの平行する列になった開口部116および118(すべては図示せず)を上面134内に含む。各開口部116は、例えば、各開口部118と等しく距離を置かれ、各開口部118と互い違いになり、各開口部118も、オリフィス板132の長手寸法144に沿って等しく距離を置かれ得る。チャネル138(すべては図示せず)が、オリフィス板132内に組み立てられて、開口部110および112からオリフィス132を通して噴射され、そして下面136における1列の開口部120(すべては図示せず)から噴射されたインクを導く。いくつかの実施形態では、各開口部120は、正方形状のオリフィスであり、列116および118内の開口部のサイズよりも小さなサイズを有する。各チャネル138は、各開口部110および118から対応する開口部120に向かって先細りする。長手寸法144に沿って同じ平面上に投射された場合、開口部120は、オリフィス板の幅寸法142に沿って開口部116および118と交互に位置合わせされる。開口部120は、例えば、互いから等距離であり、開口部120の総数は、例えば、開口部116および118の総数の和である。
【0043】
オリフィス板132内のチャネル138の上面図を一定の縮尺で図4Bに示す。チャネル138の側面断面図を一定の縮尺で図4Cに示す。
【0044】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の噴射組立体74を図1Aのカラー10内に組み立てることができ、噴射組立体4と同様に機能する。
【0045】
図5Aおよび図5Bを参照して、キャビティ板を製造するために、エッチングレジストパターン89が金属板88の前面90に形成されて、形成すべきキャビティ52および54ならびにランド部56を画定する。例えば、無形領域94は形成されるべきキャビティ54を線引きし、無形領域96は形成されるべきキャビティ52を線引きし、有形領域98は形成されるべきランド部56を線引きする。
【0046】
図5Cを参照すると、キャビティ52および54、ランド部56、ならびに構造的支持体58および60のエッチングレジストパターンは、板88の後面92上にマーキングされる。前面90に形成されるパターンと比較して、無形領域96(図4B)内の追加の領域100および102は、構造的支持体58および60を形成すべき場所を示す。領域96の残りのパターン形成されない部分は、領域104である。
【0047】
キャビティ板を形成するために、次に、パターン形成された前面90およびパターン形成された後面92を有する板88は、エッチング溶液内でエッチングされる。いくつかの実施形態では、エッチング液が、吊された板88に両面90および92から、例えば同時に噴霧される。
【0048】
いくつかの実施形態では、板88は、領域94および104内にキャビティを形成し、領域100および102内に構造的支持体を形成するのに十分に長くエッチングされる。エッチング中、板88の前面90および後面92の両方が、エッチング液に接触する。領域94および104内の板材料は、両面90および92の両方から板88の中央に向かってエッチングされ、その一方で、領域100および102内の板材料は、前面90のみからエッチングされる。領域94および104内の板材料が、キャビティを形成するために完全に貫通してエッチングされるときまでに、領域100および102内の板材料は、まだ完全に貫通するまでにはエッチングされていない。板のエッチングを続けることにより、構造的支持体にいくらかの範囲内で所望の厚さを付与することが可能である。その厚さに達すると、エッチングが止められ、エッチングレジストパターンが除去される。
【0049】
噴射組立体およびインク噴射装置についての情報は、例えば、2000年12月29日に出願された米国特許出願第09/749,893号明細書にも提供され、この特許出願を参照により本明細書に援用する。
【0050】
他の実施形態も以下の特許請求の範囲内にある。
【0051】
例えば、構造的支持体は、キャビティ板のいずれの表面にもある必要はなく、部分的または全体的に表面の上方にあってもよく、またはキャビティに沿ったインクの流れが全体的に遮られない限り、空間が上下にある状態で表面の下方のキャビティ内にあってもよい。キャビティ板50は、数値制御された機械加工技法によっても機械加工してもよく、またはシリコン基板から他の技法によりエッチングしてもよい。本体74は、1列のみの開口部を下面114に含んでもよく、各開口部が、図1Cに説明されるものと同様に、インク噴射通路に接続される。噴射組立体4または74は、x方向に沿って基板18を横切って位置合わせされた長さを有し、処理方向yに対して90度以外の角度をなすように配置することができる。
【0052】
噴射組立体4または74内での噴射がわずかであるか、またはない場合、2つのインク流入口24または80および80’のうちの一方に流入し、インク通路26または82を通り、インク流入口24または80および80’のうちの他方から流出するインクの流れを遅くすることにより、インク再循環を行うことができる。
【0053】
印字流体としてのインクの参照が、例示のみを目的とし、形容詞「インク」と共に上述した噴射組立体内の構成要素の参照も例示であることを理解されたい。噴射組立体は、インク以外の様々な印字流体を基板上に分注または塗布するために使用することもできる。流体は、非イメージ形成流体を含み得る。例えば、三次元モデルペーストを選択的に塗布して、モデルを構築することができる。生物学的試料を解析アレイ上に塗布することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体噴射に使用されるキャビティ板であって、
流体流出端部と、
前記流体流出端部から前記キャビティ板の流体流入端部にそれぞれ延びる細長ランド部であって、前記キャビティ板の上面と下面との間に側壁を有して、細長キャビティを形成する、細長ランド部と、
前記流体流出端部の上流かつ前記細長ランド部の間にあり、前記細長ランド部を支持する構造的支持体と
を備えることを特徴とする、キャビティ板。
【請求項2】
前記細長ランド部間にある前記構造的支持体が、前記キャビティ板の前記流体流入端部の下流に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のキャビティ板。
【請求項3】
前記細長ランド部間にある前記構造的支持体が、前記流体流入端部に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のキャビティ板。
【請求項4】
前記細長ランド部間にある前記構造的支持体のうちの少なくともいくつかが、前記キャビティ板の前記流体流入端部に配置され、前記細長ランド部間にある前記構造的支持体のうちの少なくともいくつかが、前記流体流入端部の下流に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のキャビティ板。
【請求項5】
前記細長ランド部間にある前記構造的支持体が、前記流体流入端部と前記流体流出端部との中間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のキャビティ板。
【請求項6】
前記構造支持体のそれぞれが、1つのランド部を隣接するランド部に接続することを特徴とする、請求項1に記載のキャビティ板。
【請求項7】
各キャビティが、前記上面と前記下面との間の深さを有し、前記構造的支持体のそれぞれが、前記キャビティの前記深さ未満の厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載のキャビティ板。
【請求項8】
各キャビティは、前記上面と前記下面との間の深さを有し、前記構造支持体のそれぞれが、前記キャビティの前記深さの半分未満の厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載のキャビティ板。
【請求項9】
前記構造的支持体が、前記キャビティ板の一面と同じ平面内に表面を有することを特徴とする、請求項1に記載のキャビティ板。
【請求項10】
前記構造的支持体が前記ランド部に垂直であることを特徴とする、請求項1に記載のキャビティ板。
【請求項11】
前記側壁がエッチングにより形成されることを特徴とする、請求項1に記載のキャビティ板。
【請求項12】
前記構造的支持体が前記ランド部に一体化されることを特徴とする、請求項1に記載のキャビティ板。
【請求項13】
前記上面および前記下面に、前記キャビティを閉じてポンピングチャンバを形成するカバーも含むことを特徴とする、請求項1に記載のキャビティ板。
【請求項14】
前記キャビティから前記流体流出端部を通して流体をポンピングするように位置決めされた圧電素子も含むことを特徴とする、請求項1に記載のキャビティ板。
【請求項15】
流体噴射に使用されるキャビティ板を製造する方法であって、
前記板に、細長ランド部、前記ランド部間の細長キャビティ、および前記ランド部間にある構造的支持体を形成する工程を含み、前記細長キャビティのそれぞれが流体流出端部を含み、前記構造的支持体が、前記支持構造体を超えて前記キャビティに沿い、前記キャビティの前記流出端部の上流まで流体を流すように構成されることを特徴とする、方法。
【請求項16】
前記形成する工程がエッチングを含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記エッチングが、前記支持構造体の場所では異なる条件で行われることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記エッチングは、前記支持構造体の場所では前記板の片面のみからエッチングし、他の場所では前記板の両面からエッチングすることにより、異なる条件で行われることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
カバーを前記キャビティ板の各面に取り付けて、ポンピングチャンバを形成する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記カバーは高分子膜を含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記カバーは補剛板を含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公表番号】特表2011−520668(P2011−520668A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510561(P2011−510561)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/043290
【国際公開番号】WO2009/142925
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(502122794)フジフィルム ディマティックス, インコーポレイテッド (73)
【Fターム(参考)】