説明

キャリアテープおよび包装体

【課題】包装資材の使用量を抑制可能であり、かつ小型で軽量の包装形態を実現可能な物品包装用のキャリアテープ、およびこのキャリアテープを用いて物品を包装してなる包装体を提供すること。
【解決手段】包装体1は、電子部品10を包装する包装資材であって、キャリアテープ2とトップカバーテープ3との間に位置する凹部23中に電子部品10を収納するものである。キャリアテープ2は、180°折り曲げることが可能な折り曲げ部21と、相対的に折り曲げ難い非折り曲げ部22とに分かれており、各折り曲げ部21は、それぞれ各非折り曲げ部を介して一定の配列周期で設けられている。これにより、包装体1は、各折り曲げ部21を折り曲げることによって、いわゆる「つづら折れ」状に折り畳むことが可能になっている。そして、各折り曲げ部21には、その曲げ剛性が各非折り曲げ部22よりも小さくなるように、溝241等の加工が施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープおよび包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、LSIやIC等の電子部品の包装には、取り扱いが容易で電子部品を配線基板に実装する際の効率に優れたキャリアテープが用いられている。このキャリアテープは、所定の間隔で設けられた複数の凹部を有しており、この凹部に電子部品を収納するようになっている。
【0003】
キャリアテープの凹部に電子部品を収納し、凹部の開口を塞ぐようにトップカバーテープが貼り付けると、電子部品はキャリアテープおよびトップカバーテープからなる包装体によって覆われた状態となる。さらに、この包装体はリールに巻き付けた状態で保管や輸送に供される。
【0004】
例えば、特許文献1には、キャリアテープのポケット(凹部)に収納された電子部品をトップカバーテープで封止し、これをリールに巻き付けてなるエンボステーピング包装体が提案されている。また、このエンボステーピング包装体は、箱内側の四隅に衝撃緩衝部材を備えた個装箱に収容され、さらに、この個装箱は、箱内側の四隅に衝撃緩衝部材を備えた外装箱に収容される。すなわち、特許文献1に記載された電子部品出荷用の包装形態は、このようなエンボステーピング包装体を個装箱および外装箱に収容したものである。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の包装形態では、円盤状のリールを直方体または立方体の個装箱に収容しているため、リールと個装箱との間に多くの隙間ができるため積載効率が低下する。また、この隙間を埋めるために衝撃緩衝部材を使用する必要が生じる場合がある。しかし、環境負荷を低減するという観点からは、このような衝撃緩衝部材の使用削減が求められている。
【0006】
また、従来のようにリールに巻き付けての輸送を行った場合は、キャリアテープに巻き癖が生じる。このため、この巻き癖に起因する電子部品の収納または取り出し時の作業効率の低下を改善することも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−157767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、包装資材の使用量を抑制可能であり、かつ小型で軽量の包装形態を実現可能な物品包装用のキャリアテープ、およびこのキャリアテープを用いて物品を包装してなる包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、下記(1)〜(14)の本発明により達成される。
(1) 帯状のシートの長手方向に沿って配置された複数の凹部と、隣り合う前記凹部同士の間にそれぞれ位置する間隔部とを有し、前記凹部に物品を収納するキャリアテープであって、
該キャリアテープの長手方向に沿って配置された複数の前記間隔部のうち、所定の数ごとに間欠的に位置する一部の前記間隔部に対して、該一部の間隔部の曲げ剛性が、当該キャリアテープの他の部位の曲げ剛性より小さくなるような加工が施されていることを特徴とするキャリアテープ。
【0010】
(2) 前記加工は、前記一部の間隔部に溝を形成する加工である上記(1)に記載のキャリアテープ。
【0011】
(3) 前記加工は、前記一部の間隔部に貫通孔を形成する加工である上記(1)または(2)に記載のキャリアテープ。
【0012】
(4) 前記貫通孔を備える前記一部の間隔部の幅から前記貫通孔の幅を差し引いた長さは、前記キャリアテープの他の部位の幅の1〜70%である上記(3)に記載のキャリアテープ。
【0013】
(5) 前記加工は、前記一部の間隔部を蛇腹状に成形する加工である上記(1)または(2)に記載のキャリアテープ。
【0014】
(6) 前記加工は、前記一部の間隔部の幅方向の少なくとも一方の端部に、切り欠きを形成する加工である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のキャリアテープ。
【0015】
(7) 前記加工は、前記一部の間隔部における前記シートの厚さを薄くする加工である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のキャリアテープ。
【0016】
(8) 前記加工は、前記一部の間隔部に相当する部分における前記シートを、前記シートより曲げ剛性の小さいシートで代替する加工である上記(1)または(2)に記載のキャリアテープ。
【0017】
(9) 前記複数の間隔部のうち、前記一部の間隔部以外の間隔部に対しても加工が施されており、
前記一部の間隔部には、その厚さ方向の曲げ剛性が、前記一部の間隔部以外の間隔部の曲げ剛性よりも小さくなるような加工が施されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のキャリアテープ。
【0018】
(10) 前記所定の数は、当該キャリアテープ全体において一定である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のキャリアテープ。
【0019】
(11) 前記加工を施した前記一部の間隔部の長さは、前記加工を施していない間隔部の長さより長い上記(1)ないし(10)のいずれかに記載のキャリアテープ。
【0020】
(12) 前記加工を施した前記一部の間隔部の長さは、前記凹部2つ分の深さ以上の長さである上記(1)ないし(11)のいずれかに記載のキャリアテープ。
【0021】
(13) 上記(1)ないし(12)のいずれかに記載のキャリアテープと、
該キャリアテープの前記凹部内に前記物品を収納した状態で、前記凹部の開口を封止するトップカバーテープとを有することを特徴とする包装体。
【0022】
(14) 前記加工を施した前記一部の間隔部を厚さ方向に折り曲げることにより、つづら折れ状に折り畳み可能になっている上記(13)に記載の包装体。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、キャリアテープをリールに巻き付けることなく、つづら折り状に折り畳むことができるので、物品を収納した包装体を一般的な直方体状の個装箱に対してほぼ隙間なく収容することができる。このため、衝撃緩衝部材やリール等の包装資材を省略し、包装資材の使用量を抑制することができる。これにより、小型かつ軽量の包装形態を実現することができ、包装資材による環境負荷や輸送時の環境負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の包装体の第1実施形態を示す上面図および縦断面図である。
【図2】図1に示す包装体の部分拡大図である。
【図3】図2に示す包装体の他の構成例を示す図である。
【図4】図1に示す包装体を個装箱に収容した状態を示す縦断面図である。
【図5】個装箱に収容した包装体を取り出す様子を説明するための図である。
【図6】本発明の包装体の第2実施形態を示す上面図および縦断面図である。
【図7】本発明の包装体の第3実施形態を示す上面図および縦断面図である。
【図8】本発明の包装体の第4実施形態を示す上面図および縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のキャリアテープおよび包装体について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0026】
≪第1実施形態≫
まず、本発明のキャリアテープおよび包装体の第1実施形態について説明する。
【0027】
図1は、本発明の包装体の第1実施形態を示す上面図および縦断面図、図2は、図1に示す包装体の部分拡大図、図3は、図2に示す包装体の他の構成例を示す図、図4は、図1に示す包装体を個装箱に収容した状態を示す縦断面図、図5は、個装箱に収容した包装体を取り出す様子を説明するための図である。なお、図2〜5では、包装体のうち、キャリアテープのみを図示している。また、図1および図2のうち、それぞれ(a)は上面図を、(b)は縦断面図を示しており、以下の説明では、図1(b)、図2(b)、図3、図4および図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0028】
図1に示す包装体1は、電子部品10を包装する包装資材である。具体的には、包装体1は、キャリアテープ2とトップカバーテープ3との間に形成された内部空間中に電子部品10を収納し、保管時や輸送時の衝撃、汚染等から電子部品10を保護する。
【0029】
本発明は、包装体1のうち、キャリアテープ2に特徴を有するものである。このキャリアテープ2は、厚さ方向に180°折り曲げることが可能な複数の折り曲げ部21と、相対的に折り曲げ難い複数の非折り曲げ部22とに分かれており、各折り曲げ部21は、所定の数ごとに、それぞれ各非折り曲げ部22を介して間欠的に設けられている。このようなキャリアテープ2は電子部品10を収納し、トップカバーテープ3と積層された状態で、すなわち包装体1の状態で、折り曲げ部21を折り曲げることによって、いわゆる「つづら折れ」状に折り畳むことが可能になっている(図4参照)。このため、折り畳まれた包装体1は直方体状にまとめることができ、直方体状の個装箱に対してほぼ隙間なく納めることができる。その結果、衝撃緩衝部材等の包装資材の使用量を抑制し、小型かつ軽量の包装形態を実現することができる。
【0030】
以下、図1および図2に示す包装体1について詳述する。
キャリアテープ2は、帯状のシートに各種加工を施したものであって、長手方向に沿って複数の凹部(ポケット)23を備えている。これらの凹部23には、それぞれ電子部品10を収納可能になっている。このような凹部23は、例えば、それぞれキャリアテープ2の母材となるシートの上面20aに対して、凹部23の形状に対応した成形型を圧接し、プレス成形することにより形成される。また、各凹部23の底部中央には、それぞれ貫通孔231が形成されている。
【0031】
凹部23の平面視形状および深さは、電子部品10全体を確実に収納するとともに、輸送時の振動により電子部品10が凹部23内で大きく揺れ動くのを防止しつつ、電子部品10を凹部23から容易に取り出せるように、電子部品10と凹部23との間に適度な間隙が確保されるように設定されている。また、これらの凹部23は、幅方向の中心部に沿って所定の間隔で設けられている。
【0032】
一方、キャリアテープ2の幅方向の両端部(縁部)には、それぞれ、長手方向に沿って複数のスプロケットホール29が等間隔で設けられている。このスプロケットホール29に図示しないスプロケットホイールの歯が嵌合することにより、スプロケットホイールの回転に応じてキャリアテープ2を搬送することができる。
【0033】
このようなキャリアテープ2の構成材料(材質)としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルのような各種樹脂材料、不織布のような布、紙等が挙げられる。また、必要に応じて、これらの樹脂材料に、カーボンブラック、グラファイト、カーボン繊維等の導電性フィラーが混合される。これにより、キャリアテープ2に導電性を付与し、帯電が防止されるため、静電気による電子部品10の破壊が防止される。さらに、キャリアテープ2の表面には、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等からなる剥離剤や、導電性を有する被膜等が成膜されていてもよい。
【0034】
ここで、隣接する凹部23同士の間をそれぞれ「間隔部」とすると、キャリアテープ2には、長手方向に沿って複数の間隔部24が並んでいる。これらの複数の間隔部24には、厚さ方向に刻まれた溝241を備える間隔部24と、溝241を備えない間隔部24とが、一定の割合で含まれている。そして、溝241を備える間隔部24は、所定の数ごとに間欠的に存在している。
【0035】
具体的には、図1に示すキャリアテープ2では、溝241を備えた1つの間隔部24と、これに隣り合う、溝241を備えない3つの間隔部24とが、長手方向に沿って交互に並んでいる。したがって、このような図1に示すキャリアテープ2は、溝241を備えた間隔部24を記号「A」、溝241を備えない3つの間隔部24を記号「B」、凹部23を記号「C」とすると、・・・CACBCBCBCACBCBCBCACBC・・・と模式的に示すことができる。
【0036】
上述したような間隔部24のうち、上記の溝241を備えた1つの間隔部24(記号「A」)は、前述した折り曲げ部21に対応する部位である。一方、上記の溝241を備えない3つの間隔部24(記号「B」)は、これらを挟むように並んだ4つの凹部23(記号「C」)とともに、前述した非折り曲げ部22に対応する部位を構成している。したがって、キャリアテープ2をつづら折れ状に折り畳んだときには、図3に示すように、溝241を備えた間隔部24(折り曲げ部21)で折り返すことができ、3つの間隔部24と4つの凹部23とを含む非折り曲げ部22が厚さ方向に次々と重なるようにして畳まれることとなる。すなわち、記号「A」が折り曲げ部21に相当し、記号「B」および記号「C」の連なりが非折り曲げ部22に相当する。
【0037】
ところで、溝241を設けたことにより、折り曲げ部21は、厚さ方向の折り曲げに対する剛性が非折り曲げ部22よりも小さくなっている。換言すれば、折り曲げ部21は、非折り曲げ部22よりも可撓性に富んでいる。このため、この折り曲げ部21は、荷重を加えることで容易に折り曲げられるだけでなく、荷重を取り除いて元の形状に戻せば、わずかな曲げ癖が残ったとしても元の形状(非折り曲げ状態)を維持し得るようになっている。
【0038】
ここで、従来のキャリアテープは、リールに巻き付けることはあっても、折り畳むことを想定していないため、仮に荷重を与えて厚さ方向に折り曲げようとしても、十分に折り曲げることができなかった。このため、折り曲げ後の体積も十分には小さくならなかった。
【0039】
一方、大きな荷重を加えて強引に折り曲げた場合、折り曲げ部には著しい曲げ癖が生じる。このような状態になると、荷重を取り除いても折り曲げられた状態から元の状態に復元することができない。その結果、キャリアテープに著しい曲げ癖が発生し、キャリアテープからの電子部品の取り出しに支障を来すこととなる。
【0040】
また、キャリアテープをリールに巻き付けた場合にも、やはりキャリアテープに巻き癖が生じてしまい、凹部に電子部品を収納する際や、凹部から電子部品を取り出す際などに、巻き癖の影響からその作業効率が低下することが問題となっていた。
【0041】
これに対し、本発明に係るキャリアテープ2に設けられた折り曲げ部21は、この部分で折り返してもほとんど曲げ癖および巻き癖が生じない。このため、キャリアテープ2は、簡単に小さく折り畳むことができるとともに、折り畳んだ状態のキャリアテープ2を引っ張ることで、簡単に折り曲げ前の状態に戻すことができる。したがって、キャリアテープ2は、つづら折れ状に折り畳んだ状態で包装するのに適した包装資材であり、このようなキャリアテープ2を用いた包装体1は、図4に示すように直方体状の個装箱4に収容したとき、従来に比べて包装体1と個装箱4との隙間を著しく少なくすることができる。また、隙間を埋める衝撃緩衝部材を使用する場合でも、その使用量を大きく削減することができる。
【0042】
なお、折り曲げ部21は、複数の間隔部24のうち、所定の数ごとに間欠的に存在しているが、この数は、キャリアテープ2全体で一定であるのが好ましい。これにより、包装体1を一定の間隔で折り曲げることができるので、折り曲げ後の包装体1は、直方体状にまとめることができる。
【0043】
このように溝241は、折り曲げ部21に可撓性を付与しているが、その形成方向は、キャリアテープ2の折り曲げ線に平行になるようにすればよい。また、図2では、溝241がキャリアテープ2の幅全体にわたって形成されているが、幅の一部のみに形成されていてもよい。
【0044】
また、図2に示すキャリアテープ2では、1つの折り曲げ部21に3本の溝241が形成されているが、この溝241の本数は、特に限定されず、本数が多いほど折り曲げ部21の可撓性を高めることができるという観点から、キャリアテープ2の材質や厚さ等に応じて適宜設定すればよい。一例としては、凹部(ポケット)23とこれに隣合う凹部(ポケット)23の間の平坦部の間に1〜10本であることが好ましく、3〜5本であるのがより好ましい。
【0045】
なお、溝241の幅は、好ましくは0.05〜1.0mm程度、より好ましくは0.1〜0.5mm程度とされる。
【0046】
一方、溝241の横断面形状は、特に限定されず、V字状、U字状、矩形状等の形状とされる。
【0047】
また、溝241の深さは、キャリアテープ2の母材の厚さに応じて適宜設定されるが、母材の厚さの10〜80%程度であるのが好ましく、20〜50%程度であるのがより好ましい。
【0048】
さらに、溝241は、キャリアテープ2のいずれの面に形成されていてもよく、また、複数の溝241が設けられている場合には、それぞれの溝241が互いに異なる面に形成されていてもよい。
【0049】
例えば、図2(b)に示す3つの溝241は、いずれもキャリアテープ2の下面20b側に形成されているが、この形成面は特に限定されず、図3に示すようになっていてもよい。
【0050】
図3に示す各キャリアテープ2は、いずれも溝241の形成面が異なる以外は図2に示すキャリアテープ2と同じである。
【0051】
このうち、図3(a)に示すキャリアテープ2では、3つの溝241がいずれもキャリアテープ2の上面20a側に形成されている。
【0052】
一方、図3(b)に示すキャリアテープ2では、平行に並んだ3つの溝241のうち、両端の溝241がキャリアテープ2の上面20a側に形成されており、残る中央の溝241がキャリアテープ2の下面20b側に形成されている。
【0053】
さらに、図3(c)に示すキャリアテープ2では、平行に並んだ3つの溝241のうち、中央の溝241がキャリアテープ2の上面20a側に形成されており、残る両端の溝241がキャリアテープ2の下面20b側に形成されている。
【0054】
以上のような図3に示すキャリアテープ2においても、図2に示すキャリアテープ2と同様の作用・効果が得られる。
【0055】
このような溝241は、キャリアテープ2の母材に対して成形型を圧接する他、例えば針状の部材を押圧しつつ走査する等して形成することができる。
【0056】
また、図1に示す各折り曲げ部21には、それぞれ溝241に加えて、キャリアテープ2を厚さ方向に貫通する5つの貫通孔242が設けられている。このような貫通孔242が設けられることにより、各折り曲げ部21では、キャリアテープ2の実質的な幅が貫通孔242の分だけ減少することとなり、それに応じて剛性が低下する。その結果、各折り曲げ部21の可撓性がより高くなる。
【0057】
貫通孔242を備える各折り曲げ部21の実質的な幅は、各非折り曲げ部22の実質的な幅に対して1〜70%程度であるのが好ましい。各折り曲げ部21の実質的な幅が前記範囲内となるように、貫通孔242の幅方向の長さを適宜設定することにより、各折り曲げ部21の折り曲げ容易性と引っ張り荷重に対する機械的強度とを両立することができる。なお、貫通孔242を備える折り曲げ部21の実質的な幅とは、キャリアテープ2の幅から、各貫通孔242の幅の合計を差し引いたものである。
【0058】
また、図1に示すこれらの5つの貫通孔242は、折り曲げ部21の幅方向に沿って等間隔に配列している。これにより、折り曲げ部21の可撓性は、幅方向全体で均一に高くなる。
【0059】
各貫通孔242の平面視形状は、図1に示すものに限定されず、真円、楕円、長円のような円形、三角、菱形、平行四辺形のような多角形等、いかなる形状であってもよい。また、各貫通孔242の配列パターンは、規則的であっても不規則であってもよい。
【0060】
また、各折り曲げ部21の長さ(長手方向の距離)は、非折り曲げ部22に位置する間隔部24の長さより長いことが好ましい。これにより、各折り曲げ部21における折り曲げがより容易になる。
【0061】
なお、各折り曲げ部21の長さは、凹部23の2個分の深さ以上の長さであることが好ましい。このような長さであれば、包装体1を図3に示すようにつづら折れ状に折り畳んだ際に、上下で隣接する非折り曲げ部22同士が傾くことなく平行になる。その結果、包装体1を隙間なく効率的に折り畳むことができる。
【0062】
以上のようなキャリアテープ2には、凹部23に電子部品10を収納した状態で、凹部23を塞ぐようにトップカバーテープ3が貼り合わされる。これにより、包装体1が得られる。
【0063】
トップカバーテープ3は、キャリアテープ2に対して熱圧着、接着剤による接着等の方法で貼り付けられる。
【0064】
なお、トップカバーテープ3は、図1に示すように、スプロケットホール29が形成されたキャリアテープ2の両端部を除くように、キャリアテープ2の中央部に対して部分的に貼り合わされる。
【0065】
また、トップカバーテープ3の構成材料(材質)としては、ポリエチレン、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)等が挙げられる。
【0066】
包装体1は、前述したように個装箱4に収容されるが、このように個装箱4に収容された包装体1は、電子部品10を配線基板等に実装する際には、その上端部を引っ張ることで、図5に示すように上方から順次繰り出される。したがって、従来のようなリールを装填する装置等が不要であり、例えば電子部品10を配線基板に実装する工程において、生産設備の簡略化を図ることができる。
【0067】
なお、キャリアテープ2では、各折り曲げ部21のいずれに対しても同様の加工が施されていてもよいが、各折り曲げ部21間で異なる加工が施されていてもよい。
【0068】
例えば、包装体1は、図4に示すようにつづら折れ状に折り畳んだ状態で、直方体状の個装箱4に収容することができるが、この状態では、図4に示す折り曲げ部21aと折り曲げ部21bとで、その曲率半径が異なっている。その理由は、折り曲げ部21aでは、その曲率半径が電子部品10の厚さ(凹部23の深さ)に相当するのに対し、折り曲げ部21bでは、その曲率半径が限りなく小さくなるためである。したがって、キャリアテープ2にとっては、折り曲げ部21aの曲率半径程度であれば比較的容易に折り曲げることができたとしても、折り曲げ部21bの曲率半径での折り曲げには耐え切れず、著しい曲げ癖が生じるおそれもある。さらには、折り曲げ部21aと折り曲げ部21bとでは、折り曲げる方向が異なる。これらの点を考慮すると、折り曲げ部21に施す加工は、折り曲げ部21aと折り曲げ部21bとで異ならせることが好ましいと言える。
【0069】
具体的には、折り曲げ部21aと折り曲げ部21bとで、溝241の形成面、形成本数および形成密度の少なくとも1つや、貫通孔242の形成個数および幅の少なくとも1つを異ならせることで、各折り曲げ部21を、折り曲げ部21aまたは折り曲げ部21bに適したものとすることができる。
【0070】
≪第2実施形態≫
次に、本発明のキャリアテープおよび包装体の第2実施形態について説明する。
【0071】
図6は、本発明の包装体の第2実施形態を示す上面図および縦断面図である。なお、図6では、包装体のうち、キャリアテープのみを図示している。また、図6のうち、(a)は上面図を、(b)は縦断面図を示している。
【0072】
以下、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0073】
本実施形態は、各折り曲げ部21において、さらにキャリアテープ2の幅方向の両端部にそれぞれ切り欠きを設けた以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0074】
すなわち、図6に示すキャリアテープ2aは、前記第1実施形態と同様、各折り曲げ部21に形成された溝241および貫通孔242を有している。さらに、図6に示すキャリアテープ2aは、幅方向の両端部に、それぞれ端面に開口するように形成された切り欠き243を有している。
【0075】
このように切り欠き243が追加されたことにより、各折り曲げ部21の曲げ剛性がより小さくなり、各折り曲げ部21の折り曲げ容易性をさらに高めるとともに、折り曲げによる著しい曲げ癖の発生をさらに確実に抑制することができる。
【0076】
図6に示す切り欠き243は、平面視で略長方形をなしているが、その形状は特に限定されず、真円、楕円、長円のような円形、三角、五角のような多角形等、いかなる形状であってもよい。
【0077】
以上のような第2実施形態に係るキャリアテープおよび包装体は、前記第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【0078】
≪第3実施形態≫
次に、本発明のキャリアテープおよび包装体の第3実施形態について説明する。
【0079】
図7は、本発明の包装体の第3実施形態を示す上面図および縦断面図である。なお、図7では、包装体のうち、キャリアテープのみを図示している。また、図7のうち、(a)は上面図を、(b)は縦断面図を示しており、図7(b)中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0080】
以下、第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態および前記第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0081】
本実施形態は、各折り曲げ部21に対して、蛇腹状の加工を施すようにした以外は、前記第2実施形態と同様である。
【0082】
すなわち、図7に示すキャリアテープ2bでは、溝241および貫通孔242に代えて、各折り曲げ部21のキャリアテープ2bの母材となるシートが蛇腹状に成形されている。このような蛇腹状の成形がなされたことにより、各折り曲げ部21では、前記各実施形態と同様、折り曲げ容易性が高くなり、かつ折り曲げによる著しい曲げ癖の発生が抑制される。
【0083】
また、図7に示す蛇腹状部分244は、キャリアテープ2bの下面20b側に突出するように形成されているのが好ましい。このように形成された蛇腹状部分244は、山折りと谷折りとを繰り返すように成形されているため、山の高さまたは谷の深さに相当する分だけキャリアテープ2bの厚さが厚くなっている。そこが、蛇腹状部分244をキャリアテープ2bの下面20b側に突出するように成形することで、蛇腹状部分244の厚さがキャリアテープ2bの総厚に及ぼす影響を最小限に抑制することができる。すなわち、キャリアテープ2bの下面20b側には凹部23が突出しているため、蛇腹状部分244の厚さが凹部23の深さ未満であれば、蛇腹状部分244がキャリアテープ2bの上面20aや下面20bから突出してしまうのを防止することができる。これにより、つづら折れ状に折り畳んだ際に、キャリアテープ2bを隙間なく折り畳むことができる。
【0084】
以上のような第3実施形態に係るキャリアテープおよび包装体は、前記第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【0085】
≪第4実施形態≫
次に、本発明のキャリアテープおよび包装体の第4実施形態について説明する。
【0086】
図8は、本発明の包装体の第4実施形態を示す上面図および縦断面図である。なお、図8では、包装体のうち、キャリアテープのみを図示している。また、図8のうち、(a)は上面図を、(b)は縦断面図を示しており、図8(b)中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0087】
以下、第4実施形態について説明するが、前記第1実施形態ないし前記第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0088】
本実施形態は、各折り曲げ部21において、キャリアテープ2の母材となるシートを、より厚さの薄いシートで代替した以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0089】
すなわち、図8に示すキャリアテープ2cでは、各折り曲げ部21のキャリアテープ2cの母材となるシートが、より厚さの薄いシートからなる連結シート245で置き換えてある。換言すれば、短冊状の各非折り曲げ部22同士がそれぞれ連結シート245を介して連結されることにより、キャリアテープ2cが構成されている。
【0090】
この連結シート245は、隣接する2つの非折り曲げ部22同士をつなぐように、キャリアテープ2cの下面に貼り合わされている。非折り曲げ部22に対する連結シート245の貼り合わせ方法は、特に限定されず、熱圧着、接着剤による接着等の方法を用いることができる。
【0091】
以上のような第4実施形態に係るキャリアテープおよび包装体は、前記第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【0092】
以上、本発明のキャリアテープおよび包装体の製造方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、任意の工程を追加してもよい。
【0093】
また、本発明のキャリアテープは、前記各実施形態の2つ以上を組み合わせたものであってもよく、例えば、第3実施形態や第4実施形態に、貫通孔を追加してもよい。
【0094】
また、包装体1に納められる物品は、電子部品10に限らず、機械部品等のいかなる物品であってもよい。
【0095】
また、前記第4実施形態では、連結シート245の厚さがキャリアテープ2bの母材となるシートよりも薄くなっているが、連結シート245の曲げ剛性が非折り曲げ部22の曲げ剛性よりも小さければ互いの厚さは同じであってもよく、この際は、曲げ剛性に差が生じるようにそれぞれの構成材料(材質)を異ならせるようにしてもよい。
【0096】
なお、連結シート245を用いる代わりに、キャリアテープ2bの母材となるシートの厚さを各折り曲げ部21において部分的に薄くするような加工を施すようにしてもよい。
【0097】
溝241を備える間隔部24は、所定の数ごとに間欠的に存在している。
また、前記各実施形態では、非折り曲げ部22に位置する間隔部24には、溝241や貫通孔231等の加工が施されていないが、このような加工は、非折り曲げ部22に位置する間隔部24に対して施されていてもよい。この場合、折り曲げ部21に位置する間隔部24の曲げ剛性が、非折り曲げ部22に位置する間隔部24の曲げ剛性より小さくなるように、それぞれの加工の条件を異ならせるようにすればよい。異ならせる加工の条件としては、例えば、溝241の数、配設密度や、貫通孔231の数、形状、幅や、切り欠き243の大きさ(長さ)等が挙げられる。
【符号の説明】
【0098】
1 包装体
10 電子部品
2、2a、2b、2c キャリアテープ
20a 上面
20b 下面
21、21a、21b 折り曲げ部
22 非折り曲げ部
23 凹部
231 貫通孔
24 間隔部
241 溝
242 貫通孔
243 切り欠き
244 蛇腹状部分
245 連結シート
29 スプロケットホール
3 トップカバーテープ
4 個装箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のシートの長手方向に沿って配置された複数の凹部と、隣り合う前記凹部同士の間にそれぞれ位置する間隔部とを有し、前記凹部に物品を収納するキャリアテープであって、
該キャリアテープの長手方向に沿って配置された複数の前記間隔部のうち、所定の数ごとに間欠的に位置する一部の前記間隔部に対して、該一部の間隔部の曲げ剛性が、当該キャリアテープの他の部位の曲げ剛性より小さくなるような加工が施されていることを特徴とするキャリアテープ。
【請求項2】
前記加工は、前記一部の間隔部に溝を形成する加工である請求項1に記載のキャリアテープ。
【請求項3】
前記加工は、前記一部の間隔部に貫通孔を形成する加工である請求項1または2に記載のキャリアテープ。
【請求項4】
前記貫通孔を備える前記一部の間隔部の幅から前記貫通孔の幅を差し引いた長さは、前記キャリアテープの他の部位の幅の1〜70%である請求項3に記載のキャリアテープ。
【請求項5】
前記加工は、前記一部の間隔部を蛇腹状に成形する加工である請求項1または2に記載のキャリアテープ。
【請求項6】
前記加工は、前記一部の間隔部の幅方向の少なくとも一方の端部に、切り欠きを形成する加工である請求項1ないし5のいずれかに記載のキャリアテープ。
【請求項7】
前記加工は、前記一部の間隔部における前記シートの厚さを薄くする加工である請求項1ないし6のいずれかに記載のキャリアテープ。
【請求項8】
前記加工は、前記一部の間隔部に相当する部分における前記シートを、前記シートより曲げ剛性の小さいシートで代替する加工である請求項1または2に記載のキャリアテープ。
【請求項9】
前記複数の間隔部のうち、前記一部の間隔部以外の間隔部に対しても加工が施されており、
前記一部の間隔部には、その厚さ方向の曲げ剛性が、前記一部の間隔部以外の間隔部の曲げ剛性よりも小さくなるような加工が施されている請求項1ないし7のいずれかに記載のキャリアテープ。
【請求項10】
前記所定の数は、当該キャリアテープ全体において一定である請求項1ないし9のいずれかに記載のキャリアテープ。
【請求項11】
前記加工を施した前記一部の間隔部の長さは、前記加工を施していない間隔部の長さより長い請求項1ないし10のいずれかに記載のキャリアテープ。
【請求項12】
前記加工を施した前記一部の間隔部の長さは、前記凹部2つ分の深さ以上の長さである請求項1ないし11のいずれかに記載のキャリアテープ。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載のキャリアテープと、
該キャリアテープの前記凹部内に前記物品を収納した状態で、前記凹部の開口を封止するトップカバーテープとを有することを特徴とする包装体。
【請求項14】
前記加工を施した前記一部の間隔部を厚さ方向に折り曲げることにより、つづら折れ状に折り畳み可能になっている請求項13に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−202226(P2010−202226A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47320(P2009−47320)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】