説明

キレート化アルキリデン配位子を有するルテニウムベースのメタセシス触媒の製造方法

本発明は、キレート化アルキリデン配位子を有するルテニウムベースのカルベン触媒(「Hoveyda型触媒」)の製造方法であって、(L)(Py)X12Ru(アルキリデン)型の五配位のルテニウム(II)−アルキリデン錯体と、適したオレフィン誘導体とを、交差メタセシス反応において反応させることによる、製造方法に関する。該方法は高い収率をもたらし、且つ、好ましくは芳香族炭化水素溶剤中で実施される。ホスフィン含有Ruカルベン錯体を出発材料として使用することを回避できる。高い純度、特に低いCu含有率を有する触媒生成物を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明はルテニウムベースのメタセシス触媒の製造方法、特に、キレート化アルキリデン(カルベン)配位子を含む、ルテニウム触媒の合成に関する。ここで開示される方法は、五配位のRu−アルキリデン錯体を、交差メタセシス反応(CM)を介した合成のための出発材料として使用することに基づく。本発明の製造方法は単純で、直接的、経済的且つ工業規模のために有用である。
【0002】
オレフィンメタセシスは、基本的な触媒反応であり、且つ、ばらばらにし、且つ新規の炭素−炭素結合を作り出し、且つ分子を形成するための、最も汎用性のある方法の1つである。様々な一般的なメタセシス反応経路、例えば、閉環メタセシス(RCM)、開環メタセシス重合(ROMP)、交差メタセシス(CM)およびそれらの組み合わせが記載されている。過去数年間で、オレフィンメタセシスは、有機合成およびポリマー化学における炭素−炭素結合の形成のために広く使用される方法になった。
【0003】
Schrockによるはっきり定義されたモリブデンベースのカルベン触媒の開発、およびGrubbsによるルテニウムベースのカルベン触媒は、特に工業応用のためのメタセシスの分野において、急成長に至った。
【0004】
Grubbsの「第一世代」触媒、2つのトリシクロヘキシルホスフィン配位子を保有するルテニウムベンジリデン錯体(構造(PCy32Cl2Ru=CHPhを有する)は、有機合成において広く使用された最初のメタセシス触媒の1つであった。この類の触媒の次が、より活性な「第二世代」の類似物であり、そこではN−複素環式カルベン(NHC)配位子、例えば「不飽和」IMes (=1,3−ジメシチル−イミダゾール−2−イリデン)または「飽和」S−IMes (=H2IMes=1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)が、1つのホスフィン配位子を置き換えている。
【0005】
最近では、いわゆる、「ブーメラン」触媒がますます注目されてきている。Hoveydaらは、アルキリデン(カルベン)部分に結合されたベンジリデン−エーテル断片を含む潜在性メタセシス触媒を調製した (S.B.Garber, J.S.Kingsbury, B.L Gray, A.H.Hoveyda, J.Amer.Chem.Soc. 2000. 122, 8168〜8179およびWO02/14376号A2参照)。それらの新たな種類のRu触媒は、キレート化アルキリデン配位子(典型的にはアルコキシベンジルデン配位子)、およびPCy3(第一世代)またはNHC(第二世代)基のいずれかを含む。
【0006】
過去数年間にわたり、種々の種類の「ブーメラン触媒」が文献内に開示された。技術水準からの例は、追加的なエステル基(WO2005/016944号A1参照)または追加的なケト基(WO2008/034552号A1)を有する、環式アルコキシベンジリデン配位子を含むRu−錯体である。さらには、キノリンおよびキノキサリン誘導体を含む環式キレート化Ru錯体が、WO2007/140954号内に記載されている。WO2008/065187号A1は、アミド置換されたアルコキシベンジリデン配位子を有する環式Ruカルベン錯体を開示し、WO2004/035596号は、ニトロ基を有するアルコキシベンジリデン配位子を保有する同様の錯体を記載している。
【0007】
かかる「ブーメラン型」または「Hoveyda型」のRuカルベン触媒は、メタセシス反応において広い応用プロファイルを示し、且つ、いくつかの応用においては触媒装填の著しい減少を可能にできる。さらに、いくつかの系について、再利用性が記載されている。従って、それらの触媒は、商業応用において重要性が増してきている。その結果、それらの触媒について、工業規模での生産を可能にする、確固とした且つ単純な製造経路が必要とされている。
【0008】
キレート化「Hoveyda型」のRuカルベン錯体のための一般的な調製径路は、X2L’L’’Ru=CHPh型(ここで、少なくとも1つのL’またはL’’はPR3型のホスフィンである)のルテニウムカルベン錯体の、前駆体としての使用に基づく。それらの化合物は、追加的な供与基を含む、適したオレフィン前駆体配位子と反応する。新規のカルベン結合は、交差メタセシス反応(「CM」)によって生成される一方、1つのホスフィン配位子(L’またはL’’)は、オレフィン配位子の供与基によって置き換えられ、従ってキレート化環状錯体を形成する。
【0009】
US7205424号は、Ru−インデニリデンカルベン錯体およびオレフィンを使用した交差メタセシス反応による、ルテニウムベースのオレフィンメタセシス触媒の調製を教示している。しかしながら、キレート化アルキリデン配位子を有するRu−錯体の調製は開示されていない。
【0010】
S.Blechertら (Synlett 2001、No 3、430−432)は、閉環メタセシスによる、キレート化Ruアルコキシベンジリデン触媒(「Hoveyda型」触媒)の調製用の前駆体としてのNHC−およびPPh3−置換されたRuインデニリデン錯体の使用を報告している。しかしながら、低い収率(即ち約40%)が報告されているため、この方法は経済的であるとは考えられない。
【0011】
交差メタセシス(CM)を介したRuカルベン触媒合成用の前駆体としてのピリジン置換ルテニウムカルベン錯体の使用は、文献内に記載されている。
【0012】
A.Hejl、M.W.DayおよびR.H.Grubbs (Organometallics 2006, 25, 6149−6154)は、アルキリデン部分に結合したイミン供与体を含む、2つのルテニウムアルキリデン錯体の調製を記載している。それらの化合物は、2つのピリジン配位子およびベンジリデン基を含む、六配位のルテニウム前駆体錯体(H2−IMes)(Py)2Cl2Ru=CHPhから出発して調製される。78〜84%の収率が報告された。
【0013】
同一の前駆体錯体が、環式ブテニル−ピリジル配位子を含有するルテニウムアルキリデン錯体の合成のために使用される (T.Ung, A.Heyl, R.H.GrubbsおよびY.Schrodi, Organometallics 2004, 23, 5399−5401)。
【0014】
WO2007/140954号は、出発材料としての3−ブロモ−ピリジン置換錯体 (H2−IMes)(Br−Py)2Cl2Ru=CHPhの使用を開示しており、ここでもまた、2つのピリジン型配位子を保有している。
【0015】
M.Barbasieviczらは、ベンジリデン化合物 (H2−IMes)(PCy3)Cl2Ru=CHPhから出発し、且つ、Cu(I)Clをホスフィン捕捉剤として使用する、キレート化ルテニウムキノリンおよびキノキサリン錯体の合成を報告している (Organometallics 2006, 25(15), 3599−3604参照)。
【0016】
有害な化学物質、例えばジアゾ試薬(例えばジアゾアルケン)が、ルテニウムベンジリデン錯体の調製において通常使用される。従って、かかる化合物から出発する合成径路は、工業的な触媒生産においては回避されるべきである。
【0017】
本発明の課題は、キレート化アルキリデン配位子を有する、ルテニウムベースのカルベン触媒(「ブーメラン型」触媒)の製造のための改善された方法を提供することであった。新規の方法は、高い収率を提供するべきであり、且つ、有害な化学物質の使用を必要とするべきでない。さらには、該方法は、ルテニウムカルベン触媒を高い生成物純度で、且つ汚染なく(例えばホスフィン配位子またはCuイオンの残留物なく)、提供するべきである。該方法は、容易にスケーリング可能で、環境にやさしく、且つ、工業生産規模で適用可能であるべきである。
【0018】
本発明は、請求項1およびそれに従属する以下の請求項に記載の方法を提供することによって、それらの課題に取り組んでいる。
【0019】
本発明によれば、キレート化アルキリデン配位子を有するルテニウムベースのカルベン触媒は、ルテニウムアルキリデン出発錯体と、オレフィン誘導体との反応によって、交差メタセシス反応(CM)を介して、調製される。本発明の方法は、(Py)(L)X12Ru(アルキリデン)型の五配位のルテニウム(II)−アルキリデン触媒を出発化合物として用いる。この出発錯体は、一般式
【化1】

を有している。
【0020】
この式において、Lは中性配位子であり、X1およびX2は互いに独立して、無機または有機アニオン配位子、例えばハライドアニオン、擬ハライドアニオン、水酸化物、アセテート、トリフルオロアセテートまたはカルボキシレートであり、且つ、PyはN−複素環式2電子供与体配位子を表す。Y1およびY2は、互いに独立して、水素、C1〜C6−アルキル、C2〜C6−アルケニル、C2〜C6−アルキニル、C1〜C6−アルキルチオ、アリール、アリールチオ、C1〜C6−アルキルスルホニル、またはC1〜C6−アルキルスルフィニルである。好ましくは、Y1およびY2は共に、式
【化2】

[式中、
3は水素、置換または非置換のアリール基、または置換または非置換のフェニル基である]
による「インデニリデン」型の環を形成する。好ましい実施態様において、R3は置換または非置換のフェニル基である。さらに好ましい実施態様において、配位子Lは飽和または不飽和のN−複素環式カルベン配位子(「NHC」配位子)およびRu(II)−前駆体錯体は、(Py)(NHC)X12Ru(インデニリデン)または(Py)(NHC)X12Ru(フェニル−インデニリデン)型である。
【0021】
本発明は、キレート化アルキリデン配位子を有するルテニウムベースのカルベン触媒の製造方法であって、ルテニウム(II)−アルキリデン錯体とオレフィン誘導体との、以下の式(1)による反応を含む製造方法を提供する:
式(1)
【化3】

[式中、
・ Lは中性配位子、好ましくは飽和または不飽和のN−複素環式カルベン配位子(「NHC」配位子)である、
・ X1およびX2は互いに独立して、無機または有機のアニオン配位子、例えばハライドアニオン、擬ハライドアニオン、水酸化物、アセテート、トリフルオロアセテートまたはカルボキシレートである、
・ Y1およびY2は、互いに独立して、水素、C1〜C6−アルキル、C2〜C6−アルケニル、C2〜C6−アルキニル、C1〜C6−アルキルチオ、アリール、アリールチオ、C1〜C6−アルキルスルホニルまたはC1〜C6−アルキルスルフィニル、またはY1およびY2は共に、式
【化4】

[式中、
前記式R3は水素、置換または非置換のアリール基または置換または非置換のフェニル基である]
による、インデニリデン型の環を形成する、
・ PyはN−複素環式の2電子供与体配位子である、
・ R0およびR1は、互いに独立して、水素、C1〜C10−アルキル、C2〜C10−アルケニル、C2〜C10−アルキニル、フェニルまたはアリール基(随意に置換されていてよい)である、
・ a、b、cおよびdは、互いに独立して、水素、C1〜C10−アルキル、C2〜C10−アルケニル、C2〜C10−アルキニル、フェニルまたはアリール基、または電子求引性基(「EWG」)であり、ただし、a、b、cまたはdのそれぞれは、互いに環を形成できる、
・ Zはヘテロドナー原子、例えば酸素(O)、硫黄(S)、窒素(N)、またはヘテロドナー原子を含む基、例えばスルフィニル(>S=O)である、
・ R2は置換または非置換の炭化水素基、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアミノ、アルキルチオ、置換または非置換のケト基、例えば−C(Ra2−CO−C(Rb3、置換または非置換のエステル基、例えば−C(Ra2−CO−O(Rc) (前記基において、Raは水素またはC1〜C10−アルキル、Rbは水素、C1〜C10−アルキル、C1〜C10−フルオロアルキル、C1〜C10−アルキルアミノ、C1〜C10−アルキルアンモニウムまたはC2〜C10−アルケニルおよびRcはC1〜C10−アルキル、C1〜C10−フルオロアルキル、C1〜C10−アルキルアミノ、C1〜C10−アルキルアンモニウムまたはC2〜C10−アルケニルである)、且つ、ここで、R2および/またはZは、dと共に環を形成できる]。
【0022】
好ましい実施態様において、本発明は、キレート化アルキリデン配位子を有するルテニウムベースのカルベン触媒の製造方法であって、ルテニウム(II)−アルキリデン錯体とオレフィン誘導体との、式(1)
[式中、
・ Lは飽和H2IMes (=1,3−ジメシチル−イミダゾリジン−2−イリデン)または不飽和IMes (=1,3−ジメシチル−イミダゾール−2−イリデン)配位子である、
・ X1およびX2は、互いに独立して、アニオン配位子、例えばCl-、Br-またはI-である、
・ Y1およびY2は、共に、式
【化5】

[式中、R3は置換または非置換のフェニル基である]
による、インデニリデン型の環を形成する、
・ Pyは、置換または非置換のピリジン配位子である、
・ R0およびR1は、互いに独立して、水素またはC1〜C10−アルキル基である、
・ a、b、cおよびdは、互いに独立して、水素、C1〜C10−アルキル、フェニル、アリール基または電子求引性基(EWG)、例えばF、Cl、Br、I、−CF3、−NO2、−N(H)−CO−CH3、−N(アルキル)−CO−CH3、−N(H)−CO−CF3; −N(アルキル)−CO−CF3、−O2S−(アルキル)、−O−CO−(アルキル)または−SO2−N(CH32である、
・ Zは、ヘテロドナー原子、例えば酸素(O)または窒素(N)である、
・ R2は、置換または非置換のアルキル基、例えば−CH3または−CH(CH32、置換または非置換のケト基、例えば−CH2−CO−CH3、−CH2−CO−C25、−CH(CH3)−CO−CH3または−CH(CH3)−CO−C25、置換または非置換のエステル基、例えば−CH2−CO−O−CH3、−CH2−CO−O−C25、−CH(CH3)−CO−O−CH3または−CH(CH3)−CO−O−C25、または、エステル基含有アミノ基、例えば
−CH(CH3)−CO−O−C24−N(CH32
であり、ここで、R2および/またはヘテロドナー原子Zおよびdは、環を形成できる]による反応を含む、製造方法に関する。
【0023】
本発明のさらなる実施態様において、オレフィン誘導体の置換基(特にR2またはヘテロ原子Zおよび置換基d)は、環を形成できる。この場合、ヘテロドナー原子Zは、好ましくは窒素(N)であり、且つ、Zおよびdは環を形成して、キノリン環系、キノキサリン環系、またはインドール環系を作り上げる。
【0024】
一般に、(Py)(L)X12Ru(アルキリデン)型のRu(II)−カルベン錯体が、本発明の方法における出発化合物として使用される。好ましくは、五配位ルテニウム(インデニリデン)カルベン錯体が用いられる。Ru−アルキリデンカルベン前駆体は、好ましくは無ホスフィンであり、且つ、「NHC」配位子および「Py」配位子を含む。ここで、用語「Py」は、N−複素環式の2電子供与体配位子、好ましくは置換または非置換のピリジン配位子を意味する。適したPy配位子についての例は、ピリジン、3−ブロモ−ピリジンまたは4−メチルピリジン、キノリンまたはピペリジンである。適したNHC配位子(「N−複素環式カルベン」配位子)についての例は、飽和H2IMes(=1,3−ジメシチル−イミダゾリジン−2−イリデン)または不飽和IMes(=1,3−ジメシチル−イミダゾール−2−イリデン)である。
【0025】
1およびX2は互いに独立して、無機または有機のアニオン(即ち、負に帯電した)配位子、例えばハライドアニオン、擬ハライドアニオン、水酸化物、アセテート、トリフルオロアセテートまたはカルボキシレートである。適したアニオン配位子Xについての例は、ハライド Cl-、Br-またはI-であり、Cl-が最も好ましい。
【0026】
インデニリデン部分に結合されたR3は、水素、置換または非置換のアリール、または置換または非置換のフェニル基を表し、好ましくは、R3は置換または非置換のフェニル基である。
【0027】
特に好ましい出発化合物は、(Py)(H2−IMes)Cl2Ru(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)である。この錯体を、(H2−IMes)(PCy3)Cl2Ru(フェニル−インデニリデン)から出発する、過剰なピリジンとの配位子交換反応において、優れた収率(>90%)で得ることができる (D.Burtscher, C.Lexer, K.Mereiter, R.Winde, R.Karch and C.Slugovc, J. of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry 2008 Vol. 46, 4630−4635参照)。当業者は、類似の方法を適用することによって、他の適した出発錯体を調製できる。それらのRu出発化合物の一般的に高い収率のおかげで、本発明の調製方法は直接的であり且つ経済的である。それを、キレート化アルキリデン配位子を有する多様なルテニウムベースのカルベン触媒の調製のために適用できる。
【0028】
好ましい変法において、本発明の方法は、出発材料としてのホスフィン配位子Lを有するRuカルベン錯体の使用を回避する。この場合、ホスフィン配位子L(例えばPPh3またはPCy3)が出発錯体中に存在しないので、副生成物(例えば遊離ホスフィン配位子またはホスフィンオキシド)があまり生成されない。
【0029】
さらには、同様の交差メタセシス法において、先行技術において、ホスフィン捕捉剤としてしばしば使用されるCu(I)Clの添加は不要である。このことは、非常に低いCu含有率を有する高純度生成物をもたらす。典型的には、Ru触媒生成物のCu含有率は10ppm未満、好ましくは5ppm未満(ICPによって測定される場合; ICP=誘導結合プラズマ)である。さらなる利点としては、本方法においてはホスフィン配位子の不在のおかげで、不活性な反応条件(即ち、保護ガス雰囲気)が、本質的に必要とされない。多くの場合、用いられる配位子に依存して、製造方法を通常の空気雰囲気下、または少なくとも厳重ではない(non−stringent)不活性な条件下で実施できる。
【0030】
意外にも、本発明の方法は、80〜95%の範囲の、優れた全体的な収率を提供する。これは、出発化合物として用いられる五配位のRu(II)−アルキリデン錯体の独特の構造のおかげであろう。バルキーな配位子Lが、反応の間に充分な安定性を提供する一方、キレート化アルキリデン部分における、Py配位子のヘテロドナー原子(またはヘテロドナー原子を含む)基Zによる置換が、迅速且つ容易に起き、従って、交差メタセシス(CM)反応におけるキレート環の形成が容易化される。その結果、反応時間が著しく短縮される。
【0031】
キレート化アルキリデン配位子のための前駆体(以降、「オレフィン誘導体」と称する)は、以下の一般式を有している:
【化6】

【0032】
この式において、R0およびR1は互いに独立して、水素、C1〜C10−アルキル、C2〜C10−アルケニル、C2〜C10−アルキニル、フェニルまたはアリール基である。
【0033】
置換基a、b、cおよびdは、互いに独立して、水素、C1〜C10−アルキル、C2〜C10−アルケニル、C2〜C10−アルキニル、フェニルまたはアリール基、または電子求引性基(ここで略して「EWG」)であってよい。以降で、用語EWGによって、電子求引特性を有し、水素(H)と比較してより高い電気陰性度(EN)を示す原子および/または基が要約される。適したEWGについての例は、ハロゲン原子 F、Cl、Br、I、または基 −CF3、−NO2、−N(H)−CO−CH3、N(アルキル)−CO−CH3、−N(H)−CO−CF3; −N(アルキル)−CO−CF3、−O2S−(アルキル)、−O−CO−(アルキル)および−SO2−N(CH32である。
【0034】
さらには、それぞれの置換基a、b、cまたはdが互いに環を形成できる。
【0035】
Zはヘテロドナー原子、例えば酸素(O)、硫黄(S)、窒素(N)、またはヘテロドナー原子を含む基、例えばスルフィニル(>S=O)である。好ましくは、Zは、ヘテロドナー原子、例えば酸素(O)または窒素(N)である。
【0036】
2は置換または非置換の炭化水素基、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアミノ、アルキルチオ、置換または非置換のケト基、例えば−C(Ra2−CO−C(Rb3、置換または非置換のエステル基、例えば−C(Ra2−CO−O(Rc) (前記基において、Raは水素またはC1〜C10−アルキル、Rbは水素、C1〜C10−アルキル、C1〜C10−フルオロアルキル、C1〜C10−アルキルアミノ、C1〜C10−アルキルアンモニウムまたはC2〜C10−アルケニルおよびRcはC1〜C10−アルキル、C1〜C10−フルオロアルキル、C1〜C10−アルキルアミノ、C1〜C10−アルキルアンモニウムまたはC2〜C10−アルケニルである)、且つ、ここで、R2および/またはZは、dと共に環を形成できる。
【0037】
一般に、前駆体配位子を、文献から公知の標準的な手順に従って調製できるか、または様々な製造者から購入できる。本発明の方法のために適したオレフィン誘導体の例は、(E/Z)−1−イソプロポキシ−2−(1−プロペニル)−ベンゼン、(E/Z)−1−[2−(1−プロペン−1−イル)−フェノキシ]−2−プロパノン)、2−イソプロポキシ−4−ニトロ−スチレン、2−イソプロポキシ−3−ビニル−ビフェニルまたは8−ビニル−キノリンである。ビニルキノリンおよびビニルキノキサリン誘導体は、文献内に記載される手順に従って得られる(上記M.Barbasievicz et al.参照)。
【0038】
一般に、本発明の製造方法は、芳香族炭化水素溶剤または塩素化炭化水素溶剤、例えばジクロロメタン、または1,2−ジクロロエタン中で実施される。芳香族炭化水素溶剤、例えばベンゼン、トルエンまたはキシレンが好ましい。それらの芳香族炭化水素溶剤、特にトルエンの使用は、多くの場合、生じるルテニウム錯体が反応混合物から直接的に沈殿し、従って、容易な単離および後処理手順を可能にするという追加的な利点を提供する。
【0039】
出発Ru(II)−化合物 (Py)(L)X12Ru(アルキリデン)を、適切な溶剤中に溶解し、且つ、配位子前駆体(オレフィン誘導体)を添加する。配位子前駆体対Ru出発錯体のモル比は、2:1の範囲、好ましくは1.1:1の範囲である。両方の作用物質の化学量論組成比が特に好ましい。
【0040】
反応温度は、0℃〜150℃の範囲、好ましくは室温(20℃)〜100℃の範囲である。適した反応時間は、用いられるオレフィン誘導体の種類に依存する。典型的には、反応時間は1〜8時間の範囲、好ましくは1〜5時間の範囲、および最も好ましくは1〜4時間の範囲である。
【0041】
芳香族炭化水素溶剤、例えば(ベンゼン、トルエンまたはキシレン)を使用する場合、多くの場合において、生じるルテニウム触媒錯体は、可溶性に乏しく、且つ、冷却および/または溶剤の減少の際に、反応混合物から沈殿する。沈殿された生成物を、通常の分離技術(ろ過、遠心分離等)によって反応混合物から分離し、非極性溶剤、例えばn−ヘキサンまたはn−ヘプタンを用いて、および/または極性溶剤、例えばジエチルエーテルまたはエタノールを用いて洗浄する。該生成物を通常の乾燥方法によって乾燥できる。
【0042】
生じる生成物の高い純度のおかげで、さらなる生成段階(例えばクロマトグラフィーおよびその種のもの)は必要ない。しかしながら、必要であれば、さらなる精製段階、例えばカラムクロマトグラフィー(LC、HPLC等)を用いてもよい。本発明による製造方法は、非常に汎用性があり、且つ、触媒の工業的な大規模生産のために有用であり、且つ、キレート化アルキリデン配位子を有する多様なルテニウムベースのカルベン触媒に適用できる。
【0043】
本発明によって調製されたRuカルベン触媒(「Hoveyda型触媒」)は、メタセシス反応において広い応用プロファイルを示す。触媒生成物を、様々なメタセシス反応、例えば閉環メタセシス(RCM)、開環メタセシス重合(ROMP)、交差メタセシス(CM)、非環式のジエン−メタセシス−重合(ADMET)およびそれらの組み合わせにおいて使用できる。
【0044】
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明することを意図しており、保護の範囲を限定するものではない。
【0045】
実施例
一般的な注釈: 以下の実施例において用いられる配位子前駆体/オレフィン誘導体はCAS登録番号を有する公知の化合物である。それらを、文献内に公開された方法、および/または当業者に公知の手順に従って調製できる。詳細: (E/Z)−1−イソプロポキシ−2−(1−プロペニル)ベンゼンについて: CAS登録番号533934−20−2; (E/Z)−1−[2−(1−プロペン−1−イル)−フェノキシ]−2−プロパノン)について: CAS登録番号1014701−63−3; 2−イソプロポキシ−4−ニトロスチレンについて: CAS登録番号753031−08−2; 8−ビニルキノリンについて: CAS登録番号96911−08−9。
【0046】
実施例1
【化7】

【0047】
a)出発化合物の調製
出発錯体を、D.Burtscher et al., J. of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry 2008, 46, 4630−4635に従い、(H2−IMes)(PCy3)Cl2Ru(フェニル−インデニリデン)(メタセシス触媒M2; Umicore AG&Co KG、ハーナウ)から出発し、過剰なピリジン(〜30等量)と共に、不活性雰囲気下で30分間、室温で攪拌することによって調製した。次に反応混合物を、攪拌されたn−ヘプタンに添加し、そして30分間、室温でさらに攪拌し、次に、反応混合物を終夜、冷却し(−27℃)、茶色の沈殿物が形成された。該沈殿物をろ過分離し、n−ヘプタンを用いて洗浄し、そして真空中で乾燥させた。化合物は、オレンジ色−茶色の微晶質固体として、95%の収率で得られる。
【0048】
【化8】

【0049】
反応式:
【化9】

【0050】
2.5gの触媒ジクロロ−(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)−(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロ−イミダゾール−2−イリデン)−(ピリジン)−ルテニウム(II)、[Umicore M31、Umicore AG & Co KG、ハーナウ]を、30mlのトルエン中に溶解し、そして10mlのトルエン中に溶解された0.7gの(E/Z)−1−イソプロポキシ−2−(1−プロペニル)ベンゼンを添加した。反応混合物を4時間、65℃で攪拌し、その後、室温に冷却した。該混合物を真空下で濃縮し、そして緑色の微晶質固体が沈殿した。
【0051】
それをろ過し、そしてn−ヘキサンおよびジエチルエーテルを用いて洗浄した。緑色−黄色がかった生成物を真空下(約12mbar)で終夜乾燥させ、そしてNMRおよび元素分析によって評価した。収率: 1.8g(87%)。分析データは公表データと一致する。
【0052】
実施例2
【化10】

【0053】
反応式:
【化11】

【0054】
3.0gのUmicore M31 [ジクロロ−(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)−(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロ−イミダゾール−2−イリデン)−(ピリジン)−ルテニウム(II); Umicore AG & Co KG、ハーナウ、上述の実施例1a)の通りに調製]を、50mlのトルエン中に溶解し、そして10mlのトルエン中に溶解された0.80gの(E/Z)−1−[2−(1−プロペン−1−イル)−フェノキシ]−2−プロパノン)を添加した。反応混合物を3時間、65℃で攪拌し、その後、室温に冷却した。緑色の微晶質固体が沈殿した。それをろ過し、そしてn−ヘキサンおよびジエチルエーテルを用いて洗浄した。緑色−黄色がかった生成物を真空下で終夜乾燥させ、そしてNMRおよび元素分析によって評価した。収率: 2.2g(87%)。
【0055】
実施例3
【化12】

【0056】
反応式:
【化13】

【0057】
2.5gの触媒 Umicore M31 [ジクロロ−(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)−(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロ−イミダゾール−2−イリデン)−(ピリジン)−ルテニウム(II); Umicore AG & Co KG、ハーナウ、上述の実施例1a)の通りに調製]を、30mlのトルエン中に溶解し、そして10mlのトルエン中に溶解された0.8gの2−イソプロポキシ−4−ニトロスチレンを添加した。反応混合物を2時間、65℃で攪拌し、その後、室温に冷却した。該混合物を真空下で濃縮し、そして緑色の微晶質固体が沈殿した。それをろ過し、そしてn−ヘキサンおよびジエチルエーテルを用いて洗浄した。緑色−黄色がかった生成物を真空下で終夜乾燥させ、そしてNMRおよび元素分析によって評価した。収率: 1.9g(85%)。分析データは公表データと一致する。
【0058】
実施例4
【化14】

【0059】
反応式:
【化15】

【0060】
1.0gの触媒 Umicore M31 [ジクロロ−(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)−(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロ−イミダゾール−2−イリデン)−(ピリジン)−ルテニウム(II)] (Umicore AG & Co KG、ハーナウ)を、20mlのトルエン中に溶解し、そして5mlのトルエン中に溶解された0.24gの8−ビニルキノリンを添加した。反応混合物を2時間、65℃で攪拌し、その後、室温に冷却した。該混合物を真空下で濃縮し、そして緑色の微晶質固体が沈殿した。それをろ過し、そして冷たいn−ヘキサンおよびジエチルエーテルを用いて洗浄した。緑色−黄色がかった生成物を真空下で終夜乾燥させ、そしてNMRおよび元素分析によって評価した。収率: 0.7g(85%)。分析データは公表データと一致する。
【0061】
比較例(CE1)
【化16】

【0062】
反応式:
【化17】

【0063】
1.15g(1.2mmol)の(H2−IMes)(PCy3)Cl2Ru(フェニルインデニリデン) (Umicore M2、Umicore AG & Co KG、ハーナウ)を、30mlのトルエン中に溶解し、且つ、10mlのトルエン中に溶解された0.25g(1.44mmol、1.2eq.)の(E/Z)−1−イソプロポキシ−2−(1−プロペニル)ベンゼンを添加した。反応混合物を6時間、65℃で攪拌し、その後、室温に冷却した。該混合物を真空下で約15mlに濃縮した。その後、60mlのペンタンを攪拌しながら添加した。生じる緑がかった茶色の沈殿物を、ろ過によって分離し、そして冷たいペンタンおよび酢酸エチルを用いて洗浄した。粗生成物を15mlのトルエン中に懸濁させ、ろ過し、そしてジエチルエーテルを用いて洗浄した。緑色の固体を最終的に、終夜、真空下で乾燥させた。0.25g(30%)の収率が得られた。
【0064】
この収率は、本発明による方法によって得られた収率(実施例1参照)よりも著しく低い。さらには、ホスフィン配位子の存在のために、追加的な時間のかかる精製工程が必要であり、且つ、生成物の純度は低減される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キレート化アルキリデン配位子を有するルテニウムベースのカルベン触媒の製造方法であって、ルテニウム(II)−アルキリデン錯体とオレフィン誘導体との、以下の式
【化1】

[式中、
・ Lは中性配位子、好ましくは飽和または不飽和のN−複素環式カルベン配位子(「NHC」配位子)である、
・ X1およびX2は互いに独立して、無機または有機のアニオン配位子、例えばハライドアニオン、擬ハライドアニオン、水酸化物、アセテート、トリフルオロアセテートまたはカルボキシレートである、
・ Y1およびY2は、互いに独立して、水素、C1〜C6−アルキル、C2〜C6−アルケニル、C2〜C6−アルキニル、C1〜C6−アルキルチオ、アリール、アリールチオ、C1〜C6−アルキルスルホニルまたはC1〜C6−アルキルスルフィニル、またはY1およびY2は共に、式
【化2】

[式中、
前記式R3は水素、置換または非置換のアリール基または置換または非置換のフェニル基である]
による、インデニリデン型の環を形成する、
・ PyはN−複素環式の2電子供与体配位子である、
・ R0およびR1は、互いに独立して、水素、C1〜C10−アルキル、C2〜C10−アルケニル、C2〜C10−アルキニル、フェニルまたはアリール基(随意に置換されていてよい)である、
・ a、b、cおよびdは、互いに独立して、水素、C1〜C10−アルキル、C2〜C10−アルケニル、C2〜C10−アルキニル、フェニルまたはアリール基、または電子求引性基(「EWG」)であり、ただし、a、b、cまたはdのそれぞれは、互いに環を形成できる、
・ Zはヘテロドナー原子、例えば酸素(O)、硫黄(S)、窒素(N)、またはヘテロドナー原子を含む基、例えばスルフィニル(>S=O)である、
・ R2は置換または非置換の炭化水素基、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアミノ、アルキルチオ、置換または非置換のケト基、例えば−C(Ra2−CO−C(Rb3、置換または非置換のエステル基、例えば−C(Ra2−CO−O(Rc) (前記基において、Raは水素またはC1〜C10−アルキル、Rbは水素、C1〜C10−アルキル、C1〜C10−フルオロアルキル、C1〜C10−アルキルアミノ、C1〜C10−アルキルアンモニウムまたはC2〜C10−アルケニルおよびRcはC1〜C10−アルキル、C1〜C10−フルオロアルキル、C1〜C10−アルキルアミノ、C1〜C10−アルキルアンモニウムまたはC2〜C10−アルケニルである)、且つ、ここで、R2および/またはZは、dと共に環を形成できる]
による反応を含む、製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
式中、
・ Lは飽和H2IMes (=1,3−ジメシチル−イミダゾリジン−2−イリデン)または不飽和IMes (=1,3−ジメシチル−イミダゾール−2−イリデン)配位子である、
・ X1およびX2は、互いに独立して、アニオン配位子、例えばCl-、Br-またはI-である、
・ Y1およびY2は、共に、式
【化3】

[式中、R3は置換または非置換のフェニル基である]
による、インデニリデン型の環を形成する、
・ Pyは、置換または非置換のピリジン配位子である、
・ R0およびR1は、互いに独立して、水素またはC1〜C10−アルキル基である、
・ a、b、cおよびdは、互いに独立して、水素、C1〜C10−アルキル、フェニル、アリール基または電子求引性基(EWG)、例えばF、Cl、Br、I、−CF3、−NO2、−N(H)−CO−CH3、−N(アルキル)−CO−CH3、−N(H)−CO−CF3; −N(アルキル)−CO−CF3、−O2S−(アルキル)、−O−CO−(アルキル)または−SO2−N(CH32である、
・ Zは、ヘテロドナー原子、例えば酸素(O)または窒素(N)である、
・ R2は、置換または非置換のアルキル基、例えば−CH3または−CH(CH32、置換または非置換のケト基、例えば−CH2−CO−CH3、−CH2−CO−C25、−CH(CH3)−CO−CH3または−CH(CH3)−CO−C25、置換または非置換のエステル基、例えば−CH2−CO−O−CH3、−CH2−CO−O−C25、−CH(CH3)−CO−O−CH3または−CH(CH3)−CO−O−C25、またはエステル基含有アミノ基、例えば
−CH(CH3)−CO−O−C24−N(CH32
であり、且つ、ここで、R2および/またはヘテロドナー原子Zは、dと共に環を形成できる、
前記方法。
【請求項3】
反応が交差メタセシス反応(CM)である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
反応が、芳香族炭化水素溶剤中で実施される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
反応温度が、20〜100℃の範囲である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
オレフィン誘導体対ルテニウム(II)−アルキリデン錯体のモル比が、2:1の範囲、好ましくは1.1:1の範囲である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
反応時間が1〜8時間の範囲、好ましくは1〜4時間の範囲である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
オレフィン誘導体が、(E/Z)−1−イソプロポキシ−2−(1−プロペニル)−ベンゼン、(E/Z)−1−[2−(1−プロペン−1−イル)−フェノキシ]−2−プロパノン)、2−イソプロポキシ−4−ニトロ−スチレン、8−ビニルキノリンまたは2−イソプロポキシ−3−ビニル−ビフェニルから選択される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
さらに、キレート化アルキリデン配位子を有するルテニウムベースのカルベン触媒を、反応混合物から沈殿およびろ過によって分離することを含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
Cu含有率が<10ppmである(ICPによって測定)、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法によって得られるキレート化アルキリデン配位子を有するルテニウムベースのカルベン触媒。

【公表番号】特表2012−525960(P2012−525960A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508942(P2012−508942)
【出願日】平成22年5月4日(2010.5.4)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002720
【国際公開番号】WO2010/127829
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(501399500)ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (139)
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D−63457 Hanau,Germany
【出願人】(511268731)グラーツ ユニヴァーシティ オブ テクノロジー (1)
【氏名又は名称原語表記】Graz University of Technology
【住所又は居所原語表記】Rechbauerstrasse 12, A−8010 Graz, Austria
【Fターム(参考)】