説明

キースイッチ

【課題】特に長尺のキーキャップとワイヤスタビライザを備えたキースイッチの打鍵音の増大や長時間の使用によるワイヤスタビライザの脱落を極力避ける。
【解決手段】合成樹脂から成るキーキャップ300と、キーキャップの上下動を支持するワイヤスタビライザ400と、各々がワイヤスタビライザ挟持溝を有し、キーキャップの裏面の縁辺付近に形成された複数の嵌合爪を備えたキースイッチにおいて、嵌合爪は、少なくともキーキャップ面に対して第1の所定角度をなす方向に開口した第1のワイヤスタビライザ挟持溝を有する第1の嵌合爪320,330と、キーキャップ面に対して第1の所定角度と異なる第2の所定角度をなす方向に開口した第2のワイヤスタビライザ挟持溝を有する第2の嵌合爪310からなり、これら嵌合爪がキーキャップに混在して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばキーボードのキーのオンオフに用いるキースイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばキーボードのキーのオンオフに用いるキースイッチの一例として、キーキャップに取付けた支持部材と、支持部材に両端部を回動自在に支持された連動棒を備える。係るキースイッチは、略コの字型を形成した支持部材が直線形状を有する上部案内片と、連動棒の両端部を案内しかつ連動棒の抜けを防止する突起片を有する下部案内片とを備え、上部案内片と下部案内片を異なる長さとすることで連動棒を挿入し易くし、組立ての容易化を図っている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−69445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このキースイッチのキーキャップは、キーボードのスペースキーなどに使用されるいわゆる長尺のキースイッチであり、これに使用される連動棒は、この長尺のキースイッチを押すにあたって、スイッチ長手方向の何れの場所を押してもスイッチを安定して動作させることの可能ないわゆるスタビライザ(安定化部材)としての役割を果たしている。そして、連動棒の両端は、支持部材のキーキャップ上面と平行な方向に形成された溝部にそれぞれ嵌合し、動作中にこの溝部の開口部に形成された突起棒をなすストッパに当接して止まるようになっている。しかしながら、この場合、連動棒の両端部がそれぞれ支持部材に対して同一方向(水平方向)にスライドするようになっているので、キースイッチの長期間の操作に応じて支持部材のストッパが摩耗して連動棒がキーキャップ上面と平行な方向にがたついて打鍵音が大きくなり、この磨耗が進むと支持部材から外れてキースイッチの動作が行なえなくなる虞がある。
【0005】
また、上述したキースイッチは、その図面に示す構造上からデスクトップ型のパーソナルコンピュータに接続されるキーボードに使用されるものと考えられ、キーボードの部分の薄型化のための特別な構造を有するノート型のパーソナルコンピュータのキーボードには更なる工夫が必要とされる。この薄型化を実現するにあたって、一般に樹脂でできたキーキャップの肉厚を極力薄くすると共に、パンタグラフの厚みも極力薄くしなければならない。その結果、ワイヤスタビライザ無しの構造では、長尺のキースイッチの例えば長手方向端部を押すとキーキャップが斜めに傾いてしまい、キーキャップの上下動作ができなくなりキースイッチとしての基本的な機能が発揮できなくなるため、ワイヤスタビライザはこのようなキースイッチにとって不可欠な構成要素となる。
【0006】
このようなワイヤスタビライザを図9に示す垂直方向嵌合爪を備えた従来型のスペースキー(長尺キー)に適用した場合について考えてみる。図9に示す構成においては、キーキャップの裏面にキーキャップ形成面と直交する方向(垂直方向下向き)に開口した略C字状の係合爪が合計4箇所備わっている。そして、その同一の方向に開口した係合爪にワイヤスタビライザを係合させ、ワイヤスタビライザの両端部をベース部材に形成されたスライドガイドに係合させることによって、パンタグラフ及びラバードームと協働して長尺のキースイッチの安定した動作を確保するようになっている。
【0007】
しかしながら、上述した略C字状の嵌合爪の開口部は全て同じ方向、即ちキースイッチの使用状態で見てキーキャップの形成面に対して垂直方向下方に向いているので、一般に1千万回以上という長期間にわたったキー操作に伴って嵌合爪の開口部がワイヤスタビライザとの接触によって摩耗し、全ての嵌合爪においての開口部の幅が広がってくる。これによって、各嵌合爪内のワイヤスタビライザの動きが拘束されないようになり、嵌合爪間におけるワイヤスタビライザのがたつきが生じてくる。嵌合爪の開口部が全て同一方向を向いていると、各ワイヤスタビライザの嵌合爪内におけるそれぞれのがたつきが重畳して、嵌合爪の開口部の摩耗をより促進させてしまう。その結果、嵌合爪内のワイヤスタビライザのがたつきが、キースイッチを押す際の打鍵音増大に繋がってしまい、キースイッチ操作時に操作者に不快感を与えてしまう虞がある。
【0008】
更には、垂直方向嵌合爪は垂直下方に開口しているので、この各嵌合爪における摩耗が進むと、ワイヤスタビライザが各嵌合爪の開口部から全て外れてキーボードの基台をなすベース板上に抜け落ちてしまう(図10及び図11参照)。このような状態になると、長尺キーの場合、キー端部を押すとキーキャップが斜めに傾いてしまい、キーキャップの上下動作ができなくなりキースイッチとしての基本的な機能が発揮できないという不具合が生じる。また、これに付随してキーキャップ自体の十分な剛性も保つことができなくなり、キーキャップを押してもキースイッチを必ずオンにすることができない場合も生じる。
【0009】
例えばノート型のパーソナルコンピュータの場合、このような長尺型のキースイッチに上述した不具合が生じると、キーボードだけの交換だけではなく、ノート型パーソナルコンピュータ全体を修理に出さなければならないので、使用できなくなる期間が長期にわたり、かなりの不都合を被ることになる。
【0010】
一方、上述した構造を有したキースイッチの長期間の使用に伴う打鍵音の増大を防止するために、キースイッチ組付け時に全ての嵌合爪にワイヤスタビライザを嵌め込んだ後、例えば刷毛やブラシでそれら嵌合爪とワイヤスタビライザの嵌合部に個別に潤滑グリスを塗る対策を行うことがある。しかしながら、このような対策を取ることは、組付け工程の工程数の増大に繋がると共に、慣れない作業者がこの作業を行うと、グリスの塗り過ぎで組付け後のキースイッチ自体からグリスがはみ出してしまったり、グリスの塗布量が少ないと打鍵音が増大したりワイヤスタビライザによる嵌合爪の磨耗が進むような事態に陥ることがある。
【0011】
本発明の目的は、特に長尺のキーキャップを備えると共にこれに対応するワイヤスタビライザを備えたキースイッチにおいて、打鍵音の増大を極力抑えると共に、長時間の使用によるワイヤスタビライザの脱落による操作不能の事態を極力避けることができる、長期にわたって安定した品質を保つことの可能なキースイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のキースイッチは、
合成樹脂から成るキーキャップと、
前記キーキャップの上下動を支持するワイヤスタビライザと
各々がワイヤスタビライザ挟持溝を有し、前記キーキャップの裏面の縁辺付近に形成された複数の嵌合爪を備えたキースイッチにおいて、
前記嵌合爪は、少なくとも前記キーキャップ面に対して第1の所定角度をなす方向に開口した第1のワイヤスタビライザ挟持溝を有する第1の嵌合爪と、
前記キーキャップ面に対して前記第1の所定角度と異なる第2の所定角度をなす方向に開口した第2のワイヤスタビライザ挟持溝を有する第2の嵌合爪からなり、
前記第1の嵌合爪と前記第2の嵌合爪が前記キーキャップに混在して配置されていることで、前記ワイヤスタビライザを多方向から挟持可能としたことを特徴としている。
【0013】
請求項1に係るキースイッチがこのような構成を有することで、キーキャップの嵌合爪がワイヤスタビライザを多方向から挟持するようになるので、キーキャップの嵌合爪におけるワイヤスタビライザによる摩耗の方向が全て同一の方向を向くことがなくなるので、ワイヤスタビライザのキーキャップに対するがたつきつきを極力抑えることができる。これによって、打鍵音の増大を極力抑えることができる。
【0014】
また、キーキャップの嵌合爪の摩耗によって生じるワイヤスタビライザのがたつきつきを極力抑えることにより、摩耗した嵌合爪からワイヤスタビライザが脱落してキーキャップの操作ができなくなるのを極力防止することができる。
【0015】
また、従来のように打鍵音の増大を抑え、摩耗を防止するためにキーキャップの嵌合爪及びこれに嵌合するワイヤスタビライザの部分にグリスを塗布する等の特別な処理を省略することも可能となり、キースイッチの組立て工数を低減することができ、生産効率を高める。また、グリスを使わないことにより、グリスにごみや埃が付着したりしてキーキャップの下部が汚れることを防止することができる。
【0016】
また、本発明の請求項2に係るキースイッチは、請求項1に記載のキースイッチにおいて、
前記第1の所定角度をなす方向とは、前記キーキャップ面に対して垂直方向であり、前記第2の所定角度をなす方向とは、前記キーキャップ面に対して平行方向であることを特徴としている。
【0017】
第1の所定角度と第2の所定角度をこのように規定することによって、請求項1に記載した作用をより確実に発揮することができるようになる。
【0018】
また、本発明の請求項3に係るキースイッチは、請求項2に記載のキースイッチにおいて、
前記第1の嵌合爪は主嵌合爪と少なくとも1つの予備嵌合爪とを有し、
前記主嵌合爪は、前記ワイヤスタビライザ挟持溝の溝幅を前記ワイヤスタビライザの直径よりも大きくすることで前記ワイヤスタビライザと前記嵌合爪との間に隙間を設けると共に、前記ワイヤスタビライザの直径よりも小さい開口幅を有する開口部とし、
前記予備嵌合爪は、前記ワイヤスタビライザ挟持溝の溝幅を前記主嵌合爪の溝幅よりも大きくすると共に、前記ワイヤスタビライザの直径よりも小さいが前記主嵌合爪の開口部の開口幅より大きい開口部とし、
前記主嵌合爪が前記ワイヤスタビライザを挟持している間は、前記予備嵌合爪は前記ワイヤスタビライザと接触せず、前記主嵌合爪が摩耗した場合に前記予備嵌合爪が前記ワイヤスタビライザを保持するようになることを特徴としている。
【0019】
請求項3に係るキースイッチがこのような構成を有することで、主嵌合爪とワイヤスタビライザとの間の摩耗が最初に生じ、この摩耗度合いが大きくなってワイヤスタビライザが主嵌合爪の開口部から抜け出して主嵌合爪から外れた場合であっても予備嵌合爪の開口部からワイヤスタビライザが抜け出すことなく、ワイヤスタビライザが予備嵌合爪に嵌合したままの状態を維持し、ワイヤスタビライザの脱落を防止する。これによって、従来のキースイッチと異なり、より長期間にわたってキースイッチを操作することが可能となる。
【0020】
また、本発明の請求項4に係るキースイッチは、請求項2に記載のキースイッチにおいて、
前記キーキャップ面に垂直な方向に開口した前記ワイヤスタビライザ挟持溝を有する前記第1の嵌合爪は、
ワイヤスタビライザ用の開口部の開口幅が前記ワイヤスタビライザ直径よりも小さい開口幅の開口部を有し、
前記開口部を介して前記ワイヤスタビライザ挟持溝に一旦挿入された前記ワイヤスタビライザを、前記ワイヤスタビライザ挟持溝において回動可能な範囲で挟持することのできることを特徴としている。
【0021】
請求項4に係るキースイッチがこのような構成を有することで、嵌合爪内においてワイヤスタビライザが若干摩耗した程度では、ワイヤスタビライザが嵌合爪から外れてその開口部から落下することはない。その結果、キースイッチを長期間にわたってキースイッチを使用することができる。
【0022】
また、本発明の請求項5に係るキースイッチは、請求項2に記載のキースイッチにおいて、
前記キーキャップ面に水平な方向に開口した前記ワイヤスタビライザ挟持溝を有する第2の嵌合爪は、
前記ワイヤスタビライザ挿入口を前記ワイヤスタビライザ直径よりも小さい開口を有すると共に、
前記ワイヤスタビライザがキーキャップ裏面からキースイッチベース板方向へ脱落すること防ぐためのワイヤスタビライザ受け部を有し、
前記ワイヤスタビライザ受け部は、前記ワイヤスタビライザの抜け防止用突起が形成されることで開口部が構成され、
前記開口部を介して前記ワイヤスタビライザ挟持溝に一旦挿入された前記ワイヤスタビライザを、前記ワイヤスタビライザ挟持溝において回動可能な範囲で挟持することを特徴としている。
【0023】
請求項5に係るキースイッチがこのような構成を有することで、嵌合爪内においてワイヤスタビライザが若干摩耗した程度では、ワイヤスタビライザが嵌合爪から外れてその開口部からキースイッチのベース板方向へ脱落することはない。その結果、キースイッチを長期間にわたってキースイッチを使用することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、特に長尺のキーキャップを備えると共にこれに対応するワイヤスタビライザを備えたキースイッチにおいて、打鍵音の増大を極力抑えると共に、長期間の使用によるワイヤスタビライザの脱落による操作不能の事態を極力避けることができ、長期にわたって安定した品質を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態に係るキースイッチを示す斜視図である。
【図2】図1に示したキースイッチからキーキャップを取り去った状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示した状態からパンタグラフ及びラバードーム、メンブレンスイッチを取り去った状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示した状態からワイヤスタビライザを取り去った状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示したキーキャップを裏面から示す斜視図である。
【図6】図5に示したキーキャップにワイヤスタビライザが嵌合している状態を示す斜視図である。
【図7】キーキャップに備わった各嵌合爪とワイヤスタビライザの嵌合状態を拡大して示す断面図である。
【図8】本実施形態に係るキースイッチのワイヤスタビライザとキーキャップとベースプレートとの嵌合状態をキースイッチの長手方向に所定間隔を隔てた箇所ごとに示す断面図である。
【図9】従来例に係るキースイッチのワイヤスタビライザとキーキャップとベースプレートとの嵌合状態をキースイッチの長手方向に所定間隔を隔てた箇所ごとに示す断面図である。
【図10】従来例に係るキースイッチのワイヤスタビライザがキーキャップの嵌合爪から外れてベース板に接地するまでの過程を示す断面図である。
【図11】従来例に係るキースイッチのワイヤスタビライザがキーキャップから外れてベース板に接地した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係るキースイッチについて図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るキースイッチを示す斜視図である。また、図2は、図1に示したキースイッチからキーキャップを取り去った状態を示す斜視図である。また、図3は、図2に示した状態からパンタグラフ及びラバードーム、メンブレンスイッチを取り去った状態を示す斜視図である。また、図4は、図3に示した状態からワイヤスタビライザを取り去った状態を示す斜視図である。また、図5は、図1に示したキーキャップを裏面から示す斜視図である。また、図6は、図5に示したキーキャップにワイヤスタビライザが嵌合している状態を示す斜視図である。
【0027】
本実施形態に係るキースイッチ1は、例えばキーボードのスペースキーに代表されるいわゆる長尺キーに用いられるキースイッチであり、ベース板100と、ベース板上に支持された2つのパンタグラフ210と、ベース板上に設けられたメンブレンスイッチ110と、メンブレンスイッチ上に設けられたラバードーム250と、パンタグラフ210によって支持されると共にラバードーム250の弾性力によって上側に付勢されたキーキャップ300と、キーキャップ300の剛性を一定に保つとともにキースイッチの上下動を支持するワイヤスタビライザ400とを有している。
【0028】
ベース板100は、軽量で剛性のある薄いアルミニウム合金の板材でできており、キーボードの各キースイッチを取り付ける基台としての役目を果たしている。ベース板100には、パンタグラフ210の下端をスライド可能に取り付けるパンタグラフ取り付け部121,122,123(120)が備わり、このパンタグラフ取り付け部120にパンタグラフ210の下端が取り付けられている。
【0029】
また、ベース板100の上には、メンブレンスイッチ110が備わり、メンブレンスイッチ110の上にはラバードーム250が取り付けられている。
【0030】
メンブレンスイッチ110は、キーキャップ300を介してラバードーム250が押されることでラバードーム内に形成された突起によってメンブレンシートの接点がオンになり、キースイッチ1が押されたことを電気的に検知するようになっている。
【0031】
また、ベース板100のパンタグラフ取り付け部120の両側には、ワイヤスタビライザ400のベース板係合部430をスライド可能に支持するワイヤスタビライザ係合部140が形成されている。ワイヤスタビライザ係合部140は、ベース板100の一部を切り起こして形成され、ワイヤスタビライザ400のベース板係合部430をスライドさせるための長孔141が備わっている。
【0032】
パンタグラフ210は、強度と耐久性及び成形性に優れた樹脂材でできており、それぞれが矩形の枠型をなしかつ互いに係合した側面視X字状のリンク部材によって構成している。パンタグラフ210の下端は、一方がベース板100に備わったパンタグラフ取り付け部121とスライド可能に係合し、かつ他方がベース板100に備わったパンタグラフ取り付け部122,123と回動可能に係合している。一方、パンタグラフ210の上端は、キーキャップ300の裏面において一方がパンタグラフ嵌合部352にスライド可能に係合し、他方がパンタグラフ嵌合部351に回動可能に取り付けられている。
【0033】
ラバードーム250は、内部に突起を持ちかつお椀を伏せたようなドーム形状の外形形状を有しており、上端平面部がキーキャップ300のラバードーム当接部301に当接するようになっている。
【0034】
ワイヤスタビライザ400は、金属の細い棒状部材を所望の形状に折り曲げられて形成されている。この形状は、平面視細長の長方形をなす長尺のキーキャップ300に対応した形状となっており、キーキャップ300の全長より若干短い全長を有する長手延在部410と、キーキャップ300の全幅より若干短い長さを有し長手延在部410の両端から垂直に折り曲げられた短手延在部420と、短手延在部420の端部から互いに対向する方向に直角に折り曲げられたベース板係合部430とから構成されている。
【0035】
キーキャップ300は、強度と耐久性及び成形性に優れた樹脂材でできており、スペースキーで代表される厚みの薄いいわゆる長尺の細長板状部材でできている。キーキャップ300は、平面視細長の長方形形状をなし、周囲縁が全体にベース板側に僅かに折れ曲がっている。キーキャップ300の裏面には、長手方向中央部分に上述したラバードーム当接部301が形成されると共に、このラバードーム当接部301を挟んで長手方向両側にパンタグラフ嵌合部351,352(350)が備わっている。また、キーキャップ裏面の幅方向一方の側壁部には、その内壁部に長手方向で見て両端部に水平開口嵌合爪(第2の嵌合爪)310が2箇所ずつ備わっている。キーキャップ裏面にはその長手方向で見てその中央部に垂直開口予備嵌合爪(第1の嵌合爪)320が備わり、この垂直開口予備嵌合爪320の両端近傍に、垂直開口主嵌合爪(第1の嵌合爪)330がそれぞれ1箇所ずつ備わっている。
【0036】
図7は、キーキャップに備わった各嵌合爪とワイヤスタビライザの嵌合状態を拡大して示す断面図である。垂直開口予備嵌合爪320及び垂直開口主嵌合爪330は、それぞれワイヤスタビライザ挿入用の開口幅がワイヤスタビライザ直径よりも小さい開口部321,331を有し、開口部321,331を介してワイヤスタビライザ挟持溝(第1のワイヤスタビライザ挟持溝)322,332に一旦挿入したワイヤスタビライザ400を、ワイヤスタビライザ挟持溝322,332において回動可能な範囲で挟持するようになっている。
【0037】
なお、キーキャップ300の長手方向中央部近傍に形成された垂直開口主嵌合爪330においては、ワイヤスタビライザ400の直径よりもワイヤスタビライザ挟持溝332の溝幅が僅かに大きくなっており、これによってワイヤスタビライザ400と垂直開口主嵌合爪330との間にある程度の隙間を設けている。
【0038】
また、ワイヤスタビライザ挟持溝332の内周壁の一部には平坦部333が形成されている。そして、平坦部333からこれに対向する内周面の最も離れた位置までの距離がワイヤスタビライザ400直径とほぼ同等となっている。これによって、垂直開口主嵌合爪330とワイヤスタビライザ400の組付け公差を吸収してワイヤスタビライザ400を垂直開口主嵌合爪330に嵌合し易くしている。
【0039】
一方、垂直開口主嵌合爪330によって挟まれキーキャップ300の長手方向中央部に形成された垂直開口予備嵌合爪320においては、ワイヤスタビライザ400の直径よりもワイヤスタビライザ挟持溝322の溝幅が垂直開口主嵌合爪330の場合よりも若干大きくなっており、これによってワイヤスタビライザ400と垂直開口予備嵌合爪320との間に若干余裕を持った隙間を設けている。
【0040】
その結果、垂直開口主嵌合爪330がワイヤスタビライザ400を挟持している間は、垂直開口予備嵌合爪320はワイヤスタビライザ400と接触せず、垂直開口主嵌合爪330がワイヤスタビライザ400によって摩耗した場合に垂直開口予備嵌合爪320がワイヤスタビライザ400を保持するようになっている。即ち、垂直開口予備嵌合爪320は、ワイヤスタビライザ400によって垂直開口主嵌合爪330の開口部331が摩耗してワイヤスタビライザ400が垂直開口主嵌合爪330から外れた場合のバックアップ用の予備嵌合爪としての役目を果たしている。
【0041】
水平開口嵌合爪310には、ワイヤスタビライザ直径よりも小さいワイヤスタビライザ挿入用の開口部311が備わると共に、ワイヤスタビライザ400がキーキャップ裏面からベース板方向へ脱落すること防ぐためのワイヤスタビライザ受け部312と、ワイヤスタビライザ400の抜け防止用突起313が形成されている。これによって、水平開口嵌合爪310は、ワイヤスタビライザ400を回動可能な範囲で挟持するようになっている。
【0042】
水平開口嵌合爪310のワイヤスタビライザ挟持溝(第2のワイヤスタビライザ挟持溝)315は、ワイヤスタビライザ400の直径よりも僅かに大きい内周径を有すると共に、その内周壁の一部に平坦部314が形成されている。そして、平坦部314からこれに対向する内周面の最も離れた位置までの距離がワイヤスタビライザ400の直径とほぼ同等となっている。これによって、水平開口嵌合爪310とワイヤスタビライザ400の組付け公差を吸収してワイヤスタビライザ400を水平開口嵌合爪310に嵌合し易くしている。
【0043】
以下、上述した本実施形態に係るキースイッチ1の作用について説明する。本実施形態に係るキースイッチ1は、上述した構成を有することで、キーキャップ300の各嵌合爪310,320,330によってワイヤスタビライザ400を2方向から保持することができるため、ワイヤスタビライザ400のキーキャップ300に対するがたつきを極力抑えることができる。これによって、キースイッチ1の打鍵音の発生を極力抑えることができる。
【0044】
また、キーキャップ300の各嵌合爪310,320,330の摩耗によって生じるワイヤスタビライザ400のがたつきつきを極力抑えることにより、摩耗した嵌合爪310,320,330からワイヤスタビライザが脱落してキーキャップ1の操作ができなくなるのを極力防止することができる。
【0045】
また、従来のように打鍵音の発生を抑え、摩耗を防止するためにキーキャップ300の各嵌合爪310,320,330及びこれらの部分に嵌合するワイヤスタビライザ400の対応部分にグリスを塗布する等の特別な処理を省略することも可能となり、キースイッチ1の組立て工数を低減することができ、生産効率を高める。また、グリスを使わないことにより、キースイッチの組付工程においてグリスの塗布量を厳密に管理する必要もなく、グリスにごみや埃が付着したりしてキーキャップの下部が汚れることを防止することができる。
【0046】
また、いわゆるバックアップ用の予備嵌合爪をなす垂直開口予備嵌合爪320のワイヤスタビライザ挟持溝322の溝幅を垂直開口主嵌合爪330の溝幅よりも大きくすることで、垂直開口主嵌合爪330がワイヤスタビライザ400を挟持している間は、垂直開口予備嵌合爪320はワイヤスタビライザ400と接触せず、垂直開口主嵌合爪330が摩耗した場合に垂直開口予備嵌合爪320がワイヤスタビライザ400を保持するようにしている。
【0047】
垂直開口主嵌合爪330とワイヤスタビライザ400との間の摩耗が最初に生じ、この摩耗度合いが大きくなってワイヤスタビライザ400が垂直開口主嵌合爪330の開口部331から抜け出して垂直開口主嵌合爪330から外れた場合であっても、垂直開口予備嵌合爪320の開口部321からワイヤスタビライザ400が抜け出すことなく、ワイヤスタビライザ400が垂直開口予備嵌合爪320に嵌合したままの状態を維持し、ワイヤスタビライザ400の脱落を防止する。これによって、従来のキースイッチと異なり、より長期間にわたってキースイッチ1を操作することが可能となる。
【0048】
また、キーキャップ面に垂直な方向に開口したワイヤスタビライザ挟持溝332を有する垂直開口主嵌合爪330は、ワイヤスタビライザ用の開口部331の開口幅がワイヤスタビライザ直径よりも小さい開口を有し、開口部331を介して垂直開口主嵌合爪330に一旦嵌合されたワイヤスタビライザ400を、ワイヤスタビライザ挟持溝332において回動可能な範囲で挟持するようになっている。これによって、垂直開口主嵌合爪内においてワイヤスタビライザ400が若干摩耗した程度では、ワイヤスタビライザ400が垂直開口主嵌合爪330から外れてその開口部331から落下することはない。その結果、キースイッチ1を長期間にわたって使用することができる。
【0049】
また、キーキャップ面に水平な方向に開口したワイヤスタビライザ挟持溝315を有する水平開口嵌合爪310は、ワイヤスタビライザがキーキャップ裏面からキースイッチベース板方向へ脱落すること防ぐワイヤスタビライザ受け部312を有し、ワイヤスタビライザ受け部312は、ワイヤスタビライザ400の抜け防止用突起313と協働して、ワイヤスタビライザ直径よりも小さいワイヤスタビライザ挿入用の開口部311を構成している。そのため、ワイヤスタビライザ400をワイヤスタビライザ挟持溝315において回動可能な範囲で挟持することができ、ワイヤスタビライザがキーキャップ裏面からキースイッチベース板方向へ脱落すること防ぐ。
【0050】
これによって、水平開口嵌合爪内においてワイヤスタビライザ400が若干摩耗した程度では、ワイヤスタビライザ400が水平開口嵌合爪310から外れてその開口部からベース板方向へ脱落することはない。その結果、キースイッチ1を長期間にわたって使用することができる。
【0051】
続いて、本実施形態に係るキースイッチと、本発明の解決すべき課題の欄で紹介したキースイッチであってキーキャップの裏面に垂直開口主嵌合爪のみ備えたキースイッチ(以下、これを従来例に係るキースイッチとする)を比較して本発明の優位性について説明する。
【0052】
図8は、本実施形態に係るキースイッチのワイヤスタビライザとキーキャップとベースプレートとの嵌合状態をキースイッチの長手方向に所定間隔を隔てた箇所ごとに示す断面図である。ここで、図8(a)は、キースイッチの長手方向一方の水平開口嵌合爪を含む位置での幅方向断面図である。また、図8(b)は、キースイッチの長手方向一方の垂直開口主嵌合爪を含む位置での幅方向断面図である。また、図8(c)は、キースイッチの長手方向他方の垂直開口主嵌合爪を含む位置での幅方向断面図である。また、図8(d)は、キースイッチの垂直開口予備嵌合爪を含む位置での幅方向断面図である。
【0053】
また、図9は、従来例に係るキースイッチのワイヤスタビライザとキーキャップとベースプレートとの嵌合状態をキースイッチの長手方向に所定間隔を隔てた箇所ごとに示す断面図である。なお、図9(a)〜(d)は、図8(a)〜(d)において示した位置とキースイッチの長手方向において同等の位置における断面図である。また、図10は、従来例に係るキースイッチのワイヤスタビライザがキーキャップの嵌合爪から外れてベース板に接地するまでの過程を示す断面図である。また、図11は、従来例に係るキースイッチのワイヤスタビライザがキーキャップから外れてベース板に接地した状態を示す斜視図である。
【0054】
図9に示す従来例の場合、垂直開口主嵌合爪330の開口部331がキーキャップ300’の長手方向何れの位置においてもキーキャップ裏面に対して同じ方向(ほぼ垂直方向)に開口していることが分かる。これによって、垂直開口主嵌合爪330が摩耗してワイヤスタビライザ400の長手延在部410ががたつき始めると、このがたつきが重畳して各垂直開口主嵌合爪330の摩耗が急激に進み、全ての垂直開口主嵌合爪330の開口部331の開口幅が大きくなる。
【0055】
その結果、図10(a)に示すようにワイヤスタビライザ400の長手延在部410が全ての垂直開口主嵌合爪330に嵌合していた状態から、図10(b)に示すようにワイヤスタビライザ400の長手延在部410が全ての垂直開口主嵌合爪330から外れ始め、やがては図10(c)に示すようにワイヤスタビライザ400の長手延在部410が全ての垂直開口主嵌合爪330から完全に外れてワイヤスタビライザ400が同図及び図11に示すようにベース板100に抜け落ちてしまう。
【0056】
キースイッチがこのような状態になると、例えばキーキャップ300’の長手方向中央部分からずれた部分を押した場合、キーキャップ300’が、斜めに傾くだけでキースイッチとしての役目を果たさなくなってしまう。
【0057】
一方、図8に示す本実施形態に係るキースイッチ1の場合、水平開口嵌合爪310の開口部311はキーキャップ裏面に対してほぼ水平方向に開口している(図8(a)参照)。一方、垂直開口主嵌合爪330の開口部331はキーキャップ裏面に対してほぼ垂直方向に開口している(図8(b)及び(c)参照)。このように、垂直開口主嵌合爪330と水平開口嵌合爪310のそれぞれにおいてワイヤスタビライザ400の長手延在部410をほぼ90度異なる2方向から狭持することができるため、これらの嵌合爪内においてワイヤスタビライザ400の長手延在部410ががたつき難く、従来例に比べて垂直開口主嵌合爪330と水平開口嵌合爪310が摩耗し難いことが分かる。また、仮にキースイッチ1の長期間の使用によりワイヤスタビライザ400の長手延在部410が垂直開口主嵌合爪330の開口部331から外れても、垂直開口予備嵌合爪320の開口部321から同時に外れることはないので(図8(d)参照)、ワイヤスタビライザ400がベース板100に脱落し難くなっていることが分かる。
【0058】
なお、本実施形態に係るキースイッチ1の場合、水平開口嵌合爪310の開口部311はキーキャップ裏面に対してほぼ水平方向に開口している一方、及び垂直開口予備嵌合爪320の開口部321及び垂直開口主嵌合爪330の開口部331はキーキャップ裏面に対してほぼ垂直方向に開口していたが、必ずしもこのような方向に限定されるものではない。即ち、垂直開口主嵌合爪及び垂直開口予備嵌合爪がキーキャップ面に対して第1の所定角度をなす方向に開口した第1のワイヤスタビライザ挟持溝を有する一方、水平開口嵌合爪がキーキャップ面に対して第1の所定角度と異なる第2の所定角度をなす方向に開口した第2のワイヤスタビライザ挟持溝を有していても良い。しかしながら、本実施形態の場合の方が本発明の作用をより発揮し得る観点から好ましいと言える。
【0059】
なお、上述した実施形態における各部材の材質や寸法についてはあくまで一例を示したに過ぎず、本発明の作用を発揮し得る範囲で他の材質や寸法関係を適用可能であることは言うまでもない。
【0060】
また、上述の実施形態ではパンタグラフが備わっていたが、このパンタグラフは本発明に係るキースイッチに必ずしも備わっている必要はない。また、上述の実施形態のようにゴムでできたラバードームを用いる代わりに金属製のバネ等からなる弾性体を用いても構わない。
【0061】
最後に上述した本発明の先行技術にはない特徴的部分について再確認する。第1にキーキャップに複数形成されているワイヤスタビライザ嵌合爪の一部を、キーキャップ面に対して垂直な方向に開口したワイヤスタビライザ挟持溝を有する嵌合爪(以下垂直方向嵌合爪とする)から、水平な方向に開口したワイヤスタビライザ挟持溝を有する嵌合爪(以下水平方向嵌合爪とする)とし、多方向からワイヤスタビライザを挟持する嵌合爪を一個のキーキャップに混在させることで、キーキャップの打鍵耐久性を向上する。
【0062】
第2にワイヤスタビライザはキーキャップの上下動を支持しており、嵌合爪が摩耗した場合はワイヤスタビライザがキーキャップ裏面から下方へ脱落する。そこで水平方向嵌合爪は、ワイヤスタビライザの脱落方向に対する受け部を持ち、受け部の反対面にはワイヤスタビライザの抜け防止用突起を形成する。
【0063】
第3にワイヤスタビライザの直径に対して逃げを持った、垂直な方向に開口したワイヤスタビライザ挟持溝を有する嵌合爪(バックアップ用垂直方向嵌合爪)を設けている。バックアップ用縦方向嵌合爪は、通常の垂直方向嵌合爪が機能している間はワイヤスタビライザと接触しないため、摩耗することはない。通常の垂直方向嵌合爪が摩耗してワイヤスタビライザを挟持できなくなった場合に、初めてワイヤスタビライザを保持するバックアップ機構としての役割を果たす。
【0064】
第4に垂直方向嵌合爪と水平方向嵌合爪の配置について、例えば垂直方向嵌合爪はキーキャップの中央付近に、水平方向嵌合爪はキーキャップの両端付近に形成している。この場合、嵌合爪をワイヤスタビライザへ挿入する手順は、まずキーキャップ中央に配置した垂直方向嵌合爪にワイヤスタビライザ中央部を挿入し、片側のワイヤスタビライザ端部を撓ませながらキーキャップ端に配置した水平方向嵌合爪に挿入する。そのため、ワイヤスタビライザを破損すること無く撓ませることが可能な程度に、垂直方向嵌合爪と水平方向嵌合爪は距離を取って配置することが望ましい。
【0065】
なお、バックアップ用垂直方向嵌合爪の配置については、垂直方向嵌合爪が摩耗した場合のバックアップ用途となるため、垂直方向嵌合爪に近接した箇所に配置することが望ましい。
【符号の説明】
【0066】
1 キースイッチ
100 ベース板
140 スタビライザ係合部
300 キーキャップ
301 ラバードーム当接部
310 水平開口嵌合爪
311 開口部
312 ワイヤスタビライザ受け部
313 抜け防止用突起
315 ワイヤスタビライザ挟持溝
320 垂直開口予備嵌合爪
321 開口部
322 ワイヤスタビライザ挟持溝
330 垂直開口主嵌合爪
331 開口部
332 ワイヤスタビライザ挟持溝
400 ワイヤスタビライザ
410 長手延在部
420 短手延在部
430 ベース板係合部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂から成るキーキャップと、
前記キーキャップの上下動を支持するワイヤスタビライザと、
各々がワイヤスタビライザ挟持溝を有し、前記キーキャップの裏面の縁辺付近に形成された複数の嵌合爪を備えたキースイッチにおいて、
前記嵌合爪は、少なくとも前記キーキャップ面に対して第1の所定角度をなす方向に開口した第1のワイヤスタビライザ挟持溝を有する第1の嵌合爪と、
前記キーキャップ面に対して前記第1の所定角度と異なる第2の所定角度をなす方向に開口した第2のワイヤスタビライザ挟持溝を有する第2の嵌合爪からなり、
前記第1の嵌合爪と前記第2の嵌合爪が前記キーキャップに混在して配置されていることで、前記ワイヤスタビライザを多方向から挟持可能としたことを特徴とするキースイッチ。
【請求項2】
前記第1の所定角度をなす方向とは、前記キーキャップ面に対して垂直方向であり、前記第2の所定角度をなす方向とは、前記キーキャップ面に対して平行方向であることを特徴とする請求項1に記載のキースイッチ。
【請求項3】
前記第1の嵌合爪は主嵌合爪と少なくとも1つの予備嵌合爪とを有し、
前記主嵌合爪は、前記ワイヤスタビライザ挟持溝の溝幅を前記ワイヤスタビライザの直径よりも大きくすることで前記ワイヤスタビライザと前記嵌合爪との間に隙間を設けると共に、前記ワイヤスタビライザの直径よりも小さい開口幅を有する開口部とし、
前記予備嵌合爪は、前記ワイヤスタビライザ挟持溝の溝幅を前記主嵌合爪の溝幅よりも大きくすると共に、前記ワイヤスタビライザの直径よりも小さいが前記主嵌合爪の開口部の開口幅より大きい開口部とし、
前記主嵌合爪が前記ワイヤスタビライザを挟持している間は、前記予備嵌合爪は前記ワイヤスタビライザと接触せず、前記主嵌合爪が摩耗した場合に前記予備嵌合爪が前記ワイヤスタビライザを保持するようになることを特徴とする請求項2記載のキースイッチ。
【請求項4】
前記キーキャップ面に垂直な方向に開口した前記ワイヤスタビライザ挟持溝を有する前記第1の嵌合爪は、
ワイヤスタビライザ用の開口部の開口幅が前記ワイヤスタビライザ直径よりも小さい開口幅の開口部を有し、
前記開口部を介して前記ワイヤスタビライザ挟持溝に一旦挿入された前記ワイヤスタビライザを、前記ワイヤスタビライザ挟持溝において回動可能な範囲で挟持することのできることを特徴とする請求項2記載のキースイッチ。
【請求項5】
前記キーキャップ面に水平な方向に開口した前記ワイヤスタビライザ挟持溝を有する前記第2の嵌合爪は、
前記ワイヤスタビライザ挿入口をワイヤスタビライザ直径よりも小さい開口を有すると共に、
前記ワイヤスタビライザがキーキャップ裏面からキースイッチベース板方向へ脱落すること防ぐためのワイヤスタビライザ受け部を有し、
前記ワイヤスタビライザ受け部は、前記ワイヤスタビライザの抜け防止用突起が形成されることで開口部が構成され、
前記開口部を介して前記ワイヤスタビライザ挟持溝に一旦挿入された前記ワイヤスタビライザを、前記ワイヤスタビライザ挟持溝において回動可能な範囲で挟持することを特徴とする請求項2記載のキースイッチ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−12436(P2013−12436A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145653(P2011−145653)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】