説明

キーパッド構造およびキーパッド構造の製造方法

【課題】キーパッドにおけるキー説明部において、2つの彩色層の2つの縁同士の間の領域における光透過(ハロー)の問題を解決するキーパッド構造の製造方法およびキーパッド構造を提供する。
【解決手段】光遮蔽彩色層16の凹パターンの縁とキートップ基体彩色層14の凹パターンの縁とが位置合わせされており、キーキャップ10の文字部12においてハロー問題が発生しないように構成されているキーパッド構造およびキーパッド構造の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーパッド構造およびキーパッド構造の製造方法に関する。具体的には、キー説明部(文字、記号または模様、数字、絵等)を含むキーパッド構造、および、キー説明部を形成する工程を備える当該キーパッド構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電話、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、電子翻訳機器等の電子製品は大抵の場合、キーパッド構造を備える。図1は、キーパッドのキー説明部に従来用いられている構造を示す概略断面図である。図1では、キーパッドには明るい色を用いている。透明なポリカーボネート(PC)膜2上に白色印刷層4が形成されている。白色印刷層4は、PC膜2上に印刷されると、キー説明部となる凹パターンを構成する。白は遮蔽特性が比較的低い色であるので、白色層上には銀色の光遮蔽層6等の遮蔽インク層を印刷する必要がある。銀色の光遮蔽層にもまた、白色印刷層4に対応するキー説明部の凹パターンが形成されている。この後、キー説明部の表面の色を与えるグレーの透明層8を形成する。しかし、キー説明部は細かい模様で、色を印刷する2以上の工程において位置合わせエラーが発生することが多いので、銀色の光遮蔽層6の凹パターンの線幅は白色印刷層4の凹パターンの線幅よりも大きくなってもよいとされていることが多い。図1に示すように、これら2つの凹パターンは重なっているが、縁同士の間に距離dがある。一般的に、距離dは、例えば、約0.25mmであってよい。
【0003】
しかし、これら2つの彩色層の2つの縁同士の間の領域については光遮蔽特性が低く、光透過(ハロー)の問題が発生する。図2に示すように、ユーザがPC膜2の表面を見ると、バックライトから凹パターン7を通って放出される光ビームに加えて、ハロー領域9を通って放出される弱い光ビームもまた認められ、キー説明部の形状の精緻さが損なわれてしまう。
【0004】
特開2007−073463号公報では、樹脂製のキーキャップ基体と、キーキャップ基体の天面に、キーキャップ基体の外表面側から順に、第1の樹脂薄膜層、無機物質被膜層、透明な第2の樹脂薄膜層を積層した被膜層とを備える押釦スイッチ部材が開示されている。無機物質被膜層が樹脂薄膜で被覆されているので、無機物質に起因する侵食、有害性、または、アレルギーの問題を回避することができる。
【0005】
特開2006−059677号公報では、階調をつけてキートップを彩色するべく、3つの異なるグレートーンの彩色層を重ねることによって、キーキャップ表面上または透明なキーキャップの下方に彩色層を形成するスクリーン印刷方法が教示されている。
【0006】
このため、ハローの問題を解決するべく、キーパッド構造またはキーパッド構造の製造方法を新規に開発する必要が依然としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−59677号公報
【特許文献2】特開2007−73463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した従来のキー説明部が抱えるハローの問題を解決する、キーパッド構造の製造方法およびキーパッド構造を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によると、キーパッド構造の製造方法が提供される。当該製造方法は、以下の工程を備える。キーキャップ部品を形成する工程は、以下の工程を有する。積層体を用意する。積層体は、透明プラスチック層、キートップ基体彩色層、および、光遮蔽彩色層を有する。キートップ基体彩色層が、透明プラスチック層と光遮蔽彩色層との間に設けられているか、透明プラスチック層がキートップ基体彩色層と光遮蔽彩色層との間に設けられているか、または、光遮蔽彩色層がキートップ基体彩色層と透明プラスチック層との間に設けられている。光遮蔽彩色層およびキートップ基体彩色層を一部除去して、光遮蔽彩色層上に第1の凹パターンを形成し、且つ、キートップ基体彩色層上に第2の凹パターンを形成する。第1の凹パターンの縁は第2の凹パターンの縁と位置合わせされている。積層体を加工することによってキーキャップ形状の外郭構造を形成してキーキャップ形状の外郭構造にキーキャップ材料を充填してキーキャップ層を形成するか、または、積層体の光遮蔽彩色層側でない方にキーキャップ形状の硬化樹脂層を設けてキーキャップ層を形成する。キーキャップ層を切断してキーキャップ部品を得る。キーキャップ部品を、回路基板、金属ドーム部材、および、プランジャーに組み合わせて、キーパッド構造を組み立てる。
【0010】
本発明の一実施形態によると、キーパッド構造の製造方法が提供される。当該製造方法は、以下の工程を備える。キーキャップ部品を形成する工程は、以下の工程を有する。透明プラスチック層を用意する。透明プラスチック層の一方の面上に第1の彩色層を設ける。第2の彩色層を第1の彩色層上に設けて積層体を形成する第2の彩色層は、第1の凹パターンを含む。第2の彩色層の第1の凹パターンを介して第1の彩色層を一部除去して、第1の彩色層上に第2の凹パターンを形成する。第1の凹パターンの縁および第2の凹パターンの縁は、位置合わせされるように形成される。積層体を加工することによってキーキャップ形状の外郭構造を形成してキーキャップ形状の外郭構造をキーキャップ材料で充填してキーキャップ層を形成するか、または、積層体の透明プラスチック層上にキーキャップ形状の硬化樹脂層を設けてキーキャップ層を形成する。キーキャップ層を切断してキーキャップ部品を得る。キーキャップ部品を、回路基板、金属ドーム部材、および、プランジャーと組み合わせて、キーパッド構造を組み立てる。
【0011】
本発明の別の実施形態によると、キーキャップ部品のキーキャップ層を形成する工程は、透明プラスチック層の一方の面上にキーキャップ形状の硬化樹脂層を設ける工程と、透明プラスチック層の他方の面上にキートップ基体彩色層を設ける工程と、キートップ基体彩色層上に光遮蔽彩色層を設ける工程と、光遮蔽彩色層およびキートップ基体彩色層を一部除去して、光遮蔽彩色層上に第1の凹パターンを形成し、且つ、キートップ基体彩色層上に第2の凹パターンを形成する工程とを有する。第1の凹パターンの縁は第2の凹パターンの縁と位置合わせされている。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態によると、キーキャップ部品のキーキャップ層を形成する工程は、透明プラスチック層の一方の面上にキーキャップ形状の硬化樹脂層を設ける工程と、透明プラスチック層の他方の面上にキートップ基体彩色層を設ける工程と、第1の凹パターンを含む光遮蔽彩色層をキートップ基体彩色層上に設ける工程と、第1の凹パターンを介してキートップ基体彩色層を一部除去して、キートップ基体彩色層上に第2の凹パターンを形成する工程とを有している。第1の凹パターンの縁は第2の凹パターンの縁と位置合わせされている。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態によると、キーパッド構造が提供される。当該キーパッド構造は、回路基板と、回路基板の上方に設けられている金属ドーム部材と、金属ドーム部材の上方に設けられているプランジャーと、プランジャーの上方に設けられているキーキャップ部品とを備える。キーキャップ部品は、積層体を有する。積層体は、透明プラスチック層と、キートップ基体彩色層と、光遮蔽彩色層とを含む。これら3つの層は積層されている。キートップ基体彩色層は第1の凹パターンを含む。光遮蔽彩色層は第2の凹パターンを含む。第2の凹パターンの縁は第1の凹パターンの縁と位置合わせされている。光遮蔽彩色層は、キートップ基体彩色層とプランジャーとの間に設けられている。
【0014】
以下ではさまざまな図面に図示されている好ましい実施形態を詳細に説明しているが、上記およびその他の本発明の目的は、以下の説明を参照することによって、当業者には明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】キーパッドのキー説明部に従来用いられている構造を示す概略断面図である。
【図2】従来のキー説明部が抱えるハローの問題を説明するための概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係るキー説明部に用いられる構造の特徴を説明するための概略図である。
【図4】本発明に係るキーパッド構造の製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明に係るキーパッド構造の製造方法の実施形態を説明するための概略断面図である。
【図6】本発明に係るキーパッド構造の製造方法の実施形態を説明するための概略断面図である。
【図7】本発明に係るキーパッド構造の製造方法の別の実施形態を説明するための概略断面図である。
【図8】本発明に係るキーパッド構造の実施形態を説明するための概略断面図である。
【図9】本発明に係るキーパッド構造の実施形態を説明するための概略断面図である。
【図10】本発明に係るキーパッド構造の実施形態を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係るキー説明部の具体的な特徴を図3に示す。図3に示すように、キーキャップ10の文字部12は一般的に、模様が細かく、キートップ基体彩色層14および光遮蔽彩色層16を有する。キートップ基体彩色層14および光遮蔽彩色層16はどちらも、所望の文字の形となる凹パターンを持つ。これら2つの凹パターンは上下に積層されており、これら2つの凹パターンの縁同士は互いに、上下方向に位置合わせされている。ここで、「2つの縁同士が互いに上下方向に位置合わせされている」という記載は、「2つの縁が上下方向に重なっている」とも言える。より具体的に説明すると、2つの凹パターンは正確に重なっているとしてよい。これら2つの凹パターンの縁が互いに位置合わせされるように形成されている場合、バックライトによって凹パターンが表す文字の形状は非常に鮮明または明確である。したがって、本発明の意図によると、これら2つの凹パターンのうち一方の縁の少なくとも一部分が、これら2つの凹パターンのうち他方の縁の少なくとも一部分と位置合わせされている限り、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。本発明によると、凹パターンは、例えば、文字、記号、数字、絵であってよい。任意で、透明な彩色層18を設けて、バックライトによって表示されるキー説明部に彩色層18の色が与えられるようにしてもよい。図3に示す実施形態に係るキーキャップ10の最外層は、担体として機能する透明プラスチック層20である。透明プラスチック層20、キートップ基体彩色層14、および、光遮蔽彩色層16を、積層体3と呼ぶとしてもよい。図3に示す実施形態によると、積層体3および任意で設けられる透明彩色層18は、キーキャップ形状の外郭構造を形成している。当該外郭構造は、キーキャップ本体22と組み合わせられて、キーキャップ10を形成している。キートップ基体彩色層、光遮蔽彩色層、および、透明彩色層はそれぞれ、彩色層と呼ばれるとしてもよい。
【0017】
図4は、本発明に係るキーパッド構造の製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。また、図5および図6の断面図も参照されたい。工程101において、キーキャップ部品を形成する。キーキャップは、特定の種類に限定されるものではない。例えば、型を用いて成形したキーキャップであってもよいし、または、樹脂を供給して硬化させることで得られるキーキャップであってもよい。キーキャップ部品を形成する工程は、例えば、透明プラスチック層20、キートップ基体彩色層14、および、光遮蔽彩色層16から構成される積層体3を用意する工程111を含むとしてよい。透明プラスチック層20は、例えば、PC膜、ポリエチレンテレフタラート(PET)膜、ポリメチルメタクリレート(PMMA)膜等であってよいが、これらに限定されない。積層体を用意する工程は、例えば、透明プラスチック層20上に膜形成前処理を実行する工程121を含むとしてよい。膜形成前処理は、例えば、彩色層に対する接着性を改善するための表面改質処理、延性または打ち抜き加工の厚さ要件を改善するための処理、または、表面あるいはパターンに光沢を与えるか、あるいは、霧がかかったようにする処理であってよい。この後、透明プラスチック層20上に、キートップ基体彩色層14および光遮蔽彩色層16を形成する。例えば、透明プラスチック層20上にキートップ基体彩色層14および光遮蔽彩色層16をコーティング、噴霧、または、印刷する工程122を実行する。キートップ基体彩色層14および光遮蔽彩色層16は、キーパッド構造に塗布可能な従来のインク層を含むとしてよいが、本発明において彩色層として利用可能な材料であれば、これに限定されるものではない。一実施形態によると、キートップ基体彩色層14は明るい色の層で、光遮蔽彩色層16は銀色の光遮蔽層であってよい。
【0018】
透明プラスチック層20上にキートップ基体彩色層14を形成した後に、キートップ基体彩色層14上に光遮蔽彩色層16を形成する。したがって、図5に示すように、キートップ基体彩色層14は透明プラスチック層20と光遮蔽彩色層16との間に挟持される。これに代えて、キートップ基体彩色層14を透明プラスチック層20の一方の面上に形成して、光遮蔽彩色層16を透明プラスチック層20の他方の面上に形成するとしてもよい。したがって、透明プラスチック層20が、キートップ基体彩色層14と光遮蔽彩色層16との間に挟持される。これに代えて、光遮蔽彩色層16を透明プラスチック層20上に形成した後、キートップ基体彩色層14を光遮蔽彩色層16上に形成するとしてもよい。したがって、光遮蔽彩色層16が、キートップ基体彩色層14と透明プラスチック層20との間に挟持される。
【0019】
キートップ基体彩色層14および光遮蔽彩色層16はそれぞれ、全面印刷に限定されるものではなく、全面印刷ではなく凹部があるとしてもよく、または、単色あるいは多色であってよいことに留意されたい。
【0020】
図5に示すように、キートップ基体彩色層14および光遮蔽彩色層16は、凹パターン用の所定位置を被覆している。したがって、光遮蔽彩色層16およびキートップ基体彩色層14を一部除去して、光遮蔽彩色層16に凹パターン17を、キートップ基体彩色層14に凹パターン15を形成するべく、工程112および113を実行するとしてよい。一部除去は、図6に示す実施形態のように、レーザ24を用いたレーザエッチング(レーザエングレービングとも呼ばれる)等の照射処理によって実施するとしてよい。これら2つの凹パターンの縁は位置合わせ可能となるべきことに留意されたい。凹パターン15および17の縁は、形成時に容易に位置合わせすることができる。これは、光遮蔽彩色層16およびその下方にあるキートップ基体彩色層14をレーザを用いて直接エッチングするためである。これら2つの縁を位置合わせする方法は、レーザエッチング以外にもある。他の照射処理を利用することも可能である。例えば、これら二層がそれぞれ感光性物質を含むとしてよく、マスクを利用することによって、処理対象物のうち高エネルギーUV光を照射する一部(例えば、所定の凹パターン)を分解させて除去し、照射しない部分は硬化させて残存させるか、または、処理対象物のうち高エネルギーUV光を照射する一部(例えば、所定の凹パターン以外の部分)を硬化させて残存させ、照射しない部分を分解させて除去する。言い換えると、ポジティブ型またはネガティブ型のフォトレジストの反応と同様である。これに代えて、これら2つの縁を位置合わせされた状態で形成するためには、機械的除去処理を利用するとしてもよい。例えば、これら二層に対しては、凹パターンを形成するべく、ミリングカッタを用いたメカニカルミリング処理を実行するとしてよい。これに代えて、これら2つの縁を位置合わせされた状態で形成するためには、化学的除去処理を利用するとしてもよい。例えば、これら二層は、ドライエッチング、酸性エッチング、または、アルカリ性エッチングに反応する物質を含むように構成されるとしてよい。このように構成することによって、マスク(保護層)を用いたエッチングによって一部除去を行うための選択性が得られるとしてよい。
【0021】
別の実施形態によると、図7に示すように、(これに限定されないが)スクリーン印刷等の方法を利用して光遮蔽彩色層19をキートップ基体彩色層14上に形成するとしてよい。光遮蔽彩色層19には、形成時において、凹パターン21が含まれているとしてよい。この場合、工程112は必要なく、凹パターン21を介して凹パターンを形成するべくキートップ基体彩色層14を一部除去する工程113のみが実行される。この場合、上述した照射処理、機械的除去処理、または、化学的除去処理は、キートップ基体彩色層14を一部除去するために利用されるとしてよい。光遮蔽彩色層19はマスクとして機能するとしてよく、キートップ基体彩色層14には、凹パターン21を介して、照射反応処理23またはエッチングプロセスが行なわれる。
【0022】
同様に、光遮蔽彩色層がキートップ基体彩色層と透明プラスチック層との間に設けられる場合には、光遮蔽彩色層およびキートップ基体彩色層は上述したように形成して、縁同士が位置合わせされている2つの凹パターンを含むとしてよい。より詳細には、光遮蔽彩色層を透明プラスチック層上に形成した後に、キートップ基体彩色層を光遮蔽彩色層上に形成して、その後に2つの凹パターンを形成するとしてよい。これに代えて、光遮蔽彩色層を透明プラスチック層上に形成した後に、凹パターンを含むキートップ基体彩色層を光遮蔽彩色層上に形成して、その後に上述した方法で光遮蔽彩色層に凹パターンを形成するとしてもよい。しかし、この場合には、光遮蔽彩色層がキートップ基体彩色層と透明プラスチック層との間に設けられているので、キートップ基体彩色層は、キーキャップ構造の最外層となり、外囲環境にさらされることで損傷する可能性がある。
【0023】
透明プラスチック層がキートップ基体彩色層と光遮蔽彩色層との間に挟持される場合でも、キートップ基体彩色層および光遮蔽彩色層には、互いの縁が位置合わせされている2つの凹パターンを形成するとしてよい。したがって、このような構造も本発明の範囲に含まれるものである。
【0024】
さらに、透明彩色層を形成するとしてもよい。例えば、キートップ基体彩色層が透明プラスチック層と光遮蔽彩色層との間に設けられる場合(つまり、透明プラスチック層がキートップ基体彩色層を被覆する場合)、または、透明プラスチック層がキートップ基体彩色層と光遮蔽彩色層との間に設けられる場合、光遮蔽彩色層上に透明彩色層をさらに形成して、これら2つの凹パターンを形成後に被覆するとしてよい。これに代えて、例えば、光遮蔽彩色層がキートップ基体彩色層と透明プラスチック層との間に設けられている場合、透明プラスチック層上にさらに透明彩色層を形成して、凹パターンを形成後に被覆するとしてよい。続くキーキャップ構造の組み立て工程では、透明彩色層を光遮蔽彩色層とプランジャーとの間に配置させている。透明彩色層は全面印刷処理によって形成するとしてもよいので、この形成工程で位置合わせに関して問題が発生することはない。また、透明彩色層は、色のコーディネート等の美的観点から、または、機能上の必要性に応じて形成されるとしてよい。例えば、透明彩色層はグレーの透明彩色層であってよい。
【0025】
この後、工程114を実行する。図8を参照しつつ説明すると、積層体3を加工してキーキャップ層を形成する。例えば、積層体3を押圧および伸張させてキーキャップ形状の外郭構造を形成し、キーキャップ材料を当該外郭構造に充填してキーキャップ本体22を形成する。押圧および伸張は、例えば、ホットプレス処理によって実現されるとしてよく、例えば、片面あるいは両面からの押圧および伸張、または、空気圧/ダイを利用した押圧および伸張であってよい。図9は、透明彩色層18を含む実施形態を示す図である。キーキャップ本体を形成するための充填処理は、例えば、射出充填処理またはシリコンゴム充填処理であってよい。
【0026】
これに代えて、図10に示すように、積層体3を加工してキーキャップ層を形成する工程は、光遮蔽彩色層ではない層の一方の面上にキーキャップ形状の硬化樹脂層34を形成してキーキャップ層を形成することを含むとしてよい。詳細に説明すると、キートップ基体彩色層が透明プラスチック層と光遮蔽彩色層との間に設けられている場合、つまり、透明プラスチック層がキートップ基体彩色層を被覆している場合、透明プラスチック層の一方の面上にキーキャップ形状の硬化樹脂層を設けるとしてよい。この場合には、キートップ基体彩色層および光遮蔽彩色層は、透明プラスチック層の他方の面上に設けられている。透明プラスチック層がキートップ基体彩色層と光遮蔽彩色層との間に設けられている場合には、キートップ基体彩色層上にキーキャップ形状の硬化樹脂層を設けるとしてよい。光遮蔽彩色層がキートップ基体彩色層と透明プラスチック層との間に設けられている場合には、キートップ基体彩色層上にキーキャップ形状の硬化樹脂層を設けるとしてよい。図10ではさらに、透明彩色層18を図示している。硬化樹脂層は、例えば、UV硬化性樹脂であってよいが、これに限定されない。
【0027】
この後、例えば、打ち抜きダイを用いた打ち抜き加工、または、二酸化炭素(CO)レーザを用いた切断処理によってキーキャップ層を切断して、キーキャップ部品を形成する工程115を実行する。キーキャップ部品は、1または複数のキー用のキーキャップ部品であってよい。
【0028】
この後、組み合わせ工程102を実行する。キーキャップ部品と、回路基板26、金属ドーム部材28、任意でドーム型シート30、および、プランジャー32とを組み合わせて、キーパッド構造を組み立てる。プランジャー32およびキーキャップ本体22は、上述の構成に代えて、一体的に形成されるとしてもよい。さらに、導光板を組み合わせるとしてもよい。回路基板は可撓性を持つとしてもよい。キートップ基体彩色層が明るい色である場合、本発明の利点はより顕著なものとなるので、従来技術が抱えていたハローの問題を回避することができる。
【0029】
また、キーキャップ部品がキーキャップ形状の硬化樹脂層34を含む場合、上述した実施形態で実行した工程と同様に、キートップ基体彩色層および光遮蔽彩色層を透明プラスチック層上に形成した後、キーキャップ形状の硬化樹脂層を形成するとしてよい。これに代えて、別の実施形態によると、キーキャップ形状の硬化樹脂層34をPET膜等の透明プラスチック層の一方の面上に形成した後、上述した方法でキートップ基体彩色層および光遮蔽彩色層を透明プラスチック層の他方の面上に形成するとしてよい。その後、凹パターンを形成する工程と、切断処理を行なう工程とを実行して、キーキャップ部品を得る。上述した実施形態と同様に、光遮蔽彩色層は形成時において凹パターンを持ち、光遮蔽彩色層の凹パターンを介してキートップ基体彩色層に対して凹パターンを形成するとしてよい。同様に、透明彩色層をさらに光遮蔽彩色層上に設けるとしてもよい。
【0030】
本発明の教示内容から逸脱することなく、上述したデバイスおよび方法を数多くの点で変形および変更し得ることは、当業者であれば容易に想到する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーパッド構造の製造方法であって、
キーキャップ部品を形成する工程と、
前記キーキャップ部品を、回路基板、金属ドーム部材、および、プランジャーに組み合わせて、前記キーパッド構造を組み立てる工程と
を備え、
前記キーキャップ部品を形成する工程は、
透明プラスチック層、キートップ基体彩色層、および、光遮蔽彩色層を有する積層体を用意する工程と、
前記光遮蔽彩色層および前記キートップ基体彩色層を一部除去して、前記光遮蔽彩色層上に第1の凹パターンを形成し、且つ、前記キートップ基体彩色層上に第2の凹パターンを形成する工程と、
前記積層体を加工することによってキーキャップ形状の外郭構造を形成して前記キーキャップ形状の外郭構造にキーキャップ材料を充填してキーキャップ層を形成する工程、または、前記積層体の前記光遮蔽彩色層側でない方にキーキャップ形状の硬化樹脂層を設けてキーキャップ層を形成する工程と、
前記キーキャップ層を切断して前記キーキャップ部品を得る工程と
を有し、
前記キートップ基体彩色層が、前記透明プラスチック層と前記光遮蔽彩色層との間に設けられているか、前記透明プラスチック層が前記キートップ基体彩色層と前記光遮蔽彩色層との間に設けられているか、または、前記光遮蔽彩色層が前記キートップ基体彩色層と前記透明プラスチック層との間に設けられており、
前記第1の凹パターンの縁は前記第2の凹パターンの縁と位置合わせされているキーパッド構造の製造方法。
【請求項2】
前記光遮蔽彩色層および前記キートップ基体彩色層を一部除去する工程は、除去のための照射処理を行なう工程を含む請求項1に記載のキーパッド構造の製造方法。
【請求項3】
前記除去のための照射処理は、レーザエッチング処理を含む請求項2に記載のキーパッド構造の製造方法。
【請求項4】
前記光遮蔽彩色層および前記キートップ基体彩色層を一部除去する工程は、機械的な除去処理を行なう工程を含む請求項1から3の何れか1項に記載のキーパッド構造の製造方法。
【請求項5】
前記光遮蔽彩色層および前記キートップ基体彩色層を一部除去する工程は、化学的な除去処理を行なう工程を含む請求項1から4の何れか1項に記載のキーパッド構造の製造方法。
【請求項6】
前記キートップ基体彩色層が、前記透明プラスチック層と前記光遮蔽彩色層との間に設けられているか、または、前記透明プラスチック層が前記キートップ基体彩色層と前記光遮蔽彩色層との間に設けられており、
前記キーキャップ部品を形成する工程はさらに、前記第1の凹パターンおよび前記第2の凹パターンを形成した後、前記光遮蔽彩色層上に透明彩色層を設けて前記第1の凹パターンを被覆する工程を有する請求項1から5の何れか1項に記載のキーパッド構造の製造方法。
【請求項7】
前記光遮蔽彩色層が前記キートップ基体彩色層と前記透明プラスチック層との間に設けられており、
前記キーキャップ部品を形成する工程はさらに、前記第1の凹パターンおよび前記第2の凹パターンを形成した後、前記透明プラスチック層上に透明彩色層を設けて前記第2の凹パターンを被覆する工程を有する請求項1から6の何れか1項に記載のキーパッド構造の製造方法。
【請求項8】
キーパッド構造の製造方法であって、
キーキャップ部品を形成する工程と、
前記キーキャップ部品を、回路基板、金属ドーム部材、および、プランジャーと組み合わせて、前記キーパッド構造を組み立てる工程と
を備え、
前記キーキャップ部品を形成する工程は、
透明プラスチック層を用意する工程と、
前記透明プラスチック層の一方の面上に第1の彩色層を設ける工程と、
第1の凹パターンを含む第2の彩色層を前記第1の彩色層上に設けて積層体を形成する工程と、
前記第2の彩色層の前記第1の凹パターンを介して前記第1の彩色層を一部除去して、前記第1の彩色層上に第2の凹パターンを形成する工程と、
前記積層体を加工することによってキーキャップ形状の外郭構造を形成して前記キーキャップ形状の外郭構造をキーキャップ材料で充填してキーキャップ層を形成する工程、または、前記積層体の前記透明プラスチック層上にキーキャップ形状の硬化樹脂層を設けてキーキャップ層を形成する工程と、
前記キーキャップ層を切断して前記キーキャップ部品を得る工程と
を有し、
前記第1の凹パターンの縁は前記第2の凹パターンの縁と位置合わせされているキーパッド構造の製造方法。
【請求項9】
前記第1の彩色層はキートップ基体彩色層を有し、前記第2の彩色層は光遮蔽彩色層を有する請求項8に記載のキーパッド構造の製造方法。
【請求項10】
前記キーキャップ部品を形成する工程はさらに、前記第2の凹パターンを形成した後、前記第2の彩色層上に透明彩色層を設けて前記第1の凹パターンを被覆する工程を有する請求項9に記載のキーパッド構造の製造方法。
【請求項11】
前記第1の彩色層は光遮蔽彩色層を有し、前記第2の彩色層はキートップ基体彩色層を有する請求項8に記載のキーパッド構造の製造方法。
【請求項12】
前記キーキャップ部品を形成する工程はさらに、前記第2の凹パターンを形成した後、前記透明プラスチック層の他方の面上に透明彩色層を設けて前記第2の凹パターンを被覆する工程を有する請求項11に記載のキーパッド構造の製造方法。
【請求項13】
前記第1の彩色層を形成する前に、前記透明プラスチック層の前記一方の面上に透明彩色層を設ける請求項11に記載のキーパッド構造の製造方法。
【請求項14】
前記第1の彩色層を一部除去する工程は、除去のための照射処理を行なう工程を含む請求項8から13の何れか1項に記載のキーパッド構造の製造方法。
【請求項15】
前記第1の彩色層を一部除去する工程は、化学的な除去処理を行なう工程を含む請求項8から13の何れか1項に記載のキーパッド構造の製造方法。
【請求項16】
キーパッド構造の製造方法であって、
キーキャップ部品を形成する工程と、
前記キーキャップ部品を、回路基板、金属ドーム部材、および、プランジャーと組み合わせて、前記キーパッド構造を組み立てる工程と
を備え、
前記キーキャップ部品を形成する工程は、
透明プラスチック層の一方の面上にキーキャップ形状の硬化樹脂層を設ける工程と、
前記透明プラスチック層の他方の面上にキートップ基体彩色層を設ける工程と、
前記キートップ基体彩色層上に光遮蔽彩色層を設ける工程と、
前記光遮蔽彩色層および前記キートップ基体彩色層を一部除去して、前記光遮蔽彩色層上に第1の凹パターンを形成し、且つ、前記キートップ基体彩色層上に第2の凹パターンを形成して、キーキャップ層を形成する工程と、
前記キーキャップ層を切断して前記キーキャップ部品を得る工程と
を有し、
前記第1の凹パターンの縁は前記第2の凹パターンの縁と位置合わせされているキーパッド構造の製造方法。
【請求項17】
前記第1の凹パターンおよび前記第2の凹パターンを形成した後、前記光遮蔽彩色層上に透明彩色層を設けて前記第1の凹パターンを被覆する工程をさらに備える請求項16に記載のキーパッド構造の製造方法。
【請求項18】
キーパッド構造の製造方法であって、
キーキャップ部品を形成する工程と、
前記キーキャップ部品を、回路基板、金属ドーム部材、および、プランジャーと組み合わせて、前記キーパッド構造を組み立てる工程と
を備え、
前記キーキャップ部品を形成する工程は、
透明プラスチック層の一方の面上にキーキャップ形状の硬化樹脂層を設ける工程と、
前記透明プラスチック層の他方の面上にキートップ基体彩色層を設ける工程と、
第1の凹パターンを含む光遮蔽彩色層を前記キートップ基体彩色層上に設ける工程と、
前記第1の凹パターンを介して前記キートップ基体彩色層を一部除去して、前記キートップ基体彩色層上に第2の凹パターンを形成して、キーキャップ層を形成する工程と、
前記キーキャップ層を切断して前記キーキャップ部品を得る工程と
を有し、
前記第1の凹パターンの縁は前記第2の凹パターンの縁と位置合わせされているキーパッド構造の製造方法。
【請求項19】
前記第2の凹パターンを形成した後、前記光遮蔽彩色層上に透明彩色層を設けて前記第1の凹パターンを被覆する工程をさらに備える請求項18に記載のキーパッド構造の製造方法。
【請求項20】
回路基板と、
前記回路基板の上方に設けられている金属ドーム部材と、
前記金属ドーム部材の上方に設けられているプランジャーと、
前記プランジャーの上方に設けられているキーキャップ部品と
を備え、
前記キーキャップ部品は、透明プラスチック層と、キートップ基体彩色層と、光遮蔽彩色層とが積層されて構成される積層体を有し、
前記キートップ基体彩色層は第1の凹パターンを含み、前記光遮蔽彩色層は第2の凹パターンを含み、前記第2の凹パターンの縁は前記第1の凹パターンの縁と位置合わせされており、前記光遮蔽彩色層は、前記キートップ基体彩色層と前記プランジャーとの間に設けられているキーパッド構造。
【請求項21】
前記キートップ基体彩色層は明るい色である請求項20に記載のキーパッド構造。
【請求項22】
前記積層体は、加工されてキーキャップ形状の外郭構造を形成しており、前記キーキャップ部品はさらに、前記キーキャップ形状の外郭構造内に充填されたキーキャップ材料を有する請求項20に記載のキーパッド構造。
【請求項23】
前記透明プラスチック層は、前記キートップ基体彩色層を被覆しており、前記キートップ基体彩色層と前記光遮蔽彩色層との間に設けられているか、または、前記光遮蔽彩色層と前記プランジャーとの間に設けられている請求項22に記載のキーパッド構造。
【請求項24】
前記キーキャップ部品はさらに、前記光遮蔽彩色層と前記プランジャーとの間に設けられている透明彩色層を有する請求項20から23の何れか1項に記載のキーパッド構造。
【請求項25】
前記キーキャップ部品はさらに、前記透明プラスチック層の一方の面上に設けられているキーキャップの形状を持つ硬化樹脂を有し、前記キートップ基体彩色層および前記光遮蔽彩色層は前記透明プラスチック層の他方の面上に設けられている請求項20から24の何れか1項に記載のキーパッド構造。
【請求項26】
前記キーキャップ部品はさらに、前記光遮蔽彩色層と前記プランジャーとの間に設けられている透明彩色層を有する請求項25に記載のキーパッド構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−182108(P2012−182108A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142650(P2011−142650)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(510222442)毅嘉科技股▲ふん▼有限公司 (16)
【Fターム(参考)】