説明

キーパッド

【課題】携帯電話などの情報機器に組み込まれるキーパッドにおいて、コア層からキートップ側へ透過する光量を増やしてキートップの視認性を高める。
【解決手段】キーパッド5は、光を面方向に透過させて導光するコア層6を有している。コア層6の一方の面には、キートップ7がコア層6より屈折率の小さい接着層8を介して接着されている。コア層6の他方の面には、キートップ7に対応して拡散層9がスイッチ13に対向するように形成されている。コア層6と接着層8との間には、接着層8より屈折率の小さいクラッド層12が介在している。これにより、コア層6の表面における全反射の臨界角を小さくすることができる。その結果、コア層6からキートップ7側へ透過する光量が増大し、キートップ7の視認性が高まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、携帯電話、スマートフォン、PDA(携帯情報端末)など各種の情報機器に組み込まれて使用されるキーパッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキーパッドとしては、情報機器の薄型化の要望に対応すべく、ベースシートと導光シートとを一体化してコア層を形成し、このコア層の表面に接着層を介してキートップを固着したものが提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4402735号公報(段落〔0012〕〔0035〕〔0036〕〔0039〕〔0040〕〔0042〕〔0064〕〔0066〕〔0072〕の欄、図2、図4、図12、図14)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような構成を有するキーパッドでは、キートップをコア層に接着する接着層の屈折率がコア層の屈折率より小さい場合、コア層内を進行する光のうち入射角が所定の臨界角を超えた光は、コア層と接着層との界面で全反射する。その結果、コア層からキートップ側へ透過する光量が減少し、キートップの視認性が悪くなるという課題があった。
【0005】
なお、特許文献1には、コア層内で光を効率よく伝達させることを目的として、コア層より屈折率の小さい透明樹脂層をコア層と暗色印刷層との間に設けることにより、コア層の表面における全反射の臨界角を大きくして、コア層から透明樹脂層への光の入射を少なくする技術が開示されている。しかしながら、これは非照光部(暗色印刷層)における工夫であり、この技術を仮に照光部(キートップ)に適用したとしても、上記の課題を解決できるどころか、逆に、コア層からキートップ側へ透過する光量がますます減少し、キートップの視認性が一層悪くなるだけである。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、キートップをコア層に接着する接着層の屈折率がコア層の屈折率より小さい場合であっても、コア層からキートップ側へ透過する光量を増やしてキートップの視認性を高めることが可能なキーパッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、本発明者は、コア層からキートップ側へ透過する光量を増やしてキートップの視認性を高めるべく、キートップをコア層に接着する接着層より屈折率の小さいクラッド層をコア層と前記接着層との間に介在させることに着目し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明は、光を面方向に透過させて導光するコア層(6)を有し、このコア層の一方の面にキートップ(7)が前記コア層より屈折率の小さい接着層(8)を介して接着され、前記キートップが押下されることにより、前記コア層を介してスイッチ(13)が押圧されるキーパッド(5)であって、前記コア層と前記接着層との間の少なくとも一部には、当該接着層より屈折率の小さいクラッド層(12)が介在しているキーパッドとしたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、光源(10)からの光を面方向に透過させて導光するコア層(6)を有し、このコア層の一方の面に複数のキートップ(7)が、それぞれ前記コア層より屈折率の小さい接着層(8)を介して接着され、前記各キートップが押下されることにより、前記コア層を介して各スイッチ(13)が押圧されるキーパッド(5)であって、前記コア層と前記各接着層との間の少なくとも一部にはそれぞれ、当該接着層より屈折率の小さいクラッド層(12)が介在し、これらのクラッド層は、前記光源からの距離が大きいクラッド層ほど屈折率が大きいキーパッドとしたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、光源(10)からの光を面方向に透過させて導光するコア層(6)を有し、このコア層の一方の面に複数のキートップ(7)が、それぞれ前記コア層より屈折率の小さい接着層(8)を介して接着され、前記各キートップが押下されることにより、前記コア層を介して各スイッチ(13)が押圧されるキーパッド(5)であって、前記コア層と前記各接着層との間の少なくとも一部にはそれぞれ、当該接着層より屈折率の小さいクラッド層(12)が介在し、これらのクラッド層は、前記光源からの距離が大きいクラッド層ほど透過率が大きいキーパッドとしたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成に加え、前記クラッド層(12)の輪郭は、前記キートップ(7)の輪郭に合致していることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の構成に加え、前記クラッド層(12)は、前記コア層(6)にシリコーン印刷されたものであることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の構成に加え、前記コア層(6)の他方の面には、前記キートップ(7)に対応して拡散層(9)が前記スイッチ(13)に対向するように形成されるとともに、反射層(11)が前記拡散層を被覆するように設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の構成に加え、前記反射層(11)は、前記コア層(6)に成膜されたものであることを特徴とする。
【0015】
さらに、請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の構成に加え、前記反射層(11)は、金属薄膜からなることを特徴とする。
【0016】
なお、ここでは、本発明をわかりやすく説明するため、実施の形態を表す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明が実施の形態に限定されるものでないことは言及するまでもない。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、コア層と接着層との間に介在するクラッド層の屈折率が接着層の屈折率より小さいので、クラッド層が介在しない場合に比べて、コア層の表面における全反射の臨界角を小さくすることができる。したがって、コア層からキートップ側へ透過する光量を増やし、キートップの視認性を高めることが可能となる。また、コア層から余分な光が無駄に漏れることを防ぐことで、接着層に対応するキートップの視認性を向上させるとともに、光源から遠方の照光部(キートップ)への光量のロスを低減することができる。
【0018】
また、コア層の屈折率より接着層の屈折率が小さく、かつ接着層の屈折率よりクラッド層の屈折率が小さいという屈折率の差があるので、拡散層により散乱した光がキートップ側に導かれてクラッド層に進入した光は、上記屈折率の差により、接着層との界面で反射する光がほとんどないため、効率的である。
【0019】
請求項2、3に記載の発明によれば、コア層と各接着層との間に介在する各クラッド層の屈折率が各接着層の屈折率より小さいので、すべての接着層において、クラッド層が介在しない場合に比べて、コア層の表面における全反射の臨界角を小さくすることができる。したがって、コア層からキートップ側へ透過する光量を増やし、キートップの視認性を高めることが可能となる。
【0020】
しかも、これらのクラッド層は、光源からの距離が大きいクラッド層ほど屈折率または透過率が大きいので、光源からの遠近に起因してキートップにおける輝度の均一性が低下する事態を改善することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、クラッド層の輪郭がキートップの輪郭に合致しているため、キートップの照光時に、たとえクラッド層の輪郭がキートップを通じて見えるとしても、それを目立たなくすることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、クラッド層がコア層にシリコーン印刷されたものであるため、クラッド層を簡便に形成することができ、キーパッドの生産性を高めることが可能となる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、拡散層を被覆するように反射層が設けられているため、拡散層に入射した光を反射層で反射することができる。その結果、コア層内を進行する光の部分的な減衰を抑制し、キートップにおける輝度の均一性を改善することができる。
【0024】
また、反射層は拡散層を被覆するように設けられているため、キートップの押下時にコア層がスイッチを押圧しても、コア層内を進行する光が、拡散層とスイッチとの接触面で吸収・散乱することを防ぐことができる。その結果、スイッチの輪郭がキートップを通じて視認されてしまうという不具合の発生を回避することができる。
【0025】
さらに、反射層は拡散層を保護する役目をも果たすため、すべての拡散層の耐磨耗性を高め、ひいてはキーパッドの製品寿命を延ばすことが可能となる。
【0026】
請求項7、8に記載の発明によれば、反射層がコア層に成膜されたものであるため、或いは、反射層が金属薄膜からなるため、反射層を簡便に形成することができ、キーパッドの生産性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1に係るキーパッドが組み込まれた携帯電話のキーボード部分の平面図である。
【図2】図1に示す携帯電話のII−II線による断面図である。
【図3】図1に示す携帯電話のIII−III線による断面図である。
【図4】図1に示す携帯電話の要部を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係るキーパッドが組み込まれた携帯電話の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0029】
図1乃至図4には、本発明の実施の形態1を示す。
【0030】
携帯電話1は、図1に示すように、ケース状に形成された樹脂製の筐体14を有している。筐体14には、図2に示すように、その開口部を塞ぐように樹脂製のパネル2が接着層15を介して接着されている。パネル2には、図2および図3に示すように、キーパッド5が組み込まれている。なお、パネル2の材質としては、例えば、ポリアミド、アクリル、ウレタンアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどを採用することができる。
【0031】
このキーパッド5は、図1乃至図3に示すように、光を面方向(図1紙面に平行な方向)に透過させて導光する可撓性のポリウレタン(屈折率約1.5)製のフィルム状のコア層6を有しており、このコア層6は複数の両面テープからなる接着層3を介してパネル2に接着されている。
【0032】
このコア層6の厚さは、50〜600μmとするのが好ましく、100〜400μmとするのがさらに好ましい。また、コア層6の表裏両面は、平滑(鏡面)であることが望ましい。定量的には、算術平均粗さRaで、0.5μm以下であればよく、0.2μm以下であれば好ましく、0.05μm以下であればさらに好ましい。
【0033】
また、コア層6と各接着層3との間にはそれぞれ、金属薄膜からなる反射層4が介在している。この反射層4の材質としては、所定の反射性および可撓性を有するものであればよく、例えば、アルミニウム、チタン、亜鉛、金、錫、および金属粉を含有する樹脂ペースト(メタリック印刷や塗装工程によるメタリック層)などを採用することができる。なお、反射層4としてクラッド層(低屈折率透明層)を用いることもできる。
【0034】
また、コア層6の近傍には、図3に示すように、LED(発光ダイオード)などの光源10が、コア層6にその側面から光を入射させうるように配設されている。
【0035】
そして、コア層6の表面(図2上面)には、パネル2から突出する形で複数のポリカーボネート製のキートップ7がそれぞれ、シアノアクリレート系接着剤やアクリル系接着剤(屈折率1.47〜1.48)からなる接着層8を介して接着されており、各接着層8の屈折率(1.47〜1.48)はコア層6の屈折率(約1.5)より小さくなっている。なお、各キートップ7はそれぞれ、透明なキー本体7aに、文字、図形などの各種のデザインの抜き形状を有する遮光性の加飾層7bが冠着されて構成されている。
【0036】
また、コア層6と各接着層8との間にはそれぞれ、シリコーンゴム(屈折率1.41)製の透明なクラッド層12が介在しており、各クラッド層12の屈折率(1.41)は各接着層8の屈折率(1.47〜1.48)より小さくなっている。これらのクラッド層12は、図3に示すように、光源10からの距離が大きいクラッド層12ほど屈折率が大きくなっている。また、各クラッド層12は、図4に示すように、その輪郭がキートップ7の輪郭に合致している。
【0037】
このクラッド層12の厚さは、コア層6上の所望の位置にピンホールなく形成され、かつコア層6の柔軟性を損なわない程度であればよく、具体的には、1〜100μm(好ましくは、5〜50μm)程度であれば実現可能である。
【0038】
また、コア層6の裏面(図2下面)には、コア層6内を進行する光の一部をキートップ7側へ導くため、複数のキートップ7に対応して複数の拡散層9が形成されているとともに、これらの拡散層9を被覆するように複数の金属薄膜からなる反射層11が形成されている。各拡散層9は、図4に示すように、基板(図示せず)に取り付けられたスイッチ13に対向している。
【0039】
この拡散層9は、拡散材を含む微細ドット状の印刷層をコア層6上に形成するか、凹凸加工などによってコア層6の裏面を粗化することにより、設けることができる。前者の場合、屈折率が高くて拡散性に優れる二酸化ケイ素や酸化チタンを含むコア層6と同系の樹脂層をバインダーとするインクを使用するのが好ましい。コア層6の裏面の拡散層9については、その厚さを6〜40μmとするのが好ましい。一方、後者の場合、コア層6を形成する際に型成形によって同時に拡散層9を設けてもよく、レーザーエッチングによって後工程で拡散層9を設けてもよい。
【0040】
また、反射層11の材質としては、所定の反射性および可撓性を有するものであればよく、例えば、シリコーン、フッ素変性シリコーン、ウレタン、ウレタンアクリレート、アクリルなどの透明樹脂や、アルミニウム、チタン、亜鉛、金、錫などの金属、金属粉を含有する樹脂ペースト(メタリック印刷や塗装工程によるメタリック層)その他を採用することができる。なお、反射層11としてクラッド層(低屈折率透明層)を用いることもできる。
【0041】
以上のような構成を有する携帯電話1の製造方法には、以下のような工程が含まれる。
【0042】
まず、厚さ300μmのポリウレタンフィルムをコア層6として用意し、このポリウレタンフィルムの一方の面に透明のシリコーンインクを印刷することにより、コア層6にクラッド層12を形成する。
【0043】
次いで、ポリウレタンフィルムの一方の面に金属薄膜を成膜することにより、コア層6に反射層4を形成する。
【0044】
次に、このポリウレタンフィルムの他方の面に、二酸化ケイ素を含有するウレタン系白色インクを塗布して乾燥させることにより、コア層6に拡散層9を形成する。
【0045】
その後、アルミニウム粉末を含有するインクを拡散層9領域に塗布して乾燥させることにより、コア層6に反射層11を形成する。
【0046】
また、ポリカーボネート樹脂を射出成形して厚さ0.4mmのキー本体7aを得、このキー本体7aの表面に着色層を塗布した後、着色層をレーザーカットすることで加飾層7bを形成することにより、キートップ7を作製する。
【0047】
次いで、シアノアクリレート系接着剤またはアクリル系接着剤をクラッド層12に塗布して接着層8を形成した後、この接着層8にキートップ7を圧着固定することにより、コア層6にキートップ7を接着する。これで、キーパッド5が完成する。
【0048】
最後に、両面テープを所定の形状に打ち抜き、これを反射層4に貼り付けて接着層3を形成した後、この接着層3をパネル2に圧着固定することにより、キーパッド5をパネル2に接着して組み込む。
【0049】
そして、このような工程を経て製造された携帯電話1においては、任意のキートップ7が押下されると、コア層6が弾性的に撓んでスイッチ13が押圧される。また、所定時(例えば、キートップ7の押下時、着信時、電源投入時など)には、光源10からコア層6に向けて光が出射され、この光がコア層6内を面方向に進行した後、拡散層9で光路をキートップ7側に変更される。その結果、キートップ7が裏側から照光されるため、キー操作性が向上する。
【0050】
このとき、コア層6と各接着層8との間に介在する各クラッド層12の屈折率が各接着層8の屈折率より小さいので、すべての接着層8において、クラッド層12が介在しない場合に比べて、コア層6の表面における全反射の臨界角(コア層6から接着層8側へ入射する光が両者の界面で全反射する入射角の最小値)を小さくすることができる。その結果、コア層6からキートップ7側へ透過する光量を増やし、キートップ7の視認性を高めることが可能となる。
【0051】
また、コア層6から余分な光が無駄に漏れることを防ぐことで、接着層8に対応するキートップ7の視認性を向上させるとともに、光源10から遠方のキートップ7への光量のロスを低減することができる。
【0052】
しかも、これらのクラッド層12は、上述したとおり、光源10からの距離が大きいクラッド層12ほど屈折率が大きいので、光源10からの遠近に起因してキートップ7における輝度の均一性が低下する事態を改善することができる。なお、この効果は、クラッド層12の屈折率とコア層6の屈折率との差が小さくなることにより、或いは、クラッド層12の屈折率がコア層6の屈折率より大きくなることにより、奏するものである。
【0053】
また、各拡散層9に入射した光は各反射層11で反射されるので、コア層6内を進行する光の部分的な減衰を抑制し、キートップ7における輝度の均一性を改善することができる。
【0054】
加えて、各反射層11は各拡散層9を被覆するように設けられているため、キートップ7の押下時にコア層6がスイッチ13を押圧しても、コア層6内を進行する光が、各拡散層9と各スイッチ13との接触面で吸収・散乱することを防ぐことができる。その結果、各スイッチ13の輪郭が各キートップ7を通じて視認されてしまうという不具合の発生を回避することができる。
【0055】
また、クラッド層12は、上述したとおり、その輪郭がキートップ7の輪郭に合致しているため、キートップ7の照光時に、たとえクラッド層12の輪郭がキートップ7を通じて見えるとしても、それを目立たなくすることができる。この効果は、キートップ7をコア層6に接着する接着層8がシアノアクリレート系接着剤からなる場合、接着エリアの制御が困難であり、接着層8をキートップ7の裏面全面に形成しにくいため、特に有用である。
【0056】
また、各反射層11は各拡散層9を保護する役目をも果たすため、すべての拡散層9の耐磨耗性を高め、ひいてはキーパッド5の製品寿命を延ばすことが可能となる。
【0057】
さらに、キーパッド5をパネル2に接着している接着層3とコア層6との間には反射層4が設けられているため、コア層6内を進行する光が、コア層6とパネル2との接着面で吸収・散乱することを防ぎ、この光の部分的な減衰を抑制することができる。
【0058】
また、パネル2は、図1および図2に示すように、コア層6より面積が大きく、コア層6の周縁部を被覆しているため、パネル2の外縁部の裏面に接着層15を設けることができる。その結果、コア層6の入光部からの光漏れを防止することが可能となる。
【0059】
このパネル2は、キートップ7を除く領域を被覆するための化粧板であり、加飾によって携帯電話1に意匠性を付与することができる。また、パネル2は、反射層4を介してコア層6と固着されているため、コア層6が軟質弾性体であっても、キーパッド5としての補強効果を発現することができ、端末からの脱落や変形を防止することが可能となる。また、コア層6が他の部材(基板や筐体14)と接続する必要がないため、光漏れする要素を少なくすることができる。さらに、互いに隣接する一部のキートップ7間を仕切り分割する場合、各キートップ7の誤入力を阻止することもできる。
【0060】
また、携帯電話1の製造に際して、クラッド層12はシリコーン印刷によって形成されるため、クラッド層12を簡便に形成することができ、ひいてはキーパッド5の生産性を高めることが可能となる。
【0061】
さらに、携帯電話1の製造に際して、反射層4、11は金属薄膜の成膜によって形成されるため、これら反射層4、11を簡便に形成することができ、ひいてはキーパッド5の生産性を高めることが可能となる。
【0062】
但し、接着層3、8、15の屈折率はコア層6の屈折率以上でも使用可能である。
[発明の実施の形態2]
【0063】
図5には、本発明の実施の形態2を示す。
【0064】
この実施の形態2では、図5に示すように、各拡散層9が各キートップ7に対応してコア層6の表裏両面(図5上下両面)に形成されている点を除き、上述した実施の形態1と同じ構成を有している。コア層6の表面の拡散層9については、光透過性を考慮して、その厚さを3〜20μmとするのが好ましい。なお、実施の形態1と同一の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0065】
したがって、この実施の形態2では、上述した実施の形態1と同じ作用効果を奏する。これに加えて、拡散層9がコア層6の裏面のみならず表面にも形成されているため、コア層6からキートップ7側へ透過する光量を増やし、キートップ7の視認性を一層高めることが可能となる。
[発明のその他の実施の形態]
【0066】
なお、上述した実施の形態1、2では、光源10からの距離が大きいクラッド層12ほど屈折率が大きくなっているキーパッド5について説明した。しかし、各クラッド層12と光源10との距離に応じて、拡散材や着色材をクラッド層12に適宜添加することにより、光源10からの距離が大きいクラッド層12ほど透過率が大きくなるようにしてもよい。この場合、光源10からの距離に応じて、クラッド層12の屈折率を変更する代わりに、クラッド層12の透過率を変更する点が異なるのみであり、上述した実施の形態1、2と同じ作用効果を奏する。或いはまた、各拡散層9と光源10との距離に応じて、当該拡散層9の微細ドット状の配置密度やドット径を適宜変更して輝度を調整することにより、光源10からの距離が大きいキートップ7ほどコア層6からの入射光量が増大するようにしても構わない。この場合も、上述した実施の形態1、2と同じ作用効果を奏する。
【0067】
また、上述した実施の形態1、2では、ポリウレタン製のコア層6を有するキーパッド5について説明した。しかし、コア層6の材質としては、所定の透明性(導光性)および可撓性を有するものである限り、種々の材質を採用することも可能である。例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂のほか、シリコーンゴム、ポリアミドなどの熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの中でも、引裂強さを重視するのであれば、ポリウレタンが好ましく、低弾性率や耐環境性を重視するのであれば、シリコーンゴムが好ましい。ここで、「低弾性率」とは、JIS K 6253で規定される硬さで言えば、A40以上D60以下が好ましく、A60以上A95以下がさらに好ましい。
【0068】
また、上述した実施の形態1、2では、ポリカーボネート製のキートップ7について説明した。しかし、キートップ7の材質としては、所定の透明性および硬さを有するものである限り、ポリカーボネート以外の材質(例えば、ポリアミド、アクリル、ウレタンアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)を代用することもできる。
【0069】
また、上述した実施の形態1、2では、シアノアクリレート系接着剤やアクリル系接着剤からなる接着層8を有するキーパッド5について説明した。しかし、これらの接着剤以外の接着剤からなる接着層8を代用してもよく、或いは、両面テープからなる接着層8を代用しても構わない。
【0070】
また、上述した実施の形態1、2では、シリコーンゴム製のクラッド層12を有するキーパッド5について説明した。しかし、クラッド層12の材質としては、所定の透明性、可撓性およびコア層6との密着性を有するものである限り、シリコーンゴム以外の材質(例えば、ウレタン、ポリエステル系、フッ素系樹脂やそれらの混合物、またはそれらのフッ素変性体など)を代用することもできる。
【0071】
また、上述した実施の形態1、2では、コア層6と各接着層8との間の全部にクラッド層12が介在しているキーパッド5について説明したが、コア層6と各接着層8との間の一部にクラッド層12を介在させるようにしても構わない。
【0072】
また、上述した実施の形態1、2では、樹脂製のパネル2を有する携帯電話1について説明した。しかし、樹脂以外の材質(例えば、FRP(繊維強化プラスチック)、金属など)からなるパネル2を有する携帯電話1に本発明を同様に適用することも勿論できる。
【0073】
また、上述した実施の形態1、2では、樹脂製の筐体14を有する携帯電話1について説明した。しかし、樹脂以外の材質(例えば、FRP(繊維強化プラスチック)、金属など)からなる筐体14を有する携帯電話1に本発明を同様に適用しても構わない。
【0074】
さらに、上述した実施の形態1、2では、両面テープからなる接着層3を有する携帯電話1について説明した。しかし、各種の接着剤からなる接着層3を代用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、携帯電話、スマートフォン、PDAなど各種の情報機器のほか、テレビジョン受像機、AV機器、空気調和装置、車載機器など様々な装置・機器を遠隔操作するためのリモートコントローラその他に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1……携帯電話
2……パネル
3……接着層
4……反射層
5……キーパッド
6……コア層
7……キートップ
7a……キー本体
7b……加飾層
8……接着層
9……拡散層
10……光源
11……反射層
12……クラッド層
13……スイッチ
14……筐体
15……接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を面方向に透過させて導光するコア層を有し、このコア層の一方の面にキートップが前記コア層より屈折率の小さい接着層を介して接着され、前記キートップが押下されることにより、前記コア層を介してスイッチが押圧されるキーパッドであって、
前記コア層と前記接着層との間の少なくとも一部には、当該接着層より屈折率の小さいクラッド層が介在していることを特徴とするキーパッド。
【請求項2】
光源からの光を面方向に透過させて導光するコア層を有し、このコア層の一方の面に複数のキートップが、それぞれ前記コア層より屈折率の小さい接着層を介して接着され、前記各キートップが押下されることにより、前記コア層を介して各スイッチが押圧されるキーパッドであって、
前記コア層と前記各接着層との間の少なくとも一部にはそれぞれ、当該接着層より屈折率の小さいクラッド層が介在し、
これらのクラッド層は、前記光源からの距離が大きいクラッド層ほど屈折率が大きいことを特徴とするキーパッド。
【請求項3】
光源からの光を面方向に透過させて導光するコア層を有し、このコア層の一方の面に複数のキートップが、それぞれ前記コア層より屈折率の小さい接着層を介して接着され、前記各キートップが押下されることにより、前記コア層を介して各スイッチが押圧されるキーパッドであって、
前記コア層と前記各接着層との間の少なくとも一部にはそれぞれ、当該接着層より屈折率の小さいクラッド層が介在し、
これらのクラッド層は、前記光源からの距離が大きいクラッド層ほど透過率が大きいことを特徴とするキーパッド。
【請求項4】
前記クラッド層の輪郭は、前記キートップの輪郭に合致していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のキーパッド。
【請求項5】
前記クラッド層は、前記コア層にシリコーン印刷されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のキーパッド。
【請求項6】
前記コア層の他方の面には、前記キートップに対応して拡散層が前記スイッチに対向するように形成されるとともに、反射層が前記拡散層を被覆するように設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のキーパッド。
【請求項7】
前記反射層は、前記コア層に成膜されたものであることを特徴とする請求項6に記載のキーパッド。
【請求項8】
前記反射層は、金属薄膜からなることを特徴とする請求項6または7に記載のキーパッド。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−253696(P2011−253696A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126459(P2010−126459)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】