説明

キーボード入力装置

【課題】利用者のキーボードへのキー入力ミスを低減する。
【解決手段】キーボード11のキー毎に異なる感覚を提示可能な感覚提示手段110を備えるキーボード入力装置であって、利用者が前記キーボードのキーを入力するときに、所定の入力可能なキーを特定し、当該入力可能なキーが提示する感覚と、他のキーが提示する感覚とが異なるように、各キーに提示させる感覚を決定する処理手段18と、処理手段18が決定した感覚に基づいて感覚提示手段110を駆動し、キーボード11の各キーの感覚を提示させる駆動手段19と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーボードの各キー毎に異なる感覚を提示可能なキーボード入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の入力のみが可能である場面、例えばYESまたはNOの何れかを選択させる選択画面において利用者のキーボード入力をYESまたはNOの2つのみに限定したい場合、一旦入力した文字あるいは文字列が正規の入力であるか否かを判定し、非正規入力であった場合は表示装置に非正規入力であることを表示し、再入力を促す手法が用いられている。上記の例では、「YES」、「NO」、「Yes」、「No」、「Y」、「y」、「N」、「n」などが正規入力であり、それら以外は非正規入力である。
【0003】
このような特定の入力のみが可能である場面としては、例えば非特許文献1に記載されているように、Linux コマンド rm --interactive abcdef.tex を発行した場合、ファイルabcdef.texを削除する前に削除するか否かYESまたはNOで問い合せる。
【0004】
また、キーボード入力の学習には、利用者は、学習のためのソフトウェア等を用い、学習のための時間を取って、キーボード入力の学習を行っている。キーボード入力の学習のためのソフトウェアには、例えば、非特許文献2がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“Manpagerm of RM”、[online]、[平成21年2月23日検索]、インターネット<URL:http://www.linux.or.jp/JM/html/GNU_fileutils/man1/rm.1.html>
【非特許文献2】“GNU Typist”、[online]、[平成21年2月23日検索]、インターネット<URL: http://www.gnu.org/software/gtypist/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特定の入力のみを受け付ける場面において、背景技術に記載した方法では、入力後に正規入力であるか否かを判定するため、誤った入力を行った場合には再入力が必要となり入力の手間が増えるという課題がある。
【0007】
また、キーボード入力を学習する場合、学習のためのソフトウェアを用いたとしても、実務とは別に学習のための専用の時間をとらなければならないという課題がある。さらに学習過程においては教材をなぞるだけであり、実務に直接結びつく成果物はなく、学習者(被雇用者)に学習のための高い動機付けが必要となると同時に会社(雇用者)にも学習を促すための特別の配慮が必要である。例えば、学習すること自体を成果として認める、就業時間の配慮、学習補助費の支給などである。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、キーボード入力の学習教材および学習時間を必要とすることなく、利用者のキー入力ミスをより低減させるキーボード入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、キーボードのキー毎に異なる感覚を提示可能な感覚提示手段を備えるキーボード入力装置であって、利用者が前記キーボードのキーを入力するときに、所定の入力可能なキーを特定し、当該入力可能なキーが提示する感覚と、他のキーが提示する感覚とが異なるように、各キーに提示させる感覚を決定する処理手段と、前記処理手段が決定した感覚に基づいて前記感覚提示手段を駆動し、前記キーボードの各キーの感覚を提示させる駆動手段と、を有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キーボード入力の学習教材および学習時間を必要とすることなく、利用者のキー入力ミスをより低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の原理を説明するための説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係るキーボード入力装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を説明する前に、まず、本発明の原理を説明する。
【0013】
図1は、本発明の原理を説明するための説明図である。
【0014】
キーボード11は、複数のキーを有し、所望のキーが押下されることにより、押下されたキーのキーコード111が入力部12に入力される。キーコード111(スキャンコード)は、キーボード11から入力部12へ伝達され、押下されたキーに対応したコードである。
【0015】
入力部12は、キーボード11の押下文字を入力するものであって、入力されたキーコード111を文字コード112に変換し、変換した文字コード112を分岐部13に出力する。文字コード112は、入力部12で変換されたキーコード111に対応する文字コードであって、入力部12から分岐部13へ伝達される。
【0016】
分岐部13は、入力部12から入力された文字コード112を複数の処理に分岐させる。分岐された文字コード113および文字コード114は、分岐部13に入力された文字コード112と同一である。
【0017】
外部プログラム14は、特定の業務アプリケーションや、一般的なワードプロセッサや表計算ソフトなどのプログラムである。外部プログラム14は、分岐された文字コード113を入力して所定の処理を実行し、表示情報116を出力する。表示情報116は、外部プログラム14が出力判定部15へ伝達する、外部プログラムの実行結果である。また、外部プログラム14は、キーボード11から入力された入力文字または入力文字列が正規入力であるか否かを表す正規入力情報115をFB(フィードバック)情報処理部18に通知する。
【0018】
出力判別部15は、外部プログラム14が出力する表示情報116を入力し、入力された表示情報116をそのまま表示部16に出力するとともに、入力された表示情報116が利用者に対してYESまたはNOなど特定のキーボード入力を促すものであるか否かを判別する。出力判別部15が出力する表示情報117は、出力判定部15が表示部16へ伝達する表示情報であり、表示情報116と同一である。また、出力判定部15は、表示情報116を用いて、正規入力であるか否かを判定するための正規入力情報118を生成し、FB情報処理部18に通知する。
【0019】
なお、表示情報116および表示情報117は、外部プログラム14がVT−100などのシリアルターミナルを使用するアプリケーションの場合は文字コード列であり、外部プログラム14がワードプロセッサなどの場合はSVGA(Super Video Graphics Array)信号などである。
【0020】
表示部16は、外部プログラム14の実行結果である表示情報117を表示する。蓄積部17は、分岐部13から出力される文字コード114(キーボード入力系列)を蓄積する。また、蓄積部17は、分岐部13から文字コード114が通知されると、キーボード入力があったことを通知する入力イベント119を、FB情報処理部18に伝達する。
【0021】
FB情報処理部18は、蓄積部17に蓄積されたキーボード入力系列を統計的、言語的に処理するとともに、外部プログラム14または出力判定部15からの電文(正規入力情報115、118)を受け付け、どのような感覚フィードバックを行うか(すなわち、どのような感覚を利用者に提示するか)を決定する。そして、FB情報処理部18は、FB情報122を、感覚FB駆動部19に通知する。なお、感覚は、視覚、聴覚、触覚および温感を総称したものである。
【0022】
また、FB情報処理部18は、蓄積データを問い合わせるDBクエリ120を蓄積部17に送出し、DBクエリ120に対する問い合わせ結果情報であるDBクエリ結果121理部18を蓄積部17から取得する。
【0023】
感覚FB駆動部19は、FB情報処理部18が決定したFB情報122に基づいて、LED(Light Emitting Diode)や振動素子などの感覚FB装置110を駆動するための感覚FB信号123を発生する。感覚FB信号123は、感覚FB装置110を駆動する電気信号である。
【0024】
感覚FB装置110は、感覚FB駆動部19で発生された電気信号を、物理的な感覚(視覚、聴覚、触覚、温感)に変換する。感覚FB装置110がキー毎に感覚をフィードバックするための素子を備える場合には、キーボード11と感覚FB装置110とは一体型の装置となる。キー毎に感覚をフィードバックするための素子としては、例えば、キーボード11の各キーのキートップに映像を表示させるLED、各キーを振動させる振動素子、各キーの温度を変化させるペルチェ素子等が考えられる。
【0025】
一方、オーディオによる感覚フィードバックを行う場合には、感覚FB装置110は、オーディオボード、オーディオアンプ、スピーカ等から構成され、キーボード11とは別筐体となる場合もある。
【0026】
次に、図1を参照して、動作原理について説明する。
【0027】
第1の動作として、通常のキーボード入力から外部プログラム14の動作と、その動作結果の表示までの流れについて説明し(S01−S07)、第2の動作として、誤入力の防止に対する動作について説明し(S11−S16)、第3の動作として、キーボード入力学習に対する動作について説明する(S21−S24)。
【0028】
まず、キーボード入力から外部プログラムの動作結果表示までの第1の動作について説明する。
利用者がキーボード11を押下すると、押下されたキーに対応するキーコード111が入力部12に送出される(S01)。入力部12は、入力されたキーコード111を文字コード112に変換し、分岐部13に出力する(S02)。分岐部13は、入力された文字コード112を、2つの文字コード113、114に分岐する(S03)。なお、文字コード112、113、114は、同一の文字コードである。
【0029】
そして、分岐部13は、文字コード113を外部プログラム14に出力する(S04)。外部プログラム14は、入力された文字コード113に基づいて所定の処理を実行し、実行結果である表示情報116を出力判定部15に出力する(S05)。出力判定部15は、外部プログラム14が出力した表示情報116と同一の表示情報117を表示部16に出力する(S06)。表示部16は、表示情報117を表示する(S07)。
【0030】
次に、誤入力防止に対する第2の動作の流れについて説明する。
【0031】
外部プログラム14は、当該外部プログラム14内の処理において、文字コード113の入力情報を必要とするタイミングで、入力された文字コード113が正規入力であるか否かを判定できる正規入力情報115をFB情報処理部18へ通知する(S11)。あるいは、出力判定部15が、表示情報116を特定の入力を要求する表示情報であると判定したタイミングで、正規入力であるか否かを判定できる正規入力情報118をFB情報処理部18へ通知する(S11)。
【0032】
第1の動作のS03で分岐部13が分岐した文字コード114は、蓄積部17に入力され、記憶(蓄積)される(S12)。蓄積部17は、文字コード114が記憶されたという入力イベント119を、FB情報処理部18に通知する(S13)。入力イベント119には、文字コード114が含まれている。
【0033】
FB情報処理部18は、正規入力情報115または正規入力情報118を用いて、キーボード11の各キーが、正規入力のキーであるか非正規入力のキーであるかを判別し、正規入力、非正規入力のそれぞれに対応したFB情報112を、感覚FB駆動部19に送出する(S14)。FB情報122には、例えば、各キーに0〜1の確率を対応付ける関数を用いることが考えられる。
【0034】
感覚FB駆動部19は、FB情報122に対応する感覚FB信号123を生成する(S15)。感覚FB装置110は、当該感覚FB信号123に応じた感覚を出力する(S16)。例えば、感覚FB装置110が、キーボード11の各キーに配置されたLED、液晶、有機ELなどの(微小)の表示デバイスである場合、キー毎に異なる制御・駆動を行う感覚FB信号123に従って、各キーに表示させる内容(輝度、色相、色度、模様、映像など)を、正規入力に対応するキーと、非正規入力に対応するキーとで、異なる内容で出力する。これにより、正規入力のキーを利用者に提示し、非正規入力のキーへの誤入力を防止する。
【0035】
なお、キーボードの各キーに表示デバイスが配置された装置は、例えばNTTドコモP−01の操作ボタン(http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/prime/p01a/topics_01.html)などがある。
【0036】
次に、キーボード入力学習の動作について説明する。
【0037】
第1の動作のS03で分岐部13が分岐した文字コード114は、蓄積部17へ送出され、バイト系列あるいは日本語文字列として、蓄積部17に蓄積される(S21)。蓄積部17は、文字コード114が蓄積部17に蓄積された後、当該文字コード114を含む入力イベント119をFB情報処理部18へ通知する(S22)。
【0038】
FB情報処理部18は、統計処理、日本語処理などの必要に応じて、蓄積部17に対しDBクエリ120を発行し、当該DBクエリ120に対応したDBクエリ結果121を取得する。そして、FB情報処理部18は、統計処理、日本語処理等を行い、キーボード11の各キー毎に次に押下される確率を推定する(S23)。
【0039】
確率推定の方法としては、例えば日本語については下記の文献1があり、使用言語に依存しない方法としてはNグラム法などがよく知られている。
【0040】
文献1:「文字認識における複合後処理法の能力評価」、新谷幹夫、梅田三千雄、日本電信電話株式会社武蔵野電気通信研究所、電子情報通信学会論文誌D Vol.J68-D No.5 pp.1118-1124、1985/05/20発行
そして、FB情報処理部18は、各キー毎に対応する確率を表す関数、すなわちFB情報122を感覚FB駆動部19に送出し、感覚FB駆動部19はFB信号122に基づいて感覚FB信号123を生成し、感覚FB装置110を駆動する(S24)。このように、それまでのキー入力内容に応じて、次に押下する可能性に応じたキー毎の感覚をフィードバックすることで、利用者は、特別な学習教材、学習時間を必要とすることなく、キーボード入力を学習することができる。
【0041】
感覚フィードバックの手段である感覚FB装置110としては、例えば、各キーのキートップの表示内容を変更する表示装置、各キーを振動させる振動素子、音の音程や音色、音の持続時間、音の波形、歪率などを変更するオーディオ出力装置、各キーの温度を熱く熱するまたは冷たく冷却するペルチェ素子などがあげられる。
【0042】
なお、オーディオ出力装置の場合、推定した確率と、実際に入力されたキーとの組み合わせに応じたオーディオ信号を出力することとしてもよい。例えば、推定された確率が高いキーに対して実際に入力された場合、正しい入力であることを利用者に知らせる所定の音を出力することなどが考えられる。
【0043】
また、オーディオ出力装置は、入力可能なキーと、実際に入力されたキーとの組み合わせに応じたオーディオ信号を出力することとしてもよい。例えば、入力可能なキーと、実際に入力されたキーとが異なる場合、エラーを知らせるアラームなどを出力することが考えられる。
【0044】
以上説明したように、本発明の装置によれば、入力の正規性の確認および非正規入力時の再入力の手間を抑えることができる。例えばコールセンタのオペレータに本発明の装置を使用させた場合、各利用者あたりの対応に要する時間を低減することができる。また、利用者へのフィードバックの方法は視覚による感覚のみならず、聴覚、触覚、温感などの感覚による方法を取ることもできる。
【0045】
また、キーボード入力の学習手段としてのキーボード入力装置としては、特別な学習教材を用いることなく、利用者に正しい入力を促し、実務で必要とされる文書を作成しながら、キーボード入力の学習を行うことが可能である。
<実施の形態>
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0046】
図2は、本発明の実施の形態に係るキーボード入力装置の構成図である。
【0047】
本実施形態のキーボード入力装置は、キーボード21と、仮想デバイスドライバプログラム22と、仮想デバイスドライバプログラム22内で情報を保管する蓄積部23と、所定の端末アプリケーションなどの外部プログラム24と、外部プログラム24から出力される表示情報を表示する表示部25と、仮想デバイスドライバプログラム22からのFB情報に対応する感覚信号を発生する感覚FB駆動部26と、感覚FB駆動部26からの感覚FB信号124で駆動される感覚FB装置A27と、感覚FB駆動部26からの感覚FB信号125で駆動される感覚FB装置B28とを有する。
【0048】
なお、図2に示すキーボード入力装置は、例えば、少なくともCPUと、メモリとを備えた汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、各機能が実現される。
【0049】
次に各構成要素21−28の間で伝達される電文、信号について説明する。
【0050】
キーコード29は、キーボード21で発生し、仮想デバイスドライバプログラム22に伝達される電文である。文字コード210は、仮想デバイスドライバプログラム22から外部プログラム24に伝達される電文である。この文字コード210は、仮想デバイスドライバプログラム22でキーコード29から文字コードに変換されたものである。
【0051】
表示情報211は、外部プログラム24から仮想デバイスドライバプログラム22に伝達されるで電文ある。表示情報212は仮想デバイスドライバプログラム22から表示部25に伝達される電文である。FB情報213は、仮想デバイスドライバプログラム22から感覚FB駆動部26に伝達される電文である。
【0052】
感覚FB信号214は、感覚FB駆動部26から感覚FB装置A27に伝達される信号である。感覚FB信号215は、感覚FB駆動部26から感覚FB装置B28に伝達される信号である。
【0053】
文字コード2Aは、仮想デバイスドライバプログラム22に入力されたキーコード29から変換された電文である。仮想デバイスドライバプログラム22内で変換された文字コード210、2Aは、外部プログラム24と仮想デバイスドライバプログラム22内の蓄積部23に分岐して伝達される。表示情報2Bは、外部プログラム24から出力される表示情報211を、仮想デバイスドライバプログラム22が分岐したものであり、蓄積部23に蓄積される。
【0054】
次に、コンソールアプリケーションを例にとり、図2の本実施形態の動作について説明する。
【0055】
キーボード21から入力されたキーコード29は、仮想デバイスドライバプログラム22で文字コード210、2Aに変換および分岐され、文字コード210が外部プログラム24に伝達されると同時に、文字コード2Aが蓄積部23に蓄積される。
【0056】
外部プログラム24から出力される表示情報211は、まず仮想デバイスドライバプログラム22に伝達され、表示情報212と表示情報2Bに分岐される。これら2つの表示情報212、2Bは同一である。表示情報212は、表示部25に伝達され、表示部25により表示される。表示情報2Bは、蓄積部23に蓄積される。
【0057】
表示情報2Bは、常に仮想デバイスドライバプログラム22により監視されており、特定のパターン(例えばYES/NO)を含む場合、仮想デバイスドライバプログラム22は、FB情報213を感覚FB駆動部26へ伝達する。
【0058】
このFB情報213に基づいて、感覚FB駆動部26は、感覚FB信号214もしくは感覚FB信号215もしくは両方の感覚FB信号214、215を生成する。これにより、感覚FB装置A27もしくは感覚FB装置B28もしくは両方の感覚FB装置27、28から利用者に対して感覚のフィードバック(提示)が行われる。
【0059】
この動作により、利用者がYES/NOの入力を行う前に、適切な感覚フィードバック、例えば「Y」のキーおよび「N」のキー(正規入力のキー)の各キートップのみ明度を上げ、他のキー(非正規入力のキー)の各キートップの明度を下げることで、正規入力を行うように利用者の注意を喚起し、誤入力を未然に防止することができる。
【0060】
感覚フィードバックの方法としては、上記の明度を含め、次のような方法がある。
【0061】
(1)明度、輝度
(2)色彩、色調
(3)動画像表示、静止画像表示、無表示
(4)キーと振動素子の組み合わせ (偏心モータ、ピエゾ素子=小型圧電スピーカ等)
(5)キーとペルチェ素子の組み合わせ
(5)の方法については、マウスでの報告例が下記の文献2に記載されている。
【0062】
文献2:「ヒューマンインタフェースシンポジウム2008(2008年9月1日〜4日)」、飯塚(NTT)他、http://www.his.gr.jp/his2008/program.html、特定非営利活動法人 ヒューマンインタフェース学会(http://www.his.gr.jp/)
また、蓄積部23に蓄積された文字コード2Aに対して、仮想デバイスドライバプログラム22は、統計処理や日本語処理を行い、各キーについて次に入力される確率を推定し、この確率に応じて感覚をフィードバックする。これにより、次に入力するキーに対する感覚フィードバックを、キー押下(打鍵)直前、押下中、あるいは押下直後に実施することができ、利用者に正しいキー入力を促すことができる。このように、本実施形態では、特別な学習教材を用いることなく、キーボード入力の学習を実施することが可能となる。
【0063】
キーボード入力の学習において、有効な感覚フィードバックの方法としては、次のような方法がある。
【0064】
(1)明度、輝度
(2)色彩、色調
(3)動画像表示、静止画像表示、無表示
(4)キーと振動素子の組み合わせ (偏心モータ、ピエゾ素子=小型圧電スピーカ等)
(5)キーとペルチェ素子の組み合わせ
(6)オーディオ出力の音程、音量、音色
以上説明した本実施形態のキーボード入力装置では、各キーのキートップの表示内容を変更可能な出力装置、各キーを振動させる振動素子、各キーの温度を熱く熱するまたは冷たく冷却するペルチェ素子、音の音程や音色、音の持続時間、音の波形、歪率などを変更するオーディオ出力装置などの少なくとも1つの感覚FB装置を用いる。これにより、特定の入力のみが可能な場面において、少なくとも1つの感覚FB装置により、入力可能なキーであるか否かを利用者にフィードバック(提示)することができる。具体的には、キーの押下直前に正規入力のキーのみを、所定の感覚フィードバックで強調して利用者に提示させることができ、非正規入力のキーへの誤入力を防止することができる。
【0065】
また、本実施形態では、限定された入力(正規入力)のみをキーボードから入力させる補助を行うことができ、例えばコールセンタ業務における稼働時間を低減することができる。
【0066】
また、本実施形態では、過去に入力された文字列を統計処理と日本語処理と組み合わせることで、各キー毎に次に入力される確率を推定し、確率の高いキーに対する感覚を変化させ、利用者にフィードバックする。これにより、誤入力を低減するとともに、専用の教材、専用の学習時間を必要とすることなく、OJTとして実務で用いる文書を作成しながら、適切な入力候補の感覚フィードバックを随時受けることで、学習時間の制約なく、キーボード入力の学習を行うことができる。
【0067】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0068】
11 キーボード
12 入力部
13 分岐部
14 外部プログラム
15 出力判定部
16 表示部
17 蓄積部
18 FB情報処理部
19 感覚FB駆動部
110 感覚FB装置
21 キーボード
22 仮想デバイスドライバ・プログラム
23 蓄積部
24 外部プログラム
25 表示部
26 感覚FB駆動部
27 感覚FB装置A
28 感覚FB装置B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーボードのキー毎に異なる感覚を提示可能な感覚提示手段を備えるキーボード入力装置であって、
利用者が前記キーボードのキーを入力するときに、所定の入力可能なキーを特定し、当該入力可能なキーが提示する感覚と、他のキーが提示する感覚とが異なるように、各キーに提示させる感覚を決定する処理手段と、
前記処理手段が決定した感覚に基づいて前記感覚提示手段を駆動し、前記キーボードの各キーの感覚を提示させる駆動手段と、を有すること
を特徴とするキーボード入力装置。
【請求項2】
請求項1記載のキーボード入力装置であって、
前記処理手段は、キーボードからの入力情報を使用する外部プログラムから通知される正規入力情報に基づいて、前記入力可能なキーを特定すること
特徴とするキーボード入力装置。
【請求項3】
請求項1記載のキーボード入力装置であって、
キーボードからの入力情報を使用する外部プログラムの出力情報に基づいて、入力可能なキーを示す正規入力情報を生成する出力判別手段を、さらに有し、
前記処理手段は、前記出力判別手段が生成した前記正規入力情報に基づいて、前記入力可能なキーを特定すること
特徴とするキーボード入力装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のキーボード入力装置であって、
入力可能なキーと、実際に入力されたキーとの組み合わせに応じたオーディオ信号を出力するオーディオ出力手段を、さらに備えること
特徴とするキーボード入力装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のキーボード入力装置であって、
前記処理手段は、過去のキー入力情報を解析し、次に押下されるキーの確率を推定し、推定した確率に基づいて各キーに提示させる感覚を決定すること
を特徴とするキーボード入力装置。
【請求項6】
請求項5記載のキーボード入力装置であって、
推定した確率と、実際に入力されたキーとの組み合わせに応じたオーディオ信号を出力するオーディオ出力手段を、さらに備えること
を特徴とするキーボード入力装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のキーボード入力装置であって、
前記感覚提示手段は、キーボードの各キーに配置され、当該キーのキートップに映像を表示させる素子であること
を特徴とするキーボード入力装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のキーボード入力装置であって、
前記感覚提示手段は、キーボードの各キーに配置され、当該キーを振動させる振動素子であること
を特徴とするキーボード入力装置。
【請求項9】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のキーボード入力装置であって、
前記感覚提示手段は、キーボードの各キーに配置され、当該キーの温度を変更可能な素子であること
を特徴とするキーボード入力装置。
【請求項10】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のキーボード入力装置であって、
前記感覚提示手段は、キーボードの各キーに配置され、当該キーのキートップに映像を表示させる素子、当該キーを振動させる振動素子、および当該キーの温度を変更可能な素子のうちの少なくとも2つを組み合わせたものであること
を特徴とするキーボード入力装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−231593(P2010−231593A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79526(P2009−79526)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】