キーボード装置
【課題】ローマ字入力に慣れている利用者、入力操作に慣れていない仮名入力をする利用者にとって入力操作がし易く、かつ、キーの数が規格化されたキー数と同数又はほぼ同数となるキーボード装置を提供する。
【解決手段】本発明のキーボード装置は、ローマ字入力又は仮名入力のいずれかの入力操作方法で入力可能なキーボード装置において、横方向の並びが5列となるように、文字入力に関するキーが配列され、ローマ字入力用キーとして、当該文字入力に関する5列のキーのうちいずれか4列のキーに対して、JIS規格の配列にしたがって英字および数字が割当てられていると共に、仮名入力用キーとして、縦方向にアイウエオ順、横方向にアカサタナ順の50音順配列で仮名文字が割当てられているキーボードを備えることを特徴とする。
【解決手段】本発明のキーボード装置は、ローマ字入力又は仮名入力のいずれかの入力操作方法で入力可能なキーボード装置において、横方向の並びが5列となるように、文字入力に関するキーが配列され、ローマ字入力用キーとして、当該文字入力に関する5列のキーのうちいずれか4列のキーに対して、JIS規格の配列にしたがって英字および数字が割当てられていると共に、仮名入力用キーとして、縦方向にアイウエオ順、横方向にアカサタナ順の50音順配列で仮名文字が割当てられているキーボードを備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーボード装置に関し、例えば、テープ印字装置、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の入力手段として利用されるキーボードを有するキーボード装置に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
例えば、テープ印字装置、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等は、一般に、JISで規格化されたキー配列のキーボードが用いられる(非特許文献1参照)。また、一般的に、キーボードを用いて日本語入力を行なうには、ローマ字入力又は仮名入力のうちいずれかを選択して行なわれる。
【0003】
非特許文献1に記載のキーボードは、文字入力に関するキーの配列としては、縦に4列配列されている。英字及び数字については、上から第1列目に数字等が配列され、上から第2列目〜第4列目に亘って英字が配列されており、この配列をいわゆる「QWERTY」配列という(第2列目の最左行から右方向に「QWERTY」の順で配列されている)。これに対して、仮名文字については、上から第1列目〜第4列目に亘って配列されており、例えば、第1列目には「ぬふあうえ…」の順に配列されており、「あいうえお」順に配列されていない。
【0004】
ところで、非特許文献1に記載のキー配列がなされたキーボードを用いて日本語入力をする際、入力操作に慣れている利用者は、ローマ字入力を多く利用している。しかし、入力操作に慣れていない利用者は、ローマ字入力よりも仮名入力の方を好むことが多いが、「あいうえお」の順や「あかさたな…」の順といったいわゆる「50音順」に配列されていないので、入力したい仮名文字がキーボード上のどの位置に配置されているか分かり難く、入力に手間取ることが多い。
【0005】
また、テープ印字装置、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等は、1台の装置を複数の利用者で共有して使用されることも多々あり、ローマ字入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れている)利用者と仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者とが混在するような場合、両方の利用者にとって、それぞれ使い易いキー配列が求められる。
【0006】
そこで、日本語入力の際に、利用者の操作性を考慮したキー配列がなされたキーボードに関する技術として、特許文献1〜特許文献3に記載の技術がある。
【0007】
特許文献1は、利用者の使用頻度の高い文字をタイプし易い位置に配列させるために、キーボードの文字盤面の盤面中央から右手領域と左手領域に、50音仮名が50音順に配列されているキーボードが記載されている。
【0008】
特許文献2は、文字入力に関するキー配列が、縦に5列の配列であり、最左行から「ア行」、「カ行」、…と仮名文字が配列されているキーボードが記載されている。
【0009】
特許文献3は、文字入力に関するキー配列が、縦に5列の配列であり、最右行から「ア行」、「カ行」、…と仮名文字が配列されているキーボードが記載されている。
【0010】
【特許文献1】特開6−4200号公報
【特許文献2】実開昭60−62143号公報
【特許文献3】特開昭58−62730号公報
【非特許文献1】日本規格協会 日本工業規格 情報処理系けん盤配列 JIS X6002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載のキーボードのキー配列は、英数字については、「QWERTY」配列であるので、ローマ字入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れている)利用者にとって利用し易い。しかし、仮名文字については、例えば「あいうえお」は盤面中央から右方向に並んでおり、また「なにぬねの」は盤面中央から左方向に並んでおり、仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者にとっては、違和感があり、キーボード上のどこにどの仮名文字が配列されているか途惑うおそれがある。また、1つのキーに複数の仮名文字が割当てられているので、この場合いずれの仮名文字を入力するか(シフトキーなどによる)切替手段が必要となる。
【0012】
また、特許文献2に記載のキーボードのキー配列は、仮名文字については、各行が「ア行」、「カ行」、…となっているので、仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者にとって、入力したい仮名文字がキーボード上のどこにあるか見つけ易く、利用し易い。しかし、英数字については、上から第3列目〜第5列目に亘って、最左行から右方向に、「A,B,C,…」のアルファベット順に並んでいる。そのため、「QWERTY」配列のキーボードを用いてローマ字入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れている)利用者にとっては、利用し難いものとなる。
【0013】
さらに、特許文献3に記載のキーボードのキー配列は、英数字については、「QWERTY」配列であるので、ローマ字入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れている)利用者にとって利用し易い。また、仮名文字についても、各行が「ア行」、「カ行」、…となっているので、仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者にとって、入力したい仮名文字がキーボード上のどこにあるか見つけ易い。しかし、縦に5列とすることで、キーの数が増えてしまい、何も文字が割当てられてない(日本語入力する上では無駄となる)キーも存在しており、どちらの日本語入力を行う利用者にとっても利用しにくいものとなる。
【0014】
そのため、ローマ字入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れている)利用者にとって利用し易い「QWERTY」配列を維持しながら、仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者が入力したい仮名文字を見つけ易いキー配列であり、また、JIS配列キー(非特許文献1)と比べて、文字入力キーの数が同数又はほぼ同数となるようにキー配列されたキーボード装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる課題を解決するために、本発明のキーボード装置は、ローマ字入力又は仮名入力のいずれかの入力操作方法で入力可能なキーボード装置において、横方向の並びが5列となるように、文字入力に関するキーが配列され、ローマ字入力用キーとして、当該文字入力に関する5列のキーのうちいずれか4列のキーに対して、JIS規格の配列にしたがって英字および数字が割当てられていると共に、仮名入力用キーとして、縦方向にアイウエオ順、横方向にアカサタナ順の50音順配列で仮名文字が割当てられているキーボードを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ローマ字入力で日本語入力を行う)利用者にとって利用し易い「QWERTY」配列を維持しながら、仮名入力で日本語入力を行う利用者が入力したい仮名文字を見つけ易いキー配列であり、また、JIS配列キーと比べて、文字入力キーの数が同数又はほぼ同数となるようにキー配列されたキーボード装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(A)第1の実施形態
以下、本発明のキーボード装置の第1の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態のキーボード装置が備えるキーボードのキー配列を説明する説明図である。
【0019】
第1の実施形態のキーボード1Aは、例えば、テープ印字装置、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の入力手段であるキーボードに広く適用できるものである。また、キーボード1Aは、物理的な複数のキーを有して構成されるけん盤を想定する。
【0020】
図1では、第1の実施形態の特徴であるキーボード1Aのキー配列が明確になるように、説明便宜上、キーボード1Aを構成するキーのうち、図形文字キーのキー配列のみを示している。なお、キーボード1Aは、図形文字キー以外にも、制御文字キーやシフト機能キー等を備えるが、図1では、制御文字キーやシフト機能キーのキー配列については省略する。
【0021】
ここで、図形文字とは、英字、仮名、数字、及び特殊文字をいう。英字は、アルファベットの「A」〜「Z」であり、全部で26個からなる文字である。仮名は、「あ」〜「ん」までの46個の文字である。数字は、「1」〜「0」までの10個のものである。特殊文字とは、例えば、濁点「゛」や、半濁点「゜」や、長音符号「ー」や、“「”(始括弧)や、“」”(終括弧)等の文字をいう。
【0022】
なお、ローマ字入力用キーとは、図形文字のうち、ローマ字入力の際に用いる、英字、数字、特殊文字を示すキーをいう。また、仮名入力用キーとは、図形文字のうち、仮名入力の際に用いる、仮名、特殊文字を示すキーをいう。
【0023】
図1に示すように、第1の実施形態のキーボード1Aは、図形文字キーについて、基本的には、縦に5列で構成された48個のキーを有して構成されるものである。具体的には、図1に示すように、キーボード1Aは、縦に5列で構成された行を左から9行並べ、左から10行目の行(すなわち最右行)は上から3列で構成される。
【0024】
なお、第1の実施形態におけるキーボード1Aのキーの並びについて、横方向のキーの並びを「列」とし、縦方向のキーの並びを「行」として説明する。
【0025】
キーボード1Aにおいて、英数字のキー配列は、第1列から第4列までは「QWERTY]配列である(第5列については後述する)。つまり、英数字のキー配列については、第1列から第4列までは、JIS X6002(非特許文献1参照)で規格化されているキー配列を維持している。
【0026】
これにより、第1の実施形態のキーボード1Aを用いてローマ字入力で日本語入力をする利用者は、従来の入力操作と同様の操作で行なうことができる。
【0027】
これに対して、キーボード1Aの仮名文字のキー配列は、例えば、左から、第1行目が「あ行」、第2行目が「か行」、第3行目が「さ行」、…、第9行目が「ら行」、第10行目が「わ行(わ、を、ん)」である。
【0028】
このように50音順に配列させることにより、このキーボード1Aを用いて仮名入力で日本語入力をする利用者にとって、仮名文字を見つけ易くし、利用し易いようにできる。
【0029】
次に、各行の仮名文字のキー配列について説明する。
【0030】
例えば、左から第1行目(すなわち、「あ行」の行)において、第1列目は、「QWERTY」配列での数字「1」キーに該当するものであり、このキーが「あ行」の「あ」キーとなる。同様に、第2列目は、英字「Q」キーに該当するキーが「い」キーに該当する。第3列目は、英字「A」キーに該当するキーが「う」キーに該当する。第4列目は、英字「Z」キーに該当するキーが「え」キーに該当する。第5列目は、特殊文字キー“「”(始括弧)キーに該当するキーが「お」キーに該当する。
【0031】
また、例えば、第8行目(すなわち、「や行」の行)において、第1列目は、数字「8」キーに該当するキーが「や」キーに該当する。第2列目は、英字「I」キーに該当するキーが「ゆ」キーに該当する。第3列目は、英字「K」キーに該当するキーが「よ」キーに該当する。第4列目は、特殊文字「〜」キーに該当するキーが特殊文字「濁点/半濁点」キーに該当する。第5列目は、特殊文字「ー(長音符号)」キーに該当するキーが特殊文字「−(ハイフン)」キーに該当する。
【0032】
次に、第5列目のキーの配列について図2を参照して説明する。図2は、第1の実施形態のキーボード1Aの第5列目のキーの配列を説明する説明図である。
【0033】
第1の実施形態のキーボード1Aにおいて、第5列目のキーの配列は、従来のキーボードの特殊文字キーの一部を第5列目として配列するものとする。このように、従来のキーボードにおける特殊文字キーの一部を第5列目とすることで、JISで規格化されているキーの数と同数である48個とすることができる。また、特殊文字キーの一部の配列が、JISで規格化されているキー配列と異なる位置に配置されていても、特殊文字キーは他の英数字キーと比べて使用頻度が低いので、JIS規格配列と異なる位置に配置されることは、仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者にとっても、さほど違和感がなく入力できる。
【0034】
例えば、図2において、従来のキーボードでの特殊文字キーの一部は特殊文字キー群12に配列されていた。第1の実施形態の場合、特殊文字キー群12に配列されていた特殊文字キーのうち9個の特殊文字キーが第5列目部分13に配列されている。
【0035】
このとき、9個の特殊文字キーのうち、どのキーを何行目に配置するかは、特に限定されるものではなく、利用者の入力操作性を考慮して配列することができる。
【0036】
例えば、図1では、第5列目の第3行目を特殊文字「^(アクサンシルコンフレックス)」キーとし、その右隣のキーを特殊文字「/(斜線)」キーとしているが、利用者の入力操作性を考慮して、第5列目の第3行目を特殊文字「/(斜線)」キーとし、その右隣のキーを特殊文字「^(アクサンシルコンフレックス)」キーとしてもよい。
【0037】
更に例えば、利用者にとって、句点(。)キーは最下列に配列されている方が使い易いので、図1のキーボード1Aのキー配列は、句点(。)キーが最下列(第5列目)にくるような位置に配置している。
【0038】
また、第8行目の第4列目では、1個のキーで「濁点」と「半濁点」のいずれかを選択できるようにする。これは、「濁点」と「半濁点」は、使用頻度が少ないため、それぞれ1個の独立したキーとして割当てる必要性は低い。そのため、図1のキーボード1Aでは、「濁点」と「半濁点」とを兼用とするキーとする。
【0039】
このように、兼用キーとするとき、「濁点」と「半濁点」のいずれかを選択する方法としては、例えば、兼用キーを押下する回数によって巡回的に切り替える方法や、また例えば、シフト機能キーを押下しながら兼用キーを押下することで、いずれかを選択できるようにする方法等がある。
【0040】
続いて、図3は、英数字よりも仮名文字を大きく表示させた場合のキーボード1Aのキー配列を示す図である。
【0041】
図3に示すキーボード1Bのキー配列は、図1で示すキーボード1Aのキー配列と同じである。図1のキーボード1Aと異なる点は、各キーのキートップ上の表示である。キーボード1Aの各キーのキートップ表示は、英数字の方が仮名文字よりも大きく表示されている。これに対して、キーボード1Bの各キーのキートップ表示は、仮名文字の方が英数字よりも大きく表示されている。
【0042】
つまり、キーボード1Aを備えるキーボード装置の入力操作方法の初期設定(デフォルト設定)が、ローマ字入力モードである場合、英数字の方を仮名文字よりも大きくキートップ表示し、入力操作方法の初期設定(デフォルト設定)が、仮名入力モードである場合、仮名文字の方を英数字よりも大きくキートップ表示する。
【0043】
これは、ローマ字入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れている)利用者は、キーボード上の表示を見なくても、英数字の位置を認識しキータッチすることができる場合が多い。これに対して、仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者は、キーボード上の表示を見ながらキータッチする機会が多い。そのため、仮名文字を英数字よりも大きく表示させることにより、仮名文字キーの位置をより簡単に見つけ易くすることができる。
【0044】
また、図3のキーボード1Bは、1行毎にキーの色を色分けしている。例えば、図3において、ハッチングがかかっているキーは、黒に近い濃いグレーのキーとし、ハッチングがかかっていないキーは、白に近いグレーのキーとする。そうすると、各行ごとに色分けすることができ、利用者に各行の区別を容易にすることができるから、仮名文字キーの位置をより簡単に見つけ易くすることができる。
【0045】
次に、図1に示すキーボード1Aを有するキーボード装置のハードウェア構成について図10を参照して説明する。
【0046】
図10は、第1の実施形態のキーボード装置4のハードウェア構成を示す図である。図10において、キーボード装置4は、キーボード1Aと、キーコード処理装置3とを有する。
【0047】
キーコード処理装置3は、キーボード1Aからキー入力信号を受け取り、キー入力信号に対応するキー出力信号を出力するものである。キーコード処理装置3は、キーボード1Aから受け取った入力操作機能信号に基づいて、ローマ字入力モード又は仮名入力モードの切り替えをするものである。
【0048】
なお、キーボード装置3は、入力操作方法の初期設定(デフォルト設定)としては、ローマ字入力モード又は仮名入力モードのいずれかの設定が可能である。
【0049】
第1の実施形態では、英数字については「QWERTY」配列(JIS規格の配列)であるが、仮名文字についてはJIS規格の配列ではない。また、特殊文字についても、適宜配置を換えている。そのため、押下されたキーのキー入力信号に対応するキーコードを出力するキーコード変換処理が必要となる。
【0050】
図10において、キーコード処理装置3は、キーボード1Aのキー配列に応じたキーコードにするキーコード変換部32aを有する。このキーコード変換部32aは、例えば、キー入力信号とキーコードとの対応関係テーブルを備え、入力されたキー入力信号に応じたキーコードを選択して出力するものである。
【0051】
なお、記憶部32は、キーコード変換部32aを格納する記憶手段であり、例えば、ROM等で構成されるものである。そこで、図1に示すキーボード1Aのキー配列専用の記憶部32を作成し、キーボード1Aを用いる場合、この記憶部32aに交換することで、キーボード1Aのキー配列に対応した入力処理を実現することができる。
【0052】
(A−2)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、縦に5列構成のキー配列をとり、縦に「あいうえお」順に並べ、横に「あかさたな…」順にキーを並べる「50音順」の仮名文字配列とすることにより、仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者に対して、仮名文字の位置を見つけ易くすることができる。その結果、仮名入力での入力操作をより容易にすることができる。
【0053】
また、第1の実施形態によれば、いわゆる「QWERTY」配列を維持することで、ローマ字入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れている)利用者に対しての入力操作性を維持しつつ、仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者に対しても、入力操作性を向上させることができる。
【0054】
さらに、第1の実施形態によれば、従来のキーボードを構成するキーのうち、「50音順」の仮名文字配列とすることにより余剰となる、特殊文字キーの一部を新たな列(例えば第5列目)に配列させることで、全体のキーの数をJISに規格化されているキー配列のキーの数と同数とすることができる。これにより、「(5列×10行の)50音順」の仮名文字配列にするために生じてしまう、文字入力操作に使用されない無駄なキーを新たに配置させる必要がない。
【0055】
また、従来のキーボードの特殊文字キーの一部を新たな列数に配列(移動)させることで、移動した特殊文字キーの分だけ減少したキーボードの幅寸法を小さくすることができる。その結果、物理的・一体的にキーボードを搭載する機器の幅寸法も小さくすることができるから、当該機器の小型化、当該機器の持ち運びや収納等がし易くなる。
【0056】
(B)他の実施形態
次に、第1の実施形態においても種々の変形実施形態を説明したが、それ以外の変形実施形態について説明する。
【0057】
(B−1)図4は、キーの数を49個とした場合のキーボードのキー配列を示す図である。
【0058】
図1に示すキーボード1Aは、JIS規格と同じ48個のキー数としたが、これに対して、図4に示すキーボード1Cは、49個のキーの数とした場合のキー配列である。
【0059】
具体的には、図1のキーボード1Aは、1個のキーが「濁点」と「半濁点」を兼用するものとしたが、図4のキーボード1Cは、「濁点」と「半濁点」のそれぞれを別々のキーとする。
【0060】
なお、図4では、左から、第8行目(「や行」の行)において、第4列目に「濁点」キーを配置し、第5列目に「半濁点」キーを配置する。また、最右行(「わ、を、ん」の行)の第4列目に「ー(長音符号)」キーを配置する。
【0061】
このように、「濁点」と「半濁点」とを別々のキー構成とし、キー数を49個とすることで、「濁点」と[半濁点]の選択が行い易くなり、入力操作性が向上する。
【0062】
(B−2)図5及び図6は、仮名文字キーの配列の変形例を示す図である。
【0063】
図1に示すキーボード1Aは、左から順に「あかさたな…」の順にキー配列する場合を示した。これに対して、図5及び図6に示すキーボード1D及びキーボード1Eは、右から順に「あかさたな…」の順にキー配列する場合を示す。
【0064】
図5のキーボード1Dは、各行の5個のキーを右上から左下方向に配列する場合を示す。一方、図6のキーボード1Eは、各行の5個のキーを左上から右下方向に配列する場合を示す。
【0065】
このように、右から順に「あかさたな…」の順にキー配列させることで、利用者の好みや見易さに応じて柔軟に対応することができる。また、各行のキー配列の方向についても、利用者の操作性に応じて柔軟に対応することができる。
【0066】
(B−3)図7及び図8は、縦に5列構成としたキーボードのキー配列の変形例を示す図である。
【0067】
図1に示すキーボード1Aは、上から第5列目に9個の特殊文字キーを配列させた場合を示している。これに対して、図7に示すキーボード1Fは、上から第1列目に10個の特殊文字キーを配列させる場合を示している。この場合、英数字キーは第2列目〜第5列目に「QWERTY」配列としている。また、図8に示すキーボード1Gは、上から第2列目に10個の特殊文字キーを配列させる場合を示している。この場合、英数字キーのうち、数字キーは第1列目に左から右へ「1」「2」・・・「0」の順に、英字キーは第3列目〜第5列目に「QWERTY」配列に従った配列としている。
【0068】
このように、特殊文字キーの新たな配列については、図1に示すキー配列のように、上から第5列目に配列させる場合に限定されるものではなく、図7及び図8に示すように、どの列に配列させるようにしてもよい。勿論、図示しないが、上から、第3列目、第4列目に新たに配列させるようにしてもよい。この場合の英数字キーの配列も、図8の場合と同様の考え方で配列すればよい。
【0069】
図7及び図8に示すキー配列の場合も、図1に示すキー配列の場合と同様に、特殊文字キーの配列については、入力操作性を考慮して任意に変えることができる。
【0070】
(B−4)図9は、図1のキーボード1Aの構成の変形例を示す図である。
【0071】
図9では、図1に示すキーボード1Aにおいて、「た」キー及び「ま」キーに、ホームポジションの位置を認知させるための基点突起部21及び22を設けた場合の構成である。これにより、利用者に対してホームポジションの基点位置を知らせることができる。
【0072】
なお、基点突起部21及び22を設ける位置は、「た」キー及び「ま」キーの位置に限定されるものではない。
【0073】
(B−5)第1の実施形態では、既存キーボードの特殊文字キー群12に配置されている特殊文字キーの一部を用いて新たな列を作るものとする。そのため、横方向(幅方向)のキーの個数が減りその分のスペースが余るので、各キー間のピッチを既存キーボードの各キー間ピッチよりも広くしたり、各キー間のピッチをそのままで各キーの幅寸法を既存キーより大きくしたりすることができる。これにより、各キー間のピッチが狭いと誤って2つのキーを同時に操作してしまうような指が太い利用者等にとっても、操作し易いキーボードを提供できる。
【0074】
(B−6)第1の実施形態において、「濁点」と「半濁点」とを1個の兼用キーを用いる場合を例に挙げたが、兼用対象とする文字は「濁点」、「半濁点」に限定されるものではなく、他の文字としてよい。このとき、使用頻度が少ない文字同士を兼用することが望ましい。
【0075】
また、第1の実施形態では、兼用キーを1個設けた場合を示したが、2個以上の兼用キーを設けてもよい。これにより、キー数をJIS規格で定められたキー数より少なく設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1の実施形態のキーボードのキー配列を示す図である。
【図2】第1の実施形態のキーボードのキー配列を作成する方法を説明する説明図である。
【図3】第1の実施形態のキーボードのキートップの設定表示に関する変形例を示す図である。
【図4】キーボードのキー数を変えたときのキーボードのキー配列を示す図である。
【図5】キーボードの仮名文字の並びを変えたときのキーボードのキー配列を示す図である(その1)。
【図6】キーボードの仮名文字の並びを変えたときのキーボードのキー配列を示す図である(その2)。
【図7】新たな列の配置位置を変えたときのキーボードのキー配列を示す図である(その1)。
【図8】新たな列の配置位置を変えたときのキーボードのキー配列を示す図である(その2)。
【図9】基点突起部を設けたキーボードの構成図である。
【図10】第1の実施形態のキーボード装置のハードウェア構成図である。
【符号の説明】
【0077】
1A〜1G…キーボード、3…キーコード処理装置、4…キーボード装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーボード装置に関し、例えば、テープ印字装置、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の入力手段として利用されるキーボードを有するキーボード装置に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
例えば、テープ印字装置、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等は、一般に、JISで規格化されたキー配列のキーボードが用いられる(非特許文献1参照)。また、一般的に、キーボードを用いて日本語入力を行なうには、ローマ字入力又は仮名入力のうちいずれかを選択して行なわれる。
【0003】
非特許文献1に記載のキーボードは、文字入力に関するキーの配列としては、縦に4列配列されている。英字及び数字については、上から第1列目に数字等が配列され、上から第2列目〜第4列目に亘って英字が配列されており、この配列をいわゆる「QWERTY」配列という(第2列目の最左行から右方向に「QWERTY」の順で配列されている)。これに対して、仮名文字については、上から第1列目〜第4列目に亘って配列されており、例えば、第1列目には「ぬふあうえ…」の順に配列されており、「あいうえお」順に配列されていない。
【0004】
ところで、非特許文献1に記載のキー配列がなされたキーボードを用いて日本語入力をする際、入力操作に慣れている利用者は、ローマ字入力を多く利用している。しかし、入力操作に慣れていない利用者は、ローマ字入力よりも仮名入力の方を好むことが多いが、「あいうえお」の順や「あかさたな…」の順といったいわゆる「50音順」に配列されていないので、入力したい仮名文字がキーボード上のどの位置に配置されているか分かり難く、入力に手間取ることが多い。
【0005】
また、テープ印字装置、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等は、1台の装置を複数の利用者で共有して使用されることも多々あり、ローマ字入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れている)利用者と仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者とが混在するような場合、両方の利用者にとって、それぞれ使い易いキー配列が求められる。
【0006】
そこで、日本語入力の際に、利用者の操作性を考慮したキー配列がなされたキーボードに関する技術として、特許文献1〜特許文献3に記載の技術がある。
【0007】
特許文献1は、利用者の使用頻度の高い文字をタイプし易い位置に配列させるために、キーボードの文字盤面の盤面中央から右手領域と左手領域に、50音仮名が50音順に配列されているキーボードが記載されている。
【0008】
特許文献2は、文字入力に関するキー配列が、縦に5列の配列であり、最左行から「ア行」、「カ行」、…と仮名文字が配列されているキーボードが記載されている。
【0009】
特許文献3は、文字入力に関するキー配列が、縦に5列の配列であり、最右行から「ア行」、「カ行」、…と仮名文字が配列されているキーボードが記載されている。
【0010】
【特許文献1】特開6−4200号公報
【特許文献2】実開昭60−62143号公報
【特許文献3】特開昭58−62730号公報
【非特許文献1】日本規格協会 日本工業規格 情報処理系けん盤配列 JIS X6002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載のキーボードのキー配列は、英数字については、「QWERTY」配列であるので、ローマ字入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れている)利用者にとって利用し易い。しかし、仮名文字については、例えば「あいうえお」は盤面中央から右方向に並んでおり、また「なにぬねの」は盤面中央から左方向に並んでおり、仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者にとっては、違和感があり、キーボード上のどこにどの仮名文字が配列されているか途惑うおそれがある。また、1つのキーに複数の仮名文字が割当てられているので、この場合いずれの仮名文字を入力するか(シフトキーなどによる)切替手段が必要となる。
【0012】
また、特許文献2に記載のキーボードのキー配列は、仮名文字については、各行が「ア行」、「カ行」、…となっているので、仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者にとって、入力したい仮名文字がキーボード上のどこにあるか見つけ易く、利用し易い。しかし、英数字については、上から第3列目〜第5列目に亘って、最左行から右方向に、「A,B,C,…」のアルファベット順に並んでいる。そのため、「QWERTY」配列のキーボードを用いてローマ字入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れている)利用者にとっては、利用し難いものとなる。
【0013】
さらに、特許文献3に記載のキーボードのキー配列は、英数字については、「QWERTY」配列であるので、ローマ字入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れている)利用者にとって利用し易い。また、仮名文字についても、各行が「ア行」、「カ行」、…となっているので、仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者にとって、入力したい仮名文字がキーボード上のどこにあるか見つけ易い。しかし、縦に5列とすることで、キーの数が増えてしまい、何も文字が割当てられてない(日本語入力する上では無駄となる)キーも存在しており、どちらの日本語入力を行う利用者にとっても利用しにくいものとなる。
【0014】
そのため、ローマ字入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れている)利用者にとって利用し易い「QWERTY」配列を維持しながら、仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者が入力したい仮名文字を見つけ易いキー配列であり、また、JIS配列キー(非特許文献1)と比べて、文字入力キーの数が同数又はほぼ同数となるようにキー配列されたキーボード装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる課題を解決するために、本発明のキーボード装置は、ローマ字入力又は仮名入力のいずれかの入力操作方法で入力可能なキーボード装置において、横方向の並びが5列となるように、文字入力に関するキーが配列され、ローマ字入力用キーとして、当該文字入力に関する5列のキーのうちいずれか4列のキーに対して、JIS規格の配列にしたがって英字および数字が割当てられていると共に、仮名入力用キーとして、縦方向にアイウエオ順、横方向にアカサタナ順の50音順配列で仮名文字が割当てられているキーボードを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ローマ字入力で日本語入力を行う)利用者にとって利用し易い「QWERTY」配列を維持しながら、仮名入力で日本語入力を行う利用者が入力したい仮名文字を見つけ易いキー配列であり、また、JIS配列キーと比べて、文字入力キーの数が同数又はほぼ同数となるようにキー配列されたキーボード装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(A)第1の実施形態
以下、本発明のキーボード装置の第1の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態のキーボード装置が備えるキーボードのキー配列を説明する説明図である。
【0019】
第1の実施形態のキーボード1Aは、例えば、テープ印字装置、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の入力手段であるキーボードに広く適用できるものである。また、キーボード1Aは、物理的な複数のキーを有して構成されるけん盤を想定する。
【0020】
図1では、第1の実施形態の特徴であるキーボード1Aのキー配列が明確になるように、説明便宜上、キーボード1Aを構成するキーのうち、図形文字キーのキー配列のみを示している。なお、キーボード1Aは、図形文字キー以外にも、制御文字キーやシフト機能キー等を備えるが、図1では、制御文字キーやシフト機能キーのキー配列については省略する。
【0021】
ここで、図形文字とは、英字、仮名、数字、及び特殊文字をいう。英字は、アルファベットの「A」〜「Z」であり、全部で26個からなる文字である。仮名は、「あ」〜「ん」までの46個の文字である。数字は、「1」〜「0」までの10個のものである。特殊文字とは、例えば、濁点「゛」や、半濁点「゜」や、長音符号「ー」や、“「”(始括弧)や、“」”(終括弧)等の文字をいう。
【0022】
なお、ローマ字入力用キーとは、図形文字のうち、ローマ字入力の際に用いる、英字、数字、特殊文字を示すキーをいう。また、仮名入力用キーとは、図形文字のうち、仮名入力の際に用いる、仮名、特殊文字を示すキーをいう。
【0023】
図1に示すように、第1の実施形態のキーボード1Aは、図形文字キーについて、基本的には、縦に5列で構成された48個のキーを有して構成されるものである。具体的には、図1に示すように、キーボード1Aは、縦に5列で構成された行を左から9行並べ、左から10行目の行(すなわち最右行)は上から3列で構成される。
【0024】
なお、第1の実施形態におけるキーボード1Aのキーの並びについて、横方向のキーの並びを「列」とし、縦方向のキーの並びを「行」として説明する。
【0025】
キーボード1Aにおいて、英数字のキー配列は、第1列から第4列までは「QWERTY]配列である(第5列については後述する)。つまり、英数字のキー配列については、第1列から第4列までは、JIS X6002(非特許文献1参照)で規格化されているキー配列を維持している。
【0026】
これにより、第1の実施形態のキーボード1Aを用いてローマ字入力で日本語入力をする利用者は、従来の入力操作と同様の操作で行なうことができる。
【0027】
これに対して、キーボード1Aの仮名文字のキー配列は、例えば、左から、第1行目が「あ行」、第2行目が「か行」、第3行目が「さ行」、…、第9行目が「ら行」、第10行目が「わ行(わ、を、ん)」である。
【0028】
このように50音順に配列させることにより、このキーボード1Aを用いて仮名入力で日本語入力をする利用者にとって、仮名文字を見つけ易くし、利用し易いようにできる。
【0029】
次に、各行の仮名文字のキー配列について説明する。
【0030】
例えば、左から第1行目(すなわち、「あ行」の行)において、第1列目は、「QWERTY」配列での数字「1」キーに該当するものであり、このキーが「あ行」の「あ」キーとなる。同様に、第2列目は、英字「Q」キーに該当するキーが「い」キーに該当する。第3列目は、英字「A」キーに該当するキーが「う」キーに該当する。第4列目は、英字「Z」キーに該当するキーが「え」キーに該当する。第5列目は、特殊文字キー“「”(始括弧)キーに該当するキーが「お」キーに該当する。
【0031】
また、例えば、第8行目(すなわち、「や行」の行)において、第1列目は、数字「8」キーに該当するキーが「や」キーに該当する。第2列目は、英字「I」キーに該当するキーが「ゆ」キーに該当する。第3列目は、英字「K」キーに該当するキーが「よ」キーに該当する。第4列目は、特殊文字「〜」キーに該当するキーが特殊文字「濁点/半濁点」キーに該当する。第5列目は、特殊文字「ー(長音符号)」キーに該当するキーが特殊文字「−(ハイフン)」キーに該当する。
【0032】
次に、第5列目のキーの配列について図2を参照して説明する。図2は、第1の実施形態のキーボード1Aの第5列目のキーの配列を説明する説明図である。
【0033】
第1の実施形態のキーボード1Aにおいて、第5列目のキーの配列は、従来のキーボードの特殊文字キーの一部を第5列目として配列するものとする。このように、従来のキーボードにおける特殊文字キーの一部を第5列目とすることで、JISで規格化されているキーの数と同数である48個とすることができる。また、特殊文字キーの一部の配列が、JISで規格化されているキー配列と異なる位置に配置されていても、特殊文字キーは他の英数字キーと比べて使用頻度が低いので、JIS規格配列と異なる位置に配置されることは、仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者にとっても、さほど違和感がなく入力できる。
【0034】
例えば、図2において、従来のキーボードでの特殊文字キーの一部は特殊文字キー群12に配列されていた。第1の実施形態の場合、特殊文字キー群12に配列されていた特殊文字キーのうち9個の特殊文字キーが第5列目部分13に配列されている。
【0035】
このとき、9個の特殊文字キーのうち、どのキーを何行目に配置するかは、特に限定されるものではなく、利用者の入力操作性を考慮して配列することができる。
【0036】
例えば、図1では、第5列目の第3行目を特殊文字「^(アクサンシルコンフレックス)」キーとし、その右隣のキーを特殊文字「/(斜線)」キーとしているが、利用者の入力操作性を考慮して、第5列目の第3行目を特殊文字「/(斜線)」キーとし、その右隣のキーを特殊文字「^(アクサンシルコンフレックス)」キーとしてもよい。
【0037】
更に例えば、利用者にとって、句点(。)キーは最下列に配列されている方が使い易いので、図1のキーボード1Aのキー配列は、句点(。)キーが最下列(第5列目)にくるような位置に配置している。
【0038】
また、第8行目の第4列目では、1個のキーで「濁点」と「半濁点」のいずれかを選択できるようにする。これは、「濁点」と「半濁点」は、使用頻度が少ないため、それぞれ1個の独立したキーとして割当てる必要性は低い。そのため、図1のキーボード1Aでは、「濁点」と「半濁点」とを兼用とするキーとする。
【0039】
このように、兼用キーとするとき、「濁点」と「半濁点」のいずれかを選択する方法としては、例えば、兼用キーを押下する回数によって巡回的に切り替える方法や、また例えば、シフト機能キーを押下しながら兼用キーを押下することで、いずれかを選択できるようにする方法等がある。
【0040】
続いて、図3は、英数字よりも仮名文字を大きく表示させた場合のキーボード1Aのキー配列を示す図である。
【0041】
図3に示すキーボード1Bのキー配列は、図1で示すキーボード1Aのキー配列と同じである。図1のキーボード1Aと異なる点は、各キーのキートップ上の表示である。キーボード1Aの各キーのキートップ表示は、英数字の方が仮名文字よりも大きく表示されている。これに対して、キーボード1Bの各キーのキートップ表示は、仮名文字の方が英数字よりも大きく表示されている。
【0042】
つまり、キーボード1Aを備えるキーボード装置の入力操作方法の初期設定(デフォルト設定)が、ローマ字入力モードである場合、英数字の方を仮名文字よりも大きくキートップ表示し、入力操作方法の初期設定(デフォルト設定)が、仮名入力モードである場合、仮名文字の方を英数字よりも大きくキートップ表示する。
【0043】
これは、ローマ字入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れている)利用者は、キーボード上の表示を見なくても、英数字の位置を認識しキータッチすることができる場合が多い。これに対して、仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者は、キーボード上の表示を見ながらキータッチする機会が多い。そのため、仮名文字を英数字よりも大きく表示させることにより、仮名文字キーの位置をより簡単に見つけ易くすることができる。
【0044】
また、図3のキーボード1Bは、1行毎にキーの色を色分けしている。例えば、図3において、ハッチングがかかっているキーは、黒に近い濃いグレーのキーとし、ハッチングがかかっていないキーは、白に近いグレーのキーとする。そうすると、各行ごとに色分けすることができ、利用者に各行の区別を容易にすることができるから、仮名文字キーの位置をより簡単に見つけ易くすることができる。
【0045】
次に、図1に示すキーボード1Aを有するキーボード装置のハードウェア構成について図10を参照して説明する。
【0046】
図10は、第1の実施形態のキーボード装置4のハードウェア構成を示す図である。図10において、キーボード装置4は、キーボード1Aと、キーコード処理装置3とを有する。
【0047】
キーコード処理装置3は、キーボード1Aからキー入力信号を受け取り、キー入力信号に対応するキー出力信号を出力するものである。キーコード処理装置3は、キーボード1Aから受け取った入力操作機能信号に基づいて、ローマ字入力モード又は仮名入力モードの切り替えをするものである。
【0048】
なお、キーボード装置3は、入力操作方法の初期設定(デフォルト設定)としては、ローマ字入力モード又は仮名入力モードのいずれかの設定が可能である。
【0049】
第1の実施形態では、英数字については「QWERTY」配列(JIS規格の配列)であるが、仮名文字についてはJIS規格の配列ではない。また、特殊文字についても、適宜配置を換えている。そのため、押下されたキーのキー入力信号に対応するキーコードを出力するキーコード変換処理が必要となる。
【0050】
図10において、キーコード処理装置3は、キーボード1Aのキー配列に応じたキーコードにするキーコード変換部32aを有する。このキーコード変換部32aは、例えば、キー入力信号とキーコードとの対応関係テーブルを備え、入力されたキー入力信号に応じたキーコードを選択して出力するものである。
【0051】
なお、記憶部32は、キーコード変換部32aを格納する記憶手段であり、例えば、ROM等で構成されるものである。そこで、図1に示すキーボード1Aのキー配列専用の記憶部32を作成し、キーボード1Aを用いる場合、この記憶部32aに交換することで、キーボード1Aのキー配列に対応した入力処理を実現することができる。
【0052】
(A−2)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、縦に5列構成のキー配列をとり、縦に「あいうえお」順に並べ、横に「あかさたな…」順にキーを並べる「50音順」の仮名文字配列とすることにより、仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者に対して、仮名文字の位置を見つけ易くすることができる。その結果、仮名入力での入力操作をより容易にすることができる。
【0053】
また、第1の実施形態によれば、いわゆる「QWERTY」配列を維持することで、ローマ字入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れている)利用者に対しての入力操作性を維持しつつ、仮名入力で日本語入力を行う(入力操作に慣れていない)利用者に対しても、入力操作性を向上させることができる。
【0054】
さらに、第1の実施形態によれば、従来のキーボードを構成するキーのうち、「50音順」の仮名文字配列とすることにより余剰となる、特殊文字キーの一部を新たな列(例えば第5列目)に配列させることで、全体のキーの数をJISに規格化されているキー配列のキーの数と同数とすることができる。これにより、「(5列×10行の)50音順」の仮名文字配列にするために生じてしまう、文字入力操作に使用されない無駄なキーを新たに配置させる必要がない。
【0055】
また、従来のキーボードの特殊文字キーの一部を新たな列数に配列(移動)させることで、移動した特殊文字キーの分だけ減少したキーボードの幅寸法を小さくすることができる。その結果、物理的・一体的にキーボードを搭載する機器の幅寸法も小さくすることができるから、当該機器の小型化、当該機器の持ち運びや収納等がし易くなる。
【0056】
(B)他の実施形態
次に、第1の実施形態においても種々の変形実施形態を説明したが、それ以外の変形実施形態について説明する。
【0057】
(B−1)図4は、キーの数を49個とした場合のキーボードのキー配列を示す図である。
【0058】
図1に示すキーボード1Aは、JIS規格と同じ48個のキー数としたが、これに対して、図4に示すキーボード1Cは、49個のキーの数とした場合のキー配列である。
【0059】
具体的には、図1のキーボード1Aは、1個のキーが「濁点」と「半濁点」を兼用するものとしたが、図4のキーボード1Cは、「濁点」と「半濁点」のそれぞれを別々のキーとする。
【0060】
なお、図4では、左から、第8行目(「や行」の行)において、第4列目に「濁点」キーを配置し、第5列目に「半濁点」キーを配置する。また、最右行(「わ、を、ん」の行)の第4列目に「ー(長音符号)」キーを配置する。
【0061】
このように、「濁点」と「半濁点」とを別々のキー構成とし、キー数を49個とすることで、「濁点」と[半濁点]の選択が行い易くなり、入力操作性が向上する。
【0062】
(B−2)図5及び図6は、仮名文字キーの配列の変形例を示す図である。
【0063】
図1に示すキーボード1Aは、左から順に「あかさたな…」の順にキー配列する場合を示した。これに対して、図5及び図6に示すキーボード1D及びキーボード1Eは、右から順に「あかさたな…」の順にキー配列する場合を示す。
【0064】
図5のキーボード1Dは、各行の5個のキーを右上から左下方向に配列する場合を示す。一方、図6のキーボード1Eは、各行の5個のキーを左上から右下方向に配列する場合を示す。
【0065】
このように、右から順に「あかさたな…」の順にキー配列させることで、利用者の好みや見易さに応じて柔軟に対応することができる。また、各行のキー配列の方向についても、利用者の操作性に応じて柔軟に対応することができる。
【0066】
(B−3)図7及び図8は、縦に5列構成としたキーボードのキー配列の変形例を示す図である。
【0067】
図1に示すキーボード1Aは、上から第5列目に9個の特殊文字キーを配列させた場合を示している。これに対して、図7に示すキーボード1Fは、上から第1列目に10個の特殊文字キーを配列させる場合を示している。この場合、英数字キーは第2列目〜第5列目に「QWERTY」配列としている。また、図8に示すキーボード1Gは、上から第2列目に10個の特殊文字キーを配列させる場合を示している。この場合、英数字キーのうち、数字キーは第1列目に左から右へ「1」「2」・・・「0」の順に、英字キーは第3列目〜第5列目に「QWERTY」配列に従った配列としている。
【0068】
このように、特殊文字キーの新たな配列については、図1に示すキー配列のように、上から第5列目に配列させる場合に限定されるものではなく、図7及び図8に示すように、どの列に配列させるようにしてもよい。勿論、図示しないが、上から、第3列目、第4列目に新たに配列させるようにしてもよい。この場合の英数字キーの配列も、図8の場合と同様の考え方で配列すればよい。
【0069】
図7及び図8に示すキー配列の場合も、図1に示すキー配列の場合と同様に、特殊文字キーの配列については、入力操作性を考慮して任意に変えることができる。
【0070】
(B−4)図9は、図1のキーボード1Aの構成の変形例を示す図である。
【0071】
図9では、図1に示すキーボード1Aにおいて、「た」キー及び「ま」キーに、ホームポジションの位置を認知させるための基点突起部21及び22を設けた場合の構成である。これにより、利用者に対してホームポジションの基点位置を知らせることができる。
【0072】
なお、基点突起部21及び22を設ける位置は、「た」キー及び「ま」キーの位置に限定されるものではない。
【0073】
(B−5)第1の実施形態では、既存キーボードの特殊文字キー群12に配置されている特殊文字キーの一部を用いて新たな列を作るものとする。そのため、横方向(幅方向)のキーの個数が減りその分のスペースが余るので、各キー間のピッチを既存キーボードの各キー間ピッチよりも広くしたり、各キー間のピッチをそのままで各キーの幅寸法を既存キーより大きくしたりすることができる。これにより、各キー間のピッチが狭いと誤って2つのキーを同時に操作してしまうような指が太い利用者等にとっても、操作し易いキーボードを提供できる。
【0074】
(B−6)第1の実施形態において、「濁点」と「半濁点」とを1個の兼用キーを用いる場合を例に挙げたが、兼用対象とする文字は「濁点」、「半濁点」に限定されるものではなく、他の文字としてよい。このとき、使用頻度が少ない文字同士を兼用することが望ましい。
【0075】
また、第1の実施形態では、兼用キーを1個設けた場合を示したが、2個以上の兼用キーを設けてもよい。これにより、キー数をJIS規格で定められたキー数より少なく設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1の実施形態のキーボードのキー配列を示す図である。
【図2】第1の実施形態のキーボードのキー配列を作成する方法を説明する説明図である。
【図3】第1の実施形態のキーボードのキートップの設定表示に関する変形例を示す図である。
【図4】キーボードのキー数を変えたときのキーボードのキー配列を示す図である。
【図5】キーボードの仮名文字の並びを変えたときのキーボードのキー配列を示す図である(その1)。
【図6】キーボードの仮名文字の並びを変えたときのキーボードのキー配列を示す図である(その2)。
【図7】新たな列の配置位置を変えたときのキーボードのキー配列を示す図である(その1)。
【図8】新たな列の配置位置を変えたときのキーボードのキー配列を示す図である(その2)。
【図9】基点突起部を設けたキーボードの構成図である。
【図10】第1の実施形態のキーボード装置のハードウェア構成図である。
【符号の説明】
【0077】
1A〜1G…キーボード、3…キーコード処理装置、4…キーボード装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローマ字入力又は仮名入力のいずれかの入力操作方法で入力可能なキーボード装置において、
横方向の並びが5列となるように、文字入力に関するキーが配列され、
ローマ字入力用キーとして、当該文字入力に関する5列のキーのうちいずれか4列のキーに対して、JIS規格の配列にしたがって英字および数字が割当てられていると共に、
仮名入力用キーとして、縦方向にアイウエオ順、横方向にアカサタナ順の50音順配列で仮名文字が割当てられているキーボードを備えることを特徴とするキーボード装置。
【請求項2】
上記キーボードの上記仮名入力用キーは、「あ」から「ん」までの46個の仮名キーと2個の特殊文字キーとが割当てられていることを特徴とする請求項1に記載のキーボード装置。
【請求項3】
上記キーボードの上記2個の特殊文字キーとして、長音符号を示す長音符号キーと、濁点及び半濁点のいずれかを選択可能な濁点キーとが割当てられていることを特徴とする請求項2に記載のキーボード装置。
【請求項4】
上記キーボードの上記仮名入力用キーとして、「あ」から「ん」までの46個の仮名キーと、長音符号を示す長音符号キー、濁点を示す濁点キー、及び半濁点を示す半濁点キーを有する3個の特殊文字キーとが割当てられていることを特徴とする請求項1に記載のキーボード装置。
【請求項5】
上記キーボードの上記文字入力に関する5列のキーのうち、上記ローマ字入力用キーとして割当てられた4列のキー以外の1列のキーの全てに、上記特殊文字キーの一部が割当てられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のキーボード装置。
【請求項6】
上記入力操作方法の初期設定がローマ字入力である場合、上記図形文字キーのキートップの表示は、英字又は数字が仮名文字より大きく表示され、
上記入力操作方法の初期設定が仮名文字入力である場合、上記図形文字キーのキートップの表示は、仮名文字が英字又は数字より大きく表示されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のキーボード装置。
【請求項1】
ローマ字入力又は仮名入力のいずれかの入力操作方法で入力可能なキーボード装置において、
横方向の並びが5列となるように、文字入力に関するキーが配列され、
ローマ字入力用キーとして、当該文字入力に関する5列のキーのうちいずれか4列のキーに対して、JIS規格の配列にしたがって英字および数字が割当てられていると共に、
仮名入力用キーとして、縦方向にアイウエオ順、横方向にアカサタナ順の50音順配列で仮名文字が割当てられているキーボードを備えることを特徴とするキーボード装置。
【請求項2】
上記キーボードの上記仮名入力用キーは、「あ」から「ん」までの46個の仮名キーと2個の特殊文字キーとが割当てられていることを特徴とする請求項1に記載のキーボード装置。
【請求項3】
上記キーボードの上記2個の特殊文字キーとして、長音符号を示す長音符号キーと、濁点及び半濁点のいずれかを選択可能な濁点キーとが割当てられていることを特徴とする請求項2に記載のキーボード装置。
【請求項4】
上記キーボードの上記仮名入力用キーとして、「あ」から「ん」までの46個の仮名キーと、長音符号を示す長音符号キー、濁点を示す濁点キー、及び半濁点を示す半濁点キーを有する3個の特殊文字キーとが割当てられていることを特徴とする請求項1に記載のキーボード装置。
【請求項5】
上記キーボードの上記文字入力に関する5列のキーのうち、上記ローマ字入力用キーとして割当てられた4列のキー以外の1列のキーの全てに、上記特殊文字キーの一部が割当てられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のキーボード装置。
【請求項6】
上記入力操作方法の初期設定がローマ字入力である場合、上記図形文字キーのキートップの表示は、英字又は数字が仮名文字より大きく表示され、
上記入力操作方法の初期設定が仮名文字入力である場合、上記図形文字キーのキートップの表示は、仮名文字が英字又は数字より大きく表示されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のキーボード装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−250500(P2008−250500A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89076(P2007−89076)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000129437)株式会社キングジム (241)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000129437)株式会社キングジム (241)
【Fターム(参考)】
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