説明

キーボード装置

【課題】操作性を向上させるための、より適切な発光表示を可能とする発光表示部を備え、かつ、低コストかつ構造的にも実現可能なキーボード装置を提供する。
【解決手段】第1の照光手段は、一群の発光表示部A1の各発光位置に対応する位置に夫々配置される、複数の第1の光源(LED22)を有している。又、第2の照光手段は、一群の発光表示部を除く発光表示部A2に対応する設置範囲を有する導光板18と、導光板18を介してその出射光を一群の発光表示部を除く発光表示部A2に照射する、第2の光源(LED20)とを有する。そして、一群の発光表示部を除く発光表示部A2は、第2光源からの出射光が、導光板18を介して一括して照射される。光遮蔽手段24により、複数系統の照光手段の光が、一群の発光表示部A1、及び、一群の発光表示部を除く発光表示部A2において、互いに又は一方的に影響することを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等の入力装置であるキーボード装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の電子機器の入力装置として、従来からキーボード装置が広く用いられている。このキーボード装置は、多様な入力を可能とすべく、比較的広い入力操作面上に、キーキャップ等、多数の入力記号に対応する入力部が分布配置されている。又、必要なキーキャップやランプが点灯することで、操作性の向上が図られたキーボード装置も多く存在している(特許文献1参照)。
近年では、静電容量方式のタッチパネルと、該タッチパネルの上面を覆う透光性のカバーパネルとを備え、該カバーパネル上面が入力操作面をなすキーボード装置も実用化されている。かかるキーボード装置は、最上面に位置する入力操作面が平坦面とされたことから、清掃がし易くなって汚れが固着し難くなり、見栄えが向上する上に、清潔な状態を保つことができ、機能性と美観とを高度に兼ね備えたものである。そして、平坦な入力操作面を実現するにあたり、静電容量方式のタッチパネルが採用されていることで、透光性に優れたタッチパネルを簡単に構成することができ、かつ、高感度の入力検知が可能となっている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−129374号公報
【特許文献2】特願2009−253938号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者らは、キーキャップやランプ等の発光表示部を点灯させるといった技術思想を更に一歩進め、特定の発光表示部のみ選択的に発光させ、あるいは、異なる色で発光させることが、キーボード装置の操作性を更に高める上で望ましいことに着目し、その研究開発を進めている。
図3には、かかる研究開発過程で試作されたキーボード装置10の構造を、平面図(部分透視図)図で示している。このキーボード装置10は、キーキャップの文字部分が発光表示部となっており、符号A1で示される一群のキーキャップが、例えば青色に発光する発光表示部として構成され、かつ、符号A2で示される残余のキーキャップが、例えば白色に発光する発光表示部として構成されている。図3の例では、一群のキーキャップA1には、特定のファンクションキーと、カーソル移動キーとが含まれている。
【0005】
そして、各キーキャップの少なくとも文字部分は透明の材料で構成されており、一群のキーキャップA1の直下には、各一群のキーキャップに対応する設置範囲を有する導光板14(各グレー表示)が配置され、かつ、この導光板14を介してその出射光を各一群のキーキャップA1に照射するLED16が、適所に配置されている。又、残余のキーキャップA2の直下には、それらの設置範囲に対応する導光板18が配置され、かつ、この導光板18を介してその出射光を残余のキーキャップにA2に照射するLED20が、適所に配置されている。なお、図3のキーボード装置は、図示の各構成の他、キーキャップの保持機構、キーキャップの物理的入力を電気信号に変換するメンブレンシート、回路基板、ケース等を含むものであるが、これらについては公知の構成であることから、詳しい説明を省略する。
【0006】
さて、図3に示されるキーボード装置10は、LED16、20を同時にあるいは任意に発光させることで、一群のキーキャップA1と、残余のキーキャップA2とを同時にあるいは任意に発光させることが可能である。しかしながら、LED16、20からの発光を制御して特定の発光表示部を発光させる導光板14、18の総数の増加を来たし、同時に、LED16、20に係る回路基板も、各導光板14、18毎に独立しており、必要数も増加すること等から、コスト的にも構造的にも所望の条件を満たすことが出来ず、実用化に至ってはいなかった。
本発明は上記課題を解消し、操作性を向上させるための、より適切な発光表示を可能とする発光表示部を備え、かつ、低コストかつ構造的にも実現可能なキーボード装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0008】
(1)複数の発光表示部を有するキーボード装置であって、一群の発光表示部、及び、該一群の発光表示部を除く発光表示部に光を照射する、複数系統の照光手段を備えるキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、一群の発光表示部における発光と、一群の発光表示部を除く発光表示部における発光とを、複数系統の照光手段によって、各々独立して行うことを可能とするものである。
【0009】
(2)上記(1)項に加え、前記一群の発光表示部、及び、前記一群の発光表示部を除く発光表示部において、前記複数系統の照光手段の光が、互いに又は一方的に影響することを防ぐ光遮蔽手段を備えるキーボード装置(請求項1)。
本項に記載のキーボード装置は、光遮蔽手段により、複数系統の照光手段の光が、一群の発光表示部、及び、一群の発光表示部を除く発光表示部において、混合したり、非点灯の発光表示部に異なる系統の照光手段の光が漏れる等、互いに又は一方的に影響することを防ぐものである。
【0010】
(3)上記(1)、(2)項において、前記複数系統の照光手段には、前記一群の発光表示部の各発光位置と対応する位置に夫々配置される、複数の第1の光源を有する、第1の照光手段が含まれるキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、複数系統の照光手段に含まれる第1の照光手段が、一群の発光表示部の各発光位置と対応する位置に夫々配置される、複数の第1の光源を有している。そして、導光板に頼ることなく、一群の発光表示部の各発光位置が、対応する1つの、第1の光源によって照光されるものである。
【0011】
(4)上記(3)項において、前記一群の発光表示部を除く発光表示部に対応する設置範囲を有する導光板と、該導光板を介してその出射光を前記一群の発光表示部を除く発光表示部に照射する、第2の光源とを有する、第2の照光手段が含まれるキーボード装置(請求項2)。
本項に記載のキーボード装置は、複数系統の照光手段に含まれる第2の照光手段が、一群の発光表示部を除く発光表示部に対応する設置範囲を有する導光板と、導光板を介してその出射光を一群の発光表示部を除く発光表示部に照射する、第2の光源とを有するものである。そして、第2の光源からの出射光が、一群の発光表示部を除く発光表示部に対して、導光板を介して一括して照射されるものである。ここで、一群の発光表示部を除く発光表示部のうちの全部の発光位置に対して、導光板を介して一括して照射されるもののみならず、導光板の形状如何により、一部の特定の発光位置に対してのみ、第2光源からの出射光を照射することも可能となる。例えば、一群の発光表示部を除く発光表示部の特定の発光位置に、別ピースの導光板を割り当て、別ピースの導光板の周囲からの光の漏れを光遮蔽手段で防ぐことで、導光板の各ピース毎に発光又は非発光とすることができる。
【0012】
(5)上記(4)項において、前記第1の光源と、前記第2の光源とが、同時にあるいは任意に発光可能であるキーボード装置(請求項3)。
本項に記載のキーボード装置は、第1の照光手段に係る第1の光源と、第2の照光手段に係る第2の光源とを、同時にあるいは任意に発光させることで、キーボード装置の一群の発光表示部、及び、一群の発光表示部を除く発光表示部を、同時にあるいは任意に発光させるものである。
(6)上記(4)(5)項において、前記第1の光源の一部のみ、任意に発光可能であるキーボード装置(請求項4)。
本項に記載のキーボード装置は、第1の照光手段に係る、複数の第1の光源の全部ではなく、特定の一部のみ任意に発光させることで、例えば、特定のコマンドに対応した特定のパターンの発光表示を行うものである。
【0013】
(7)上記(5)(6)項において、前記第1の光源に係る第1の回路基板と、前記第2の光源に係る第2の回路基板とを含むキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、第1の光源に係る第1の回路基板と、前記第2の光源に係る第2の回路基板との回路基板によって、第1の照光手段に係る第1の光源と、第2の照光手段に係る第2の光源とを、同時にあるいは任意に発光させるものである。
(8)上記(7)項において、前記第1の光源と、前記第2の光源とが共通の回路基板に設けられ、かつ、前記第1の光源と、前記第2の光源とを同時にあるいは任意に発光させるドライバを備えるキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、ドライバによって、共通の回路基板に設けられた第1の光源と第2の光源とを、同時にあるいは任意に発光させることとしても良い。
(9)上記(7)(8)項において、前記第1の光源に係る第1の回路基板及び前記第2の光源に係る第2の回路基板、又は、前記共通の回路基板が、フレキシブルプリント基板(FPC)であるキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、第1の光源に係る第1の回路基板、前記第2の光源に係る第2の回路基板、又は、前記共通の回路基板が、いずれもFPCにより構成されることで、キーボード装置の構造上の制約が可能な限り解消されるものである。
【0014】
(10)上記(4)から(9)項において、前記第1の光源からの出射光と、前記第2の光源からの出射光との、発光色が異なるキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、第1の照光手段に係る第1の光源と、第2の照光手段に係る第2の光源とで、発光色が異なることにより、キーボード装置の一群の発光表示部、及び、一群の発光表示部を除く発光表示部を、各々、異なる色で発光させるものである。
【0015】
(11)上記(4)から(10)項において、前記第1の光源と、前記第2の光源とが、LEDであるキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、第1の照光手段に係る第1の光源と、第2の照光手段に係る第2の光源とが、いずれもLEDにより構成されることで、キーボード装置の構造上の制約を可能な限り解消するものである。
【0016】
(12)上記(1)から(11)項において、前記光遮蔽手段は、前記一群の発光表示部が含まれる領域と、前記一群の発光表示部を除く発光表示部が含まれる領域とを区分するように、遮光部材が配置されてなるキーボード装置(請求項5)。
本項に記載のキーボード装置は、一群の発光表示部が含まれる領域と、一群の発光表示部を除く発光表示部が含まれる領域とを区分するように、遮光部材が配置されてなる光遮蔽手段により、複数系統の照光手段の光が、互いに又は一方的に影響することを防ぐものである。
(13)上記(12)項において、前記光遮蔽手段には、前記一群の発光表示部の、各発光位置を区分するように配置された遮光部材が含まれるキーボード。
本項に記載のキーボード装置の光遮蔽手段は、前記一群の発光表示部の、各発光位置を区分するように、遮光部材が配置されていることで、一群の発光表示部の各発光位置と対応する位置に夫々配置される、複数の第1の光源の光が、互いに又は一方的に影響することを、より確実に防ぐものである。
【0017】
(14)上記(1)から(13)項において、前記一群の発光表示部、及び、前記一群の発光表示部を除く発光表示部の、一方又は双方がキーキャップであるキーボード装置(請求項6)。
本項に記載のキーボード装置は、一群の発光表示部、及び、一群の発光表示部を除く発光表示部の、一方又は双方がキーキャップであり、キーキャップを含む発光表示部の発光を、複数系統の照光手段によって、各々独立して行うことを可能とするものである。なお、一群の発光表示部、及び、一群の発光表示部を除く発光表示部の一方がキーキャップ、他方が、単なる表示ランプであっても良い。
【0018】
(15)上記(13)項において、前記光遮蔽手段を構成する遮光部材は、遮光特性を有する弾性部材であり、キーキャップの物理的入力を電気信号に変換するメンブレンシート上、かつ、前記一群の発光表示部、及び、前記一群の発光表示部を除く発光表示部を区分けする位置に配置されてなるキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、遮光特性のあるスポンジ等を遮光部材として用い、上記態様で配置されることで、複数系統の照光手段の光が、互いに又は一方的に影響することを防ぐものである。
(16)上記(1)から(14)項において、前記光遮蔽手段を構成する遮光部材は、前記導光板の終端面を覆う遮光層であるキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、前記導光板の終端面が、遮光テープ、遮光塗料等の遮光層で覆われることで、複数系統の照光手段の光が、互いに又は一方的に影響することを防ぐものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明はこのように構成したので、操作性を向上させるための、より適切な発光表示を可能とする発光表示部を備え、かつ、低コストかつ構造的にも実現可能なキーボード装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る、キーボード装置の構造を示す平面図(部分透視図)図である。
【図2】図1に示されるキーボード装置の要部を模式的に示した断面図である。
【図3】本発明の従来技術に該当する、非公知のキーボード装置の構造を示す平面図(部分透視図)図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。以下の説明において、従来技術と同一部分若しくは相当する部分については、同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
なお、以下の記載において、「上」、「下」の方向は、本発明に係るキーボード装置を平置きした状態での、上下方向を意味する。
【0022】
図1、図2に示されるように、本発明の実施の形態に係るキーボード装置21は、各キーキャップの文字部分が発光する、発光表示部として構成されたキーボード装置である。しかも、一群の発光表示部である一群のキーキャップA1と、一群のキーキャップA1を除くキーキャップA2とで、独立した2系統の照光手段を有している。又、2系統の照光手段の光が、一群のキーキャップA1、及び、残余のキーキャップA2において、互いに又は一方的に影響することを防ぐための光遮蔽手段として、一群のキーキャップA1が含まれる領域と、残余のキーキャップA2が含まれる領域とを区分するように、遮光部材24が配置されている。
【0023】
ここで、独立した2系統の照光手段には、第1の照光手段と第2の照光手段とが含まれている。第1の照光手段は、一群のキーキャップA1の各発光位置に対応する位置に夫々配置される、一群のキーキャップA1と同数のLED22(第1の光源)を有するものである。第1の照光手段は、導光板に頼ることなく、各キーキャップA1が、対応する1つのLED22によって照光されるものである。
一方、第2の照光手段は、一群のキーキャップA1を除く残余のキーキャップA2に対応する設置範囲を有する導光板18と、導光板18を介してその出射光を残余のキーキャップA2に照射する、適所に配置された複数のLED20(第2の光源)とを有するものである。第2の照光手段は、導光板18によってLED20からの出射光は広範囲に伝達されることから、LED20の数は、キーキャップA2と同数である必要はない。
【0024】
又、図示の例では、LED22及びLED20には白色発光LEDが用いられ、キーキャップA1、A2の発光表示文字部のコーティング色で、各々の発光色を分けている。具体的には、キーキャップA1、A2共に透明材料からなり、キーキャップA1の全体に発光させたい色(例えば青色)の第1のコーティングを行い、その後に、キーキャップ色(例えば黒色)の第2のコーティングを同じく面全体に行い、文字部のみ第2のコーティングを削ぐことにより、第1のコーティング(青色部分)を浮き出させる。そして、かかる発光表示部にLED22の白色光を投射することで、キーキャップA1は青色発光するものとなる。一方、キーキャップA2については、上記第1のコーティングを別の色(例えば白色)で施した後、第2のコーティングを同じく面全体に行い、文字部のみ第2のコーティングを削ぎ、かかる発光表示部にLED20の白色光を投射することで、キーキャップA2は白色発光するものとなる。なお、発光色についてはこれに限定するものではなく、必要に応じ、LED20及びLED22に、全く別の発光色のLEDを用いることで、異なる色で文字部分を発光させることも可能になる。
更に、第1の光源であるLED22と、前記第2の光源であるLED20とが、同時にあるいは任意に発光可能となっている。このため、図1、図2の例では、LED22が実装された第1の回路基板26と、LED20が実装された第2の回路基板28とを備えている。なお、第1、第2の回路基板26、28のいずれにも、FPCが用いられている。
【0025】
又、遮光部材24としては、図2の例では、遮光特性を有するスポンジ24Aを、メンブレンシート30上に、かつ、一群のキーキャップA1、及び、残余のキーキャップA2を区分けする位置(図2では、説明の便宜上、符号DLで示す)に、両面テープ等によって貼り付けたものである。又、遮光部材24として、DL上に位置する導光板の終端面を遮光テープ、遮光塗料等の遮光層24Bで覆うこととしても良い。これらのスポンジ24A、遮光層24Bは一例であり、いずれか一方若しくは双方を用いることも可能であり、又、その他の適切な遮光部材を用いることとしても良い。
【0026】
なお、図2において、符号L1は、第1の光源の光の経路を模式的に示したものであり、LED22からの出射光は、その直上に位置するキーキャップA1に対して照射されるものである。一方、符号L2は、第2の光源の光の経路を模式的に示したものであり、LED20からの出射光は、導光板18を介して、各キーキャップA2に対して照射される。
又、図2の例において、符号32は、メンブレンシート30の下方に位置して、メンブレンシート30を支持するバックプレートである。又、符号34は、各キーキャップA1、A2と、導光板18及びLED22の間に位置して、不要な光を遮断するためのマスキングシートである。更に、符号36は、導光板18の下方に位置し、導光板18への上方への光の出射効率を高める反射板である。更に上記各構成は、図示を省略するケースによって覆われているが、これらは何れも公知の構成であることから、詳しい説明を省略する。
【0027】
上記構成をなす、本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。
すなわち、本発明の実施の形態に係るキーボード装置21は、一群の発光表示部A1における発光と、一群の発光表示部を除く発光表示部A2における発光とを、複数系統の照光手段によって、各々独立して行うことが可能である。
しかも、光遮蔽手段24により、複数系統の照光手段の光が、一群の発光表示部A1、及び、一群の発光表示部を除く発光表示部A2において、混合したり、非点灯の発光表示部に異なる系統の照光手段の光が漏れる等、互いに又は一方的に影響することを防ぐことができる。
【0028】
複数系統の照光手段に含まれる第1の照光手段は、一群の発光表示部A1の各発光位置に対応する位置に夫々配置される、複数の第1の光源(LED22)を有している。そして、導光板に頼ることなく、一群の発光表示部A1の各発光位置が、対応する1つの第1の光源(LED22)によって照光されるものである。なお、図示は省略するが、必要に応じ、光遮蔽手段24を、各一群の発光表示部(キーキャップ)A1を区分するように配置することとしても良い。この場合には、一群のキーキャップA1と対応する位置に夫々配置される各第1の光源(LED22)の光が、互いに又は一方的に影響することを、より確実に防ぐことが可能となる。
又、複数系統の照光手段に含まれる第2の照光手段は、一群の発光表示部を除く発光表示部A2に対応する設置範囲を有する導光板18と、導光板18を介してその出射光を一群の発光表示部を除く発光表示部A2に照射する、第2の光源(LED20)とを有するものである。そして、一群の発光表示部を除く発光表示部A2は、第2光源(LED20)からの出射光が、導光板18を介して一括して照射されるものである。
【0029】
そして、第1の照光手段に係る第1の光源(LED22)と、第2の照光手段に係る第2の光源(LED20)とを、同時にあるいは任意に発光させることで、キーボード装置の一群の発光表示部A1、及び、一群の発光表示部を除く発光表示部A2を、同時にあるいは任意に発光させることができる。
【0030】
なお、本発明の実施の形態では、第1の光源に係る第1の回路基板26と、第2の光源に係る第2の回路基板28との、二枚の回路基板によって、第1の照光手段に係る第1の光源(LED22)と、第2の照光手段に係る第2の光源(LED20)とを、同時にあるいは任意に発光させることを可能としており、回路基板28に係るコストの削減効果も得られる。更に、本発明は、必ずしもこの構成に限定されるものではなく、例えば、第1の光源(LED22)と、第2の光源(LED20)とが共通の回路基板に設けられ、かつ、第1の光源と、前記第2の光源とを同時にあるいは任意に発光させるドライバを備えることで、このドライバによって、共通の回路基板に設けられた第1の光源と第2の光源とを、同時にあるいは任意に発光させることも可能である。
【0031】
そして、LED22及びLED20には白色発光LEDが用いられ、キーキャップA1、A2の発光表示文字部のコーティング色で発光色を分けることで、キーボード装置の一群の発光表示部A1、及び、一群の発光表示部を除く発光表示部A2を、夫々異なる発光色とすることが可能である。
一方、第1の照光手段に係る第1の光源と、第2の照光手段に係る第2の光源とに、発光色が異なるLED22、20を用いることとしても、キーボード装置の一群の発光表示部A1、及び、一群の発光表示部を除く発光表示部A2を、各々、LED22、20自体の発光色の相違により、異なる色で発光させることもできる。LED22、20は、いずれもコンパクトなLEDにより構成されることで、キーボード装置の構造上の制約を、可能な限り解消することができる。
【0032】
なお、本発明の実施の形態に係るキーボード装置21は、一群の発光表示部、及び、一群の発光表示部を除く発光表示部の双方がキーキャップA1、A2であるが、これに限定されることなく、一群の発光表示部、及び、一群の発光表示部を除く発光表示部の一方がキーキャップ、他方が、単なる表示ランプであっても良い。
又、一群の発光表示部に係るキーキャップA1について、第1の照光手段に係るLED22の全部を発光させても良く、若しくは、特定の一部のみ任意に発光させることで、特定のコマンドに対応した特定のパターンの発光表示を行うことも可能である。前者の例としては、一群の発光表示部に割り当てられるキーキャップとして、特定のファンクションキーや、カーソル移動キーに係るキーキャップを全て発光させるといった発光パターンが挙げられる。一方、後者としては、例えば「Ctrl」キーや、「Shift」キーと同時に用いられて特定の動作をするキーキャップを割り当て、これらのキーキャップを、「Ctrl」や、「Shift」といったキーキャップが押されると同時に点灯させるといった、発光パターンが挙げられる。このような発光パターンの多様化は、LED22のドライバの制御により容易に実現することが可能となる。
【0033】
又、本発明の実施の形態では、導光板を含まない第1の照光手段を、回路基板を分けて2系統以上設けることで、必要に応じ3系統以上の照光手段を有するキーボード装置を構成することも可能である。
更には、静電容量方式のタッチパネルと、該タッチパネルの上面を覆う透光性のカバーパネルとを備え、該カバーパネル上面が入力操作面をなすキーボード装置においても、一群の発光表示部、及び、一群の発光表示部を除く発光表示部に区分し、光遮蔽手段を設けることで、同様の作用効果を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
18:導光板、20、22:LED、 21:キーボード装置、24:遮光部材、26:第1の回路基板、28:第2の回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光表示部を有するキーボード装置であって、一群の発光表示部、及び、該一群の発光表示部を除く発光表示部に光を照射する、複数系統の照光手段と、
前記一群の発光表示部、及び、前記一群の発光表示部を除く発光表示部において、前記複数系統の照光手段の光が、互いに又は一方的に影響することを防ぐ光遮蔽手段とを備えることを特徴とするキーボード装置。
【請求項2】
前記複数系統の照光手段には、前記一群の発光表示部の各発光位置と対応する位置に夫々配置される、複数の第1の光源を有する、第1の照光手段と、
前記一群の発光表示部を除く発光表示部に対応する設置範囲を有する導光板と、該導光板を介してその出射光を前記一群の発光表示部を除く発光表示部に照射する、第2の光源とを有する、第2の照光手段とが含まれることを特徴とする請求項1記載のキーボード装置。
【請求項3】
前記第1の光源と、前記第2の光源とが、同時にあるいは任意に発光可能であることを特徴とする請求項2記載のキーボード装置。
【請求項4】
前記第1の光源の一部のみ、任意に発光可能であることを特徴とする請求項2又は3記載のキーボード装置。
【請求項5】
前記光遮蔽手段は、前記一群の発光表示部が含まれる領域と、前記一群の発光表示部を除く発光表示部が含まれる領域とを区分するように、遮光部材が配置されてなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のキーボード装置。
【請求項6】
前記一群の発光表示部、及び、前記一群の発光表示部を除く発光表示部の、一方又は双方がキーキャップであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のキーボード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−79218(P2012−79218A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225716(P2010−225716)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】