説明

キーレスエントリー装置

【課題】手が塞がっていてもスライドドアの解錠動作と開閉動作を容易にし分けることのできる人体通信を用いたキーレスエントリー装置を提供する。
【解決手段】携帯機3は、車両側装置2との間で人体を介した電界通信を行うための携帯機電極21bと、認証の通信制御を行う携帯機制御部20とを有し、車両側装置2は、携帯機3との間で人体を介した電界通信を行うための車両側電極12と、認証の通信制御及びドア1aの施錠解錠動作及び開閉動作の制御を行う車両側制御部10とを有し、車両側制御部10は、人体を介した電界通信により携帯機制御部20との間で継続的に認証が成立した回数または時間を検出し、検出した回数または時間に応じて、車両のドア1aの施錠動作或いは解錠動作と開動作或いは閉動作の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両側装置と携帯機との間で通信を行うことによりドアの施錠・解錠等を行うキーレスエントリー装置に関し、特に人体を介した電界通信を用いて車両側装置と携帯機との間で通信を行うキーレスエントリー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キーレスエントリー装置においては、自動車等の車両に車両側装置を設け、運転者が携帯する携帯機との間で通信を行って、認証が成立した場合にドアの施錠・解錠を行うようにしている。このキーレスエントリー装置において、携帯機と車両の間で人体を介した電界通信を用いるものが、従来提案されている。電界通信を用いて車両側装置と携帯機との間で認証のための通信を行うものとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−64679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動で開閉することのできるスライドドアを有する車両におけるキーレスエントリー装置には、スライドドアの解錠動作と開閉動作とをそれぞれ行うことができるように、車両に解錠操作部と開閉操作部を別個に設けていた。この場合、解錠動作のみさせたい場合には、携帯機を有した人が解錠操作部を操作することで、車両側装置と携帯機との間で通信がなされ、認証が成立したらスライドドアの解錠動作がなされる。一方、スライドドアを開閉動作させたい場合には、携帯機を有した人が開閉操作部を操作することで、車両側装置と携帯機との間で通信がなされ、認証が成立したらスライドドアの開閉動作がなされる。
【0005】
しかし、車両に解錠操作部と開閉操作部を設けた場合、各操作部は一般的には押しボタンスイッチで構成され、これらを手で操作する必要がある。このため、両手に荷物を抱えている場合など、手が塞がっているときには、操作しづらいという問題があった。また、電界通信を用いたキーレスエントリー装置において、スライドドアの解錠動作と開閉動作をし分ける機能を有したものは知られていなかった。
【0006】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、手が塞がっていてもスライドドアの解錠動作と開閉動作を容易にし分けることのできる電界通信を用いたキーレスエントリー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るキーレスエントリー装置は、ドアを有する車両に設けられる車両側装置と携帯機との間で通信をなすキーレスエントリー装置において、
前記携帯機は、前記車両側装置との間で電界通信を行うための携帯機電極と、認証の通信制御を行う携帯機制御部とを有し、前記車両側装置は、前記携帯機との間で電界通信を行うための車両側電極と、認証の通信制御及び前記ドアの施錠解錠動作及び開閉動作の制御を行う車両側制御部とを有し、
前記車両側制御部は、人体を介した電界通信により前記携帯機制御部との間で継続的に認証が成立した回数または時間を検出し、該検出した回数または時間が所定より小さい場合に、前記車両のドアの施錠動作或いは解錠動作と開動作或いは閉動作との少なくとも一方の制御を行い、前記検出した回数または時間が所定より大きい場合には、施錠動作或いは解錠動作と開動作或いは閉動作との少なくとも他方の制御を行うことを特徴として構成されている。
【0008】
また、本発明に係るキーレスエントリー装置は、前記車両側制御部は、人体を介した電界通信により前記携帯機制御部との間で継続的に認証が成立した回数または時間が、所定より小さい場合には前記車両のドアの施錠動作或いは解錠動作を行わせ、所定より大きい場合には前記車両のドアの開動作或いは閉動作を行わせることを特徴として構成されている。
【0009】
さらに、本発明に係るキーレスエントリー装置は、前記車両側制御部は、前記車両側電極からそれぞれに認証の情報を含む間欠信号を送信させ、各間欠信号についての前記携帯機との認証成立の有無により、継続的に認証が成立した回数または時間を検出することを特徴として構成されている。
【0010】
さらにまた、本発明に係るキーレスエントリー装置は、前記車両側制御部は、前記間欠信号が前記携帯機との間で認証成立しない状態から認証成立状態となって複数回続けて認証され、再び認証成立しない状態となるまでを継続的に認証が成立した1回の認証回数として検出し、該認証回数に応じて前記車両のドアの施錠動作或いは解錠動作と開閉動作の制御を行うことを特徴として構成されている。
【0011】
そして、本発明に係るキーレスエントリー装置は、前記車両側制御部は、前記間欠信号が前記携帯機との間で認証成立しない状態から認証成立状態となって複数回続けて認証され、再び認証成立しない状態となるまでの時間を継続的に認証が成立した認証時間として検出し、該認証時間に応じて前記車両のドアの施錠解錠動作と開動作或いは閉動作の制御を行うことを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るキーレスエントリー装置によれば、車両側制御部は、電界通信により携帯機制御部との間で継続して認証が成立した回数または時間を検出し、検出した回数または時間が所定より小さい場合に、車両のドアの施錠動作或いは解錠動作と開動作或いは閉動作との少なくとも一方の制御を行い、検出した回数または時間が所定より大きい場合には、施錠動作或いは解錠動作と開動作或いは閉動作との少なくとも他方の制御を行うことにより、携帯機を有した人がドアハンドルに触れるだけで、ドアの施錠解錠動作と開閉動作をし分けることができ、操作性の良好なキーレスエントリー装置とすることができる。
【0013】
また、本発明に係るキーレスエントリー装置によれば、車両側制御部は、人体を介した電界通信により携帯機制御部との間で継続的に認証が成立した回数または時間が、所定より小さい場合にはドアの施錠動作或いは解錠動作を行わせ、所定より大きい場合にはドアの開動作或いは閉動作を行わせることにより、継続的に認証が成立した回数または時間に閾値を設けて、いずれの動作を行うべきかを簡易に判別することができる。
【0014】
さらに、本発明に係るキーレスエントリー装置によれば、車両側制御部は、車両側電極からそれぞれに認証の情報を含む間欠信号を送信させ、各間欠信号についての携帯機との認証成立の有無により、継続的に認証が成立した回数または時間を検出することにより、認証が成立した間欠信号のカウントにより、継続的に認証が成立した回数または時間を容易に検出することができる。
【0015】
さらにまた、本発明に係るキーレスエントリー装置によれば、車両側制御部は、間欠信号が携帯機との間で認証成立しない状態から認証成立状態となって複数回続けて認証され、再び認証成立しない状態となるまでを継続的に認証が成立した1回の認証回数として検出し、この認証回数に応じて車両のドアの施錠動作或いは解錠動作と開動作或いは閉動作の制御を行うことにより、間欠信号毎に携帯機との間で認証が成立したか否かを検出してカウントすることによって、継続的に認証が成立した認証回数を容易に検知できる。
【0016】
そして、本発明に係るキーレスエントリー装置によれば、車両側制御部は、間欠信号が携帯機との間で認証成立しない状態から認証成立状態となって複数回続けて認証され、再び認証成立しない状態となるまでの時間を継続的に認証が成立した認証時間として検出し、この認証時間に応じて車両のドアの施錠動作或いは解錠動作と開動作或いは閉動作の制御を行うことにより、間欠信号毎に携帯機との間で認証が成立したか否かを検出してカウントすることによって、継続的に認証が成立した認証時間を容易に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態におけるキーレスエントリー装置の概要図である。
【図2】本実施形態におけるキーレスエントリー装置のブロック図である。
【図3】第1の実施形態におけるキーレスエントリー装置の動作フローである。
【図4】第1の実施形態における信号のチャート図である。
【図5】第2の実施形態におけるキーレスエントリー装置の動作フローである。
【図6】第2の実施形態における信号のチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。なお、本明細書において電界通信は、人体或いは物の表面に送信信号に応じた電界を誘導させ、該誘導された電界を検知する事で信号を人体或いは物を介在させて通信可能な通信システムを示す。図1には、本実施形態におけるキーレスエントリー装置の概要図を示している。この図に示すように、本実施形態におけるキーレスエントリー装置は、車両1に設けられる車両側装置2と、使用者が携帯する携帯機3との間で人体を介して通信を行い、IDの認証を行ってドア1aの施錠、解錠等の動作をなすものである。
【0019】
車両1において、後席用のドア1aは、車体に沿って前後方向にスライド移動することで閉める或いは開けることが可能なスライドドアとして構成されている。ドア1aは、前側の端部近傍にドアハンドル1bを有しており、このドアハンドル1bを前後方向に引くように操作することで、ドア1aを手動で閉める或いは開けることができる。また、ドア1aは、車両1内に設けられたドア駆動部14によって、電動で開閉することもできるようにされている。このドア駆動部14は、車両側装置2によって動作が制御される。
【0020】
ドアハンドル1bの内部には、車両側電極12が設けられている。また、携帯機3側には、携帯機電極21bが設けられている。携帯機3を有した人がドアハンドル1bに触れる、またはごく近接すると、これらの電極によって人体を介した通信がなされて、所定の認証が成立することにより、車両側装置2はドア1aを施解錠動作させたり、あるいはドア1aを開閉動作させる制御を行う。
【0021】
図2には、本実施形態におけるキーレスエントリー装置のブロック図を示している。この図に示すように、車両1に設けられる車両側装置2は、各種制御を行う車両側制御部10と、車両側制御部10で用いるデータを記憶するメモリ11と、ドアハンドル1b内の車両側電極12と、ドア1aの施錠及び解錠動作を行う施錠解錠機構13と、ドア1aの開閉動作を行うドア駆動部14とを有している。また、携帯機3は、所定ビットからなるIDの保管と各種制御と出力する信号の変調を行う携帯機制御部20と、電位基準部21a及び携帯機電極21bを備えている。電位基準部21aは、携帯機3における電位の基準、すなわちグランドとなる部分である。これら電位基準部21aと携帯機電極21bにより、携帯機3における一対の電極21を構成している。
【0022】
携帯機3を人が所持することで、携帯機電極21bと人体とが接触または近接した状態のとき、携帯機電極21bから人体に電界を誘起することができ、さらに携帯機3を有する人が車両1のドアハンドル1bに接触または近接することにより、人体に誘起された電界を車両1側で検出し、携帯機3から車両側装置2に人体を介した通信を行うことができる。一方、車両側電極12と携帯機3を有する人体とが接触または近接した状態のとき、車両側電極12から人体に電界を誘起することができ、この人体に誘起された電界を携帯機3で検出することにより、車両1から携帯機3に人体を介した通信を行うことができる。
【0023】
車両側装置2からは、リクエスト信号としての間欠信号が、常時繰り返し出力されている。携帯機3を有する人がドアハンドル1bに接触または近接することで、車両側装置2からのリクエスト信号が人体を介して携帯機3で検出される。リクエスト信号を検出した携帯機3は、前記IDを含むアンサー信号を出力し、人体を介して車両側装置2に送信する。
【0024】
車両側制御部10は、携帯機3からの信号についての認証を行う判定部10aと、データを一時的に記憶する記憶手段10bとを備えている。また、車両側制御部10は車両側電極12からの第2の信号を常時受信可能な状態となっている。
【0025】
また、車両側装置2に設けられるメモリ11は、当該車両1用の携帯機3が固有に有するIDを記憶している。車両側制御部10の判定部10aは、記憶手段10bに一時的に記憶された第2の信号に含まれるIDとメモリ11に記憶されたIDとを照合し、これらが一致すれば認証されたものと判定し、一致しなければ認証されなかったものと判定する。また、車両側制御部10には、認証が成立した回数をカウントするカウンター15が接続されている。
【0026】
次に、キーレスエントリー装置の動作について説明する。図3には、第1の実施形態におけるキーレスエントリー装置の動作フローを示している。本実施形態では、携帯機3を有した人がドアハンドル1bを所定時間より短い時間だけ接触して離した場合、ドア1aの施錠動作または解錠動作を行い、携帯機3を有した人がドアハンドル1bに所定時間より長く接触した場合、ドア1aの開動作または閉動作を行うようにする。
【0027】
車両側装置2からはリクエスト信号が間欠信号として常時送信される。図4には、第1の実施形態における信号のチャート図を示している。この図において横方向は時間を、縦方向は以下の事項を表している。図4(a)は、車両側装置2から送信されるリクエスト信号の送信の有無を、図4(b)はリクエスト信号に対して携帯機3から送信されたアンサー信号の車両側装置2における受信の有無を、図4(c)は車両側装置2における認証の成功の可否を、図4(d)は車両側装置2における通信が継続しているか否かを、それぞれ表している。図4(a)に示すように、リクエスト信号は所定時間おきに規則的に送信される。まず、1つの間欠信号が送信される(ステップ1−1)。
【0028】
携帯機3は、携帯機制御部20で車両側装置2から送信されるリクエスト信号の受信の有無を検出する(ステップ1−2)。携帯機3においてリクエスト信号の受信を検出したら、次に携帯機制御部20は携帯機3のIDを含むアンサー信号を車両側装置2に向けて送信する(ステップ1−3)。これは、携帯機3が最初にリクエスト信号を受信してアンサー信号を送信しているので、図4(b)の符号Aで表される時点の動作である。
【0029】
携帯機3がリクエスト信号の受信を検出しなかった場合には、特に動作は行われず、現状維持される(ステップ1−4)。ステップ1−4に到達した場合には、再び最初のステップからフローが行われることとなる。また、以下においても同様である。
【0030】
リクエスト信号を送信した車両側装置2では、携帯機3からのアンサー信号の受信の有無を検出する(ステップ1−5)。車両側装置2でアンサー信号をリクエスト信号送信から所定の時間の間に受信しない場合には、ステップ1−4に進んで現状維持とする。車両側装置2でアンサー信号を受信したら、車両側制御部20はアンサー信号に含まれるIDについて、メモリ11に記憶されているものと一致するか否かを判別する(ステップ1−6)。IDが一致しない場合は、ステップ1−4に進んで現状維持とする。IDが一致した場合には、認証がなされたものとして、次のステップに進む。次に、継続して認証された回数Nを測定するカウンター15を動作させる(ステップ1−7)。
【0031】
続いて車両側制御部20は、認証回数Nに1を加算する(ステップ1−8)。なお、認証回数Nは初期値が0に設定されており、1回目にIDが認証された段階は、図4(c)及び図4(d)において符号Bで示す時点であって、リクエスト信号に対して送信されたアンサー信号が車両側装置2で最初に認証された時点である。次に、認証回数Nが所定回数に到達したか否かを判別する(ステップ1−9)。本実施形態では、間欠信号が続けて認証された回数である認証回数Nによって、携帯機3を有した人がドアハンドル1bにどれだけの時間、接触していたかを検出する。
【0032】
ステップ1−9において認証回数Nが所定回数に到達していない場合、車両側制御部20は、以降のステップで接触状態が解除されたかどうか、すなわち携帯機3との通信が継続しているか否かを判別する。例えば、図4(c)において符号Cで示す時点であれば、直近のリクエスト信号に対応して認証が成立しているので、携帯機3との通信が継続していると判別される。一方、図4(c)及び図4(d)において符号Dで示す時点であれば、直近のリクエスト信号に対応してアンサー信号が送信されておらず、よってリクエスト信号を送信してから所定時間内で認証は成立しないので、その所定時間が経過すると携帯機3との通信は継続していないと判別される。
【0033】
ステップ1−9において認証回数Nが所定回数に到達していない場合、次の間欠信号であるリクエスト信号が車両側装置2から送信される(ステップ1−11)。携帯機3でリクエスト信号を受信したら(ステップ1−12)、アンサー信号が送信される(ステップ1−13)。ステップ1−12で携帯機3においてリクエスト信号が受信されなければ、当然アンサー信号は送信されない。
【0034】
車両側装置2がアンサー信号を受信したら(ステップ1−14)、アンサー信号に含まれるIDの照合を行い(ステップ1−15)、認証が成立したら通信は継続されているものとして(ステップ1−16)、ステップ1−8に戻る。車両側装置2がリクエスト信号の送信後、所定時間を経過してもアンサー信号を受信しない場合、または認証が成立しない場合、携帯機3との通信は非継続になったものとみなす(ステップ1−17)。
【0035】
ステップ1−17において通信が継続していないと判別された場合、図4(c)及び図4(d)においては符号Dで示す時点と判断される。すなわち、携帯機3を有した人がドアハンドル1bに触れて、所定時間以内に離したものと判断することができる。このとき、車両側制御部20はドア1aが閉じているか否かを検出し(ステップ1−18)、開いていればそのまま現状を維持する(ステップ1−19)。
【0036】
ステップ1−18においてドア1aが閉じていた場合、車両側制御部20はさらにドア1aが施錠状態であるか否かを検出する(ステップ1−20)。ドア1aが解錠状態である場合には、施錠解錠機構13を制御してドア1aの施錠動作を行わせ(ステップ1−21)、ドア1aが施錠状態である場合には、施錠解錠機構13を制御してドア1aの解錠動作を行わせる(ステップ1−22)。これにより、携帯機3を有した人がドアハンドル1bに触れて、所定時間以内に離した場合、ドア1aが施錠状態であれば解錠動作がなされることとなる。
【0037】
ステップ1−9において認証回数Nが所定回数に到達していた場合、携帯機3を有した人が所定時間以上に渡ってドアハンドル1bに触れていたものと判断できる。この場合には、車両側制御部20はドア1aが閉じているか否かを検出し(ステップ1−23)、開いていればドア駆動部14を制御してドア1aの閉動作を行わせ、ドア1aが閉じたらさらに施錠解錠機構13を制御してドア1aの施錠動作を行わせる(ステップ1−24)。
【0038】
ステップ1−23において、ドア1aが閉じていた場合、車両側制御部20はさらにドア1aが施錠状態か否かを検出する(ステップ1−25)。ドア1aが解錠状態であったときには、ドア駆動部14を制御してドア1aの開動作を行わせ(ステップ1−26)、ドア1aが施錠状態であったときには、施錠解錠機構13を制御してドア1aの解錠動作を行わせ、ドア1aが解錠されたらさらにドア駆動部14を制御してドア1aの開動作を行わせる(ステップ1−27)。
【0039】
すなわち、これは以下の動作を示す。すなわちドア1aが閉じられた状態において、携帯機3を有した人がドアハンドル1bを所定時間より短い時間だけ接触して離した場合、施錠状態においては解錠動作がなされ(ステップ1−21)、解錠状態においては施錠動作がなされる(ステップ1−22)。またドア1aが閉じられた状態において、携帯機3を有した人がドアハンドル1bを所定時間より長い時間、接触して離した場合は、施錠状態においては解錠してからドア1aを開き(ステップ1−27)、解錠状態においてはドア1aを開く(ステップ1−26)。
【0040】
また、ドア1aが開いた状態において、携帯機3を有した人がドアハンドル1bを所定時間より短い時間だけ触れて離した場合は何もせず(ステップ1−19)、所定時間より長い時間だけ触れて離した場合は、ドア1aを閉め、施錠状態とする(ステップ1−24)。
【0041】
また、この動作を実際の車両1への乗り込み動作、及び車両1から離れる動作に対応して説明すると、車両1への乗り込み動作に際して、ドア1aが閉じた状態においては、ドアハンドル1bに短い時間接触することで解錠する、或いはドアハンドル1bに長い時間接触することでドア1aを開くことができる。また、車両1から離れるに際して、ドア1aが開いている状態においては、ドアハンドル1bに所定時間より長い時間接触してドア1aを閉めると共に施錠し、ドア1aが閉まっている状態においてはドアハンドル1bに短時間接触して施錠することができる。
【0042】
本実施形態では、車両側装置2から間欠信号からなるリクエスト信号を送信させ、各リクエスト信号に対応して携帯機3からアンサー信号を送信して車両側装置2で認証を行い、継続して認証が行われた回数をカウントすることで、携帯機3を有した人がドアハンドル1bに触れてから離すまでの時間を検出することができ、その時間に応じた制御を行うことができる。
【0043】
本実施形態では、車両側装置2と携帯機3の間で継続して通信が維持された状態が、所定時間より短い場合は、ドア1aの施錠動作(ステップ1−21)、解錠動作(ステップ1−22)を行い、車両側装置2と携帯機3の間で継続して通信が維持された状態が所定時間以上である場合には、ドア1aの解錠動作と共に開動作(ステップ1−27)、閉動作と共に施錠動作(ステップ1−24)も行うようにしたが、制御内容はこれに限られない。
【0044】
例えば、本実施形態においては、ステップ1−19において現状維持とし、何もしないが、ここでドア1aを閉めるようにしてもよい。なお、この場合は乗り込み時の誤接触を想定して挟み込み防止機能を設けるのが好ましい。
【0045】
また、本実施形態においては、携帯機3を持った人が離れる際も考慮した制御内容としているが、ドア1aが閉まって施錠された状態から乗り込む時にのみ対応し、所定時間以下のドアハンドル1bに対する接触で解錠し、所定時間以上のドアハンドル1bに対する接触の場合に、ドア1aを開くのみの制御を行なうようにしてもよい。
【0046】
また、本実施形態においては、通信非継続である事、すなわち所定時間以下で接触状態が解除されたことを検知してから(ステップ1−17)、次の処理を行うようにしている。すなわち、認証したら直ちにステップ1−18〜1−22の処理をしていない。それは、仮にこのようにすると、ドア1aが閉まった状態で解錠状態の場合に、接触すると、まず施錠動作を行い(ステップ1−21参照)、その後ドア1aを開ける(ステップ1−22参照)制御となってしまい、実際には不可能な動作となるため(施錠状態でドア1aは開かない)、不都合があるからである。例えば、ステップ1−21において現状維持とすれば、このように認証したとき、直ちに所定時間より短い時間の場合の処理をするようにもできる。
【0047】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、図1及び図2に示すキーレスエントリー装置の構成は第1の実施形態と同じであるため、説明は省略する。第2の実施形態のキーレスエントリー装置は、動作フローにおいて第1の実施形態と異なる。図5には、第2の実施形態におけるキーレスエントリー装置の動作フローを示している。
【0048】
概略の相違点は、前記の第1の実施形態では、継続して接触した場合を想定し、その接触時間が所定時間以上か以下かで制御内容を変えているが、本実施形態では、所定の時間内にドアハンドル1bに接触するする回数に応じて制御内容を変える点が異なる。具体的には、携帯機3を有した人がドアハンドル1bを所定回数より少ない回数だけ触れた場合、ドア1aの施錠動作或いは解錠動作を行い、携帯機3を有した人がドアハンドル1bを所定回数以上触れた場合、ドア1aの開動作或いは閉動作を行うようにする。
【0049】
図6には、第2の実施形態における信号のチャート図を示している。この図において横方向は時間を、縦方向は以下の事項を表している。図6(a)は車両側装置2から送信されるリクエスト信号の送信の有無を、図6(b)はリクエスト信号に対して携帯機3から送信されたアンサー信号の車両側装置2における受信の有無を、図6(c)は車両側装置2における認証の成功の可否を、図6(d)は車両側装置2における通信が継続しているか否かを、それぞれ表している。なお、1回の接触において複数回(以下の実施形態では3回)の認証が成功し、また離した状態においても複数回(以下の実施形態では2回)の認証が失敗する程度に、リクエスト信号の間欠周期は十分短く設定されている。
【0050】
まず、車両側装置2からは1つのリクエスト信号が図6(a)に示すような間欠信号として送信される(ステップ2−1)。ここでは、図6(a)に示す1つの間欠信号が送信された状態であるものとする。リクエスト信号を送信したら、車両側制御部20では間欠信号の送信数mを1とする(ステップ2−2)。
【0051】
携帯機3は、携帯機制御部20で車両側装置2から送信されるリクエスト信号の受信の有無を検出する(ステップ2−3)。携帯機3においてリクエスト信号の受信を検出したら、携帯機制御部20は携帯機3のIDを含むアンサー信号を車両側装置2に向けて送信する(ステップ2−4)。これは、携帯機3が最初にリクエスト信号を受信してアンサー信号を送信しているので、図6(b)の符号Aで表される時点の動作である。
【0052】
携帯機3がリクエスト信号の受信を検出しなかった場合には、特に動作は行われず、現状維持される(ステップ2−5)。ステップ2−5に到達した場合には、再び最初のステップからフローが行われることとなる。また、以下においても同様である。
【0053】
リクエスト信号を送信した車両側装置2では、携帯機3からのアンサー信号の受信の有無を検出する(ステップ2−6)。車両側装置2でアンサー信号を受信しない場合には、ステップ2−5に進んで現状維持とする。車両側装置2でアンサー信号を受信したら、車両側制御部20はアンサー信号に含まれるIDについて、メモリ11に記憶されているものと一致するか否かを判別する(ステップ2−7)。IDが一致しない場合は、ステップ2−5に進んで現状維持とする。IDが一致した場合には、認証がなされたものとして、次のステップに進む。
【0054】
一度IDが認証されたら、車両側制御部20が有するタイマーをスタートさせる(ステップ2−8)。タイマーは、スタート時からの時間を測定し、以下のフローにおいてスタート時からの時間が所定以上であるか否かの判別に用いられる。ステップ2−8の段階は、図6(c)及び図6(d)において符号Bで示す時点であって、リクエスト信号に対して送信されたアンサー信号が車両側装置2で最初に認証された時点である。また、ここで認証回数nを1とする(ステップ2−9)。
【0055】
次に、車両側制御部20は次の間欠信号であるリクエスト信号を送信する(ステップ2−10)。リクエスト信号を送信したら、車両側制御部20では間欠信号の送信数mに1を加算する(ステップ2−11)。
【0056】
携帯機3は、携帯機制御部20で車両側装置2から送信されるリクエスト信号の受信の有無を検出する(ステップ2−12)。携帯機3においてリクエスト信号の受信を検出したら、携帯機制御部20は携帯機3のIDを含むアンサー信号を車両側装置2に向けて送信する(ステップ2−13)。車両側装置2でアンサー信号を受信したら(ステップ2−14)、車両側制御部20でIDの照合を行う(ステップ2−15)。
【0057】
車両側制御部20は、IDが認証されたらタイマーにおいて所定時間が経過しているか否かを検出し(ステップ2−16)、所定時間が経過していなければステップ2−10に戻って次の間欠信号であるリクエスト信号を送信する。なお、ステップ2−10から2−16に流れ、2−10に流れるフローは、連続的に接触している場合に相当し、図6(c)のB1、B2の各時点が対応する。そして所定時間が経過していた場合には、所定時間における接触回数は1回であり、ステップ2−21以降におけるドア1aの施錠解錠動作の制御を行う。
【0058】
ステップ2−12で携帯機3がリクエスト信号を受信しなかった場合、アンサー信号は送信されないのでそのままステップ2−14に進む。ステップ2−14において車両側装置2がアンサー信号を受信しなかった場合、またはステップ2−15においてIDが認証されなかった場合には、車両側制御部20は1つ前の間欠信号、すなわちm−1回目の間欠信号についてIDが認証されたか否かを判別する(ステップ2−17)。
【0059】
ステップ2−17でm−1回目の間欠信号についてIDが認証されていた場合、m回目の間欠信号についてはIDが認証されなかったので、図6(c)及び図6(d)において符号Cで示す時点であると判断できる。これは、携帯機3を有した人がドアハンドル1bに一度触れてから離した状態である。この1回触れてから離すまでの動作につき、認証回数1回とカウントすることとし、認証回数nに1を加算する(ステップ2−18)。ステップ2−17でm−1回目の間欠信号についてもIDが認証されていなかった場合には、認証回数の加算は行われず、ステップ2−20に進み、続いてステップ2−10に進む。なお、これはリクエスト信号の送信に対し連続して認証が行なわれなかったことに対応しており、図6においては符号Cの時点の後、さらにもう1回、認証できないことに対応する。
【0060】
ステップ2−18の後、車両側制御部20は認証回数nが所定回数に到達しているか否かを判別し(ステップ2−19)、所定回数に到達している場合には、ステップ2−26以降のドア1aの開閉動作を含む制御を行う。一方、所定回数に到達していない場合には、車両側制御部20はタイマーにおいて所定時間が経過しているか否かを検出し(ステップ2−20)、所定時間が経過していなければステップ2−10に戻り、所定時間が経過していればステップ2−21以降のドア1aの施錠解錠動作の制御を行う。
【0061】
ステップ2−10からここまでのフローにより、タイマーがスタートしてから所定時間以内に認証回数nが所定回数に到達した場合には、ドア1aの開閉動作を行うこととなり、一方でタイマーがスタートしてから所定時間以内の認証回数nが所定回数より少なかった場合には、ドア1aの施錠解錠動作を行うこととなる。この所定回数は2以上であればよい。なお、本実施形態において接触回数が1回の場合、所定時間の経過前に接触解除した場合には、2−15、2−17〜2−20、2−21のフローを流れ、所定時間経過したときになお接触している場合には、2−15、2−16、2−21のフローを流れる。
【0062】
次にドア1aの施解錠、開閉の動作について説明する。第1の実施形態の所定時間以内が所定回数以内に相当し、所定時間以上が所定回数以上に相当し、同様の動作を行う。以下具体的に説明する。まず、ドア1aの施錠解錠動作を行う場合について説明する。ステップ2−16またはステップ2−20において所定時間が経過していた場合、車両側制御部20はドア1aが閉じているか否かを検出し(ステップ2−21)、開いている場合にはそのまま現状を維持する(ステップ2−22)。
【0063】
ステップ2−21においてドア1aが閉じていた場合、車両側制御部20はさらにドア1aが施錠状態か否かを検出し(ステップ2−23)、施錠状態であった場合には施錠解錠機構13を制御してドア1aの解錠動作を行わせ(ステップ2−24)、解錠状態であった場合には施錠解錠機構13を制御してドア1aの施錠動作を行わせる(ステップ2−25)。
【0064】
次に、ドア1aの開閉動作を行う場合について説明する。ステップ2−19で認証回数nが所定回数に到達していた場合、車両側制御部20はドア1aが閉じているか否かを検出し(ステップ2−26)、開いている場合にはドア駆動部14を制御してドア1aの閉動作を行わせると共に、ドア1aが閉じたら施錠解錠機構13を制御してドア1aを施錠動作させる(ステップ2−27)。
【0065】
ステップ2−26においてドア1aが閉じていた場合、車両側制御部20はさらにドア1aが施錠状態か否かを検出し(ステップ2−28)、施錠状態であった場合には施錠解錠機構13を制御してドア1aの解錠動作を行わせると共に、ドア1aが解錠されたらドア駆動部14を制御してドア1aの開動作を行わせる(ステップ2−29)。一方、ステップ2−28でドア1aが解錠状態であった場合には、ドア駆動部14を制御してドア1aの開動作を行わせる(ステップ2−30)。
【0066】
このように、車両側装置2から間欠信号からなるリクエスト信号を送信させ、各リクエスト信号に対応して携帯機3からアンサー信号を送信して車両側装置2で認証を行い、認証していない状態から認証が成立した状態となり、そのまま継続して認証が行われ、認証が成立しなくなるまでを1回の認証回数としてカウントすることで、携帯機3を有した人がドアハンドル1bに触れた回数を検出することができ、その回数に応じた制御を行うことができる。
【0067】
本実施形態では、携帯機3との認証回数nが所定時間内で所定回数より少ない場合には、ドア1aの施錠解錠動作を行い、携帯機3との認証回数nが所定時間内で所定回数に到達した場合には、ドア1aの開閉動作と共に施錠解錠動作も行うようにしたが、制御内容はこれに限られない。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。
【符号の説明】
【0069】
1 車両
1a ドア
1b ドアハンドル
2 車両側装置
3 携帯機
4 人体
10 車両側制御部
11 メモリ
12 車両側電極
20 携帯機制御部
21a 電位基準部
21b 携帯機電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアを有する車両に設けられる車両側装置と携帯機との間で通信をなすキーレスエントリー装置において、
前記携帯機は、前記車両側装置との間で電界通信を行うための携帯機電極と、認証の通信制御を行う携帯機制御部とを有し、前記車両側装置は、前記携帯機との間で電界通信を行うための車両側電極と、認証の通信制御及び前記ドアの施錠解錠動作及び開閉動作の制御を行う車両側制御部とを有し、
前記車両側制御部は、人体を介した電界通信により前記携帯機制御部との間で継続的に認証が成立した回数または時間を検出し、該検出した回数または時間が所定より小さい場合に、前記車両のドアの施錠動作或いは解錠動作と開動作或いは閉動作との少なくとも一方の制御を行い、前記検出した回数または時間が所定より大きい場合には、施錠動作或いは解錠動作と開動作或いは閉動作との少なくとも他方の制御を行うことを特徴とするキーレスエントリー装置。
【請求項2】
前記車両側制御部は、人体を介した電界通信により前記携帯機制御部との間で継続的に認証が成立した回数または時間が、所定より小さい場合には前記車両のドアの施錠動作或いは解錠動作を行わせ、所定より大きい場合には前記車両のドアの開動作或いは閉動作を行わせることを特徴とする請求項1記載のキーレスエントリー装置。
【請求項3】
前記車両側制御部は、前記車両側電極からそれぞれに認証の情報を含む間欠信号を送信させ、各間欠信号についての前記携帯機との認証成立の有無により、継続的に認証が成立した回数または時間を検出することを特徴とする請求項1または2記載のキーレスエントリー装置。
【請求項4】
前記車両側制御部は、前記間欠信号が前記携帯機との間で認証成立しない状態から認証成立状態となって複数回続けて認証され、再び認証成立しない状態となるまでを継続的に認証が成立した1回の認証回数として検出し、該認証回数に応じて前記車両のドアの施錠動作或いは解錠動作と開閉動作の制御を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のキーレスエントリー装置。
【請求項5】
前記車両側制御部は、前記間欠信号が前記携帯機との間で認証成立しない状態から認証成立状態となって複数回続けて認証され、再び認証成立しない状態となるまでの時間を継続的に認証が成立した認証時間として検出し、該認証時間に応じて前記車両のドアの施錠解錠動作と開動作或いは閉動作の制御を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のキーレスエントリー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−285792(P2010−285792A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139945(P2009−139945)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】