キー入力装置
【課題】キーオンウェイクアップ動作の可能なキースイッチとキーオンウェイクアップ動作のできない切替スイッチとの両方を備えたキー入力装置を従来よりも少数の入出力端子で実現する。
【解決手段】キー入力装置1において、制御回路10は、複数の第1の端子A1〜A4および複数の第2の端子B1〜B4を含む。複数のキースイッチKY0〜KY15は、複数の第1の端子と複数の第2の端子との複数の組合わせのうち少なくとも一部の組合わせにそれぞれ対応して設けられる。1または複数の切替スイッチSW0〜SW15は、複数の第1の端子と複数の第2の端子との複数の組合わせのうち少なくとも一部の組合わせにそれぞれ対応して設けられる。複数のキースイッチの各々は、対応する組合せの第1および第2の端子間に接続される。1または複数の切替スイッチの各々は、対応する組合せの第1および第2の端子間に、対応のダイオードと直列に接続される。
【解決手段】キー入力装置1において、制御回路10は、複数の第1の端子A1〜A4および複数の第2の端子B1〜B4を含む。複数のキースイッチKY0〜KY15は、複数の第1の端子と複数の第2の端子との複数の組合わせのうち少なくとも一部の組合わせにそれぞれ対応して設けられる。1または複数の切替スイッチSW0〜SW15は、複数の第1の端子と複数の第2の端子との複数の組合わせのうち少なくとも一部の組合わせにそれぞれ対応して設けられる。複数のキースイッチの各々は、対応する組合せの第1および第2の端子間に接続される。1または複数の切替スイッチの各々は、対応する組合せの第1および第2の端子間に、対応のダイオードと直列に接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイコンなどのデータ処理装置にデータを入力するためのキー入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からマイコン(Micro-Controller Unit)などへのキー入力装置としてキーマトリクス回路が設けられている。キーマトリクス回路では、できるだけ少ない端子数でキー入力の検出ができるように様々な工夫がなされている。
【0003】
たとえば、実開昭62−138237号公報(特許文献1)は、標準装備用のキーマトリクス回路と拡張用のキーマトリクス回路とを備え、両マトリクス回路を同時に検索するキー入力装置を開示する。具体的には、各1周期の所定期間にのみハイレベルになるスキャン信号を用いたハイレベルスキャンによってキー操作されたキーマトリクス回路の判別を行なうために、検索側ダイオードおよび判別側ダイオードと、信号保持回路とが設けられる。信号保持回路は、判別側ダイオードのカソードのハイレベルを遅延保持する。
【0004】
特開平8−328623号公報(特許文献2)は、以下の構成のキーマトリクス回路を開示する。このキーマトリクス回路は、少なくとも1つのポートを含む第1スキャン端子群と、少なくとも2つのポートを含む第2スキャン端子群と、スキャン手段と、複数の第1のスイッチング手段と、複数の第2のスイッチング手段とを備える。スキャン手段は、第1スキャン端子群から第2スキャン端子群に対して第1スキャン信号を出力し、または第2スキャン端子群から第1スキャン端子群に対して第2スキャン信号を出力する。複数の第1のスイッチング手段は、第1スキャン端子群に含まれるそれぞれのポートと第2スキャン端子群に含まれるそれぞれのポートとの間に介挿される。複数の第2のスイッチング手段の各々は、複数の第1スイッチング手段の各々と並列接続される。各第1のスイッチング手段は第1スキャン端子群から第2スキャン端子群に向かって順方向とされた第1ダイオードと第1ダイオードに直列接続された第1スイッチとを含む。各第2のスイッチング手段は第2スキャン端子群から第1スキャン端子群に向かって順方向とされた第2ダイオードと第2ダイオードに直列接続された第2スイッチとを含む。
【0005】
特開2008−90642号公報(特許文献3)に開示されるキー入力装置では、キースキャン用のキーソース信号を、第1信号線群に供給される第1キーソース信号と、第2信号線群に供給される第2キーソース信号と、第3信号線群に供給される第3キーソース信号とを含むように構成する。キーリターン信号は、第1キーソース信号が制御回路から出力されたときに、第2信号線群から入力される第1キーリターン信号と、第2キーソース信号が制御回路から出力されたときに、第3信号線群から入力される第2キーリターン信号と、第3キーソース信号が制御回路から出力されたときに、第1信号線群から入力される第3キーリターン信号とを含む。第1〜第3のキーリターン信号の状態に対応して、第1キースイッチ部、第2キースイッチ部および第3キースイッチ部の状態を判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭62−138237号公報
【特許文献2】特開平8−328623号公報
【特許文献3】特開2008−90642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、家庭用電気機器(家電機器)用のリモコン(Remote Control)などは、電池で駆動されるために省電力が要求される。このような省電力駆動が必要なシステムに搭載されるマイコンには、人が操作している間は動作させ、人が操作していない間は動作させないようにするキーオンウェイクアップ機能が内蔵されている。キーオンウェイクアップ機能は、キーマトリクス回路に組み込まれたキースイッチが押圧されたときに、マイコンを待機状態(省電力状態)から通常状態に復帰させるものである。
【0008】
通常、家電機器用のリモコンには、上記のキースイッチの他に切替スイッチも設けられている。たとえば、ビデオ装置用のリモコンには、搭載されている複数のチューナのうち使用するチューナを切替えるための切替スイッチや、録画装置をハードディスクと光ディスクとに切替えるための切替スイッチなどが設けられている。これらの切替スイッチは、キースイッチのように押圧される(オン状態になる)という状態だけにリモコンの機能が対応するのでなく、オン状態にもオフ状態にも切替わり、それぞれの状態にリモコンの機能が対応しているので、キーオンウェイクアップには用いることができない。
【0009】
したがって、従来のマイコンでは、キーオンウェイクアップ機能を実現するために、キーマトリクス回路用の入出力インターフェース回路と切替スイッチ用の入出力インターフェース回路とを別々に設ける必要がある。このため多くの入出力端子が必要となってしまうという欠点がある。
【0010】
この発明の目的は、キーオンウェイクアップ動作の可能なキースイッチとキーオンウェイクアップ動作のできない切替スイッチとの両方を備えたキー入力装置を従来よりも少数の入出力端子で実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の実施の一形態によるキー入力装置は、制御回路と、複数のキースイッチと、1または複数の切替スイッチと、1または複数のダイオードとを備える。制御回路は、複数の第1の端子および複数の第2の端子を含み、複数の第1の端子の各々および複数の第2の端子の各々から所定の論理レベルの検出電圧を出力する。複数のキースイッチは、複数の第1の端子と複数の第2の端子との複数の組合わせのうち少なくとも一部の組合わせにそれぞれ対応して設けられ、各々が、押圧されたときに導通状態になる。1または複数の切替スイッチは、複数の第1の端子と複数の第2の端子との複数の組合わせのうち少なくとも一部の組合わせにそれぞれ対応して設けられ、各々が、導通状態と非導通状態とに切替可能である。1または複数のダイオードの各々は、1または複数の切替スイッチのうちの少なくとも1つの切替スイッチに対応する。1または複数の切替スイッチの各々は、1または複数のダイオードのうちのいずれか1つのダイオードに対応する。複数のキースイッチの各々は、対応する組合せの第1および第2の端子間に接続され、押圧されたときに対応する組合わせの第1および第2の端子間を導通させる。1または複数の切替スイッチの各々は、対応する組合せの第1および第2の端子間に、対応のダイオードと直列に接続され、導通状態のときに対応する組合わせの第2の端子から出力された検出電圧を対応のダイオードを介して対応する組合せの第1の端子に入力させる。
【発明の効果】
【0012】
上記の実施の形態によれば、切替スイッチと直列にダイオードを設けることによって、キーオンウェイクアップ動作の可能なキースイッチと共通の第1および第2の端子に切替スイッチを接続することができるので、入出力端子数を従来よりも少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1によるキー入力装置1の構成を示す回路図である。
【図2】図1に示すマイコン10の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図2に示す入出力インターフェース回路16において端子A1に接続される入出力バッファの構成例を示す回路図である。
【図4】図1の端子A1〜A4,B1〜B4の電圧変化を示す図である。
【図5】図1のマイコン10によるキースイッチKYおよび切替スイッチSWのオン/オフの検出手順を示すフローチャートである。
【図6】図5のステップS121における切替スイッチのオン/オフ検出処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】キースイッチKY12が押圧された場合の端子A1〜A4,B1〜B4の電圧波形を示す図である。
【図8】切替スイッチSW0,SW8,SW10がオン状態の場合の端子A1〜A4,B1〜B4の電圧波形を示す図である。
【図9】通常状態および待機状態における端子A1〜A4,B1〜B4の電圧波形を示す図である。
【図10】図2のマイコン10におけるキーオンウェイクアップ処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】図3に示した入出力バッファの変形例を示す図である。
【図12】図3に示した入出力バッファの他の変形例を示す図である。
【図13】図1のキー入力装置1の変形例としてのキー入力装置2の構成を示す回路図である。
【図14】この発明の実施の形態2によるキー入力装置3の構成を示す回路図である。
【図15】図14の端子A1〜A4,B1〜B4の電圧変化を示す図である。
【図16】図14のマイコン10によるキースイッチKYおよび切替スイッチSW0のオン/オフの検出手順を示すフローチャートである。
【図17】図16のステップS121Aにおける切替スイッチのオン/オフの検出処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
【0015】
<実施の形態1>
[キー入力装置の構成]
図1は、この発明の実施の形態1によるキー入力装置1の構成を示す回路図である。図1を参照して、キー入力装置1は、マイコン(制御回路)10と、キーマトリクス回路11と、配線LA1〜LA4,LB1〜LB4,LC1〜LC4(総称する場合または不特定のものを示す場合、それぞれ配線LA、配線LB、配線LCと記載する)とを含む。この明細書において、キー入力装置1は、家電機器、家電機器用のリモコン、またはパーソナルコンピュータなど、ユーザの手動操作によるデータ入力装置(キーパッドやキーボードなど)を備えた電子機器・電気機器を意味する。
【0016】
マイコン10は、端子群A(端子A1〜A4)および端子群B(端子B1〜B4)を有し、これらの端子群A,Bを介して接続されたキーマトリクス回路11によるキー入力操作を検知するとともに、キー入力されたデータに基づく処理を行なう。端子A1〜A4,B1〜B4の各々は、入力端子としても出力端子としても用いられる。図1に示すように端子A1〜A4からはそれぞれ配線LA1〜LA4が引き出され、端子B1〜B4からはそれぞれ配線LB1〜LB4が引き出される。配線LB1〜LB4にはそれぞれ配線LC1〜LC4が接続される。配線LA1〜LA4は、配線LB1〜LB4および配線LC1〜LC4と立体的に交差している。
【0017】
キーマトリクス回路11は、16個のキースイッチKY0〜KY15と、16個の切替スイッチSW0〜SW15と、16個のダイオードD0〜D15とを含む(総称する場合または不特定のものを示す場合には、それぞれキースイッチKY、切替スイッチSW、およびダイオードDと記載する)。
【0018】
キースイッチKY0〜KY15は、配線LA1〜LA4と配線LC1〜LC4とが立体的に交差する16個の交差点にそれぞれ対応して設けられる。各キースイッチKYは、対応の交差点を通る配線間に接続され、押圧(もしくは押下)されたときに導通状態となってこれらの配線間を導通させる。言換えると、キースイッチKY0〜KY15は、端子A1〜A4と端子B1〜B4との16個の組合わせにそれぞれ対応して設けられる。各キースイッチKYは、押圧されたとき対応する組合わせのA群の端子とB群の端子とを導通させる。
【0019】
ダイオードD0〜D15は、切替スイッチSW0〜SW1にそれぞれ対応する。各切替スイッチSWは、導通状態と非導通状態とに切替可能であり、これらの状態を保持する。切替スイッチSW0〜SW15は、配線LA1〜LA4と配線LB1〜LB4とが立体的に交差する16個の交差点にそれぞれ対応して設けられる。各切替スイッチSWは、対応の交差点を通る配線間に、対応のダイオードDと直列に接続される。このとき各ダイオードDは、配線LAから配線LBに向かう方向が順方向となるように接続される。以上を言換えると、切替スイッチSW0〜SW15は、端子A1〜A4と端子B1〜B4との16個の組合わせにそれぞれ対応して設けられる。各切替スイッチSWは、対応する組合わせのA群の端子とB群の端子との間に、対応のダイオードDと直列に接続される。各ダイオードDは、A群の端子からB群の端子に向かう方向が順方向となるように接続される。
【0020】
上記のキーマトリクス回路11において、キースイッチKYおよび切替スイッチSWの数は16個に限られないことは言うまでもない。マイコン10の端子A1〜A4,B1〜B4の数もキースイッチKYの総数および切替スイッチSWの総数に応じて増減される。
【0021】
端子A1〜A4と端子B1〜B4との全ての組合わせに対してキースイッチKYおよび切替スイッチSWの両方が配置される必要はない。A群の端子とB群の端子との複数の組合わせのうち一部の組合わせについては、キースイッチKYが設けられていなくてもよいし、切替スイッチSWが設けられていなくてもよい。切替スイッチSWの数は1個でもよい。
【0022】
[マイコン10の構成]
図2は、図1に示すマイコン10の内部構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
図2を参照して、マイコン10は、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)13と、データ転送部(DMAC:Direct Memory Access Controller)14と、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を有するメモリ15と、入出力インターフェース(IF:Interface)回路16と、割込み制御部(INTC:Interrupt Controller)17と、システム制御部(SYSC:System Controller)18と、電源回路19と、スイッチ用のMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ20とを含む。中央処理装置13、データ転送部14、メモリ15、および入出力インターフェース回路16は内部バス21を介して相互に接続される。
【0024】
中央処理装置13は、ROMに格納されたプログラムに従って、周辺装置とのデータのやり取りやデータの処理を行なう。具体的にこの発明に関連した機能として、中央処理装置13は、キーマトリクス回路11によるキー入力操作を検出するとともに、キー入力されたデータに基づいた処理を行なう。データ転送部14は、図示を省略したハードディスク装置などの外部記憶装置とメモリ15との間のデータ転送を制御する。
【0025】
マイコン10は、動作モードとして通常モードと待機モード(スリープモードまたは省電力モードとも称する)とを有する。上記の中央処理装置13およびデータ転送部14は、待機モード時に、電源電圧の供給が遮断される領域22に設けられる。待機モード時には、電源電圧の遮断に代えてクロックの供給を停止してもよい。
【0026】
メモリ15は、中央処理装置13の主記憶装置として用いられ、プログラムなどを記憶するためのROMと一時的なデータを記憶するためのRAMとを含む。メモリ15のRAMには、キーマトリクス回路11と接続された端子群A,Bに入力された信号を記憶するための領域M1A〜M4A,M1B〜M4Bが設けられている。
【0027】
入出力インターフェース回路16は、マイコン10とキーマトリクス回路11などの周辺装置とを接続するための回路であり、電圧レベル、正負論理、および動作タイミングなどの調整を行なう。この実施の形態の場合、入出力インターフェース回路16は、端子A1〜A4,B1〜B4を介してキーマトリクス回路11との間でLアクティブ(Low Active)の信号を入出力する。
【0028】
割込み制御部17は、キーマトリクス回路11などの周辺装置からの要求に基づく処理(外部割込み)や、実行中のプログラムのトラブルなどが原因で生じる処理(内部割込み)を行なう。具体的にこの発明に関連した処理として、割込み制御部17は、待機モード時にユーザがキースイッチを押圧した場合に、割込み発生をシステム制御部18などに通知する。
【0029】
システム制御部18は、マイコン10のシステム全体を制御するものであり、マイコン10の起動および停止や、動作モード(通常モード、待機モード)の変更などを制御する。
【0030】
電源回路19は、マイコン10内の各機能ブロックへの電源供給を制御する。たとえば、通常モードから待機モードに移行するときには、システム制御部18の指令に従って、電源回路19は、MOSトランジスタ20をオフ状態にすることによって中央処理装置13およびデータ転送部14への電源電圧の供給を停止する。
【0031】
図3は、図2に示す入出力インターフェース回路16において端子A1に接続される入出力バッファの構成例を示す回路図である。図1のA群、B群のいずれの端子にも図3と同様の回路が接続されるので、図3では端子A1に接続される回路が代表として示されている。
【0032】
図3を参照して、入出力インターフェース回路16は、端子A1と電源ノードVccとの間に直列に接続されるスイッチ31および抵抗素子32と、端子A1と接地ノードGNDとの間に接続されるNMOS(Negative-channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ33と、入力バッファ34とを含む。入力バッファ34の入力ノードは端子A1に接続される。入出力インターフェース回路16は、制御信号CTL1によってスイッチ31をオン状態またはオフ状態に切替えるとともに、制御信号CTL2によってNMOSトランジスタ33をオン状態またはオフ状態に切替える。抵抗素子32はプルアップ抵抗として用いられ、スイッチ31のオン/オフによって端子A1をプルアップするか否かが制御される。
【0033】
端子A1は、図2の中央処理装置13からの指令によって、出力端子および入力端子の一方に設定可能である。端子A1を出力端子として用いる場合には、スイッチ31はオン状態およびオフ状態のいずれに設定されていてもよい。オフ状態に設定されていたほうが、消費電力がより小さくなるので望ましい。スイッチ31がオン状態の場合には、NMOSトランジスタ33がオン状態のときにアクティブ信号(Lレベル(Low Level)の電圧)が端子A1から出力され、NMOSトランジスタ33がオフ状態のときに非アクティブ信号(Hレベル(High Level)の電圧)が端子A1から出力される。スイッチ31がオフ状態の場合には、NMOSトランジスタ33がオン状態のときにアクティブ信号(Lレベルの電圧)が端子A1から出力され、NMOSトランジスタ33がオフ状態のときに、端子A1は非アクティブ状態(ハイ・インピーダンス状態)になる。スイッチ31とNMOSトランジスタ33の両方ともがオン状態となる場合、スイッチ31を構成するMOSトランジスタの電流駆動能力は、抵抗素子32での電圧降下をも考慮してNMOSトランジスタ33よりも小さくなるように構成される。
【0034】
端子A1を入力端子として用いる場合には、スイッチ31はオン状態に設定される。端子A1にアクティブ信号(Lレベルの電圧)が入力された場合、入力バッファ34の出力はLレベルになる。端子A1に非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス)が入力された場合、端子A1は抵抗素子32によってプルアップされているのでHレベルの状態になり、この結果、入力バッファ34の出力はHレベルになる。
【0035】
[キースイッチおよび切替スイッチのオン/オフ検出]
図1を参照して、キースイッチKYおよび切替スイッチSWのオン/オフの検出方法について概要を説明する。
【0036】
キースイッチKYのいずれが押圧されているかを検出する場合には、端子A1〜A4が出力端子に設定され、端子B1〜B4が入力端子に設定される。マイコン10は、アクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を端子A1〜A4から相互に異なるタイミングで出力する(第1の検出動作)。このとき、マイコン10は、端子B1〜B4にアクティブ信号(Lレベルの電圧)が入力されたか否かに基づいて、押圧されたキースイッチKYを判定する。この場合、各ダイオードDは逆方向にバイアスされているので、切替スイッチSWの開閉状態は端子B1〜B4の入力信号には影響しない。
【0037】
各切替スイッチSWが導通状態であるか否かを検出する場合には、端子A1〜A4が入力端子に設定され、端子B1〜B4が出力端子に設定される。マイコン10は、アクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を端子B1〜B4から相互に異なるタイミングで出力する(第2の検出動作)。この場合、各ダイオードDは順方向にバイアスされるので、マイコン10は、端子A1〜A4にアクティブ信号(Lレベルの電圧)が入力されたか否かに基づいて、切替スイッチSWの開閉状態を検出することができる。ただし、キースイッチKYが押圧されている場合には切替スイッチSWの開閉状態とは無関係に、押圧されているキースイッチKYに対応するA群の端子にアクティブ信号(Lレベルの電圧)が入力される。このため、切替スイッチSWの開閉状態の判定に先立って、いずれのキースイッチKYも押圧されていないことを確認する必要がある(またはキースイッチKYの押下解除を検出した後に切替スイッチSWの開閉状態の検出を行なう)。
【0038】
次に、図4のタイミング図および図5、図6のフローチャートを参照して、キースイッチKYおよび切替スイッチSWのオン/オフの検出手順について詳しく説明する。
【0039】
図4は、図1の端子A1〜A4,B1〜B4の電圧変化を示す図である。図4の時刻t1から時刻t10までの区間SC1において、図1のマイコン10は端子A1〜A4の順番でアクティブ信号を出力し、端子B1〜B4によってそのアクティブ信号が検出されたか否かを判定する。これによって、キースイッチKYのいずれが押圧されているかを検出することができる。次の時刻t11から時刻t20までの区間SC2において、マイコン10は端子B〜B4の順番でアクティブ信号を出力し、端子A1〜A4によってそのアクティブ信号が検出されたか否かを判定する。これによって、各切替スイッチSWが導通状態であるか否かを検出することができる。ただし、時刻t11から時刻t20までの区間SC2の処理は、区間SC1でキー入力が検出されなかったときに限り実行される。
【0040】
図5は、図1のマイコン10によるキースイッチKYおよび切替スイッチSWのオン/オフの検出手順を示すフローチャートである。
【0041】
図6は、図5のステップS121における切替スイッチのオン/オフ検出処理の詳細を示すフローチャートである。以下、図4のタイミング図と対応付けながら、図5、図6の各ステップについて説明する。
【0042】
図1、図5を参照して、ステップS101で、マイコン10は、A群端子を出力端子に設定する。次のステップS102で、マイコン10は、B群端子を入力端子に設定する。続くステップS103で、マイコン10は、全てのA群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t1)。
【0043】
次のステップS104で、マイコン10は、端子A1からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図4の時刻t2)、このときの端子B1〜B4の各々の論理状態を検出する。そして、次のステップS105で、マイコン10は、検出結果を図2のメモリ15の領域M1Aに記憶する。これによって、キースイッチKY0〜KY3のうちで押圧されているキースイッチを検出することができる。たとえば、端子B1の論理状態がLレベルの場合にはキースイッチKY0が押圧されていると判定される。同様に、端子B2,B3,B4の各々の論理状態がLレベルであることにそれぞれ対応してキースイッチKY1,KY2,KY3の各々が押圧されていることが判定できる。
【0044】
次のステップS106で、マイコン10は、全てのA群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t3)。次のステップS107で、マイコン10は、端子A2からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図4の時刻t4)、このときの端子B1〜B4の各々の論理状態を検出する。そして、次のステップS108で、マイコン10は、検出結果を図2のメモリ15の領域M2Aに記憶する。これによって、キースイッチKY4〜KY7のうちで押圧されているキースイッチを検出することができる。
【0045】
次のステップS109で、マイコン10は、全てのA群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t5)。次のステップS110で、マイコン10は、端子A3からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図4の時刻t6)、このときの端子B1〜B4の各々の論理状態を検出する。そして、次のステップS111で、マイコン10は、検出結果を、図2のメモリ15の領域M3Aに記憶する。これによって、キースイッチKY8〜KY11のうちで押圧されているキースイッチを検出することができる。
【0046】
次のステップS112で、マイコン10は、全てのA群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t7)。次のステップS113で、マイコン10は、端子A4からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図4の時刻t8)、このときの端子B1〜B4の各々の論理状態を検出する。そして、次のステップS114で、マイコン10は、検出結果を、図2のメモリ15の領域M4Aに記憶する。これによって、キースイッチKY12〜KY15のうちで押圧されているキースイッチを検出することができる。
【0047】
次のステップS115で、マイコン10は、全てのA群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t9)。この後のステップS116〜S119で、マイコン10は、メモリの領域M1A,M2A,M3A,M4Aにキー入力有りを示すLレベルの論理状態に対応するデータが記憶されているか否かを判定する。ユーザが手動操作でキースイッチを押圧するのに要する時間に比べると、端子A1から端子A4まで順番にアクティブ信号を出力するのに要する時間は極めて短い。したがって、押圧されているキーは最大でも1個であると想定してよいので、マイコン10は、いずれか1つでもキー入力有りと判定した場合には(ステップS116〜S119でいずれか1つがYES)、その時点で対応するキースイッチの番号を判定する(ステップS120)。
【0048】
メモリの領域M1A〜M4Aのいずれか1つにキー入力有りを示すデータが記憶されていた場合には(ステップS116〜S119のいずれかでYES)、マイコン10は、ステップS121の切替スイッチSWのオン/オフ検出処理(図4の区間SC2)を実行しない。これに対して、いずれのメモリ領域M1A〜M4Aにもキー入力有りを示すデータが記憶されていない場合には(図4のステップS116〜S119のいずれもNO)、マイコン10は、次のステップS121に処理を進め、切替スイッチのオン/オフ検出処理(図4の区間SC2)を実行する。ステップS121の詳細は図6に示される。
【0049】
図1、図6を参照して、ステップS201で、マイコン10は、B群端子を出力端子に設定する。次のステップS202で、マイコン10は、A群端子を入力端子に設定する。続いて、ステップS203で、マイコン10は、全てのB群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する。
【0050】
次のステップS204で、マイコン10は、端子B1からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図4の時刻t12)、このときの端子A1〜A4の各々の論理状態を検出する。そして、次のステップS205で、マイコン10は、検出結果を図2のメモリ15の領域M1Bに記憶する。これによって、切替スイッチSW0〜SW3の各々が導通状態であるか否かを検出することができる。たとえば、端子A1の論理状態がLレベルの場合には切替スイッチSW0が導通状態(オン状態)であると判定される。同様に、端子A2,A3,A4の論理状態がLレベルの場合には、切替スイッチSW1,SW2,SW3がそれぞれ導通状態(オン状態)であると判定できる。
【0051】
次のステップS206で、マイコン10は、全てのB群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t13)。次のステップS207で、マイコン10は、端子B2からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図4の時刻t14)、このときの端子A1〜A4の各々の論理状態を検出する。そして、次のステップS208で、マイコン10は、検出結果を図2のメモリ15の領域M2Bに記憶する。これによって、切替スイッチSW4〜SW7の各々が導通状態であるか否かを検出することができる。
【0052】
次のステップS209で、マイコン10は、全てのB群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t15)。次のステップS210で、マイコン10は、端子B3からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図4の時刻t16)、このときの端子A1〜A4の各々の論理状態を検出する。そして、次のステップS211で、マイコン10は、検出結果を、図2のメモリ15の領域M3Bに記憶する。これによって、切替スイッチSW8〜SW11の各々が導通状態であるか否かを検出することができる。
【0053】
次のステップS212で、マイコン10は、全てのB群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t17)。次のステップS213で、マイコン10は、端子B4からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図4の時刻t18)、このときの端子A1〜A4の各々の論理状態を検出する。そして、次のステップS214で、マイコン10は、検出結果を、図2のメモリ15の領域M4Bに記憶する。これによって、切替スイッチSW12〜SW15の各々が導通状態であるか否かを検出することができる。
【0054】
次のステップS215で、マイコン10は、全てのB群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t19)。この後のステップS216〜S220で、マイコン10は、メモリの領域M1B,M2B,M3B,M4Bに記憶されたデータに基づいて、切替スイッチSW0〜SW15の各々が導通状態であるか非導通状態であるかを判定する。キースイッチKYの場合と同様に、ユーザが手動装置によって切替スイッチSWを切替えるのに要する時間に比べると、端子B1から端子B4まで順番にアクティブ信号を出力するのに要する時間は極めて短い。したがって、オン状態またはオフ状態に切替えられる切替スイッチSWは最大でも1個であると想定することができる。したがって、前回オン/オフ判定したときの各切替スイッチSWの状態を記憶しておき、いずれか1つの切替スイッチSWがオン状態またはオフ状態に切替えられたことを示すデータがメモリの領域M1B,M2B,M3B,M4Bに記憶されていれば(ステップS216〜S219でいずれか1つがYES)、マイコン10は、その時点で切替えられたスイッチの番号を判定する(ステップS220)。以上によって、切替スイッチSWのオン/オフの検出処理(図5のステップS121)が終了する。
【0055】
[キースイッチおよび切替スイッチのオン/オフ検出の具体例]
図7は、キースイッチKY12が押圧された場合の端子A1〜A4,B1〜B4の電圧波形を示す図である。
【0056】
図1、図7を参照して、端子A1,A2,A3からアクティブ信号が出力されたとき(区間t2〜t3、区間t4〜t5、区間t6〜t7)には、端子B1〜B4の論理状態はHレベルのままで変化がない。端子A4からアクティブ信号が出力されたとき(区間t8〜t9)、キースイッチKY12が導通状態であることによって端子B1の論理状態がLレベルになる。このとき、他の端子B2〜B4の論理状態には変化がない。この端子B1の論理状態の変化によってキースイッチKY12が押圧されたことが判定できる。
【0057】
図8は、切替スイッチSW0,SW8,SW10がオン状態の場合の端子A1〜A4,B1〜B4の電圧波形を示す図である。他の切替スイッチSWはオフ状態であるとし、いずれのキースイッチKYも押圧されていないとする。
【0058】
図1、図8を参照して、端子A1,A2,A3,A4からアクティブ信号が出力されたとき(区間t2〜t3、区間t4〜t5、区間t6〜t7、区間t8〜t9)には、端子B1〜B4の論理状態はHレベルのままで変化がない。これによっていずれのキースイッチKYも押圧されていないことが判定される(図5のS116〜S119でいずれもNO)。そこで、切替スイッチSWのオン/オフの検出処理(図5のステップS121)に進む。
【0059】
次に、端子B1からアクティブ信号が出力されたとき(区間t12〜t13)、切替スイッチSW0がオン状態であるので端子A1の論理状態がLレベルになる。切替スイッチSW1〜SW3はオフ状態であるので他の端子A2〜A4の論理状態はHレベルのままで変化がない。
【0060】
次に、端子B2からアクティブ信号が出力されたとき(区間t14〜t15)、切替スイッチSW4〜SW7はいずれもオフ状態であるので端子A1〜A4の論理状態はHレベルのままで変化がない。
【0061】
次に、端子B3からアクティブ信号が出力されたとき(区間t16〜t17)、切替スイッチSW8,SW10がオン状態であるので、端子A1,A3の論理状態がLレベルになる。切替スイッチSW9,SW11はオフ状態であるので、端子A2,A4の論理状態はHレベルのままで変化がない。
【0062】
次に、端子B4からアクティブ信号が出力されたとき(区間t18〜t19)、切替スイッチSW12〜SW15はいずれもオフ状態であるので、端子A1〜A4の論理状態はHレベルのままで変化がない。
【0063】
以上のように、端子B1から端子B4まで順番にアクティブ信号を出力したときの端子A1〜A4の論理レベルの変化を検出することによって、各切替スイッチSWがオン状態であるか、オフ状態であるかを判定することができる。
【0064】
[キーオンウェイクアップ機能]
再び図1を参照して、キーオンウェイクアップ機能の概要について説明する。マイコン10が待機状態のとき、端子A1〜A4が出力端子に設定され、端子B1〜B4が入力端子に設定される。マイコン10は、アクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を端子A1〜A4の全てから同じタイミングで出力し続ける。いずれかのキースイッチKYが押下されるまでは端子A群の接続される配線LAと端子B群の接続される配線LB又はLCは非接続状態となるため、夫々の配線の電位が一定となるまでは電流が流れるものの、電位が安定した後は、キースイッチKY又は切替スイッチSW等を介して流れるリーク電流による電位低下を補充する程度の電流を流すのみとなり、キーマトリクスで消費する消費電力は相対的に小さなものとなる。
【0065】
いずれかのキースイッチKYが押下された場合、配線LAと配線LCとが押下されたキースイッチKYにより接続され、マイコン10は、端子B1〜B4のいずれかにアクティブ信号(Lレベルの電圧)が入力されたことを検出したことによって、いずれかのキースイッチKYが押圧されたことを検知する。この場合、各ダイオードDは逆方向にバイアスされているので、切替スイッチSWの開閉状態は端子B1〜B4の入力信号には影響しない。マイコン10は、端子B1〜B4のいずれかにアクティブ信号(Lレベルの電圧)が入力されたことに応答して、待機状態から通常状態に復帰する。
【0066】
図9は、通常状態および待機状態における端子A1〜A4,B1〜B4の電圧波形を示す図である。図1、図9を参照して、時刻t101までの通常状態のとき、マイコン10は端子A1〜A4からアクティブ信号を出力することによってキースイッチKYが押圧されているか否かを検出する。
【0067】
時刻t101で待機状態に移行すると、マイコン10は、端子A1〜A4を出力端子に設定し、全ての端子A1〜A4からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し続ける。このとき、端子B1〜B4は入力端子に設定される。時刻t101から時刻t102までは端子B1〜B4の論理状態はいずれもHレベルであり、キー入力は検出されていない。
【0068】
時刻t102で、キースイッチKY3,KY7,KY11,KY15のいずれかが押圧されると、マイコン10は、端子B4がLレベルに変化したことによってそのキー入力を検知し、次の時刻t103に通常状態に復帰する。
【0069】
図10は、図2のマイコン10におけるキーオンウェイクアップ処理の手順を示すフローチャートである。
【0070】
図2、図10を参照して、最初のステップS301においてマイコン10は待機状態であり、中央処理装置13は停止状態であるとする。ステップS301で、入出力インターフェース回路16は、キーマトリクス回路11から図1の端子B1〜B4に入力される信号に変化があるか否かを検出する。そして、入出力インターフェース回路16は、入力信号の変化を検知した場合(ステップS301でYES)、割込み制御部17にキー入力による割込みがあったことを通知する信号を出力する(ステップS302)。
【0071】
割込み制御部17は、入出力インターフェース回路16から割込み通知信号を受けると、中央処理装置13とシステム制御部18とに割込み発生を通知する(ステップS303)。システム制御部18は、割込み発生の通知を受けると、電源回路19を制御することによって、中央処理装置13およびデータ転送部14に対して電源電圧の供給を開始する(ステップS304)。これによって、中央処理装置13は動作を開始する。
【0072】
中央処理装置13は、電源供給が開始されると、レジスタの初期化などの初期化処理を実行する(ステップS305)。その後、中央処理装置13は、割込み制御部17からの割込発生の通知に応じた処理を実行する(ステップS306)。この場合、押下されたキースイッチKYに対応した処理も含まれる。
【0073】
その後、全ての割込み処理が終了するとともに、所定時間、キー入力操作がないなどの待機状態に移行するための条件が満たされている場合には(ステップS307でYES)、中央処理装置13は待機状態への移行をシステム制御部18に通知する(ステップS308)。システム制御部18は、待機状態への移行通知を受けると、中央処理装置13およびデータ転送部14に電源電圧の供給を停止するように電源回路19を制御する(ステップS309)。これによって、中央処理装置13は動作を停止する。以下、ステップS301以降の各ステップが繰返される。
【0074】
このように、実施の形態1のキー入力装置1によれば、各切替スイッチSWと直列にダイオードDが設けられ、この切替スイッチSWおよびダイオードDの直列体と並列にキースイッチKYが設けられる。これによって、キーオンウェイクアップ機能に用いられるキースイッチKYと共通の入出力端子A1〜A4,B1〜B4に切替スイッチSWを接続することでき、従来よりも入出力端子を削減することができる。
【0075】
[変形例]
図11は、図3に示した入出力バッファの変形例を示す図である。図11に示す回路は、NMOSトランジスタ33に代えてPMOS(Positive-channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ35が設けられる点と、スイッチ31および抵抗素子32とMOSトランジスタとの接続が逆である点で、図3に示す回路と異なる。したがって、抵抗素子32はプルダウン抵抗として用いられ、スイッチ31のオン/オフによって端子A1をプルダウンするか否かが制御される。
【0076】
端子A1を出力端子に設定する場合には、スイッチ31はオン状態およびオフ状態のいずれに設定されていてもよい。PMOSトランジスタ35がオン状態のときに、アクティブ信号(Hレベルの電圧)が出力される。一方、端子A1を入力端子に設定する場合には、スイッチ31をオン状態にする。これによって、端子A1にアクティブ信号(Hレベルの電圧)が入力されたときに限り、端子A1の論理状態はHレベルになる。
【0077】
このように、図11の回路の場合には、Hアクティブの信号が図1の端子A1〜A4,B1〜B4において入出力される。この場合、図1の各ダイオードDの極性を逆にする必要があるが、その他の点は図1のキー入力装置1と同じにしてよい。
【0078】
図12は、図3に示した入出力バッファの他の変形例を示す図である。図12に示す回路は、マイコンの汎用入出力ポートとして用いられるもので、端子A1には出力バッファ36と入力バッファ37とが接続される。出力バッファ36にはスリー・ステート・バッファが用いられ、端子A1を入力端子として用いる場合には制御信号CTLによって出力バッファ36の出力ノードがハイ・インピーダンス状態に設定される。
【0079】
図13は、図1のキー入力装置1の変形例としてのキー入力装置2の構成を示す回路図である。図13のキーマトリクス回路11Aは、16個のダイオードD0〜D15に代えて4個のダイオードDA0〜DA3が設けられる点で図1のキーマトリクス回路11と異なる。ダイオードDA0は、切替スイッチSW0,SW4,SW8,SW12の各々に対応し、各対応の切替スイッチと直列に接続される。同様に、ダイオードDA1は、切替スイッチSW1,SW5,SW9,SW13の各々と対応し、各対応の切替スイッチと直列に接続される。ダイオードDA2は、切替スイッチSW2,SW6,SW10,SW14の各々と対応し、各対応の切替スイッチと直列に接続される。ダイオードDA3は、切替スイッチSW3,SW7,SW11,SW15の各々と対応し、各対応の切替スイッチと直列に接続される。したがって、各切替スイッチSWは、ダイオードDA0〜DA3のいずれか1つと対応していることになる。図13のその他の構成は図1の場合と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0080】
図13のキー入力装置2においても、端子A1〜A4の各々から出力されるアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)は、ダイオードDA0〜DA3によって阻止される。したがって、各キースイッチKYのいずれが押圧されたか否かの検出は可能であるし、キーオンウェイクアップ動作も可能である。しかしながら、各切替スイッチSWがオン状態であるか否かの検出はできない場合がある。
【0081】
たとえば、図13に示すように、切替スイッチSW0,SW4,SW5がオン状態であり、その他の切替スイッチがオフ状態であったとする。この場合、図1に示すキー入力装置1であれば、端子B1からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力したときに、切替スイッチSW1がオフ状態であるので端子A2によってアクティブ信号(Lレベルの電圧)は検出されない。ところが、図13のキー入力装置2の場合には、端子B1から出力されたアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)が、図13に矢印で示す経路(すなわち、切替スイッチSW0,SW4,SW5の順)を通って端子A2で検出されてしまい、切替スイッチSW1のオン/オフが検出できなくなる。
【0082】
ただし、切替スイッチSWの開閉状態を制限すれば、図13のキーマトリクス回路11Aでも各切替スイッチSWのオン/オフの検出は可能である。たとえば、A群の各端子に対応する4個の切替スイッチSW(たとえば、端子A1に対応する切替スイッチSW0,SW4,SW8,SW12)が2個以上同時にオン状態にならないようにハードウェアを構成するか、もしくはA群の各端子に対応する4個の切替スイッチSWが2個以上オン状態になるときはソフトウェアによって無効になるようにすればよい。
【0083】
<実施の形態2>
図14は、この発明の実施の形態2によるキー入力装置3の構成を示す回路図である。図14のキーマトリクス回路11Bは、キースイッチKY0が設けられていない点と、1個の切替スイッチSW0および1個のダイオードD0のみが設けられている点で、図1のキーマトリクス回路11と異なる。図14のその他の構成は図1の場合と共通するので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0084】
実施の形態2のキー入力装置は、A群の端子A1〜A4とB群の端子B1〜B4とのいずれの組合わせに対しても、キースイッチKYおよび切替スイッチSWの両方が対応することはないように構成される。このような構成では、キースイッチKYが押圧されていたとしても、切替スイッチSWのオン/オフの判定に影響がない。したがって、キースイッチKYのオン/オフの判定結果とは関係なく、切替スイッチSWのオン/オフ判定を行なうことができる。
【0085】
具体的に図14に示す切替スイッチSW0の場合には、端子A1,B1間に接続されるキースイッチはない。したがって、端子B1からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力したときに、キースイッチKYのオン/オフとは無関係に、端子A1の論理状態がLレベルになるか否かによって切替スイッチSW0のオン/オフを判定することができる。
【0086】
図15は、図14の端子A1〜A4,B1〜B4の電圧変化を示す図である。図15の時刻t1から時刻t10までの区間SC1において、図14のマイコン10は端子A1〜A4の順番でアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し、端子B1〜B4によってそのアクティブ信号が検出されたか否かを判定する。これによって、キースイッチKYのいずれが押圧されているかを検出することができる。次の時刻t11から時刻t20までの区間SC2において、マイコン10は端子B1からアクティブ信号を出力し、端子A1によってそのアクティブ信号が検出されたか否かを判定する。これによって、切替スイッチSW0が導通状態であるか否かが検出される。実施の形態1の場合と異なり、区間SC2では、切替スイッチSW0に対応する端子B1のみからアクティブ信号を出力すれば十分である(図15の時刻t12〜時刻t13)。さらに、時刻t11から時刻t20までの区間SC2の処理は、区間SC1でのキー入力の検出結果とは無関係に実行される。
【0087】
図16は、図14のマイコン10によるキースイッチKYおよび切替スイッチSW0のオン/オフの検出手順を示すフローチャートである。
【0088】
図5に示す手順では、ステップS120の後にはステップS121が実行されなかったのに対して、図16に示す手順では、ステップS120の後に必ずステップS121Aが実行される。すなわち、図16の場合には、ステップS116〜S120において実行されるキー入力の有無の判定結果とは無関係に、ステップS121Aに示す切替スイッチのオン/オフの検出処理が行なわれる。図16のその他の点は図5の場合と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0089】
図17は、図16のステップS121Aにおける切替スイッチのオン/オフの検出処理の詳細を示すフローチャートである。図17を参照して、ステップS201〜203は図6の場合と同じであるので説明を繰返さない。
【0090】
次のステップS204Aで、図14のマイコン10は、端子B1からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図15の時刻t12)、このときの端子A1の論理状態を検出する。そして、次のステップS205Aで、マイコン10は、検出結果を図2のメモリ15の領域M1Bに記憶する。これによって、切替スイッチSW0が導通状態であるか否かを検出することができる。
【0091】
次のステップS206で、図14のマイコン10は、全てのB群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図15の時刻t13)。この後のステップS220Aで、マイコン10は、メモリの領域M1Bに記憶されたデータに基づいて、切替スイッチSW0が導通状態であるか非導通状態であるかを判定する。以上によって、切替スイッチのオン/オフの検出処理(図5のステップS121A)が終了する。
【0092】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0093】
1,2,3 キー入力装置、10 マイコン、11,11A,11B キーマトリクス回路、A1〜A4,B1〜B4 入出力端子、D0〜D15,DA0〜DA3 ダイオード、KY0〜KY15 キースイッチ、SW0〜SW15 切替スイッチ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイコンなどのデータ処理装置にデータを入力するためのキー入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からマイコン(Micro-Controller Unit)などへのキー入力装置としてキーマトリクス回路が設けられている。キーマトリクス回路では、できるだけ少ない端子数でキー入力の検出ができるように様々な工夫がなされている。
【0003】
たとえば、実開昭62−138237号公報(特許文献1)は、標準装備用のキーマトリクス回路と拡張用のキーマトリクス回路とを備え、両マトリクス回路を同時に検索するキー入力装置を開示する。具体的には、各1周期の所定期間にのみハイレベルになるスキャン信号を用いたハイレベルスキャンによってキー操作されたキーマトリクス回路の判別を行なうために、検索側ダイオードおよび判別側ダイオードと、信号保持回路とが設けられる。信号保持回路は、判別側ダイオードのカソードのハイレベルを遅延保持する。
【0004】
特開平8−328623号公報(特許文献2)は、以下の構成のキーマトリクス回路を開示する。このキーマトリクス回路は、少なくとも1つのポートを含む第1スキャン端子群と、少なくとも2つのポートを含む第2スキャン端子群と、スキャン手段と、複数の第1のスイッチング手段と、複数の第2のスイッチング手段とを備える。スキャン手段は、第1スキャン端子群から第2スキャン端子群に対して第1スキャン信号を出力し、または第2スキャン端子群から第1スキャン端子群に対して第2スキャン信号を出力する。複数の第1のスイッチング手段は、第1スキャン端子群に含まれるそれぞれのポートと第2スキャン端子群に含まれるそれぞれのポートとの間に介挿される。複数の第2のスイッチング手段の各々は、複数の第1スイッチング手段の各々と並列接続される。各第1のスイッチング手段は第1スキャン端子群から第2スキャン端子群に向かって順方向とされた第1ダイオードと第1ダイオードに直列接続された第1スイッチとを含む。各第2のスイッチング手段は第2スキャン端子群から第1スキャン端子群に向かって順方向とされた第2ダイオードと第2ダイオードに直列接続された第2スイッチとを含む。
【0005】
特開2008−90642号公報(特許文献3)に開示されるキー入力装置では、キースキャン用のキーソース信号を、第1信号線群に供給される第1キーソース信号と、第2信号線群に供給される第2キーソース信号と、第3信号線群に供給される第3キーソース信号とを含むように構成する。キーリターン信号は、第1キーソース信号が制御回路から出力されたときに、第2信号線群から入力される第1キーリターン信号と、第2キーソース信号が制御回路から出力されたときに、第3信号線群から入力される第2キーリターン信号と、第3キーソース信号が制御回路から出力されたときに、第1信号線群から入力される第3キーリターン信号とを含む。第1〜第3のキーリターン信号の状態に対応して、第1キースイッチ部、第2キースイッチ部および第3キースイッチ部の状態を判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭62−138237号公報
【特許文献2】特開平8−328623号公報
【特許文献3】特開2008−90642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、家庭用電気機器(家電機器)用のリモコン(Remote Control)などは、電池で駆動されるために省電力が要求される。このような省電力駆動が必要なシステムに搭載されるマイコンには、人が操作している間は動作させ、人が操作していない間は動作させないようにするキーオンウェイクアップ機能が内蔵されている。キーオンウェイクアップ機能は、キーマトリクス回路に組み込まれたキースイッチが押圧されたときに、マイコンを待機状態(省電力状態)から通常状態に復帰させるものである。
【0008】
通常、家電機器用のリモコンには、上記のキースイッチの他に切替スイッチも設けられている。たとえば、ビデオ装置用のリモコンには、搭載されている複数のチューナのうち使用するチューナを切替えるための切替スイッチや、録画装置をハードディスクと光ディスクとに切替えるための切替スイッチなどが設けられている。これらの切替スイッチは、キースイッチのように押圧される(オン状態になる)という状態だけにリモコンの機能が対応するのでなく、オン状態にもオフ状態にも切替わり、それぞれの状態にリモコンの機能が対応しているので、キーオンウェイクアップには用いることができない。
【0009】
したがって、従来のマイコンでは、キーオンウェイクアップ機能を実現するために、キーマトリクス回路用の入出力インターフェース回路と切替スイッチ用の入出力インターフェース回路とを別々に設ける必要がある。このため多くの入出力端子が必要となってしまうという欠点がある。
【0010】
この発明の目的は、キーオンウェイクアップ動作の可能なキースイッチとキーオンウェイクアップ動作のできない切替スイッチとの両方を備えたキー入力装置を従来よりも少数の入出力端子で実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の実施の一形態によるキー入力装置は、制御回路と、複数のキースイッチと、1または複数の切替スイッチと、1または複数のダイオードとを備える。制御回路は、複数の第1の端子および複数の第2の端子を含み、複数の第1の端子の各々および複数の第2の端子の各々から所定の論理レベルの検出電圧を出力する。複数のキースイッチは、複数の第1の端子と複数の第2の端子との複数の組合わせのうち少なくとも一部の組合わせにそれぞれ対応して設けられ、各々が、押圧されたときに導通状態になる。1または複数の切替スイッチは、複数の第1の端子と複数の第2の端子との複数の組合わせのうち少なくとも一部の組合わせにそれぞれ対応して設けられ、各々が、導通状態と非導通状態とに切替可能である。1または複数のダイオードの各々は、1または複数の切替スイッチのうちの少なくとも1つの切替スイッチに対応する。1または複数の切替スイッチの各々は、1または複数のダイオードのうちのいずれか1つのダイオードに対応する。複数のキースイッチの各々は、対応する組合せの第1および第2の端子間に接続され、押圧されたときに対応する組合わせの第1および第2の端子間を導通させる。1または複数の切替スイッチの各々は、対応する組合せの第1および第2の端子間に、対応のダイオードと直列に接続され、導通状態のときに対応する組合わせの第2の端子から出力された検出電圧を対応のダイオードを介して対応する組合せの第1の端子に入力させる。
【発明の効果】
【0012】
上記の実施の形態によれば、切替スイッチと直列にダイオードを設けることによって、キーオンウェイクアップ動作の可能なキースイッチと共通の第1および第2の端子に切替スイッチを接続することができるので、入出力端子数を従来よりも少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1によるキー入力装置1の構成を示す回路図である。
【図2】図1に示すマイコン10の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図2に示す入出力インターフェース回路16において端子A1に接続される入出力バッファの構成例を示す回路図である。
【図4】図1の端子A1〜A4,B1〜B4の電圧変化を示す図である。
【図5】図1のマイコン10によるキースイッチKYおよび切替スイッチSWのオン/オフの検出手順を示すフローチャートである。
【図6】図5のステップS121における切替スイッチのオン/オフ検出処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】キースイッチKY12が押圧された場合の端子A1〜A4,B1〜B4の電圧波形を示す図である。
【図8】切替スイッチSW0,SW8,SW10がオン状態の場合の端子A1〜A4,B1〜B4の電圧波形を示す図である。
【図9】通常状態および待機状態における端子A1〜A4,B1〜B4の電圧波形を示す図である。
【図10】図2のマイコン10におけるキーオンウェイクアップ処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】図3に示した入出力バッファの変形例を示す図である。
【図12】図3に示した入出力バッファの他の変形例を示す図である。
【図13】図1のキー入力装置1の変形例としてのキー入力装置2の構成を示す回路図である。
【図14】この発明の実施の形態2によるキー入力装置3の構成を示す回路図である。
【図15】図14の端子A1〜A4,B1〜B4の電圧変化を示す図である。
【図16】図14のマイコン10によるキースイッチKYおよび切替スイッチSW0のオン/オフの検出手順を示すフローチャートである。
【図17】図16のステップS121Aにおける切替スイッチのオン/オフの検出処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
【0015】
<実施の形態1>
[キー入力装置の構成]
図1は、この発明の実施の形態1によるキー入力装置1の構成を示す回路図である。図1を参照して、キー入力装置1は、マイコン(制御回路)10と、キーマトリクス回路11と、配線LA1〜LA4,LB1〜LB4,LC1〜LC4(総称する場合または不特定のものを示す場合、それぞれ配線LA、配線LB、配線LCと記載する)とを含む。この明細書において、キー入力装置1は、家電機器、家電機器用のリモコン、またはパーソナルコンピュータなど、ユーザの手動操作によるデータ入力装置(キーパッドやキーボードなど)を備えた電子機器・電気機器を意味する。
【0016】
マイコン10は、端子群A(端子A1〜A4)および端子群B(端子B1〜B4)を有し、これらの端子群A,Bを介して接続されたキーマトリクス回路11によるキー入力操作を検知するとともに、キー入力されたデータに基づく処理を行なう。端子A1〜A4,B1〜B4の各々は、入力端子としても出力端子としても用いられる。図1に示すように端子A1〜A4からはそれぞれ配線LA1〜LA4が引き出され、端子B1〜B4からはそれぞれ配線LB1〜LB4が引き出される。配線LB1〜LB4にはそれぞれ配線LC1〜LC4が接続される。配線LA1〜LA4は、配線LB1〜LB4および配線LC1〜LC4と立体的に交差している。
【0017】
キーマトリクス回路11は、16個のキースイッチKY0〜KY15と、16個の切替スイッチSW0〜SW15と、16個のダイオードD0〜D15とを含む(総称する場合または不特定のものを示す場合には、それぞれキースイッチKY、切替スイッチSW、およびダイオードDと記載する)。
【0018】
キースイッチKY0〜KY15は、配線LA1〜LA4と配線LC1〜LC4とが立体的に交差する16個の交差点にそれぞれ対応して設けられる。各キースイッチKYは、対応の交差点を通る配線間に接続され、押圧(もしくは押下)されたときに導通状態となってこれらの配線間を導通させる。言換えると、キースイッチKY0〜KY15は、端子A1〜A4と端子B1〜B4との16個の組合わせにそれぞれ対応して設けられる。各キースイッチKYは、押圧されたとき対応する組合わせのA群の端子とB群の端子とを導通させる。
【0019】
ダイオードD0〜D15は、切替スイッチSW0〜SW1にそれぞれ対応する。各切替スイッチSWは、導通状態と非導通状態とに切替可能であり、これらの状態を保持する。切替スイッチSW0〜SW15は、配線LA1〜LA4と配線LB1〜LB4とが立体的に交差する16個の交差点にそれぞれ対応して設けられる。各切替スイッチSWは、対応の交差点を通る配線間に、対応のダイオードDと直列に接続される。このとき各ダイオードDは、配線LAから配線LBに向かう方向が順方向となるように接続される。以上を言換えると、切替スイッチSW0〜SW15は、端子A1〜A4と端子B1〜B4との16個の組合わせにそれぞれ対応して設けられる。各切替スイッチSWは、対応する組合わせのA群の端子とB群の端子との間に、対応のダイオードDと直列に接続される。各ダイオードDは、A群の端子からB群の端子に向かう方向が順方向となるように接続される。
【0020】
上記のキーマトリクス回路11において、キースイッチKYおよび切替スイッチSWの数は16個に限られないことは言うまでもない。マイコン10の端子A1〜A4,B1〜B4の数もキースイッチKYの総数および切替スイッチSWの総数に応じて増減される。
【0021】
端子A1〜A4と端子B1〜B4との全ての組合わせに対してキースイッチKYおよび切替スイッチSWの両方が配置される必要はない。A群の端子とB群の端子との複数の組合わせのうち一部の組合わせについては、キースイッチKYが設けられていなくてもよいし、切替スイッチSWが設けられていなくてもよい。切替スイッチSWの数は1個でもよい。
【0022】
[マイコン10の構成]
図2は、図1に示すマイコン10の内部構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
図2を参照して、マイコン10は、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)13と、データ転送部(DMAC:Direct Memory Access Controller)14と、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を有するメモリ15と、入出力インターフェース(IF:Interface)回路16と、割込み制御部(INTC:Interrupt Controller)17と、システム制御部(SYSC:System Controller)18と、電源回路19と、スイッチ用のMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ20とを含む。中央処理装置13、データ転送部14、メモリ15、および入出力インターフェース回路16は内部バス21を介して相互に接続される。
【0024】
中央処理装置13は、ROMに格納されたプログラムに従って、周辺装置とのデータのやり取りやデータの処理を行なう。具体的にこの発明に関連した機能として、中央処理装置13は、キーマトリクス回路11によるキー入力操作を検出するとともに、キー入力されたデータに基づいた処理を行なう。データ転送部14は、図示を省略したハードディスク装置などの外部記憶装置とメモリ15との間のデータ転送を制御する。
【0025】
マイコン10は、動作モードとして通常モードと待機モード(スリープモードまたは省電力モードとも称する)とを有する。上記の中央処理装置13およびデータ転送部14は、待機モード時に、電源電圧の供給が遮断される領域22に設けられる。待機モード時には、電源電圧の遮断に代えてクロックの供給を停止してもよい。
【0026】
メモリ15は、中央処理装置13の主記憶装置として用いられ、プログラムなどを記憶するためのROMと一時的なデータを記憶するためのRAMとを含む。メモリ15のRAMには、キーマトリクス回路11と接続された端子群A,Bに入力された信号を記憶するための領域M1A〜M4A,M1B〜M4Bが設けられている。
【0027】
入出力インターフェース回路16は、マイコン10とキーマトリクス回路11などの周辺装置とを接続するための回路であり、電圧レベル、正負論理、および動作タイミングなどの調整を行なう。この実施の形態の場合、入出力インターフェース回路16は、端子A1〜A4,B1〜B4を介してキーマトリクス回路11との間でLアクティブ(Low Active)の信号を入出力する。
【0028】
割込み制御部17は、キーマトリクス回路11などの周辺装置からの要求に基づく処理(外部割込み)や、実行中のプログラムのトラブルなどが原因で生じる処理(内部割込み)を行なう。具体的にこの発明に関連した処理として、割込み制御部17は、待機モード時にユーザがキースイッチを押圧した場合に、割込み発生をシステム制御部18などに通知する。
【0029】
システム制御部18は、マイコン10のシステム全体を制御するものであり、マイコン10の起動および停止や、動作モード(通常モード、待機モード)の変更などを制御する。
【0030】
電源回路19は、マイコン10内の各機能ブロックへの電源供給を制御する。たとえば、通常モードから待機モードに移行するときには、システム制御部18の指令に従って、電源回路19は、MOSトランジスタ20をオフ状態にすることによって中央処理装置13およびデータ転送部14への電源電圧の供給を停止する。
【0031】
図3は、図2に示す入出力インターフェース回路16において端子A1に接続される入出力バッファの構成例を示す回路図である。図1のA群、B群のいずれの端子にも図3と同様の回路が接続されるので、図3では端子A1に接続される回路が代表として示されている。
【0032】
図3を参照して、入出力インターフェース回路16は、端子A1と電源ノードVccとの間に直列に接続されるスイッチ31および抵抗素子32と、端子A1と接地ノードGNDとの間に接続されるNMOS(Negative-channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ33と、入力バッファ34とを含む。入力バッファ34の入力ノードは端子A1に接続される。入出力インターフェース回路16は、制御信号CTL1によってスイッチ31をオン状態またはオフ状態に切替えるとともに、制御信号CTL2によってNMOSトランジスタ33をオン状態またはオフ状態に切替える。抵抗素子32はプルアップ抵抗として用いられ、スイッチ31のオン/オフによって端子A1をプルアップするか否かが制御される。
【0033】
端子A1は、図2の中央処理装置13からの指令によって、出力端子および入力端子の一方に設定可能である。端子A1を出力端子として用いる場合には、スイッチ31はオン状態およびオフ状態のいずれに設定されていてもよい。オフ状態に設定されていたほうが、消費電力がより小さくなるので望ましい。スイッチ31がオン状態の場合には、NMOSトランジスタ33がオン状態のときにアクティブ信号(Lレベル(Low Level)の電圧)が端子A1から出力され、NMOSトランジスタ33がオフ状態のときに非アクティブ信号(Hレベル(High Level)の電圧)が端子A1から出力される。スイッチ31がオフ状態の場合には、NMOSトランジスタ33がオン状態のときにアクティブ信号(Lレベルの電圧)が端子A1から出力され、NMOSトランジスタ33がオフ状態のときに、端子A1は非アクティブ状態(ハイ・インピーダンス状態)になる。スイッチ31とNMOSトランジスタ33の両方ともがオン状態となる場合、スイッチ31を構成するMOSトランジスタの電流駆動能力は、抵抗素子32での電圧降下をも考慮してNMOSトランジスタ33よりも小さくなるように構成される。
【0034】
端子A1を入力端子として用いる場合には、スイッチ31はオン状態に設定される。端子A1にアクティブ信号(Lレベルの電圧)が入力された場合、入力バッファ34の出力はLレベルになる。端子A1に非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス)が入力された場合、端子A1は抵抗素子32によってプルアップされているのでHレベルの状態になり、この結果、入力バッファ34の出力はHレベルになる。
【0035】
[キースイッチおよび切替スイッチのオン/オフ検出]
図1を参照して、キースイッチKYおよび切替スイッチSWのオン/オフの検出方法について概要を説明する。
【0036】
キースイッチKYのいずれが押圧されているかを検出する場合には、端子A1〜A4が出力端子に設定され、端子B1〜B4が入力端子に設定される。マイコン10は、アクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を端子A1〜A4から相互に異なるタイミングで出力する(第1の検出動作)。このとき、マイコン10は、端子B1〜B4にアクティブ信号(Lレベルの電圧)が入力されたか否かに基づいて、押圧されたキースイッチKYを判定する。この場合、各ダイオードDは逆方向にバイアスされているので、切替スイッチSWの開閉状態は端子B1〜B4の入力信号には影響しない。
【0037】
各切替スイッチSWが導通状態であるか否かを検出する場合には、端子A1〜A4が入力端子に設定され、端子B1〜B4が出力端子に設定される。マイコン10は、アクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を端子B1〜B4から相互に異なるタイミングで出力する(第2の検出動作)。この場合、各ダイオードDは順方向にバイアスされるので、マイコン10は、端子A1〜A4にアクティブ信号(Lレベルの電圧)が入力されたか否かに基づいて、切替スイッチSWの開閉状態を検出することができる。ただし、キースイッチKYが押圧されている場合には切替スイッチSWの開閉状態とは無関係に、押圧されているキースイッチKYに対応するA群の端子にアクティブ信号(Lレベルの電圧)が入力される。このため、切替スイッチSWの開閉状態の判定に先立って、いずれのキースイッチKYも押圧されていないことを確認する必要がある(またはキースイッチKYの押下解除を検出した後に切替スイッチSWの開閉状態の検出を行なう)。
【0038】
次に、図4のタイミング図および図5、図6のフローチャートを参照して、キースイッチKYおよび切替スイッチSWのオン/オフの検出手順について詳しく説明する。
【0039】
図4は、図1の端子A1〜A4,B1〜B4の電圧変化を示す図である。図4の時刻t1から時刻t10までの区間SC1において、図1のマイコン10は端子A1〜A4の順番でアクティブ信号を出力し、端子B1〜B4によってそのアクティブ信号が検出されたか否かを判定する。これによって、キースイッチKYのいずれが押圧されているかを検出することができる。次の時刻t11から時刻t20までの区間SC2において、マイコン10は端子B〜B4の順番でアクティブ信号を出力し、端子A1〜A4によってそのアクティブ信号が検出されたか否かを判定する。これによって、各切替スイッチSWが導通状態であるか否かを検出することができる。ただし、時刻t11から時刻t20までの区間SC2の処理は、区間SC1でキー入力が検出されなかったときに限り実行される。
【0040】
図5は、図1のマイコン10によるキースイッチKYおよび切替スイッチSWのオン/オフの検出手順を示すフローチャートである。
【0041】
図6は、図5のステップS121における切替スイッチのオン/オフ検出処理の詳細を示すフローチャートである。以下、図4のタイミング図と対応付けながら、図5、図6の各ステップについて説明する。
【0042】
図1、図5を参照して、ステップS101で、マイコン10は、A群端子を出力端子に設定する。次のステップS102で、マイコン10は、B群端子を入力端子に設定する。続くステップS103で、マイコン10は、全てのA群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t1)。
【0043】
次のステップS104で、マイコン10は、端子A1からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図4の時刻t2)、このときの端子B1〜B4の各々の論理状態を検出する。そして、次のステップS105で、マイコン10は、検出結果を図2のメモリ15の領域M1Aに記憶する。これによって、キースイッチKY0〜KY3のうちで押圧されているキースイッチを検出することができる。たとえば、端子B1の論理状態がLレベルの場合にはキースイッチKY0が押圧されていると判定される。同様に、端子B2,B3,B4の各々の論理状態がLレベルであることにそれぞれ対応してキースイッチKY1,KY2,KY3の各々が押圧されていることが判定できる。
【0044】
次のステップS106で、マイコン10は、全てのA群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t3)。次のステップS107で、マイコン10は、端子A2からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図4の時刻t4)、このときの端子B1〜B4の各々の論理状態を検出する。そして、次のステップS108で、マイコン10は、検出結果を図2のメモリ15の領域M2Aに記憶する。これによって、キースイッチKY4〜KY7のうちで押圧されているキースイッチを検出することができる。
【0045】
次のステップS109で、マイコン10は、全てのA群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t5)。次のステップS110で、マイコン10は、端子A3からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図4の時刻t6)、このときの端子B1〜B4の各々の論理状態を検出する。そして、次のステップS111で、マイコン10は、検出結果を、図2のメモリ15の領域M3Aに記憶する。これによって、キースイッチKY8〜KY11のうちで押圧されているキースイッチを検出することができる。
【0046】
次のステップS112で、マイコン10は、全てのA群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t7)。次のステップS113で、マイコン10は、端子A4からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図4の時刻t8)、このときの端子B1〜B4の各々の論理状態を検出する。そして、次のステップS114で、マイコン10は、検出結果を、図2のメモリ15の領域M4Aに記憶する。これによって、キースイッチKY12〜KY15のうちで押圧されているキースイッチを検出することができる。
【0047】
次のステップS115で、マイコン10は、全てのA群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t9)。この後のステップS116〜S119で、マイコン10は、メモリの領域M1A,M2A,M3A,M4Aにキー入力有りを示すLレベルの論理状態に対応するデータが記憶されているか否かを判定する。ユーザが手動操作でキースイッチを押圧するのに要する時間に比べると、端子A1から端子A4まで順番にアクティブ信号を出力するのに要する時間は極めて短い。したがって、押圧されているキーは最大でも1個であると想定してよいので、マイコン10は、いずれか1つでもキー入力有りと判定した場合には(ステップS116〜S119でいずれか1つがYES)、その時点で対応するキースイッチの番号を判定する(ステップS120)。
【0048】
メモリの領域M1A〜M4Aのいずれか1つにキー入力有りを示すデータが記憶されていた場合には(ステップS116〜S119のいずれかでYES)、マイコン10は、ステップS121の切替スイッチSWのオン/オフ検出処理(図4の区間SC2)を実行しない。これに対して、いずれのメモリ領域M1A〜M4Aにもキー入力有りを示すデータが記憶されていない場合には(図4のステップS116〜S119のいずれもNO)、マイコン10は、次のステップS121に処理を進め、切替スイッチのオン/オフ検出処理(図4の区間SC2)を実行する。ステップS121の詳細は図6に示される。
【0049】
図1、図6を参照して、ステップS201で、マイコン10は、B群端子を出力端子に設定する。次のステップS202で、マイコン10は、A群端子を入力端子に設定する。続いて、ステップS203で、マイコン10は、全てのB群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する。
【0050】
次のステップS204で、マイコン10は、端子B1からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図4の時刻t12)、このときの端子A1〜A4の各々の論理状態を検出する。そして、次のステップS205で、マイコン10は、検出結果を図2のメモリ15の領域M1Bに記憶する。これによって、切替スイッチSW0〜SW3の各々が導通状態であるか否かを検出することができる。たとえば、端子A1の論理状態がLレベルの場合には切替スイッチSW0が導通状態(オン状態)であると判定される。同様に、端子A2,A3,A4の論理状態がLレベルの場合には、切替スイッチSW1,SW2,SW3がそれぞれ導通状態(オン状態)であると判定できる。
【0051】
次のステップS206で、マイコン10は、全てのB群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t13)。次のステップS207で、マイコン10は、端子B2からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図4の時刻t14)、このときの端子A1〜A4の各々の論理状態を検出する。そして、次のステップS208で、マイコン10は、検出結果を図2のメモリ15の領域M2Bに記憶する。これによって、切替スイッチSW4〜SW7の各々が導通状態であるか否かを検出することができる。
【0052】
次のステップS209で、マイコン10は、全てのB群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t15)。次のステップS210で、マイコン10は、端子B3からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図4の時刻t16)、このときの端子A1〜A4の各々の論理状態を検出する。そして、次のステップS211で、マイコン10は、検出結果を、図2のメモリ15の領域M3Bに記憶する。これによって、切替スイッチSW8〜SW11の各々が導通状態であるか否かを検出することができる。
【0053】
次のステップS212で、マイコン10は、全てのB群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t17)。次のステップS213で、マイコン10は、端子B4からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図4の時刻t18)、このときの端子A1〜A4の各々の論理状態を検出する。そして、次のステップS214で、マイコン10は、検出結果を、図2のメモリ15の領域M4Bに記憶する。これによって、切替スイッチSW12〜SW15の各々が導通状態であるか否かを検出することができる。
【0054】
次のステップS215で、マイコン10は、全てのB群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図4の時刻t19)。この後のステップS216〜S220で、マイコン10は、メモリの領域M1B,M2B,M3B,M4Bに記憶されたデータに基づいて、切替スイッチSW0〜SW15の各々が導通状態であるか非導通状態であるかを判定する。キースイッチKYの場合と同様に、ユーザが手動装置によって切替スイッチSWを切替えるのに要する時間に比べると、端子B1から端子B4まで順番にアクティブ信号を出力するのに要する時間は極めて短い。したがって、オン状態またはオフ状態に切替えられる切替スイッチSWは最大でも1個であると想定することができる。したがって、前回オン/オフ判定したときの各切替スイッチSWの状態を記憶しておき、いずれか1つの切替スイッチSWがオン状態またはオフ状態に切替えられたことを示すデータがメモリの領域M1B,M2B,M3B,M4Bに記憶されていれば(ステップS216〜S219でいずれか1つがYES)、マイコン10は、その時点で切替えられたスイッチの番号を判定する(ステップS220)。以上によって、切替スイッチSWのオン/オフの検出処理(図5のステップS121)が終了する。
【0055】
[キースイッチおよび切替スイッチのオン/オフ検出の具体例]
図7は、キースイッチKY12が押圧された場合の端子A1〜A4,B1〜B4の電圧波形を示す図である。
【0056】
図1、図7を参照して、端子A1,A2,A3からアクティブ信号が出力されたとき(区間t2〜t3、区間t4〜t5、区間t6〜t7)には、端子B1〜B4の論理状態はHレベルのままで変化がない。端子A4からアクティブ信号が出力されたとき(区間t8〜t9)、キースイッチKY12が導通状態であることによって端子B1の論理状態がLレベルになる。このとき、他の端子B2〜B4の論理状態には変化がない。この端子B1の論理状態の変化によってキースイッチKY12が押圧されたことが判定できる。
【0057】
図8は、切替スイッチSW0,SW8,SW10がオン状態の場合の端子A1〜A4,B1〜B4の電圧波形を示す図である。他の切替スイッチSWはオフ状態であるとし、いずれのキースイッチKYも押圧されていないとする。
【0058】
図1、図8を参照して、端子A1,A2,A3,A4からアクティブ信号が出力されたとき(区間t2〜t3、区間t4〜t5、区間t6〜t7、区間t8〜t9)には、端子B1〜B4の論理状態はHレベルのままで変化がない。これによっていずれのキースイッチKYも押圧されていないことが判定される(図5のS116〜S119でいずれもNO)。そこで、切替スイッチSWのオン/オフの検出処理(図5のステップS121)に進む。
【0059】
次に、端子B1からアクティブ信号が出力されたとき(区間t12〜t13)、切替スイッチSW0がオン状態であるので端子A1の論理状態がLレベルになる。切替スイッチSW1〜SW3はオフ状態であるので他の端子A2〜A4の論理状態はHレベルのままで変化がない。
【0060】
次に、端子B2からアクティブ信号が出力されたとき(区間t14〜t15)、切替スイッチSW4〜SW7はいずれもオフ状態であるので端子A1〜A4の論理状態はHレベルのままで変化がない。
【0061】
次に、端子B3からアクティブ信号が出力されたとき(区間t16〜t17)、切替スイッチSW8,SW10がオン状態であるので、端子A1,A3の論理状態がLレベルになる。切替スイッチSW9,SW11はオフ状態であるので、端子A2,A4の論理状態はHレベルのままで変化がない。
【0062】
次に、端子B4からアクティブ信号が出力されたとき(区間t18〜t19)、切替スイッチSW12〜SW15はいずれもオフ状態であるので、端子A1〜A4の論理状態はHレベルのままで変化がない。
【0063】
以上のように、端子B1から端子B4まで順番にアクティブ信号を出力したときの端子A1〜A4の論理レベルの変化を検出することによって、各切替スイッチSWがオン状態であるか、オフ状態であるかを判定することができる。
【0064】
[キーオンウェイクアップ機能]
再び図1を参照して、キーオンウェイクアップ機能の概要について説明する。マイコン10が待機状態のとき、端子A1〜A4が出力端子に設定され、端子B1〜B4が入力端子に設定される。マイコン10は、アクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を端子A1〜A4の全てから同じタイミングで出力し続ける。いずれかのキースイッチKYが押下されるまでは端子A群の接続される配線LAと端子B群の接続される配線LB又はLCは非接続状態となるため、夫々の配線の電位が一定となるまでは電流が流れるものの、電位が安定した後は、キースイッチKY又は切替スイッチSW等を介して流れるリーク電流による電位低下を補充する程度の電流を流すのみとなり、キーマトリクスで消費する消費電力は相対的に小さなものとなる。
【0065】
いずれかのキースイッチKYが押下された場合、配線LAと配線LCとが押下されたキースイッチKYにより接続され、マイコン10は、端子B1〜B4のいずれかにアクティブ信号(Lレベルの電圧)が入力されたことを検出したことによって、いずれかのキースイッチKYが押圧されたことを検知する。この場合、各ダイオードDは逆方向にバイアスされているので、切替スイッチSWの開閉状態は端子B1〜B4の入力信号には影響しない。マイコン10は、端子B1〜B4のいずれかにアクティブ信号(Lレベルの電圧)が入力されたことに応答して、待機状態から通常状態に復帰する。
【0066】
図9は、通常状態および待機状態における端子A1〜A4,B1〜B4の電圧波形を示す図である。図1、図9を参照して、時刻t101までの通常状態のとき、マイコン10は端子A1〜A4からアクティブ信号を出力することによってキースイッチKYが押圧されているか否かを検出する。
【0067】
時刻t101で待機状態に移行すると、マイコン10は、端子A1〜A4を出力端子に設定し、全ての端子A1〜A4からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し続ける。このとき、端子B1〜B4は入力端子に設定される。時刻t101から時刻t102までは端子B1〜B4の論理状態はいずれもHレベルであり、キー入力は検出されていない。
【0068】
時刻t102で、キースイッチKY3,KY7,KY11,KY15のいずれかが押圧されると、マイコン10は、端子B4がLレベルに変化したことによってそのキー入力を検知し、次の時刻t103に通常状態に復帰する。
【0069】
図10は、図2のマイコン10におけるキーオンウェイクアップ処理の手順を示すフローチャートである。
【0070】
図2、図10を参照して、最初のステップS301においてマイコン10は待機状態であり、中央処理装置13は停止状態であるとする。ステップS301で、入出力インターフェース回路16は、キーマトリクス回路11から図1の端子B1〜B4に入力される信号に変化があるか否かを検出する。そして、入出力インターフェース回路16は、入力信号の変化を検知した場合(ステップS301でYES)、割込み制御部17にキー入力による割込みがあったことを通知する信号を出力する(ステップS302)。
【0071】
割込み制御部17は、入出力インターフェース回路16から割込み通知信号を受けると、中央処理装置13とシステム制御部18とに割込み発生を通知する(ステップS303)。システム制御部18は、割込み発生の通知を受けると、電源回路19を制御することによって、中央処理装置13およびデータ転送部14に対して電源電圧の供給を開始する(ステップS304)。これによって、中央処理装置13は動作を開始する。
【0072】
中央処理装置13は、電源供給が開始されると、レジスタの初期化などの初期化処理を実行する(ステップS305)。その後、中央処理装置13は、割込み制御部17からの割込発生の通知に応じた処理を実行する(ステップS306)。この場合、押下されたキースイッチKYに対応した処理も含まれる。
【0073】
その後、全ての割込み処理が終了するとともに、所定時間、キー入力操作がないなどの待機状態に移行するための条件が満たされている場合には(ステップS307でYES)、中央処理装置13は待機状態への移行をシステム制御部18に通知する(ステップS308)。システム制御部18は、待機状態への移行通知を受けると、中央処理装置13およびデータ転送部14に電源電圧の供給を停止するように電源回路19を制御する(ステップS309)。これによって、中央処理装置13は動作を停止する。以下、ステップS301以降の各ステップが繰返される。
【0074】
このように、実施の形態1のキー入力装置1によれば、各切替スイッチSWと直列にダイオードDが設けられ、この切替スイッチSWおよびダイオードDの直列体と並列にキースイッチKYが設けられる。これによって、キーオンウェイクアップ機能に用いられるキースイッチKYと共通の入出力端子A1〜A4,B1〜B4に切替スイッチSWを接続することでき、従来よりも入出力端子を削減することができる。
【0075】
[変形例]
図11は、図3に示した入出力バッファの変形例を示す図である。図11に示す回路は、NMOSトランジスタ33に代えてPMOS(Positive-channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ35が設けられる点と、スイッチ31および抵抗素子32とMOSトランジスタとの接続が逆である点で、図3に示す回路と異なる。したがって、抵抗素子32はプルダウン抵抗として用いられ、スイッチ31のオン/オフによって端子A1をプルダウンするか否かが制御される。
【0076】
端子A1を出力端子に設定する場合には、スイッチ31はオン状態およびオフ状態のいずれに設定されていてもよい。PMOSトランジスタ35がオン状態のときに、アクティブ信号(Hレベルの電圧)が出力される。一方、端子A1を入力端子に設定する場合には、スイッチ31をオン状態にする。これによって、端子A1にアクティブ信号(Hレベルの電圧)が入力されたときに限り、端子A1の論理状態はHレベルになる。
【0077】
このように、図11の回路の場合には、Hアクティブの信号が図1の端子A1〜A4,B1〜B4において入出力される。この場合、図1の各ダイオードDの極性を逆にする必要があるが、その他の点は図1のキー入力装置1と同じにしてよい。
【0078】
図12は、図3に示した入出力バッファの他の変形例を示す図である。図12に示す回路は、マイコンの汎用入出力ポートとして用いられるもので、端子A1には出力バッファ36と入力バッファ37とが接続される。出力バッファ36にはスリー・ステート・バッファが用いられ、端子A1を入力端子として用いる場合には制御信号CTLによって出力バッファ36の出力ノードがハイ・インピーダンス状態に設定される。
【0079】
図13は、図1のキー入力装置1の変形例としてのキー入力装置2の構成を示す回路図である。図13のキーマトリクス回路11Aは、16個のダイオードD0〜D15に代えて4個のダイオードDA0〜DA3が設けられる点で図1のキーマトリクス回路11と異なる。ダイオードDA0は、切替スイッチSW0,SW4,SW8,SW12の各々に対応し、各対応の切替スイッチと直列に接続される。同様に、ダイオードDA1は、切替スイッチSW1,SW5,SW9,SW13の各々と対応し、各対応の切替スイッチと直列に接続される。ダイオードDA2は、切替スイッチSW2,SW6,SW10,SW14の各々と対応し、各対応の切替スイッチと直列に接続される。ダイオードDA3は、切替スイッチSW3,SW7,SW11,SW15の各々と対応し、各対応の切替スイッチと直列に接続される。したがって、各切替スイッチSWは、ダイオードDA0〜DA3のいずれか1つと対応していることになる。図13のその他の構成は図1の場合と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0080】
図13のキー入力装置2においても、端子A1〜A4の各々から出力されるアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)は、ダイオードDA0〜DA3によって阻止される。したがって、各キースイッチKYのいずれが押圧されたか否かの検出は可能であるし、キーオンウェイクアップ動作も可能である。しかしながら、各切替スイッチSWがオン状態であるか否かの検出はできない場合がある。
【0081】
たとえば、図13に示すように、切替スイッチSW0,SW4,SW5がオン状態であり、その他の切替スイッチがオフ状態であったとする。この場合、図1に示すキー入力装置1であれば、端子B1からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力したときに、切替スイッチSW1がオフ状態であるので端子A2によってアクティブ信号(Lレベルの電圧)は検出されない。ところが、図13のキー入力装置2の場合には、端子B1から出力されたアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)が、図13に矢印で示す経路(すなわち、切替スイッチSW0,SW4,SW5の順)を通って端子A2で検出されてしまい、切替スイッチSW1のオン/オフが検出できなくなる。
【0082】
ただし、切替スイッチSWの開閉状態を制限すれば、図13のキーマトリクス回路11Aでも各切替スイッチSWのオン/オフの検出は可能である。たとえば、A群の各端子に対応する4個の切替スイッチSW(たとえば、端子A1に対応する切替スイッチSW0,SW4,SW8,SW12)が2個以上同時にオン状態にならないようにハードウェアを構成するか、もしくはA群の各端子に対応する4個の切替スイッチSWが2個以上オン状態になるときはソフトウェアによって無効になるようにすればよい。
【0083】
<実施の形態2>
図14は、この発明の実施の形態2によるキー入力装置3の構成を示す回路図である。図14のキーマトリクス回路11Bは、キースイッチKY0が設けられていない点と、1個の切替スイッチSW0および1個のダイオードD0のみが設けられている点で、図1のキーマトリクス回路11と異なる。図14のその他の構成は図1の場合と共通するので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0084】
実施の形態2のキー入力装置は、A群の端子A1〜A4とB群の端子B1〜B4とのいずれの組合わせに対しても、キースイッチKYおよび切替スイッチSWの両方が対応することはないように構成される。このような構成では、キースイッチKYが押圧されていたとしても、切替スイッチSWのオン/オフの判定に影響がない。したがって、キースイッチKYのオン/オフの判定結果とは関係なく、切替スイッチSWのオン/オフ判定を行なうことができる。
【0085】
具体的に図14に示す切替スイッチSW0の場合には、端子A1,B1間に接続されるキースイッチはない。したがって、端子B1からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力したときに、キースイッチKYのオン/オフとは無関係に、端子A1の論理状態がLレベルになるか否かによって切替スイッチSW0のオン/オフを判定することができる。
【0086】
図15は、図14の端子A1〜A4,B1〜B4の電圧変化を示す図である。図15の時刻t1から時刻t10までの区間SC1において、図14のマイコン10は端子A1〜A4の順番でアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し、端子B1〜B4によってそのアクティブ信号が検出されたか否かを判定する。これによって、キースイッチKYのいずれが押圧されているかを検出することができる。次の時刻t11から時刻t20までの区間SC2において、マイコン10は端子B1からアクティブ信号を出力し、端子A1によってそのアクティブ信号が検出されたか否かを判定する。これによって、切替スイッチSW0が導通状態であるか否かが検出される。実施の形態1の場合と異なり、区間SC2では、切替スイッチSW0に対応する端子B1のみからアクティブ信号を出力すれば十分である(図15の時刻t12〜時刻t13)。さらに、時刻t11から時刻t20までの区間SC2の処理は、区間SC1でのキー入力の検出結果とは無関係に実行される。
【0087】
図16は、図14のマイコン10によるキースイッチKYおよび切替スイッチSW0のオン/オフの検出手順を示すフローチャートである。
【0088】
図5に示す手順では、ステップS120の後にはステップS121が実行されなかったのに対して、図16に示す手順では、ステップS120の後に必ずステップS121Aが実行される。すなわち、図16の場合には、ステップS116〜S120において実行されるキー入力の有無の判定結果とは無関係に、ステップS121Aに示す切替スイッチのオン/オフの検出処理が行なわれる。図16のその他の点は図5の場合と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0089】
図17は、図16のステップS121Aにおける切替スイッチのオン/オフの検出処理の詳細を示すフローチャートである。図17を参照して、ステップS201〜203は図6の場合と同じであるので説明を繰返さない。
【0090】
次のステップS204Aで、図14のマイコン10は、端子B1からアクティブ信号(Lレベルの検出電圧)を出力し(図15の時刻t12)、このときの端子A1の論理状態を検出する。そして、次のステップS205Aで、マイコン10は、検出結果を図2のメモリ15の領域M1Bに記憶する。これによって、切替スイッチSW0が導通状態であるか否かを検出することができる。
【0091】
次のステップS206で、図14のマイコン10は、全てのB群端子から非アクティブ信号(Hレベルの電圧またはハイ・インピーダンス状態)を出力する(図15の時刻t13)。この後のステップS220Aで、マイコン10は、メモリの領域M1Bに記憶されたデータに基づいて、切替スイッチSW0が導通状態であるか非導通状態であるかを判定する。以上によって、切替スイッチのオン/オフの検出処理(図5のステップS121A)が終了する。
【0092】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0093】
1,2,3 キー入力装置、10 マイコン、11,11A,11B キーマトリクス回路、A1〜A4,B1〜B4 入出力端子、D0〜D15,DA0〜DA3 ダイオード、KY0〜KY15 キースイッチ、SW0〜SW15 切替スイッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の端子および複数の第2の端子を含み、前記複数の第1の端子の各々および前記複数の第2の端子の各々から所定の論理レベルの検出電圧を出力する制御回路と、
前記複数の第1の端子と前記複数の第2の端子との複数の組合わせのうち少なくとも一部の組合わせにそれぞれ対応して設けられ、各々が、押圧されたときに導通状態になる複数のキースイッチと、
前記複数の第1の端子と前記複数の第2の端子との複数の組合わせのうち少なくとも一部の組合わせにそれぞれ対応して設けられ、各々が、導通状態と非導通状態とに切替可能である1または複数の切替スイッチと、
各々が、前記1または複数の切替スイッチのうちの少なくとも1つの切替スイッチに対応する1または複数のダイオードとを備え、
前記1または複数の切替スイッチの各々は、前記1または複数のダイオードのうちのいずれか1つのダイオードに対応し、
前記複数のキースイッチの各々は、対応する組合せの第1および第2の端子間に接続され、押圧されたときに対応する組合わせの第1および第2の端子間を導通させ、
前記1または複数の切替スイッチの各々は、対応する組合せの第1および第2の端子間に、対応のダイオードと直列に接続され、導通状態のときに対応する組合わせの第2の端子から出力された前記検出電圧を対応のダイオードを介して対応する組合せの第1の端子に入力させる、キー入力装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記複数のキースイッチに対応する各第1の端子から相互に異なるタイミングで前記検出電圧を出力する第1の検出動作と、前記1または複数の切替スイッチに対応する各第2の端子から相互に異なるタイミングで前記検出電圧を出力する第2の検出動作とを行ない、
前記制御回路は、前記第1の検出動作時に、前記複数のキースイッチに対応する各第2の端子に前記検出電圧が入力されたか否かに基づいて、前記複数のキースイッチのうちいずれが押圧されたかを判定し、
前記制御回路は、前記第2の検出動作時に、前記1または複数の切替スイッチに対応する各第1の端子に前記検出電圧が入力されたか否かに基づいて、前記1または複数の切替スイッチの各々が導通状態であるか否かを判定する、請求項1に記載のキー入力装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記第1および第2の検出動作を行なう通常モードと、待機モードとを有し、
前記制御回路は、前記待機モード時には、前記複数のキースイッチに対応する第1の端子の全てから同じタイミングで前記検出電圧を出力する第3の検出動作を行ない、
前記制御回路は、前記第3の検出動作時に、前記複数のキースイッチに対応する第2の端子のいずれかに前記検出電圧が入力されたことに応答して前記通常モードに復帰する、請求項2に記載のキー入力装置。
【請求項4】
前記1または複数のダイオードは、前記1または複数の切替スイッチにそれぞれ対応して1つずつ設けられる、請求項3に記載のキー入力装置。
【請求項5】
共通の第1および第2の端子間にキースイッチおよび切替スイッチの両方が接続されている場合には、前記制御回路は、前記第1の検出動作時にいずれのキースイッチも押圧されていないと判定したときに限り、前記第2の検出動作を行なって前記複数の切替スイッチの各々が導通状態であるか否かを判定する、請求項3または4に記載のキー入力装置。
【請求項6】
いずれの第1および第2の端子間にもキースイッチおよび切替スイッチの両方が接続されていない場合には、前記制御回路は、前記第1の検出動作時の判定結果に拘らず前記第2の検出動作を行ない、前記第2の検出動作時に、前記1または複数の切替スイッチに対応する各第1の端子に前記検出電圧が入力されたか否かのみに基づいて、前記複数の切替スイッチの各々が導通状態であるか否かを判定する、請求項3または4に記載のキー入力装置。
【請求項1】
複数の第1の端子および複数の第2の端子を含み、前記複数の第1の端子の各々および前記複数の第2の端子の各々から所定の論理レベルの検出電圧を出力する制御回路と、
前記複数の第1の端子と前記複数の第2の端子との複数の組合わせのうち少なくとも一部の組合わせにそれぞれ対応して設けられ、各々が、押圧されたときに導通状態になる複数のキースイッチと、
前記複数の第1の端子と前記複数の第2の端子との複数の組合わせのうち少なくとも一部の組合わせにそれぞれ対応して設けられ、各々が、導通状態と非導通状態とに切替可能である1または複数の切替スイッチと、
各々が、前記1または複数の切替スイッチのうちの少なくとも1つの切替スイッチに対応する1または複数のダイオードとを備え、
前記1または複数の切替スイッチの各々は、前記1または複数のダイオードのうちのいずれか1つのダイオードに対応し、
前記複数のキースイッチの各々は、対応する組合せの第1および第2の端子間に接続され、押圧されたときに対応する組合わせの第1および第2の端子間を導通させ、
前記1または複数の切替スイッチの各々は、対応する組合せの第1および第2の端子間に、対応のダイオードと直列に接続され、導通状態のときに対応する組合わせの第2の端子から出力された前記検出電圧を対応のダイオードを介して対応する組合せの第1の端子に入力させる、キー入力装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記複数のキースイッチに対応する各第1の端子から相互に異なるタイミングで前記検出電圧を出力する第1の検出動作と、前記1または複数の切替スイッチに対応する各第2の端子から相互に異なるタイミングで前記検出電圧を出力する第2の検出動作とを行ない、
前記制御回路は、前記第1の検出動作時に、前記複数のキースイッチに対応する各第2の端子に前記検出電圧が入力されたか否かに基づいて、前記複数のキースイッチのうちいずれが押圧されたかを判定し、
前記制御回路は、前記第2の検出動作時に、前記1または複数の切替スイッチに対応する各第1の端子に前記検出電圧が入力されたか否かに基づいて、前記1または複数の切替スイッチの各々が導通状態であるか否かを判定する、請求項1に記載のキー入力装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記第1および第2の検出動作を行なう通常モードと、待機モードとを有し、
前記制御回路は、前記待機モード時には、前記複数のキースイッチに対応する第1の端子の全てから同じタイミングで前記検出電圧を出力する第3の検出動作を行ない、
前記制御回路は、前記第3の検出動作時に、前記複数のキースイッチに対応する第2の端子のいずれかに前記検出電圧が入力されたことに応答して前記通常モードに復帰する、請求項2に記載のキー入力装置。
【請求項4】
前記1または複数のダイオードは、前記1または複数の切替スイッチにそれぞれ対応して1つずつ設けられる、請求項3に記載のキー入力装置。
【請求項5】
共通の第1および第2の端子間にキースイッチおよび切替スイッチの両方が接続されている場合には、前記制御回路は、前記第1の検出動作時にいずれのキースイッチも押圧されていないと判定したときに限り、前記第2の検出動作を行なって前記複数の切替スイッチの各々が導通状態であるか否かを判定する、請求項3または4に記載のキー入力装置。
【請求項6】
いずれの第1および第2の端子間にもキースイッチおよび切替スイッチの両方が接続されていない場合には、前記制御回路は、前記第1の検出動作時の判定結果に拘らず前記第2の検出動作を行ない、前記第2の検出動作時に、前記1または複数の切替スイッチに対応する各第1の端子に前記検出電圧が入力されたか否かのみに基づいて、前記複数の切替スイッチの各々が導通状態であるか否かを判定する、請求項3または4に記載のキー入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−108767(P2012−108767A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257754(P2010−257754)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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