説明

キー取付構造

【課題】操作キーを手前側からパネル枠に容易に組み付けることができてガタや光漏れも生じにくいキー取付構造を提供すること。
【解決手段】操作キー1を手前側からパネル枠2に組み付ける際に、一対の弾性腕片12を対応する切欠き部22に挿入し、両弾性腕片12の鉤状の先端部12aを対応する規制凸部23の背面側に当接させると、位置決め壁26が両弾性腕片12の左右方向への移動を規制し、規制凸部23が両弾性腕片12の手前側への移動を規制する。また、操作キー1の奥側への移動はパネル枠2の開口20周縁部で規制され、ストッパ爪14の手前側への移動は規制壁25で規制される。こうして操作キー1を仮保持した後、両弾性腕片12の先端部12a近傍部をパネル枠2の上動規制部27と支持部材6の突出片60とで上下方向から挟持すると、該挟持箇所が支点部となって操作キー1は片持ち状に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作キーを押圧操作できるようにパネル枠に取り付けるキー取付構造に係り、特に、パネル枠に対して手前側から組み付けることによって操作キーが片持ち状に支持されるようにしたキー取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用の音響機器等においては、液晶表示装置等の表示画面が配設されたパネルユニットを機器本体の前面に配置し、通常はパネルユニットで覆われているメディア挿入口等を必要時だけ露出させるようにした前面パネル装置が広く採用されている。この種の車載用前面パネル装置では、表示画面を包囲するパネル枠の下辺等に沿って複数の操作キーが並設されており、これら操作キーをユーザが選択的に操作することによって、パネルユニットの開閉動作や音量調整等が行われるようになっているため、操作キーのキートップ(操作面)に相応の大きさが要求される。また、夜間等におけるキートップの視認性を確保するため、操作キーの奥側から光を照射してキートップを照光可能とした構造のものが一般的であり、その場合、キートップの周囲に照光用光源の光が極力漏れないようにするという光漏れ対策が必要となる。
【0003】
そこで従来より、操作キーのキートップ周縁部に鍔部を設けておき、パネル枠に穿設した開口に奥側からキートップを挿入して手前へ突出させると共に、この鍔部をパネル枠の背面側で開口の周縁部に当接させるというキー取付構造が知られている。かかる従来のキー取付構造においては、操作キーの開口からの脱落が鍔部によって防止されると共に、操作キーの奥側から照射される照光用光源の光が開口を通って前方向へ漏れないように鍔部で遮光することができる。
【0004】
しかしながら、操作キーのキートップ周縁部に鍔部を付設すると、操作キーの外形寸法が大きくなってしまうため、隣接して配置されるキートップどうしの間に広めの間隔を確保しておかねばならない。それゆえ、かかる従来のキー取付構造を採用すると、操作キー全体に占めるキートップの割合が鍔部によって減じられてしまうため、パネル枠の限られた設置スペースに必要数の操作キーを並設した場合、各操作キーのキートップが小さくなって操作性を低下させることになる。
【0005】
これに対して、特許文献1に開示されているキー取付構造では、操作キーのキートップ周縁部に鍔部が設けられておらず、隣接して配置されるキートップどうしの間隔を狭めることができるため、操作キーに占めるキートップの割合が大きくなって操作性を高めることができる。また、このキー取付構造においては、操作キーのキートップ背面に突設した弾性変形可能な左右一対の取付片を、手前側からパネル枠の一対の係止孔に挿入することによって、各取付片の先端部がパネル枠の背面側に係止され、これにより操作キーがパネル枠にスナップ止めできるようになっている。これら一対の取付片はキートップ背面の上端近傍に配設されているため、パネル枠に係止された各取付片の先端部が支点部となって操作キーは片持ち状に支持されることになり、よって操作キーを押圧操作可能な状態でパネル枠に取り付けることができる。
【0006】
すなわち、ユーザが操作キーのキートップを押圧操作すると、各取付片を支点部と基端部との間で弾性変形させながらキートップの下部側が奥へ向かって移動するため、キートップ背面に突設されている駆動突起によってプッシュスイッチ等のスイッチ素子をオン動作させることができる。また、キートップに対する押圧操作力が取り除かれると、取付片が弾性復帰するのに伴ってキートップが非操作位置(初期位置)へ戻るため、スイッチ素子をオフ状態に自動復帰させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公平2−24180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、特許文献1に開示されているキー取付構造は、操作キーに設けた一対の取付片を手前側からパネル枠の係止孔に挿入してスナップ止めするというものであるが、スナップ止めによる取付構造には若干のガタが避け難いため、非操作時に操作キーのキートップがパネル枠に対してガタを生じてしまうという問題があった。また、照光用光源の光がキートップのガタ発生箇所から外部へ漏れやすくなるという問題もあった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、操作キーを手前側からパネル枠に容易に組み付けることができてガタや光漏れも生じにくいキー取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、キートップの背面にスイッチ素子を押圧する駆動突起が突設された操作キーと、前記キートップで蓋閉される開口を有するパネル枠とを備え、前記操作キーを前記パネル枠に対して手前側から組み付けることにより、前記操作キーが前記パネル枠に片持ち状に支持されて押圧操作可能となるキー取付構造において、前記操作キーに、前記キートップ背面の一辺端付近の2箇所から奥側へ向かって突出して先端部を鉤状となした一対の弾性腕片と、前記キートップ背面の他辺端付近に存して前記パネル枠に係脱可能なストッパ爪とを設けると共に、前記パネル枠に、前記弾性腕片が挿入される切欠き部と、この切欠き部内に迫り出して前記弾性腕片の先端部の手前側への移動を規制する第1の規制部と、前記両弾性腕片の相対向する内側面に係合する第2の規制部と、前記ストッパ爪に許容される最も手前側の位置で該ストッパ爪を掛止する第3の規制部と、前記第1の規制部の奥側に位置する第4の規制部とを設け、前記弾性腕片の一部を前記第4の規制部と別体の押え部材とで挟持することにより、この挟持箇所を支点部として前記操作キーが前記パネル枠に片持ち状に支持される構成とした。
【0011】
このような構成のキー取付構造では、操作キーを手前側からパネル枠に組み付ける際に、操作キーに設けた一対の弾性腕片をパネル枠の対応する切欠き部に挿入し、両弾性腕片の鉤状の先端部を対応する第1の規制部の背面側に当接させることによって、第2の規制部が両弾性腕片の延出方向と直交する方向への移動を規制し、且つ第1の規制部が両弾性腕片の手前側への移動を規制するようになっている。しかも、操作キーの奥側への移動はパネル枠の開口周縁部で規制することができ、ストッパ爪の手前側への移動は第3の規制部によって規制することができる。つまり、所望の取付位置に嵌め込むようにして操作キーをパネル枠に手前側から組み付ければ、この操作キーを仮保持状態となすことができる。そして、かかる仮保持状態で両弾性腕片の一部を第4の規制部と押え部材とで挟持すれば、操作キーの支点部となる挟持箇所が前後方向と左右方向および上下方向に位置決めされた状態で確実に固定されることになる。
【0012】
上記の構成において、一対の弾性腕片の先端部どうしが互いに離反する向きに延びていると、パネル枠の開口から外れた位置に押え部材を配置させることが容易となるため、照光用光源の光を開口内へ効率良く照射することができて好ましい。この場合において、パネル枠に、一対の弾性腕片が個別に挿入される一対の前記切欠き部の間に延在する位置決め壁を設け、この位置決め壁を第2の規制部となせば、位置決め精度が高めやすくなって好ましい。
【0013】
また、上記の構成において、スイッチ素子が実装された回路基板を支持する支持部材を備え、この支持部材に手前側へ突出して弾性腕片に当接する突出片を設け、この突出片を押え部材となせば、部品点数を増やさずに操作キーの支点部を簡単かつ確実に挟持することができるため好ましい。
【0014】
また、上記の構成において、操作キーに、キートップ背面の他辺端近傍から奥へ向かって突出しつつ該他辺端に沿って延在する補強延在部を設け、この補強延在部の突出先端側にストッパ爪を設けると共に、この補強延在部を挿入して配置させるためのスリットをパネル枠に設けておけば、キートップの他辺端部へのユーザの指や爪等の引っ掛かりによってストッパ爪が第3の規制部から不所望に外れてしまうという事故を未然に防止できる。また、補強延在部を設けることでキートップの剛性が高まるため、キートップの他辺端部に押圧操作力が付与されるという端押しが行われた場合にも、キートップが不所望に撓んで破損する虞がなくなる。さらに、操作キーの奥側からパネル枠の開口へ照射された照光用光源の光がキートップの他辺端部へ向かって進んだ場合にも、この光は補強延在部に遮られて外部へ漏れにくくなるため、光漏れの防止効果が高まる。
【0015】
また、上記の構成において、パネル枠が、キートップの一辺端部に覆われる部位を該キートップ背面と近接する位置まで延在させていると、操作キーの奥側からパネル枠の開口へ照射された照光用光源の光がキートップの一辺端部へ向かって進んだ場合にも、この光はパネル枠の前記部位とキートップの一辺端部とに遮られて外部へ漏れにくくなるため、光漏れの防止効果が高まる。
【0016】
また、上記の構成において、パネル枠の開口の周縁部に突堤部を設けると共に、操作キーのキートップ背面に突堤部が挿入可能な凹溝部を設けておけば、操作キーの奥側からパネル枠の開口へ照射された照光用光源の光がキートップ背面に沿って突堤部側へ進んだ場合にも、この光は突堤部と凹溝部間の隙間を通過する際に大きく進路を変更しなければならないため、外部への光漏れの防止効果が高まる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のキー取付構造によれば、操作キーを手前側からパネル枠に組み付ける際に、操作キーの背面側に突設されている一対の弾性腕片をパネル枠の対応する切欠き部に挿入し、両弾性腕片の鉤状の先端部を対応する第1の規制部の背面側に配置させることによって、第2の規制部が両弾性腕片の延出方向と直交する方向への移動を規制し、且つ第1の規制部が両弾性腕片の手前側への移動を規制するようになっている。しかも、操作キーの奥側への移動はパネル枠の開口周縁部で規制することができ、ストッパ爪の手前側への移動は第3の規制部によって規制することができる。つまり、所望の取付位置に嵌め込むようにして操作キーをパネル枠に手前側から組み付ければ、この操作キーを仮保持状態となすことができる。そして、かかる仮保持状態で両弾性腕片の一部を第4の規制部と押え部材とで挟持すれば、操作キーの支点部となる挟持箇所が前後方向と左右方向および上下方向に位置決めされた状態で確実に固定されることになる。それゆえ、このキー取付構造によれば、操作キーをガタのない状態でパネル枠に容易に組み付けることができ、照光用光源の光がキートップのガタ発生箇所から外部へ漏れる可能性も低くなる。また、このキー取付構造は、操作キーのキートップ周縁部に鍔部が不要なため、隣接して配置されるキートップどうしの間隔を狭めることができ、パネル装置の小型化に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態例に係るキー取付構造を採用した車載用前面パネル装置の外観図である。
【図2】図1の前面パネル装置に備えられるパネル枠の正面図である。
【図3】図2のA部を示す要部拡大図である。
【図4】図2のA部を背面側から見た要部拡大図である。
【図5】本実施形態例に係るキー取付構造の要部を示す分解斜視図である。
【図6】図5に示す操作キーを背面側から見た斜視図である。
【図7】図3のB−B線に沿う断面図である。
【図8】図3のC−C線に沿う断面図である。
【図9】図3のD−D線に沿う断面図である。
【図10】図3のE−E線に沿う断面図である。
【図11】該操作キーをパネル枠に組み付ける途中の状態を示す説明図である。
【図12】該操作キーの取付作業が完了した状態を示す説明図である。
【図13】該操作キーの上面図である。
【図14】該操作キーの側面図である。
【図15】該操作キーの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示す車載用前面パネル装置は、本実施形態例に係るキー取付構造が適用されたパネルユニット100と、その前面板201に図示せぬメディア挿入口等を有する音響機器本体200とを備えており、通常はパネルユニット100が機器本体200の前面で起立してメディア挿入口等を覆っている。そして、CDやDVD等の記録媒体を音響機器本体200で記録/再生する場合は、図示せぬ駆動機構によってパネルユニット100を下端側が手前に迫り出すように回動させると、パネルユニット100で覆われていたメディア挿入口が露出するようになっている。
【0020】
パネルユニット100は、操作キー1や他の操作キー3を含む複数の操作キーが下辺部に配設された矩形状のパネル枠2と、表示画面40を有してパネル枠2の背面側から装着された液晶表示装置4と、操作キー群1,3の背面側に収納された回路基板5や支持部材6(図5参照)等によって構成されている。回路基板5にはプッシュスイッチ(スイッチ素子)7やLED(照光用光源)8等が実装されており、プッシュスイッチ7はステムとも呼ばれる可動部70を有している。支持部材6は回路基板5を起立姿勢に支持しており、この支持部材6には一対の突出片60が設けられている。また、後述するように、操作キー1や他の複数の操作キー3はパネル枠2に手前側から組み付けて取着されている。
【0021】
操作キー1はパネル枠2に片持ち状に支持されて押圧操作可能である。本実施形態例に係るキー取付構造では、この操作キー1をパネル枠2に組み付ける際の手順や組み付け完了後の取付状態について詳しく説明するが、他の操作キー3においても、そのキー取付構造は基本的に操作キー1の場合と同様である。
【0022】
図5,図6や図13〜図15に示すように、操作キー1のキートップ(操作面)10の背面には、駆動突起11と、左右一対の弾性腕片12と、補強延在部13とが突設されており、補強延在部13には一対のストッパ爪14が設けられている。詳細については後述するが、操作キー1をパネル枠2に取り付けると、キートップ10がパネル枠2の対応する開口20や切欠き部22(図3参照)等を蓋閉すると共に、両弾性腕片12の一部が所定位置に拘持されて操作キー1の支点部となる。
【0023】
キートップ10の上端部は奥側へ向かって庇状に延設されており、この庇状部10aは、図7や図12に示すパネル枠2の上部遮光壁21を覆う位置に配置される。また、キートップ10の操作領域には図示せぬ文字や記号等が照光部として形成されており、この照光部はLED8から出射されてキートップ10の背面に照射される光によって照光可能となっている。さらに、キートップ10の背面には、パネル枠2の開口20の左右両側縁と対向する位置に、上下方向に延びる一対の凹溝部10b(図6参照)が設けられている。これら凹溝部10bに、開口20を縁取る左右一対の突堤部28(図3,5参照)を挿入させることによって、キートップ10の側方からの光漏れを起こりにくくしている。
【0024】
駆動突起11はプッシュスイッチ7の可動部70を押圧駆動するためのものであり、キートップ10の背面の左右中央でやや下寄りの位置から奥へ向かって突出している。図12に示すように、駆動突起11はプッシュスイッチ7の可動部70に当接する位置に配置され、弾性腕片12を撓ませながらキートップ10が押圧操作されると、駆動突起11が可動部70を回路基板5側へ向けて押し込むようになっている。また、キートップ10に対する押圧操作力が除去されると、プッシュスイッチ7に内蔵されている図示せぬ復帰ばねの弾性復帰力と弾性腕片12の弾性復帰力とによって、駆動突起11は図12に示す初期位置まで自動復帰するようになっている。
【0025】
一対の弾性腕片12はキートップ10の庇状部10aの近傍位置から奥へ向かって突出しており、これら弾性腕片12は図3や図4に示すパネル枠2の切欠き部22内に挿入される。図6に示すように、一方の弾性腕片12の先端側は上面視でL字状、他方の弾性腕片12の先端側は上面視で逆L字状に形成されており、一対の弾性腕片12の先端部12aどうしは互いに離反する横向き(外向き)に延びている。そして、両弾性腕片12を対応する切欠き部22内に挿入することにより、各先端部12aが切欠き部22内に迫り出す規制凸部23の背後に配置される。
【0026】
補強延在部13は、キートップ10の背面の下端近傍から奥へ向かって突出しつつ、キートップ10の幅方向に沿って延在しており、この補強延在部13によってキートップ10の剛性が大幅に高められている。補強延在部13は図3や図8に示すパネル枠2のスリット24内に配置され、ストッパ爪14は補強延在部13の突出先端側の隅部に上向きに形成されている。このストッパ爪14は図9や図12に示すパネル枠2の規制壁25と係脱可能な位置に配置される。
【0027】
パネル枠2は図1や図2に示すような外観形状を呈しており、その背面側から液晶表示装置4が嵌合状態で一体化される。矩形状のパネル枠2に包囲される領域が表示画面40の表示領域となり、この表示領域の下辺に沿って操作キー1や他の複数の操作キー3が横一列に並ぶようにパネル枠2に取り付けられる。図3はパネル枠2のうち操作キー1が組み付けられる開口20付近を示す正面図、図4はその背面図であり、以下、これら図3および図4と図7〜図10を参照して、操作キー1が組み付けられる開口20付近の構造について詳しく説明する。
【0028】
これらの図に示すように、パネル枠2の開口20の真上には、上部遮光壁21から垂下して左右方向に延びる位置決め壁26が設けられている。前記切欠き部22はこの位置決め壁26の左右両側に設けられており、各切欠き部22は開口20と連通している。また、前記規制凸部23は、開口20を正面から見て右斜め上方に位置する切欠き部22の右上隅部と、左斜め上方に位置する切欠き部22の左上隅部とにそれぞれ設けられている。操作キー1がパネル枠2に取り付けられた状態で、左右一対の切欠き部22には操作キー1の左右一対の弾性腕片12が挿入されており、位置決め壁26が両弾性腕片12の間に配置されるため、弾性腕片12の左右方向への移動は位置決め壁26によって規制されることになる。また、切欠き部22内に迫り出す規制凸部23の背後に、弾性腕片12の先端部12aが配置されるため、弾性腕片12の手前側への移動は規制凸部23によって規制されることになる。
【0029】
なお、操作キー1をパネル枠2に組み付ける際には、上部遮光壁21上にキートップ10の庇状部10aがオーバーラップされるが、この上部遮光壁21を含む開口20周縁部は、手前側から組み込む操作キー1が奥側へ過度に移動しないように位置規制するという機能を果たしている。また、図12に示すように、操作キー1がパネル枠2に取り付けられた状態では、上部遮光壁21の先端がキートップ10の背面と近接する位置まで延在するように寸法設定されている。
【0030】
両切欠き部22の位置決め壁26寄りの上側には、弾性腕片12の先端部12a近傍部の上動を規制可能な上動規制部27(図4参照)が設けられている。図12に示すように、操作キー1がパネル枠2に取り付けられた状態では、この上動規制部27が前記支持部材6の突出片60と協働して弾性腕片12の先端部12a近傍部を上下方向から挟持しており、この挟持箇所(先端部12a近傍部)が支点部となって操作キー1はパネル枠2に片持ち状に支持される。すなわち、支持部材6をパネル枠2の背面側から組み付けることにより、突出片60が弾性腕片12の先端側に下方から挿入されて、弾性腕片12の先端部12a近傍部を上動規制部27に押し付けるようになっている。
【0031】
開口20の左右両側縁には、手前側へ盛り上がって上下方向に延びる突堤部28(図3参照)が設けられている。前述したように、これら突堤部28はキートップ10の背面に設けられた一対の凹溝部10b(図6参照)内に挿入可能である。また、前記スリット24は開口20の下方に左右方向へ延びるように設けられており、このスリット24内の左右両端部の上側に前記規制壁25(図9参照)が設けられている。操作キー1がパネル枠2に取り付けられた状態で、ストッパ爪14に許容される最も手前側の位置にて規制壁25がストッパ爪14を掛止しており、ユーザによってキートップ10が押圧操作されると、ストッパ爪14は奥へ移動して規制壁25から離れるようになっている。
【0032】
次に、操作キー1をパネル枠2に組み付ける際の手順について説明する。まず、図11に示すように、操作キー1の左右一対の弾性腕片12をパネル枠2の対応する切欠き部22内へ手前側から前傾姿勢で挿入していく。このとき、両弾性腕片12の相対向する内側面が位置決め壁26の左端面と右端面に係合するため、位置決め壁26によって両弾性腕片12の左右方向への移動が規制される。そして、一対の弾性腕片12の先端部12aがそれぞれ切欠き部22内に迫り出している規制凸部23よりも奥方まで挿入された時点で、操作キー1を前傾姿勢から水平姿勢に戻すように回動させて両弾性腕片12の先端部12aを対応する規制凸部23の背後に嵌め込むと、操作キー1の補強延在部13がパネル枠2のスリット24内にほぼ自動的に挿入され、ストッパ爪14の手前側への移動が規制壁25によって防止される。この時点で、両弾性腕片12は規制凸部23によって手前側への移動が規制され、且つ、操作キー1の奥側への移動は開口20の周縁部によって規制される。それゆえ、この操作キー1はパネル枠2に仮保持された状態となり、開口20や切欠き部22はキートップ10によって蓋閉される。
【0033】
かかる仮保持状態において、プッシュスイッチ7やLED8等が実装されている回路基板5と、この回路基板5を支持している支持部材6とをパネル枠2に背面側から組み込むと、プッシュスイッチ7とLED8が開口20内に配置されると共に、プッシュスイッチ7の可動部70の先端が操作キー1の駆動突起11の後端面と当接または僅かな隙間を介して対向し、操作キー1はパネル枠2に片持ち状に支持されて取付作業が完了する。すなわち、操作キー1が仮保持されているパネル枠2に対して、背面側から支持部材6を組み込むと、図12に示すように、弾性腕片12の先端部12a近傍部をパネル枠2の上動規制部27と支持部材6の突出片60とによって上下方向から挟持することができる。ここで、仮保持状態の操作キー1は、両弾性腕片12が位置決め壁26や規制凸部23等によって左右方向と前後方向へ位置決めされているため、両弾性腕片12の先端部12a近傍部を上下方向から挟持すれば、該挟持箇所を支点部となして操作キー1は片持ち状に支持されることになる。なお、実際には、他の複数の操作キー3も手操作キー1と同様に前側からパネル枠2に組み付けることによって仮保持しておき、この状態でパネル枠2に背面側から支持部材6を組み込むことによって、全ての操作キー1,3の取付作業を一括して完了できるようになっている。
【0034】
このようにして操作キー1の取付作業が完了した後、ユーザによってキートップ10が押圧操作されると、操作キー1が両弾性腕片12を撓ませながら図12の反時計回りに回転し、それに伴って駆動突起11が可動部70を押圧してプッシュスイッチ7をオン動作させることができる。また、キートップ10に対する押圧操作力が取り除かれると、両弾性腕片12の弾性復帰に伴って操作キー1が逆向きに回転して非操作位置(初期位置)へ戻るため、プッシュスイッチ7をオフ状態に自動復帰させることができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態例に係るキー取付構造では、操作キー1を手前側からパネル枠2に組み付ける際に、操作キー1に設けられた一対の弾性腕片12をパネル枠2の対応する切欠き部22に挿入し、両弾性腕片12の鉤状の先端部12aを対応する規制凸部23の背面側に配置させることによって、位置決め壁26が両弾性腕片12の延出方向と直交する方向(左右方向)の移動を規制し、且つ規制凸部23が両弾性腕片12の手前側(前方)への移動を規制するようになっている。しかも、操作キー1の奥側(後方)への移動はパネル枠2の開口20周縁部で規制することができ、ストッパ爪14の手前側(前方)への移動は規制壁25によって規制することができる。つまり、所望の取付位置に嵌め込むようにして操作キー1をパネル枠2に手前側から組み付けるだけで、この操作キー1を簡単に仮保持状態となすことができる。そして、かかる仮保持状態で両弾性腕片12の先端部12a近傍部を、パネル枠2の上動規制部27と支持部材6の突出片60とによって上下方向から挟持すれば、操作キー1の支点部となる挟持箇所(先端部12a近傍部)が前後方向と左右方向および上下方向に位置決めされた状態で確実に固定されることになる。それゆえ、操作キー1をガタのない状態でパネル枠2に容易に組み付けることができ、照光用のLED8の光がキートップ10のガタ発生箇所から外部へ漏れる可能性も低くなる。なお、本実施形態例に係るキー取付構造では、操作キー1の両弾性腕片12を互いに接離する方向(図13における左右方向)、すなわち操作キー1の押圧操作時に弾性腕片12が撓む方向と直交する方向にこの弾性腕片12を撓ませることなく操作キー1をパネル枠2の前面側から装着できるので、従来のキー取付構造のように一対の弾性腕片を互いに接離方向へ撓ませてパネル枠の係止孔にスナップ止めする際に生じる該弾性腕片へのストレスを防止することができる。
【0036】
また、本実施形態例に係るキー取付構造は、操作キー1のキートップ10の周縁部に鍔部が不要なため、隣接して配置される操作キー群のキートップどうしの間隔を狭めることができ、パネルユニット100の小型化に好適である。
【0037】
また、本実施形態例に係るキー取付構造では、操作キー1に設けられた一対の弾性腕片12の先端部12aどうしが互いに離反する向きに延びているため、パネル枠2の開口20と対向しない位置に支持部材6の突出片60を配置させることができる。そのため、照光用のLED8の光を突出片60によって遮蔽されることなく開口20へ効率良く照射することができる。
【0038】
また、本実施形態例に係るキー取付構造では、プッシュスイッチ7やLED8が実装された回路基板5を支持する支持部材6に、手前側へ突出して弾性腕片12に当接する挟持用の突出片60を設けているため、部品点数を増やさずに操作キー1の支点部を簡単かつ確実に挟持することができる。
【0039】
また、本実施形態例に係るキー取付構造では、キートップ10の背面の下端近傍に補強延在部13を突設して剛性を高めているため、キートップ10の下端部に押圧操作力が付与されるという端押しが行われた場合にも、キートップ10が不所望に撓んで破損する虞がない。しかも、キートップ10の下端よりもやや上方に位置する補強延在部13の突出先端側にストッパ爪14を上向きに設け、且つパネル枠2には補強延在部13を挿入して配置させるためのスリット24が設けてあるため、図12に示すように補強延在部13の下方にはパネル枠2の底板部が対向することとなり、キートップ10の下端部にユーザの指や爪等が引っ掛かって操作キー1に対して図12における時計回り方向への回動力が働いた場合でも、補強延在部13が上記パネル枠2の底板部上面に当接することにより、ストッパ爪14が規制壁25から外れてしまうという事故を未然に防止することができる。また、図12に示すように操作キー1のキートップ10の下端面をパネル枠2の底板部下面よりも上方に位置させることで、キートップ10の下端部に対するユーザの指や爪等の引っ掛かり自体を抑制することができる。さらに、操作キー1の奥側から開口20へ照射されるLED8の光がキートップ10の下端部へ向かって進んだ場合にも、この光は補強延在部13に遮られて外部へ漏れにくくなるため、キートップ10の下端部からの光漏れを効果的に防止できる。
【0040】
また、本実施形態例に係るキー取付構造では、パネル枠2の上部遮光壁21の先端がキートップ10の背面と近接する位置まで延在させてあり、この上部遮光壁21がキートップ10の庇状部10aに覆われた状態で操作キー1が取り付けられる。そのため、操作キー1の奥側から開口20へ照射されるLED8の光が斜め上方へ向かって進んだ場合にも、この光は上部遮光壁21と庇状部10aとに遮られて外部へ漏れにくくなり、キートップ10の上端部からの光漏れも効果的に防止できる。
【0041】
また、本実施形態例に係るキー取付構造では、パネル枠2の開口20の左右両側縁に突堤部28を設け、キートップ10の背面に設けた凹溝部10b内にこの突堤部28が挿入されるようにしてある。そのため、操作キー1の奥側から開口20へ照射されるLED8の光がキートップ10の背面に沿って右側や左側へ進んだ場合にも、この光は突堤部28と凹溝部10b間の隙間を通過する際に大きく進路を変更することになって外部へ漏れにくくなる。したがって、キートップ10の左右両側部からの光漏れも効果的に防止できる。なお、操作キー1の押圧操作時に突堤部28の先端が凹溝部10bの内底面に当接しないように、該凹溝部10bの深さ寸法が設定されている。
【0042】
また、上記の実施形態例では、回路基板5を支持する支持部材6に押え部材としての突出片60を設け、この突出片60とパネル枠2の上動規制部27とで弾性腕片12の先端部12a近傍部を挟持するようにしているが、支持部材6とは異なる部材を押え部材として用いることも可能である。
【0043】
また、上記の実施形態例では、操作キーが上端側を支点部として押圧操作可能に支持される場合について説明したが、操作キーを上下逆向きに組み付けて下端側を支点部となす支持構造の場合や、操作キーの左端部や右端部を支点部となす支持構造の場合にも、本発明を適用することによって上記の実施形態例と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0044】
1 操作キー
2 パネル枠
4 液晶表示装置
5 回路基板
6 支持部材
7 プッシュスイッチ(スイッチ素子)
8 LED(照光用光源)
10 キートップ
10a 庇状部
10b 凹溝部
11駆動突起
12 弾性腕片
13 補強延在部
14 ストッパ爪
20 開口
21 上部遮光壁
22 切欠き部
23 規制凸部(第1の規制部)
24 スリット
25 規制壁(第3の規制部)
26 位置決め壁(第2の規制部)
27 上動規制部(第4の規制部)
28 突堤部
60 突出片(押え部材)
100 パネルユニット
200 電子機器本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キートップの背面にスイッチ素子を押圧する駆動突起が突設された操作キーと、前記キートップで蓋閉される開口を有するパネル枠とを備え、前記操作キーを前記パネル枠に対して手前側から組み付けることにより、前記操作キーが前記パネル枠に片持ち状に支持されて押圧操作可能となるキー取付構造において、
前記操作キーに、前記キートップ背面の一辺端付近の2箇所から奥側へ向かって突出して先端部を鉤状となした一対の弾性腕片と、前記キートップ背面の他辺端付近に存して前記パネル枠に係脱可能なストッパ爪とを設けると共に、前記パネル枠に、前記弾性腕片が挿入される切欠き部と、この切欠き部内に迫り出して前記弾性腕片の先端部の手前側への移動を規制する第1の規制部と、前記両弾性腕片の相対向する内側面に係合する第2の規制部と、前記ストッパ爪に許容される最も手前側の位置で該ストッパ爪を掛止する第3の規制部と、前記第1の規制部の奥側に位置する第4の規制部とを設け、前記弾性腕片の一部を前記第4の規制部と別体の押え部材とで挟持することにより、この挟持箇所を支点部として前記操作キーが前記パネル枠に片持ち状に支持されることを特徴とするキー取付構造。
【請求項2】
請求項1の記載において、一対の前記弾性腕片の先端部どうしが互いに離反する向きに延びていることを特徴とするキー取付構造。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記パネル枠に、一対の前記弾性腕片が個別に挿入される一対の前記切欠き部の間に延在する位置決め壁を設け、この位置決め壁を前記第2の規制部となしたことを特徴とするキー取付構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項の記載において、前記スイッチ素子が実装された回路基板を支持する支持部材を備え、この支持部材に手前側へ突出して前記弾性腕片に当接する突出片を設け、この突出片を前記押え部材となしたことを特徴とするキー取付構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項の記載において、前記操作キーに、前記キートップ背面の他辺端近傍から奥へ向かって突出しつつ該他辺端に沿って延在する補強延在部を設け、この補強延在部の突出先端側に前記ストッパ爪を設けると共に、この補強延在部を挿入して配置させるためのスリットを前記パネル枠に設けたことを特徴とするキー取付構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項の記載において、前記パネル枠が、前記キートップの一辺端部に覆われる部位を該キートップ背面と近接する位置まで延在させていることを特徴とするキー取付構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項の記載において、前記パネル枠の前記開口の周縁部に突堤部を設けると共に、前記操作キーの前記キートップ背面に前記突堤部が挿入可能な凹溝部を設けたことを特徴とするキー取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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