説明

ギアボックスユニット

【課題】複数のユニットを組み合わせて動作体を製作する工作キットにおいて、動作の精度向上、小型化、安価製造に寄与するギアボックスユニットを提供すること。
【解決手段】複数のユニットを組み合わせて動作体を製作する工作キットにおけるギアボックスユニットであって、モーターと、モーターからの出力を調製して伝導する動力伝導ギア機構と、動力伝導ギア機構からの出力を外部に出力する出力軸と、出力軸の回転量を検知するボリュームと、モーターの回転を制御する制御手段とを備えるギアボックスユニット主部と、ギアボックスユニット主部の動力伝導ギア機構に着脱自在に連動接続され、その動力伝導量を光学素子により測定するフォトセンサーを備えるフォトセンサーサブユニットとを備え、出力軸の回転量をボリュームまたはフォトセンサーサブユニットのいずれかによって検知可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、教材や、玩具、模型、ロボット、機械、趣味工作品など、複数のユニットを組み合わせて動作体を製作する工作キットにおけるギアボックスユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
小中学生の実習授業等において、生徒全員が同一キットから同一の完成品を製作する形態から、生徒一人一人の発想によって異なる完成品を製作することで、各人の発想力を高める形態に移りつつある。
【0003】
例えば、歩行ロボット模型を製作する工作キットには、ベース板や、バッテリー、電動機、減速ギアを内蔵したギアボックス、リンクやアームを構成するレバー、固定用ネジ、ナットなどがセットされている。利用者は、各人の発想によって、ベース板に対してギアボックスの取付け位置を設定し、固定用ネジでベース板にギアボックスを固定したり、ギアボックスから突出する出力軸にレバーを連結してクランク機構を構成したりして、歩行ロボット模型を製作している。また、コンピュータ制御キットや各種センサーキットなどを含む工作キットも市販されている。
【0004】
このような工作キットは、教材の他に、玩具や、模型、ロボット、機械、趣味工作品など多岐に広がっている。また、工作キットで組み立てられる動作体も、歩行ロボット模型の他に、様々なロボット及び模型、車両、飛翔体、ゲーム機器など一層多岐の動作体に広がりつつある。
【0005】
その市販品には、例えば、山崎教育システム株式会社製Qブロックや、LEGO社製MINDSTORMSが挙げられる。
また、関連する従来技術には、例えば、コンピュータ制御による玩具工作キットとしては特許文献1、ギアボックスとしては特許文献2〜6、サーボモーターとしては特許文献7〜8が挙げられる。
【0006】
しかし、従来のギアボックスユニットは、動作の精度に難を生じることがあった。また、高精度のサーボ機能をもたせると高価になったり小型化しにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2011−500116 「玩具構築システム」
【特許文献2】特開2009−192951 「教材用ギアボックスキット」
【特許文献3】特開2009−192950 「教材用ギアボックスキット」
【特許文献4】特開2004−258135 「教材用ギヤボックスキット」
【特許文献5】特開2002−239261 「教材用ギヤボックス装置」
【特許文献6】特開2000−126475 「玩具ギアボックスおよび玩具ギアボックス用ギアケ―ス」
【特許文献7】特開平9−179631 「サーボモーター駆動装置及びその位置合わせ方法」
【特許文献8】特開平7−54954 「サーボモーターを用いた駆動系」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、複数のユニットを組み合わせて動作体を製作する工作キットにおいて、動作の精度向上、小型化、安価製造に寄与するギアボックスユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するため、本発明のギアボックスユニットは次の構成を備える。すなわち、複数のユニットを組み合わせて動作体を製作する工作キットにおけるギアボックスユニットであって、モーターと、モーターからの出力を調製して伝導する動力伝導ギア機構と、動力伝導ギア機構からの出力を外部に出力する出力軸と、出力軸の回転量を検知するボリュームと、モーターの回転を制御する制御手段とを備えるギアボックスユニット主部と、ギアボックスユニット主部の動力伝導ギア機構に着脱自在に連動接続され、その動力伝導量を光学素子により測定するフォトセンサーを備えるフォトセンサーサブユニットと、を備え、出力軸の回転量をボリュームまたはフォトセンサーサブユニットのいずれかによって検知可能であることを特徴とする。
【0010】
ここで、フォトセンサーサブユニットを、動力伝導ギア機構に連動接続された回転軸を介して、ギアボックスユニットに連動接続し、その回転軸を分断及び接続可能な接続部により分断可能に構成することにより、ギアボックスユニットに着脱自在に連結してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、フォトセンサーサブユニットが着脱自在に一体化可能であり、それを連結してフォトセンサーを介した制御と、取り外してボリュームを介した制御とを選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例のギアボックスユニットの斜視図
【図2】同、正面図
【図3】同、背面図
【図4】同、底面図
【図5】同、フォトセンサーサブユニットを取り外した状態の斜視図
【図6】ギアボックスユニットのケース内部を示した斜視説明図
【図7】同、正面説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態を、図面に示した実施例を利用して説明する。実施形態は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で、前記先行技術文献など従来公知の技術を援用して、適宜設計変更可能である。
本発明によるギアボックスユニットは、複数のユニットを組み合わせて動作体を製作する工作キットにおける1ユニットであり、その動力伝導ギア機構に連動接続され、その動力伝導量を光学素子により測定するフォトセンサーを備えるフォトセンサーサブユニットを着脱自在に備えることを基本とする。
これにより、高精度のサーボ機構を従来のギアボックス機構に付帯させられる。
【0014】
なお、ギアボックス機構とは、動力の入力軸と出力軸との間に歯車等を介在させて、出力の回転数や回転方向やトルクなど調整する機構であり、サーボ機構とは、動作部材の位置や方位などが目標値に追従するように、コントローラーがサーボアンプを介してサーボモーターを制御し、ボリューム等を介してサーボモーターからのフィードバックにより自動制御する機構である。
【0015】
図1ないし4は、一実施例のギアボックスユニットの斜視図、正面図、背面図、底面図であり、図5は、フォトセンサーサブユニットを取り外した状態のギアボックスユニットの斜視図である。
ギアボックスユニットは、略直方体のギアボックスユニット主部(10)と、その上部に着脱自在に接続される略直方体のフォトセンサーサブユニット(40)とを備える。
【0016】
ギアボックスユニット主部(10)の上面及び底面には、多数の連結穴(11)が備わり、それに嵌められるネジ(12)によって、他のユニットと連結される。フォトセンサーサブユニット(40)とも、上面に備わる連結穴(11)とネジ(12)を介して簡単に連結される。
ギアボックスユニット主部(10)の上面にはまた、連結軸凹部(13)が備わり、それにフォトセンサーサブユニット(40)の下面に備わる連結軸凸部(41)が嵌合する。連結軸凹部(13)と連結軸凸部(41)とで連結される連結軸(14)を介して、ギアボックスユニット主部(10)からの出力がフォトセンサーサブユニット(40)へ連動接続される。
【0017】
なお、ギアボックスユニット主部(10)からの出力をフォトセンサーサブユニット(40)へ連動接続させる構成は、連結軸(14)のような軸によるものに限らず、歯車の噛合など、従来公知の連動接続部材が利用できる。
【0018】
ギアボックスユニット主部(10)の上面及び底面には、他のユニットへ動力を伝導する出力軸(15)の両端部が突出している。
また、ギアボックスユニット主部(10)の背面側部には、外部からの制御信号または電力を入力するコネクター(16)が備わる。
【0019】
なお、ギアボックスユニット主部(10)及びフォトセンサーサブユニット(40)の形状や、連結穴(11)の位置及び数、ギアボックスユニット主部(10)とフォトセンサーサブユニット(40)との連結位置などは任意である。
【0020】
図6は、ケース内部を示した斜視説明図、図7は、ケース内部を示した正面説明図である。
ギアボックスユニット主部(10)のケース(17)の下部には、外部からの制御信号を入力して動作制御するマイコン制御基板(18)が配置され、その上部にモーター(19)が備わる。モーター(19)からの動力は、モーター回転軸(20)に設置された歯車(21)から、歯車(22)を介して動力伝導軸(23)へ伝導され、次いで、歯車(24)(25)を介して出力軸(15)へ伝導される。
出力軸(15)の回転量は、歯車(26)(27)を介して検知軸(28)に伝導され、ボリューム(29)によってアナログ値として計測され、マイコン制御基板(18)を介してモーター(19)へフィードバックされる。
【0021】
フォトセンサーサブユニット(40)が連結されている場合は、それを用いた制御も可能である。
すなわち、動力伝導軸(23)の回転は、歯車(30)(31)(32)(33)を介して計測量伝導軸(34)へ伝導され、次いで、歯車(35)(36)を介して連結軸(14)へ伝導される。
連結軸(14)の回転量は、フォトセンサーサブユニット(40)内の回転盤(42)の回転量として、その周に沿って多数設けられた透孔(43)を通る光をカウントするフォトセンサー(44)でデジタル値として計測される。
【0022】
なお、モーター回転軸(20)と連結軸(14)とのギア比は1:16.9であるが、ギア機構の構成は任意であり、フォトセンサー(44)は従来公知の市販品を使用できる。フォトセンサー(44)による計測値は、マイコン制御基板(18)へ出力してもよいし、フォトセンサーサブユニット(40)等に連結する他のユニットへ出力してもよいし、無線出力してもよい。
また、ギアボックスユニット主部(10)の内部において、例えば、下部に位置するマイコン制御基板(18)等を別製品に取り替えたり取り外すなど、ギアボックスユニット主部(10)及びフォトセンサーサブユニット(40)の構成要素は、置換及び加除可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明によると、教材や、玩具、模型、ロボット、機械、趣味工作品など、複数のユニットを組み合わせて動作体を製作する工作キットの普及につながるので、産業上利用価値が高い。
【符号の説明】
【0024】
10 ギアボックスユニット主部
11 連結穴
12 ネジ
13 連結軸凹部
14 連結軸
15 出力軸
16 コネクター
17 ケース
18 マイコン制御基板
19 モーター
20 モーター回転軸
21、21、24〜27、30〜33、35、36 歯車
23 動力伝導軸
28 検知軸
29 ボリューム
34 計測量伝導軸
40 フォトセンサーサブユニット
41 連結軸凸部
42 回転盤
43 透孔
44 フォトセンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユニットを組み合わせて動作体を製作する工作キットにおけるギアボックスユニットであって、
モーターと、モーターからの出力を調製して伝導する動力伝導ギア機構と、動力伝導ギア機構からの出力を外部に出力する出力軸と、出力軸の回転量を検知するボリュームと、モーターの回転を制御する制御手段とを備えるギアボックスユニット主部と、
ギアボックスユニット主部の動力伝導ギア機構に着脱自在に連動接続され、その動力伝導量を光学素子により測定するフォトセンサーを備えるフォトセンサーサブユニットと、を備え、
出力軸の回転量をボリュームまたはフォトセンサーサブユニットのいずれかによって検知可能である
ことを特徴とするギアボックスユニット。
【請求項2】
フォトセンサーサブユニットが、
動力伝導ギア機構に連動接続された回転軸を介して、ギアボックスユニットに連動接続され、
その回転軸が分断及び接続可能な接続部により分断可能であることにより、ギアボックスユニットに着脱自在に連結される
請求項1に記載のギアボックスユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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