説明

クッション性敷物

【課題】敷設後の美観に優れ、かつ千切れが生じにくいクッション性敷物8の提供。
【解決手段】敷物8は、表板10と裏板12とからなる。表板10及び裏板12は、気泡を含むポリマー成形体からなる。平面視における表板10の形状は、矩形である。表板10は、その表面にスキン層を備えている。裏板12は表板10の下側に積層されている。表板10と裏板12とは、接合されている。裏板12は、本体14と、4つの突出部16とを備えている。本体14には、4つの凹陥部18が形成されている。突出部16及び凹陥部18は、敷物2の周縁に位置している。平面視において、突出部16は表板10の輪郭からはみ出している。平面視において、凹陥部18は表板10に覆われている。突出部16及び凹陥部18は、型打ち抜きによって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡を含むポリマー成形体からなるクッション性敷物に関する。詳細には、本発明は、床の上にて多数が連結されて用いられるクッション性敷物に関する。
【背景技術】
【0002】
幼児の遊び場等には、転倒時の衝撃を吸収する目的で、床にクッション性敷物が敷かれることがある。図5は、従来の敷物2が示された平面図である。図5には、4枚の敷物2が示されている。この敷物2は、板状である。この敷物2は、気泡を含むポリマー成形体からなる。この敷物2は、その周縁に多数の突出部4及び凹陥部6を備えている。隣接する敷物2同士は、一方の敷物2の突出部4と他方の敷物2の凹陥部6とが嵌合されることにより、連結されている。
【0003】
この敷物2は、気泡を含む板状片が型で打ち抜かれることによって得られる。打ち抜きによって形成された切断面には、気泡が露出している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図5に示されるように、一方の敷物2と他方の敷物2との境界は、ジグザグである。ジグザグの境界は、敷物2の美観を損ねる。特に、色目の異なる敷物2が隣接するときは、美観が大きく損なわれる。この敷物2では、突出部4が表面に露出しているので、この突出部4が欠けやすい。この敷物2では、突出部4が表面に露出しているので、幼児やペットがこの突出部4をいじって引き千切ることがある。
【0005】
この敷物2の側面には気泡が露出しているので、外観が悪く、しかも汚れやすい。成形型内で敷物2が加熱及び加圧され、その後に冷却されれば、その表面にスキン層が形成されうる。スキン層は外観を高め、汚れを抑制しうる。しかし、スキン層が形成される場合、加熱による膨張及び冷却による収縮に起因して、突出部4及び凹陥部6の寸法精度が損なわれる。突出部4及び凹陥部6の寸法精度が劣る敷物2では、突出部4が凹陥部6に収まらない、突出部4と凹陥部6との間に隙間が生じる等の問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、敷設後の美観に優れ、かつ千切れが生じにくいクッション性敷物の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るクッション性敷物は、表板と裏板とを備える。表板は、気泡を含むポリマー成形体からなる。表板は、平面視において実質的に矩形である。裏板は、気泡を含むポリマー成形体からなる。裏板は、表板に積層されかつ接合されている。この裏板は、その周縁に突出部と凹陥部とを備える。この突出部は、隣接する裏板の凹陥部と嵌合しうる。
【0008】
好ましくは、表板は、その表面にスキン層を備える。突出部及び凹陥部は、型打ち抜きによって形成される。
【0009】
本発明に係るクッション性敷物の製造方法は、
(1)基材ポリマー及び発泡剤を含むポリマー組成物が一次成形型内で加熱及び加圧され て発泡剤が発泡することにより、気泡を含むポリマー成形体からなる一方の母材が得ら れる工程、
(2)この一方の母材が所定寸法に裁断されることによって、その表面に気泡が露出した 一方の板状片が得られる工程、
(3)この一方の板状片が他の二次成形型内で加圧及び加熱されて、その表面にスキン層 を備えた表板が得られる工程、
(4)基材ポリマー及び発泡剤を含むポリマー組成物が一次成形型内で加熱及び加圧され て発泡剤が発泡することにより、気泡を含むポリマー成形体からなる他方の母材が得ら れる工程、
(5)この他方の母材が所定寸法に裁断されることにより、その表面に気泡が露出した他 方の板状片が得られる工程、
(6)この他方の板状片が型打ち抜きされることにより、その周縁に突出部と凹陥部とを 備えた裏板が得られる工程
及び
(7)この表板と裏板とが積層されかつ接合される工程
を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るクッション性敷物は、表板の平面視が矩形なので、敷設後の敷物同士の境界線は直線状である。直線状の境界は、美観に寄与する。この敷物では、突出部が裏板に形成されているので、敷設後はこの突出部が表板に覆われる。幼児やペットは、突出部をいじることができない。従って、突出部の千切れが生じにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0012】
図1(a)は本発明の一実施形態に係るクッション性敷物8が示された平面図であり、図1(b)はその正面図である。この敷物8は、表板10と裏板12とからなる。裏板12は表板10の下側に積層されている。表板10と裏板12とは、接合されている。接合は、接着剤、粘着剤、両面テープ等によってなされうる。
【0013】
図2(a)は図1の敷物8の表板10が示された平面図であり、図2(b)はこの敷物8の裏板12が示された平面図である。平面視における表板10の形状は、矩形(この例では正方形)である。表板10の厚みは、3mmから30mm程度である。
【0014】
裏板12は、本体14と、4個の突出部16とを備えている。本体14と突出部16とは、一体的に形成されている。本体14には、4個の凹陥部18が形成されている。凹陥部18がないと仮定されたときの本体14の平面形状は、矩形(この例では正方形)である。平面視において、凹陥部18がないと仮定されたときの本体14の形状は、表板10の形状と実質的に同一である。平面視において、凹陥部18がないと仮定されたときの本体14の寸法は、表板10の寸法と実質的に同一である。裏板12の厚みは、3mmから30mm程度である。
【0015】
突出部16は、裏板12の周縁に位置している。2個の突出部16は本体14の第一辺20から突出しており、他の2個の突出部16はこの第一辺20と隣接する第二辺22から突出している。図2において、両矢印W1で示されているのは突出部16の最大幅であり、両矢印W2で示されているのは突出部16の最小幅である。最大幅W1は、最小幅W2よりも大きい。裏板12が、4個以上48個以下の突出部16を備えることが好ましい。1つの辺における突出部16の数は、2以上が好ましい。
【0016】
凹陥部18は、裏板12の周縁に位置している。2個の凹陥部18は本体14の第三辺24から凹陥しており、他の2個の凹陥部18はこの第三辺24と隣接する第四辺26から凹陥している。図2において、両矢印W3で示されているのは凹陥部18の最大幅であり、両矢印W4で示されているのは凹陥部18の最小幅である。最大幅W3は、最小幅W4よりも大きい。凹陥部18の形状は、突出部16の形状が反転された形状である。凹陥部18の最大幅W3は、突出部16の最大幅W1と同等か、若干小さい。凹陥部18の最小幅W4は、突出部16の最小幅2と同等か、若干小さい。裏板12が、4個以上48個以下の凹陥部18を備えることが好ましい。1つの辺における凹陥部18の数は、2以上が好ましい。
【0017】
図1から明らかなように、表板10と裏板12とは、裏板12の本体14の辺が表板10の辺と一致するように積層されている。平面視において、突出部16は表板10の輪郭からはみ出している。平面視において、凹陥部18は表板10に覆われている。
【0018】
図3は、図1の敷物8が敷設されてなる床面28が示された平面図である。図4は、図3のIV−IV矢視図である。この図3及び図4から明らかなように、突出部16は隣接する裏板12の凹陥部18に嵌合している。この嵌合により、隣接する敷物8同士が堅固に連結される。突出部16と凹陥部18とは、いわゆるジョイントを形成している。
【0019】
図3から明らかなように、隣接する敷物8同士の境界は、直線状である。この境界は、床面28の美観及びグレード感に寄与する。特に、色目が異なる敷物8同士が連結された場合において、直線状の境界は美観に寄与する。この床面28にはジョイントが露出していないので、突出部16の欠けが生じにくく、かつ幼児が突出部16をいじって引き千切ることがない。
【0020】
表板10及び裏板12は、気泡を含むポリマー成形体からなる。基材ポリマーとしては、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、天然ゴム及び各種合成ゴムが例示される。2以上の基材ポリマーが併用されてもよい。成形容易の観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。焼却処分されたときに有害物質が発生しないとの観点から、ポリオレフィン系樹脂(エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等)が好ましく、形状復元力に優れるエチレン酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。
【0021】
表板10及び裏板12は気泡を含んでいるので、幼児や老人が転倒した場合でも衝撃が吸収される。気泡を含む表板10及び裏板12は断熱性に優れるので、人に温もり感を与える。気泡は、独立気泡であってもよく、連続気泡であってもよい。形状復元力の観点から、独立気泡が好ましい。気泡は、通常は熱分解型発泡剤の発泡によって形成される。用いられる熱分解型発泡剤としては、アゾ化合物、ニトロソ化合物及びトリアゾール化合物が例示される。
【0022】
表板10及び裏板12の発泡倍率(気泡が存在する場合の密度に対する気泡が存在しない場合の密度の比)は、1.5倍以上20倍以下が好ましい。発泡倍率が1.5倍以上に設定されることにより、十分な衝撃吸収性が得られる。この観点から、発泡倍率は3倍以上が特に好ましい。発泡倍率が20倍以下に設定されることにより、十分な強度が得られる。この観点から、発泡倍率は10倍以下が特に好ましい。
【0023】
防火の観点から、表板10及び裏板12に難燃剤が配合されるのが好ましい。難燃剤の具体例としては、金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等)、ハロゲン化合物含有ポリマー等が挙げられる。表板10及び裏板12には、酸化ケイ素、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ゴム粉、樹脂粉末等の充填剤が、必要に応じて適量配合される。表板10及び裏板12に、発泡助剤、劣化防止剤、紫外線吸収剤、軟化剤、加工助剤、架橋剤、増量剤、抗菌剤等が配合されてもよい。
【0024】
この敷物8の製造では、基材ポリマー、発泡剤、発泡助剤及び各種添加剤が密閉式混練機で混練され、ポリマー組成物が得られる。このポリマー組成物がロール機、カレンダー、押出機等で、シート状とされる。このシート状ポリマー組成物は、一次成形型内で加熱及び加圧される。加熱温度は、発泡剤の分解温度よりも高い温度に設定される。加熱によって発泡剤が発泡し、一方の母材が得られる。この母材は、気泡を含むポリマー成形体からなる。この一方の母材が所定寸法に裁断され、一方の板状片が得られる。裁断により、板状片の表面に気泡が露出する。この一方の板状片は、二次成形型内で加圧及び加熱される。この加圧及び加熱により、その表面にスキン層を備えた表板10が得られる。スキン層は、気泡を含まない薄い層である。一方、同様の方法にて他方の母材が得られ、この母材から他方の板状片が得られる。この他方の板状片が型打ち抜きされることにより、その周縁に突出部16と凹陥部18とを備えた裏板12が得られる。打ち抜きにより、突出部16の切断面30(図4参照)及び凹陥部18の切断面32に気泡が露出する。この表板10と裏板12とが積層され、かつ接合されて、敷物8が得られる。
【0025】
表板10はスキン層を備えるので、敷物8の外観は良好であり、かつ汚れにくい。この敷物8では、凹陥部18は表板10に覆われており、突出部16も隣接する敷物8の表板10に覆われる。前述の通り、突出部16及び凹陥部18の切断面30、32には気泡が露出しているが、この突出部16及び凹陥部18が表板10で覆われているので、外観阻害及び汚れの問題は生じない。この敷物8では、打ち抜き後にスキン層の形成のための加圧及び加熱を経ることなく裏板12が得られるので、ジョイントの寸法精度にも優れる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係るクッション性敷物は、種々の床の上に敷設されうる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1(a)は本発明の一実施形態に係るクッション性敷物が示された平面図であり、図1(b)はその正面図である。
【図2】図2(a)は図1の敷物の表板が示された平面図であり、図2(b)はこの敷物の裏板が示された平面図である。
【図3】図3は、図1の敷物が敷設されてなる床面が示された平面図である。
【図4】図4は、図3のIV−IV矢視図である。
【図5】図5は、従来のクッション性敷物が示された平面図である。
【符号の説明】
【0028】
8・・・クッション性敷物
10・・・表板
12・・・裏板
14・・・本体
16・・・突出部
18・・・凹陥部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡を含むポリマー成形体からなり、平面視において実質的に矩形である表板と、
気泡を含むポリマー成形体からなり、表板に積層されかつ接合された裏板とを備えており、
この裏板が、その周縁に突出部と凹陥部とを備えており、
この突出部が、隣接する裏板の凹陥部と嵌合しうるように構成されたクッション性敷物。
【請求項2】
上記表板がその表面にスキン層を備えており、上記突出部及び凹陥部が型打ち抜きによって形成されている請求項1に記載の敷物。
【請求項3】
基材ポリマー及び発泡剤を含むポリマー組成物が一次成形型内で加熱及び加圧されて発泡剤が発泡することにより、気泡を含むポリマー成形体からなる一方の母材が得られる工程と、
この一方の母材が所定寸法に裁断されることによって、その表面に気泡が露出した一方の板状片が得られる工程と、
この一方の板状片が二次成形型内で加圧及び加熱されて、その表面にスキン層を備えた表板が得られる工程と、
基材ポリマー及び発泡剤を含むポリマー組成物が一次成形型内で加熱及び加圧されて発泡剤が発泡することにより、気泡を含むポリマー成形体からなる他方の母材が得られる工程と、
この他方の母材が所定寸法に裁断されることにより、その表面に気泡が露出した他方の板状片が得られる工程と、
この他方の板状片が型打ち抜きされることにより、その周縁に突出部と凹陥部とを備えた裏板が得られる工程と、
この表板と裏板とが積層されかつ接合される工程と
を含むクッション性敷物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−211446(P2007−211446A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30725(P2006−30725)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(591091618)株式会社タイセイ (4)
【Fターム(参考)】