説明

クライアント・サーバシステム及びその制御方法、クライアント端末、プログラム

【課題】通信回線の状況に拘りなく、クライアント端末が新しいマスタ情報を利用可能なクライアント・サーバシステムを提供する。
【解決手段】クライアント・サーバシステム(POSシステム)10は、コード番号と該コード番号に対応する情報とを関連付けて登録するマスタ情報を格納するデータベースを有し、マスタ情報を用いて業務処理を行うPOS端末11に通信回線15を介して接続されたウェブサーバ13を備える。ウェブサーバ13は、POS端末11からマスタ情報の部分の送信要求を受信すると、新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分に対応するコード番号を記憶するマスタサーバ12の記憶装置を参照し、該記憶装置に記憶されたコード番号に対応する、新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分をマスタ情報から取り出して、送信要求を送信した当該POS端末11に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライアント・サーバシステム及びその制御方法、クライアント端末、プログラムに関し、更に詳しくは、マスタ情報を格納するデータベースを有するサーバと、サーバに通信回線を介して接続され、マスタ情報を用いて業務処理を行うクライアント端末とから構成されるクライアント・サーバシステム及びその制御方法、クライアント端末、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
POS(Point of Sales)システムは、商品の売上げの度にその売上情報をデータベースに記録することによって、売上情報の迅速な集計を可能とするシステムであって、スーパーマーケットやチェーンストア等で採用されている。POSシステムでは、レジスタ(POS端末)と、商品のマスタ情報が格納されるマスタサーバとが通信回線を介して接続されており、POS端末がマスタ情報に基づいて売上処理を行う。POS端末は、商品の売上処理に際して、レシートを出力すると共に、売上情報を内部のデータベースに格納する。データベースに格納された売上情報は、マスタサーバへ集められ、集計されることによって、在庫管理やマーケティングに利用される。
【0003】
近年のPOSシステムでは、コストを低減するため、POS端末を簡素に構成し、マスタ情報やソフトウェア機能をマスタサーバ側に集中させるシンクライアント(Thin Client)型が主に採用されている。シンクライアント型のPOSシステムでは、マスタ情報やソフトウェア機能をマスタサーバ側に集中させることによって、マスタ情報やソフトウェア機能をマスタサーバ側で一元的に管理できる。通信回線は一般にインターネットとして構成され、POS端末は売上処理に際して、HTTPリクエストによって、マスタサーバから必要なマスタ情報を取得する。
【0004】
ところで、POS端末は、HTTPリクエストの際に、通信回線の状況によって、マスタサーバとの通信を早期に確立できない場合がある。マスタサーバとの通信を早期に確立できないと、顧客をいたずらに待たせることによって、サービスの低下に繋がるおそれがある。
【0005】
上記に対して、特許文献1は、POS端末の起動時等の所定のタイミングにマスタサーバからマスタ情報の少なくとも一部を取得して、POS端末の内部のローカルデータベースに格納することを提案している。
【特許文献1】特開2004−265055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のPOSシステムによれば、POS端末は、マスタサーバとの通信を早期に確立できない場合には、マスタ情報の参照先を内部のローカルデータベースに切り替えることによって、迅速な売上処理を行うことが出来る。
【0007】
ところで、マスタサーバに格納されるマスタ情報は、担当者の手入力によって登録又は変更されるため、入力ミスが発生することが少なくない。入力ミスの存在が判明した場合には、正常な売上処理を可能とするため、店舗の営業時間中であってもマスタ情報は直ちに訂正される。
【0008】
しかし、同文献に記載のPOSシステムでは、営業時間中にマスタサーバに格納されたマスタ情報が訂正されても、ローカルデータベースに格納されたマスタ情報は所定のタイミングになるまで訂正されない。従って、マスタサーバとの通信を早期に確立できない場合には、新しいマスタ情報が利用できないことによって、正常な売上処理を行えない問題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑み、通信回線の状況に拘りなく、クライアント端末が新しいマスタ情報を利用可能なクライアント・サーバシステム及びその制御方法、クライアント端末、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のクライアント・サーバシステムは、コード番号と該コード番号に対応する情報とを関連付けて登録するマスタ情報を格納するデータベースを有し、前記マスタ情報を用いて業務処理を行うクライアント端末に通信回線を介して接続されたサーバを備えるクライアント・サーバシステムにおいて、
前記サーバは、
クライアント端末からマスタ情報の部分の送信要求を受信すると、新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分に対応するコード番号を記憶する記憶装置を参照し、該記憶装置に記憶されたコード番号に対応する、前記新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分を前記マスタ情報から取り出して、前記送信要求を送信した当該クライアント端末に送信することを特徴とする。
【0011】
本発明のクライアント端末は、コード番号と該コード番号に対応する情報とを関連付けて登録するマスタ情報を格納するサーバに通信回線を介して接続され、前記マスタ情報を用いて業務処理を行うクライアント端末において、
前記業務処理に必要なマスタ情報の少なくとも一部をローカルマスタ情報として記憶する記憶装置と、
コード番号を指定して、業務処理に必要なマスタ情報の部分の送信要求を前記サーバに送信する情報要求手段と、
前記送信要求に応答する前記サーバから受信した情報に、前記マスタ情報に新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分が存在するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記マスタ情報に新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分が存在すると判定されると、当該存在するマスタ情報の部分によって、前記ローカルマスタ情報を更新する情報更新手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第1の視点に係る方法は、コード番号と該コード番号に対応する情報とを関連付けて登録するマスタ情報を格納するデータベースを有するサーバと、前記マスタ情報を用いて業務処理を行うクライアント端末とが通信回線を介して接続されたクライアント・サーバシステムを制御する方法において、
前記サーバが、クライアント端末からマスタ情報の部分の送信要求を受信すると、新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分に対応するコード番号を記憶する記憶装置を参照するステップと、
前記サーバが、前記記憶装置に記憶されたコード番号に対応する、前記新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分を前記マスタ情報から取り出して、前記送信要求を送信した当該クライアント端末に送信するステップとを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の第1の視点に係るプログラムは、コード番号と該コード番号に対応する情報とを関連付けて登録するマスタ情報を格納するデータベースを有するサーバと、前記マスタ情報を用いて業務処理を行うクライアント端末とが通信回線を介して接続されたクライアント・サーバシステムのためのプログラムであって、前記サーバに、
クライアント端末からマスタ情報の部分の送信要求を受信すると、新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分に対応するコード番号を記憶する記憶装置を参照するステップと、
前記記憶装置に記憶されたコード番号に対応する、前記新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分を前記マスタ情報から取り出して、前記送信要求を送信した当該クライアント端末に送信するステップとを実行させることを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の視点に係る方法は、コード番号と該コード番号に対応する情報とを関連付けて登録するマスタ情報を格納するサーバに通信回線を介して接続され、前記マスタ情報を用いて業務処理を行うクライアント端末における制御方法であって、
前記クライアント端末が、前記業務処理に必要なマスタ情報の少なくとも一部をローカルマスタ情報として記憶するステップと、
前記クライアント端末が、コード番号を指定して、業務処理に必要なマスタ情報の部分の送信要求を前記サーバに送信するステップと、
前記クライアント端末が、前記送信要求に応答する前記サーバから受信した情報に、前記マスタ情報に新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分が存在するか否かを判定するステップと、
前記マスタ情報に新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分が存在すると判定されると、前記クライアント端末が、当該存在するマスタ情報の部分によって、前記ローカルマスタ情報を更新するステップとを有することを特徴とする。
【0015】
本発明の第2の視点に係るプログラムは、コード番号と該コード番号に対応する情報とを関連付けて登録するマスタ情報を格納するサーバに通信回線を介して接続され、前記マスタ情報を用いて業務処理を行うクライアント端末のためのプログラムであって、前記クライアント端末に、
前記業務処理に必要なマスタ情報の少なくとも一部をローカルマスタ情報として記憶するステップと、
コード番号を指定して、業務処理に必要なマスタ情報の部分の送信要求を前記サーバに送信するステップと、
前記送信要求に応答する前記サーバから受信した情報に、前記マスタ情報に新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分が存在するか否かを判定するステップと、
前記マスタ情報に新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分が存在すると判定されると、当該存在するマスタ情報の部分によって、前記ローカルマスタ情報を更新するステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のクライアント・サーバシステム、第1の視点に係る方法、及び、第1の視点に係るプログラムによれば、サーバが、新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分に対応するコード番号を記憶する記憶装置を参照することによって、送信要求の受信に際して、新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分を取り出して送信できる。クライアント端末は、これによって、新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分を逐次に受信でき、新しいマスタ情報を常に保持することによって、通信回線の状況に拘りなく、新しいマスタ情報を利用できる。
【0017】
本発明のクライアント・サーバシステムでは、クライアント端末がPOS端末であってもよい。クライアント・サーバシステムがPOSシステムとして構成される場合には、店舗の営業時間中にマスタ情報が修正して登録されることがあるが、修正して登録されたマスタ情報の部分を早いタイミングで受信することによって、POS端末は正常な売上げ処理を行うことが出来る。
【0018】
本発明のクライアント・サーバシステムの好適な態様では、前記クライアント端末は、前記マスタ情報の少なくとも一部を複製したローカルマスタ情報を記憶する記憶装置を有し、前記新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分を受信すると、該受信したマスタ情報の部分によって前記記憶装置に記憶されたローカルマスタ情報を更新する。ローカルマスタ情報を常に新しい状態に維持できる。
【0019】
本発明のクライアント・サーバシステムでは、前記サーバは、前記クライアント端末からコード番号を指定して前記マスタ情報の部分の送信要求を受信すると、当該指定されたコード番号に基づいて、前記新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分を前記記憶装置から検索し、前記クライアント端末に送信してもよい。
【0020】
或いは、上記に代えて、前記サーバは、前記クライアント端末からコード番号を指定して前記マスタ情報の部分の送信要求を受信すると、当該指定されたコード番号に対応するマスタ情報の部分を、前記記憶装置に記憶されたコード番号に対応する、前記新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分と共に、前記クライアント端末に送信してもよい。
【0021】
本発明のクライアント端末、第2の視点に係る方法、及び、第2の視点に係るプログラムによれば、クライアント端末が、サーバから受信した情報に、新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分が存在するか否かを判定することによって、新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分を識別できる。また、そのマスタ情報の部分でローカルマスタ情報を更新することによって、ローカルマスタ情報を新しい状態に維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、図面を参照し、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るPOSシステムの構成を示すブロック図である。POSシステム10は、レジスタとして構成される多数のPOS端末11と、商品のマスタ情報を格納するマスタサーバ12と、マスタサーバ12に接続されたウェブサーバ13と、マスタ情報の登録や変更を受け付けるマスタ登録端末14とを備える。POS端末11、ウェブサーバ13、及び、マスタ登録端末14は、通信回線15を介して相互に接続されている。通信回線15は、インターネットとして構成される。
【0023】
POS端末11、マスタサーバ12、ウェブサーバ13、及び、マスタ登録端末14は何れも、中央演算装置及び記憶装置を備える情報処理装置として構成され、所定のプログラムによって動作する。
【0024】
図2は、マスタサーバに格納されるデータベースの構成を示すブロック図である。マスタサーバ12は、マスタ情報を格納するマスタ情報データベース(DB)21、売上情報を格納する売上情報DB22、及び、変更履歴情報を格納する変更履歴情報DB23を備える。
【0025】
マスタ情報は、POS端末11の売上処理に必要な情報であって、PLU(Price Look Up)情報を含む。PLU情報は、商品のコード番号とその価格や商品名とを対応付けた情報であり、商品の売上処理に際して、売上金額の計算やレシート上への表記に用いられる。マスタ情報は、POSシステム10を管理する担当者によって一元的に管理される。
【0026】
売上情報は、POS端末11での売上処理によって登録された情報であり、売上げのあった商品の商品コードと、その数量や金額等とを対応付けた情報を含む。
【0027】
変更履歴情報は、マスタ情報が登録又は変更された時刻、及び、そのコード番号を時系列に並べた情報であり、マスタサーバ12のプログラム機能等によって自動的に記録される。変更履歴情報には、POS端末11と通信を行った時刻も記録される。なお、マスタサーバ12に代えて、フラットファイルなどのファイルシステムを利用してもよい。
【0028】
図3は、ウェブサーバ13の機能を示すブロック図である。ウェブサーバ13は、変更情報を生成する変更情報生成手段31と、POS端末11との通信を行う通信手段32とを備える。変更情報は、所定の期間内に登録又は変更があったマスタ情報のコード番号を記録した情報である。
【0029】
図4は、POS端末11の各種機能を示すブロック図である。POS端末11は、マスタ情報の複製であるローカルマスタ情報が格納されるローカルマスタ情報DB41、及び、売上情報が格納される売上情報DB42を備える。POS端末11は、また、POS端末11の記憶装置内に格納されたプログラムとして構成される、売上処理手段43、及び、通信手段44を備える。
【0030】
売上処理手段43は、商品の売上げに際して、売上情報の作成を行うと共に、作成した売上情報を売上情報DB42に格納する。売上処理手段43は、また、商品の売上げに際し、作成した売上情報に基づいて、POS端末11の印刷装置を用いてレシートの出力を行う。通信手段44は、ウェブサーバ13との通信によって、新たに登録された売上情報の部分を送信し、新たに登録又は変更されたマスタ情報の部分を取得する。
【0031】
図5は、図1の売上管理システムにおける、売上処理手段43の動作手順を示すフローチャートである。商品の売上げに際し、販売員の操作に従って、POS端末11のバーコードリーダが商品のコード番号を読み取る。これによって、売上処理手段43は商品のコード番号を取得する(ステップS11)。引き続き、売上処理手段43は、ウェブサーバ13に向けて、コード番号に該当する商品のマスタ情報の取得を要求するHTTPリクエストを送信する(ステップS12)。更に、予め指定された時間内で、要求したマスタ情報をウェブサーバ13から受信するまで待機する(ステップS13)。
【0032】
ステップS13で、指定時間内でウェブサーバ13から応答があった場合には、応答後直ちにステップS14に進み、該当するマスタ情報を取得する。引き続き、ステップS16に進む。ステップS13で、指定時間内に応答が無かった場合には、ステップS15に進み、ローカルマスタ情報DB41を参照し、コード番号に該当する商品のローカルマスタ情報を検索し、取得する。引き続き、ステップS16に進む。
【0033】
ステップS16では、ステップS14で取得したマスタ情報、又は、ステップS15で取得したローカルマスタ情報を用いて売上処理を行い、売上情報を作成すると共に、レシートの出力を行う(ステップS16)。更に、作成した売上情報を売上情報DB22に格納し(ステップS17)、処理を終了する。
【0034】
図6は、通信手段44及びウェブサーバ13の動作手順を示すフローチャートである。通信手段44は、売上処理手段43の動作を監視し、売上処理が終了した(ステップS21)際に、売上情報DB42を参照し、今回の売上処理で新たに登録された売上情報の部分を抽出し、ウェブサーバ13に向けて送信する(ステップS22)。ウェブサーバ13は、通信手段44から新たに登録された売上情報の部分を受信した(ステップS23)後、マスタサーバの売上情報DB22に格納する(ステップS24)。
【0035】
次いで、ウェブサーバ13は、マスタサーバの変更履歴情報23を参照し、POS端末11との前回の通信より後に発生した、マスタ情報の登録、変更の有無を判別する(ステップS25)。ステップS25で、登録、変更が無ければ処理を終了する。登録、変更がある場合には、ウェブサーバの変更情報生成手段31が、登録、変更があったマスタ情報のコード番号を抽出し、変更情報を生成する(ステップS26)。次いで、ウェブサーバ13は、生成した変更情報をPOS端末11に送信する(ステップS27)。通信手段44は、変更情報を受信する(ステップS28)。
【0036】
引き続き、通信手段44は、受信した変更情報に基づき、登録、変更があったマスタ情報の部分を、ウェブサーバ13からコード番号ごとに順次に取得する。コード番号ごとのマスタ情報の取得に際しては、図7に示すように、所定のコード番号に対応するマスタ情報のHTTPリクエストを送信し(ステップS31)、予め指定された時間内で、要求したマスタ情報をウェブサーバ13から受信するまで待機する(ステップS32)。
【0037】
ステップS32で、指定時間内でウェブサーバ13から応答があった場合には、応答後直ちにステップS33に進み、該当するマスタ情報を取得する。次いで、取得したマスタ情報で、対応するローカルマスタ情報の部分を上書きすることによって、ローカルマスタ情報を更新する(ステップS34)。引き続き、ステップS31に戻り、次のコード番号について、ステップS31から同様に行う。ステップS32で、指定時間内に応答が無かった場合には、ステップS33,S34を省略して、次のコード番号についてステップS31から同様に行う。
【0038】
最後のコード番号のマスタ情報を取得した後には、図8に示すように、未取得のマスタ情報についてHTTPリクエストを送信し(ステップS35)、要求したマスタ情報をウェブサーバ13から受信する(ステップS36)。更に、取得したマスタ情報で、対応するローカルマスタ情報の部分を上書きすることによって、ローカルマスタ情報を更新する(ステップS37)。新たに登録、変更されたマスタ情報の部分を全て取得することによって、処理を終了する。
【0039】
なお、ステップS31〜S37に際して、複数のコード番号についてのマスタ情報を同時並行的に取得してもよい。また、ステップS35〜S37に際して、仮に、次の売上処理までにマスタ情報を取得できなかった場合には、POS端末11が該当するマスタ情報のコード番号を記憶し、当該コード番号の商品の売上げが発生した場合には、時間を要してもウェブサーバ13から取得するものとしてもよい。
【0040】
本実施形態のPOSシステム10によれば、POS端末11は、売上情報を送信する度に、ウェブサーバ13から受信した変更情報に基づいて、ウェブサーバ13から新たな登録、変更があったマスタ情報の部分を取得し、ローカルマスタ情報を更新する。従って、ローカルマスタ情報は、常に新しい状態に維持され、これによって、通信回線の状況に拘りなく、新しいマスタ情報を利用可能なPOSシステムを実現できる。
【0041】
POS端末11が、変更情報に基づいて、新たに登録、変更されたマスタ情報の部分をコード番号ごとに取得する構成によって、特定のコード番号に対応するマスタ情報の部分の取得に際して、ウェブサーバ13との通信を早期に確立できない場合があっても、他のコード番号に対応するマスタ情報の部分を先行して取得できる。これによって、マスタ情報の取得に要する時間を短縮出来ると共に、コード番号ごとにマスタ情報を更新できる。なお、実施形態のPOSシステム10でマスタ情報の更新に要する時間は、通信を行う情報量や通信回線の状況にもよるが、例えば数秒程度である。
【0042】
従って、営業時間帯に入力ミスの存在が判明した際にも、マスタサーバ12に格納されているマスタ情報を訂正すれば、POS端末11に格納されているローカルマスタ情報も直ちに訂正される。これによって、POS端末11は、通信回線の状況に拘りなく、正常な売上処理を行うことが出来る。
【0043】
図9は、上記実施形態の第1変形例に係るPOSシステムについて、マスタ情報の構成を示すブロック図である。本変形例のマスタ情報は、同図に示すように、PLU情報以外に、販促メッセージ情報、及び、業務連絡情報等を含む。販促メッセージ情報は、販促用のメッセージを含む情報であって、レシート上への表記やPOS端末11の販促用の画面上への表示に用いられる。業務連絡情報は、業務に関連する連絡のための情報であって、POS端末11の業務用の画面上等に表示される。図2の変更履歴情報DB23に格納される変更履歴情報も、販促メッセージ情報、及び、業務連絡情報の変更履歴を含んで記録される。
【0044】
本変形例では、図6のステップS26のマスタ情報の変更の有無の確認に際して、販促メッセージ情報、及び、業務連絡情報の変更の有無についても確認を行う。ステップS26で、販促メッセージ情報、及び、業務連絡情報の変更があった場合には、ステップS27の変更情報の生成に際して、その旨の情報を含んだ変更情報を生成する。図7のステップS31〜S34、又は、図8のステップS35〜S37に際しては、販促メッセージ情報、及び、業務連絡情報の取得も同様に行う。
【0045】
本変形例のPOSシステムによれば、業務連絡情報や販促メッセージ情報についても、マスタ情報で登録、変更されることによって、POS端末11側に直ちに反映されるので、業務連絡を迅速に行うと共に、タイムリーな販促活動を行うことが出来る。例えば、商品に不良が有ることが判った際に、その旨の業務連絡情報がマスタ情報に入力されることによって、店舗側に直ちに伝達され、商品の排除等の対応を迅速に行うことが出来る。
【0046】
ところで、上記実施形態のPOSシステム10では、売上処理が長時間に渡って発生しない場合には、ローカルマスタ情報が充分に新しい状態に維持できないおそれがある。従って、通信手段44は、変更情報を取得してから所定の時間範囲内で売上処理が発生しなかった場合に、変更情報を要求してもよい。図10は、上記実施形態の第2変形例に係るPOSシステムについて、POS端末の通信手段44及びウェブサーバ13の動作手順を示すフローチャートである。
【0047】
本変形例のPOSシステムでは、通信手段44は、売上処理手段43の動作を監視し、売上処理を行ってから次の売上処理が発生するまでに、予め指定された所定の時間が経過した際に(ステップS41)、変更情報の送信を要求する要求情報を生成する(ステップS42)。引き続き、通信手段44は、生成した要求情報をウェブサーバ13に向けて送信する(ステップS43)。
【0048】
ウェブサーバ13は、POS端末の通信手段44より要求情報を受信し(ステップS44)、図6のステップS25に進む。所定の時間は、例えば1〜999秒の範囲内とし、ユーザが任意に設定できるものとする。なお、ウェブサーバ13側で、POS端末11からの売上情報の受信を監視し、売上情報を受信してから次の売上情報を受信するまでに、所定の時間が経過した際に、図6のステップS25に進むものとしてもよい。
【0049】
なお、実施形態で図5のステップS12〜S14に際して、POS端末11とウェブサーバ13との間の情報の送受信等が迅速に行われる場合には、ウェブサーバ12が新たな登録、変更のあったマスタ情報の部分を抽出し、HTTPリクエストに対応するマスタ情報の部分と共に、この新たな登録、変更のあったマスタ情報の部分を送信してもよい。この場合、POS端末11が、受信したマスタ情報から、新たな登録、変更があったマスタ情報の部分が存在するか否かを判定する判定手段を更に備えることによって、ローカルマスタ情報の更新を効率的に行うことが出来る。
【0050】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明のクライアント・サーバシステム及びその制御方法、クライアント端末、プログラムは、上記実施形態に記載のPOSシステムの構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したクライアント・サーバシステム及びその制御方法、クライアント端末、プログラムも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係るPOSシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1のマスタサーバの各種機能を示すブロック図である。
【図3】図1のウェブサーバの各種機能を示すブロック図である。
【図4】図1のPOS端末の各種機能を示すブロック図である。
【図5】売上処理手段の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】通信手段及びウェブサーバの動作手順を示すフローチャートである。
【図7】マスタ情報の部分を取得する手順を示すフローチャートである。
【図8】マスタ情報の部分を取得する手順を示すフローチャートである。
【図9】実施形態の第1変形例に係るPOSシステムについて、マスタ情報の構成を示すブロック図である。
【図10】実施形態の第2変形例に係るPOSシステムについて、通信手段及びウェブサーバの動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
10:POSシステム
11:POS端末
12:マスタサーバ
13:ウェブサーバ
14:マスタ登録端末
15:通信回線
21:マスタ情報データベース
22:売上情報データベース
23:変更履歴情報データベース
31:変更情報生成手段
32:通信手段
41:ローカルマスタ情報データベース
42:売上情報データベース
43:売上処理手段
44:通信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コード番号と該コード番号に対応する情報とを関連付けて登録するマスタ情報を格納するデータベースを有し、前記マスタ情報を用いて業務処理を行うクライアント端末に通信回線を介して接続されたサーバを備えるクライアント・サーバシステムにおいて、
前記サーバは、
クライアント端末からマスタ情報の部分の送信要求を受信すると、新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分に対応するコード番号を記憶する記憶装置を参照し、該記憶装置に記憶されたコード番号に対応する、前記新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分を前記マスタ情報から取り出して、前記送信要求を送信した当該クライアント端末に送信することを特徴とするクライアント・サーバシステム。
【請求項2】
前記クライアント端末がPOS端末である、請求項1に記載のクライアント・サーバシステム。
【請求項3】
前記クライアント端末は、前記マスタ情報の少なくとも一部を複製したローカルマスタ情報を記憶する記憶装置を有し、前記新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分を受信すると、該受信したマスタ情報の部分によって前記記憶装置に記憶されたローカルマスタ情報を更新する、請求項1又は2に記載のクライアント・サーバシステム。
【請求項4】
前記サーバは、前記クライアント端末からコード番号を指定して前記マスタ情報の部分の送信要求を受信すると、当該指定されたコード番号に基づいて、前記新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分を前記記憶装置から検索し、前記クライアント端末に送信する、請求項3に記載のクライアント・サーバシステム。
【請求項5】
前記サーバは、前記クライアント端末からコード番号を指定して前記マスタ情報の部分の送信要求を受信すると、当該指定されたコード番号に対応するマスタ情報の部分を、前記記憶装置に記憶されたコード番号に対応する、前記新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分と共に、前記クライアント端末に送信する、請求項3に記載のクライアント・サーバシステム。
【請求項6】
コード番号と該コード番号に対応する情報とを関連付けて登録するマスタ情報を格納するサーバに通信回線を介して接続され、前記マスタ情報を用いて業務処理を行うクライアント端末において、
前記業務処理に必要なマスタ情報の少なくとも一部をローカルマスタ情報として記憶する記憶装置と、
コード番号を指定して、業務処理に必要なマスタ情報の部分の送信要求を前記サーバに送信する情報要求手段と、
前記送信要求に応答する前記サーバから受信した情報に、前記マスタ情報に新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分が存在するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記マスタ情報に新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分が存在すると判定されると、当該存在するマスタ情報の部分によって、前記ローカルマスタ情報を更新する情報更新手段とを備えることを特徴とするクライアント端末。
【請求項7】
コード番号と該コード番号に対応する情報とを関連付けて登録するマスタ情報を格納するデータベースを有するサーバと、前記マスタ情報を用いて業務処理を行うクライアント端末とが通信回線を介して接続されたクライアント・サーバシステムを制御する方法において、
前記サーバが、クライアント端末からマスタ情報の部分の送信要求を受信すると、新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分に対応するコード番号を記憶する記憶装置を参照するステップと、
前記サーバが、前記記憶装置に記憶されたコード番号に対応する、前記新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分を前記マスタ情報から取り出して、前記送信要求を送信した当該クライアント端末に送信するステップとを有することを特徴とする方法。
【請求項8】
コード番号と該コード番号に対応する情報とを関連付けて登録するマスタ情報を格納するデータベースを有するサーバと、前記マスタ情報を用いて業務処理を行うクライアント端末とが通信回線を介して接続されたクライアント・サーバシステムのためのプログラムであって、前記サーバに、
クライアント端末からマスタ情報の部分の送信要求を受信すると、新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分に対応するコード番号を記憶する記憶装置を参照するステップと、
前記記憶装置に記憶されたコード番号に対応する、前記新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分を前記マスタ情報から取り出して、前記送信要求を送信した当該クライアント端末に送信するステップとを実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
コード番号と該コード番号に対応する情報とを関連付けて登録するマスタ情報を格納するサーバに通信回線を介して接続され、前記マスタ情報を用いて業務処理を行うクライアント端末における制御方法であって、
前記クライアント端末が、前記業務処理に必要なマスタ情報の少なくとも一部をローカルマスタ情報として記憶するステップと、
前記クライアント端末が、コード番号を指定して、業務処理に必要なマスタ情報の部分の送信要求を前記サーバに送信するステップと、
前記クライアント端末が、前記送信要求に応答する前記サーバから受信した情報に、前記マスタ情報に新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分が存在するか否かを判定するステップと、
前記マスタ情報に新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分が存在すると判定されると、前記クライアント端末が、当該存在するマスタ情報の部分によって、前記ローカルマスタ情報を更新するステップとを有することを特徴とする方法。
【請求項10】
コード番号と該コード番号に対応する情報とを関連付けて登録するマスタ情報を格納するサーバに通信回線を介して接続され、前記マスタ情報を用いて業務処理を行うクライアント端末のためのプログラムであって、前記クライアント端末に、
前記業務処理に必要なマスタ情報の少なくとも一部をローカルマスタ情報として記憶するステップと、
コード番号を指定して、業務処理に必要なマスタ情報の部分の送信要求を前記サーバに送信するステップと、
前記送信要求に応答する前記サーバから受信した情報に、前記マスタ情報に新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分が存在するか否かを判定するステップと、
前記マスタ情報に新たに登録された又は修正して登録されたマスタ情報の部分が存在すると判定されると、当該存在するマスタ情報の部分によって、前記ローカルマスタ情報を更新するステップとを実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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