説明

クラウドベース仮想タンデム

【課題】着信通信交換に透明性及び最大限の価値を提供する、改善された報酬体系が望まれる。
【解決手段】ピアリングパートナは、通話依頼の直接広帯域ルーティングのためにピアリンググリッド(100)に登録する。ピアリンググリッド(100)は、ピアリングパートナに代わって通話依頼を着信し、通話詳細記録を収集し、着信使用量を要約し、ピアリンググリッドのサービスを使用したことへの返報としてピアリングパートナに提供される支払額を算出する。通話詳細記録は、ピアリングパートナのために作成されてもよく、通話トラフィックの市場価値、通話トラフィックの可変料金、決定された報酬額を含んでもよい。市場価値は、ピアリンググリッド(100)からの通話トラフィックの着信の収益に基づき、可変料金は、ピアリンググリッド(100)とピアリングパートナの間で市場価値を共有することの関数であり、支払うべき報酬額は、可変料金の関数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、一般に電気通信に関する。
【0002】
本出願は、2010年3月23日に出願された「通信ネットワークでピアリングパートナに支払いを行うための支払システム」という名称の米国出願第12/729,806号の一部継続出願であり、2010年10月1日に出願された「仮想タンデム」という名称の仮出願第61/388,872号への優先権を主張し、その内容は全体としてここに援用される。
【背景技術】
【0003】
通話着信(call termination)、または音声着信(voice termination)は、一の通信交換(telecommunications exchange)から別の通信交換への通信セッション(例えば、通話、データ、画像、またはマルチメディア転送等)の転送に関連する。通信交換は、ある例において、競合地域通信事業者(CLEC)または既存地域通信事業者(ILEC)等の通信事業者、または通信サービスプロバイダを含み得る。通話元(call initiator)は発信地点(originating point)にあり、通話先(call destination)は着信地点(terminating point)にある。
【0004】
発信通信交換は、通信セッションを着信通信交換に転送するのを選択できる。着信通信交換は、ある実行において、着信サービスに関連する料金を通知する。例えば、発信通信交換は、通信セッションを、最低料金着信サービスまたは最低料金レート(LCR)を通知する着信通信交換に転送するのを選択できる。
【0005】
ある実装において、着信通信交換は、発信通信交換と異なるネットワーク型を含む。ネットワークは、ある例において、パケット交換データネットワーク(例えば、インターネット、イントラネット、エクストラネット、サブネット)、公衆交換電話ネットワーク(PSTN)、無線ネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、ピアツーピアネットワーク、衛星ネットワーク、ラジオ及びテレビ放送ネットワーク、光ネットワーク、メトロエリアネットワーク(MAN)、コンピュータネットワーク、グリッドネットワーク、電話交換(例えば、構内電話交換(PBX))、広帯域統合データサービスネットワーク(BISDN)、アクセスネットワーク、デジタル加入者線(DSL)、ケーブル等を含み得る。着信通信交換は、発信通信交換により宛先通信装置の型(例えば、通信装置が使用するように構成されるネットワークの型(style network))に一部基づいて選択され得る。通信装置は、音声及び/またはデータを送信または受信できる任意の装置を含み得、電話、スマートフォン、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、コンピュータ、ファクス、インターネット対応装置、メディアプレーヤ、セットトップボックス、電子メール装置等を含むがこれに限定されない。例えば、発信通信交換は、公衆交換電話ネットワーク(PSTN)でもよく、着信通信交換は、ボイスオーバインターネットプロトコル(VoIP)広帯域ネットワークでもよく、その逆でもよい。
【0006】
通話詳細記録は、電話接続の着信時に作成される。通話詳細記録内の情報は、通信プロバイダにより、提供されたサービスの適切な請求料金を決定するために使用され得る。通話詳細記録は、ある例において、発信電話番号、受信電話番号、発信(origination)時刻印、及び通話時間(call duration)を含み得る。さらに、通信プロバイダは、通話詳細記録に他の情報、例えば記録識別コード、通話の結果(例えば、完了、使用中等)、通話に関する特定のルーティング情報、または通話中に使用される特別な機能(例えば、通話中着信、会議回線等)を収集できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
請求料金は、典型的に、着信通信交換により請求される、分毎の固定料金という報酬体系(compensation structure)に基づく着信サービスを含む。このことは、発信通信交換または第三者通信事業者が顧客(即ち、発信者(originating caller))から徴収する料金にかかわらず、着信通信交換が発信通信交換または第三者通信事業者から同じ毎分料金を受け取るという結果をもたらす。着信通信交換は、基本的に、発信通信交換または第三者通信事業者からの正確な自己報告を信頼する。さらに、典型的な報酬体系は、長距離通話料金のみを考慮し、着信通信交換は、市内通話について報酬を受け取らない。このことは、着信通信交換が無線通信事業者である場合に、特に問題になるかもしれない。なぜなら、長距離通話の追跡は、市内通信セッションと対比して困難だからである。
【0008】
このように、着信通信交換に透明性及び最大限の価値を提供する、改善された報酬体系が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ピアリングパートナは、通話依頼(call offer)の直接広帯域ルーティング(direct broadband routing)のために、ピアリンググリッドに登録する。ピアリンググリッドは、ピアリングパートナに代わって通話依頼を着信し、通話詳細記録を収集し、着信使用量を要約し、及びピアリンググリッドのサービスを使用したことへの返報としてピアリングパートナに提供される支払額を算出する。
【0010】
一実施形態において、着信通信事業者のために通話詳細記録を作成する方法は、所定の期間における着信通信事業者への通話トラフィックの市場価値を決定すること、通話トラフィックの可変料金を決定すること、及び着信通信事業者に支払うべき報酬額を決定することを有する。市場価値は、ピアリンググリッドから着信通信事業者への通話トラフィックの着信の収益に基づき、可変料金は、ピアリンググリッド及び着信通信事業者の間で市場価値を共有することの関数であり、及び支払うべき報酬額は、可変料金の関数である。決定された市場価値、決定された可変料金、及び決定された報酬額の1つ以上を含む報告が作成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ピアリングパートナへの通話接続を容易にし、ピアリングパートナへの支払情報を作成するための通信ピアリンググリッド例のブロック図である。
【図2】通信ピアリンググリッド内のピアリングパートナのために、通話接続を実行し、送り状を作成し、及び支払情報を作成するための工程例のスイムレーン図である。
【図3】図1及び2を参照して説明された様々な処理を実行するためのシステム構成例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[通信ピアリンググリッド例]
図1は、ピアリングパートナへの通話接続を容易にし、ピアリングパートナへの支払情報を作成するための、メディアピアリンググリッド(登録商標)等の通信ピアリンググリッド例100のブロック図である。ある実装において、通信グリッド100は、ピアリング基盤102、ピアリングデータベース104、及びピアリングパートナグリッド106を備える。
【0013】
ピアリング基盤102は、ピアリングパートナに、ピアリング基盤からピアリングパートナアクセス装置への通信通話の直接広帯域ルーティングを提供できる。ある実装において、ピアリングパートナは、多数の電話番号を有する組織、例えばある例において、企業、教育キャンパス、通信事業者、通信サービスプロバイダ、インターネットサービスプロバイダ(ISP)、アプリケーションサービスプロバイダ(ASP)、または政府機関を含み得る。組織は、例えばピアリンググリッドに情報を提供することを通じて、ピアリングパートナになり得る。その情報は、ある例において、組織名、電話番号、住所、請求先住所または方法(例えば、預金勘定等)、1つ以上の電話番号、及び各ネットワークアドレスが電話番号の1つ以上に対応する、1つ以上のネットワークアドレスを含み得る。ピアリングパートナは、例えば、ルーティング情報、例えばピアリングパートナエッジルーティング装置のインターネットプロトコル(IP)アドレス、またはピアリングパートナに割り当てられた通信装置へのアクセスを可能にする他のアドレスと共に、ピアリング基盤102に電話番号を登録できる。ある実装において、個人はまた、ピアリング基盤102にソフトフォン等の広帯域ネットワークベース通信装置を登録できる。登録された電話番号は、ピアリングデータベース104に格納され得る。ある実装において、ピアリングデータベース104は、ピアリング基盤102に備えられる。
【0014】
ピアリング基盤102は、ある実装において、ルーティングロジック114及びスイッチ116を備え得る。他の実装において、ルーティングロジック114は、スイッチ116に備えられ得る。一例において、ピアリング基盤102は、ソフトスイッチ、またはパケット交換ネットワークで様々な通信タスク、例えばエンドポイントへの電話、コールレグ(call leg)の橋渡し、及び統合音声応答(IVR)交換の容易化を実行できる仮想PBXを備え得る。他の実装も可能である。簡単に言えば、ルーティングロジック114は、通話依頼で要求された宛先に至る経路を計算し、スイッチ116は、通話依頼をその宛先に転送するのに必要な交換手順を実行する。例えば、スイッチ116は、第1の通信プロトコル及び第2の通信プロトコルの間で変換を行うためのロジックを含み得る。
【0015】
ピアリングパートナにより登録された電話番号への通話依頼がピアリング基盤102により受信されると、ピアリング基盤102は、ピアリングデータベース104で宛先電話番号を検索し、通話依頼を関連アドレスに転送する。ピアリング基盤102は、通話依頼の着信に関する通話詳細記録を収集する。収集された通話詳細記録は、ピアリングパートナへの支払額を決定するのに使用され得る。
【0016】
図1に示された例によれば、公衆通信ネットワーク(例えば、公衆交換電話ネットワーク(PSTN))は、通話依頼をピアリング基盤102に発行する(122)。ピアリング基盤102内のスイッチ116は、例えば通話依頼を受信する。スイッチ116は、宛先電話番号をルーティングロジック114に伝達する。ルーティングロジック114は、データベースへの問い合わせを実行し(124)、ピアリングデータベース104で電話番号に関する情報を検索する。電話番号がピアリングデータベース104に存在しなければ、ルーティングロジック114は、通話依頼の標準ルーティング処理を実行できる。例えば、ピアリング基盤102は、宛先への最小コスト経路で通話を転送できる。
【0017】
代わりに、電話番号がピアリングデータベース104で発見されれば、ルーティングロジック114は、ピアリングパートナ通信装置(例えば、ピアリングパートナグリッド106のエッジスイッチ)の宛先アドレスをスイッチ116に提供できる。スイッチ116は、通話依頼をピアリングパートナグリッド106に直接転送できる(126)。ある実装において、通話依頼は、ピアリング基盤102及びピアリングパートナグリッド106の間で確立された広帯域トランク(trunk)で転送される。他の実装において、スイッチ116は、ピアリング基盤102及びピアリングパートナグリッド106の間の、別の形式のハードコード(hard coded)接続を備える。この接続は、例えば、ピアリングパートナがピアリング基盤102に電話番号を登録する(120)ときに確立され得る。ピアリングパートナグリッド106は、通話依頼を宛先通信装置118に転送する(128)。
【0018】
ピアリングパートナグリッド106により受信された通話が完了すると、スイッチ116は、通話詳細を通話詳細記録(CDR)の形式で1つ以上のCDRコレクタ108に提供する(130)。通話詳細記録は、ある例において、発信電話番号、受信電話番号、発信時刻印、及び通話時間を含み得る。CDRコレクタ108は、ある実装において、各通話詳細記録を通話依頼の、直接ピアリングパートナへのルーティングに関する情報で拡充する。ある例において、この情報は、宛先電話番号に関連するピアリングパートナの識別子、発信電話番号に関連するピアリングパートナの識別子、または標準通信ルーティング機構を通じて、例えば最低料金ルーティング(LCR)経路を用いて通話依頼を転送することに関連する通話料金(例えば、毎分料金または定額接続料金)を含み得る。他の実装において、スイッチ116は、各通話詳細記録を拡充し、またCDRコレクタ108に通話詳細記録を拡充するのに必要な情報を提供する。CDRコレクタ108は、ある実装において、拡充された通話詳細記録を保管する。
【0019】
CDRコレクタ108は、拡充された通話詳細記録を、定期的に(例えば、毎月、隔週、毎週等)ピアリングパートナ毎の要約された使用情報を計算する通話要約エンジン110に提供する(132)。ある例において、要約された使用情報は、直接ピアリング接続を通じて転送された総分数、ピアリングパートナに代わってピアリング基盤102により着信された総通話数、または標準通信ルーティング機構を通じて要約された通話依頼を転送したピアリング基盤102の総潜在コストを含み得る。
【0020】
通話要約エンジン110は、ある実行において、各ピアリングパートナの要約された着信使用報告を作成する。通話要約エンジン110は、着信使用報告を各ピアリングパートナに、例えば定期的に、転送できる(134)(例えば、ファックス、電子メール、郵便、ウェブベースアカウントへのアップロード等)。
【0021】
通話要約エンジン110はまた、要約された通話記録データを、要約された通話記録データに一部基づいてピアリングパートナに支払うべき金額を計算する送り状作成(invoicing)及び支払エンジン112に提供できる(136)。ある実行において、送り状作成及び支払エンジン112は、要約された通話依頼を標準通信ルーティング機構を通じて転送したピアリング基盤102の総潜在コストに基づく割合(percentage rate)、または発信通信交換(例えば、PSTN)によりピアリング基盤102に着信サービスについて支払われた料金に基づく割合を算出する。他の実行において、送り状作成及び支払エンジン112は、ピアリング基盤102からピアリングパートナグリッド106に直接転送された通話毎の定額料金または通話分(call minute)毎の定額料金を算出できる。
【0022】
送り状作成及び支払エンジン112は、ある実行において、支払いのピアリングパートナへの転送(138)を管理できる。ある例において、送り状作成及び支払エンジン112は、小切手(check)のピアリングパートナへの発行を統合し、ピアリングパートナがピアリングプロバイダと共に有する勘定に貸記(credit an account)できる。着信使用報告は、ある実行において、支払額と組み合わされ、ピアリングパートナへの単一の情報として発行され得る。
【0023】
[送り状作成及び支払工程例]
図2は、通信ピアリンググリッド内のピアリングパートナのために、通話接続を実行し、送り状を作成し、及び支払情報を作成するための工程例200のスイムレーン図である。通信ピアリンググリッドは、例えば、通話依頼を各ピアリングパートナに直接転送し、ピアリングパートナに直接転送された各通話依頼の通話着信処理を管理し、通信ピアリンググリッドからピアリングパートナへの1つ以上の通話依頼の直接ルーティングを反映する支払いを各ピアリングパートナに発行できる。
【0024】
ある実行において、工程200は、公衆通信ネットワーク202、ピアリングスイッチ204、ピアリングデータベース206、ピアリングパートナグリッド208、通話詳細記録コレクタ210、要約エンジン212、及び支払及び送り状作成エンジン214を含む。
【0025】
工程200は、ピアリングパートナグリッド208が、ピアリングパートナとしての会員またはアカウント通信ピアリンググリッドに設定することから始まる。ある例において、ピアリングパートナは、登録情報をピアリングパートナグリッドに、電話、電子メール、ウェブベース会員フォームにより、書面会員フォームをまたは郵便またはファックスを通じて発行することにより提供できる。
【0026】
登録工程は、ある実行において、支払情報(216)を支払及び送り状作成エンジン214に登録することを含む。例えば、ピアリングパートナグリッド208は、請求先住所、振込勘定銀行支店コード(direct deposit account routing number)、及び/または他の情報を、支払及び送り状作成エンジン214に、通信ピアリンググリッドから支払いを受けるために提供できる。支払いを受けるための方法を登録すると共に、ある実行において、ピアリングパートナは、多数の利用可能な送り状作成オプションから選択する。例えば、通信ピアリンググリッドは、各ピアリングパートナに様々な送り状作成要約オプション及び/または支払額算出オプションを提供できる。
【0027】
登録工程はまた、1つ以上の電話番号(218)をピアリングデータベース206に登録することを含む。ある実行において、ピアリングパートナグリッド208は、ピアリングデータベース206に、電話番号の1つ以上のブロック及び各ブロックに関連するルーティングアドレスを提供する。一例において、ピアリングパートナは、ホームオフィス(home office location)及びサテライトオフィス(satellite office location)を有する会社組織を含んでもよい。ピアリングパートナは、電話番号の第1のブロック555−555−0xxxを第1のIPアドレスと関連付けて登録し、電話番号の第2のブロック333−333−0xxxを第2のIPアドレスと関連付けて登録でき、各ブロックは、地理的に異なるオフィスに登録される。他の実行も可能である。
【0028】
後の時点で、ピアリングスイッチ204は、電話番号555−555−0111の通話依頼(220)を公衆通信ネットワーク202から受信する。ある実行において、公衆通信ネットワーク202は、PSTNである。公衆通信ネットワーク202は、一例において、通話依頼をピアリンググリッドに着信のために転送し、通話依頼を着信するためにピアリンググリッドに通話着信料金を支払うことに同意できる。
【0029】
ピアリングスイッチ204は、電話番号555−555−0111がピアリングパートナにより登録されているかどうかを確認するために、ピリングデータベース206に問い合わせを行う(222)。電話番号555−555−0111がピアリングデータベース206で検索されなければ、例えば、ピアリングスイッチ204は、通話依頼を標準通信ネットワークで転送できる。
【0030】
ピアリングデータベース206は、電話番号555−555−0111の記録で応答する(224)。記録は、ある実装において、電話番号の直接ルーティングアドレス、例えばIPアドレスを含む。他の実装において、記録は、通信ピアリンググリッド及びピアリングパートナグリッドの間で確立された直接ルーティング接続、例えば(図1に関して説明されたような)スイッチ116にコードされた交換トランクの識別子を含む。
【0031】
ピアリングスイッチ204は、電話番号555−555−0111の通話依頼をピアリングパートナグリッド208に転送する(226)。この例において、通話依頼は、接続された通話として着信する。接続された通話は、ある例において、話中音(busy signal)、直通音声メール(direct to voice mail)、または確立されたデータ/音声通信転送の状況を含む。
【0032】
ピアリングスイッチ204は、ある実行において、通話接続に関する情報を着信時に通話詳細記録に収集する。通話詳細記録は、ある例において、発信電話番号、宛先電話番号、時刻印、及び通話時間を含む。通話詳細記録は、ある実装において、ピアリングパートナに関する情報、例えば識別コードまたは接続IPアドレスをさらに含む。スイッチ204は、通話詳細記録を通話詳細記録(CDR)コレクタ210に提供する(228)。
【0033】
CDRコレクタ210は、通話詳細記録を保管する。ある実行において、CDRコレクタ210は、通話詳細記録を保管用ローカルデータベースに格納する。他の実行において、CDRコレクタ210は、通話詳細記録をデータベース、例えばネットワークデータベースに、通話毎にまたは一括でアップロードする。例えば、2つ以上のCDRコレクタ210は、通話詳細記録を共有CDR保管システムに公開できる。通話詳細記録が、ピアリンググリッドがピアリングパートナに直接接続した通話に関連する場合に、CDRコレクタ210は、ある実行において、通話詳細記録をピアリングパートナに関する情報で拡充する。例えば、着信電話番号を用いて、CDRコレクタ210は、通話詳細記録とピアリングパートナ識別コードを照合できる。ある実行において、CDRコレクタ210は、着信電話番号に関連するピアリングパートナ情報を取得するために、ピアリングデータベース206に問い合わせを行う。他の実行において、CDRコレクタ210は、ピアリングパートナ情報を含む別々のデータベース(例えば、支払及び送り状作成登録情報を含むデータベース、またはピアリングパートナグリッドにより維持される別のデータベース)に問い合わせを行う。
【0034】
CDRコレクタ210は、拡充された通話詳細記録を要約エンジン212に提供する(230)。例えば、CDRコレクタ210は、記録をローカルデータベースシステムで収集した後に、1つ以上の通話詳細記録を通話詳細記録保管システムに公開できる。CDRコレクタ210は、別の例において、要約エンジン212に、1つ以上の通話詳細記録の、通話詳細記録保管システムからの検索に関する情報を提供できる。ある実行において、要約エンジン212は、拡充された通話詳細記録を2つ以上のCDRコレクタ210から受信する。
【0035】
要約エンジン212は、ピアリングパートナの、通信ピアリンググリッドの使用量を要約する。ある例において、要約エンジン212は、一定の期間におけるピアリングパートナへの総通話依頼着信数、ピアリングスイッチ204からピアリングパートナグリッド208に直接転送された総通話分数(call minutes)、登録電話番号毎の総通話分数、電話番号毎の総通話依頼着信数、登録ピアリングパートナ着信アドレス毎の総通話分数、または登録ピアリングパートナ着信アドレス毎の総通話依頼着信数を算出できる。
【0036】
要約されるデータは、ある実装において、通信ピアリンググリッド及びピアリングパートナの間で確立された、支払及び送り状作成に関する同意の型に一部依存し得る。例えば、ピアリングパートナは、請求サイクル毎の総通話数/総分数から個別の詳細通話記録まで、より詳しいまたは大まかな詳細をピアリングパートナグリッドから各送り状報告に要求できる。要約エンジン212は、ある実行において、要約された送り状報告をピアリングパートナグリッド208に提供する(232)。
【0037】
要約エンジン212はまた、要約された使用量を支払及び送り状作成エンジンに提供する(234)。ある実行において、ピアリングパートナは、異なる支払方法、例えば毎通話料金対毎分料金の間で選択することができる。要約エンジン212は、支払方法に基づき、支払及び送り状作成エンジン214により必要とされるデータの一部を作成できる。他の実行において、要約エンジン212は、ピアリングパートナにかかわらず、同じ型の統計量を支払及び送り状作成エンジン214に提供する。
【0038】
支払及び送り状作成エンジン214は、要約エンジン212により提供されたデータに一部基づいてピアリングパートナの支払額を算出する(236)。ある実行において、支払及び送り状作成エンジン214は、ピアリングパートナグリッド208により(例えば、登録時に)選択された支払方法及び/または支払転送方法を確認するために、データベースに問い合わせを行う。支払方法は、ある例において、要約された通話依頼の各々をピアリングパートナグリッド208への直接経路を介してではなく、標準通信ルーティング機構を通じて転送した通信ピアリンググリッドの総潜在コストに基づく割合、発信通信交換(例えば、PSTN)により通信ピアリンググリッドに着信サービスについて支払われた通話着信料金に基づく割合、通信ピアリンググリッド及びピアリングパートナグリッド208の間で直接転送された通話毎の定額料金、または通信ピアリンググリッドからピアリングパートナグリッド208に直接転送された通話分毎の定額料金を含み得る。
【0039】
一実施形態において、可変料金報酬スキームが提供される。可変報酬支払スキームは、通話トラフィックの市場価値を、ピアリングスイッチ204及びピアリングパートナグリッド208等の着信通信事業者の間で共有するのを可能にする。要約エンジン212が、通信ピアリンググリッド(即ち、ピアリングスイッチ204)のピアリングパートナグリッド208(即ち、着信通信事業者)の使用量を要約するときに、要約エンジン212または支払及び送り状作成エンジン214は、所定の期間におけるピアリングパートナグリッド208への通話トラフィックの市場価値を決定してもよい。所定の期間は、例えば1ヵ月の請求サイクルでもよく、所望の期間が使用されてもよい。市場価値は、ピアリングスイッチ204からピアリングパートナグリッド208への通話トラフィックの着信の収益に基づいてもよい。例えば、市場価値は、通話トラフィックの、ピアリングパートナグリッド208への着信の収益(revenue collected)の合計でもよく、その収益は、通話トラフィックを開始した顧客からピアリングスイッチ204へのものである。
【0040】
要約エンジン212または支払及び送り状作成エンジン214は、所定の期間における通信トラフィックの可変料金を決定してもよい。可変料金は、ピアリングスイッチ204及びピアリングパートナグリッド208の間で市場価値を共有することの関数でもよい。例えば、市場価値は、可変料金が市場価値の半分となるように、等しく共有されてもよい。他の割合が、様々な基準により使用されてもよく、例えばこれに限定されないが、ピアリングスイッチ204及びピアリングパートナグリッド208の間での、所定の割合または量を明示または暗示する同意による。
【0041】
通話トラフィックの可変料金の決定と共に、要約エンジン212または支払及び送り状作成エンジン214は、可変料金の関数として、ピアリングパートナグリッド208に支払うべき報酬額を決定してもよい。この情報と共に、決定された市場価値、決定された可変料金、及び決定された報酬額の1つ以上を含む報告が作成される。
【0042】
一実施形態によれば、通話トラフィックの市場価値及び通話トラフィックの可変料金は、所定の期間における通話トラフィックの総時間の関数でもよい。このように、例えば、市場価値は、収益を所定の期間における通話トラフィックの総分数で割ったものとして計算されてもよい。可変料金は、分毎の可変料金として表現されてもよく、ピアリングパートナグリッド208に支払うべき報酬額は、分毎の可変料金と通話トラフィックの総分数を掛けたものとして決定されてもよい。
【0043】
他の実行において、支払額を算出するのではなく、支払及び送り状作成エンジン214は、ピアリングパートナグリッド208の勘定に適用される貸方額(credit amount)を算出する。一例において、通信ピアリンググリッドは、ピアリングパートナグリッド208発信の通話依頼の転送について、ピアリングパートナグリッド208に請求でき、ピアリンググリッド208着信の通話依頼の転送について、ピアリンググリッド208に貸記できる。ピアリングパートナグリッド208は、例えば、発信ベースの借方(debit)と宛先ベースの貸方(credit)の差分を支払われまたは請求され得る。ピアリングパートナグリッド208が通信事業者または通信サービスプロバイダであれば、例えば、支払及び送り状作成エンジン214により算出された支払額は、ピアリングプロバイダ及びピアリングパートナプロバイダの間で確立された全相互請求モデル(overall reciprocal billing model)に適用され得る。
【0044】
ある実行において、支払及び送り状作成エンジン214は、支払額をピアリングパートナグリッド208に配布する(238)。例えば、支払及び送り状作成エンジン214は、ピアリングパートナグリッド208により先に登録された支払い情報に基づき、電子または小切手ベースの支払いを、ピアリングパートナにより選択された宛先に転送できる。要約エンジン212が要約された使用報告を直接ピアリングパートナグリッド208に先に提供していなければ、支払及び送り状作成エンジン214は、ある実行において、要約された使用報告を支払転送に含めることができる。
【0045】
他の実行において、支払及び送り状作成エンジン214は、支払情報を通信ピアリンググリッドの会計システムに、例えば借方または貸方をピアリングパートナの勘定に適用するために提供できる。
【0046】
要約エンジン212及び支払及び送り状作成エンジン214は、別々のエンティティとして示されるが、他の実装において、要約エンジン212の機能は、支払及び送り状作成エンジン214の機能と組み合わされ得る。他の実装において、支払及び送り状作成エンジン214は、より大きな会計エンジンに備えられ得る。
【0047】
[システム構成例]
図3は、図1及び2を参照して説明された様々な処理を実行するためのシステム構成例300のブロック図である。例えば、システム300は、図1を参照して説明されたピアリング基盤201に備えられてもよい。システム300は、1つ以上のプロセッサ302、メモリ310、記憶装置304、及び入力/出力インターフェース308を備える。これらのコンポーネントの各々は、システムバス311を用いて相互接続され得る。プロセッサ302は、システム300で命令を実行できる。ある実装において、プロセッサ302は、シングルスレッドプロセッサである。他の実装において、プロセッサ302は、マルチスレッドプロセッサである。プロセッサ302は、図1及び2を参照して説明された処理を実行するために、メモリ310または記憶装置304に格納された命令を処理できる。
【0048】
メモリ310は、システム300で情報を格納する。ある実装において、メモリ310は、コンピュータ読み取り可能媒体である。他の実装において、メモリ310は、揮発性メモリ装置である。さらに他の実装において、メモリ310は、不揮発性メモリ装置である。示された例において、メモリ310は、通話詳細記録(CDR)を収集して拡充するための通話詳細記録収集コード312、通信ピアリンググリッドの個別のピアリングパートナのために要約された統計量及び送り状報告(invoicing report)を作成するための要約エンジンコード314、及び通話詳細記録要約統計量に一部基づいて支払額または勘定の貸方(account credit)を算出し、個別のピアリングパートナに適用するための送り状作成及び支払エンジンコード316を含む。CDR収集コード312、要約エンジンコード314、及び送り状作成及び支払エンジンコード316の処理に関する詳細は、図1及び2を参照して説明された。記憶装置304は、大容量記憶をシステム300に提供できる。ある実装において、記憶装置304は、コンピュータ読み取り可能媒体である。様々な異なる実装において、記憶装置304は、1つ以上のフロッピ(登録商標)ディスク装置、ハードディスク装置、光ディスク装置、またはテープ装置として実装されてもよい。例えば、図1を参照して説明されたようなピアリングデータベース104、または図2を参照して説明されたような通話詳細記録保管システムは、記憶装置304に実装され得る。
【0049】
入力/出力インターフェース308は、システム300への入力/出力処理のインターフェースを提供する。ある実装において、入力/出力インターフェース308は、キーボード及び/またはポインティングデバイスに結合され得る。他の実装において、入力/出力インターフェース308は、グラフィカルユーザインターフェースを表示するために、表示装置に結合され得る。
【0050】
説明された機能は、デジタル電子回路で、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、若しくはそれらの組み合わせで実装され得る。機能は、プログラム可能プロセッサによる実行のために、情報担体(carrier)、例えば機械読み取り可能記憶装置または伝搬(propagated)信号に実体的に具体化された(tangibly embodied)コンピュータプログラム製品に実装され得る。方法段階は、入力データで動作し、出力を作成することにより、説明された実装の機能を実現するためにプログラム命令を実行するプログラム可能プロセッサにより実行され得る。
【0051】
説明された機能は、有利には、データ記憶システムとデータ及び命令を送受信するように結合された少なくとも1つのプログラム可能プロセッサ、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置を備えるプログラム可能システムで実行可能な1つ以上のコンピュータプログラムに実装され得る。コンピュータプログラムは、所定の動作を実行する、または所定の結果をもたらすためにコンピュータで直接的または間接的に使用され得る一組の命令である。コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語またはインタープリタ型言語を含む、任意の形式のプログラミング言語(例えば、Objective C、Java(登録商標))で記述され、スタンドアロンプログラム、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に好適な他の単位を含む、任意の形式で配置され得る。
【0052】
プログラム命令の実行に好適なプロセッサは、例として、任意の種類のコンピュータの、汎用及び専用マイクロプロセッサ、並びに単一プロセッサ、または多重プロセッサ若しくはコアの1つを含む。一般に、プロセッサは、命令及びデータを読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、またはその両方から受信するだろう。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサ、並びに命令及びデータを格納するための1つ以上のメモリである。一般に、コンピュータはまた、データファイルを格納するために、1つ以上の大容量記憶装置を備える、またはそれと通信するように動作可能に結合されるだろう。その装置は、内蔵ハードディスク及び取り外し可能ディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、並びに光ディスクを含む。コンピュータプログラム命令及びデータを実体的に具体化するのに好適な記憶装置は、例としてEPROM、EEPROM等の半導体メモリ装置及びフラッシュメモリ装置を含む、全ての形式の不揮発性メモリ、内蔵ハードディスク及び取り外し可能ディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、並びにCD−ROM及びDVD−ROMディスクを含む。プロセッサ及びメモリは、ASIC(特定用途向け集積回路)により補完され、またはそれに組み込まれ得る。
【0053】
ユーザとのやり取りを提供するために、機能は、ユーザに情報を表示するためのCRT(ブラウン管)またはLCD(液晶表示)モニタ等の表示装置、並びにユーザがコンピュータに入力を提供できるキーボード、及びマウスまたはトラックボール等のポインティングデバイスを備えるコンピュータに実装され得る。
【0054】
機能は、データサーバ等のバックエンドコンポーネントを備える、アプリケーションサーバ若しくはインターネットサーバ等のミドルウェアコンポーネントを備える、グラフィカルユーザインターフェース若しくはインターネットブラウザを備えるクライアントコンピュータ等のフロントエンドコンポーネントを備える、またはそれらの任意の組み合わせのコンピュータシステムに実装され得る。システムのコンポーネントは、任意の形式または媒体のデジタルデータ通信、例えば通信ネットワークにより接続され得る。通信ネットワークの例は、例えばLAN、WAN、並びにインターネットを形成するコンピュータ及びネットワークを含む。
【0055】
コンピュータシステムは、クライアント及びサーバを備え得る。クライアント及びサーバは、一般に互いから遠隔にあり、典型的にネットワークを通じてやり取りする。クライアント及びサーバの関係は、それぞれのコンピュータで動作し、互いにクライアント−サーバ関係を有するコンピュータプログラムにより生じる。
【0056】
多数の実装が説明された。それにもかかわらず、様々な変更がなされてもよいことが理解されるだろう。例えば、さらなる実装を形成するために、1つ以上の実装の要素が組み合わされ、削除され、変更され、または補完されてもよい。さらに別の例として、望ましい結果を達成するために、図に示された論理フローは示された特定の順番、または起こった順番を必要としない。さらに、説明されたフローに他の段階が提供されてもよく、段階が除外されてもよい。説明されたシステムに他のコンポーネントが追加されてもよく、除去されてもよい。従って、他の実装は、以下の請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着信通信事業者のために通話詳細記録を作成する方法であって、前記着信通信事業者は、ピアリンググリッドから受信した通話トラフィックを着信し、
所定の期間における着信通信事業者への通話トラフィックの市場価値であって、ピアリンググリッドから前記着信通信事業者への前記通話トラフィックの着信の収益に基づく前記市場価値を決定すること、
前記通話トラフィックの可変料金であって、前記ピアリンググリッド及び前記着信通信事業者の間で前記市場価値を共有することの関数である前記可変料金を決定すること、
前記可変料金の関数として前記着信通信事業者に支払うべき報酬額を決定すること、及び
前記決定された市場価値、前記決定された可変料金、または前記決定された報酬額の1つ以上を含む報告を作成することを有し、
前記決定すること及び前記作成することの各々は、前記ピアリンググリッドと通信できる処理要素により実行される、方法。
【請求項2】
前記処理要素または前記ピアリンググリッドの1つにより、前記報告を前記着信通信事業者に伝送することをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理要素または前記ピアリンググリッドの1つにより、前記決定された報酬額の支払いを前記着信通信事業者に発行することをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処理要素または前記ピアリンググリッドの1つにより、前記決定された報酬額の支払いを前記着信通信事業者に関連する勘定に適用することをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
通話トラフィックの市場価値を決定することは、前記ピアリンググリッドから前記着信通信事業者への前記通話トラフィックの着信の前記収益を合計することを有し、前記収益は、通話トラフィックを開始した顧客から前記ピアリンググリッドへのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記通話トラフィックの可変料金を決定することは、前記通話トラフィックの前記市場価値の一定の割合を算出することを有し、前記一定の割合は、前記着信通信事業者または前記ピアリンググリッドの1つ以上により指定された所定の量である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記通話トラフィックの前記市場価値及び前記通話トラフィックの前記可変料金の各々は、前記所定の期間における前記通話トラフィックの総時間の関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記処理要素は、前記ピアリンググリッドのコンポーネントである、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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