説明

クラッチ切替装置およびクラッチ切替装置を備えたツインクラッチ式変速機

【課題】部品点数を抑えてコンパクト化できるクラッチ切替装置を提供する。
【解決手段】外周面に第1雄ネジ22cが形成され第2入力軸4の外周に同軸的に外挿されるようケース1aに取付固定された固定スリーブ22と、内周面に第1雄ネジ22cとねじ係合する第1雌ネジ23aが形成されるとともに外周面に第2雄ネジ23bが形成され固定スリーブ22に対して回転可能かつ軸方向移動可能に配置された第1スライダ23と、内周面に前記第2雄ネジ23bとねじ係合する第2雌ネジ24aが形成された第2スライダ24と、第2スライダ24の回転を規制するとともに第2スライダ24の軸方向移動をガイドする規制ガイド手段29と、第1クラッチ部材と第2スライダ24との間に介在する第1レリーズベアリング部材25と、第2クラッチ部材と第1スライダ23との間に介在する第2レリーズベアリング部材26と、第1スライダ23を回転可能な電動機とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチ切替装置およびツインクラッチ式変速機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のクラッチ切替装置としては、特許文献1に開示されているように、第1クラッチに結合された第1レリーズベアリングと、第2クラッチに結合された第2レリーズベアリングと、第1クラッチが接続された第1入力軸と第2クラッチが接続された第2入力軸との両軸の外周に同軸的に配置され、かつ、変速機ハウジングに固定配置された固定スリーブと、固定スリーブの内周に回転可能に支持された第1駆動スリーブと、この第1駆動スリーブの内周側にネジ係合されるとともに先端に第2レリーズベアリングが連結された第1被動スリーブと、固定スリーブの外周に回転可能に支持された第2駆動スリーブと、この第2駆動スリーブの外周側にネジ係合されるとともに先端に第1レリーズベアリングが連結された第2被動スリーブと、第1駆動スリーブを駆動する第1モータと、第2駆動スリーブを駆動する第2モータと、を備えるものが提案されている。
この装置では、各モータにより第1駆動スリーブおよび第2駆動スリーブを独立に回転駆動するだけで、第1被動スリーブ および第2被動スリーブを介して第1レリーズベアリングおよび第2レリーズベアリングに結合された第1クラッチおよび第2クラッチの入り切りを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−281570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているクラッチ切替装置では、各クラッチそれぞれに駆動スリーブ,被動スリーブが必要となる他、これらを回転可能に支持する固定スリーブが必要であり、部品点数が多くなってしまう。また、各駆動スリーブ、各被動 スリーブおよび固定スリーブが径の太さの順に入れ子状に同軸配置される構成なので、径方向に大型化してしまうという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のクラッチ切替装置は、部品点数を抑えて装置のコンパクト化を図ることを目的の一つとし、この目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のクラッチ切替装置は、
ケースに回転可能に支持された第1入力軸に動力を伝達可能な第1クラッチと、前記第1入力軸の外周に同軸配置されるとともに前記ケースに回転可能に支持された第2入力軸に前記動力を伝達可能な第2クラッチと、を切替可能なクラッチ切替装置であって、
第1雄ネジが外周面に形成された中空軸部を有し、該中空軸部が前記第2入力軸の外周に同軸的に外挿されるよう前記ケースに取付固定された固定スリーブと、
前記第1雄ネジとネジ係合する第1雌ネジが内周面に形成されるとともに前記第1雄ネジのリードよりも大きなリードを有する第2雄ネジが外周面に形成され、前記固定スリーブに対して回転可能かつ軸方向移動可能に該固定スリーブにネジ係合された第1スライダと、
前記第1雌ネジよりも大きなリードを有するとともに前記第2雄ネジとネジ係合する第2雌ネジが内周面に形成され、前記第1スライダに対して軸方向移動のみ許容されて該第1スライダにネジ係合された第2スライダと、
該第2スライダの回転を規制するとともに該第2スライダの前記軸方向移動をガイドする規制ガイド手段と、
前記第1クラッチを構成する第1クラッチ部材と前記第2スライダとの間に介在する第1レリーズベアリング部材と、
前記第2クラッチを構成する第2クラッチ部材と前記第1スライダとの間に介在する第2レリーズベアリング部材と、
前記第1スライダを回転可能な電動機と、
を備えることを要旨とする。
【0006】
本発明のクラッチ切替装置では、第1雄ネジが外周面に形成された中空軸部が第2入力軸の外周に同軸配置となるように固定スリーブをケースに取付固定し、第1雄ネジとねじ係合する第1雌ネジが内周面に形成されるとともに第1雄ネジのリードよりも大きなリードを有する第2雄ネジが外周面に形成された第1スライダを固定スリーブに対して回転可能かつ軸方向移動可能にネジ係合するとともに、第2雄ネジとねじ係合する第2雌ネジが内周面に形成された第2スライダを規制ガイド手段によって第1スライダに対する回転が
規制されるとともに軸方向移動がガイドされて軸方向移動のみ許容された状態で第1スライダにネジ係合して、電動機によって第1スライダを回転することにより、第1スライダと第2スライダとを互いに逆方向に軸方向移動して第1レリーズベアリング部材や第2レリーズベアリング部材を介して第1クラッチや第2クラッチの開閉を行う。各クラッチに対応する各スライダと、第1スライダを回転可能かつ軸方向移動に支持する固定スリーブと、第2スライダの回転規制と軸方向移動ガイドを行う規制ガイド手段とを設けるだけだから、部品点数を抑えることができる。この結果、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0007】
また、本発明のクラッチ切替装置において、前記第2雄ネジおよび前記第2雌ネジのリードは、前記第1雄ネジおよび前記第1雌ネジのリードの略2倍に設定されてなるものとすることもできる。
こうすれば、第2スライダが第1スライダ上を1回転したときに第2スライダが軸方向に移動する距離を、第1スライダが固定スリーブ上を1回転したときに第1スライダが軸方向に移動する距離のほぼ2倍にすることができる。
【0008】
また、本発明のクラッチ切替装置において、前記第2雄ネジおよび前記第2雌ネジのリードLは、該第2雄ネジおよび該第2雌ネジ有効ネジ径をd、該第2雄ネジと該第2雌ネジとの間の摩擦係数をμとしたときに次式で示されてなるものとすることもできる。
L<π・d・μ
こうすれば、第2雄ネジと第2雌ネジとのネジ係合が自然に緩むことはない。即ち、第2スライダが第1スライダに対して自然に軸方向移動することはない。
【0009】
本発明の別のクラッチ切替装置は、
ケースに回転可能に支持された第1入力軸に動力を伝達可能な第1クラッチと、前記第1入力軸の外周に同軸配置されるとともに前記ケースに回転可能に支持された第2入力軸に前記動力を伝達可能な第2クラッチと、を切替可能なクラッチ切替装置であって、
第1雄ネジが外周面に形成されるとともに該第1雄ネジのネジの巻き方向とは逆のネジの巻き方向を有する第1雌ネジが内周面に形成され、回転のみ許容された状態で前記ケースに支持された駆動スリーブと、
前記第1雌ネジとねじ係合する第2雄ネジが外周面に形成され、前記駆動スリーブに対して軸方向移動のみ許容された状態で前記駆動スリーブにネジ係合された第1スライダと、
前記第1雄ネジとねじ係合する第2雌ネジが内周面に形成され、軸方向移動のみ許容されて前記駆動スリーブにネジ係合された第2スライダと、
該第2スライダの回転を規制するとともに該第2スライダの前記軸方向移動をガイドする規制ガイド手段と、
前記第1クラッチを構成する第1クラッチ部材と前記第2スライダとの間に介在する第1レリーズベアリング部材と、
前記第2クラッチを構成する第2クラッチ部材と前記第1スライダとの間に介在する第2レリーズベアリング部材と、
前記駆動スリーブを回転可能な電動機と、
を備えることを要旨とする。
【0010】
本発明の別のクラッチ切替装置では、第1雄ネジが外周面に形成されるとともに第1雄ネジのネジの巻き方向とは逆のネジの巻き方向を有する第1雌ネジが内周面に形成された駆動スリーブを回転のみ許容された状態でケースに支持し、第1雌ネジとネジ係合する第2雄ネジが外周面に形成された第1スライダを駆動スリーブに対して軸方向移動のみ許容された状態で駆動スリーブにネジ係合するとともに、第1雄ネジとネジ係合する第2雌ネジが内周面に形成された第2スライダを規制ガイド手段によって駆動スリーブに対する回転を規制されるとともに軸方向移動をガイドされて軸方向移動のみ許容された状態で駆動スリーブにネジ係合して、電動機によって駆動スリーブを回転することにより、第1スライダと第2スライダとを互いに逆方向に軸方向移動して第1レリーズベアリング部材や第2レリーズベアリング部材を介して第1クラッチや第2クラッチの開閉を行う。各クラッチに対応する各スライダと、これらスライダを軸方向移動可能に支持する駆動スリーブと、第2スライダの駆動スリーブに対する回転を規制するとともに軸方向移動をガイドする規制ガイド手段とを設けるだけだから、部品点数を抑えることができる。この結果、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0011】
また、本発明のクラッチ切替装置において、前記第1雄ネジおよび前記第2雌ネジのリードLは、該第1雄ネジおよび該第2雌ネジの有効径をd、該第1雄ネジと該第2雌ネジとの間の摩擦係数をμとしたときに次式で示されてなるものとすることもできる。
L<π・d・μ
こうすれば、第2雄ネジと第2雌ネジとのネジ係合が自然に緩むことはない。即ち、第2スライダが第1スライダに対して自然に軸方向移動することはない。
【0012】
また、本発明のツインクラッチ式変速機は、
前記第1入力軸に入力された動力を第1変速比に変速する第1動力伝達経路と、前記第2入力軸に入力された前記動力を第2変速比に変速する第2動力伝達経路と、を備えるツインクラッチ式変速機であって、
上述した何れかの態様の本発明のクラッチ切替装置によって前記第1クラッチと前記第2クラッチとを切替えることにより、前記第1動力伝達経路と前記第2動力伝達経路とを切替えて前記動力を変速して出力軸に伝達してなる
ことを要旨とする。
【0013】
本発明のツインクラッチ式変速機では、上述の何れかの態様の本発明のクラッチ切替装置を備えるから、本発明のクラッチ切替装置が奏する効果、例えば、部品点数を抑えて、装置のコンパクト化を図る効果などを奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例であるクラッチ切替装置を搭載したツインクラッチ式変速機1の構成の概略を示す構成図である。
【図2】実施例のツインクラッチ式変速機1の要部を拡大して示す要部拡大図である。
【図3】図2におけるクラッチ切替装置Cをクランク軸10側から見た正面図である。
【図4】クラッチ切替装置Cの要部を拡大して示す要部拡大図である。
【図5】第1クラッチ2aおよび第2クラッチ2bが切替わる状態を示す状態図である。
【図6】第2実施例のクラッチ切替装置CCの要部を拡大して示す要部拡大図である。
【図7】第1クラッチ2aおよび第2クラッチ2bが切替わる状態を示す状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の一実施例であるクラッチ切替装置を搭載したツインクラッチ式変速機1の構成の概略を示す構成図であり、図2は、実施例のツインクラッチ式変速機1の要部を拡大して示す要部拡大図である。
実施例のクラッチ切替装置を搭載したツインクラッチ式変速機1は、図1に示すように、第1クラッチ2aと、第2クラッチ2bと、第1クラッチ2aを介して内燃機関(図示せず)のクランクシャフト10に接続された第1入力軸3と、第2クラッチ2bを介して内燃機関(図示せず)のクランク軸10に接続されるとともに第1入力軸3に同軸状に外嵌された第2入力軸4と、第1入力軸3および第2入力軸4と平行配置されるとともに変速機構TMを介して第1入力軸3および第2入力軸4と接続された出力軸6と、第1クラッチ2aと第2クラッチ2bとの切替えを行う実施例のクラッチ切替装置Cと、これらを収容する変速機ケース1aとを備える。
【0017】
第1クラッチ2aは、第1入力軸3にスプライン嵌合などによって取付けられた第1クラッチディスクと、この第1クラッチディスクの外周側に取付けられた摩擦材と、この摩擦材を挟み込むように配置されたミッドプレッシャプレート15および第1プレッシャプレート16と、作動板18を介して第1プレッシャプレート16と接続された第1ダイヤフラムスプリング20とから構成されている。
【0018】
第2クラッチ2bは、第2入力軸4にスプライン嵌合などによって取付けられた第2クラッチディスクと、この第2クラッチディスクの外周側に取付けられた摩擦材と、この摩擦材を挟み込むように配置されたミッドプレッシャプレート15および第2プレッシャプレート17と、第2プレッシャプレート17と接続された第2ダイヤフラムスプリング21とから構成されている。
【0019】
ミッドプレッシャプレート15は、クランク軸10に取付けられたカバープレート14と一体回転可能なように構成されており、クランク軸10からの動力がカバープレート14を介してミッドプレッシャプレート15に入力される。
【0020】
作動板18のクランク軸10とは反対側の端部には、内周側に折り曲げられた折曲部19aが形成されている。また、作動板18の内周には、折曲部19aからクランク軸10寄りに離れた位置に折曲部材19bが設けられている。折曲部材19bは、クランク軸10側に突出する突出部19b’と、クランク軸10側とは反対側に突出する突出部19b’’とが、外周から内周に向かって順に形成された断面逆S字状をしており、折曲部19aの内面と折曲部材19bの突出部19b’’との間に第1ダイヤフラムスプリング20が、折曲部材19bの突出部19b’と第2プレッシャプレート17との間に第2ダイヤフラムスプリング21が当接配置している。なお、第2プレッシャプレート17と第2ダイヤフラムスプリング21とは、突出部19b’よりも径方向内側において当接する。
【0021】
変速機構TMは、第1入力軸3に固定配置された駆動歯車51(1速用),53(3速用)およびリバースドライブギヤ5Rと、第2入力軸4に固定配置された駆動歯車52(2速用),54(4速用)と、これら駆動歯車51,52,53,54およびリバースドライブギヤ5Rと噛合するとともに出力軸6に遊転配置された被駆動歯車71(1速用),72(2速用),73(3速用),74(4速用)およびリバースドリブンギヤ(図示せず)と、出力軸6上であって被駆動歯車71,73間および被駆動歯車72,74間に固定配置された同期装置81,82と、変速機ケース1a内に固定されたリバースアイドラ軸11上を摺動自在に配置されたリバースアイドラギヤ12とから構成されている。即ち、変速機構TMにより、第1入力軸3に入力された動力の回転速度を奇数変速段(1速,3速)で構成される変速比に変速して出力軸6に伝達する第1動力伝達経路9aと、第2入力軸4に入力された動力の回転速度を偶数変速段(2速,4速)で構成される変速比に変速して出力軸6に伝達する第2動力伝達経路9bとが形成される。
【0022】
図3は、図2におけるクラッチ切替装置Cをクランク軸10側から見た正面図であり、図4は、クラッチ切替装置Cの要部を拡大して示す要部拡大図である。
クラッチ切替装置Cは、図3および図4に示すように、変速機ケース1aに固定ボルト30により固定取付けされた固定スリーブ22と、固定スリーブ22の外周上にネジ係合された第1スライダ23と、第1スライダ23の外周上にネジ係合された第2スライダ24と、アイドラギヤ機構28を介して第1スライダ23に接続された電動機27と、第2スライダ24の回転を規制するとともに軸方向移動をガイドする規制ガイドボルト29と、第1スライダ23と第2ダイヤフラムスプリング21とを連結する第2レリーズベアリング26と、第2スライダ24と第1ダイヤフラムスプリング20とを連結する第1レリーズベアリング25と、クラッチ切替装置Cをコントロールするクラッチ切替用電子制御ユニット13とを備える。
【0023】
固定スリーブ22は、変速機ケース1aへの取付け部としてフランジ状に形成された固定部22aと、固定部22aから突出状に一体形成された内部が中空の中空軸部22bとから構成されており、変速機ケース1aに取付けられた際に中空軸部22bが第2入力軸4の外周に同軸的に配置される。中空軸部22bの外周面には、第1雄ネジ22cが形成されている。
【0024】
第1スライダ23は、内周面に第1雄ネジ22cとネジ係合する第1雌ネジ23aが形成されるとともに外周面に第2雄ネジ23bが形成された筒状軸部230aと、筒状軸部230aの一方の端部に一体形成されたギヤ部230bとから構成されており、ギヤ部230bにはアイドラギヤ機構28の後述するアイドラギヤ28aを介して電動機27のピニオンギヤ27aが噛合している。
ここで、第1雄ネジ22cおよび第1雌ネジ23aのリードL1は、実施例では、第1雄ネジ22cおよび第1雌ネジ23aの有効ネジ径をd1、第1雄ネジ22cと第1雌ネジ23aとの間の摩擦係数をμ1としたときに、L1<π・d・μ1の式を満足するように設定するものとした。なお、第2雄ネジ23bのリードL2は、第1雄ネジ22cのリードL1よりも大きく設定されている(例えば、L2=2×L1)。
【0025】
第2スライダ24は、内周面に第2雄ネジ23bとネジ係合する第2雌ネジ24aが形成された筒状軸部240aと、筒状軸部240aに一体形成されたフランジ部240bとから構成されている。フランジ部240bには、規制ガイドボルト29を挿通するための挿通穴24bが周方向に等間隔に3つ形成されている。筒状軸部240aのフランジ部240bが形成された側とは反対側端面であって第2雌ネジ部24aよりも径方向外方の位置には、環状溝24cが形成されている。
ここで、第2雄ネジ23bおよび第2雌ネジ24aのリードL2は、実施例では、第2雄ネジ23bおよび第2雌ネジ24aの有効ネジ径をd2、第2雄ネジ23bと第2雌ネジ24aとの間の摩擦係数をμ2としたときに、L2<π・d・μ2の式を満足するように設定するものとした。なお、第2雌ネジ24aのリードL2は、第1雌ネジ23aのリードL1よりも大きいリード、例えば、L2=2×L1に設定されている。
【0026】
規制ガイドボルト29は、頭部以下の一部にネジが切られていない所謂半ネジとして形成されており、第2スライダ24のフランジ部240bに形成された挿通穴24bに挿通されて変速機ケース1aに形成されたボルト孔に取付け固定される。
【0027】
第1レリーズベアリング25は、アウターレースと、インナーレースと、アウターレースとインナーレースとの間に介在するボールとから構成されており、第2スライダ24と第1ダイヤフラムスプリング20とを相対回転を許容した状態で連結する。なお、第2スライダ24の筒状軸部240aに形成された環状溝24cの径方向外方側の内壁がアウターレースを構成しており、インナーレースは第1ダイヤフラムスプリング20内周端と当接する。
【0028】
第2レリーズベアリング26は、アウターレースと、インナーレースと、アウターレースとインナーレースとの間に介在するボールとから構成されており、第1スライダ23と第2ダイヤフラムスプリング21とを相対回転を許容した状態で連結する。なお、アウターレースが第1スライダ23の筒状軸部230aの先端に取付け固定され、インナーレースは第2ダイヤフラムスプリング21の内周端と当接する。
【0029】
クラッチ切替用電子制御ユニット13は、CPU13aを中心とするマイクロプロセッサにより構成されており、CPU13aの他に処理プログラムやデータなどを記憶するROM13cや一時的にデータを記憶するRAM13bや図示しない入出力ポートおよび通信ポートを備えている。クラッチ切替用電子制御ユニット13には、電動機27の状態を検出するセンサからの信号が図示しない入力ポートを介して入力されている。例えば、クラッチ切替用電子制御ユニット13には、電動機27の回転数を検出する回転数センサからの電動機軸回転数が図示しない入力ポートを介して入力されている。また、クラッチ切替用電子制御ユニット13からは、電動機27への駆動信号などが図示しない出力ポートを介して出力されている。
【0030】
次に、こうして構成された実施例のツインクラッチ式変速機1の動作、特に、クラッチ切替装置Cにより第1クラッチ2aおよび第2クラッチ2bとが切替えられる際の動作について説明する。
図5は、第1クラッチ2aおよび第2クラッチ2bが切替わる状態を示す状態図である。先ず、車両の発進時におけるクラッチの切替えについて説明する。
【0031】
発進時においては、クラッチ切替用電子制御ユニット13は、電動機27を駆動制御して第1スライダ23を回転駆動し、第1スライダ23を両クラッチ2a,2bから離れる方向(図5中左側)に軸方向移動させるとともに、第2スライダ24を両クラッチ2a,2b側(図5中右方向)に軸方向移動させる。
第2スライダ24が両クラッチ2a,2b側(図5中右方向)に軸方向移動することにより、第2スライダ24は第1レリーズベアリング25を介して第1ダイヤフラムスプリング20の内周端をバネ力に抗しながら両クラッチ2a,2b側(図5中右方向)に押圧する。これにより、第1ダイヤフラムスプリング20は、折曲部材19の突出部19b’’を支点に外周側が両クラッチ2a,2b側から離れる方向(図5中左方向)に移動するよう変形し、これに伴い作動板18を介して第1プレッシャプレート16が第1クラッチ2aの第1クラッチディスク側に移動する。
こうして、第1クラッチ2aの摩擦材が第1プレッシャプレート16とミッドプレッシャプレート15との間に挟み込まれて、クランク軸10からの動力が第1クラッチ2aを介して第1入力軸3に入力される。
ここで、第2雄ネジ23bおよび第2雌ネジ24aのリードL2が、第1雄ネジ22cおよび第1雌ネジ23aのリードL1よりも大きな値(例えば、2倍)に設定されているとともに、第2スライダ24の回転が規制ガイドボルト29により規制されているので、第1スライダ23を回転するだけで、第1スライダ23の軸方向移動方向と第2スライダ24の軸方向移動方向とを逆方向にすることができる。即ち、1つの電動機27により第1スライダ23と第2スライダ24との両方を回転駆動して軸方向移動するから、部品点数の増加を抑えることができる。また、第1雄ネジ22cおよび第1雌ネジ23aのリードL1と、第2雄ネジ23bおよび第2雌ネジ24aのリードL2とが、L1<π・d・μ1およびL2<π・d・μ2の式を満足するような値に設定されているので、第1クラッチ2aの接続が完了した時点で電動機27への通電を止めても、第1スライダ23や第2スライダ24が自然に軸方向移動してクラッチ2a,2bが自然に切替わることはない。この結果、消費電力を節約することができる。
【0032】
次に、第1クラッチ2aの接続を解除して第2クラッチ2bを接続する際の第1クラッチ2aと第2クラッチ2bとの切替えについて説明する。
第1クラッチ2aの接続を解除して第2クラッチ2bを接続する際には、クラッチ切替用電子制御ユニット13は、電動機27を発進時とは逆方向に回転するように駆動制御して、第1スライダ23を発進時とは逆方向に回転駆動する。これにより、第2スライダ24は第1スライダ23上を回転しながら両クラッチ2a,2b側とは反対側(図5中左方向)に軸方向移動し、第1スライダ23は変速機ケース1aに固定された固定スリーブ22上を回転しながら両クラッチ2a,2b側(図5中右方向)に軸方向移動する。
【0033】
第2スライダ24が両クラッチ2a,2b側とは反対側(図5中左方向)に軸方向移動することにより、第1ダイヤフラムスプリング20の変形が初期状態に戻り、これに伴い作動板18を介して第1プレッシャプレート16が第1クラッチ2aの第1クラッチディスク側から離れて、第1クラッチ2aの接続が解除される。一方、第1スライダ23が両クラッチ2a,2b側(図5中右方向)に軸方向移動することにより、第1スライダ23は第2ダイヤフラムスプリング21の内周端を第2レリーズベアリング26を介してバネ力に抗しながら両クラッチ2a,2b側(図5中右方向)に押圧する。これにより、第2ダイヤフラムスプリング21は、折曲部材19の突出部19b’を支点にして第2プレッシャプレート17を第2クラッチ2bの第2クラッチディスク側(図5中右方向)に移動する。
こうして、第2クラッチ2bの摩擦材が第2プレッシャプレート17とミッドプレッシャプレート15との間に挟み込まれて、クランク軸10からの動力が第2クラッチ2bを介して第1入力軸4に入力される。
【0034】
続いて、第2クラッチ2bの接続を解除して第1クラッチ2aを接続する際の第1クラッチ2aと第2クラッチ2bとの切替えについて説明する。
第2クラッチ2bの接続を解除して第1クラッチ2aを接続する際には、発進時と同じ制御、即ち、電動機27を駆動制御して第1スライダ23を回転駆動して、第1スライダ23を両クラッチ2a,2bから離れる方向(図5中左側)に軸方向移動させるとともに、第2スライダ24を両クラッチ2a,2b側(図5中右方向)に軸方向移動させれば良い。
【0035】
以上説明した実施例のクラッチ切替装置Cによれば、1つの電動機27を駆動制御して第1スライダ23を回転駆動するだけで第1スライダ23と第2スライダ24とを互いに逆方向に軸方向移動できるから、部品点数を抑えながら第1クラッチ2aと第2クラッチ2bとの切替えを行うことができる。この結果、装置全体のコンパクト化を図ることができる。しかも、第2雄ネジ23bおよび第2雌ネジ24aのリードL2を、第1雄ネジ22cおよび第1雌ネジ23aのリードL1よりも大きく設定するとともに、規制ガイドボルト29により第2スライダ24の回転を規制するだけだから、1つの電動機27により第1スライダ23と第2スライダ24との軸方向移動方向を互いに逆方向にする構造を簡易に確保できる。
【0036】
また、実施例のクラッチ切替装置によれば、第1雄ネジ22cおよび第1雌ネジ23aのリードL1と、第2雄ネジ23bおよび第2雌ネジ24aのリードL2とが、L1<π・d・μ1,L2<π・d・μ2の式を満足するような値に設定するから、第1クラッチ2aおよび第2クラッチ2bの駆動制御後に電動機27への通電を止めても、第1スライダ23や第2スライダ24が自然に軸方向移動することはない。この結果、消費電力を節約できエネルギー効率を向上することができる。
【0037】
実施例のクラッチ切替装置Cでは、第2雄ネジ23bおよび第2雌ネジ24aのリードL2は、第1雄ネジ22cおよび第1雌ネジ23aのリードL1のほぼ2倍に設定するものとしたが、第2雄ネジ23bおよび第2雌ネジ24aのリードL2が第1雄ネジ22cおよび第1雌ネジ23aのリードL1よりも大きければ如何なる値であっても構わない。
【0038】
実施例のクラッチ切替装置Cでは、第1クラッチ2aおよび第2クラッチ2bの駆動制御後、即ち、クラッチ切替動作完了後は、電動機27への通電を止めるものとしたが、クラッチ切替動作完了後も電動機27への通電を継続するものとしても構わない。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明の第2の実施例としてのクラッチ切替装置CCについて説明する。
図6は、第2実施例のクラッチ切替装置CCの要部を拡大して示す要部拡大図である。
第2実施例のクラッチ切替装置CCは、図示するように、固定スリーブ22を駆動スリーブ31に変えた点、第1スライダ23を第1スライダ33に変えた点および変速機ケース1aを変速機ケース1a’に変えた点を除いて第1実施例のクラッチ切替装置Cと同一の構成をしている。従って、第2実施例のクラッチ切替装置CCの構成のうち第1実施例のクラッチ切替装置Cの構成と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
第2実施例のクラッチ切替装置CCは、図6に示すように、変速機ケース1a’に形成されたスリーブ部1a’’に軸受32を介して回転のみ許容された状態で支持された駆動スリーブ31と、軸方向移動のみ許容された状態でスリーブ1a’’上に外挿配置されるとともに駆動スリーブ31の内周にネジ係合された第1スライダ33と、駆動スリーブ31の外周上にネジ係合された第2スライダ24と、アイドラギヤ機構28を介して駆動スリーブ31に接続された電動機27と、第2スライダ24の回転を規制するとともに軸方向移動をガイドする規制ガイドボルト29と、第1スライダ31と第2ダイヤフラムスプリング21とを連結する第2レリーズベアリング26と、第2スライダ24と第1ダイヤフラムスプリング20とを連結する第1レリーズベアリング25と、クラッチ切替装置CCをコントロールするクラッチ切替用電子制御ユニット13とを備える。
【0041】
駆動スリーブ31は、アイドラギヤ28aと噛合するギヤ部310aと、ギヤ部310aから突出状に一体形成された内部が中空の中空軸部310bとから構成されている。中空軸部310bには、内周面に第1雌ネジ31aが形成されており、外周面には第1雄ネジ31bが形成されている。第1雌ネジ31aと第1雄ネジ31bとは、ネジの巻き方向が互いに逆方向に形成されている。即ち、第1雌ネジ31aは、第1雄ネジ31bに対して逆ネジの関係に形成されている。
【0042】
第1スライダ33は、筒状に形成されており、内周面にスリーブ1a’’の外周面に形成されたスプライン突条に対応するスプライン凹条が形成されるとともに、外周面に第1雌ネジ31aとネジ係合する第2雄ネジ33aが形成されている。
ここで、第2雄ネジ33aおよび第1雌ネジ31aのリードL1は、実施例では、第2雄ネジ33aおよび第1雌ネジ31aの有効ネジ径をd1、第2雄ネジ33aと第1雌ネジ31aとの間の摩擦係数をμ1としたときに、L1<π・d・μ1の式を満足するように設定するものとし、第1雄ネジ31bおよび第2雌ネジ24aのリードL2は、実施例では、第1雄ネジ31bおよび第2雌ネジ24aの有効ネジ径をd2、第1雄ネジ31bと第2雌ネジ24aとの間の摩擦係数をμ2としたときに、L2<π・d・μ2の式を満足するように設定するものとした。なお、第1雄ネジ31bおよび第2雌ネジ24aのリードL2と、第2雄ネジ33aおよび第1雌ネジ31aのリードL1とは、ほぼ同じ値に設定されている。
【0043】
第2レリーズベアリング26は、アウターレースが第1スライダ33の先端に取付け固定され、インナーレースは第2ダイヤフラムスプリング21の内周端と当接されて、第1スライダー33と第2ダイヤフラムスプリング21とを相対回転を許容した状態で連結する。
【0044】
次に、こうして構成された第2実施例のクラッチ切替装置CCにより第1クラッチ2aおよび第2クラッチ2bとが切替えられる際の動作について説明する。
図7は、第1クラッチ2aおよび第2クラッチ2bが切替わる状態を示す状態図である。先ず、車両の発進時におけるクラッチの切替えについて説明する。
【0045】
発進時においては、クラッチ切替用電子制御ユニット13は、電動機27を駆動制御して駆動スリーブ31を回転駆動し、第1スライダ33を両クラッチ2a,2bから離れる方向(図7中左方向)に軸方向移動させるとともに、第2スライダ24を両クラッチ2a,2b側(図7中右方向)に軸方向移動させる。
第2スライダ24が両クラッチ2a,2b側(図5中右方向)に軸方向移動することにより、第2スライダ24は第1レリーズベアリング25を介して第1ダイヤフラムスプリング20の内周端をバネ力に抗しながら両クラッチ2a,2b側(図7中右方向)に押圧する。これにより、第1ダイヤフラムスプリング20は、折曲部材19の突出部19b’’を支点に外周側が両クラッチ2a,2b側から離れる方向(図7中左方向)に移動するよう変形し、これに伴い作動板18を介して第1プレッシャプレート16が第1クラッチ2aの第1クラッチディスク側に移動する。
こうして、第1クラッチ2aの摩擦材が第1プレッシャプレート16とミッドプレッシャプレート15との間に挟み込まれて、クランク軸10からの動力が第1クラッチ2aを介して第1入力軸3に入力される。
ここで、第1雄ネジ31bおよび第2雌ネジ24aのネジの巻き方向と、第2雄ネジ33aおよび第1雌ネジ31aのネジの巻き方向とがそれぞれ逆方向に形成されており、かつ、第2スライダ24が規制ガイドボルト29により回転を規制されているから、電動機27を回転するだけで、第1スライダ23と第2スライダ24とを互いに逆方向に軸方向移動することができる。
また、第2雄ネジ33aおよび第1雌ネジ31aのリードL1と、第1雄ネジ31bおよび第2雌ネジ24aのリードL2とが、L1<π・d・μ1およびL2<π・d・μ2の式を満足するような値に設定されているので、第1クラッチ2aの接続が完了した時点で電動機27への通電を止めても、第1スライダ33や第2スライダ24が自然に軸方向移動してクラッチ2a,2bが自然に切替わることはない。この結果、消費電力を節約することができる。
【0046】
次に、第1クラッチ2aの接続を解除して第2クラッチ2bを接続する際の第1クラッチ2aと第2クラッチ2bとの切替えについて説明する。
第1クラッチ2aの接続を解除して第2クラッチ2bを接続する際には、クラッチ切替用電子制御ユニット13は、電動機27を発進時とは逆方向に回転するように駆動制御して駆動スリーブ31を発進時とは逆方向に回転駆動する。
これにより、第2スライダ24は駆動スリーブ31上を両クラッチ2a,2b側とは反対側(図7中左方向)に軸方向移動し、第1スライダ33は変速機ケース1a’のスリーブ1a’’上を摺動して両クラッチ2a,2b側(図7中右方向)に軸方向移動する。ここで、第2雄ネジ33aおよび第1雌ネジ31aと第1雄ネジ31bおよび第2雌ネジ24aとは、ネジの巻き方向が互いに逆方向に形成されているので、電動機27を回転するだけで、第1スライダ23の軸方向移動と第2スライダ24の軸方向移動とを互いに逆方向とすることができる。
【0047】
第2スライダ24が両クラッチ2a,2b側とは反対側(図7中左方向)に軸方向移動することにより、第1ダイヤフラムスプリング20の変形が初期状態に戻り、これに伴い作動板18を介して第1プレッシャプレート16が第1クラッチ2aの第1クラッチディスク側から離れて、第1クラッチ2aの接続が解除される。一方、第1スライダ33が両クラッチ2a,2b側(図7中右方向)に軸方向移動することにより、第1スライダ33は第2ダイヤフラムスプリング21の内周端を第2レリーズベアリング26を介してバネ力に抗しながら両クラッチ2a,2b側(図7中右方向)に押圧する。これにより、第2ダイヤフラムスプリング21は、折曲部材19の突出部19b’を支点にして第2プレッシャプレート17を第2クラッチ2bの第2クラッチディスク側(図7中右方向)に移動する。
こうして、第2クラッチ2bの摩擦材が第2プレッシャプレート17とミッドプレッシャプレート15との間に挟み込まれて、クランク軸10からの動力が第2クラッチ2bを介して第1入力軸4に入力される。
【0048】
続いて、第2クラッチ2bの接続を解除して第1クラッチ2aを接続する際の第1クラッチ2aと第2クラッチ2bとの切替えについて説明する。
第2クラッチ2bの接続を解除して第1クラッチ2aを接続する際には、発進時と同じ制御、即ち、電動機27を駆動制御して駆動スリーブ31を回転駆動して、第1スライダ31を両クラッチ2a,2bから離れる方向(図7中左方向)に軸方向移動させるとともに、第2スライダ24を両クラッチ2a,2b側(図7中右方向)に軸方向移動させれば良い。
【0049】
以上説明した第2実施例のクラッチ切替装置CCでも、第1実施例のクラッチ切替装置Cと同様、各クラッチ2a,2bを切替えるための部品点数を抑えることができ、装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0050】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【0051】
1 ツインクラッチ式変速機
1a,1a’ 変速機ケース
1a’’ スリーブ部
2a 第1クラッチ
2b 第2クラッチ
3 第1入力軸
4 第2入力軸
6 出力軸
9a 第1動力伝達経路
9b 第2動力伝達経路
10 クランク軸
13 クラッチ切替用電子制御ユニット
13a CPU
13b RAM
13c ROM
14 カバープレート
15 ミッドプレッシャプレート
16 第1プレッシャプレート
17 第2プレッシャプレート
18 作動板
19a 折曲部
19b 折曲部材
19b’,19b’’ 突出部
20 第1ダイヤフラムスプリング
21 第2ダイヤフラムスプリング
22 固定スリーブ
22a 固定部
22b 中空軸部
22c 第1雄ネジ
23 第1スライダ
23a 第1雌ネジ
23b 第2雄ネジ
24 第2スライダ
24a 第2雌ネジ
24b 挿通穴
24c 環状溝
25 第1レリーズベアリング
26 第2レリーズベアリング
27 電動機
27a ピニオンギヤ
28 アイドラギヤ機構
28a アイドラギヤ
28b 固定軸
29 規制ガイドボルト
30 固定ボルト
31 駆動スリーブ
31a 第1雌ネジ部
31b 第2雄ネジ部
32 軸受
33 第1スライダ
33a 第2雄ネジ
51,52,53,54 駆動歯車
71,72,73,74 被駆動歯車
81,82 同期装置
240a 筒状軸部
240b ギヤ部
310a ギヤ部
310b 中空軸部
C,CC クラッチ切替装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに回転可能に支持された第1入力軸に動力を伝達可能な第1クラッチと、前記第1入力軸の外周に同軸配置されるとともに前記ケースに回転可能に支持された第2入力軸に前記動力を伝達可能な第2クラッチと、を切替可能なクラッチ切替装置であって、
第1雄ネジが外周面に形成された中空軸部を有し、該中空軸部が前記第2入力軸の外周に同軸的に外挿されるよう前記ケースに取付固定された固定スリーブと、
前記第1雄ネジとネジ係合する第1雌ネジが内周面に形成されるとともに前記第1雄ネジのリードよりも大きなリードを有する第2雄ネジが外周面に形成され、前記固定スリーブに対して回転可能かつ軸方向移動可能に該固定スリーブにネジ係合された第1スライダと、
前記第1雌ネジよりも大きなリードを有するとともに前記第2雄ネジとネジ係合する第2雌ネジが内周面に形成され、前記第1スライダに対して軸方向移動のみ許容されて該第1スライダにネジ係合された第2スライダと、
該第2スライダの回転を規制するとともに該第2スライダの前記軸方向移動をガイドする規制ガイド手段と、
前記第1クラッチを構成する第1クラッチ部材と前記第2スライダとの間に介在する第1レリーズベアリング部材と、
前記第2クラッチを構成する第2クラッチ部材と前記第1スライダとの間に介在する第2レリーズベアリング部材と、
前記第1スライダを回転可能な電動機と、
を備えるクラッチ切替装置。
【請求項2】
前記第2雄ネジおよび前記第2雌ネジのリードは、前記第1雄ネジおよび前記第1雌ネジのリードの略2倍に設定されてなる請求項1記載のクラッチ切替装置。
【請求項3】
前記第2雄ネジおよび前記第2雌ネジのリードLは、該第2雄ネジおよび該第2雌ネジ有効ネジ径をd、該第2雄ネジと該第2雌ネジとの間の摩擦係数をμとしたときに次式で示されてなる請求項1または2記載のクラッチ切替装置。
L<π・d・μ
【請求項4】
ケースに回転可能に支持された第1入力軸に動力を伝達可能な第1クラッチと、前記第1入力軸の外周に同軸配置されるとともに前記ケースに回転可能に支持された第2入力軸に前記動力を伝達可能な第2クラッチと、を切替可能なクラッチ切替装置であって、
第1雄ネジが外周面に形成されるとともに該第1雄ネジのネジの巻き方向とは逆のネジの巻き方向を有する第1雌ネジが内周面に形成され、回転のみ許容された状態で前記ケースに支持された駆動スリーブと、
前記第1雌ネジとねじ係合する第2雄ネジが外周面に形成され、前記駆動スリーブに対して軸方向移動のみ許容された状態で前記駆動スリーブにネジ係合された第1スライダと、
前記第1雄ネジとねじ係合する第2雌ネジが内周面に形成され、軸方向移動のみ許容されて前記駆動スリーブにネジ係合された第2スライダと、
該第2スライダの回転を規制するとともに該第2スライダの前記軸方向移動をガイドする規制ガイド手段と、
前記第1クラッチを構成する第1クラッチ部材と前記第2スライダとの間に介在する第1レリーズベアリング部材と、
前記第2クラッチを構成する第2クラッチ部材と前記第1スライダとの間に介在する第2レリーズベアリング部材と、
前記駆動スリーブを回転可能な電動機と、
を備えるクラッチ切替装置。
【請求項5】
前記第1雄ネジおよび前記第2雌ネジのリードLは、該第1雄ネジおよび該第2雌ネジの有効径をd、該第1雄ネジと該第2雌ネジとの間の摩擦係数をμとしたときに次式で示されてなる請求項4記載のクラッチ切替装置。
L<π・d・μ
【請求項6】
前記第1入力軸に入力された動力を第1変速比に変速する第1動力伝達経路と、前記第2入力軸に入力された前記動力を第2変速比に変速する第2動力伝達経路と、を備えるツインクラッチ式変速機であって、
請求項1乃至5何れか記載のクラッチ切替装置によって前記第1クラッチと前記第2クラッチとを切替えることにより、前記第1動力伝達経路と前記第2動力伝達経路とを切替えて前記動力を変速して出力軸に伝達してなるツインクラッチ式変速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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