説明

クリップ

【課題】 被加熱部材を挟む際に安定したクランプ動作ができ、加えて、クリップの着脱時に被加熱部材を汚染しない安価なクリップを提供する。
【解決手段】 被加熱部材を固定保持するクリップにおいて、該クリップは、底辺部、該底辺部の両端から延びて弾性力によって互いに近接する第一側面部および第二側面部、前記近接することで形成されるクランプ部、を有する一枚の金属板と、前記第一側面部に一端が固定され他端が前記クランプ部とは前記底辺部を超えて反対方向に延びる第一側板、前記第二側面部に対し一端が固定され他端が前記クランプ部とは前記底辺部を超えて反対方向に延びる第二側板、とを有し、前記第一側板および前記第二側板のそれぞれの前記他端を互いの近接方向に押圧することで前記クランプ部が開口する。前記金属板はバネ材で、前記第一側板と前記第二側板はオーステナイト系ステンレス鋼板で形成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱部材を固定保持するクリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)等の画像表示装置を製造する際、二枚の硝子板を重ね合わせて加熱・封止する工程がある。この時、重ね合わせた二枚の硝子板(被加熱部材)を重ね合わさる方向に押さえつけて固定保持するために、挟み型のクリップが用いられる。
【0003】
この被加熱部材を固定保持するクリップは、例えば特許文献1、2に提案されるように、一枚のバネ板を折り曲げて形成されたものが知られる。これらのクリップは、背板と該背板の両端から延びた二つの側板を有する概ね三角形の輪郭をもった形状を有し、バネ板の弾性力によって互いが近接された前記二つの側板によって被加熱部材を挟んで固定保持できる。
また、クリップの別の形態としては、例えば特許文献3に提案されるように、一枚の金属板を折り曲げ、これにクランプ力を得るためのコイルバネを設けたものがある。さらに特許文献3には、洗濯ばさみの如くの外観を有するはさみ型のクリップが開示される。
【0004】
上述したこれらのクリップは、例えば特許文献1〜3に提案されるように、インコネル(R)718合金、X−750合金、Ni−Cr合金などのNi基の耐熱合金や、ステンレス鋼などでなるバネ材が使用される。
また、本願出願人は、特許文献4において、MoとWの1種または2種を含み、金属組織中に分散した平均粒径100nm以下の金属間化合物粒子を有するFe基合金でなるクリップを提案している。
【0005】
【特許文献1】特開2004−55488号公報
【特許文献2】特開2004−273284号公報
【特許文献3】特開平11−190311号公報
【特許文献4】特開2006−242320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1〜4に開示される被加熱部材を固定保持するクリップは、いずれのクリップにおいても、実際に被加熱部材を固定保持するクランプ部を開閉するための手掛かり部がクランプ部の上方に位置して設けられている。このため、被加熱部材に対してクリップを着脱する際、クリップの開閉時や、前記手掛かり部に対して治工具等を近接させたとき若しくは治工具を離間させたとき、治工具やクリップの手掛かり部に堆積または付着していたゴミや油脂等が落下し、被加熱部材に付着して汚染する不具合を生じることがあった。
【0007】
この問題を解決できるクリップとして、クランプ部を開閉するための手掛かり部がクランプ部の上方に位置することのない、上述した特許文献3に開示されるはさみ型のクリップは有効である。しかしながら、コイルバネを有するはさみ型のクリップは、ピンを中心とした回転運動をするために、クリップの開閉に伴ってねじりコイルバネとはさみ形状のそれぞれの板との接触状態によって支点が移動し、クランプ動作が不安定になり易い欠点があった。
本発明の目的は、被加熱部材を挟む際に安定したクランプ動作ができ、加えて、クリップの着脱時に被加熱部材を汚染しない安価なクリップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した問題を鑑みてなされたものである。すなわち本発明は、被加熱部材を固定保持するクリップにおいて、該クリップは、底辺部、該底辺部の両端から延びて弾性力によって互いに近接する第一側面部および第二側面部、前記近接することで形成されるクランプ部、を有する一枚の金属板と、前記第一側面部に一端が固定され他端が前記クランプ部とは前記底辺部を超えて反対方向に延びる第一側板、前記第二側面部に対し一端が固定され他端が前記クランプ部とは前記底辺部を超えて反対方向に延びる第二側板、とを有し、前記第一側板および前記第二側板のそれぞれの前記他端を互いの近接方向に押圧することで前記クランプ部が開口する、クリップである。
【0009】
上述の金属板には、望ましくは、質量%でNi:20.0〜35.0%、Cr:10.0〜20.0%、Mo:0.05〜5.0%、Ti:1.5〜4.0%、Al:0.05〜3.0%、V:0.10〜1.0%、B:0.001〜0.010%、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、残部はFeおよび不可避的不純物を含んでなる、金属板を使用することである。
【0010】
また、上述の第一側板および第二側板には、望ましくは、オーステナイト系ステンレス鋼板を使用することである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のクリップは、金属板のクランプ部を開口するための第一側板および第二側板をクリップ力を得る金属板に固定して設けることによって、金属板と第一側板および第二側板とが一体に形成されたクリップとなるので、被加熱部材を挟む際にクランプのクリップ動作を安定化できる。これに加えて、クランプ部とは底辺部を超えて反対方向に延びて形成される第一側板および第二側板の端を互いの近接方向に押圧してクランプ部を開口できるので、被加熱部材に対してクリップを着脱する際、被加熱部材に対してゴミや油脂等が落下することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の重要な特徴は、クリップ力を得る金属板に対し、クランプ部とは底辺部を超えて反対方向に延びて形成される第一側板および第二側板を別に設け、第一側板および第二側板のそれぞれの端を互いの近接方向に押圧することでクランプ部が開口するようにしたことにある。
具体的には、上述したように本発明のクリップは、底辺部、該底辺部の両端から延びて弾性力によって互いに近接する第一側面部および第二側面部、前記近接することで形成されるクランプ部とを有する一枚の金属板を有する。これに加えて、前記第一側面部に一端が固定され他端が前記クランプ部とは前記底辺部を超えて反対方向に延びる第一側板、前記第二側面部に対し一端が固定され他端が前記クランプ部とは前記底辺部を超えて反対方向に延びる第二側板とを有する。
【0013】
本発明のクリップは、上述したように金属板のクランプ部を開口するための第一側板および第二側板を、クリップ力を得る金属板に固定して設けている。この構成によって、金属板と第一側板および第二側板とが一体に形成されたクリップとなるので、上述したコイルバネを有する従来のはさみ型のクリップにおけるクランプ動作が不安定になり易い欠点を解決でき、被加熱部材を挟む際にクランプのクリップ動作を安定化できる。
【0014】
加えて、本発明のクリップは、クリップを開口するための手掛かり部を従来クリップのようにクランプ部の上方に位置して設けるのではなく、被加熱部材の上方に位置することのないクランプ部とは底辺部を超えて反対方向に延びる第一側板および第二側板の端を手掛かり部として用いる。それ故に、クリップの着脱の際に、被加熱部材に対してゴミや油脂等が直接落下することがなくなるので、被加熱部材の汚染を防止できる。
【0015】
また、本発明においては、クリップ形状を金属板と、該金属板に対して別に固定される第一側板および第二側板とで形成しており、一枚の金属板のみで形成していないので、金属板や第一側板および第二側板の材料をそれぞれ個別に自由に選定できる。これにより、例えば、所望のクリップ力を得る金属板には上述したNi含有量の多い優れたバネ材を使用し、第一側板や第二側板にはNi含有量の少ない安価な材料を使用でき、被加熱部材を固定保持するクリップの低価格化に貢献できる。また、例えば、クリップの金属板には加熱されてもクリップ力が低下し難いバネ材を使用し、被加熱部材を挟む第一側板や第二側板には加熱されても変形し難い耐熱性に優れた材料を使用する等、各種材料を組み合わせて使用することが可能となる。
【0016】
また、本発明のクリップにおいては、第一側板および第二側板は、金属板の第一側面部および第二側面部に対してそれぞれの一端が固定でき、かつ、金属板のクランプ部を開口できる形状であればよく、例えば平板や角棒などの単純形状を有する部材を使用できる。また、第一側板および第二側板を金属板の第一側面部および第二側面部に対して固定する手段としては、例えばレーザーやTIGなどでの溶接や高周波ロウ付によっても良いし、かしめ加工によっても良いし、これらの組み合わせによっても良い。また、例えば、金属板に孔を形成し、第一側板および第二側板に突起を形成し、該突起を前記孔に連通して係合させる手段などを加えても良く、これにより固定強度を増すことができる。このようにクリップ力を発揮する金属板に対して第一側板および第二側板を設けるに際し、単純形状の部材を用いて安価な手段によって設けることができるので、クリップの製造コストや生産効率を格段に阻害することがない。
【0017】
次に、本発明のクリップの模式図を一例として図1に示す。
本発明のクリップ1は、一枚の金属板2と、金属板2に固定される第一側板3および第二側板4とによって形成される。金属板2は、底辺部5を設け、底辺部5の両端に曲げて形成した曲げ部5a、5bを設け、曲げ部5aおよび曲げ部5bのそれぞれから延びて第一側面部6および第二側面部7を設けている。そして、第一側面部6および第二側面部7は、金属板2の有する弾性力によって互いを近接可能としている。またさらに、第一側面部6および第二側面部7の先端部には、互いの近接によって形成されるクランプ部8を設けている。該クランプ部8を設けることで、例えばPDPを製造する場合、被加熱部材である硝子板をクランプ部8で挟んで固定保持することができる。なお、第一側面部6および第二側面部7の先端付近を被加熱部材との接触面積を増やすようにさらに曲げ加工を行って、平坦な個所(平面部9)を有するクランプ部8としても良い。これにより被加熱部材の固定保持をより安定に行うことができる。
【0018】
また、クリップ1において、第一側板3は、金属板2の第一側面部6に対して一端が固定され、他端がクランプ部8とは底辺部5を超えて反対方向に延びている。また、第二側板4は、金属板2の第二側面部7に対して一端が固定され、他端がクランプ部8とは底辺部5を超えて反対方向に延びている。第一側板3および第二側板4の前記他端は、クランプ部8とは底辺部5を超えて反対方向に延ばして設けているので、それぞれの前記他端を互いの近接方向に押圧することでクランプ部8を開口することができる。よって、第一側板3および第二側板4の前記他端は、クランプ部8を開口する際の手掛かり部として使用できる。なお、第一側板3および第二側板4の前記他端付近をクランプ部8を開口したときに互いを実質的に平行とするようにさらに曲げ加工を行って、平坦な個所(平面部11)を有する形状としても良い。これにより、クランプ部8を所定の開口量に設定することができる。
【0019】
また、クリップ1を治工具で開口する際には、金属板2の底辺部5にクランプ部8側に向かって湾曲部10を形成することが望ましく、該湾曲部10によってクランプ部8を開口する場合に要する力を低減することができる。
その他、必要に応じて、クリップ1にスリットを設けても良いし、平面部9や平面部11の先端をさらに曲げ加工するなどによって、突起や窪みなどを設けても良い。
【0020】
本発明のクリップにおける金属板には、上述したインコネル(R)718合金、X−750合金、Ni−Cr合金などのNi基の耐熱合金でなるバネ材や、耐熱性を有するステンレス鋼でなるバネ材を用いて形成された金属板を使用できる。また、MoとWの1種または2種を含み、金属組織中に分散した平均粒径100nm以下の金属間化合物粒子を有するFe基合金でなるバネ材を用いて形成された金属板は、上述したNi基の耐熱合金よりも安価で入手できるので好ましい。
【0021】
望ましくは、本発明のクリップにおける金属板には、安価なFe基合金の化学組成を最適に成分調整されたバネ材でなる金属板を使用することである。具体的には、質量%でNi:20.0〜35.0%、Cr:10.0〜20.0%、Mo:0.05〜5.0%、Ti:1.5〜4.0%、Al:0.05〜3.0%、V:0.10〜1.0%、B:0.001〜0.010%、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、残部はFeおよび不可避的不純物を含んでなる金属板が好適である。なお、Si、Mnは0%を含む。上述した範囲の化学成分を有してなる金属板は、加熱を繰り返しても良好なクリップ力を得ることができる。
【0022】
以下、本発明において使用する金属板に対する上記好適な化学組成の規定理由を説明する。
Niを好適に含む金属板は、Fe基地のオーステナイト相の安定化により、また時効による析出相の適正な形成により、常温および高温強度が優れている。よって、上述したように本発明のクリップの金属板には20.0〜35.0質量%のNiを含む金属板を使用することが望ましい。なお、Niが20.0質量%より少ないとオーステナイト相が不安定となり、また析出相の形成が不十分となり、常温および高温強度が低下することがある。一方、Niが35.0質量%を超えると、クリップの価格が大幅に高くなってしまう。
【0023】
また、Crを好適に含む金属板は、耐酸化性が優れている。よって、上述したように本発明のクリップの金属板には10.0〜20.0質量%のCrを含む金属板を使用することが望ましい。なお、Crが10.0質量%より少ないと必要な耐酸化性が得られず、一方、20.0質量%を超えると、Fe基地のオーステナイト相が不安定となることがあり、また有害な脆化相を生成して強度や延性を低下させることがある。
【0024】
また、上述したNiに加え、Moを好適に含む金属板は、Fe基地のオーステナイト相へのMoの固溶強化により、常温および高温強度のさらなる向上が期待できる。また、加熱されて使用されている際に、転位との相互作用により、高温での変形の抑制が期待できる。よって、上述したように本発明のクリップの金属板には0.05〜5.0質量%のMoを含む金属板を使用することが望ましい。なお、Moが0.05質量%より少ないと高温強度の向上効果が少なく、一方、5.0質量%を超えると、有害な脆化相を生成して強度や延性を低下させることがある。
【0025】
また、上述した各元素に加え、TiとAlを好適に含む金属板は、時効による析出相の適正な形成により、常温および高温強度がさらに向上されていることが期待できる。よって、上述したように本発明のクリップの金属板には、1.5〜4.0質量%のTiと、0.05〜3.0質量%のAlを含む金属板を使用することが望ましい。なお、Tiは、1.5質量%より少ないと析出強化による常温および高温強度の向上効果が少なく、一方、4.0質量%を超えると加熱された際に粗大な金属間化合物を生成して高温での強度や延性を低下させることがある。また、Alは、0.05質量%より少ないと析出強化による常温および高温強度の向上効果が少なく、一方、3.0質量%を超えると熱間加工性が低下して加工性を損ねることがある。
【0026】
また、さらに、Vを好適に含む金属板は、Vが不可避的に混入することがあるCとでMC型炭化物を生成してオーステナイト結晶粒を微細化することにより、常温および高温強度が向上されていることがある。よって、上述したように本発明のクリップの金属板には0.10〜1.0質量%のVを含む金属板を使用することが望ましい。なお、Vは、Cの混入の可能性を考慮して少なくとも0.10質量%を含むことが望ましく、一方、1.0質量%を超えると高温で不安定な酸化被膜を形成して耐酸化性を害することがある。
【0027】
また、Bを好適に含む金属板は、粒界強化作用により高温強度と延性がさらに向上されていることが期待できる。よって、上述したように本発明のクリップの金属板には、0.001〜0.010質量%のBを含む金属板を使用することが望ましい。なお、Bは、少なくとも0.001質量%以上含んで粒界強化作用を得ることが望ましく、一方、0.010質量%を超えると熱間加工性が低下して加工性を損ねることがある。
【0028】
また、SiやMnは、金属板の製造過程において脱酸効果を期待して添加される元素である。各元素とも過度の添加は高温強度を低下させる恐れがあるので、Siを1.0%以下、Mnを2.0%以下に抑えることが望ましい。
【0029】
また、本発明のクリップにおいて、金属板に使用する金属板は、上述した各元素を適宜含み、残部がFeと、意図して添加していないのに不可避的に混入することがある不純物を含む。Feは、本発明のクリップ用の安価な合金を得るために、基地を構成するオーステナイト相の安価な主要元素として必要である。なお、不可避的不純物として、C、P、S、O、N、Zr、Ca、Mgなどの元素の混入の可能性がある。
【0030】
本発明において、クリップの第一側板と第二側板には、上述したNi基の耐熱鋼でなるバネ材を用いた金属板が使用できる。また、クリップの低価格化が所望される場合、Ni基の耐熱鋼に比べて高価なNiの含有量が少ないステンレス鋼板が好ましい。望ましくは耐熱性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼板であり、被加熱部材を挟んで固定保持するためのクリップ力を有することが期待できる。また、オーステナイト系ステンレス鋼板の中でも安価で容易に入手できる、SUS310SなどNiを19.0〜22.0質量%含むものや、SUS316LなどMoを2.0〜3.0質量%含みNiを12.0〜15.0質量%に低減したものは、より望ましい金属板である。SUS430などのステンレス鋼板も使用可能である。
【0031】
本発明のクリップは、例えば、以下に説明する製造方法によって得ることができる。
まず、質量%でNi:26.0%、Cr:15.0%、Mo:1.30%、Ti:2.15%、Al:0.25%、V:0.30%、B:0.004%、Si:0.01%、Mn:0.01%、残部はFeおよび不可避的不純物を含んでなり、例えば温度1000℃にて固溶化処理された金属板を準備する。そして、該金属板を所望形状に切り出し、切り出した金属板を用いて冷間で曲げ加工により所望する形状に曲げて成形し、例えば図1に示す金属板2の形状に曲げて成形する。次いで、市販のSUS316Lでなる鋼板を準備し、該鋼板を所望形状に切り出す。なお、切り出した鋼板を用いて冷間で曲げ加工により、例えば図1に示す第一側板3や第二側板4の形状に曲げて成形することもできる。
【0032】
以上によって、例えば図1に示す金属板2、第一側板3および第二側板4を得ることができる。この後、得られた金属板2の第一側面部6に対して第一側板3の一端を、および、第一側面部7に対して第一側板4の一端を、レーザー溶接によって溶接して固定する。
以上によって、例えば図1に示す金属板2と、第一側板3および第二側板4とで形成されるクリップ形状を有する成形体を得ることができる。
【0033】
次に、得られたクリップ形状の成形体に対し、温度730℃で8時間保持した後に温度620℃まで炉冷し、さらに温度620℃で8時間保持した後に冷却する時効処理を実施する。
以上、一例として上述した製造方法によって、レーザー溶接個所においても不具合個所が認められず、十分に実用に足る、本発明のクリップをえることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のクリップの一例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0035】
1.クリップ、2.金属板、3.第一側板、4.第二側板、5.底辺部、5a,5b.曲げ部、6.第一側面部、7.第二側面部、8.クランプ部、9.平面部、10.湾曲部、11.平面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱部材を固定保持するクリップにおいて、該クリップは、底辺部、該底辺部の両端から延びて弾性力によって互いに近接する第一側面部および第二側面部、前記近接することで形成されるクランプ部、を有する一枚の金属板と、前記第一側面部に一端が固定され他端が前記クランプ部とは前記底辺部を超えて反対方向に延びる第一側板、前記第二側面部に対し一端が固定され他端が前記クランプ部とは前記底辺部を超えて反対方向に延びる第二側板、とを有し、前記第一側板および前記第二側板のそれぞれの前記他端を互いの近接方向に押圧することで前記クランプ部が開口することを特徴とするクリップ。
【請求項2】
前記金属板は、質量%でNi:20.0〜35.0%、Cr:10.0〜20.0%、Mo:0.05〜5.0%、Ti:1.5〜4.0%、Al:0.05〜3.0%、V:0.10〜1.0%、B:0.001〜0.010%、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、残部はFeおよび不可避的不純物を含んでなることを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
前記第一側板と前記第二側板はオーステナイト系ステンレス鋼板で形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のクリップ。

【図1】
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【公開番号】特開2009−257368(P2009−257368A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104513(P2008−104513)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【出願人】(305022598)株式会社日立メタルプレシジョン (69)
【Fターム(参考)】