説明

クリンチングファスナー用かしめ機

【課題】クリンチングファスナーの自動供給装置がなくても安全に且つ効率的にかしめ作業を行うことができるようにし、クリンチングファスナーの自動供給装置を備えたかしめ機と比較して、かしめ機の全体構造の簡単化,小型化,製品価格の低廉化を図る。
【解決手段】差込パンチ部11を加圧パンチ部10から分離でき、加圧パンチ部10から離れた場所において、被取付物6の取付穴54に挿入したクリンチングファスナー7の軸部42を差込パンチ部11で保持することができ、被取付物6の移動時にクリンチングファスナー7が被取付物6から脱落することがない。その結果、差込パンチ部11,被取付物6及びクリンチングファスナー7を一体として加圧パンチ部10とダイス2との間に移
動させることができるため、クリンチングファスナー7を作業者の手で加圧パンチ部10とダイス2に配置する必要がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クリンチングファスナーを金属パネル等にかしめ固定するために使用され
るクリンチングファスナー用かしめ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属フレームや金属パネル等の被取付物に他の金属パネルやフレーム等を締
め付け固定し、各種筐体や各種構造物を組み立てる場合に、ボルトやナット等の締結用部
品として機能するクリンチングファスナーを被取付物に予めかしめ固定しておく構造が多
く採用されている。
【0003】
図14(a)〜(e)は、従来のかしめ機100を使用し、被取付物101にクリンチ
ングファスナー(クリンチボルト)102をかしめ固定する作業を説明する図である。
【0004】
先ず、図14(a)に示すように、パンチ103と被取付物101の取付穴104とを
位置合わせし、クリンチングファスナー102が自動供給装置105でパンチ103上に
供給され、クリンチングファスナー102の頭部106が下方からパンチ103で支持さ
れる。
【0005】
次に、図14(b)に示すように、パンチ103でクリンチングファスナー102が押
し上げられ、被取付物101の取付穴104にクリンチングファスナー102の軸部10
7が挿入される。
【0006】
次に、図14(c)に示すように、クリンチングファスナー102がパンチ103で更
に持ち上げられると、クリンチングファスナー102の軸部107の先端球面状凸部10
8がダイス110の位置決め部111の球面状凹部112に凹凸係合し、クリンチングフ
ァスナー102の先端球面状凸部108とダイス110の球面状凹部112とによって自
動調芯機能が発揮され、ダイス110の軸芯に対するクリンチングファスナー102の軸
芯の倒れが矯正される(クリンチングファスナー102の軸芯とダイス110の軸芯の芯
合わせが行われる)。
【0007】
次に、図14(d)に示すように、パンチ103がクリンチングファスナー102の頭
部106を介して被取付物101をダイス110に押し付けて加圧する。
【0008】
その結果、図14(e)に示すように、クリンチングファスナー102の頭部106が
被取付物101の内部に押し込まれると共に、クリンチングファスナー102の頭部10
6で塑性変形させられた被取付物101の一部が塑性流動して頭部106に隣り合う軸部
107の環状溝113を埋め、クリンチングファスナー102が被取付物101にかしめ
固定される。
【0009】
上述のように、図14に示したかしめ機100を使用したかしめ作業は、クリンチング
ファスナー102がパンチ103とダイス110の間に自動供給装置105で自動的に供
給されるため、作業者の手でクリンチングファスナー102をパンチ103とダイス11
0の間に配置する必要がなく、安全で且つ効率的に行われる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−144493号公報(特に、図10参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図14に示した従来のかしめ機100は、クリンチングファスナー10
2を自動供給装置105によってパンチ103上に供給するようになっているため、全体
構造が複雑化すると共に、全体構造が大型化し、製品価格が高価であった。
【0012】
そこで、本発明は、クリンチングファスナーの自動供給装置がなくても安全に且つ効率
的にかしめ作業を行うことができ、クリンチングファスナーの自動供給装置を備えたかし
め機と比較し、全体構造を簡単化できると共に小型化することができ、製品価格の低廉化
を図ることができるクリンチングファスナー用かしめ機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、図1乃至図11に示すように、被取付物6の取付穴54に被取付物
6の下面56側からクリンチングファスナー7の軸部42を挿入し、前記クリンチングフ
ァスナー7の前記軸部42よりも大径で且つ前記取付穴54よりも大径の頭部55を前記
被取付物6の下面56に当接させ、前記クリンチングファスナー7の前記頭部55をダイ
ス2で支持し、前記被取付物6の上面57側で且つ前記取付穴54の周縁を加圧装置3で
前記ダイス2に向けて加圧することにより、前記クリンチングファスナー7の前記頭部5
5を前記被取付物6の下面56と段差を生じないように前記被取付物6内に押し込むと共
に、前記クリンチングファスナー7の前記頭部55と隣り合う前記軸部42の溝58を前
記被取付物6の一部が塑性流動して埋め、前記クリンチングファスナー7を前記被取付物
6にかしめ固定するクリンチングファスナー用かしめ機1である。また、このクリンチン
グファスナー用かしめ機1において、前記加圧装置3は、(1)前記被取付物6の前記取
付穴54から前記被取付物6の上面57側へ突出する前記クリンチングファスナー7の前
記軸部42に嵌合する軸穴43を有すると共に、前記クリンチングファスナー7の前記軸
部42を弾性的に保持するクリンチングファスナー保持手段46,60を有する差込パン
チ部11と、(2)前記差込パンチ部11を前記ダイス2に向けて加圧する加圧パンチ部
10と、(3)前記差込パンチ部11を前記加圧パンチ部10の先端側に分離可能に収容
すると共に、前記差込パンチ部の前記軸穴に嵌合された前記クリンチングファスナーの前
記軸部の軸芯と前記加圧パンチ部の加圧中心とを芯合わせする差込パンチ部収容部12と
、を備えている。
【0014】
請求項2の発明は、図1及び図2に示すように、請求項1の発明における前記クリンチ
ングファスナー保持手段46に特徴を有するものである。すなわち、前記クリンチングフ
ァスナー保持手段46は、前記差込パンチ部11の前記軸穴43に開口する保持部材収容
穴47内に収容され、一部が前記軸穴43内に突出して前記クリンチングファスナー7の
前記軸部42に接触できるようになっている保持部材48と、前記保持部材48を前記軸
穴43内に突出させる方向へ付勢する弾性付勢部材50と、を有している。そして、前記
クリンチングファスナー保持手段46は、前記差込パンチ部11の前記軸穴43に挿入し
た前記クリンチングファスナー7の前記軸部42を前記弾性付勢部材50で付勢された前
記保持部材48で弾性的に保持するようになっている。
【0015】
請求項3の発明は、図11に示すように、請求項1の発明における前記クリンチングフ
ァスナー保持手段60に特徴を有するものである。すなわち、前記クリンチングファスナ
ー保持手段60は、前記差込パンチ部11の前記軸穴43に開口する保持部材収容穴61
内に収容され、一部が前記軸穴43内に突出して前記クリンチングファスナー7の前記軸
部42に弾性的に接触できるようになっている弾性変形可能な保持部材62と、前記保持
部材62が前記保持部材収容穴61内で移動するのを阻止する位置決め部材63と、を有
している。そして、前記クリンチングファスナー保持手段60は、前記保持部材収容穴6
1内に前記位置決め部材63で位置決めされた前記保持部材62が前記差込パンチ部11
の前記軸穴43に挿入した前記クリンチングファスナー7の前記軸部42に弾性的に接触
して前記クリンチングファスナー7を弾性的に保持するようになっている。
【0016】
請求項4の発明は、図1に示すように、請求項1乃至3のいずれかの発明における前記
差込パンチ部収容部12に特徴を有するものである。すなわち、前記差込パンチ部収容部
12は、前記加圧パンチ部の加圧方向に沿った方向にスライドできるように、前記加圧パ
ンチ部10にスライド可能に取り付けられた円筒状のカバー33と、前記カバー33を前
記加圧パンチ部10に設けられた退避位置に弾性的に保持するカバー保持手段34と、前
記カバー33の前記退避位置からのスライド量を規制するストッパ手段35と、を有して
いる。そして、前記差込パンチ部収容部12は、前記カバー33を前記カバー保持手段3
4から離脱させて前記加圧パンチ部10に対してスライドさせ、前記カバー33を前記差
込パンチ部11に嵌合することにより、前記加圧パンチ部10の先端と前記差込パンチ部
11の隙間41を前記カバー33で覆うと共に、前記差込パンチ部11の軸芯L1bと前
記加圧パンチ部10の加圧中心との芯合わせを前記カバー33で行うようになっている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、差込パンチ部を加圧パンチ部から分離でき、加圧パンチ部から離れた
場所において、被取付物の取付穴に挿入したクリンチングファスナーの軸部を差込パンチ
部で保持することができ、被取付物の移動時にクリンチングファスナーが被取付物から脱
落することがないため、差込パンチ部,被取付物及びクリンチングファスナーを一体とし
てかしめ位置(加圧パンチ部とダイスとの間)に移動させることができ、かしめ作業を効
率化することができる。
【0018】
また、本発明によれば、作業者の手を加圧パンチ部とダイスの間に入れることなく、差
込パンチ部,被取付物及びクリンチングファスナーを一体として加圧パンチ部とダイスの
間に配置でき、クリンチングファスナーと被取付物のかしめ作業を安全に行うことができ
る。
【0019】
このように、本発明によれば、クリンチングファスナーの自動供給装置がなくても安全
に且つ効率的にかしめ作業を行うことができ、クリンチングファスナーの自動供給装置を
備えたかしめ機と比較し、全体構造を簡単化できると共に小型化することができ、製品価
格の低廉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機の構造図である。
【図2】本発明の実施形態に係る差込パンチ部を示す図である。図2(a)が差込パンチ部の側面図、図2(b)が差込パンチ部の平面図、図2(c)が差込パンチ部の裏面図、図2(d)が図2(a)のA1−A1線に沿って切断して示す断面図、図2(e)が図2(d)のB1部の拡大図、図2(f)が図2(a)のA2−A2線に沿って切断して示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機を使用したかしめ作業の第1工程を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機を使用したかしめ作業の第2工程を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機を使用したかしめ作業の第3工程を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機を使用したかしめ作業の第4工程を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機を使用したかしめ作業の第5工程を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機を使用したかしめ作業の第6工程を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機を使用したかしめ作業の第7工程を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機を使用したかしめ作業の終了後における差込パンチ部とクリンチングファスナーの分離状態を示す図である。
【図11】本発明の変形例1に係る差込パンチ部を示す図である。図11(a)が差込パンチ部の側面図、図11(b)が差込パンチ部の平面図、図11(c)が差込パンチ部の裏面図、図11(d)が図11(a)のA3−A3線に沿って切断して示す断面図、図11(e)が図11(d)のB2部の拡大図、図11(f)が図11(a)のA4−A4線に沿って切断して示す断面図である。
【図12】本発明の変形例2に係るカバー保持手段を示す図であり、図12(a)がカバーをカバー保持手段で退避位置に保持した状態を示す図であり、図12(b)がカバーを退避位置から移動させて差込パンチ部に係合させた状態を示す図である。
【図13】本発明の変形例3に係る加圧装置の一部を示す図である。
【図14】従来のかしめ機の一部構造図、及び従来のかしめ機を使用したかしめ作業の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0022】
図1は、本実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機1を示すものである。こ
のクリンチングファスナー用かしめ機1は、ダイス2と加圧装置3の一部をアングル4で
接続している。
【0023】
ダイス2は、アングル4の支持脚部5上に固定されており、加圧装置3で加圧される金
属パネル等の被取付物6及びクリンチングファスナー7を下側から支持するようになって
いる。また、ダイス2の上面(被取付物6とクリンチングファスナー7を支持する面)8
は、加圧装置3の加圧方向に沿った軸芯L1に直交するようにアングル4の支持脚部5上
に固定されている。
【0024】
加圧装置3は、加圧パンチ部10と、この加圧パンチ部10で被取付物6側へ向けて加
圧される差込パンチ部11と、この差込パンチ部11を加圧パンチ部10の先端側に分離
可能に収容する差込パンチ部収容部12と、を有している。
【0025】
加圧パンチ部10は、シリンダチューブ13とロッド14を有する油圧シリンダであり
、ロッド14の先端側(一端側)がシリンダチューブ13から下方へ突出しており、ロッ
ド14の後端側(他端側)にシリンダチューブ13内を二室15,16に区画するピスト
ン17を一体に備えている。なお、シリンダチューブ13は、アングル4のアーム部9に
固定されている。すなわち、加圧パンチ部10は、その一部であるシリンダチューブ13
がアングル4でダイス2に一体に接続されている。
【0026】
シリンダチューブ13は、ピストン17で区画された一方の室15内(軸芯に沿った方
向の一端側の空間内)に圧縮ばね18が収容されている。この圧縮ばね18は、シリンダ
チューブ13の他方の室16内の圧力が大気圧状態の場合に、ピストン17をシリンダチ
ューブ13内のストッパ20に押し当て、ロッド14を圧縮ばね18のばね力で退避位置
に保持するようになっている。また、シリンダチューブ13は、ピストン17で区画され
た他方の室16内(軸芯L1に沿った方向の他端側の空間内)にオイル給排口21が開口
しており、このオイル給排口21に油圧回路22の油圧ホース23が接続されている。
【0027】
油圧回路22は、油圧ホース23,電磁切換弁24,オイルポンプ25,オイルタンク
26等で構成されている。なお、油圧回路22には、図示しない圧力スイッチや油圧ゲー
ジ等が配置され、加圧パンチ部10に所定の油圧(かしめ作業に適した油圧)が作用する
ようになっている。
【0028】
この油圧回路22の油圧ホース23は、電磁切替弁24に接続されており、電磁切換弁
24の作動によってオイルポンプ25から吐出されたオイルをシリンダチューブ13内の
他方の室16内に供給するか、又は、シリンダチューブ13内のオイルをオイルタンク2
6に戻すようになっている。
【0029】
また、電磁切替弁24は、フットスイッチ27が作業者の足で踏まれると(オン操作さ
れると)、オイルポンプ25と油圧ホース23とを接続する。また、電磁切替弁24は、
フットスイッチ27から作業者の足が離れると(オフ操作されると)、油圧ホース23と
オイルタンク26とを接続し、シリンダチューブ13内の他方の室16内の圧力を大気圧
状態に開放する。
【0030】
オイルポンプ25は、フットスイッチ27が作業者の足で踏まれると(オン操作される
と)、図示しない外部電源に接続されて作動し、オイルタンク26内のオイルを電磁切換
弁24のオイル供給ポート28及び油圧ホース23を介してシリンダチューブ13内の他
方の室16内に供給する。また、オイルポンプ25は、フットスイッチ27から作業者の
足が離れると(オフ操作されると)、外部電源との接続が遮断されて停止する。
【0031】
ロッド14は、その軸芯L1に沿った一端側に形成された大径部30と、この大径部3
0から軸芯L1に沿って延びる小径部31(大径部30よりも外径寸法が小さいロッド部
分)とからなっている。ロッド14の先端面(大径部30の下端面)32は、ロッド14
の軸芯L1に直交するように形成されている。そして、このロッド14の一端側には、差
込パンチ部収容部12が取り付けられている。
【0032】
差込パンチ部収容部12は、加圧装置3の加圧方向に沿って(軸芯L1に沿って)スラ
イド移動できるように加圧パンチ部10のロッド14(但し、ロッド14のうちのシリン
ダチューブ13から下方に突出した部分)に取り付けられた円筒状のカバー33と、この
カバー33を加圧パンチ部10のロッド14に設けられた退避位置(図1の点線で示す位
置)に弾性的に保持するゴム製のOリング(カバー保持手段)34と、カバー33の退避
位置からのスライド量を規制するストッパ手段(35)と、を有している。カバー33は
、ロッド14の大径部30及び差込パンチ部11を構成する差込パンチ本体36の外周面
37にスライド可能に係合する円筒部分38と、この円筒部分38の一端から径方向内方
に向かって延びてロッド14の小径部31にスライド可能に係合し且つロッド14の大径
部30に引っ掛かる円板状のフランジ部分35とを有している。このカバー33のフラン
ジ部分35は、退避位置(カバー33を点線で示す位置)からロッド14の先端側(下端
側)へ向けてスライド移動させられると、ロッド14の大径部30に引っ掛かり、カバー
33のスライド移動を停止させるようになっており、カバー33の退避位置からのスライ
ド量を規制するストッパ手段として機能する。
【0033】
カバー33は、その先端面40がロッド14の大径部30の先端面32と面一になる位
置か又はロッド14の大径部30の先端面32よりも僅かに上方に位置するまでスライド
移動させると、ロッド14の小径部31に取り付けたゴム製のOリング34をフランジ部
分35が乗り越えて、フランジ部分35の径方向内方端がOリング34に自重で引っ掛か
り、Oリング34によって退避位置(図1の点線で示す位置)に弾性的に保持される。な
お、Oリング34は、カバー33のフランジ部分35が乗り越える際には弾性変形し、カ
バー33のフランジ部分35が乗り越えると元の形に弾性復元する。
【0034】
また、カバー33は、Oリング34を弾性変形させて(カバー保持手段から離脱させて
)退避位置から押し下げると、フランジ部分35がロッド14の大径部30に自重で引っ
掛かるまでスライド移動させることができる。これにより、カバー33は、その円筒部分
38がロッド14の大径部30と差込パンチ本体36の外周面37に係合し、差込パンチ
部11の軸芯L1bと加圧パンチ部10(特に、ロッド14)の軸芯(加圧中心)L1a
との芯合わせを行うことができると共に、ロッド14の下方に差込パンチ部11を収容で
きるようになっている。そして、このカバー33は、加圧パンチ部10のロッド14と差
込パンチ部11の差込パンチ本体36との隙間41を覆うようになっており、作業者の指
等が加圧パンチ部10のロッド14と差込パンチ部11の差込パンチ本体36との隙間4
1に誤って挿入されるのを防止している。
【0035】
また、カバー33をロッド14に設けられた退避位置まで移動させると、カバー33と
差込パンチ本体36の外周面37との係合が解除され、差込パンチ部11を加圧パンチ部
10(特に、ロッド14)の先端側から離脱(分離)させることが可能になる。
【0036】
図2に示すように、差込パンチ部11は、クリンチングファスナー7の軸部42に嵌合
され、クリンチングファスナー7の軸芯L2と差込パンチ部11の軸芯L1bの芯合わせ
を行う軸穴43が形成された円筒状の差込パンチ本体36を有している(図1参照)。こ
の差込パンチ本体36の軸穴43は、差込パンチ本体36を軸芯L1bに沿って貫通して
おり、クリンチングファスナー7の軸部42に円滑に嵌合でき且つクリンチングファスナ
ー7と被取付物6のかしめ不良を生じない程度の大きさとなるように寸法公差等が決定さ
れている(図1参照)。また、差込パンチ本体36の両端面44,45は、差込パンチ本
体36の軸芯L1bに直交するように形成されている。すなわち、差込パンチ本体36の
両端面44,45のうち、ロッド14の先端面32によって加圧される上端面44が差込
パンチ本体36の軸芯L1bに直交し、被取付物6に押し付けられる下端面45が差込パ
ンチ本体36の軸芯L1bに直交するように形成されている(図1参照)。また、差込パ
ンチ本体36の外径は、ロッド14の大径部30の外径と同じ大きさに(同一寸法となる
ように)形成されている。
【0037】
また、図2に示すように、差込パンチ部11は、差込パンチ本体36の軸穴43に挿入
されたクリンチングファスナー7の軸部42を弾性的に保持するクリンチングファスナー
保持手段46を有している(図1参照)。このクリンチングファスナー保持手段46は、
差込パンチ本体36の軸穴43に開口する保持部材収容穴47内に収容された保持部材と
しての硬球(例えば、金属球)48と、この硬球48を差込パンチ本体36の径方向内方
側(軸芯側)へ向けて付勢するリング状ばね50(例えば、弾性付勢部材としてのOリン
グ)とを有している。保持部材収容穴47は、軸穴43内に対向して開口するように、差
込パンチ本体36に一対形成されている。各保持部材収容穴47,47は、差込パンチ本
体36の軸芯L1bに直交するように形成されており、一端が軸穴43に開口し、他端が
弾性付勢部材収容溝51に開口している。そして、保持部材収容穴47は、軸穴43に開
口する一端側が軸穴43に向かうに従って直径を漸減させるテーパ面52になっており、
このテーパ面52が硬球48の軸穴43内への突出量を規制するようになっている。また
、弾性付勢部材収容溝51は、保持部材収容47穴の他端側が開口するように、差込パン
チ本体36の外周に沿って環状に形成されており、リング状ばね50が係合される。この
弾性付勢部材収容溝51に係合されたリング状ばね50は、硬球48を保持部材収容穴4
7の一端側に位置するテーパ面52に押し付けるように付勢する。これにより、硬球48
は、差込パンチ本体36の軸穴43内に挿入されたクリンチングファスナー7の軸部42
にリング状ばね50のばね力で押し付けられ、クリンチングファスナー7の軸部42を弾
性的に保持する(図1参照)。
【0038】
なお、本実施形態は、保持部材収容穴47を差込パンチ本体36に一対(2個)形成す
る態様を例示したが、差込パンチ本体36の軸穴43に挿入されたクリンチングファスナ
ー7の軸部42を弾性的に保持できる限り、保持部材収容穴47を差込パンチ本体36に
1個のみ形成し、この保持部材収容穴47内に収容した1個の硬球48をリング状ばね5
0のばね力でクリンチングファスナー7の軸部42に押し付けるようにしてもよい。また
、保持部材収容穴47は、軸穴43の周囲に等間隔に3個以上形成してもよく、3個以上
の硬球48をリング状ばね50のばね力で差込パンチ本体36の軸穴43に挿入したクリ
ンチングファスナー7の軸部42に押し付け、これら3個以上の硬球48とリング状ばね
50とでクリンチングファスナー7の軸部42を弾性的に保持するようにしてもよい。
【0039】
また、図1に示すように、本実施形態において、クリンチングファスナー用かしめ機1
は、その支持脚部5を被取付物6の支持フレーム53に固定するか又は支持フレーム53
にスライド移動可能に取り付けるようになっている。
【0040】
また、本実施形態において、加圧パンチ部10のロッド14の先端と差込パンチ部11
の差込パンチ本体36との隙間41(軸芯L1bに沿った方向の隙間)は、被取付物6の
板厚寸法の変動を吸収できる寸法に設定されている。
【0041】
また、リング状ばね50は、Oリングに限定されず、例えば、金属コイルばねをリング
状にしたものでもよい。
【0042】
また、クリンチングファスナー7は、軸部42の外周に一定の溝深さで形成された環状
溝58に限定されるものではなく、軸部42の外周に溝深さが周方向で異なるように形成
された環状溝58でもよく、また、軸部42の周方向に断続的に形成された溝でもよい。
【0043】
なお、本実施形態において、被取付物6の取付穴54は、クリンチングファスナー7の
軸部42よりも僅かに大きく、クリンチングファスナー7の頭部55よりも小さい。
【0044】
(クリンチングファスナーのかしめ作業)
以下、図3乃至図10に基づき、本実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機
1を使用したクリンチングファスナー7のかしめ作業を説明する。
【0045】
先ず、図3に示すように、作業者は、クリンチングファスナー用かしめ機1の差込パン
チ部収容部12のカバー33を退避位置に移動させ、差込パンチ部11を加圧パンチ部1
0の下方から取り出す。
【0046】
次に、図4に示すように、作業者は、クリンチングファスナー7の軸部42を被取付物
6の下方から被取付物6の取付穴54に挿入し、クリンチングファスナー7の頭部55を
被取付物6の下面(裏面)56に押し付けて、差込パンチ本体36の軸穴43を被取付物
6の上面(表面)57側に突出するクリンチングファスナー7の軸部42に嵌合し、差込
パンチ本体36の先端面(下側の端面45)とクリンチングファスナー7の頭部55との
間に被取付物6を挟持する。この際、クリンチングファスナー7は、その軸部42が差込
パンチ部11のクリンチングファスナー保持手段46によって弾性的に保持され、被取付
物6から脱落することがない。
【0047】
次に、図5に示すように、作業者は、クリンチングファスナー7の頭部55がダイス2
上に位置し、且つ、差込パンチ部11が加圧パンチ部10の下方に位置するように、被取
付物6をクリンチングファスナー用かしめ機1に対してスライド移動させる。
【0048】
次に、図6に示すように、作業者は、差込パンチ部収容部12のカバー33をカバー保
持手段としてのOリング34から離脱させて、カバー33を退避位置(図5に示した位置
)から下方へ移動させ、カバー33の円筒部分38を差込パンチ本体36の外周面37に
係合し、カバー33のフランジ部分35をロッド14の大径部30に引っ掛ける。これに
より、差込パンチ部11が差込パンチ部収容部12によって加圧パンチ部10の下方に収
容され、差込パンチ部11の軸芯L1b(及び、クリンチングファスナー7の軸芯L2)
と加圧パンチ部10の軸芯(加圧中心)L1aとが差込パンチ部収容部12のカバー33
によって芯合わせされると共に、差込パンチ部11と加圧パンチ部10の隙間41が差込
パンチ部収容部12のカバー33によって覆われる。
【0049】
次に、図7に示すように、作業者がフットスイッチ27を踏むと、電磁切換弁24が通
電されて作動すると共に、オイルポンプ25が作動し、オイルポンプ25から吐出された
オイルが電磁切換弁24のオイル供給ポート28及び油圧ホース23を介してシリンダチ
ューブ13内の他方の室16内に供給される。その結果、加圧パンチ部10のピストン1
7がシリンダチューブ13内の一方の室15内に収容された圧縮ばね18を押し縮めて移
動し、加圧パンチ部10のロッド14がシリンダチューブ13の下方へ押し出され、加圧
パンチ部10のロッド14の大径部30が差込パンチ部11の差込パンチ本体36を被取
付物6に押し付け、クリンチングファスナー7の頭部55及び被取付物6の取付穴54の
周縁が差込パンチ本体36とダイス2との間に挟圧される。
【0050】
図8に示すように、更に差込パンチ本体36が加圧パンチ部10によって被取付物6に
押し付けられると、クリンチングファスナー7は、その頭部55の下面が被取付物6の下
面56と同一面となるまで、その頭部55が被取付物6に押し込まれ、被取付物6の一部
がクリンチングファスナー7の軸部42に形成された環状溝(頭部55に隣り合うように
軸部42に形成された環状溝)58を埋めるように塑性流動(塑性変形)する。これによ
り、クリンチングファスナー7が被取付物6にかしめ固定される。
【0051】
次に、図9に示すように、作業者の足がフットスイッチ27から離れると、電磁切換弁
24及びオイルポンプ25への通電が遮断され、オイルポンプ25の作動が停止し、電磁
切換弁24が油圧ホース23とオイルタンク26とを接続し、シリンダチューブ13内の
他方の室16内の圧力が大気圧状態に開放され、ピストン17が圧縮ばね18で付勢され
てシリンダチューブ13内のストッパ20に突き当てられて停止するまでスライド移動し
、加圧パンチ部10のロッド14が差込パンチ部11の差込パンチ本体36から離間し、
クリンチングファスナー用かしめ機1によるかしめ作業が終了する。
【0052】
なお、図10に示すように、かしめ作業終了後、差込パンチ部収容部12のカバー33
を退避位置までスライド移動させて、カバー33をOリング34によって弾性的に保持さ
せ、被取付物6をクリンチングファスナー用かしめ機1に対してスライド移動させて、差
込パンチ部11を加圧パンチ部10の下方から取り出し、差込パンチ部11を被取付物6
の上方へ引っ張ると、クリンチングファスナー保持手段46とクリンチングファスナー7
の軸部42との弾性接触が解除され、差込パンチ部11を被取付物6及びクリンチングフ
ァスナー7から離脱させることができる。
【0053】
(本実施形態の効果)
以上のように、本実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機1は、差込パンチ
部11を加圧パンチ部10から分離でき、加圧パンチ部10から離れた場所において、被
取付物6の取付穴54に挿入したクリンチングファスナー7の軸部42を差込パンチ部1
1で保持することができ、被取付物6の移動時にクリンチングファスナー7が被取付物6
から脱落することがないため、差込パンチ部11,被取付物6及びクリンチングファスナ
ー7を一体としてかしめ位置(加圧パンチ部10とダイス2との間)に移動させることが
でき、かしめ作業を効率化することができる。
【0054】
また、本実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機1は、、作業者の手を加圧
パンチ部10とダイス2の間に入れることなく、差込パンチ部11,被取付物6及びクリ
ンチングファスナー7を加圧パンチ部10とダイス2の間に配置でき、クリンチングファ
スナー7と被取付物6のかしめ作業を安全に行うことができる。
【0055】
また、本実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機1は、クリンチングファス
ナー7の軸部42を被取付物6の取付穴54に挿入する作業が作業者の手で効率的に且つ
安全に行われ、クリンチングファスナー7の自動供給装置を備える必要がないため、クリ
ンチングファスナー7の自動供給装置を備えたかしめ機と比較し、全体構造を簡単化する
ことができると共に小型化することができ、製品価格の低廉化を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機1は、クリンチングファス
ナー7の軸部42を差込パンチ本体36の軸穴43に挿入することにより、クリンチング
ファスナー7の軸芯L2と差込パンチ本体36の軸芯L1bの芯合わせを行うことができ
、差込パンチ部収容部12の円筒部分38を加圧パンチ部10のロッド14の下方に配置
した差込パンチ本体36に嵌合することにより、加圧パンチ部10のロッド14の軸芯(
加圧中心)L1aと差込パンチ本体36の軸芯L1bの芯合わせを行うことができるため
、クリンチングファスナー7が倒れを生じた状態(クリンチングファスナー7の軸芯L2
が差込パンチ本体36の軸芯L1bに対して傾いた状態)で被取付物6にかしめられるこ
とを防止でき、クリンチングファスナー7と被取付物6のかしめを正確に行うことができ
る。
【0057】
また、本実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機1は、加圧パンチ部10で
差込パンチ部11を加圧する前に、加圧パンチ部10のロッド14の先端と差込パンチ本
体36との隙間41を差込パンチ部収容部12のカバー33で覆うことができるため、加
圧パンチ部10のロッド14の先端と差込パンチ本体36との隙間41に異物や作業者の
指先が挟み込まれた状態でかしめ作業が行われるのを効果的に防止できる。
【0058】
また、本実施形態に係るクリンチングファスナー用かしめ機1は、差込パンチ部収容部
12を加圧パンチ部10のロッド14に取り付けたOリング(カバー保持手段)34によ
って退避位置(差込パンチ部収容部12と差込パンチ部11の係合が解除される位置であ
って、図3〜5,図10に示した位置)に弾性的に保持できるようになっており、差込パ
ンチ部11を加圧パンチ部10のロッド14の下方に配置する場合や、差込パンチ部11
を加圧パンチ部10のロッド14の下方から取り出す場合に、作業者の手で差込パンチ部
収容部12のカバー33を退避位置に保持する必要がなくなり、かしめ作業を効率的に行
うことが可能になる。
【0059】
(変形例1)
図11は、差込パンチ部11の変形例を示す図である。この図11に示す差込パンチ部
11は、少なくとも一つのクリンチングファスナー保持手段60を有している。この変形
例に係るクリンチングファスナー保持手段60は、差込パンチ本体36の軸穴43に直交
し、且つ、差込パンチ本体36の軸穴43と差込パンチ本体36の外部空間とを径方向に
連通するように差込パンチ本体36に形成された保持部材収容穴61内に収容されている
。すなわち、クリンチングファスナー保持手段60は、一部が差込パンチ本体36の軸穴
43内に突出して軸穴43内のクリンチングファスナー7の軸部42に弾性的に接触する
弾性変形可能な球状の保持部材(例えば、ゴムボール)62と、保持部材収容穴61の径
方向外方端側に螺合されて保持部材収容穴61内の保持部材62を位置決めする(保持部
材62が保持部材収容穴61内を移動するのを阻止する)位置決め部材(例えば、位置決
めねじ)63とを有している。なお、保持部材62は、保持部材収容穴61の径方向内方
端に形成されたテーパ面64で軸穴43内への脱落が防止されると共に、軸穴43内への
突出量が規制されるようになっている。
【0060】
このような差込パンチ部11は、差込パンチ本体36の軸穴43内に挿入されたクリン
チングファスナー7の軸部42に保持部材62が弾性的に接触して、クリンチングファス
ナー7の軸部42を保持部材62の弾性力で差込パンチ本体36の軸穴43内に弾性的に
保持することができる。したがって、図11に示した本変形例に係る差込パンチ部11は
、図2に示した差込パンチ部11に代えてクリンチングファスナー用かしめ機1を構成す
ることができる。
【0061】
(変形例2)
図12は、カバー保持手段34の変形例を示す図である。なお、図12(a)は、カバ
ー33をカバー保持手段34によってロッド14に設けられた退避位置に保持した状態を
示す図である。図12(b)は、カバー33とカバー保持手段34との係合状態を解除し
、カバー33を退避位置から移動させて差込パンチ部11に係合させた状態を示す図であ
る。
【0062】
本変形例のカバー保持手段34は、ロッド14に形成した径方向穴70内にボール71
,ばね72及び栓部材73が収容されて構成されている。
【0063】
径方向穴70は、ロッド14を径方向に貫通しており、一方の開口端の直径がボール7
1の直径よりも小径になっており、且つ、ボール71が着座するテーパ面74が一方の開
口端側に形成されている。これにより、ボール71は、その一部が径方向穴70の一方の
開口端側からロッド14の外部に出っ張るものの、その全体が径方向穴70の一方の開口
端側からロッド14の外方へ抜け出す(脱落する)ことがない。
【0064】
ボール71は、全体が径方向穴70内に引っ込むことができるように径方向穴70内に
収容されており、金属(ステンレス、アルミニウム等),プラスチック,セラミックス等
で形成された球体である。そして、ボール71は、ばね72で付勢されて径方向穴70の
テーパ面74に着座するようになっている。
【0065】
ばね72は、径方向穴70内で伸縮できるようになっている圧縮コイルばねであり、ボ
ール71を径方向穴70の一方の開口端から押し出す方向へ常時付勢するようになってい
る。なお、ばね72は、圧縮コイルばねに限定されるものではなく、ボール71を径方向
穴70の一方の開口端から押し出す方向へ常時弾性的に付勢するようになっているもので
あればよい。
【0066】
栓部材73は、径方向穴70に形成されためねじ75に螺合されるねじ(例えば、六角
穴付きねじ)であり、径方向穴70の他方の開口端側を塞ぐと共に、ボール71との間に
圧縮した状態で収容したばね72を支持するようになっている。なお、本変形例のカバー
保持手段34は、栓部材73を操作して、径方向穴70内の栓部材73の位置を変えるこ
とにより、ボール71に作用するばね72の弾性付勢力(ばね力)を調整することができ
るようになっている。
【0067】
図12(a)に示すように、カバー33のフランジ部分35の径方向内方端がカバー保
持手段34のボール71上にカバー33の自重で引っ掛かり、カバー33がカバー保持手
段34によって退避位置に保持されている。なお、ボール71が栓部材73で支持された
ばね72で弾性的に付勢されているため、カバー33は退避位置にカバー保持手段74に
よって弾性的に支持されることになる。
【0068】
カバー33は、図12(a)に示す退避位置から作業者によって押し下げられると、ボ
ール71がばね72を押し縮めて径方向穴70内に押し込まれ、カバー33とカバー保持
手段34との係合状態が解除され、フランジ部分35がロッド14の大径部30に引っ掛
かるまでロッド14に沿って降下させられ、差込パンチ部11の差込パンチ本体36の外
周面37に係合される(図12(b)参照)。
【0069】
本変形例に係るカバー保持手段34は、上記実施形態に係るカバー保持手段としてのO
リング34に代えて適用することができる。
【0070】
(変形例3)
上記実施形態に係る加圧装置3は、加圧パンチ部10を構成するロッド14の先端を差
込パンチ部11に当接させ、ロッド14の先端が差込パンチ部11を直接加圧するように
なっているが、図13に示すように、大径部30が形成された加圧パンチ本体76をロッ
ド14の先端にねじ77等で固定し、加圧パンチ本体76を差込パンチ部11に当接させ
るようにしてもよい。
【0071】
(その他の変形例)
カバー保持手段34は、図1又は図12に示した構造のものに限られず、カバー33を
ロッド14に設けられた退避位置に弾性的に保持でき、且つ、作業者がカバー33をカバ
ー保持手段34から離脱させることができるようになっていればよい。
【符号の説明】
【0072】
1……クリンチングファスナー用かしめ機、2……ダイス、3……加圧装置、4……ア
ングル、6……被取付物、7……クリンチングファスナー、10……加圧パンチ部、11
……差込パンチ部、12……差込パンチ部収容部、33……カバー、34……Oリング(
カバー保持手段)、35……フランジ部分(ストッパ手段)、41……隙間、42……軸
部、43……軸穴、46,60……クリンチングファスナー保持手段、47,61……保
持部材収容穴、48……硬球(保持部材)、50……リング状ばね(弾性付勢部材)、5
4……取付穴、55……頭部、56……下面、57……上面、58……環状溝(溝)、6
2……保持部材、63……位置決め部材、L1,L1b,L2……軸芯、L1a……軸芯
(加圧中心)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付物の取付穴に被取付物の下面側からクリンチングファスナーの軸部を挿入し、前
記クリンチングファスナーの前記軸部よりも大径で且つ前記取付穴よりも大径の頭部を前
記被取付物の下面に当接させ、前記クリンチングファスナーの前記頭部をダイスで支持し
、前記被取付物の上面側で且つ前記取付穴の周縁を加圧装置で前記ダイスに向けて加圧す
ることにより、前記クリンチングファスナーの前記頭部を前記被取付物の下面と段差を生
じないように前記被取付物内に押し込むと共に、前記クリンチングファスナーの前記頭部
と隣り合う前記軸部の溝を前記被取付物の一部が塑性流動して埋め、前記クリンチングフ
ァスナーを前記被取付物にかしめ固定するクリンチングファスナー用かしめ機であって、
前記加圧装置は、
(1)前記被取付物の前記取付穴から前記被取付物の上面側へ突出する前記クリンチン
グファスナーの前記軸部に嵌合する軸穴を有すると共に、前記クリンチングファスナーの
前記軸部を弾性的に保持するクリンチングファスナー保持手段を有する差込パンチ部と、
(2)前記差込パンチ部を前記ダイスに向けて加圧する加圧パンチ部と、
(3)前記差込パンチ部を前記加圧パンチ部の先端側に分離可能に収容すると共に、前
記差込パンチ部の前記軸穴に嵌合された前記クリンチングファスナーの前記軸部の軸芯と
前記加圧パンチ部の加圧中心とを芯合わせする差込パンチ部収容部と、を備えた、
ことを特徴とするクリンチングファスナー用かしめ機。
【請求項2】
前記クリンチングファスナー保持手段は、
前記差込パンチ部の前記軸穴に開口する保持部材収容穴内に収容され、一部が前記軸穴
内に突出して前記クリンチングファスナーの前記軸部に接触できるようになっている保持
部材と、
前記保持部材を前記軸穴内に突出させる方向へ付勢する弾性付勢部材と、を有し、
前記差込パンチ部の前記軸穴に挿入した前記クリンチングファスナーの前記軸部を前記
弾性付勢部材で付勢された前記保持部材で弾性的に保持する、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリンチングファスナー用かしめ機。
【請求項3】
前記クリンチングファスナー保持手段は、
前記差込パンチ部の前記軸穴に開口する保持部材収容穴内に収容され、一部が前記軸穴
内に突出して前記クリンチングファスナーの前記軸部に弾性的に接触できるようになって
いる弾性変形可能な保持部材と、
前記保持部材が前記保持部材収容穴内で移動するのを阻止する位置決め部材と、を有し

前記保持部材収容穴内に前記位置決め部材で位置決めされた前記保持部材が前記差込パ
ンチ部の前記軸穴に挿入した前記クリンチングファスナーの前記軸部に弾性的に接触して
前記クリンチングファスナーを弾性的に保持する、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリンチングファスナー用かしめ機。
【請求項4】
前記差込パンチ部収容部は、
前記加圧パンチ部の加圧方向に沿った方向にスライドできるように、前記加圧パンチ部
にスライド可能に取り付けられた円筒状のカバーと、
前記カバーを前記加圧パンチ部に設けられた退避位置に弾性的に保持するカバー保持手
段と、
前記カバーの前記退避位置からのスライド量を規制するストッパ手段と、を有し、
前記カバーを前記カバー保持手段から離脱させて前記加圧パンチ部に対してスライドさ
せ、前記カバーを前記差込パンチ部の外周に嵌合することにより、前記加圧パンチ部の先
端と前記差込パンチ部の隙間を前記カバーで覆うと共に、前記差込パンチ部の軸芯と前記
加圧パンチ部の加圧中心との芯合わせを前記カバーで行うようになっている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のクリンチングファスナー用かしめ
機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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