説明

クリーニング用途のためのカプセル入り活性成分

水相と組み合わされたときに、僅かな遅延放出、適度の遅延放出及び/又は長時間の遅延放出を有する活性試薬を含むカプセル化徐放性クリーニング剤が記載されている。本発明は、また、このような組成物の製造及び使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル化制御放出性クリーニング剤並びにその製造及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
有効な洗剤組成物、例えば洗濯配合物には、典型的には、界面活性剤、硬水軟化剤、漂白剤、酵素及び香料(fragrance)を含む多数の異なった活性成分が含有されている。これらの成分の間の望ましくない相互作用は、製品性能に悪影響を与え得る。このような相互作用には、これらに限定されないが、乾燥状態での相互作用(これは、例えば製品の貯蔵寿命に影響を与え得る)及び湿潤状態での相互作用(これは、例えば1種又はそれ以上の活性物質の性能に影響を与え得る)が含まれる。従って、個々の成分から期待される最適なクリーニング結果を達成することがしばしば不可能となる。洗浄サイクルの間に異なった時間に別々の成分を添加することは、この問題点を回避することを助けることができるが、これは消費者にとって便利ではない。
【0003】
従って、必要なものは、洗剤組成物の中に含有させるための、カプセル化又は他の制御された放出性のクリーニング剤である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一つの態様に於いて、本発明は、それぞれの粒子が少なくとも1種の活性試薬(active agent)を含む、少なくとも2種の粒子を含んでなるクリーニング組成物であって、該少なくとも2種の粒子が、このクリーニング組成物が水相と組み合わせられたときに、異なった遅延放出時間で活性試薬を放出するように適合され、該粒子が水溶性セルロース皮膜によってカプセル化されているクリーニング組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1はモーター油に対する実施例1〜5の活性物質の洗浄力を示す。
【図2】図2はダスト皮脂に対する実施例1〜5の活性物質の洗浄力を示す。
【図3】図3は草汚染に対する実施例1〜5の活性物質の洗浄力を示す。
【図4】図4はコーヒー汚染に対する実施例1〜5の活性物質の洗浄力を示す。
【図5】図5は草汚染に対する選択された組成物の洗浄力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、クリーニング用途のためのカプセル化活性成分に関する。それぞれの活性物質を、洗浄サイクル内の適切な時点で利用可能にすることによって、固体状態又は液体状態での活性物質の有害な相互作用のような問題点を減少又は除去することができる。この制御された放出は、組成物が水相と組み合わせられた後の一定の特定の遅延期間の後に、それぞれの活性成分を供給することによって達成することができる。例えばこれは、洗浄水中で時間の経過につれて溶解して活性物質を放出する水溶性ポリマー中に、活性物質を被覆又はカプセル化することによって行うことができる。活性物質を制御放出性材料によって被覆することによって、クリーニングプロセス中のそれらの利用性のタイミングを制御して、相反的活性がクリーニングサイクル中の異なった時間で存在し、従って、互いに妨げないようにすることができる。クリーナーに加えて、本発明は、農業分野、エアケア(air care)及び水処理製品に於いて有用であろう。
【0007】
好ましい態様に於いて、本発明は、異なった時間で活性成分を放出するようにカプセル化されている活性成分を含んでなる、洗濯クリーニング組成物に関する。この組成物は、ペレット又は他の形状に、押し出し、成形することができる。このような形状は、粒子(例えばカップ若しくは他のデバイスによって測って取り出される)であってよく又は消費者による容易な使用のために予め計量された量(例えば洗濯物(load)当たりの特定のブロック数)からなっていてよい。本明細書中に使用される用語「粒子(particle)」は、固体、液体又はこれら2種の組合せ、例えばカプセル化液体を指すことができる。この用語はサイズによって限定されないが、用語「粒子」は、一般的に、約2mm、1mm又は0.5mmよりも小さいサイズを有するコンポーネントを指すであろう。これは、一般的に、約0.01mm又は0.05mmよりも大きいサイズを有するコンポーネントを指すであろう。更に、用語「粒子」は、コンポーネントが置かれている環境に依存しない。従って、粒子は、自由流動してよく、又は例えば押出機又は圧縮されたケーク若しくは錠剤中で固定されていてよい。
【0008】
本発明は、水相と組み合わせられたときに、異なった時に、水相の中に活性成分を放出することができるクリーニング組成物を提供する。本発明を決して限定することなく、僅かな遅延、適度の遅延及び長時間の遅延を指すことは便利である。本明細書中に使用されるとき、用語「僅かな遅延(slight delay)」は、便利に、活性物質の放出の前の短い遅延時間を指す。態様に於いて、短い遅延は、約2分間又はそれ以下、例えば約1分間、約30秒間、約15秒間の遅延時間又はこれらの時間によって定義される範囲、例えば約15秒間〜2分間を指すことができる。用語「適度の遅延(moderate delay)」は、関連サイクル(例えば洗浄サイクル)の中に充分に入るが、当該の活性物質が、関連材料(例えば洗浄される物品)との接触で顕著な時間を有するサイクルの終わりから充分に離れている時間を指すとして理解されるべきである。態様に於いて、適度の遅延は、約3分間又はそれ以上、例えば4、5、6若しくは7分間の遅延時間又はこれらの時間によって定義される範囲、例えば約3〜7分間を指すことができる。用語「長時間の遅延(extended delay)」は、適度の遅延よりも長く、なお関連サイクル(例えば洗浄サイクル)の長さよりも短い時間を指すと理解されるべきである。態様に於いて、長時間の遅延は、約8分間又はそれ以上、例えば10、12若しくは14分間の遅延時間又はこれらの時間によって定義される範囲、例えば約8〜14分間を指すことができる。
【0009】
好ましい態様に於いて、活性成分は、被覆された活性物質の放出が、水相と組み合わせられた後の予定量の時間の間遅延されるような、遅延放出皮膜と共に提供される。好ましい態様に於いて、本発明には、異なった遅延期間を有する2種又はそれ以上の被覆された活性成分が含まれる。
【0010】
用語「遅延期間(delay period)」は、一般的に、活性物質が放出される時間を指すと理解されるべきである。この用語は、適切な時間が到達したとき即座の迅速な放出を指すことができる。これはまた、一定のパーセントの活性物質が放出された時間を指すことができる。これに関して、本明細書中に記載したような活性物質の放出が、速い、遅い又はそれらの間のどこかであってよいこと及び本発明がこれらの態様の全てをカバーすることが理解されるべきである。一般的に、活性物質の放出は、瞬間のプロセスではない。むしろ、これは、よりしばしば、ゆっくり始まり、一般的に一定時間加速し、最終的にはゆっくり低下し、そして全ての活性物質が放出されたとき終わるであろう連続プロセスである。従って、用語「遅延期間」は、特定の時間に到達するまで活性物質が放出されないこと又は特定の時間に到達したとき活性物質の100%が放出されることを必ずしも意味しない(けれども、これらの態様は、本発明に含まれる)。本明細書中に使用されるとき、遅延期間又は放出時間に対する参照は、それまでに、活性物質の約30%、50%、60%、75%又は90%が媒体の中に放出される時間を指す。換言すると、遅延期間又は放出時間に対する参照は、その後に、活性物質の約10%、25%、40%、50%又は70%以下が媒体の中に放出される時間を指す。
【0011】
それぞれの活性成分についての遅延期間は、それぞれの特定の用途の必要性に基づいて選択することができる。多くの用途のための一般的ガイドラインを本明細書中に示すが、本発明はこれらの一般的ガイドラインに限定されない。
【0012】
一般的なこととして、本発明の一つの面には、洗剤組成物を取り扱うことに付随する潜在的危険を減少させることが含まれる。この面において、洗剤組成物の皮膚への被曝を減少させる方法及び/又は洗剤組成物の吸入を減少させる方法が提供される。これは、好ましくは、1種又はそれ以上の成分上に徐放性皮膜(この徐放性皮膜は放出に於ける僅かな遅延を与える)を設けることによって達成できる。放出に於ける僅かな遅延は、洗剤組成物中の活性物質への皮膚の被曝を減少又は除去することを助けることができる。
【0013】
僅かな遅延が与えられた活性物質は、任意の活性物質であってよく、好ましくは、迅速に放出される活性物質であることが望まれるが、皮膚との接触及び/又は吸入が、減少及び/又は最小化されることが望まれる活性物質であってよい。洗剤組成物が1種又はそれ以上のこのような活性物質を含む場合、1種、数種又は全部に、僅かに遅延する放出皮膜が設けられてよい。僅かな遅延を有利に与えることができる幾つかの活性物質には、界面活性剤、漂白活性剤、アルカノールアミン、金属炭酸塩、金属ケイ酸塩及びキレート化剤が含まれる。この面に於いて、任意の僅かな遅延は、活性物質に対する露出を減少するために有用であろう。これに関して、本明細書中に使用される用語「僅かな遅延」は、僅かである任意の遅延並びに例えば消費者が製品を使用する及び/又は取り扱うとき、活性物質への皮膚の被曝を減少又は除去するために十分な遅延を与える任意の遅延を意味する。好ましい面に於いて、全ての又は殆どの潜在的に危険な活性物質は、放出の際に少なくとも僅かな遅延を与えられる。一つの面に於いて、僅かな遅延は、例えば下記の時間、即ち2分間、1分間、30秒間若しくは15秒間よりも短く若しくはそれらの近傍又はこれらの時間の範囲内であってよい。
【0014】
或る種の活性物質(これらに限定されないが、界面活性剤、キレート化剤、アルカノールアミン及び炭酸塩又はケイ酸塩を含む)は、一般的に、水相、例えば洗浄水と組み合わさった後、直ちに又は僅かな遅延の後に、放出されるように望まれる。他の成分(これらに限定されないが、漂白剤及び布帛柔軟剤を含む)について、より長い遅延が有用であろう。物品がクリーニング成分に露出される時間を最大にするために、僅かな遅延の後に放出される界面活性剤を有することが一般的に望まれる。一つの面に於いて、界面活性剤放出時間は、約2分間、更に好ましくは約1分間、更に好ましくは約30秒間であってよい。
【0015】
濃厚漂白剤が物品に露出されるとき、物品に対する有害な影響、例えば着色に於ける過剰の除去又は劣化が存在し得る。これは、漂白剤を遅延放出形で与えることによって減少又は除去することができる。漂白剤は、特定の用途のために有利な任意の時点で、水相の中に放出させることができる。一つの面に於いて、漂白剤のための遅延放出は、好ましくは、洗濯機槽が、放出の前に実質的に満たせるために十分な時間を与える。好ましくは、漂白剤は、水相と組み合わさった後、少なくとも約3分間の適度の遅延を与えられる。更に好ましい放出時間には、約4、5、6又は7分間が含まれる。2種又はそれ以上の漂白剤を使用するとき、これらは、好ましくは、ほぼ同じ時間で放出されるが、異なった時間で放出してもよい。漂白活性剤は、一般的に、漂白剤よりも穏和であり、存在するとき、特定の用途のために任意の適切な時間に放出されることができる。一つの面に於いて、漂白活性剤は、直ちに、更に好ましくは僅かな遅延後に放出させることができる。所望により、漂白活性剤は、漂白剤の僅かに前、後又は漂白剤とほぼ同時に放出させることができる。従って、漂白剤が適度に遅延した放出を有するとき、漂白活性剤は、僅かな又は適度に遅延した放出で与えられてよい。漂白剤は乾燥状態でも漂白活性剤と反応することができるので、これらは、水相と組み合わせる前は、分離して保つことが好ましい。即ち漂白剤及び漂白活性剤は、それらの少なくとも一方の上の徐放性皮膜が、水相中に放出する前の相互作用を防止又は減少又は最小化するように、別個のビーズ又は顆粒で与えられることができる。好ましい面に於いて、漂白剤に付随する徐放性皮膜は、この2種の成分を分離するための機能をする。漂白剤及び漂白活性剤は、また、好ましくは、水相と組み合わさる前に相互作用を防止又は減少するための間のバリヤーを有して、同じビーズ又は顆粒で与えられることもできる。このようなバリヤーは、これらの成分を別々に保持するために適している任意のバリヤーであってよい。好ましい面に於いて、活性物質の何れか又は両方の上の、遅延放出皮膜、例えば僅かな遅延放出皮膜又は適度の遅延放出皮膜は、漂白剤を漂白活性剤から分離するためのバリヤーとして機能し得る。
【0016】
一般的に、酵素は、直ちに又は僅かな遅延の後に、好ましくは僅かな遅延の後に放出されるように望まれる。酵素は、一般的にカチオン的に安定化されるので、アニオン性成分との相互作用を防止又は減少することが好ましい。このような相互作用は、例えば洗剤製品の貯蔵寿命を短縮させ得る。従って、好ましい面に於いて、酵素は、アニオン性成分、例えばアニオン性界面活性剤から分離して維持される。好ましい面に於いて、これは、例えばこれらの成分の一方又は両方の種類を、被覆又はカプセル化することによって、酵素とアニオン性成分との間にバリヤーを設けることによってもたらされることができる。このようなバリヤーは、これらの成分を分離して保持するために適している任意のバリヤーであってもよい。好ましい面に於いて、活性物質の何れか又は両方の上の、遅延放出皮膜、例えば僅かな遅延放出皮膜又は適度の遅延放出皮膜は酵素をアニオン性活性物質から分離するためのバリヤーとして機能し得る。
【0017】
香料(fragrances)も、本発明内に使用するために意図される。香料又は芳香物質(perfume)が早すぎて放出すると、大部分が単純に洗い流される可能性がある。従って、芳香物質について、洗浄サイクルの終わりに、好ましくは長時間の遅延の後で放出されることが好ましい。香料は、任意の適切な時点で、好ましくは約8、10、12又は14分又はそれ以降で放出されることができる。
【0018】
本発明に於ける使用のために、例えば香料、増白剤又は他の活性物質の目標とされた配布(delivery)を与えるように機能し得るポリマー又は他の結合物質を含めることも意図される。この結合物質は、活性物質を処理される材料、例えば織物又は洗濯物に結合するように作用するであろう。目標とされた配布は、米国特許第7,053,034号明細書(その全部を参照して本明細書中に含める)で検討されている。好ましい態様に於いて、遅延放出皮膜と共に与えられた活性物質は、水溶性押出材料、好ましくは水溶性ホットメルト押出材料と組み合わせられ、次いで押し出されて予定の形状を形成する。押出物のための任意の形状又は構成、好ましくは、ビーズ、回転楕円体、ペレット、シート又はブロックを使用することができる。ブロックは、球、楕円体、円柱、プリズム又は直方体ブロックを含む、任意の所望の形状のものであってよい。
【0019】
任意の形式の被覆装置を使用することができる。薬学技術分野で使用されるような装置が好ましく、好ましくは流動床被覆装置、一般的なコーティングパン又は孔あきコーティングパンを含む。流動床システムに於いて、被覆されるべき材料は、典型的には、空気の上昇流によって流動化される。被覆溶液は、一般的に、典型的には空気カラムの頂部又は底部に配置されているスプレーノズルによって適用される。流動床コーターは、Glatt、Aeromatic-Fielder及びVector/Freundを含む種々のメーカーから入手可能である。例えばWurster(ボトムスプレー)流動床コーターに於いて、流れパターンは、仕切り板(partition)及びオリフィス板によって形成される。チャンバーの底部にあるスプレーノズルの近傍に於いて、空気は、一般的に円筒形のデバイスの底部中心から上方に付勢され、デバイスチャンバー内の一般的に円筒形の仕切り板は、仕切り板内のコアの流動化及び上方移動を起こす。このコアが、仕切り板の頂部を通って出るとき、これらは膨張帯域(ここで、空気速度は低下する)に入り、コアは仕切り板の外側に落ちる。コアは下降し、次いで、デバイスを通って循環を続ける。McGinity,James W.編、「薬物剤形のための水性ポリマーコーティング(Acqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms)」、Marcel Dekker,Inc.、ニューヨーク、1997及びGhebre-Sellassie編、「多微粒子経口医薬投与(Multiparticulate Oral Drug Delivery)」中のJonesら、「溶融材料を使用する多微粒子の被覆(Coating of Multiparticulates Using Molten Materials)」、第113−142頁(Marcel Dekker、1994)(これらの全部を参照して本明細書中に含める)参照。
【0020】
典型的な汎用的なコーティングパンは、一般的に、スタンド上に或る角度で装着された円い金属パンを含んでなり、このパンの口(mouth)は、水平から上方に角度が付けられているが、直立ではないようになっている。このパンが回転するとき、被覆溶液は、一般的にスプレー又はひしゃくによって、パン内の材料に適用される。孔あきパンシステムは、一般的に、水平に装着されたパン(又はドラム)を有し、このパンは、部分的に又は完全に、空気の流れを可能にするために孔があけられている。被覆溶液は、一般的に、典型的にはドラムの内側に配置されているノズルによって、被覆されるべき材料の上にスプレーされる。典型的な孔あきパン被覆装置には、Accela-Cota、Hi-Coater、Driacoater及びGlattコーターが含まれる。サンプル製造のための最も重要な運転条件は、スプレー速度及び温度であること並びにこの二つの間のバランスを達成することが重要であることが信じられる。スプレー速度が速すぎると、これは基体を濡れ過ぎさせ得る。この場合に、基体は、利用可能な時間内に乾燥できず、粘着性の皮膜になる。スプレー速度が遅すぎると、これは粗い表面を与え得るか及び/又は連続フィルムを形成することができない。温度に関して、温度が高すぎると、スプレーは早く乾燥しすぎ、連続皮膜を達成できない。温度が低すぎると、これは粘着性の皮膜になり得る。徐放性皮膜には、薬物用途で使用されるような任意の徐放性皮膜が含まれてもよい。本発明を制限することなく、この皮膜は、一般的に、ポリマー、しばしばセルロース又はセルロース誘導体である。
【0021】
セルロース系ポリマーは、基本的な糖構造の繰り返し単位を有する高分子量ポリマーである。このポリマー単位上のヒドロキシル基は、誘導されて、広範囲の種々の材料を提供することができる。メチルセルロース及びエチルセルロースは、セルロースポリマー上のヒドロキシル基の幾つかを、それぞれ、メチル基又はエチル基によってキャップすることによって作られる。これは、セルロースに対して比較して水素結合のレベルを低下させ、ポリマーの親水性を幾らか減らせる。ヒドロキシル基をキャップする代わりに、これらをエチレンオキシド又はプロピレンオキシドと反応させて、ヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースを得ることができる。最後に、アルコキシル化及びキャッピングの両方は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなポリマーを製造するために使用することができる。セルロース系ポリマーは、それらの種々の有用な特性及びそれらを一層環境的に優しくするそれらの生物起源の両方のために関心のあるものである。種々のセルロース性ポリマー及びその結果としてのそれらの特性は、それらを、遅延放出応用及び制御放出応用のために価値のあるものにする。限定されることなく、本発明に於いて使用することができる幾つかの水溶性セルロース性ポリマーには、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース(hypromellose)又はHPMC)及びメチルセルロース(MC)並びにこれらの2種又はそれ以上の組合せが含まれる。限定されることなく、本発明に於いて使用することができる幾つかの水不溶性セルロース性ポリマーには、セルロース、エチルセルロース(EC)及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC)並びにこれらの2種又はそれ以上の組合せが含まれる。
【0022】
セルロース及び/又はセルロース誘導体からなる皮膜を含む徐放性皮膜は、一般的に2種類の一つである。皮膜の1種類には、水不溶性材料及び水溶性細孔形成材料が含まれる。水中に可溶性ではない成分(component)は、この目的のために適したどのような成分であってもよく、一般的に、誘導されたセルロース、例えばエチルセルロースからなるであろう。水中に可溶性の成分は、一般的に、微粒子の形で存在し、一般的に、低分子量ポリマー(例えばポリエチレングリコール)、炭水化物、例えば多糖類(例えばラクトース)又は他の適切な材料(例えば塩化ナトリウム又は他の塩)からなるであろう。「水不溶性(water-insoluble)」によって、この材料が、水溶性材料を水性媒体中に溶解させるために要する時間よりも長い時間、水バリヤー特性を保有することを意味する。この種類の皮膜の一つの態様に於いて、細孔形成材料の溶解は、水性媒体の中への活性物質の放出を、水不溶性材料の溶解又は分解を行うよりも大きい程度まで制御する。このような皮膜は、例えば不溶性材料を溶媒中に溶解させ、微粒子水溶性材料と組み合わせることによって適用することができる。水溶性材料を溶解しない溶媒を選択すべきである。皮膜のレジリエンスを増加させるために、可塑剤を添加することができる。次いで、この被覆材料を、活性成分を含む成分の上に被覆する。例えば前記のものを含む任意の形式の被覆装置を使用することができる。
【0023】
被覆した材料を水性媒体に添加するとき、水溶性細孔形成材料は溶解し、それによって皮膜内に細孔(それを通って水が入ることができる)を形成する。水は、粒子内の材料を溶解し、この材料は、次いで、細孔を通って、外部の水性媒体の中に放出され得る。細孔形成材料の性質及び量を制御することによって、粒子内の活性成分が放出されるためにどれだけ長く要するかを制御することができる。皮膜の別の種類に於いて、この皮膜は、例えば洗濯サイクルの間に、水性媒体中でゆっくり溶解又は分解することができるポリマーである。溶解又は分解の速度は、ポリマーの分子量を制御することによって制御することができる。変性セルロースを使用するとき、溶解又は分解の速度は、また、置換基の性質又は程度を制御することによって制御することができる。例えばそれが脆すぎる場合に、皮膜材料のレジリエンスを改良するために、可塑剤を含有させることができる。
【0024】
この種類の皮膜の例として、被覆組成物は、主として徐放性を制御するために応答性であるポリマーを含む。好ましい面に於いて、このポリマーは、セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、好ましくはHPMCからなる。ポリマーの分子量及び置換度は、放出速度に影響を有し得る。例えば一般的規則として、より低い分子量は、他のパラメーター(例えば置換度、全被覆量等)が一定に保持されるとき、より速い放出に至る。一般的規則として、より厚いポリマー皮膜は、他のパラメーター(例えば置換度、ポリマー分子量等)が一定に保持されるとき、より低い速度の放出に至る。
【0025】
可塑剤を、徐放性皮膜中に含有させることができる。与えられた徐放性ポリマーのために適している任意の可塑剤、好ましくは選択された組成物の他の成分に対して有害でない可塑剤を使用することができる。1種の適切な可塑剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、好ましくはPEG400である。
【0026】
粒状材料を直接被覆することができる。任意的に、2種又はそれ以上の活性物質を、好ましくは被覆の前に混合することによって、一緒にし、一緒に粒状化することができる。任意的に、2種又はそれ以上の乾燥活性物質を、単純に混合し、次いで被覆する。活性物質は、また、一緒に湿式又は乾式で粒状化し、被覆の前に任意に篩い分けすることができる。活性物質が環境温度で液体であるとき、活性物質を乾燥キャリヤー材料上に被覆し、その後に遅延被覆を適用することが好ましい。任意的に、液体活性物質を、例えば固体徐放性膜によって取り囲まれた液体としてカプセル化することができる。幾つかの態様に於いて、このキャリヤー材料は、非活性物質、例えばノンパレイユ又はラクトースビードであってよい。幾つかの態様に於いて、このキャリヤー材料は、1種又はそれ以上の活性物質を含む、から本質的になる又はからなる顆粒の形態であってよい。
【0027】
皮膜の徐放性特性は、全ての方法で制御することができる。放出を制御するための一つの方法は、皮膜の厚さを制御することによるものである。選択された被覆材料のために、ポリマーレベル(即ち、皮膜厚さ)が、被覆された活性成分の放出速度に主な影響を有することが示された。例えばFord等、IJP,24:327-338及び339-350(これらを、それらの全部を参照して本明細書中に含める)参照。
【0028】
洗剤中に使用される任意の活性成分を、本発明に於いて使用することができる。選択される具体的な放出時間は、一般的に、使用する成分の組合せに依存し、クリーニング組成物が設計される特別の応用に依存して、特定の活性物質についても変えることができる。幾つかの一般的に使用される成分のクラスには、界面活性剤、キレート化剤、(モノエタノールアミン)、(炭酸ナトリウム)、漂白剤、漂白活性剤、酵素及び布帛柔軟剤が含まれる。
【0029】
非活性成分には、キャリヤー材料、着色剤及び芳香物質が含まれる。或る種の活性成分、例えば室温で液体であるものについて、被覆する前に最初に活性物質をキャリヤーと組み合わせることが有利であろう。このキャリヤー自体は、非活性成分、例えばラクトースノンパレイユからなっていてよい。
【0030】
この界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤又は2種若しくはそれ以上の界面活性剤の混合物であってよい。好ましい界面活性剤混合物には、任意に、少なくとも1種の両性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤と組み合わせられた、1種又はそれ以上のアニオン性界面活性剤が含まれる。本発明に於いて、任意のアニオン性界面活性剤を使用することができる。アニオン性界面活性剤は、単独で又は組合せで使用することができる。幾つかの代表的な適切なアニオン性界面活性剤には、アルキルベンゼンスルホネート、硫酸アルキルエトキシレート、硫酸アルキルエーテル、硫酸脂肪アルコール、α−オレフィンスルホネート、カルボン酸アルキルアルコキシ、スルホン酸ジフェニル、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム及びこれらの2種又はそれ以上の組合せが含まれる。本発明に於いて、任意の非イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤を使用することができる。幾つかの代表的な適切な非イオン性界面活性剤には、アルコールエトキシレート、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンエステル、アルキルポリグリコシド、ソルビトールエステル、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、トリアルカノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン化ひまし油、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、トリアルキルアミンオキシド及びこれらの2種又はそれ以上の組合せが含まれる。幾つかの代表的な両性界面活性剤には、スルホベタイン、グリシネート、プロピオネート、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボキシレート、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビスポリオキシエチレンアンモニウムサルフェートベタイン、2−アルキル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン及びこれらの混合物が含まれる。カチオン性界面活性剤も、本発明の組成物中に含有させることができる。しかしながら、それらの弱いクリーニング活性のために、カチオン性界面活性剤は好ましくない。アニオン性界面活性剤を含む組成物中に含有させる場合、1種の界面活性剤、例えばカチオン性界面活性剤は、好ましくはアニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤との間の相互作用を減少させるために、適度の遅延放出で与えられるであろう。幾つかの代表的な適切なカチオン性界面活性剤には、第四級アンモニウム塩、例えば第一級−第三級脂肪族アミン塩、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N−ジアルキルモルホリニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪族アミド塩、ポリエチレンポリアミン脂肪族アミドの尿素縮合物の塩及びポリエチレンポリアミン脂肪族アミドの尿素縮合物の第四級アンモニウム塩並びにこれらの2種又はそれ以上の組合せが含まれる。
【0031】
界面活性剤の任意の適切な量を本発明に於いて使用することができ、これは、当業者によって決定することができる。本発明の組成物中の界面活性剤の好ましい量には、洗剤組成物中の活性物質の全重量を基準にする重量%で、約2〜約90重量%、更に好ましくは約25〜約40重量%が含まれる。
【0032】
キレート化剤を、本発明中に含有させることができる。キレート化剤は、好ましくは、僅かな遅延放出で与えられる。任意のキレート化剤を使用することができる。使用するとき、キレート化剤には、これらに限定されないが、EDTA塩、クエン酸、NTA、ヒドロキシエチルイミド二酢酸二ナトリウム及びこれらの2種又はそれ以上の組合せが含まれる。
【0033】
任意の漂白剤を使用することができる。本発明の洗剤組成物中で用途を見出すことができる幾つかの漂白剤及び活性剤は、米国特許第4,412,934号明細書及び米国特許第4,483,781号明細書(これらの両方を、それらの全部を参照して本明細書中に含める)に記載されている。適切な漂白化合物には、過ホウ酸塩(例えば過ホウ酸ナトリウム)、過硫酸塩、過炭酸塩(例えば過炭酸ナトリウム)及びこれらの2種又はそれ以上の組合せが含まれる。漂白剤は、また、活性剤、例えばテトラアセチル−エチレンジアミン(TAED)、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(SNOBS)、ジペルオキシドデカンジオン酸(DPDDA)等及びこれらの2種又はそれ以上の組合せとの組合せで使用することができる。
【0034】
所望により、本発明のクリーニング組成物には、例えば蛋白質系、炭水化物系又はトリグリセリド系汚染の除去を含む種々の洗濯目的の何れか及びレフジー(refugee)染料移動の防止のため及び布回復のための酵素が含有されてよい。これらは、どのような適切な起源、例えば、植物、動物、細菌、真菌及びイースト起源のものであってもよい。使用することができる酵素には、プロテアーゼ(例えばPurafect 4000E、Properase 4000E、Esperase、Alcalase、Durazym、Savinase、Maxatase、Maxacal、Properase、Maxapem)、アミラーゼ、例えばα−及び/又はβ−アミラーゼ(例えばPurastar ST 6000E、Purastar OxAm 4000E、Purafect Ox Am、Termamyl、Ban、Fungamyl、Duramyl、Natalase)、セルラーゼ(例えばPuradax HA 400E、Carezyme、Celluzyme)、リパーゼ(例えばAmano-P、Ml Lipase、Lipomax、Lipolase及びLipolase Ultra)、カチナーゼ(cutinase)(例えばNovozymesから入手可能)、ペクチナーゼ(例えばPectaway(登録商標)(Novozymes))及びペルオキシダーゼ(例えばSigma-Aldrichから入手可能)並びにこれらの混合物及び組合せが含まれる。他の種類の酵素も含有されてよい。酵素は、特別の目的のために必要な任意の量で使用することができる。一般的に、酵素は、活性物質の約0.0001重量%〜約2重量%の純粋の酵素の量で存在してよい。
【0035】
布帛柔軟剤も本発明の組成物及び方法中に含有させることができる。布帛柔軟剤の有効性を増加させるために、これは好ましくは、長時間の遅延の後で放出されるであろうと信じられる。更に、布帛柔軟剤は、性質が一般的にカチオン性であるので、任意のアニオン性界面活性剤が放出される後まで十分に、その放出を遅延させることが好ましい。
【0036】
これらに限定されないが、洗剤ビルダー、研磨剤、pH調節剤、増白剤、光沢剤、水軟化剤、pH調節剤又は充填剤を含む、他の活性成分もまた、本発明の組成物及び方法中に使用することができる。幾つかの代表的な洗剤ビルダーには、ホウ酸塩、リン酸塩(例えばリン酸三ナトリウム)、ポリリン酸塩、ケイ酸塩、炭酸ナトリウムカリウム及びこれらの2種又はそれ以上の組合せが含まれる。幾つかの代表的な研磨剤には、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム及びこれらの2種又はそれ以上の組合せ(これらはpH調節活性も有する)が含まれる。幾つかの代表的なpH調節剤には、アルカノールアミン、炭酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩(これらの幾つか(例えばアルカノールアミン)は、また、クリーニング活性を有する)及びこれらの2種又はそれ以上の組合せが含まれる。
【0037】
幾つかの態様に於いて、本発明の組成物は、押出可能である、好ましくはホットメルト押出可能である形で、与えることができる。用語「押出可能」によって、この組成物が、押出物を形成するための押出装置によって加工できることを意味する。押出可能な組成物を形成するために、押出キャリヤー材料を含有させることが一般的に有利である。ホットメルト押出キャリヤーは、環境温度で十分に硬いが、上昇した熱又は圧力下で変形又は半液体状態を形成することが可能であるものである。所望により、組成物は、例えばこれをホットメルト押出可能にするために又は押し出された製品の特性を改良するために、可塑剤を含有することができる。本発明の組成物に於いて、押出キャリヤー材料は、徐放性皮膜の一部であってよく又は別個の成分として添加することができる。徐放性皮膜が押出キャリヤー材料を含む場合でも、所望により追加の押出キャリヤー材料を添加することができる。
【0038】
押出、好ましくはホットメルト押出で使用するために適している任意のキャリヤーを使用することができる。押出キャリヤーは、好ましくは水相との組合せで、含有されている粒子を速やかに自由にするように、十分に水溶性である。その代わりに、押出キャリヤーを使用するとき、例えばクリーニング組成物が押出物の形であるか又は押し出されるべきとき、活性物質、好ましくは僅かに遅延放出の活性物質は、特別の形ではなく押出キャリヤー中に単純に分散させることができる。好ましくは、活性物質(粒子の形であるか又はそうではない)は、水相(例えば洗浄水)と組み合わさった後1分間未満、更に好ましくは30秒未満に、(粒子からの活性物質の放出とは対照的に)押出物から実質的に自由にされるであろう。好ましい態様に於いて、粒子は、水相、例えば洗浄水と接触して直ちに(例えば5秒未満)押出物から自由にされ始めるであろう。
【0039】
米国特許第6,488,963号明細書(その開示を、その全部を参照して本明細書中に含める)に開示されているように、幾つかの適切なホットメルト押出キャリヤーには、誘導されたセルロース、ポリ(メタクリレート)誘導体、ポリ(エチレン−共−酢酸ビニル)、ポリ(エチレン)、ポリ(酢酸ビニル−共−メタクリル酸)、エポキシ樹脂、カプロラクトン及びポリ(エチレンオキシド)が含まれる。ホットメルト押出のための適切な材料、方法及び装置は、また、国際特許出願公開第WO2007/001451号(US第60/626,400号及びUS第60/681,279号の優先権を請求するPCT/US2005/040535号に基づく)明細書(これらの4件の全てを、それらの全部を参照して本明細書中に含める)中に開示されている。
【0040】
調節することができる押出プロセスに於ける幾つかのパラメーターが存在する。或るものは、加工に影響を与え、或るものは最終製品の特性に影響を与え、そして或るものは、押し出される組成物の特性によって影響を受けるであろう。或るものは、また、使用する押出装置の型及びモデルによって決定される。これらのパラメーターには、供給速度、運転温度、押出機スクリューRPM、滞留時間、ダイ形状、加熱ゾーン長さ並びに押出機トルク及び/又は圧力が含まれると信じられる。
【0041】
更に一般的に、本発明の製品の特性は、特定の成分及びそれらの純度に依存し得ることが理解されるべきでる。特に、セルロース性ポリマーを含むポリマーの特性は、幾つかの変数に従って変化し得ることが理解されるべきである。このような変数には、これらに限定されないが、ポリマー種類及び置換度、ポリマー濃度、ポリマー分子量並びにポリマー粒子サイズが含まれる。更に、ビーズ又はペレットの形状及びサイズ並びに粒子硬度は、本発明に従った組成物の特性に影響を与え得る。
【0042】
実施に於いて、バッチ間で均一な予測可能な特性を有する製品を製造することが一般的に好ましい。特性、例えば徐放性特性の何れか特定のセットを得るために、パラメーターの多くの異なった組合せを使用できると信じられる。従って、一般的に、前のパラグラフで検討されたようなパラメーターにわたって一貫性を維持することが適切であると信じられる。
【実施例】
【0043】
実施例1:界面活性剤パッケージ
界面活性剤パッケージを含む材料を、洗濯サイクル内で僅かな遅延後に放出されるように設計した。表1に示すような3種の液体材料の組合せを使用した。
【0044】
【表1】

【0045】
これらの材料を、固体基体(substrate)に適用し、その後HPMCによって被覆した。Paularからのノンパレイユ(糖球−30〜35メッシュ)を、基体として使用した。液体を一緒に混合し、希釈又は他の材料の添加無しに、「そのまま(as-is)」スプレーした。目標は、ノンパレイユ上のこの材料の10重量%増加であった。被覆条件を表4に示す。
【0046】
全てのカプセル化されたサンプルを、Wursterインサートを有するUni−Glatt流動床コーターを使用して製造した。被覆液は底から噴出し、一定の流動パターンを維持する。使用した溶液の重量をモニターすることによって、適用された量を制御することができ、それによって皮膜の平均厚さを制御することができる。使用したパラメーターを、下記の実施例のそれぞれに於いて示す。配合物を、(他の方法で特定しない限り)下記の条件下で、モデル7243Tergotometerを使用し、ASTM方法番号D−4265を使用して、標準汚染(草、使用済みモーター油、コーヒー及びダスト皮脂を含む)上でのクリーニング効能について試験した。Tergotometerバケット当たり合計8個の見本切れ(swatche)を使用した。これらの中で、汚染当たり2個を使用し、2個のきれいなバルキー加工見本切れを使用した。Tergotometerは、室温で及び50℃で、100rpmで運転した。洗浄サイクルは10分間であり、濯ぎサイクルは2分間であった。洗浄水及び濯ぎ水の体積は、それぞれについて1リットルであった。使用した水は、6g/g水硬度を有していた。見本切れを、BYK−Gardner TCS,Color Sphere分光光度計を使用して評価した。洗浄力パーセントは、式:
%Det.=[(RS−RC)/(RS−RO)]×100
(式中、RS=汚した反射率、RC=きれいにした反射率及びRO=白色見本切れの元の反射率)
を使用して計算した。実施例1〜4について、異なった活性物質の放出の指定順序を表2に示し、被覆材料を表3に示す。
【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
それぞれの運転のための被覆条件を、それぞれのセクションに示す。被覆適用を停止した後、30分間流動化させながら、流動床内の製品を乾燥させた。
【0050】
【表4】

【0051】
30gの液体をスプレーした後、ビーズを集め、そうして運転を停止した。全重量増加は5%であった。僅かな遅延後に放出するように指定された炭酸ナトリウムは粉末形であり、そうしてこれを、被覆されたノンパレイユと共に混入し、その後HPMCで被覆した。炭酸ナトリウム40%−界面活性剤/キレート化剤/モノエタノールアミン60%の比を使用した。被覆されたビーズは5%活性物質であり、それで、被覆されたビーズ500gは、活性物質25gに等しい。活性物質25gは、全活性物質の約60%であろう。従って、全活性物質は41.6gであり、必要な炭酸ナトリウム16.6gになった。次いで、HPMC E6及びPEG400の皮膜を、界面活性剤−被覆されたノンパレイユ−炭酸ナトリウム混合物の上に適用して、所望の遅延放出を得た。使用した被覆溶液を、表5に示す。
【0052】
【表5】

【0053】
青食品着色剤(1.1g)及び緑食品着色剤(1.1g)を溶液に添加して、皮膜均一性を決定することを助けた。使用した被覆条件を、表6に示す。
【0054】
【表6】

【0055】
2%のHPMC E6/PEG400重量増加が、材料に適用された。
【0056】
実施例2:酵素被覆
この態様に於ける酵素は、僅かな遅延後に放出するように指定した。酵素及び界面活性剤は、洗濯サイクル中に使用する前に、分離する必要がある。2回の酵素被覆試行を、それぞれ異なった酵素組合せを使用して運転した。第一試行のために使用した酵素を、表7に示す。これらの材料は、全て、GENENCOR International,Inc.から得られた。全部で3種類の材料を一緒に混合し、同時に被覆した。
【0057】
【表7】

【0058】
必要な時間で放出するために酵素について、2%HPMC重量増加が望まれた。使用した被覆配合物を、表8に示す。
【0059】
【表8】

【0060】
皮膜均一性を見るために、緑食品着色剤を添加した。この試行のための運転条件を、表9に示す。
【0061】
【表9】

【0062】
コーター内のWursterインサートの内側に、幾つかの粒子凝集塊が存在した。使用した基体の量(262g)は、使用した流動床のサイズのために低い。この粒子は、被覆溶液(これは粒子を一緒に接着し得る)によって濡れすぎたであろう。
【0063】
第二酵素被覆運転で、表10に示す2種の異なった酵素の組合せを使用した。
【0064】
【表10】

【0065】
表8に示すのと同じ被覆配合物を使用した。1バッチの被覆物を作り、両方の被覆試行のために使用した。被覆条件を表11に示す。
【0066】
【表11】

【0067】
運転が完結した後に、コーターのWursterインサート内に、僅かな粒子凝集塊が存在した。
【0068】
実施例3:漂白剤被覆
本実施例に於ける漂白剤は、過炭酸ナトリウムであり、これは粒状材料であり、それで、被覆物を、材料に直接適用した。過炭酸ナトリウムは、5分後に、即ち、適度の遅延で洗濯サイクル中で放出するように指定された。使用した被覆配合物を、表12に示す。
【0069】
【表12】

【0070】
青食品着色剤(2.02g)を、表12中の配合物に添加して、過炭酸ナトリウム粒子上の皮膜均一性を決定することを助けた。この放出時間を達成するために、HPMC E6の5重量%増加が望まれた。使用した被覆条件を、表13に示す。
【0071】
【表13】

【0072】
コーターに移動するか又はフィルター内に捕捉されたとき、幾らかの過炭酸ナトリウムが失われたかもしれない。5%のHPMC E6重量増加が近似している。
【0073】
実施例4:漂白活性剤被覆
漂白活性剤、Warwick B−610(テトラアセチルエチレンジアミン)は、洗濯サイクル中で5分後に放出するように指定した。漂白活性剤は、洗濯サイクル中で使用する前の相互作用を減少又は回避するために、漂白剤から分離された。使用した被覆配合物を、表14に示す。
【0074】
【表14】

【0075】
赤食品着色剤(2.0g)を、表14中の配合物に添加して、漂白活性剤上の皮膜均一性を決定することを助けた。5分後に漂白活性剤を放出するために、HPMC E6の5重量%増加が望まれた。この被覆条件を、表15に示す。
【0076】
【表15】

【0077】
或る量の製品がフィルターバッグ内に捕捉され、それで実際の重量増加は5%ではないであろう。
【0078】
実施例5:芳香物質被覆
長時間の遅延放出皮膜を、洗濯配合物中に使用した芳香物質(香料)の上に設けた。芳香物質は、12分後に洗濯サイクルの中に放出するように指定された。この芳香物質は液状であり、それで、第一工程は、固体基体の上に液体を被覆することであった。Paularからのノンパレイユ(糖球−30〜35メッシュ)を、基体として使用した。「野外」香りの芳香物質を、如何なる希釈又は他の添加した材料も無しに、「そのまま」ノンパレイユの上にスプレーした。被覆条件を表16に示す。
【0079】
【表16】

【0080】
芳香物質の2重量%増加をノンパレイユ基体の上に適用した。入口空気温度は、芳香物質が基体に適用される前のその蒸発を回避するために、HPMC被覆試行よりも低く設定した。次の工程は、放出を遅延させるために、芳香物質被覆したノンパレイユの上にHPMC E6皮膜を適用することであった。使用した被覆配合物を、表17に示す。
【0081】
【表17】

【0082】
皮膜の均一性を決定することを助けるために、1.1gの青食品着色剤及び1.1gの赤食品着色剤を、被覆溶液に添加した。この被覆運転条件を、表18に示す。
【0083】
【表18】

【0084】
445gの溶液を適用した後、流動床内の製品は動きを止めた。ポンプを切り、この材料を、流動床内で動かせながら乾燥させた。スプレーを再び始動させ、次いで、合計477gの溶液が適用された後、スプレーを止めた。5分間の乾燥時間の後、ポンプを再び始動させた。合計505gの溶液を適用した後、ポンプを更に5分間止めた。ポンプを再始動し、合計533gの溶液を適用した。この時点で運転を止め、実際の合計重量増加は8%であった。
【0085】
実施例6:クリーニング有効性
実施例1〜5のそれぞれのカプセル入り活性物質を、Tergotometerで試験して、室温及び50℃で、使用済みモーター油、ダスト皮脂、草及びコーヒーを除去する際のその有効性を測定した(図1〜4)。それぞれの活性物質は、洗浄水の0.5重量%の活性物質の添加速度で使用した。市販の製品TIDE(登録商標)を、試験性能のためのベンチマークとして使用した。活性物質のこの個々の試験は、カプセル化が、活性物質のクリーニング活性を破壊しないことを示している。この活性物質は明らかに放出され、時間内に放出されて、汚染を、変化する程度まで除去する。
【0086】
本発明は、本明細書中で具体的に開示され、例示された態様に限定されないことが理解される。本発明の種々の修正が、当業者に明らかであろう。このような変化及び修正は、付属の請求項の範囲から逸脱することなく行うことができる。
【0087】
更に、それぞれ列挙した範囲は、範囲及びその中に含まれる特定の数値の全ての組合せ及び下位の組合せを含む。更に、本明細書中に引用し、記載したそれぞれの特許、特許出願及び刊行物の開示を、それらの全部を参照して本明細書中に含める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの粒子が少なくとも1種の活性試薬を含む、少なくとも2種の粒子を含んでなるクリーニング組成物であって、該少なくとも2種の粒子が、このクリーニング組成物が水相と組み合わせられたときに、異なった遅延放出時間で活性試薬を放出するように適合され、該粒子が水溶性セルロース皮膜によってカプセル化されているクリーニング組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の粒子がi)少なくとも1種の界面活性剤を含み、そしてii)前記水相と組み合わされたときに僅かな遅延を与える放出時間を有する請求項1に記載のクリーニング組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の粒子がi)少なくとも1種の漂白剤を含み、そしてii)前記水相と組み合わされたときに適度の遅延を与える放出時間を有する請求項1に記載のクリーニング組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の漂白活性剤を含む請求項3に記載のクリーニング組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の粒子がi)少なくとも1種の芳香物質又は少なくとも1種の布帛柔軟剤を含み、そしてii)前記水相と組み合わされたときに長時間の遅延を与える放出時間を有する請求項1に記載のクリーニング組成物。
【請求項6】
前記クリーニング組成物がホットメルト押出される請求項1に記載のクリーニング組成物。
【請求項7】
それぞれコアを有する第一の粒子及び第二の粒子を製造することを含んでなる請求項1に記載のクリーニング組成物の製造方法であって、それぞれのコアがセルロース性ポリマーの異なった量又は異なった厚さで被覆されており、これらの粒子が、該クリーニング組成物が水相と組み合わされたときに、異なった放出時間で前記活性試薬を放出するように適合されているクリーニング組成物の製造方法。
【請求項8】
前記クリーニング組成物をホットメルト押出して、押し出されたクリーニング組成物を製造することを更に含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記粒子が異なったサイズのものであることをもたらすことを更に含む請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−538122(P2010−538122A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523083(P2010−523083)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/074284
【国際公開番号】WO2009/032615
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】