説明

クリーニング装置及び画像形成装置

【課題】 像担持体に均一にキャリア液を塗布することが可能なクリーニング装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】 塗布液を吐出する吐出部82と、吐出部82から吐出された塗布液を第1の方向に移動させると共に貯留する貯留部Sと、貯留部Sに貯留された塗布液を吸収し、第1の方向と異なる第2の方向に移動させる搬送部71と、搬送部71に当接し、搬送部71から移動された塗布液が塗布されるクリーニングローラー47と、を有することを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア液とトナーを含む液体現像剤を用いたクリーニング装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体現像剤を使用する画像形成装置では、像担持体のクリーニングを行う際に、像担持体に液体を塗布することでクリーニング性を向上させる技術が開示されている(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−206381号公報
【特許文献2】特開2007−025028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された画像形成装置は、キャリア液搬送手段の上流側と下流側で塗布量にバラツキが発生しやすく、下流側ではキャリア液が供給されないおそれがあった。下流側でのキャリア液の供給不足を回避するために、多量のキャリア液を供給すると、像担持体に液体を塗布する塗布ローラーに的確に供給されずに清浄なまま廃棄される無駄なキャリア液が増加してしまう。
【0005】
また、特許文献2にはキャリア液の具体的な供給方法は記載されていない。
【0006】
本発明は、像担持体に均一にキャリア液を塗布することが可能なクリーニング装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるクリーニング装置は、塗布液を吐出する吐出部と、前記吐出部から吐出された塗布液を第1の方向に移動させると共に貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された塗布液を吸収し、前記第1の方向と異なる第2の方向に移動させる搬送部と、前記搬送部に当接し、前記搬送部から移動された塗布液が塗布されるクリーニングローラーと、を有することを特徴とする。
【0008】
また、前記搬送部は、前記貯留部に貯留された塗布液を吸収し、前記第1の方向に拡散させる拡散部材を有する。
【0009】
また、前記搬送部は、前記貯留部に貯留された塗布液を吸収し、前記第2の方向に移動させる第1搬送部材と、前記第1搬送部材よりも塗布液の吸収率が少なく、前記クリーニングローラーに当接して前記第1搬送部材で移動された塗布液を塗布する第2搬送部材と、を有する。
【0010】
また、前記搬送部は、前記第1搬送部材と前記第2搬送部材で形成された第2貯留部を有する。
【0011】
また、前記クリーニングローラーに当接し前記搬送部により塗布された塗布液を、前記第1の方向に拡散させる拡散ローラーを有する。
【0012】
また、前記貯留部の前記第1の方向の長さは、前記クリーニングローラーの前記第1の方向の長さと同じか、又は前記クリーニングローラーの前記第1の方向の長さよりも長い。
【0013】
さらに、本発明にかかる画像形成装置は、潜像を担持する潜像担持体と、前記潜像担持体を帯電する帯電部と、前記帯電部で帯電された前記潜像担持体を露光して前記潜像を形成する露光部と、前記潜像担持体に形成された前記潜像をトナー及びキャリア液を含む液体現像剤で現像する現像部と、前記潜像担持体に現像された像が転写される像担持体と、塗布液を吐出する吐出部、前記吐出部から吐出された塗布液を第1の方向に移動させると共に貯留する貯留部、前記貯留部に貯留された塗布液を吸収し、前記第1の方向と異なる第2の方向に移動させる搬送部、及び前記搬送部に当接して前記搬送部から移動された塗布液が塗布されるクリーニングローラーを備え、前記像担持体をクリーニングするクリーニング部と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、前記クリーニングローラーによりクリーニングされた前記像担持体に当接してクリーニングする像担持体クリーニングブレードと、前記像担持体クリーニングブレードで掻き取られた液を回収し、回収された液を前記吐出部に搬送する搬送経路を有し、前記搬送経路で搬送された回収液を前記塗布液として前記吐出部から吐出させる。
【0015】
本発明のクリーニング装置によれば、貯留部にキャリア液を一時的に貯留することで、塗布部から貯留部に供給される塗布液を第1の方向に対して一定のレベリングに拡散させることが可能となる。そして、搬送部を配設し塗布液を吸収しながら移動させることで、第1の方向に対してさらに十分に拡散させることが可能となる。また、搬送部をクリーニングローラーに当接させることで、塗布液をクリーニングローラーの軸方向に対して一様に塗布することが可能となる。
【0016】
また、搬送部に拡散部材を配設したことで、第1の方向に対してさらに拡散させることが可能となる。
【0017】
また、第1搬送部材及び第2搬送部材を配設すること、及び/又は第1貯留部及び第2貯留部を形成することで、塗布液を第1の方向に対してさらに一定のレベリングに拡散させることが可能となる。第2搬送部材をクリーニングローラーに当接させることで、塗布液をクリーニングローラーの第1の方向に対して一様に塗布することが可能となる。
【0018】
また、クリーニングローラーに当接し搬送部が塗布した塗布液を第1の方向に拡散させる拡散ローラーを有することで、塗布液の第1の方向のバラツキをさらに低減することが可能となる。
【0019】
また、貯留部の第1の方向の長さは、クリーニングローラーの第1の方向の長さと同じか、又はクリーニングローラーの第1の方向の長さよりも長いので、クリーニングローラーの第1の方向全域に塗布液を供給し、クリーニングローラーと転写ベルトとのニップ部全域にキャリア液を介在させることが可能となる。したがって、クリーニングローラーと転写ベルトの摩擦係数が小さくなり、ベルト駆動ローラーの駆動トルクを低減することが可能となる。また、転写ベルトへの塗布液の供給幅をクリーニングローラーで決定することが可能となり、塗布液の供給幅を容易に管理することが可能となる。
【0020】
さらに本発明にかかる画像形成装置によれば、塗布液を回収し循環させて再利用することが可能となり、新しい塗布液を節約することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】画像形成装置の実施形態を示す図である。
【図2】第1実施形態の転写ベルトクリーニング部を示す図を示す図である。
【図3】図2の矢印Aから見た転写ベルトクリーニング部を示す図である。
【図4】第2実施形態の転写ベルトクリーニング部を示す図を示す図である。
【図5】図4の矢印Bから見た転写ベルトクリーニング部を示す図である。
【図6】第3実施形態の転写ベルトクリーニング部を示す図を示す図である。
【図7】第4実施形態の転写ベルトクリーニング部を示す図を示す図である。
【図8】第5実施形態の転写ベルトクリーニング部を示す図を示す図である。
【図9】第6実施形態の転写ベルトクリーニング部を示す図を示す図である。
【図10】第7実施形態の転写ベルトクリーニング部を示す図を示す図である。
【図11】第7実施形態の濾過部を示す図である。
【図12】キャリア液の循環を制御する制御部101のブロック図である。
【図13】キャリア液循環制御のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。画像形成装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)からなる各色の液体現像剤により、潜像担持体としての感光体10Y,10M,10C,10Kに形成された静電潜像を、現像部としての現像装置30Y,30M,30C,30Kが現像し、一次転写部50、像担持体としての中間転写ベルト40を経て、二次転写部60において転写材に転写することで画像を形成するものである。なお、各色Y、M、C、Kに対応する感光体10Y,10M,10C,10Kや現像装置30Y,30M,30C,30K等の部材の配置順は、図1に示す例に限定されることはなく、任意に設定することができる。
【0024】
感光体周辺部は、感光体10Y,10M,10C,10Kの外周の回転方向に沿って、帯電部としてのコロナ帯電器11Y,11M,11C,11Kを基準として、露光部としての露光ユニット12Y,12M,12C,12K、現像装置30Y,30M,30C,30Kの現像ローラー20Y,20M,20C,20K、スクイーズ装置、一次転写部50Y,50M,50C,50K、感光体クリーニングローラー17Y,17M,17C,17K及び感光体クリーニングブレード19Y,19M,19C,19Kが配置されている。なお、画像形成プロセスは、コロナ帯電器11Y,11M,11C,11Kから感光体クリーニングブレード19Y,19M,19C,19Kの順に、より前段に配置される構成は、後段に配置される構成より上流にあるものと定義する。
【0025】
感光体10Y,10M,10C,10Kは、外周面にアモルファスシリコン感光体などの感光層が形成された円筒状の部材からなる感光体ドラムであり、図1において、時計回りの方向に回転する。
【0026】
まず、感光体10Y,10M,10C,10Kの表面は、現像ローラー20Y,20M,20C,20Kとのニップ部より回転方向の上流側で、図示しない電源装置から電圧が印加されたコロナ帯電器11Y,11M,11C,11Kにより帯電する。コロナ帯電器11Y,11M,11C,11Kによって帯電した感光体10Y,10M,10C,10Kの表面は、露光ユニット12Y,12M,12C,12Kにより光を照射され、潜像を形成する。感光体10Y,10M,10C,10Kの潜像は、現像装置30Y,30M,30C,30Kにより現像される。
【0027】
現像装置30Y,30M,30C,30Kは、液体現像剤を担持する現像ローラー20Y,20M,20C,20Kと、液体現像剤を現像ローラー20Y,20M,20C,20Kに塗布するための塗布ローラーである現像剤供給部材としてのアニロックスローラー32Y,32M,32C,32Kと、現像ローラー20Y,20M,20C,20Kに塗布する液体現像剤量を所定量に規制する規制ブレード33Y,33M,33C,33Kと、液体現像剤を攪拌、搬送しつつアニロックスローラー32Y,32M,32C,32Kに供給するオーガ34Y,34M,34C,34Kと、現像ローラー20Y,20M,20C,20Kに担持された液体現像剤をコンパクション状態にするコンパクションコロナ発生器22Y,22M,22C,22Kと、現像ローラー20Y,20M,20C,20Kのクリーニングを行う現像ローラークリーニングブレード21Y,21M,21C,21Kと、キャリア内にトナーを概略重量比20%程度に分散した状態の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器31Y,31M,31C,31Kとを有する。
【0028】
現像剤容器31Y,31M,31C,31Kに収容されている液体現像剤は、従来一般的に使用されているIsopar(商標:エクソン)をキャリア液とした低濃度(1〜3wt%程度)かつ低粘度の、常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤である。すなわち、本発明における液体現像剤は、熱可塑性樹脂中へ顔料等の着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約15〜25%とした高粘度(HAAKE RheoStress RS600を用いて、25℃の時のせん断速度が1000(1/s)のときの粘弾性が30〜300mPa・s程度)の液体現像剤である。
【0029】
感光体10Y,10M,10C,10Kと現像ローラー20Y,20M,20C,20Kとのニップ部より感光体10Y,10M,10C,10Kの回転方向の下流側にはスクイーズ装置が配置される。スクイーズ装置は、感光体10Y,10M,10C,10Kに対向して感光体10Y,10M,10C,10Kに現像されたトナー像の余剰キャリア液を回収するものである。このスクイーズ装置は、感光体10Y,10M,10C,10Kに摺接して回転する弾性ローラー部材から成る第1スクイーズローラー13Y,13M,13C,13K、及び第1スクイーズローラー13Y,13M,13C,13Kをクリーニングする第1スクイーズローラークリーニングブレード14Y,14M,14C,14K、並びに感光体10Y,10M,10C,10Kに摺接して回転する弾性ローラー部材から成る第2スクイーズローラー15Y,15M,15C,15K、及び第2スクイーズローラー15Y,15M,15C,15Kをクリーニングする第2スクイーズローラークリーニングブレード16Y,16M,16C,16Kから構成される。スクイーズ装置は、感光体10Y,10M,10C,10Kに現像されたトナー像から余剰なキャリア液及び本来不要なカブリトナーを回収し、トナー像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。なお、第1スクイーズローラー13Y,13M,13C,13K及び第2スクイーズローラー15Y,15M,15C,15Kには、所定のバイアス電圧が印加されている。
【0030】
スクイーズ装置を経た感光体10Y,10M,10C,10K表面は、一次転写部50Y,50M,50C,50Kに進入する。一次転写部50Y,50M,50C,50Kは、感光体10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像を、感光体10Y,10M,10C,10Kと一次転写ローラー51Y,51M,51C,51Kとのニップ部において、中間転写ベルト40に転写する部分である。
【0031】
一次転写部50Y,50M,50C,50Kを経た感光体10Y,10M,10C,10K表面は、感光体クリーニングローラー16Y,16M,16C,16Kに当接する。感光体クリーニングローラー17Y,17M,17C,17Kは、感光体10Y,10M,10C,10Kに当接しつつ反時計回りに回転することによって、感光体10Y,10M,10C,10Kの転写残り液体現像剤や未転写液体現像剤をクリーニングする。感光体クリーニングローラー17Y,17M,17C,17Kには、液体現像剤中のトナー粒子を誘引するようなバイアス電圧が印加される。感光体クリーニングローラー17Y,17M,17C,17Kは、感光体クリーニングローラー用ブレード18Y,18M,18C,18Kによりクリーニングされる。
【0032】
感光体クリーニングローラー17Y,17M,17C,17Kの下流側において、感光体10Y,10M,10C,10Kと当接している感光体クリーニングブレード19Y,19M,19C,19Kは、感光体10Y,10M,10C,10K上の液体現像剤を掻き取りさらにクリーニングする。
【0033】
中間転写ベルト40は、シームレスなゴム等の弾性部材で形成されたベルトであり、ベルト駆動ローラー41とテンションローラー42に張架され、一次転写部50Y、50M、50C、50Kで感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながらベルト駆動ローラー41により回転駆動される。
【0034】
一次転写部50Y、50M、50C、50Kは、中間転写ベルト40を挟んで感光体10Y、10M、10C、10Kと一次転写ローラー51Y、51M、51C、51Kが対向配置され、感光体10Y、10M、10C、10Kとの当接位置を転写位置として、現像された感光体10Y、10M、10C、10Kの各色のトナー像を中間転写ベルト40に順次重ねて転写し、フルカラーのトナー像を形成する。
【0035】
ベルト駆動ローラー41及びテンションローラー42は、中間転写ベルト40を張架しベルト駆動ローラー41の駆動により回転する。中間転写ベルト40のテンションローラー42に張架されている箇所には、像担持体クリーニング装置としての転写ベルトクリーニング部46が配設されている。転写ベルトクリーニング部46は、像担持体クリーニングローラーとしての転写ベルトクリーニングローラー47、像担持体クリーニングローラー用ブレードとしての転写ベルトクリーニングローラー用ブレード48及び像担持体クリーニングブレードとしてのクリーニングブレード49等からなる。転写ベルトクリーニング部46の転写ベルトクリーニングローラー47及び転写ベルトクリーニングブレード49は、中間転写ベルト40に当接され、中間転写ベルト40上の残りトナー、キャリア液を含む液体現像剤をクリーニングする。
【0036】
二次転写部60は、二次転写ローラー61等を備えている。二次転写ローラー61は、ベルト駆動ローラー41の回転につれて矢印で示す方向に回転するとともに転写バイアスが印加されることにより、転写ニップで中間転写ベルト40のトナー像を転写材搬送経路Lにて搬送される用紙、フィルム、布等の転写材に転写する。また、二次転写部60は、二次転写ローラー61をクリーニングする転写ローラークリーニングブレード62、転写ローラークリーニングブレード支持部材等を有する。
【0037】
転写材搬送経路Lの二次転写部60の下流には、図示しない転写材搬送装置が配列され、転写材を図示しない定着ユニットに搬送するようになっており、定着ユニットでは、用紙等の転写材に転写された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を用紙等の転写材に融着させ定着させる。
【0038】
画像形成装置に対する転写材の供給は、給紙装置(不図示)によって行われる。このような給紙装置にセットされた転写材は、所定のタイミングにて一枚ごとに転写材搬送経路Lに送り出されるようになっている。
【0039】
次に、像担持体クリーニング装置としての転写ベルトクリーニング部46の第1実施形態について詳細に説明する。
【0040】
図2は、第1実施形態の転写ベルトクリーニング部46を示す図、図3は、図2の矢印Aから見た転写ベルトクリーニング部46を示す図である。
【0041】
転写ベルトクリーニング部46は、転写ベルトクリーニングローラー47と、転写ベルトクリーニングローラー用ブレード48と、転写ベルトクリーニングブレード49と、キャリア液塗布部70と、キャリア液供給部80とを有する。
【0042】
転写ベルトクリーニングローラー47は、テンションローラー42につれて図2における時計回りに回転し、テンションローラー42に対向したニップ位置で中間転写ベルト40に当接しバイアスをかけることで中間転写ベルト40上の残りトナー及びキャリア液をクリーニングする。また転写ベルトクリーニングローラー47に移動した残りトナー及びキャリア液は、転写ベルトクリーニングローラー用ブレード48が掻き取る。
【0043】
転写ベルトクリーニングブレード49は、テンションローラー42に対向した位置で、転写ベルトクリーニングローラー47とのニップ部で残りトナー及びキャリア液をクリーニングした後の中間転写ベルト40に当接し、転写ベルトクリーニングローラー47が取り残したトナー及びキャリア液を掻き取りクリーニングする。
【0044】
次に、キャリア液塗布部70について説明する。
【0045】
第1実施形態では、キャリア液塗布部70は、キャリア液を吸収し移動させ転写ベルトクリーニングローラー47の表面に塗布するセルロース等のキャリア液吸収移動部材71からなる。キャリア液吸収移動部材71は、キャリア液供給部80から供給されたキャリア液を第1の方向としての転写ベルトクリーニングローラー47の軸方向(以下、「軸方向」という。)に拡散させると共に一時貯留する凹部の底を形成する底部71aと、底部71aの転写ベルトクリーニングローラー47とは反対側に配設される壁部71bと、図3に示すように第1の方向の底部71aの両側に配設される側壁部71cと、貯留部71aの転写ベルトクリーニングローラー47側に配設され壁部71b及び側壁部71cよりも低い凸状からなる凸部71dと、凸部71dに連続しキャリア液を吸収し軸方向に拡散しながら第1の方向と異なる第2の方向としての鉛直方向に移動させる経路を形成する移動部71eと、移動部71eを移動したキャリア液をさらに軸方向に拡散しながら鉛直方向に移動させ、転写ベルトクリーニングローラー47に当接してキャリア液を塗布する当接部71fとを有する。
【0046】
そして、底部71a、壁部71b、第1側壁部71c及び凸部71dにより囲まれた凹状の空間により、キャリア液を一時的に貯留する貯留部Sが形成される。また、キャリア液吸収移動部材71、特に、移動部71e及び当接部71fが搬送部を形成する。
【0047】
続いて、キャリア液塗布部70にキャリア液を供給するキャリア液供給部80について説明する。
【0048】
第1実施形態では、キャリア液供給部80は、キャリア液を貯蔵するキャリアタンク81と、キャリア液塗布部70にキャリア液を供給する吐出部としての供給ノズル82と、キャリアタンク81と供給ノズル82に連結されてキャリア液が流れる供給配管83と、供給配管83の途中に配設され圧力をかけてキャリア液を流す供給ポンプ84とを有する。
【0049】
図3に示すように、本実施形態では、供給ノズル82は軸方向に6本、供給配管83及び供給ポンプ84は、軸方向に3つ配設される。本実施形態では、第1の供給配管83a及び第1の供給ポンプ84aに対して第1の供給ノズル82a1及び第2の供給ノズル82a2が連結され、第2の供給配管83b及び第2の供給ポンプ84bに対して第3の供給ノズル82b1及び第4の供給ノズル82b2が連結され、第3の供給配管83c及び第3の供給ポンプ84cに対して第5の供給ノズル82c1及び第6の供給ノズル82c2が連結される。なお、第1の供給配管83a、第2の供給配管83b及び第3の供給配管83cは、キャリアタンク81に連結されている。なお、供給ノズル82、供給配管83及び供給ポンプ84の数は、本実施形態に限定されず、いくつ配設してもよい。
【0050】
次に、第1実施形態の転写ベルトクリーニング部46のキャリア液の流れについて説明する。
【0051】
まず、キャリア液供給部80では、供給ポンプ84が作動することで、キャリアタンク81からキャリア液が供給配管83を通って供給ノズル82に送られる。そして、供給ノズル82からキャリア液塗布部70にキャリア液が供給される。図3に示すように、供給ノズル82は、軸方向に複数配設されるので、キャリア液はキャリア液塗布部70の軸方向の複数箇所に供給される。したがって、キャリア液が一箇所に供給されるよりも、あらかじめ軸方向に拡散した状態で供給される。
【0052】
キャリア液吸収移動部材71に供給されたキャリア液は、一時的に貯留部Sに貯留される。貯留部Sに貯留されている間に、キャリア液は軸方向に拡散する。その後、貯留部Sに貯留されたキャリア液は、キャリア液吸収移動部材71に徐々に吸収され移動部71eで軸方向に拡散しながら鉛直方向に移動する。移動部71eを移動したキャリア液は軸方向に拡散しながら鉛直方向に移動し転写ベルトクリーニングローラー47に当接する当接部71fで転写ベルトクリーニングローラー47に塗布される。
【0053】
転写ベルトクリーニングローラー47に塗布される際には、キャリア液は軸方向に十分拡散されているので、転写ベルトクリーニングローラー47に一様に塗布されることとなる。塗布されるキャリア液の量は、1〜15μm程度が好ましい。1μmを下回ると、クリーニング性向上の効果が少なくなり、15μmを上回ると、キャリアタンク81内に貯留するキャリア液の量が多くなり、キャリアタンク81を大型化する必要があるからである。
【0054】
転写ベルトクリーニングローラー47に塗布されたキャリア液は、転写ベルトクリーニングローラー47の回転に伴い中間転写ベルト40とのニップ部に達する。ニップ部では、中間転写ベルト40に残ったトナー及びキャリア液にキャリア液塗布部70から塗布されたキャリア液が付加される。転写ベルトクリーニングローラー47はバイアスが印加されているので、トナーは転写ベルトクリーニングローラー47に移動し転写ベルトクリーニングローラー用ブレード48により回収される。この時、転写ベルトクリーニングローラー47からキャリア液が付加されておりニップ部にはキャリア液の量が多くなっているので、トナーが移動し易くなりトナーの移動が効率よく行われる。
【0055】
キャリア液は、転写ベルトクリーニングローラー47と中間転写ベルト40に略半分ずつ別れる。そして、転写ベルトクリーニングローラー47に回収されたキャリア液は転写ベルトクリーニングローラー用ブレード48により掻き取られ、中間転写ベルト40に残ったキャリア液は転写ベルトクリーニングブレード49に掻き取られる。
【0056】
第1実施形態によれば、キャリア液吸収移動部材71の貯留部Sにキャリア液を一時的に貯留することで、間隔をあけて配設された供給ノズル82から貯留部Sに供給されるキャリア液を軸方向に対して一定のレベリングに拡散させることが可能となる。そして、キャリア液吸収移動部材71を配設しキャリア液を吸収しながら移動させることで、軸方向に対してさらに十分に拡散させることが可能となる。また、キャリア液吸収移動部材71の当接部71fを転写ベルトクリーニングローラー47に当接させることで、キャリア液を転写ベルトクリーニングローラー47の軸方向に対して一様に塗布することが可能となる。
【0057】
次に、像担持体クリーニング装置としての転写ベルトクリーニング部46の第2実施形態について説明する。
【0058】
図4は、第2実施形態の転写ベルトクリーニング部46を示す図、図5は、図4の矢印Bから見た転写ベルトクリーニング部46を示す図である。
【0059】
第2実施形態は、第1実施形態のキャリア液塗布部70の構成を変更したものである。
【0060】
第2実施形態では、キャリア液塗布部70は、キャリア液を吸収しながら鉛直方向に移動させるセルロース等のキャリア液吸収移動部材71と、キャリア液吸収移動部材71から移動したキャリア液を吸収し鉛直方向に移動させ転写ベルトクリーニングローラー47に当接しながら表面に塗布するキャリア液塗布部材72とからなる。
【0061】
キャリア液吸収移動部材71は、キャリア液供給部80から供給されたキャリア液を軸方向に拡散させると共に一時貯留する凹部の底を形成する底部71aと、底部71aの転写ベルトクリーニングローラー47とは反対側に配設される壁部71bと、図5に示すように転写ベルトクリーニングローラー47の軸方向の底部71aの両側に配設される第1側壁部71cと、底部71aの転写ベルトクリーニングローラー47側に配設され壁部71b及び側壁部71cよりも低い凸状からなる凸部71dと、凸部71dに連続しキャリア液を吸収し拡散しながら鉛直方向に移動させる経路を形成する移動部71eと、移動部71eを移動したキャリア液をキャリア液塗布部材72に当接して移動する当接部71fと、を有する。
【0062】
そして、底部71a、壁部71b、第1側壁部71c及び凸部71dにより囲まれた凹状の空間により、キャリア液を一時的に貯留する第1貯留部S1が形成される。また、キャリア液吸収移動部材71、特に、移動部71e及び当接部71fが第1搬送部材を形成する。
【0063】
キャリア液塗布部材72は、発泡ウレタン、フィルム、織布、不織布又はスポンジ等からなる。また、キャリア液塗布部材72は、アクリル、レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンポリエステル、綿又はウール等の繊維材料もしくはこれらの混合品から形成してもよい。キャリア液塗布部材72は、キャリア液吸収移動部材71の当接部71fに当接しキャリア液吸収移動部材71からキャリア液が移動する当接部72aと、転写ベルトクリーニングローラー47に当接してキャリア液を塗布する塗布部72bと、当接部72aより上方でキャリア液吸収移動部材71の移動部71e及び第2側壁部71gと共に凹部を形成する突出部72cとを有する。
【0064】
キャリア液吸収移動部材71の当接部71fとキャリア液塗布部材72の当接部72aの上方で、キャリア液吸収移動部材71の移動部71e及び第2側壁部71gとキャリア液塗布部材72の突出部72cにより囲まれた凹状の空間により、キャリア液を一時的に貯留する第2貯留部S2が形成される。また、キャリア液塗布部材72の当接部72aと塗布部72bが第2搬送部材を形成する。
【0065】
第2貯留部S2は、第1貯留部S1に供給されたキャリア液の量が多く、キャリア液吸収移動部材71がキャリア液を吸収することが間に合わずに第1貯留部S1から凸部71dを越えてキャリア液があふれ出た場合に、キャリア液を貯留することを可能とする。
【0066】
次に、第2実施形態のキャリア液塗布部70でのキャリア液の流れについて説明する。
【0067】
第2実施形態のキャリア液塗布部70に供給されたキャリア液は、一時的にキャリア液吸収移動部材71の第1貯留部S1に貯留される。第1貯留部S1に貯留されている間に、キャリア液は軸方向に拡散する。その後、第1貯留部S1に貯留されたキャリア液は、キャリア液塗布部材71に徐々に吸収され移動部71eで軸方向に拡散しながら鉛直方向に移動する。移動部71eを移動したキャリア液は、キャリア液塗布部材72に当接する当接部71fからキャリア液塗布部材72の当接部72aに移動する。
【0068】
第1貯留部S1に供給されたキャリア液の量が多く、キャリア液吸収移動部材71がキャリア液を吸収することが間に合わずに第1貯留部S1から凸部71dを越えてキャリア液があふれ出た場合には、キャリア液は第2貯留部S2に一時的に貯留される。その後、キャリア液は、キャリア液吸収移動部材71の移動部71eに吸収されてからキャリア液吸収移動部材71の当接部71fを経てキャリア液塗布部材72の当接部72aに移動する。また、キャリア液は、キャリア液塗布部材72の突出部72cからキャリア液塗布部材72に吸収される場合もある。
【0069】
続いて、キャリア液は、軸方向に拡散しながら鉛直方向に移動し、転写ベルトクリーニングローラー47に当接する塗布部72bで転写ベルトクリーニングローラー47に塗布される。
【0070】
その他の構成は、第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0071】
第2実施形態によれば、キャリア液吸収移動部材71の第1貯留部S1にキャリア液を一時的に貯留することで、間隔をあけて配設された供給ノズル82から第1貯留部S1に供給されるキャリア液を軸方向に対して一定のレベリングに拡散させることが可能となる。そして、キャリア液吸収移動部材71を配設しキャリア液を吸収しながら移動させることで、軸方向に対して十分に拡散させることが可能となる。また、キャリア液塗布部材72を配設し第2貯留部S2を形成することで、キャリア液を軸方向に対してさらに一定のレベリングに拡散させることが可能となる。キャリア液塗布部材72の塗布部72を転写ベルトクリーニングローラー47に当接させることで、キャリア液を転写ベルトクリーニングローラー47の軸方向に対して一様に塗布することが可能となる。
【0072】
次に、像担持体クリーニング装置としての転写ベルトクリーニング部46の第3実施形態について説明する。
【0073】
図6は、第3実施形態の転写ベルトクリーニング部46を示す図である。
【0074】
第3実施形態は、第2実施形態のキャリア液塗布部70の構成を変更したものである。
【0075】
第3実施形態では、キャリア液塗布部70は、キャリア液を吸収しながら移動させるセルロース等のキャリア液吸収移動部材71と、キャリア液吸収移動部材71から移動したキャリア液を吸収し転写ベルトクリーニングローラー47の表面に塗布するキャリア液塗布部材72と、キャリア液吸収移動部材71の移動部71eの上面に配設された拡散部材73と、からなる。
【0076】
キャリア液吸収移動部材71及びキャリア液塗布部材72は、第2実施形態と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0077】
拡散部材73は、セルロース製の不織布又はキャリア液吸収移動部材71と同様の材料からなる。なお、拡散部材73は、キャリア液吸収移動部材71と同じ又はキャリア液吸収移動部材71よりもキャリア液を吸収し易い材料であることが好ましい。拡散部材73は、キャリア液吸収移動部材71の移動部71eの上面に1mm程度の厚さで配設される。
【0078】
次に、第3実施形態のキャリア液塗布部70でのキャリア液の流れについて説明する。
【0079】
第3実施形態のキャリア液塗布部70に供給されたキャリア液は、一時的にキャリア液吸収移動部材71の第1貯留部S1に貯留される。第1貯留部S1に貯留されている間に、キャリア液は軸方向に拡散する。その後、第1貯留部S1に貯留されたキャリア液は、キャリア液吸収移動部材71に徐々に吸収され移動部71eで軸方向に拡散しながら鉛直方向に移動する。移動部71eを移動したキャリア液は、キャリア液塗布部材72に当接する当接部71fからキャリア液塗布部材72の当接部72aに移動する。
【0080】
第1貯留部S1に供給されたキャリア液の量が多く、キャリア液吸収移動部材71がキャリア液を吸収することが間に合わずに第1貯留部S1から凸部71dを越えてキャリア液があふれ出た場合には、キャリア液は拡散部材73に吸収され、軸方向に拡散されながら鉛直方向に移動する。その後、キャリア液は、キャリア液吸収移動部材71の移動部71eに吸収されてから当接部71fを経てキャリア液塗布部材72の当接部72aに移動する。また、キャリア液は、キャリア液塗布部材72の突出部72cから直接キャリア液塗布部材72に吸収される場合もある。
【0081】
第1貯留部S1から凸部71dを越えてあふれ出たキャリア液が拡散部材73に吸収される以上に多い場合には、キャリア液は第2貯留部S2に一時的に貯留される。その後、キャリア液は、拡散部材73を経てキャリア液吸収移動部材71の移動部71eに吸収されてから当接部71fを経てキャリア液塗布部材72の当接部72aに移動する。また、キャリア液は、キャリア液塗布部材72の突出部72cから直接キャリア液塗布部材72に吸収される場合もある。
【0082】
続いて、キャリア液は、軸方向に拡散しながら鉛直方向に移動し、転写ベルトクリーニングローラー47に当接する塗布部72bで転写ベルトクリーニングローラー47に塗布される。
【0083】
第3実施形態によれば、キャリア液吸収移動部材71に拡散部材73を配設したことで、軸方向に対してさらに拡散させることが可能となる。
【0084】
なお、拡散部材73は、第1実施形態の貯留部Sに配設する構成としてもよい。
【0085】
次に、像担持体クリーニング装置としての転写ベルトクリーニング部46の第4実施形態について説明する。
【0086】
図7は、第4実施形態の転写ベルトクリーニング部46を示す図である。
【0087】
第4実施形態は、第3実施形態のキャリア液塗布部70の拡散部材73の構成を変更し吸い上げ部材74として配設したものである。
【0088】
第4実施形態では、キャリア液塗布部70は、キャリア液を吸収しながら移動させるセルロース等のキャリア液吸収移動部材71と、キャリア液吸収移動部材71から移動したキャリア液を吸収し転写ベルトクリーニングローラー47の表面に塗布するキャリア液塗布部材72と、キャリア液吸収移動部材71の底部71aの上面から凸部71dを越えて移動部71eの上面に配設された吸い上げ部材74と、からなる。
【0089】
キャリア液吸収移動部材71及びキャリア液塗布部材72は、第2実施形態及び第3実施形態と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0090】
吸い上げ部材74は、セルロース製の不織布又はキャリア液吸収移動部材71と同様の材料からなる。なお、吸い上げ部材74は、キャリア液吸収移動部材71と同じ又はキャリア液吸収移動部材71よりもキャリア液を吸収し易い材料であることが好ましい。キャリア液吸収移動部材71の底部71aの上面から凸部71dを越えて移動部71eの上面に1mm程度の厚さで配設される。
【0091】
次に、第4実施形態のキャリア液塗布部70でのキャリア液の流れについて説明する。
【0092】
第3実施形態のキャリア液塗布部70に供給されたキャリア液は、一時的にキャリア液吸収移動部材71の第1貯留部S1に貯留される。第1貯留部S1に貯留されている間に、キャリア液は軸方向に拡散する。その後、第1貯留部S1に貯留されたキャリア液は、吸い上げ部材74及びキャリア液塗布部材71に徐々に吸収され移動部71eで軸方向に拡散しながら鉛直方向に移動する。移動部71eを移動したキャリア液は、キャリア液塗布部材72に当接する当接部71fからキャリア液塗布部材72の当接部72aに移動する。
【0093】
第1貯留部S1に供給されたキャリア液の量が多く、吸い上げ部材74及びキャリア液吸収移動部材71がキャリア液を吸収することが間に合わずに第1貯留部S1から凸部71dを越えてキャリア液があふれ出た場合には、キャリア液は吸い上げ部材74を越えて、軸方向に拡散されながら鉛直方向に移動する。凸部71dを越える際には、キャリア液は吸い上げ部材74に吸収されるので、凸部71dに多少の高さのばらつきがあっても、凸部71dを越えてキャリア液があふれ出る量は、軸方向でほぼ均一になる。
【0094】
その後、キャリア液は、キャリア液吸収移動部材71の移動部71eに吸収されてから当接部71fを経てキャリア液塗布部材72の当接部72aに移動する。また、キャリア液は、キャリア液塗布部材72の突出部72cから直接キャリア液塗布部材72に吸収される場合もある。
【0095】
第1貯留部S1から凸部71dを越えてあふれ出たキャリア液が多い場合には、キャリア液は第2貯留部S2に一時的に貯留される。その後、キャリア液は、キャリア液吸収移動部材71の移動部71eに吸収されてから当接部71fを経てキャリア液塗布部材72の当接部72aに移動する。また、キャリア液は、キャリア液塗布部材72の突出部72cから直接キャリア液塗布部材72に吸収される場合もある。
【0096】
続いて、キャリア液は、軸方向に拡散しながら鉛直方向に移動し、転写ベルトクリーニングローラー47に当接する塗布部72bで転写ベルトクリーニングローラー47に塗布される。
【0097】
第4実施形態によれば、キャリア液吸収移動部材71に吸い上げ部材74を配設したことで、キャリア液吸収移動部材71の凸部71dの高さに多少のバラツキがあっても、キャリア液は吸い上げ部材74により拡散されるので、凸部71dを越えるキャリア液の軸方向のバラツキを低減することが可能となる。
【0098】
なお、吸い上げ部材74は、第1実施形態の貯留部S及び凸部71dに配設する構成としてもよい。
【0099】
次に、像担持体クリーニング装置としての転写ベルトクリーニング部46の第5実施形態について説明する。
【0100】
図8は、第5実施形態の転写ベルトクリーニング部46を示す図である。
【0101】
第5実施形態は、第2実施形態のキャリア液塗布部70のキャリア液塗布部材72と中間転写ベルト40との間で転写ベルトクリーニングローラー用ブレード48とは反対側で転写ベルトクリーニングローラー47に当接する拡散ローラー75を配設したものである。
【0102】
第5実施形態では、キャリア液塗布部70は、キャリア液を吸収しながら移動させるセルロース等のキャリア液吸収移動部材71と、キャリア液吸収移動部材71から移動したキャリア液を吸収し転写ベルトクリーニングローラー47の表面に塗布するキャリア液塗布部材72と、キャリア液塗布部材72が転写ベルトクリーニングローラー47に塗布したキャリア液を軸方向に拡散させる拡散ローラー75とからなる。
【0103】
キャリア液吸収移動部材71及びキャリア液塗布部材72は、第2実施形態と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0104】
拡散ローラー75は、転写ベルトクリーニングローラー47と平行な軸を中心に転写ベルトクリーニングローラー47につれて図8における反時計回りに回転し、転写ベルトクリーニングローラー47の回転方向でキャリア液塗布部材72と中間転写ベルト40との間で転写ベルトクリーニングローラー47に当接する。そして、拡散ローラー75は、転写ベルトクリーニングローラー47とキャリア液塗布部材72とのニップ部よりも下流でキャリア液塗布部材72が塗布したキャリア液を軸方向に拡散する。
【0105】
第5実施形態によれば、キャリア液の軸方向のバラツキをさらに低減することが可能となる。例えば、キャリア液塗布部材72として安価な繊維状の材料又は発砲目を有する材料を用いることで生じるキャリア液量の軸方向のバラツキを低減することが可能となる。
【0106】
なお、拡散ローラー75は、第1実施形態、第3実施形態又は第4実施形態に配設する構成としてもよい。
【0107】
次に、像担持体クリーニング装置としての転写ベルトクリーニング部46の第6実施形態について説明する。
【0108】
図9は、第6実施形態の転写ベルトクリーニング部46を示す図である。
【0109】
第6実施形態では、第1実施形態のキャリア液塗布部70のキャリア液吸収移動部材71の第1の方向としての軸方向の長さ及び貯留部Sの軸方向の長さを転写ベルトクリーニングローラー47のローラー面の軸方向の長さと同じか、又は転写ベルトクリーニングローラー47のローラー面の軸方向の長さより長くする。
【0110】
第6実施形態によれば、転写ベルトクリーニングローラー47の軸方向全域にキャリア液を供給し、転写ベルトクリーニングローラー47と中間転写ベルト40とのニップ部全域にキャリア液を介在させることが可能となる。したがって、転写ベルトクリーニングローラー47と中間転写ベルト40の摩擦係数が小さくなり、ベルト駆動ローラー41の駆動トルクを低減することが可能となる。また、中間転写ベルト40へのキャリア液の供給幅を転写ベルトクリーニングローラー47で決定することが可能となり、キャリア液の供給幅を容易に管理することが可能となる。
【0111】
なお、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態又は第5実施形態のキャリア液塗布部70のキャリア液吸収移動部材71及びキャリア液塗布部72の軸方向の長さを転写ベルトクリーニングローラー47のローラー面の軸方向の長さと同じ又はより長くする構成としてもよい。
【0112】
次に、像担持体クリーニング装置としての転写ベルトクリーニング部46の第7実施形態について説明する。
【0113】
図10は、第7実施形態の転写ベルトクリーニング部46を示す図、図11は、第7実施形態の濾過部を示す図である。
【0114】
第7実施形態は、転写ベルトクリーニング部46のキャリア液塗布部70で使用するキャリア液を搬送経路としてのキャリア液循環部90で循環させて再利用可能としたものである。
【0115】
第7実施形態のキャリア液供給部80は、キャリアタンク81と供給ノズル82に連結されてキャリア液が流れる供給配管83の途中であって供給ポンプ84及び回収キャリア液用配管98との連結点89よりもキャリアタンク81側に第1電磁弁85を有する。
【0116】
キャリア液循環部90は、上部が開放された容器からなり転写ベルトクリーニングローラー用ブレード48が掻き取ったトナー及びキャリア液を回収する第1回収部91と、第1回収部91に回収したトナー及びキャリア液を搬送する回収用配管92と、回収用配管92の途中に配設され圧力をかけてトナー及びキャリア液を流す回収用ポンプ93と、回収用配管92に連結され回収したトナー及びキャリア液を濾過する濾過部94と、濾過部94により濾過されたキャリア液を搬送する濾過キャリア液用配管95と、濾過キャリア液用配管95の途中に配設され圧力をかけて濾過されたキャリア液を流す濾過キャリア液用ポンプ96と、上部が開放された容器からなり転写ベルトクリーニングブレード49が掻き取ったキャリア液を回収すると共に濾過キャリア液用配管95に連結され濾過されたキャリア液を貯蔵する第2回収部97と、第2回収部97と供給配管83を連結する回収キャリア液用配管98と、回収キャリア液用配管98の途中に配設され濾過キャリア液の流れる量を調整する第2電磁弁99とを有する。
【0117】
さらに、第2回収部97には、液量センサ100が配設されている。液量センサ100は、第2回収部97にキャリア液が所定量貯蔵されたことを検出する第1の検出部100aと、第1の検出部100aよりも鉛直方向に配設された第2の検出部100bとを有する。
【0118】
また、図11に示すように、濾過部94は、セラミックフィルター等からなる分離膜94aと、分離膜94aにより分割された第1室R1及び第2室R2と、第1室R1と濾過部外の廃棄箇所とを連結する廃棄管94bと、を有し、分離膜94aがトナー及びキャリア液の流れと平行に配設されるクロスフロー濾過形式からなる。
【0119】
次に、転写ベルトクリーニング部46でのキャリア液の流れについて説明する。
【0120】
転写ベルトクリーニングローラー用ブレード48が掻き取ったトナー及びキャリア液は、第1回収部91に回収される。第1回収部91に回収されたトナー及びキャリア液は、回収用ポンプ93により回収用配管92を移動し濾過部94に搬送される。
【0121】
図11に示すように、濾過部94に搬送されたトナー及びキャリア液は、まず第1室R1に搬送される。第1室R1に流入したトナーを含むキャリア液からなる液体現像剤は分離膜94aと平行に流れながら、キャリア液が徐々に分離膜94aを透過していき第2室R2に移動する。トナーは、分離膜94aを透過できず分離膜94a上に境界層Tを形成するが、第1室R1を流れるキャリア液の流れによってキャリア液と共に流され廃棄管94bから廃棄される。
【0122】
第2室R2へ透過したキャリア液は、濾過キャリア液用ポンプ96により濾過キャリア液用配管95を移動し第2回収部97に搬送される。第2回収部97は、転写ベルトクリーニングブレード49が掻き取ったキャリア液を回収する。そして、第2回収部97に貯蔵されたキャリア液は、回収キャリア液用配管98から連結点89を経て供給配管83へ移動し、供給ノズル82から供給される。
【0123】
次に、転写ベルトクリーニング部46でのキャリア液の供給制御について説明する。
【0124】
図12は、キャリア液の循環を制御する制御部101のブロック図、図13はキャリア液循環制御のフローチャート図である。
【0125】
図12に示すように、制御部101は、液量センサ100の検出結果を入力として、供給ポンプ84、第1電磁弁85、回収用ポンプ93、濾過キャリア液用ポンプ96及び第2電磁弁99を制御する。
【0126】
図13に示すように、ステップ1で、転写ベルトクリーニングを行うON状態であるか否かを判断する(ST1)。ステップ1で、転写ベルトクリーニングを行わないOFF状態である場合には、キャリア液の供給制御を終了する。
【0127】
転写ベルトクリーニングのON状態は、印字信号が入力され印字している状態又は中間転写ベルト40が回転している状態等に、任意に設定すればよい。また、OFF状態は、印字が終了している状態又は中間転写ベルト40が回転していない状態等に、任意に設定すればよい。
【0128】
次に、ステップ2で、第2回収部97の第1の検出部100aよりも下方に配設された液量センサ100の第2検出部100bがONであるか否かを判断する(ST2)。第2検出部100bは、第2回収部97にキャリア液が不足しているか否かを判断するためのものである。ステップ2において、第2検出部100bがONの場合、キャリア液の液位が第2検出部100bよりも上方まであるので、ステップ3で、第1電磁弁85を閉じ第2電磁弁99を開放する(ST3)。すると、回収キャリア液用配管98と供給配管83は連結状態となり、キャリア液タンク81と供給配管83は非連結状態となる。次に、ステップ4で、供給ポンプ84をONとする(ST4)。それによって、キャリア液は、第2回収部97から回収キャリア液用配管98、連結点89、供給配管83及び供給ポンプ84を経て供給ノズル82に流れ、キャリア液塗布部70に供給される。
【0129】
ステップ2において、第2検出部100bがOFFの場合、ステップ5で、第1電磁弁85を開放し第2電磁弁99を閉じる(ST5)。すると、回収キャリア液用配管98と供給配管83は非連結状態となり、キャリア液タンク81と供給配管83は連結状態となる。次に、ステップ6で、供給ポンプ84をONとする(ST6)。それによって、キャリア液は、キャリア液タンク81から供給配管83と供給ポンプ84とを経て供給ノズル82に流れ、キャリア液塗布部70に供給される。
【0130】
次に、ステップ7で、回収用ポンプ93及び濾過キャリア液用ポンプ96をONとする(ST7)。回収用ポンプ93及び濾過キャリア液用ポンプ96をONとすることで、第1回収部91に回収されたトナー及びキャリア液は回収用配管92、濾過部94及び濾過キャリア液用配管95を流れ、第2回収部97に回収される。
【0131】
次に、ステップ8で、液量センサ100の第1の検出部100aがONであるか否かを判断する(ST8)。ステップ8において、第1の検出部100aがOFFの場合、まだキャリア液が所定量貯蔵されていないので、第1の検出部100aがONとなるまでステップ8に戻る。
【0132】
ステップ8において、第1の検出部100aがONの場合、第2回収部97に所定量のキャリア液が貯蔵されたと判断し、ステップ9で、回収用ポンプ93及び濾過キャリア液用ポンプ96をOFFとする(ST9)。その後、ステップ1に戻る。
なお、第7実施形態では、第1回収部91及び第2回収部97の両方に回収したキャリア液を再利用したが、濾過部94を配設することなく、多少トナーを含む第1回収部91によって回収したキャリア液は廃棄して、第2回収部97で回数したキャリア液のみを再利用してもよい。濾過部94を配設しないので、回収用配管92、回収用ポンプ93、濾過キャリア液用配管95及び濾過キャリア液用ポンプ96も配設する必要がなく、構造を簡素化することが可能となる。
【0133】
第7実施形態によれば、キャリア液を回収し循環させて再利用することが可能となり、新しいキャリア液を節約することが可能となる。
【0134】
なお、第1実施形態から第7実施形態で説明した転写ベルトクリーニング部46の構成は、それぞれ様々な組み合わせで使用してよい。
【符号の説明】
【0135】
10Y,10M,10C,10K…感光体(潜像担持体)、11Y,11M,11C,11K…帯電器(帯電部)、12Y,12M,12C,12K…露光ユニット(露光部)、13Y,13M,13C,13K…第1スクイーズローラー(スクイーズ装置)、14Y,14M,14C,14K…第1スクイーズローラークリーニングブレード(スクイーズ装置)、15Y,15M,15C,15K…第2スクイーズローラー(スクイーズ装置)、16Y,16M,16C,16K…第2スクイーズローラークリーニングブレード(スクイーズ装置)、17Y,17M,17C,17K…感光体クリーニングローラー、18Y,18M,18C,18K…感光体クリーニングローラーブレード、19Y,19M,19C,19K…感光体クリーニングブレード、20Y,20M,20C,20K…現像ローラー(現像剤担持体)、21Y…現像ローラークリーニングブレード(現像剤担持体クリーニング部材)、22Y…コンパクションコロナ発生器(コロナ発生器)、30Y,30M,30C,30K…現像装置(現像部)、31Y,31M,31C,31K…現像剤容器、32Y,32M,32C,32K…アニロックスローラー(現像剤供給部材)、33Y…現像剤規制ブレード、34Y…回収オーガ、40…中間転写ベルト(像担持体)、41…ベルト駆動ローラー、42…テンションローラー、46…転写ベルトクリーニング部(像担持体クリーニング部)、47…転写ベルトクリーニングローラー(クリーニングローラー、像担持体クリーニングローラー)、48…転写ベルトクリーニングローラー用ブレード(像担持体クリーニングローラー用ブレード)、49…転写ベルトクリーニングブレード(像担持体クリーニングブレード)、50Y,50M,50C,50K…一次転写部、51Y,51M,51C,51K…一次転写ローラー、60…二次転写部、61…二次転写ローラー、62…二次転写ローラークリーニングブレード、70…キャリア液塗布部、71…キャリア液吸収移動部材(搬送部、第1搬送部材)72…キャリア液塗布部材(第2搬送部材)、80…キャリア液供給部、81…キャリアタンク、82…供給ノズル(吐出部)、83…供給配管、84…供給ポンプ、89…連結点、90…キャリア液循環部(搬送経路)、90…第1回収部、92…回収用配管、93…回収用ポンプ、94…濾過部、95…濾過キャリア液用配管、96…濾過キャリア液用ポンプ、97…第2回収部、98…回収キャリア液用配管、99…第2電磁弁、100…液量センサ、101…制御部、S…貯留部、S1…第1貯留部、S2…第2貯留部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液を吐出する吐出部と、
前記吐出部から吐出された塗布液を第1の方向に移動させると共に貯留する貯留部と、
前記貯留部に貯留された塗布液を吸収し、前記第1の方向と異なる第2の方向に移動させる搬送部と、
前記搬送部に当接し、前記搬送部から移動された塗布液が塗布されるクリーニングローラーと、
を有することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記搬送部は、前記貯留部に貯留された塗布液を吸収し、前記第1の方向に拡散させる拡散部材を有する請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記搬送部は、
前記貯留部に貯留された塗布液を吸収し、前記第2の方向に移動させる第1搬送部材と、
前記第1搬送部材よりも塗布液の吸収率が少なく、前記クリーニングローラーに当接して前記第1搬送部材で移動された塗布液を塗布する第2搬送部材と、
を有する請求項1又は請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記搬送部は、前記第1搬送部材と前記第2搬送部材で形成された第2貯留部を有する請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記クリーニングローラーに当接し前記搬送部により塗布された塗布液を、前記第1の方向に拡散させる拡散ローラーを有する請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記貯留部の前記第1の方向の長さは、前記クリーニングローラーの前記第1の方向の長さと同じか、又は前記クリーニングローラーの前記第1の方向の長さよりも長い請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のクリーニング装置。
【請求項7】
潜像を担持する潜像担持体と、
前記潜像担持体を帯電する帯電部と、
前記帯電部で帯電された前記潜像担持体を露光して前記潜像を形成する露光部と、
前記潜像担持体に形成された前記潜像をトナー及びキャリア液を含む液体現像剤で現像する現像部と、
前記潜像担持体に現像された像が転写される像担持体と、
塗布液を吐出する吐出部、前記吐出部から吐出された塗布液を第1の方向に移動させると共に貯留する貯留部、前記貯留部に貯留された塗布液を吸収し、前記第1の方向と異なる第2の方向に移動させる搬送部、及び前記搬送部に当接して前記搬送部から移動された塗布液が塗布されるクリーニングローラーを備え、前記像担持体をクリーニングするクリーニング部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記クリーニングローラーによりクリーニングされた前記像担持体に当接してクリーニングする像担持体クリーニングブレードと、
前記像担持体クリーニングブレードで掻き取られた液を回収し、回収された液を前記吐出部に搬送する搬送経路を有し、前記搬送経路で搬送された回収液を前記塗布液として前記吐出部から吐出させる請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−191359(P2011−191359A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55433(P2010−55433)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】