説明

クリーニング部材、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

【課題】 像担持体を駆動する際の駆動トルクの増加、ブレードの捲れの抑制
【解決手段】 固定部に取り付けられる、被清掃体の表面から現像剤を除去するクリーニング部材において、被清掃体の移動方向に対してカウンター方向で被清掃体に当接するブレード部と、ブレード部を支持し、可撓性を有する支持部材であって、ブレード部が設けられた一端部と、固定部に固定される被固定部を有する他端部と、一端部と他端部との間に位置し、ブレード部が被清掃体に当接する当接部と被固定部を結んだ線分に対して、被清掃体の表面から外側に離れる側に位置する曲げ部と、を有し、当接部に対して、被固定部が被清掃体の移動方向の下流に配置され、ブレード部を一端部のみで支持する支持部材と、
を有するクリーニング部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体の表面から現像剤を除去するクリーニング部材、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
ここで、画像形成装置としては、例えば電子写真複写機、レーザービームプリンタ、LEDプリンタ、ファクシミリ装置等が含まれる。また、プロセスカートリッジとしては、少なくとも像担持体とクリーニング装置とを一体的にカートリッジ化して画像形成装置に着脱可能とするものをいう。
【背景技術】
【0003】
電子写真画像形成装置において、像担持体を繰り返し使用する為に像担持体に形成された現像剤像を記録媒体に転写した後に、像担持体に残った現像剤を除去するクリーニング手段として、クリーニングブレード方式が知られている。
【0004】
クリーニングブレード方式は、弾性を有するブレードを像担持体の表面に所定の圧で当接させて像担持体の表面から現像剤を除去する方法である。
【0005】
特許文献1においてクリーニング部材は、支持部材である板金の先端にブレードが成形によって取り付けられた構造になっている。そして板金を枠体にビス等で取り付けることによってクリーニング部材を固定することによって、像担持体の表面に所定圧で当接させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−341721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、プリンタ等の画像形成装置は普及にともなって、小型化、高速化、高画質化される傾向にある。画像形成装置が小型化されれば、像担持体の大きさは小さくなる。また、高速化によって、像担持体が速く回転することになる。即ち、像担持体表面に当接しているブレードは、像担持体が高速で繰り返し像担持体の表面と摺動することになる。そして、ブレード自身の温度が上昇し、ブレードの硬度が柔らかくなる。その結果、像担持体表面とブレードの摩擦力が上昇する。それによって、像担持体を駆動させる為の駆動トルクの増加、ブレードの捲れという問題が生じる場合がある。更に、最近では高画質化の為に現像剤を球形状のものを用いることがある。この場合、像担持体表面から現像剤を除去する為には、像担持体に対するブレードの当接圧を上げる必要があり、前述の問題を助長させる要因の一つになっている。
【0008】
そこで、本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになされたものである。その目的とするところは、像担持体を駆動する際の駆動トルクの増加、ブレードの捲れを抑えることが可能なクリーニング部材、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための本発明の代表的な構成は、固定部に取り付けられる、被清掃体の表面から現像剤を除去するクリーニング部材において、被清掃体の移動方向に対してカウンター方向で被清掃体に当接するブレード部と、ブレード部を支持し、可撓性を有する支持部材であって、ブレード部が設けられた一端部と、固定部に固定される被固定部を有する他端部と、一端部と他端部との間に位置し、ブレード部が被清掃体に当接する当接部と被固定部を結んだ線分に対して、被清掃体の表面から外側に離れる側に位置する曲げ部と、を有し、当接部に対して、被固定部が被清掃体の移動方向の下流に配置され、ブレード部を一端部のみで支持する支持部材と、を有するクリーニング部材を特徴とする。
【0010】
また、上記の課題を解決するための本発明の他の構成は、固定部に取り付けられる、被清掃体の表面から現像剤を除去するクリーニング部材において、被清掃体の移動方向に対してカウンター方向で被清掃体に当接するブレード部と、ブレード部を支持し、可撓性を有する湾曲形状の支持部材であって、先端側にブレード部が設けられたブレード部支持部と、固定部に固定される被固定部と、ブレード部支持部と被固定部との間に位置し、ブレード部が被清掃体に当接する当接部と被固定部を結んだ線分に対して、被清掃体の表面から外側に離れる側に位置する曲げ頂点と、を有し、当接部に対して、被固定部が被清掃体の移動方向の下流に配置され、ブレード部をブレード部支持部のみで支持する支持部材と、を有するクリーニング部材を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本構成をとることにより、像担持体が駆動している際に、当接圧を従来よりも安定させることが出来る。即ち、像担持体を駆動する際のトルクの増加、ブレードの捲れを抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態におけるクリーニング部材の構成概略図
【図2】本実施形態における支持部材が変形する様子を示す概念図
【図3】感光体ドラムが静止した状態から移動する際の、支持部材が変形する様子を示す概念図
【図4】本実施形態におけるクリーニング装置の構成概略図
【図5】本実施形態におけるプロセスカートリッジの構成概略図
【図6】本実施例1におけるクリーニング部材の構成詳細図
【図7】動摩擦係数と当接圧の関係をシミュレーション計算した結果
【図8】動摩擦係数と摩擦力の関係をシミュレーション計算した結果
【図9】本実施例1に係るクリ―ニング部材の支持部材の変形例
【図10】本実施例1に係るクリ―ニング部材のブレードの変形例
【図11】本実施例2に係るクリ―ニング部材の支持部材
【図12】本実施例3に係るクリーニング装置の構成概略図
【図13】本実施例4に係るクリーニング装置の構成概略図
【図14】本実施形態における画像形成装置の一例
【図15】本実施形態におけるカラータンデム方式の画像形成装置の一例
【図16】本実施形態における記録媒体搬送部材を有する画像形成装置の一例
【図17】比較例のクリーニング部材の構成概略図
【図18】比較例のクリーニング部材の構成詳細図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施例1)
以下、本実施例である画像形成装置の一例を示す。なお、図14に示す画像形成装置は、電子写真方式のモノクロレーザービームプリンタの画像形成装置であり、同図はその概略構成図である。
【0014】
画像形成装置本体Mのほぼ中央付近には、像担持体(被帯電体)としてのドラム型の感光体ドラム1が配設されている。感光体ドラム1は、アルミニウム等の導電性ドラム基体の外周面にOPC(有機光半導体)感光層を形成したものである。矢印R方向に所定のプロセススピード:200mm/sで回転駆動される。
【0015】
感光体ドラム1の表面(周面)は、帯電部材としての帯電ローラ2により所定の極性及び電位に均一(一様)に帯電処理される。帯電後の感光体ドラム1表面は露光手段としてのレーザビームスキャナ3から出力されたレーザビームであって、目的の画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビームの走査露光を受ける。そして、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成されていく。この静電潜像に現像装置5の現像スリーブ6によって搬送されたトナー(現像剤)4が付着されてトナー像(現像像)として現像される。
【0016】
記録媒体7は給紙ローラ8によって給紙され、感光体ドラム1上に書き込まれたトナー像と同期をとるように感光体ドラム1と転写ローラ9との間の転写ニップ部に送られて記録媒体7の表面にトナー像が転写される。転写ローラ9には転写時に転写バイアス印加電源(図示せず)から転写用の転写バイアスが印加される。トナー像の転写を受けた記録媒体7は、感光体ドラム1表面から分離されて定着手段としての定着器10に搬送され、ここで加熱及び加圧されて表面にトナー像が定着される。
【0017】
一方、トナー像転写後の感光体ドラム1は、記録媒体7に転写されないで表面に残った残留トナーがクリーニング手段としてのクリーニング装置11によって除去され、次の画像形成に供される。
【0018】
また、本実施例は、カラー画像を形成可能な画像形成装置のクリーニングにも適用可能である。図15は、カラータンデム方式の画像形成装置の一例を示す。転写方式電子写真プロセス利用、接触帯電方式、反転現像方式、最大通紙サイズがA3サイズのカラーレーザープリンタである。複数個のプロセスカートリッジ17を有し、一旦第2の画像担持体である中間転写体である中間転写ベルト18に連続的に多重転写し、フルカラープリント画像を得る4連ドラム方式(インライン)プリンタである。
【0019】
図15において、無端状の中間転写ベルト18が、駆動ローラ18a、テンションローラ18b及び2次転写対向ローラ18cに懸架され、図中矢印の方向に所定のプロセスピード:300mm/sで回転駆動される。プロセスカートリッジ17は、中間転写ベルト18に直列にイエロー17Y、マゼンタ17M、シアン17C、ブラック17Kの順に4本配置されている。
【0020】
カラータンデム方式の画像形成装置においては、クリーニング装置(11Y、11M、11C、11K)が4つあるので、感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)を駆動する際に発生する駆動トルクが大きい。しかし、本実施例の構成を適用すれば、駆動トルクの低減効果が大きくなる。
【0021】
また、図15に示すとおり、中間転写ベルト18の2次転写ローラ20後に残留するトナー4をクリ―ニングする中間転写ベルトクリーナー19にも適用可能である。本発明形態では、中間転写ベルトクリーナー19に回収したトナー4をスクリューによって、廃トナー回収容器(図示せず)に搬送する構成を採用している。
【0022】
また、本実施例は、記録媒体7を搬送し、感光体ドラム1上のトナー像を転写する搬送部材である転写・搬送ベルト21のクリーニング装置としても適用可能である。図16は、転写・搬送ベルト21を有するカラータンデム方式の画像形成装置の一例を示す。図16において、無端状の転写・搬送ベルト21が、駆動ローラ21a、テンションローラ21b及び従動ローラ21Cによって懸架され、図中矢印の方向に所定のプロセスピード:300mm/sで回転駆動される。プロセスカートリッジ17は、転写・搬送ベルト21に直列にイエロー17Y、マゼンタ17M、シアン17C、ブラック17Kの順に4本配置されている。記録媒体7は、転写・搬送ベルト21によって、搬送され、感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)上に形成されたトナー像を転写ローラ(9Y、9M、9C、9K)で順次転写される。感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)上には、カブリトナーが存在し、記録媒体7間において、転写・搬送ベルト21の表面がそのカブリトナーによって汚される。このカブリトナーを転写・搬送ベルトクリーナー21によって、回収している。
【0023】
本発明に係るリーニング部材12について説明する。
図1は、本実施形態におけるクリーニング部材12の構成概略図である。クリーニング部材12は、固定部に取り付けられる、被清掃体である感光体ドラム1から転写後に残留するトナー4を除去するものである。クリーニング部材12は、感光体ドラム1の移動方向(図1の矢印)に対してカウンター方向で感光体ドラム1に当接するブレード14と、ブレード14を支持し、可撓性を有する支持部材13から構成される。
【0024】
支持部材13は、ブレード14が設けられた一端部131と、固定部に固定される被固定部134を有する他端部132と、一端部131と他端部132との間に位置する曲げ部133から構成される。曲げ部133は、ブレード14が感光体ドラム1と当接する当接部138と被固定部134を結んだ線分Lに対して、感光体ドラム1の表面から外側に離れた側(感光体ドラム1の表面から遠ざかる側)に位置する。また、支持部材13は、当接部138に対して、被固定部134が感光体ドラム1の移動方向の下流側に配置され、ブレード14を一端部131のみで支持される。
【0025】
クリーニング部材12を上記の様な構成をとることで、感光体ドラム1とブレード14の摩擦力が増加しても、ブレードの当接圧の急激な上昇は抑えられる。以下にその作用について説明する。
【0026】
まず、比較例としてのクリーニング部材212について説明する。図17は、比較例としての従来知られているクリーニング部材の構成概略図である。剛性を有する支持部材213に弾性体であるウレタンゴムのブレード214が支持され、感光体ドラム201に当接されている。そして、弾性を有するブレード214を感光体ドラム201の表面に押し当て(変形させて)、感光体ドラム201の表面から残留トナーを除去するための当接圧を得ている。
【0027】
感光体ドラム201が回転する際に、ブレード214は、ブレード214の当接圧による抗力F1と感光体ドラム201の表面とブレード214の摩擦力F2の合力である合力F3の力を受けている。摩擦力F2が上昇すると、合力F3が大きくなる。ブレード214は、合力F3の方向には、比較的に自由度が少ない。よって、ブレード214は、図17の矢印B方向に変形することとなる。この変形は、ブレード214が感光体ドラム201に食い込む方向であるので、抗力F1が大きくなる。抗力F1が大きくなると、更に、摩擦力F2が上昇する。その結果、抗力F1が急激に大きくなってしまうのである。このため、感光体ドラム1を駆動させる為の駆動トルクの増加、ブレードの捲れという問題が生じる場合があった。
【0028】
次に、本実施例でのクリーニング部材12について説明する。図2は、感光体ドラム1の表面とブレード14の摩擦力が上昇する際に、可撓性を有する支持部材13が変形する様子を示す概念図である。
【0029】
本実施例でのクリーニング部材12においては、可撓性を有する支持部材13を感光体ドラム1の表面に押し当て(変形させて)、感光体ドラム201の表面から残留トナーを除去するための当接圧を得ている。
【0030】
感光体ドラム1が回転する際に、ブレード14は、支持部材13の当接圧による抗力F1と感光体ドラム1の表面とブレード14の摩擦力F2の合力である合力F3の力を受ける。この合力F3に対して、一端部131は、合力F3とのなす角度が小さいので変形自由度が非常に少なく変形し難い(突っ張っている)。一方で、合力F3の方向に対して、他端部132は合力F3とのなす角度が大きいので、変形自由度が高い。よって、図2に示す破線のような変形が可能となる。そして、図2の矢印A方向に、他端部132が変形できることで、支持部材13に支持されるブレード14が感光体ドラム1に食い込まずに済む。その結果、抗力F1の上昇は抑えられるのである。このため、感光体ドラム1を駆動させる為の駆動トルクの増加、ブレードの捲れを抑制できるのである。
【0031】
なお、他端部132は、合力F3による曲げモーメントを強く受ける構成であることが望ましい。それゆえ、一端部131はブレード14から力を受けて、他端部132を弾性変形させるように構成されている。
【0032】
また、他端部132は、合力F3によって、図2の矢印A方向に弾性変形できることが重要である。よって、ブレード14は、一端部131のみで支持し、曲げ部133にかからないように設けて、他端部132の弾性変形(曲げ)を阻害しないようにしている。
【0033】
図3は、感光体ドラム1が静止した状態から移動する際の、支持部材13が変形する様子を示す概念図である。支持部材13に支持されるブレード14が感光体ドラム1に、より食い込まないで済むことが望ましい。それゆえ、感光体ドラム1が静止した状態から移動する際に、曲げ部133が感光体ドラム1の表面から離れる方向に移動可能に構成されているのが望ましい。
【0034】
支持部材13の材質としては、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネイト(PC)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等に代表されるエンジンニアリングプラスティックを使用することができる。その板厚と一端部131及び他端部132の長さとクリーニング部材12の感光体ドラム1への侵入量を調整することによって、所望のクリーニング当接圧を得れば良い。
【0035】
また、支持部材13の材質として、例えば、SUS、リン青銅板等のバネ特性を有する金属のばね部材も使用できる。上記のエンジンニアリングプラスティックよりも金属材質の方が、生産性、コスト、精度等の面で有利である。また、弾性を有する制振部材等も用いることができる。
【0036】
次に、クリーニング装置11について説明する。クリーニング装置11は、感光体ドラム1から除去したトナー4を収容する、枠体で構成される収容部としてのクリーニング容器15と、クリーニング容器15に設けられた固定部153と、クリ―ニング部材12を有する。
【0037】
図4は、本実施形態におけるクリーニング装置11の構成概略図である。
クリーニング装置11は、クリーニング部材12と、スクイシート16と、クリーニング容器15で構成されている。クリーニング部材12は、感光体ドラム1の表面に当接し、転写後に残留する残トナー4をかき落とすためのものである。スクイシート16は、かき落としたトナー4をすくい取るためにクリーニング部材12の感光体ドラム1の回転方向に対して上流側に配置し、且つ感光体ドラム1の表面に接触するものである。クリーニング容器15は、すくい取った残トナー4を溜めるものである。クリーニング部材12は、支持部材13の被固定部134において、クリーニング容器15に設けられた固定部153に固定される。クリーニング部材12のクリーニング容器15への固定方法の一例としては、図4に示すように、保持部材151を介して、長手方向に数ヵ所に配置した取り付けネジ152によって固定してある。
【0038】
次に、画像形成装置本体Mに着脱可能であって、感光体ドラム1と、クリーニング容器15に設けられた固定部153と、本発明に係るクリーニング部材12を有するプロセスカートリッジ17について説明する。
【0039】
図5は、本実施形態におけるプロセスカートリッジ17の構成概略図である。
プロセスカートリッジ17は、感光体ドラム1、帯電ローラ2、現像装置5、クリーニング装置11の4つのプロセス機器がカートリッジ容器に一体的に組み込まれている。そしてプロセスカートリッジ17は、画像形成装置本体Mに対して着脱可能な構成している。
【0040】
次にクリ―ニング部材12のさらに詳しく説明する。
図6は、本実施例1におけるクリーニング部材12の構成詳細図である。
上述した通り、クリーニング部材12は、可撓性を有する支持部材13とブレード14から構成される。支持部材13は、ブレード14が設けられた一端部131と、クリーニング容器15の固定部153に固定される被固定部134を有する他端部132と、一端部131と他端部132との間に位置する曲げ部133から構成される。そして、曲げ部133は、ブレード14が感光体ドラム1に当接する当接部138と被固定部134を結んだ線分に対して、感光体ドラム1表面から外側に離れる側に位置する。
【0041】
本実施例1では、支持部材13の材質としてSUS材を用いた。その板厚tは、0.2mmのものを使用した。図6に示す、曲げ部133の角度θは感光体ドラム1の回転軸方向に一様に90°とした。このとき、支持部材13の一端部131の長さをL1、他端部132の長さをL2とすると、L1=12mm、L2=12mmとした。また、従来と同様、感光体ドラム1とクリーニング部材12の設定角を30度、侵入量を1.05mmとした。
【0042】
このときのクリーニング部材12の感光体ドラム1への当接圧は感光体ドラム1の回転軸方向1cmあたり約35gfであった。比較のため、設定角20度で確認を行ったところ、当接圧は、感光体ドラム1の回転軸方向1cmあたり約30gfであった。
【0043】
なお、曲げ部133の角度θは、特に90°である必要はない。支持部材13の一端部131の長さL1、他端部132の長さL2、設定角、侵入量を調整して、所定の当接圧が得られれば良い。
【0044】
ブレード部材14の材質は、ウレタンゴムを用いた。その硬度は、JISA硬度70度のものを用いた。ブレード部材14自体の変形は小さくして、一端部131が他端部132を弾性変形させる力を大きくすることが望ましい。そこで、その形状は図6に示すとおり、ブレード部材14の変形による影響を極力小さくする方が良く、本実施例1では、k=3.0mm、l=2.0mm、m=0.5mm、n=0.5mmとした。
【0045】
比較例として、従来知られているクリーニング部材212に対しても確認した。図18は、従来知られているクリーニング部材212の構成詳細図である。剛性を有する支持部材213の先端にブレード214が支持されている。弾性体であるブレード214が変形することによって、クリーニング当接圧を得ている。ブレード214の材質は、ウレタンゴムで、その硬度は、JISA硬度70度のものを用いた。図17に示す、ブレード214の自由端の長さをLとし、L=5.2mmとした。支持部材213の材質は、SUS材であって、その板厚tは、1.8mmとした。感光体ドラム1とクリーニング部材12の設定角を30度、侵入量を1.05mmとした。このときのクリーニング部材12の感光体ドラム1への当接圧は感光体ドラム1の回転軸方向1cmあたり約35gfであった。
【0046】
これらのクリーニング装置に対して変形計算を行い、動的な当接圧を計算により算出した。計算方法として、かかる摩擦を想定しクリーニング部材の先端が感光体ドラム1回転下流方向に押し込まれたときの変形形状とかかる力との関係を計算した。そして、得られた力から感光体ドラム1面に垂直な成分を当接圧、平行な成分を摩擦力とし、更にその比を摩擦係数として求めた。
【0047】
このときの変形計算としてはブレード支持体、ブレードの中立軸を考慮することにより、単純な2次元の片持ちの梁(Bernoulli−Euler の仮定)でモデル化し計算を行った。なお、計算に用いたパラメータとして、SUS板の曲げ縦弾性率E=167,000MPa、ウレタンゴムの縦弾性率E=6MPaを用いた。
【0048】
図7にその結果を示す。横軸が動摩擦係数、縦軸が当接圧を示す。図7(a)が本実施例1、図7(b)が比較例の結果を示している。本実施例1の方が比較例に対して、動摩擦係数に対する当接圧の変化が非常に少ないことが見てとれる。
【0049】
図8に動摩擦係数と摩擦力の関係を示す。横軸が動摩擦係数、縦軸が摩擦力を示す。図8(a)が本実施例1、図8(b)が比較例の結果を示している。本実施例1の方が比較例に対して、動摩擦係数に対する摩擦力の変化が少ないことが見てとれる。比較例では、動摩擦係数の増加に対して、加速度的に摩擦力が増加する。一方で、本実施例1では、動摩擦係数の増加に対して、ほぼ直線的な増加にとどまっている。上記のモデル化計算においても、本発明に係るクリーニング部材12の構成をとることで、従来よりも当接圧の安定化が図れることを確認できた。
【0050】
本実施例1のクリーニング部材12の変形例について説明する。
図9(a)、(b)、(c)、(d)、及び(e)、(f)は、本実施例1に係るクリ―ニング部材12の支持部材13の変形例を示している。
【0051】
本実施例1においては、支持部材13は、一部材の金属の板ばねを曲げたものである。これに対して、図9(a)、(b)、(c)、(d)に示すように、支持部材13が一端部131と他端部132の2部材で構成されていても良い。一端部131がブレード14から力を受けて、他端部132を弾性変形させる構成であることを考慮すると、図9(c)、(D)の構成の方が、2部材の連結が外れ難い構成なので、より適した構成であると言える。
【0052】
また、図9(e)、(f)に示すように、支持部材13は一端部131と他端部132と曲げ部133の3部材で構成されていても良い。
【0053】
次に、図10(a)、(b)は、本実施例1に係るクリ―ニング部材12のブレード14の変形例を示している。
【0054】
本実施例1において、支持部材13とブレード14は、型成型で取り付けられた構成をしている。これに対して、図10(a)、(b)に示すように、両面テープあるいはホットメルト接着剤によって、支持部材13にブレード14を貼り付けた構成でも構わない。この構成では、製造コストを下げることができる。
【0055】
更に、図10(b)は、ブレード部材14を感光体ドラム1の移動方向において、支持部材13の一端部131の上流側に設けているとこが特徴である。上述したとおり、一端部131は、ブレード14から力を受けて、他端部132を弾性変形させるように構成されるのが望ましい。そこで、図10(b)に示す構成をとることで、感光体ドラム1が回転する際に、支持部材13からブレード14が剥がれ難い構成とすることができる。
【0056】
(実施例2)
実施例2のクリ―ニング部材12の本実施例2について説明する。
図11(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例2に係るクリ―ニング部材12の支持部材13を示す。
図11(a)は、一部材から構成される支持部材13において、一端部131の長さが他端部132の長さより短いことが特徴である。図11(b)は、一端部131の曲げ応力に対する剛性(強度)を大きくするための絞り部136を設けたことが特徴である。図11(c)は、一端部131の剛性を大きくするために、別部材である補強部材135を設けたことが特徴である。
【0057】
本実施例の効果を効率よく得るためには、一端部131がブレード14から力を受けて、他端部132を弾性変形させる構成であることが望ましい。本実施例2に示すように、一端部131の剛性を上げることで、ブレード14からの力を他端部132により良く伝達することができる。その結果、他端部132は、より良く弾性変形することができるので、本発明の効果をより効率的に得ることができる。
【0058】
また、図11(d)は、剛性を有する一端部139を設けたことが特徴である。本実施例2では、一端部139の板厚は、0.8mmとしてある。この構成をとることでも、ブレード14からの力を他端部132により良く伝達することができるので、本発明の効果をより効率的に得ることができる。更に、一端部139が長手方向においても剛性を有するが故に、長手方向での当接圧の安定化が図れる。
【0059】
(実施例3)
実施例3のクリ―ニング装置11の実施例3について説明する。
図12は、本実施例3に係るクリーニング装置11の構成概略図を示す。
クリーニング部材12は、固定部に取り付けられる、感光体ドラム1から転写後に残留する残トナー4を除去するものである。クリーニング部材12は、感光体ドラム1に移動方向に対してカウンター方向で感光体ドラム1に当接するブレード14と、ブレード14を支持する支持部材13から構成される。
【0060】
支持部材13は、ブレード14を支持し、可撓性を有する湾曲形状の支持部材13であることが特徴である。先端側にブレード14が設けられたブレード部支持部140と、固定部153に固定される被固定部134と、ブレード部支持部140と被固定部134との間に位置する曲げ頂点137から構成される。そして、曲げ頂点137は、ブレード部14が感光体ドラム1に当接する当接部138と被固定部134を結んだ線分に対して、感光体ドラム1表面から外側に離れる側(感光体ドラム1表面から遠ざかる側)に位置する。
【0061】
また、支持部材13は、当接部138に対して、被固定部134が感光体ドラム1の移動方向の下流側に配置され、ブレード14をブレード部支持部140のみで支持される。
【0062】
また、実施例2と同様に、曲げ頂点137からブレード14が設けられている先端側の領域にかけて、曲げ応力に対する剛性(強度)を大きくするため補強部を設けても良い。補強部は、図11と同様に絞り部でも、別部材である補強部材であっても良い。
【0063】
本実施例3の構成をとることで、クリーニング装置11の小型化、特に薄型化を図ることができる。また、残トナー4を収納する収納容積を大きくすることが可能である。その他の構成は実施例1と同様である。また、作用、効果も実施例1と同様になる。
【0064】
(実施例4)
本発明に係るクリーニング装置11の実施例4について説明する。
図13は、本実施例4に係るクリーニング装置11の構成概略図を示す。
本実施例4のクリーニング装置11においては、感光体ドラム1を帯電する帯電ローラ2が、ブレード14が感光体ドラム1に当接する当接部138と被固定部134を結んだ直線と、支持部材13とで囲まれる領域に設けられることを特徴としている。
【0065】
本実施例4の構成をとることで、クリーニング装置11のスペースの効率化をおこなうことができ、小型化を図ることができる。また、支持部材13が帯電ローラ2を大半覆い隠すことになるので、帯電ローラ2による帯電音の低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0066】
M 装置本体
1 感光体ドラム
2 帯電ローラ
3 レーザビームスキャナ
4 トナー
5 現像装置
6 記録媒体
7 現像スリーブ
8 給紙ローラ
9 転写ローラ
10 定着器
11 クリーニング装置
12 クリーニング部材
13 支持部材
14 ブレード
15 クリーニング容器
16 スクイシート
17 プロセスカートリッジ
18 中間転写ベルト
19 中間転写ベルトクリーナー
20 2次転写ローラ
21 転写・搬送ベルト
22 転写・搬送ベルトクリーナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部に取り付けられる、被清掃体の表面から現像剤を除去するクリーニング部材において、
前記被清掃体の移動方向に対してカウンター方向で前記被清掃体に当接するブレード部と、
前記ブレード部を支持し、可撓性を有する支持部材であって、前記ブレード部が設けられた一端部と、前記固定部に固定される被固定部を有する他端部と、前記一端部と前記他端部との間に位置し、前記ブレード部が前記被清掃体に当接する当接部と前記被固定部を結んだ線分に対して、前記被清掃体の表面から外側に離れる側に位置する曲げ部と、を有し、前記被固定部は前記当接部に対して、前記被清掃体の移動方向の下流に配置され、前記ブレード部は前記一端部のみで支持される支持部材と、
を有するクリーニング部材。
【請求項2】
前記一端部は前記ブレード部から力を受けて、前記他端部を弾性変形させるように構成されている請求項1に記載のクリーニング部材。
【請求項3】
前記被清掃体が静止した状態から移動する際に、前記曲げ部は前記被清掃体の表面から離れる方向に移動可能に構成されている請求項1又は2に記載のクリーニング部材。
【請求項4】
前記他端部と前記一端部とは別部材で、いずれか一方に設けられた前記曲げ部を介して連結する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のクリーニング部材。
【請求項5】
前記他端部と前記一端部と前記曲げ部は別部材である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のクリーニング部材。
【請求項6】
前記一端部は、曲げ応力に対する強度を増すための補強部を有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のクリーニング部材。
【請求項7】
前記補強部は、前記一端部とは別部材である請求項6に記載のクリーニング部材。
【請求項8】
前記ブレード部は、前記被清掃体の移動方向において、前記一端部の上流側に設けられている請求項1乃至7のいずれか一項に記載のクリーニング部材。
【請求項9】
前記支持部材は、金属の板ばねである請求項1乃至8のいずれか一項に記載のクリーニング部材。
【請求項10】
画像形成装置に用いられるクリーニング装置であって、枠体に設けられた前記固定部と、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のクリーニング部材と、前記被清掃体から除去した現像剤を収容する収容部と、を有するクリーニング装置。
【請求項11】
画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、前記被清掃体である像担持体と、枠体に設けられた前記固定部と、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のクリーニング部材と、を有するプロセスカートリッジ。
【請求項12】
前記像担持体は、感光体ドラムである請求項11に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項13】
前記プロセスカートリッジは、前記像担持体を帯電する帯電部材であって、前記ブレード部が前記像担持体に当接する当接部と前記被固定部を結んだ直線と、前記支持部材とで囲まれる領域に設けられた帯電部材を有する請求項11又は12に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項14】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、前記被清掃体と、前記固定部と、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のクリーニング部材と、を有する画像形成装置。
【請求項15】
前記被清掃体は、現像像を形成する感光体である請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記被清掃体は、現像像が転写される中間転写体である請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記被清掃体は、前記記録媒体を搬送する搬送部材である請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記画像形成装置はカラー画像を形成可能な請求項14乃至17のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項19】
固定部に取り付けられる、被清掃体の表面から現像剤を除去するクリーニング部材において、
前記被清掃体の移動方向に対してカウンター方向で前記被清掃体に当接するブレード部と、
前記ブレード部を支持し、可撓性を有する湾曲形状の支持部材であって、先端側に前記ブレード部が設けられたブレード部支持部と、前記固定部に固定される被固定部と、前記ブレード部支持部と前記被固定部との間に位置し、前記ブレード部が前記被清掃体に当接する当接部と前記被固定部を結んだ線分に対して、前記被清掃体の表面から外側に離れる側に位置する曲げ頂点と、を有し、前記当接部に対して、前記被固定部が前記被清掃体の移動方向の下流側に配置され、前記ブレード部を前記ブレード部支持部のみで支持する支持部材と、
を有するクリーニング部材。
【請求項20】
前記被清掃体が静止した状態から移動する際に、前記曲げ頂点は前記被清掃体の表面から離れる方向に移動可能に構成されている請求項19に記載のクリーニング部材。
【請求項21】
前記曲げ頂点から前記先端側にかけての領域には、曲げ応力に対する強度を増すための補強部を有すると請求項19又は20に記載のクリーニング部材。
【請求項22】
前記補強部は、前記支持部材とは別部材である請求項21に記載のクリーニング部材。
【請求項23】
前記ブレード部は、前記被清掃体の移動方向において、前記ブレード部支持部の上流側に設けられている請求項19乃至22のいずれか一項に記載のクリーニング部材。
【請求項24】
前記支持部材は、金属の板ばねである請求項19乃至23のいずれか一項に記載のクリーニング部材。
【請求項25】
画像形成装置に用いられるクリーニング装置であって、枠体に設けられた前記固定部と、請求項19乃至24のいずれか一項に記載のクリーニング部材と、前記被清掃体から除去した現像剤を収容する収容部と、を有するクリーニング装置。
【請求項26】
画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、前記被清掃体である像担持体と、枠体に設けられた前記固定部と、請求項19乃至24のいずれか一項に記載のクリーニング部材と、をするプロセスカートリッジ。
【請求項27】
前記像担持体は、感光体ドラムである請求項26に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項28】
前記プロセスカートリッジは、前記像担持体を帯電する帯電部材であって、前記ブレード部が前記像担持体に当接する当接部と前記被固定部を結んだ直線と、前記支持部材とで囲まれる領域に設けられた帯電部材を有する請求項26又は27に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項29】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、前記被清掃体と、前記固定部と、請求項19乃至24のいずれか一項に記載のクリーニング部材と、を有する画像形成装置。
【請求項30】
前記被清掃体は、現像像を形成する感光体である請求項29に記載の画像形成装置。
【請求項31】
前記被清掃体は、現像像が転写される中間転写体である請求項29に記載の画像形成装置。
【請求項32】
前記被清掃体は、前記記録媒体を搬送する搬送部材である請求項29に記載の画像形成装置。
【請求項33】
前記画像形成装置はカラー画像を形成可能な請求項29乃至32のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−50527(P2013−50527A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187328(P2011−187328)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】