説明

クレーンジブ、とりわけ付勢された引張部材を有する移動式クレーンジブ

【課題】クレーン、とりわけ移動式クレーンのジブ部品に関し、クレーン作業中において、クレーンのジブ部品に生じる局所的なストレスを緩和して、より軽量で、頑健なジブ部品を提供する。
【解決手段】ジブ部品10は、成形シェル、伸張部品11、および保護層13,14を備え、伸張部品は、付勢され、センサが取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジブ、特にクレーンジブに関し、とりわけ請求項1に記載のクレーンジブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
先行技術に係るジブは純粋に静的に設計されている。既知の構成部品は以下の通りである。
・たとえば鉄、アルミニウムなどの等方性物質からなる部品
EP0449208A2,EP0668238A1、DE20004016U1、EP0814050B1、DE202009009143U1
・2つまたはそれ以上のシェル挟持構造体
DE19948830B4、EP0117774
・鉄、繊維複合体からなる組み合わせ、歪みゲージの有無
EP0968955B1、UK1326943、DE4408444C1、DE102008013203A1
・繊維複合構造体
US5238716、US5333422
・引張システム
DE10022658、DE20020974、DE10315989.4-22
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP0449208A2
【特許文献2】EP0668238A1
【特許文献3】DE20004016U1
【特許文献4】EP0814050B1
【特許文献5】DE202009009143U1
【特許文献6】DE19948830B4
【特許文献7】EP0117774
【特許文献8】EP0968955B1
【特許文献9】UK1326943
【特許文献10】DE4408444C1
【特許文献11】DE102008013203A1
【特許文献12】US5238716
【特許文献13】US5333422
【特許文献14】DE10022658
【特許文献15】DE20020974
【特許文献16】DE10315989.4-22
【発明の概要】
【0004】
これらの構造はすべて受動的である。クレーン作業で生じる影響により、端部領域における局所的なピークのストレス(歪み)が生じ、これらのストレスはそれぞれ測定すべきである。
【0005】
本発明の目的は、ストレスに関し、構成を最適化することにある。それは請求項1の主題により解決され、従属クレームは有利な実施形態を定義する。
【0006】
本発明の実施形態において、図面に示す以下の形態を構成することができる。
【0007】
個別のジブ部品は、伸張部品を用いて適正に付勢することができ、伸張部品は、長手方向に、すなわちジブ軸に対して対角線方向に配置されており、センサを用いてジブ部品の使用状態を制御し、モニタするものである。適応システムが外的作用に対抗できるように、センサを制御ループ内のアクチュエータに接続することができる。これらの伸張部品は、成形シェルの内面および/または外面の上、あるいはフレームワーク構造の中空導管内に配設されている。横断方向の力に対抗し、これを吸収するために、ジブ軸に対して横断する方向に延びる外部ファイバ複合層がジブ部品の一部または周囲全体に配置され、すなわち周方向に覆うように配置される。入れ子式伸縮部品は、内側および/または外側において、良好なスライド特性を有する耐摩耗性コーティングが施されている。
【0008】
すなわち、1つまたはそれ以上の付勢された伸張部品を複合的構造に採用し、センサを用いて、その伸張状態を検出することができる。材質はよりよく用いることができる。屈曲モーメントを制御するために、負荷トルクの測定に対する信号を生成することができる。測定値は制御プロセスおよびセキュリティシステムの不可欠な要素である。
【0009】
システムが能動的に付勢された場合、隣接する付勢部品の伸張ストレスが低減されるため、成形シェルの圧縮性ストレスは、ほぼ一定に維持することができる。これに呼応して、付勢力は伸張領域においてほぼ一定に維持されると同時に、シェル内の圧縮性ストレスが低減する。センサを用いて同時にモニタすることは、安全性および利便性を改善するものである。軽量構造は、クレーン構造、とりわけジブ構造において極めて重要である。精密な構造、および有利に作用する付勢力を用いて、軽量で高強度材料を用いることにより、ジブ部品を頑健で、軽量にして、ほとんど変形しないものとすることができる。引張構成と比較して、本発明に係るポール(棒)によれば、必要とするスペースがより小さくて済む。強度領域および安定領域における最大積載量を継続的に増やすことができる。
【0010】
センサを制御ループ内のアクチュエータに接続した場合、管理または制御された適応状態となるように異なる力を与えることができる。長手方向の異なる力を加えることにより、抑制力がジブ部品に生じ、物理的ストレスに対抗するものとなる。こうして静的に一定でないシステムは、ストレスが集中するところを移動させることができる。異なる負荷を加えることにより、負荷が断面にほぼ均一に配分され、局在的なピークストレスを回避することができる。
【0011】
これまで、ジブ長手方向軸における引張ロープからの力成分は、複数のジブ部品に加わるものである。個々の接続部分には追加的な力が加えられ、より大きく設計する必要がある(ボルトユニット、シリンダ、ロープ等)。本発明によれば、個々のジブ部品を付勢するので、作用する付勢力を抑制し、接続部品には追加的力が加えられることなく、より安価に設計することができる。
【0012】
中でも、光ファイバセンサまたは圧電センサを信号発生器として用いることができる。圧電部品は、部品に対する損傷を認識することができる。
【0013】
アクチュエータは、部品におけるさまざまな張力を形成することができる。中でも、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、スピンドル、ばね、または圧電アクチュエータを採用することができる。
【0014】
インテリジェント型の電子制御ループを用いて、力が個々の付勢部品に加わるように、すなわち個々の付勢部品が異なる長さを有するように、さまざまな応力が個別のジブ部品に独立して与えられる。シェル、センサおよび/またはアクチュエータを含む伸張部品、包囲層からなるシステムは、利用状況を認識し、調整し、断面における負荷が均一となるように配分する。最大積載量および利便性が改善される。自重を抑制して、安定性を増大させる。変形および振動が大幅に低減され、疲労強度が増大され、負荷の往復運動が低減され、あるいは防止される。
【0015】
成形シェルの断面は、材料強度は低くとも、圧縮性ストレスを吸収するのに適するように構成される。鋭い端部の移行部分を形成することなく、外側に湾曲するように成形することが好ましい。
【0016】
成形シェルを形成するための好適な材料は、中でも、細粒鋼、アルミニウム、またはファイバ組成物であることが好ましい。
【0017】
好適にも、伸張部品としてロッド、ワイヤ、またはディスクを採用することができる。断面方向の分割は任意である。伸張部品は、断面全体に配置されるか、部分的に配置される。好適には、ファイバ長手方向に対して横断方向に小さい強度を有する異方性材料を用いるために、伸張部品は、スライドベアリングの間に配置される。伸張部品は、ジブ方向またはこれに対して斜め方向に延びるものであってもよい。斜め方向に延びる伸張部品と長手方向に延びる長手方向とを組み合わせることにより、ジブの屈曲負荷および捻れ負荷に対抗することができる。異方性材料をスライドベアリング表面上に配置した場合、スライド保護層により、ベアリングから極度に集中した横断方向の力を分散することができるように留意する必要がある。好適な材料は、中でも、カーボンファイバ、高強度ステンレスワイヤ、または高性能プラスティックファイバである。
【0018】
本願の材料または事例によれば、伸張部品の断面形状は任意である。伸張部品の固定位置および力の作用点は、ジブ部品の端部フレームまたはその内部に位置する。伸張部品は、成型シェルを横断する中空のプロファイル(形状物)、チャンネル、または弾性材内に配置される。伸張部品が成形シェルおよび/または保護層とともに抗剪断ユニットを構成する場合、接続する前に付勢しておく必要がある。伸張部品が、接続手段なく、成形シェルと横断巻きとの間にある場合、これらは屈曲変形により把持され、シェルおよび横断巻との形状嵌合接続を構成する。
【0019】
伸張部品が中空形状物内に配置された場合、剪断力に対抗するように成形シェルに接続され、断面の部品を支持することが好ましい。シェル、中空形状物、および保護層の組み合わせにより、安定性が改善された有用な挟持構造を実現することができる。
【0020】
格子状または枠状構成のベルトが中空形状物を構成する場合、本発明に係る伸張ユニットは、支持機能、破壊強度、利便性を肯定的に支援するものである。
【0021】
伸張部品は、好適にも、損傷および環境的な影響から保護される。
【0022】
周囲に形成された横断巻により、伸張部品を所定位置において長手方向軸に延びた状態に維持し、成形シェルから外れないようにすることができる。長手方向に対して横断する方向において強い圧縮力を吸収するような材質(グラスファイバ、天然繊維、高性能プラスティックファイバ等)であることが好ましい。周囲材料層は横断方向の力を吸収し、その強化作用により全体強度が向上し、シェル構造の破壊のリスクが低減される。周方向ファイバ合成層は、伸張部品を保護するとともに、耐摩耗性が高く、スライド可能なカバー層を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明により構成されたジブを貫通する断面図である。
【図2】図1の断面図の詳細拡大図である。
【図3】図2のトップシェル部分のさらなる拡大図である。
【図4】本発明により構成されたクレーンジブの斜視図である。
【図5】図4に示すジブの前方カラー部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付図面において、本発明のいくつかの実施形態が詳細に説明されている。
図示された改良ジブは、さまざまな実施形態について概略的に上述したように構成することができる。図面おいて、参照符号10は、極めて一般的にジブまたはジブ断面と呼ばれる。参照符号11で示す付勢された伸張部品が、中空プロファイル(中空形状物)12内に収容されている。参照符号13は、横断ファイバ層と呼ばれ、保護層またはスライド層が参照符号14で示されている。内側シェル15は成形シェルであり、トップシェルと垂直領域との間の移行領域内に配設されたディスクまたはディスク部品が参照符号16で図示されている。センサおよび/またはアクチュエータが収容されたアンカーの構成が参照符号17で図示されている。
【符号の説明】
【0025】
10…ジブ部品、11…伸張部品、13…横断ファイバ層、14…保護層またはスライド層、15…成形シェル、16…ディスク部品、17…アンカー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーン、とりわけ移動式クレーンのジブ部品(10)であって、
成形シェル(15)、伸張部品(11)、および保護層(13,14)を備え、
伸張部品は、付勢され、センサが取り付けられていることを特徴とするジブ部品。
【請求項2】
伸張部品(11)は、アクチュエータを用いて、ジブ部品に調節可能な付勢圧力を加えることを特徴とする請求項1に記載のジブ部品。
【請求項3】
ジブ部品(10)は、制御ループを用いて、センサおよびアクチュエータにより、外的作用に適応して対抗することを特徴とする請求項1または2に記載のジブ部品。
【請求項4】
伸張部品(11)のアンカー(17)は、端部フレームまたはその内部に配設されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のジブ部品。
【請求項5】
センサは、伸張部品(11)と一体に構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のジブ部品。
【請求項6】
センサおよび/またはアクチュエータは伸張部品(11)の端部に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載のジブ部品。
【請求項7】
伸張部品(11)は、ジブ軸に対して横断する方向に延びるファイバ層(13)に包囲されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載のジブ部品。
【請求項8】
伸張部品(11)は、チャンネルまたは中空プロファイルの内部において延びることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載のジブ部品。
【請求項9】
伸張部品(11)は、弾性材内に埋設されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載のジブ部品。
【請求項10】
伸張部品(11)は、包囲され、把持されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載のジブ部品。
【請求項11】
伸張部品(11)は、付勢され、成形シェル(15)および/または保護層または被膜層に剪断ずれしないように接続されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1に記載のジブ部品。
【請求項12】
成形シェル、伸張部品を含む中空プロファイル、および保護層は、剪断ずれしないように接続され、挟持構造を形成することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1に記載のジブ部品。
【請求項13】
伸張部品(11)は、ジブ軸の長手方向および/またはこれに対して斜め方向に延びることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1に記載のジブ部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−236055(P2011−236055A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−103974(P2011−103974)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(507186322)マニトワック・クレーン・グループ・フランス・ソシエテ・パール・アクシオン・サンプリフィエ (12)
【氏名又は名称原語表記】Manitowoc Crane Group France SAS
【Fターム(参考)】