説明

クロマトグラフィー精製のための方法及び装置

混合物が少なくとも1つの溶媒(s)によって供給される個々のクロマトグラフィーカラムを用いた多成分混合物(F)の連続又は準連続精製のためのプロセスを提案する。
多成分混合物(F)は少なくとも、軽い不純物(A)、精製されるべき中間生成物(B)及び重い不純物(C)を含み、カラムは少なくとも4つのセクション(α,β,γ,δ)に分類され、そのうち、第1のセクション(α)は溶媒(s)の少なくとも1つの入口と精製された中間生成物(B)用の少なくとも1つの出口を備え、精製された中間生成物(B)をシステムの外に洗い出すが、重い不純物(C)はセクション(α)内部に保持し、第2のセクション(β)は溶媒(s)の少なくとも1つの入口と第4のセクション(δ)の入口に接続された少なくとも1つの出口を備え、この出口を通して重い不純物(C)で汚染されている中間生成物(B)を第4のセクション(δ)へと洗い流すが、純粋な重い不純物(C)はセクション(β)内部に保持し、第3のセクション(γ)は溶媒(s)の少なくとも1つの入口と重い不純物(C)用の出口を1つ備え、この出口を通して重い不純物(C)を洗い出し、クロマトグラフィーカラムを洗浄し、第4のセクション(δ)は第2のセクション(β)の出口のアウトプットを受けるための少なくとも1つの入口と、多成分混合物(F)を供給するための少なくとも1つの入口と軽い不純物(A)用の少なくとも1つの出口を備え、軽い不純物(A)はシステムの外へ洗い出すが、中間生成物(B)はセクション(δ)内部に保持し、スイッチ時間(t)後又は内に、第1のセクション(α)からの最後のカラムを第2のセクション(β)の第1のポジションへ移動させ、第2のセクション(β)の最後のカラムを第3のセクション(γ)の第1のポジションへ移動させ、第3のセクション(γ)の最後のカラムを第4のセクション(δ)の第1のポジションへ移動させ、第4のセクション(δ)の最後のカラムを第1のセクション(α)の第1のカラムになるよう移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多カラム精製プロセス及びその最適化の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
バッチクロマトグラフィーは周知で、工業生産において定常的且つ予備的に利用される。その技術はしかしながら、溶媒消費量が多く、カラム剤が高価であるため、特に大規模な分離・精製に対してはかなりコスト高となる。収益を高めるために、クロマトグラフ装置の最適な使用が求められている。
【0003】
実際の生産における大規模な分離に対しては、バッチプロセスよりも連続プロセスのほうがはるかに経済的である。連続プロセスの利点は、例えば、高収率、より少ない溶媒消費量(回収)、低コストの分別・分析、精製される量に対する高い柔軟性、などである。
【0004】
連続クロマトグラフ法を実現するための1つの方法は、いわゆる疑似移動床法(SMB、例えばMarkus Juza、 Marco Mazzotti and Massimo Morbidelli、 疑似移動床クロマトグラフとキラルテクノロジーへのその応用、 Trends in biotechnology, Elsevier B.V., TIBTECH,March 2000,Vol.18,p 108−118を参照)である。この方法は、2つの入口流(供給物(feed)、溶離剤)と2つの出口流(ラフィネート、抽出物)を調整することにより、混合物を2つの画分に分離することができる。SMB法は、2つの画分の明確な分離が高収率で可能なように向流である。業界におけるSMB技術の典型的な例としてキラル分離があるが、2つの鏡像体がラセミ混合物から分離される。選択性が非常に小さい場合、通常バッチプロセスでは収益率がかなり小さいが、SMBでは高純度かつ高収率となり得る。
【0005】
最適化及び個別の問題に合わせるために、SMB法の各種改良が提案されてきた。例えば、入口流及び出口流の個々の接続及び切断の瞬間(instants)を変えることが提案され、すなわち、入口流と出口流が古典的なSMBのように同時に切り替えられるのではなく、個別の段階的なスキーム(いわゆるVaricol−technique、例えばWO−A−2004/039468参照)により切り替えられる。
【0006】
各サイクル時間後の不連続な切り替えによる抽出物及びラフィネートのアウトプット濃度の経時変化を補償するために、溶離剤の流量を切り替え間隔に合わせて補償するように変え、より高い純度を与える(いわゆるパワーフィードテクニック)という別の変形が、Morbidelliらによって提案されている(例えば、「疑似移動床ユニットのパワーフィードオペレーション:切り替え間隔中の流量変化」Ziyang Zhang、Marco Mazzotti、Massimo Morbidelli、Journal of Chromatography A、1006(2003)87−99、Elsevier B.V.)。
【0007】
同じ目的を達成するために、溶離剤の流量でなく供給濃度を補償するように変化させるという第3の準類似の(quasi−analogous)変形が提案されている(いわゆるModicon technique、例えばWO2004/014511参照)。
【0008】
既に述べたように、特に大規模なクロマトグラフィーは、面倒で高価なテクニックであり、高価な分子の大規模な分離に対してのみ有益である。市場において最も高価な分子は、例えばペプチド、プロテインや抗体のような生体分子である。これらの分子は、通常、溶媒グラジエントバッチクロマトグラフィーによって精製される。本出願の内容においては、1つの混合物を2つの画分に分離することを表す「分離」とは対照的に、「精製」は、目的生成物が軽い吸着不純物と重い吸着不純物の間の中間体であり、3つの画分が生成されるということを意味する。1つのSMBサイクルは、供給流を2つの画分に分割する(分離)ことができるだけで、精製に対しては、中間体画分中の目的成分を含む3つの画分が必要とされる。中間的な目的生体分子と重い不純物と軽い不純物との多成分混合物を精製するためには、2つの段階的又は連続的なSMBが必要とされるが、例えば、第1段階SMBで第1のラフィネートと第1の抽出物が生成され、第2段階SMBで第1の抽出物が第2のラフィネート(目的生成物)と第2の抽出物に分離される場合、第1段階で分離される(第1のラフィネートで終わる)べきであった全ての不要な構成物質は、特に低濃度の目的画分に対して、このようなプロセスを無益にする第2のラフィネートで確かに終わるという問題がある。
【0009】
上記とは別に、他のモディファイア(modifier)変形がSMBスキームに応用されており、ここ数年SMB法等も、いわゆる「溶媒グラジエントモード」で行われている(例えばUS4,031,155参照)。この「溶媒グラジエント」の意味は、SMBが、異なるモディファイアレベルで操作されるセクションを含むということである。この種のグラジエントは「ステップグラジエント」である。しかしながら、生体分子の精製に対しては、通常(線形)溶媒グラジエントバッチ精製で用いられるような、なめらかな線形グラジエントが望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、3つの画分を分離することができる改良された精製プロセスを提供することである。このプロセスは、特に大規模な利用を考慮して、構成が簡単で、高い純度と高い収率が可能でなくてはならない。混合物が少なくとも1つの溶媒を用いて供給される個々のクロマトグラフィーカラムによって、多成分混合物の連続又は準連続精製のためのプロセスが提案される。このプロセスの目的は2つの画分の単なる分離ではなく、少なくとも、軽い不純物、精製されるべき中間生成物及び重い不純物を含む真の多成分混合物を精製可能な、すなわち中間生成物が単離され、たとえこの中間又は目的生成物が重い不純物と軽い不純物に比較して少量でしか存在していない場合でも単離することができるという主たる利点がある。
【0011】
本発明は、グラジエントバッチクロマトグラフィーの可能性と疑似移動床技術の原理、又はむしろ向流原理と組み合わせることにより上記問題を解決し、それによりグラジエントバッチクロマトグラフィーの可能性だけでなく連続精製からも利益が得られる。
【0012】
従って、本発明の目的は、請求項1のプロセス並びにそのようなプロセスを構成するための方法及びそのようなプロセスを実行するための装置の提供である。
【0013】
多成分混合物の連続又は準連続精製のためのこのようなプロセスにおいては、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの個々のクロマトグラフィーカラムが用いられ、このカラムを通して混合物が少なくとも1つの溶媒を用いて供給される。上述のように、多成分混合物には、少なくとも、軽い不純物、精製されるべき中間生成物及び重い不純物が含まれるので、システムは、実質的には中間体画分を単離することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
驚いたことに、1つのカラムの出口が目的中間生成物を収集するために用いられる、少なくとも1つのバッチモードステップ又はポジションと、少なくとも1つのカラムの出口が少なくとも1つの他のカラムの入口と流体的に(fluidly)連結される、少なくとも1つの連続又は準連続モードステップ又はポジションでカラムを走行させることが可能なことがわかった。バッチステップはまた、流体的に連結されたカラムを含むこともできるが、その場合、常に1つの出口が目的生成物を収集するために利用されることに注意すべきである。
【0015】
1つの主要な要素は、驚いたことに、前記バッチモードと前記連続又は準連続モードは同期的あるいは連続的に実現することができ、切り替え後か切り替え中にカラムが、溶媒の流れる通常方向とは反対方向にポジションを移動することができるということが可能な点である。この構成は、グラジエント溶出と組み合わせた場合特に有益であるが、必ずしもグラジエント溶出に依存するわけではない。
【0016】
本発明の主旨は、特に、連続的(段階的)に又は同期的、すなわち付随して実行することが可能な、連続ステップ又は機能及びバッチステップ又は機能と、カラムの向流移動(準疑似移動床)との巧妙な組み合わせを用いることにより、バッチステップ又はポジションにおいて目的画分又は副画分の非常に効率的な溶出、及び、連続ステップ又はポジションによる画分のリサイクルにより、中間体画分の非常に効率的な精製が可能であるという点にある。
【0017】
当該技術者が容易に理解するように、この一般的概念は上述及び以下に記載するようなクロマトグラフィーカラムに適用するだけでなく、クロマトグラフィーカラムと同じ機能を採用する膜吸着にも同様に適用する。従って、本内容においてはクロマトグラフィーカラムが好ましいが、本明細書内でクロマトグラフィーカラムという表現が使用される場合、これには膜吸着も含まれる。
【0018】
さらに、このことは当該技術者には明らかであるが、分離されるべき画分の内容においては、「重い」の意味はゆっくりと溶出する成分を意味する。つまり、固定相への親和性が比較的大きいため、プロセスにおいて溶出が遅い。「軽い」の意味は、すぐに溶出する成分を意味し、固定相への親和性が比較的小さいため、プロセスにおいて溶出が早い。
【0019】
本概念は同様に、古典的な液体−固体系、つまりここでは「溶媒」と呼ばれる移動層が液体である系、並びに、超臨界系、つまり溶媒又は流体が超臨界状態にある系(いわゆる超臨界流体クロマトグラフィー、SFC)に適用することができる。
【0020】
溶媒強度を有機モディファイアで調節する、例えば逆相クロマトグラフィーとは対照的に、SFCシステムの吸着特性は、移動相の密度を調整することによって、同等に制御できる。SFCにおいて密度がどのように溶質の吸着挙動に作用するのか、という技術的な詳細は、例えば「超臨界流体クロマトグラフィーにおける、溶質保持及びカラム効率への圧力低下の影響」と題する、Arvind Rajendran, Oliver Krauchi, Marco Mazzotti, Massimo Morbidelliによる論文(Journal of Chromatography A,1092(2005)149−160)から得られる。
【0021】
切り替え時間中の(以下により詳しく説明されるような)溶媒濃度勾配の代わりに、SFCでは圧力勾配がかけられ、その結果、超臨界溶媒の密度が、目的の分離を達成するよう適切に調整される。圧力勾配はクロマトグラフィーカラムの背後の圧力制御弁によって調整することができる。SFCでは、溶媒のリサイクルが可能なため、システムは閉ループで操作することができる。超臨界溶媒は、セクションデルタ(以下参照)で装置を離れた後、その圧力と密度を変えることによって容易に元の状態に戻すことができる。そのため、以下で濃度勾配に言及したとき、超臨界溶媒の場合、相当する密度変化の意味を含む。
【0022】
本発明の重要な特徴の1つは、上記に沿って、第1の好ましい実施形態により、カラム又はカラム(セクション)によって実行される機能の特殊なトポロジーの提案である。このトポロジーによって、いくつかのセクションにおいて、向流原理が最適に利用され、完全に閉じられた擬似移動床技術サークルの欠点が克服される。これにより、セクションが驚くほど簡単且つ効率的に相互接続され、グラジエント法による効果的な精製と、2つだけでなく3つの画分の分離が可能となる。それにより、連続プロセスを、多くの困難な精製プロセスにおいて精製可能な唯一の方法であるグラジエント技術とともに使用することができる。
【0023】
これは、少なくとも4つのセクションにカラムを分類することで達成される。4つのセクションの1つ目は、少なくとも1つの溶媒入口と精製された中間生成物用の少なくとも1つの出口を備え、精製された中間生成物をシステムの外へ洗い出すが、重い不純物はこのセクションの内部に保持する。さらに、第2の部分は、少なくとも1つの溶媒用の入口と第4のセクションの入口に接続された少なくとも1つの出口を備え、重い不純物で「汚染された」中間生成物を前記出口を通して第4のセクションに洗い流すが、実質的に純粋な重い不純物はこのセクションに保持する。第3のセクションは、少なくとも1つの溶媒の入口と重い不純物用の出口を備え、前記出口を通して重い不純物を洗い出し、クロマトグラフィーカラムを洗浄する。第4のセクションは、第2のセクションの出口からのアウトプットを受けるための少なくとも1つの入口、並びに多成分混合物を供給するための少なくとも1つの入り口と、軽い不純物用の少なくとも1つの出口を備え、軽い不純物をシステムの外へ洗い出すが中間生成物はこのセクションに保持する。このようなシステムにおいては、切り替え時間の後又は切り替え時間内に、第1のセクションからの最後のカラムが第2のセクションの第1のポジションに動かされ、第2のセクションの最後のカラムは第3のセクションの第1のポジションに動かされ、第3のセクションの最後のカラムは第4のセクションの第1のポジションに動かされ、第4のセクションの最後のカラムは動かされて第1のセクションの第1カラムになる。切り替えが切り替え時間後に行われる場合、すべてのカラムはその瞬間に付随して切り替えられる。切り替えが切り替え時間内に行われる場合、上述のVaricol技術も利用できることを意味する。第2と第4のセクション間の準「短絡」により、中間体画分を「リサイクル」することができ、重い画分あるいは軽い画分を運ぶことなしに抽出可能なシステムの領域に中間体画分を保持できる。セクションの機能は同期的、すなわち付随して平行して実行されるか、あるいは連続的、すなわち経時段階的に実行することができる。後者の場合、1つの切り替え時間内に、連続又は準連続溶出を含むステップとバッチ溶出を含むステップが連続的に存在することが好ましい。
【0024】
本発明の他の好ましい実施形態においては、このようなプロセスがグラジエント法と明確に組み合わされる。すなわち、セクションの少なくとも1つに供給された溶媒は、切り替え時間中、組成が実質上連続的に変えられる。
【0025】
他の好ましい実施形態によると、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの個々のカラムが存在し、セクションの分類はただ1つの(single)カラムにより実現される。これは、これらの機能が連続的に実行されるが同時には実行されないことを意味する。好ましくは、個々のセクションの機能は、好ましくは、1つの切り替え時間内に、連続又は準連続的な溶出のステップとバッチ溶出を有するステップを交互に行いながら順次に実行される。
【0026】
選択的に、セクションのすべて又は少なくとも大部分に供給された溶媒は、切り替え時間中、モディファイア濃度の上昇とともに実質上連続的に組成が変わる。第4から第1セクションまでの一連のカラムに沿って、モディファイア濃度は、カラム移動後、各カラムのモディファイア濃度が、実質的に、カラムの新しいポジションにおけるモディファイアのベース濃度であり、次の切り替え時間中、各カラム内のモディファイア濃度がカラムのさらなる移動後の次のポジションのベース濃度まで増えるように、増加していることが望ましい。このスキームは、逆相及びイオン交換クロマトグラフィー等のクロマトグラフ法に適用され、その場合の、基本メカニズムは、モディファイアが吸着し、樹脂上の吸着部位をふさぐ。すなわち、この場合、モディファイア濃度が高ければ高いほど、(生体)分子の吸着できる強さは小さいことを意味する。しかし、例えばHIC(疎水性相互作用クロマトグラフィー)等の他のシステムにおいて、そのメカニズムは、塩濃度が高いと液相中の(生体)分子の溶解度が小さい。従って、この場合、生体分子はもはや液相中に留まろうとはせず、固体上に吸着する。液相中の塩濃度(モディファイア)が減少すると、(生体)分子は再び液相に溶解することができ、固体表面から脱着する。それに対応して後者の場合には、モディファイア濃度は増加ではなく減少するものの、システムは、逆相及びイオン交換クロマトグラフィー等のクロマトグラフ法の場合に対して上述したことと完全に類似して操作される。
【0027】
システムがそのように実行される場合、固体は実際には、主な溶媒通路(solvent path)に実質的に逆らってシステムに沿って移動するため、連続勾配をを形成する。バッチクロマトグラフィーから分かるように、移動相の組成、特にモディファイアの濃度は線形的に変えることができるが、準線形的に、例えば特定の目的とされるプロファイルに従って(各カラムに対し個別にでも可能)、精製問題に合わせて切り替え時間中に変化させてもよい。同じように、超臨界溶媒の場合、それに応じて密度を変えることができる。
【0028】
技術的には、このような勾配は、各溶媒入口で、個々の一定のモディファイアのベース濃度を有する溶媒が供給され、周期的に変化する組成(つまり、例えばモディファイア濃度)及び/又は流量を有する溶媒流が各入口に供給され、個々の一定のモディファイアのベース濃度を有する溶媒と混合されてシステムに沿って勾配を作れば、最も容易に行うことができる。同じように、超臨界溶媒の場合、それに応じて密度を変えることができる。
【0029】
本プロセスの好ましい実施の形態によると、少なくとも1つのセクションは、少なくとも2つのカラムを含む。しかしながら、原則として、特に第1、第2及び第3のセクションは、1つのカラムに結合されてもよく、その画分は一連の時間的な隔たりのあるステップで取り込まれ、同じ又は少なくとも同等の目標を達成することに留意しなければならない。
【0030】
基本的に、精製問題は、第1のセクションによって実行され、目的生成物の抽出を取り扱う主要部分に分けられる。他のセクションは主に、目的生成物と軽い不純物と重い不純物それぞれの間の接触面の最も効果的な分離を取り扱っている。これにより、セクションの少なくともいくつか、好ましくは第2のセクションが、カラムに連続的に接続された少なくとも2つの向流を含む場合、有利であることが判明する。
【0031】
第4のセクションは実際には、三成分混合物を精製することができるために重要なセクションの1つである。従って、より高度な方法で構築されてもよく、例えば、3つのサブセクションに分類された、少なくとも3つのカラムを含んでもよいし、これらのサブセクションの機能を連続的に備えているそれ以下のカラムを含んでもよい。この第4のセクションの第1のサブセクションは、好ましくは、システムの全体的な流量より小さい流量で、多成分混合物を供給するための少なくとも1つの入口と、システムから外へあるいは第3のサブセクションの入り口へと、軽い不純物を直接取り除くための少なくとも1つの出口を含む。第2のサブセクションは、第2のセクションからのアウトプットを取り上げるための少なくとも1つの入り口と、第3のサブセクションの少なくとも1つの入口に接続された少なくとも1つの出口を含む。第3のサブセクションは、第2のサブセクションのアウトプットを取り上げるための少なくとも1つの入口と、場合により、第1のサブセクションのアウトプットを取り上げるための少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの出口を含む。ここでまた、主要なシステムと同じく、切り替え時間後(又は非同期切り替え法であれば切り替え時間中)、カラムが動かされ(又は対応して異なる接続を与えることにより同じカラムの機能が変えられ)、つまり、第1のサブセクションからのカラムが第2のサブセクションの第1のポジションに動かされ、第2のサブセクションの最後のカラムが第1のセクションの第1のポジションに動かされ、第3のセクションの最後のカラムが第3のサブセクションの第1のポジションに動かされ、第3のサブセクションの最後のカラムが第1のサブセクションのカラムになるように動かされる。また、第4のセクションの3つの異なるセクションの機能は、同期的あるいは連続的に実行することができる。
【0032】
本発明の特に好ましい実施形態によると、本システムは3つのカラムを含み、第1、第2及び第3のセクションの機能は、ただ1つのカラムで実現され、1つの切り替え時間内にこのただ1つのカラムが連続的に、溶媒用の入口を備え、その出口がシステムから中間生成物を取り出すために使用される第1のセクションの機能を行い、一方、第4のセクションの機能を供給しているカラムが直列に接続され、第4のセクションの出口を用いて軽い不純物がシステムから取り出される。続いて、このただ1つのカラムは、溶媒用の入口を備え、その出口が第4のセクションの第1のカラムに直接接続されている第2のセクションの機能を行い、一方、第4のセクションの機能を提供しているカラムが直列に接続され、第4のセクションの出口を用いて軽い不純物がシステムから取り出される。続いて、このただ1つのカラムは、溶媒用の入口を備え、その出口が重い不純物を収集するために使用される第3のセクションの機能を行い、一方、第4のセクションの機能を提供しているカラムが直列に接続され、第4のセクションの出口を用いて軽い不純物がシステムから取り出され、第4のセクションの機能を提供しているカラムの間で、多成分混合物が第4のセクションに供給される。
【0033】
別の好ましい実施形態においては、一組のセクションの連続する機能が、1つのカラム内で結合され、1つの切り替え時間内に、連続又は準連続溶出のステップとバッチ溶出を有するステップが、連続的にそれらの機能を実行しながら交互に起こる。
【0034】
この場合、好ましくは第4のセクションが上述した3つのサブセクションを含み、全システムには3つのカラムが備わっており、これら3つのカラムが1つの切り替え時間の第1の部分内に、連続又は準連続溶出のステップで連続的に接続され、切り替え時間の第2の部分内に、多成分混合物の個々の画分を取り出すためにバッチステップで駆動される。
【0035】
第4のセクションはまた、3つのサブセクションを含むことができ、全システムには4つのカラムを備えていてもよく、これら4つのカラムが1つの切り替え時間の第1の部分内に、連続又は準連続溶出のステップで連続的に接続され、切り替え時間の第2の部分内に、多成分混合物の個々の画分を取り出すためにバッチステップで駆動される。このバッチステップでは、カラムの1つがゼロに近いかゼロに等しい流量を有する。
【0036】
必要なカラムの数をさらに減らした、他の好ましい実施形態によると、システムはカラムを2つだけ含み、第4のセクションは3つのサブセクションを含む。この場合、2つのカラムは切り替え時間の第1の部分で連続溶出のために直列に接続され、出口を用いて軽い不純物がシステムから取り除かれる。切り替え時間の第2の部分では、カラムが、上流のカラムの中間体画分と下流のカラムの軽い不純物を取り出すためにバッチモードで駆動され、同時に、多成分混合物を下流のカラムへ供給する。切り替え時間の第3の部分では、カラムが連続溶出のために直列に接続され、出口を用いて軽い不純物がシステムから取り除かれる。切り替え時間の第4の部分では、カラムが、上流のカラムの重い不純物と下流のカラムの軽い不純物を取り出すためにバッチモードで駆動される。各切り替え時間後、2つのカラムのポジションが交換される。
【0037】
選択的に、3つのサブセクションを具備する第4のシステムの構造において、第1のサブセクションが少なくとも2つの平行なカラムを含み、及び/又は第2の及び/又は第3のサブセクションが少なくとも2つの向流の平行又は連続なカラムを含む。
【0038】
選択的に、供給物は連続的にシステムに導入され、さらにより好ましくは、1つの切り替え時間内に、周期的なパルス状の(pulsed)濃度プロファイル(切り替え周波数を伴い断続的)を用いて導入されるか、成形濃度プロファイルを用いて導入される。その代わりに、又はそれに加えて、溶媒の流量/密度は1つの切り替え時間内で変化し、及び/又は個々の入口/出口の切り替えが1つの切り替え時間内で行われる。個々のカラムの流量が異なれば特に有益である。
【0039】
精製のための装置が複雑になればなるほど、このような精製スキーム用のパラメータを設定する簡単な方法を見つけることがより重要になる。この場合、これはまず第1に供給の標準グラジエントバッチクロマトグラムを実行し、バッチデータの簡単で単純な直感的分析により可能となる。
【0040】
現状では、パラメータの設定は、以下のようにして可能である。第1のステップで、グラジエントバッチクロマトグラムを行い、第2のステップで、得られたクロマトグラムを軽い画分を有する最初の部分、目的の画分を有する第2の部分、重い画分と重なっている目的の画分を有する第3の部分及び重い画分だけを有する第4の部分に分類する。設定の第3のステップで、本プロセスのパラメータを、第1のセクションが第2の部分の時間のグラジエントバッチクロマトグラムに等しいタスクを実行し、第2のセクションが第3の部分の時間のグラジエントバッチクロマトグラムに等しいタスクを実行し、第3のセクションが第4の部分の時間のグラジエントバッチクロマトグラムに等しいタスクを実行し、第4のセクションが第1の部分の時間のグラジエントバッチクロマトグラムに等しいタスクを実行するように選ぶ。
【0041】
従って、生産性に関して最適な切り替え時間は、好ましくは、(軽い不純物がグラジエントバッチクロマトグラムで完全に溶出されるまでの時間)×(グラジエントバッチクロマトグラムの流量)÷(装置の最大流量)÷(軽い不純物がバッチクロマトグラムで完全に溶出されるまでバッチグラジエントを実行するカラム数)として計算される。各カラムの流量は選択的に、(相当する部分がグラジエントバッチクロマトグラムでかかる時間)×(バッチ流量)÷(切り替え時間)に基づいて決定される。
【0042】
さらに、本発明は、上述のプロセスを実行するための装置に関する。この装置においては、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは4,5又は6つの個々のクロマトグラフィーカラムを備え、これを通して混合物を少なくとも1つの溶媒によって供給することができる。多成分混合物は少なくとも、軽い不純物、精製されるべき中間生成物及び重い不純物を含む。装置は、ポンプ、弁、カラム間の接続チューブ、収集出口、溶媒入口及び少なくとも1つの供給入口の形状の手段を含み、これらの要素により、少なくとも1つのバッチモードステップ又はポジションにおいて、1つのカラムの出口が中間生成物を収集するために使用され、少なくとも連続又は準連続モードステップ又はポジションにおいて、少なくとも1つのカラムの出口が少なくとも1つの他のカラムの入口に流体的に接続されているように、カラムを走行させることができる。前記バッチモード及び前記連続又は準連続モードは、同期的あるいは連続的に実現することができ、切り替え時間後又は切り替え時間内に、カラムが溶媒流れの通常方向とは反対の方向にそのポジションを動かされる。
【0043】
好ましくは、装置の第1の実施形態によると、装置は少なくとも4つのセクションに分類され、そのうち第1のセクションには、溶媒の少なくとも1つの入口と精製された中間生成物用の少なくとも1つの出口が備わり、精製された中間生成物はシステムから洗い出すが、重い不純物はこのセクション内に保持する。第2のセクションには、溶媒の少なくとも1つの入口と第4のセクションの入口に接続された少なくとも1つの出口が備わり、前記出口を通して第4のセクションに重い不純物で汚染されている中間生成物を洗い流すが、純粋な重い不純物はこのセクション内に保持する。第3のセクションには、溶媒の少なくとも1つの入口と重い不純物用の出口が備わり、重い不純物を前記出口を通して洗い出しクロマトグラフィーカラムを洗浄する。第4のセクションには、第2のセクションの出口のアウトプットを受けるための少なくとも1つの入口と、多成分混合物を供給するための少なくとも1つの入口及び軽い不純物用の少なくとも1つの出口が備わり、軽い不純物はシステムから洗い出すが中間生成物はこのセクション内に保持する。接続及び切断手段が具備され、1つの切り替え時間後又は内に、第1のセクションからの最後のカラムを第2のセクションの第1のポジションへ動かし、第2のセクションの最後のカラムを第3のセクションの第1のポジションへ、第3のセクションの最後のカラムを第4のセクションの第1のポジションへ、第4のセクションの最後のカラムが第1のセクションの第1のカラムになるように動かすことができる。
【0044】
本発明のさらなる実施形態を従属請求項に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明の好ましい実施形態を添付の図に示す。
予備的で分析的な溶媒グラジエントバッチ溶出に対してもっともよく用いられるのは、時間に関する線形溶媒グラジエントである。矩形等温線を有する生体分子に対しては、線形グラジエント溶出は多くの場合唯一の有益な溶出法である。本研究で導入されるシステムは、バッチシステムで用いられるような準線形グラジエントを使用する。
【0046】
バッチ溶出のリニア溶媒グラジエントは、一定のレベルと、1つの切り替え時間「t」の期間で周期的に重畳された線形グラジエントとに分けることができる。
【0047】
この「グラジエント分割」を、6カラム「線形溶媒グラジエント疑似移動床(SMB)」を示す図1の次の例で説明する。
【0048】
1つの切り替え後、カラムのモディファイア濃度は、下側の線で示されるベースステップ濃度as(after switch)である。次の切り替え時間中に、各カラム内の濃度は、図1中にbs(before switch)で示した上側の濃度で示される次のレベルまで線形的に(もちろん非線形的にでも可能)変えられる。システムが「t」で切り替わり始めるとき、つまりカラムが溶媒流れとは反対方向に動かされるとき、新しいポジションでの始まりの濃度は、ちょうど前のポジションでの終わりの濃度となる。溶媒又は溶離剤は左から右へ流れるので、この場合の切り替えとは、カラム6がカラム5へ、カラム5はカラム4へ、カラム4はカラム3へ、カラム3はカラム2へ、カラム2はカラム1へ、カラム1はカラム6に切り替わることを意味する。
【0049】
カラム内部の溶質分子には、tにおけるカラムの切り替えが「見え」ない。溶質分子は、時間経過に従って、モディファイア濃度が準連続的に変化することに「気づく」だけであり、これが周期的な部分(図1にasと示した、カラムごとに異なる一定のレベルから始まる)である。最終的に、溶質分子は例えばカラム6から逆にカラム1へと、固相とともに移動でき、線形溶媒グラジエントバッチ溶出に完全に類似して、CstartからCendへと線形的に増加するモディファイア濃度を「感じる」だけである。
【0050】
図2に、どのように準線形グラジエントが効果的に作り出されるかを示す。時間の関数として変化しているモディファイア濃度Cmod,V(例えば、酸を有する水等の弱溶剤に加えられたアセトニトリルACNL等の強溶剤、また塩や他のモディファイアも可能である)(図2a)を、各カラムに対する一定のレベルのモディファイア濃度Cmod,c(図2b)と合成又は重畳/混合する。両濃度が合成されてCmodになる場合、効果的なグラジエントはカラムの観点からすれば線形グラジエントとなる。図2c)に、モディファイア濃度Cmodを、5カラムシステムにおけるカラムの観点からプロットする。
【0051】
カラムがポジション5なら、そのカラムには最も低いモディファイア濃度が「見える」。この濃度は時間にともない線形的に増加する。切り替え時間tで、カラムはポジション4に切り替えられる。ここで再度線形的な濃度増加が起こるが、濃度増加はポジション5での切り替え直前の濃度に等しい濃度から始まる。カラムがポジション3,2及び1に切り替わるときにも同様なことが起こる。1サイクル後、カラムはポジション5に戻り、そこで再び同じ手順が開始する。
【0052】
溶質の選択性が広い「簡単な分離」(ベースライン分離)のためには、図3に示すシステムを用いることができる。ここで各カラムiは入口で溶出プロファイルを含み、次のカラム(i−1)で洗い出される成分を含む。最も高濃度のモディファイアがカラム1に適用され(s.s.:strong solvent)、一連のカラム2〜5に沿って濃度が低下する(w.s.:weak solvent)。この場合、4つの画分つまり軽い画分A、2つの中間体画分BとC及び重い画分Dが分離される。
【0053】
各カラムには3つのタスクがあり(ここではカラム番号3に対して)、それは、1.)「1つの成分(ここでは成分B)を溶出する」、2.)「他の成分(C,D)は動かないよう保持する」、及び3.)「次のカラム“3−1=2”で溶出される成分(ここではC)を捕らえる」である。
【0054】
簡単な分離(高い選択性、ベースライン分離)に対しては、ステップグラジエントで十分であり、準線形グラジエントは実際には必要でなく、実質的にはプロセスの収率や選択性に影響を及ぼさない。
【0055】
しかしながら、簡単な分離はまれである。通常、精製されるべき混合物は、何百もの異なる成分からなり、そのうちのいくつは非常に似た吸着挙動を有し、そこから実際にはたった1つか非常に少ない数の成分を画分として求める。それに加えて、この目的とする画分は多くの場合非常に少なく、取り除きたい大量の重い成分と軽い成分により目立たなくされている。図1に示したSMBは、このような状況では、例えば逆相樹脂上のポリペプチドのような「通常の」多成分混合物の中間体画分を精製することができないであろう。
【0056】
従って、このような構成の問題の1つは、ベースライン分離が存在する状況にだけ効果的に適用でき、そうでない場合には、特に目的画分(例えばB)の目的でない画分に対する割合が低い場合、仮に高い収率と良好な分離を得ることが可能であっても非常に難しいだろうという事実である。つまり、部分的に目的の画分の上に重なっているいかなる化合物も、下流あるいは上流の画分中で失われるため、望まない状態(order)の画分の混合は避けられないであろう。
【0057】
従って、カラムの切り替えが「遅く」起こる場合、例えば軽い画分(例えばA)との重なりがない場合、目的とする画分(B)を抽出するために残された時間はあまりなく、完全に且つ最も確実に画分C用の出口で終わるため、目的とする画分(B)の大部分は次の重い画分中で失われる。あるいは、カラムが「早く」切り替えられ、切り替え時に軽い画分Aと目的とする画分Bの部分的な重なりを許せば、目的とする画分(B)は軽い画分(A)の量によって汚染される。これは図3の段階的又は順次的SMBによっては克服できない特有の問題であることを指摘しなければならない。
【0058】
これら及びその他の問題を克服するために、添付の請求項による方法を開発し、「短絡移動カラム技術(Short Circuit Moving Column Technique)」と称する。
【0059】
この驚くほど効率的で簡単な構想の背後にある基本的なアイデアの1つは、図3に挙げたようなプロセスを「短絡する」ことによって、カラムの切り替えが「遅く」起こることがあっても、目的とする画分を取り戻すことができることである。つまり、カラムの切り替え前には特定のカラム3はもはや軽い画分Aをほとんど含まないということである。このことは、基本的に、次の重い画分(図3の場合画分C)との重なりが回避され、「溶媒通路」の短絡を用いて、すなわちカラム2のアウトプットをカラム4の入口に直接接続することによって、図3の構成では、Cと混合されて終わりシステムから出される、いかなる量の目的画分Bもカラム4に戻され、カラムの向流切り替えにより、溶出のために再びポジション3に持ち込まれることで達成される。
【0060】
準連続リニア溶媒グラジエントの作り方を図1で紹介する。溶媒グラジエントバッチ溶出での供給は、溶出が始まる前に不連続的に行われる。供給物は、溶質の吸着が非常に強く吸着部位が空いている(free)、モディファイア濃度の小さい状態で装填される。装填後、モディファイア濃度が遅れることなく増加し、溶質は順々に溶出し始める。図1に示したグラジエントSMBでの連続装填はあまり有益ではない。パルス供給は切り替えの初めに行わなければならず、その結果、グラジエントが遅れることなくその効果を表すことができる。
【0061】
高い収率を得るためには、図1中のカラム5は中間体E1が通り抜ける前に、ポジション4へ切り替えられる必要がある。切り替え直前、カラム5は、次の切り替えで液体流とともにカラム4からカラム5へ運ばれる軽い不純物(ラフィネート、R)をまだいくらか含んでいる。マイナスの効果としては、軽い成分が固体とともに上流へ移動し、新しい供給パルスに遅れてカラム4のポジションに到達することである。従って、中間の目的成分E1を高純度にすることは不可能であろう。
【0062】
中間体成分E1がカラム3のカラム出口において洗浄された時点で、精製された流れの一部だけが「抽出物1」E1流れでSMBから送り出される。カラム3とカラム4の間の液体接続により、最大部分がカラム4へと流れる。カラム4の入口では、重い成分が樹脂に吸着され、その結果、精製された中間体E1成分が重い不純物E2と混合され、分離が不可能となる。
【0063】
短絡移動カラム技術は、図4に示すようにこれらの問題を解決する。カラム3は他のカラムとの液体接続が全くなく、カラム2はカラム4と接続されており、カラム5は連続供給が可能となり、カラム4がカラム6と接続されている。
【0064】
この技術のより一般的なアプローチを図5に示す。図5は、図4のカラムの接続トポロジーを一般化し、基本原理を示している。この場合、3つの画分A(軽い画分)、B(目的画分)及びC(重い画分)からなる供給物Fがシステムに導入される。破線矢印は固体の移動、例えばシステム中のカラムの移動を示す。中央の右を差している水平の矢印はセクションβとδの間の液体リサイクルを示す。
【0065】
図5に示す一般化されたプロセスでは、1つ又はいくつかのクロマトグラフィーカラムからなる4つのセクションα、β、γ、δが、閉ループの疑似固体移動(破線矢印)と接続されている。一定の時間、つまり切り替え時間tの後、セクションαからの最後のカラムがセクションβの第1のポジションに動かされ、セクションβの最後のカラムはセクションγの第1のポジションに動かされる。セクションγの最後のカラムはセクションδの第1のポジションに切り替えられ、セクションδの最後のカラムがセクションαの第1のカラムになる。これは、軽い不純物A、目的中間生成物Bと重い不純物Cを連続的に分離できるようになされる。液体流に関しては、セクションβ−δ間の接続を除いて、セクション間のカラムの移動はクロスフローでなされるが、セクション内部でカラムは液体流に対して向流的に動かすことができる。
【0066】
セクション内部のカラムの数は、分離の困難さによって決まる。成分をバッチカラムで簡単に精製できる場合は、システムはセクション内部及びセクション間に向流移動を必要とせず、全てのセクションはただ1つのカラムからなることができ、セクションβは必要でさえない。しかしながら、バッチ溶出では部分的にしか精製が可能でないような難しい分離に対しては、高い収率及び純度を得るために、セクションβ及びδ内部のカラムは1つ以上であることが好ましい。セクションβとδは液体リサイクル流で相互接続されている(水平な中央の矢印)。連続的流れ供給又はパルス供給が可能な点を除き、入口と出口流はすべて連続的である。個々のセクション及びセクション内部のカラムの流量は必ずしも同一でなくてよい。このプロセスは、アイソクラティック、及び線形グラジエント溶出を、連続的で、部分的に向流の分離に移すことができる。
【0067】
セクションは特定のタスクを有し、それらは以下の通りである。
−セクションα: 精製された中間生成物をシステムから洗い出すが、重い不純物はセクション内部に保持する。
−セクションβ: 重い不純物で汚染されている中間生成物をセクションδへ洗い流すが、純粋な重い不純物はセクション内部に保持する。
−セクションγ: 重い不純物を洗い出し、セクションのクロマトグラフィーカラムを洗浄する。定置洗浄(CIP)。
−セクションδ: 軽い不純物をシステムから洗い出すが、目的生成物はセクション内部に保持する。供給物を精製システムに取り入れる。
【0068】
セクションのそれぞれは、解決されなければならない特定の分離問題に合わせて設計できる。以下、図6から8には、セクションのいくつかに対して可能な変形を示す。
【0069】
例えば、図6には、セクションに5個のカラムを含むセクションδの具体的な構造を示す。軽い不純物がバッチカラムで完全に溶出されてしまうまで、このセクションは完全な勾配掃引を与えなければならず、重い不純物が通り抜け始めるまで、純粋な目的生成物をしばらくの間バッチカラムから採取することができるという事実により、ほとんどの場合、このセクションδに、より多いカラム数を有するのがよい。
【0070】
図7は、セクションβに、向流で機能しているいくつかのカラムを有する場合を示す。そのため、このセクションは実際にはSMB配置に非常に類似した構造となっている。
【0071】
図7及び8には、セクションδの他の変形もまた示されており、3個のカラムが使用されている。図4に示されたような構成をもつように、図7では、カラム7の出口はカラム8の入口に接続されていない。
【0072】
図6は、実験的検証のために使用された8カラムシステムの例を示す。原則として、図6に示したような配置では、カラム2の出口をカラム4の入口に接続することも可能であることを指摘しなければならない。
【0073】
セクションδ内もまた、特殊な構造を構築することができる。通常、少なくとも1つのカラム(第1のサブセクションδ)、この場合カラム6を有することが望ましく、供給物を装填するために使用され、低流量である。このカラムは直接システムから外へ、またはセクションδの他のカラムへと軽い不純物を移すことができる。セクションδ内の別の第2のサブセクションδはカラム4及び5で示され、それらは第2のセクションβのアウトプットを受け入れるための入口となり、この特殊の場合では、カラム7及び8からなる、さらなる第3のサブセクションδγへアウトプットする。
【0074】
第2のサブセクションδは基本的に、全ての軽い不純物Aを取り除き、必ず軽い不純物を第3のサブセクションへと直接運ぶ。それに加えて、第2のサブセクションδは、必ず、カラム4がポジション3に動かされるとき、切り替え直前に目的生成物Bがカラム4内に完全に置かれ、固体の適切な位置にBを運ぶために必要である十分な勾配を有する。この内容においては、この第2のサブセクションは、軽い不純物の最後の部分がセクションの最後のカラムの終わりに達するまで、十分な勾配の駆動に関与することを指摘しなければならない。従って、この時間が特に長い場合には、このセクションのカラム数を調整することができる。
【0075】
特に、軽い不純物が固相中の不適切な位置でカラム5に流し込まれることを避けるため、カラム5のインプットにカラム4のアウトプットを接続することが好ましい。
【0076】
カラム7及び8から形成される第3のサブセクションは、第2のサブセクションδのアウトプットを取り上げるための少なくとも1つの入口と、場合により、第1のサブセクションδのアウトプットを取り上げるための少なくとも1つの入り口と、少なくとも1つの出口を含み、必ずBをシステム中に保持し、軽い不純物をシステムから取り除くように働く。図6の構成においては、カラム8の出口はクリーン溶媒によって形成される。
【0077】
図7は、セクションβ内の分離をよりよくするために、3個のカラムを向流に配置した別の構成を示す。図7及び8には、図6の内容で上述したようなセクションδにおける下部構造の最も簡単な構造を示す。軽い不純物からの分離が困難な場合、図8の構成が図4の構成より好ましい。
【0078】
一般化スキームは例えば次のような多くの特殊な形態をとることが可能である。
−パルス供給される場合、セクションδは、供給が連続の場合より、1つだけ少ないカラムを必要とする。
−重い不純物が中間生成物よりずっと強く吸着する場合、セクションβはカラムを含まない。
−うまくゆけば、プロセスは溶媒グラジエントを利用せずに操作することも可能である。
【0079】
また、セクションα、β及びγは結合して、経時段階的に図5のセクションα、β及びγのアウトプットと等しい個々の画分を取り出し、図5の相当する要素のインプットに供給する、1つのカラムにすることもできるということも指摘しなければならない。
【0080】
この明細書で提案されたような可変の構成には、特定の精製問題に合うようにシステムを動かすためのパラメータを設定するため、一般化された簡単なスキームを有することが非常に重要である。この場合は、グラジエントバッチクロマトグラムから出発して、提案したような連続プロセス用のパラメータを見つけることを可能とする、非常に簡単なスキームと技術がある。
【0081】
本プロセスは、以下のような実験的(又は模擬的)濃度プロファイルから、容易に設計することができる。各セクションは、図9に示すような時間間隔を参照する。セクションαからδのタスクは、バッチ溶出の相当する時間間隔に起こっているイベント(event)を参照する。
【0082】
バッチから連続精製への移動の理解を高めるために、具体的な例をシミュレートする。この例においては、170g/lACNL(アセトニトリル)から190g/lACNLの溶媒グラジエント(モディファイアグラジエント)が行われる。流量0.5ml/min、カラム体積1.66mlである。グラジエントは0分に始まり25分に終わる。1g/l未処理カルシトニン25μlが注入され、その純度は、軽い1(A1)が25%、軽い2(A2)が5%、中間体(B)が55%、重い(C)が15%である。
【0083】
目的収率は60%、純度は82.9%であり、中間画分は26.8から31分に取り出される。
【0084】
これにより、図10に示すプロファイルとなる。
【0085】
このようなバッチグラジエントクロマトグラムから出発して、連続的プロセスが以下のように設計される。
7カラムを使用し、大きさはシングルバッチカラムと同じである。
【0086】
例として、図6のシステムを選ぶが、シミュレーションでは、供給物(Feed)としてパルスが注入され、連続的供給はない。パルス供給のため、カラム6は必要でなく使用されない。
【0087】
セクションのタスクは以下の通り:
−セクションα: 26.8〜31.0分の間に起こったことを行う。
−セクションβ: 31.0〜38.0分の間に起こったことを行う。
−セクションγ: 38.0〜43.0分の間に起こったことを行う。
−セクションδ: 0.0〜26.8分の間に起こったことを行い、セクションβの出口(outlet)を収集する。システム内に供給を行う。
【0088】
すべてのタスクは1切り替え時間t内に完了しなければならない。セクションδのタスクは、最も長い時間を必要とし、セクションδに4カラム有する理由はここにある。我々は、クロマトグラムに値が相当する、以下の設計パラメータを定義する。
【0089】
【表1】

【0090】
切り替え時間を計算するための基本手順は以下のとおりである:
図6に示した配置に対して、供給(feeding)から純粋な目的中間生成物が通り抜ける時間までのグラジエントを、カラム4及び5に移すとする。より多い流量で操作されるカラムがプロセスを制限している。ここでの例においては、カラム5がグラジエントのより長い部分にわたって走行し(Start_A−t_Start=18分)、カラム4はより短い部分にわたって走行する(Start_Frac−Start_A=26.8−18=8.8分)。生産性に関して最適なのは、カラム4とカラム5が同じ流量で操作される場合であろう。
【0091】
この具体例においては、軽い不純物が溶出し始めるまで、バッチグラジエントの部分をカラム5内で行うことが決定される。従って必要とされる切り替え時間は、
【数1】

として計算される。従って、カラム内部の流量は次のようでなければならない。
【数2】

ただし、上述のように、ここではカラム5中にパルス供給されるため、カラム6は使用されず、
【数3】

【0092】
溶媒グラジエントは、カラム入口での特性時間における移動相成分に依存する(図1参照)。モディファイア濃度と内部流量に対しこれらの値を用いて、カラムに対する入力パラメータが計算できる。
【0093】
【表2】

【0094】
連続プロセスのシミュレーションを図11〜13に示す。セクション内の濃度プロファイルを、定常状態における切り替え前(図12)、後(図13)及び真ん中(図11)で示す。左のy軸上にはペプチドの濃度をg/lで、右のy軸上にはモディファイアの濃度をg/lで示す。
【0095】
このシミュレーションの収率は約99.95%、純度は85.2%である。連続プロセスの設計の基礎となったバッチプロセスとの比較を表3に示す。
【0096】
【表3】

【0097】
この例においてはバッチプロセスの生産性が連続プロセスの生産性の約2倍となってはいるが、連続プロセスの利点が非常に明らかになっており、溶媒消費量をさらに減らすことが可能である。しかし、この例においては、連続プロセスはバッチクロマトグラムから直接移され、まだ最適化されていない。カラム4及び5の流量のわずかな変化により、最小の切り替え時間を3分に減少することができ、その結果、生産性が33%増加するであろう。最適化の可能性はまだ完全には調査されていない。
【0098】
収率や純度のような品質制限が高くなればなるほど、連続プロセスはより有益となる。このことは、生体分子のような非常に高価な溶質の場合、最も重要である。
【0099】
バッチプロセスが高い理論段数を必要とすることはよく知られている。そのため、上の例はまた、バッチカラムが連続マルチカラムプラントと同じ量の樹脂からなる場合において、連続プロセスとバッチプロセスの比較が必要である。
【0100】
図14は、最大流量2.25ml/min、連続7シングルカラムで行われたバッチ溶出を示す(7倍の段階数、7倍の装填)。99.95%の収率に対する純度はわずか79%であることがわかる。要求純度が85.2%の場合、バッチの収率は99.6%になるであろう。連続プロセスに比べて、連続7カラムのバッチの生産性はわずか54%である。表4を参照されたい。
【0101】
【表4】

【0102】
クロマトグラフィーカラムの全圧力損失はカラムの長さに比例するため、長いカラムの最大流量は短いカラムの最大流量よりずっと小さくなり、これによりバッチ溶出の生産性をさらに減少させるであろう。
[実験的検証−カルシトニンの精製]
【0103】
新規のプロセスは、図15に示すように、8カラム開ループ系で実験的に検証された。実験用の入力パラメータはシミュレーションから選ばれる。図の下部は図6と等しい。クロマトグラム並びに溶媒グラジエントは、4つのセクションα−β−γ−δにより実行されるタスクに分割される。このプロセスは、グラジエントバッチ溶出に完全に類似しているが、セクションδ内及びセクションβとδ間の純粋でない側の画分の向流リサイクルが可能である。
【0104】
4つのセクション内の8カラムには以下のタスクがある:
−セクションγ:(1カラム)
カラム1は、システム外に成分Cを流し出す。
−セクションβ:(1カラム)
カラム2は、Cにより汚染されている、少量で有益な量のBを流し出す。Bをリサイクルするために、カラム2の液体出口流がカラム5に洗い流される。
−セクションα:(1カラム)
カラム3は、精製された生成物Bを洗い出す。可能な限りの高純度を保証するために新しい溶媒が使用される。
−セクションδ:(5カラム)
カラム4は、Aにより汚染されている、少量だが有益な量のBを洗い出す。この例では、新しい溶媒が使用される。カラム4のもう1つのタスクは、CとB間の部分的分離である。線形グラジエント状態でカラム4を走行するのは理にかなっている。溶出した溶媒はリサイクルのためにカラム7に洗い流される。
カラム5は、Aの大部分をカラム8へ洗い出す。ここで使用される溶媒は、カラム2(セクションβ)からくるリサイクルされた溶媒と正確なモディファイア濃度を調整するために必要であるポンプ5からの弱溶媒からなる。カラム5のもう1つのタスクは、CとB間の部分的分離である。
カラム6は、供給カラムである。ここで流量は、大きな理論段数と幅の狭い装填プロファイルを得るために、できるだけ小さくするべきである。
カラム7は、リサイクルカラムである。そのタスクは、a)カラム4の出口からA+Bを受け取り、b)BからAをできるだけ十分に分離する、ことである。ここで使用される溶媒は、カラム4からくるリサイクルされた溶媒と、正確なモディファイア濃度を調整するために必要とされるポンプP7からの弱溶媒からなる。
カラム8も、リサイクルカラムである。そのタスクは、a)カラム5の出口からA+Bを受け取り、b)BからAをできるだけ十分に分離する、ことである。ここで使用される溶媒は、カラム5からくるリサイクルされた溶媒とポンプP8からの弱溶媒からなる。
【0105】
非線形な吸着等温線の場合、よりよい安定度を得るために、カラム7又は8で負の溶媒グラジエントを走行することが、ときに有益である。カラム2もまた、負の溶媒グラジエントで操作するべきである(高濃度のモディファイアで始まり、低濃度のモディファイアで終わる)。
【0106】
実験に用いられるプラントは、3つの「Aekta−Explorer Basic」システムからなり、いくつかの付加的なマルチポジションバルブと付加的なグラジエントポンプが装備されている。3つのAektaマシン用のソフトウェアはアマシャム(Amersham)の「UNICORN」であり、同時に走行する3つのUNICORNシステムの統括コントロールはソフトウェア「Genesis」を用いて実現される。
【0107】
精製される混合物は、逆相精製前に生成プロセスから取り出された、3432g/molの分子量を有するポリペプチドカルシトニンである。供給物の分析的クロマトグラムを図16に示す。この供給物は約46パーセントのカルシトニン、約19%の重い不純物及び35%の軽い不純物からなる。カルシトニンは中間画分「B」である。
【0108】
ペプチドを精製するために使用される連続プラント内のカラムには、アマシャムのSOURCE RPC 15が詰め込まれている(pack)。カラムの寸法は100×4.6mmである。移動相は水/HPOとアセトニトリルである。カラムごとの理論段数はおよそNTP=100である。
【0109】
流量及びモディファイア濃度等の実験パラメータはシミュレーションに基づいている。検証のために選んだ実験パラメータは以下の通りである:
溶媒A: 水998.5g/l、HPO(85%)1.17g/l
溶媒B: 純粋アセトニトリル
供給物: Aに溶解させた純度43%の0.9g/l未処理カルシトニン
切り替え時間: t=6分
ポンプ1 0.25ml/min、0.73tに60.0%Bから30.1%B
ポンプ2 0.75ml/min、tに24.31%Bから29.13%B
ポンプ3 0.13ml/min、tに24.31%Bから24.31%B
ポンプ4 0.15ml/min、tに24.31%Bから24.31%B
ポンプ5 0.13ml/min、tに24.31%Bから1.29%B
ポンプ6 0.045ml/min、(カラム6へ供給物、0.03ml/minで純粋Bをカラム8へ)
【0110】
カラム1(C)、3(B)及び7(A)からの出口のオンラインUV信号と伝導度信号によって、信号が、約150分後に周期的な一定パターンに達し始めることがわかる。このシステムは、定常状態に達するのに約800分必要とする。
【0111】
定常状態におけるカルシトニンの純度は85%で、これはシミュレーションによって予測される値に一致する。収率もまたシミュレーションと一致し、およそ97%の値である。
【0112】
16の実験を行った。これらの実験の純度及び収率に関する図を図17に示す。%での純度を%での収率の関数として表す(x軸)。
【0113】
連続的配置
通常、生体分子を完全に精製するために、又は安全な制限を満たすためには、一種類のクロマトグラフィー分離では十分でない。そこで、例えばイオン交換クロマトグラフィー(IEX)とその後疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)というように、連続する2つのシステムを用いることができる。2つの精製システムは、例えば図17のように、続けておくことができる。供給物Fが第1のシステムのセクションδ1に導入される。システム1からの精製された中間画分は、システム2のδセクションに装填される。塩又は有機モディファイアもシステム2のこのセクションδ2に導入される。例えば1つの切り替えの3分の1内にα1の出口をパルスする(pulse)ことが可能である。切り替えの残り3分の2を、セクションδ2の装填カラムからトレーサーを洗い出すために用いることができる。両プロセスは連続しているため、2つのシステムは異なる切り替え時間で操作できる。システム2はセクションα1からの部分的に精製された出口(outlet)のクロマトグラムから設計することができる。
【0114】
グラジエント精製プロセスはまた、準連続又は半連続モードで操作することもできる。その場合、精製タスクを実施するために使用されるカラムは、3カラム以下、つまり例えば2か3カラムに下げることができる。これにより、精製された生成物流と供給流が他の流量に比べて小さい場合に対し、上記の完全に連続したプロセスに比べて生産性を向上することができる。さらに、システムは操作の信頼性のためにほぼ同一のカラムを必要とし、多数のほぼ同一のカラムの詰め込みが厄介な可能性もあるため、カラム数の減少は装置を単純化する。
【0115】
セクションα、β及びγの結合:
準又は半連続操作用の最も明白な構成は、既に上述したように、セクションα、β及びγを結合して、経時段階的に図5に示すようにセクションα、β及びγのアウトプットと等しい個々の画分を取り出し、図5中の相当する要素のインプットに供給する、1つのカラムにすることもできる。
【0116】
セクションβとしてただ1つのカラムだけを有することを除き、図5のフローシートを具体化するそのような考え得る構成を図19に示す。この場合、セクションα、β、γは1つのカラムで結合される。図19中の黒いボックスはこの機能を実行しているカラムがあることを意味し、影付きのボックスはそのポジションを満たしているカラムがないことを意味する。図19のスキームは、次のスキームにより切り替わる:(1a−1b−1c)−(2a−2b−2c)−(3a−3b−3c)−(1a−1b−1c)−(2a−2b−2c)−...等。
【0117】
この図は、個々のセクションの機能は必ずしも、個々のカラムによって付随して、つまり同期して実行されなくてもよいということを示すが、図19からわかるように、ステップ1a)〜1c)、つまりカラム1がセクションαの機能(ステップ1a)を、次にセクションβの機能(ステップ1b)を、最後にセクションγの機能(ステップ1c)を連続的に実行するというように、段階的に個々の機能を実行することが十分に可能である。これらのステップ1a)〜1c)すべては1切り替え時間内に実行される。この最初の切り替え時間の後、つまりステップ1a)〜1c)の後、カラム1〜3のポジションは循環してシステムの望ましい向流をもたらす。
【0118】
セクションα、β及びγを結合するという概念はまた、例えば8カラム配置(例えば図6を参照)のように、他のカラムの構造にも適用でき、わずか6カラムにまで減少されるだろう。
【0119】
ただ1つのカラムへのセクションのペア結合:
より少数のカラムを使用するための非常に効果的な別の方法は、セクションのペア結合である。つまり、例えばセクションδ+αやセクションβ+γのような結合、又はより正確に言えば、ペアγ+β;α+δ;δ+δ;又は同等にβ+α;δ+δ;δ+γである。
【0120】
図20a)には、図4の6カラム構成が示され、ただ1つのカラムのそれぞれにより具体化されたセクションが図中に示されている。具体的に、次のタスクはその番号のカラムにより実行される。
1.カラムから重い不純物Cをすべて取り出す。
2.このカラムから中間生成物Bをすべて取り出すが、重い不純物Cはこのカラムに保持する。
3.重い不純物Cはこのカラムから取り出さず、中間生成物Bだけを確実に取り出す。
4.カラムから軽い不純物Aをすべて取り出すが、中間生成物Bはカラムに保持する。
5.供給物Fをカラムに取り入れ、第1の軽い不純物Aをカラムから取り出す。
6.確実に中間生成物Bをカラムから離れないようにし、トレーサーをカラムから取り除く。
【0121】
図20b)では、6カラム構成が、3つの相互接続カラムと3つの非接続カラムに分割されているが、図20a)の6カラム構成と同一である。3つの相互接続カラムのレーンを「CCL」(向流レーン)、非接続カラムのレーンを「BL」(バッチレーン)と呼ぶ。
【0122】
図20の構成の全体的なトポグラフィーを図21に示す。
【0123】
CCLはカラムポジション2,4,6(β、δ、δ)からなり、バッチレーンはカラムポジション1,3,5(γ、α、δ)からなる。6カラムシステムがCCLとBLの2つの状態の間で切り替わるとき、CCレーンのすべてのカラムは「バッチレーン」のカラムとなり、バッチレーンの全てのカラムはCCレーンのカラムとなることは明白である。両レーンの局部的切り替え時間は全切り替え時間tに等しい。それにより全プロセスを連続にする。バッチカラムと向流カラムは、同時に同じプラントで操作される。
【0124】
このような(カラムの)減少の影響を示すために、例を挙げて説明する。図22において、上部a)は切り替え時間3分の6カラムプロセスを示す。この例では、シングルカラムの最大流量は2ml/minと推定される。そのため、カラム6が流量と生産性を制限している。
【0125】
すでに説明したように、両切り替え時間は、「フルタイムの」連続プロセスを持つに等しくなければならない。2つのレーンBLとCCL間には液体流れが存在しないため、これらのレーンは互いに独立している。
【0126】
結果として、全プロセスに対して6カラムでなく3カラムだけを使用し、バッチラインで始めるものの、この3カラムがCCレーンに切り替わるとき、バッチレーンの全ての流量を止めることが好ましい。同じことがCCレーンに対しても有効である。3カラムがバッチレーンに戻るとき、CCレーンの流量はゼロに設定される。
【0127】
そのため、各カラムは2つのセクションの機能を引き継ぎ、これらの機能は、同期的に実行されるのではなく、経時段階的に実行される。
【0128】
局部的プロセスは常に連続的であるが、それらが操作を止めても他のレーンが動いている。従って全プロセスは完全に連続的ではないが準連続的である。
【0129】
上の場合、生産性は100%と推定される。
【0130】
バッチレーンの切り替え時間は、図22b)に示すように例えば1分まで減らすことができ、全切り替え時間は4分となる。その際、バッチレーンにおいて最も多い流量は1.8ml/min(<2ml/min=Qmax)となり、システムの最大流量に近づく。
【0131】
異なる切り替え時間を有する2つの独立したマルチカラム切り替えプロセスがあり、これらが交互に操作される。CCレーンの切り替え時間は3分、バッチレーンの切り替え時間は1分である。
【0132】
全切り替え時間は、t=tbatch+tC.C.と増加するが、カラム数は6から3へと減少する。そのためこの例においては、生産性が、P=100%・3/(3+1)・6/3=150%となり、プロセスの生産性は50%も増加する。
図22の構成の全体的な切り替えスキームを図23に図示する。
【0133】
準又は半連続操作の全体的な配置を図24a)に示す。この構成は大幅に簡略化されており、必要なポンプ数も接続数もより少ないことがわかる。2つの異なる状態に対する図24b)に示すように、各カラム間で弁が2つのレーン間を切り替える。
【0134】
上に説明した構成のカラムポジションを、図25のスキームで図示する。黒いボックスは上述の機能を実行しているカラムがあることを示し、影付きのボックスはその機能を実行しているカラムがないことを示す。6つの異なるカラムポジションが、1a−1b−2a−2b−3a−3b−1a−1b−2a−2b−・・・というような順序で操作される。
【0135】
セクションβ及びδ内に向流が必要とされる場合、図21に示したような配置でセクションβ内に2つ以上のカラムを有するものは、半連続モードに移ることができる。4カラムからなる相当する半連続構成を図26に示す。ここでは、「β」ポジション中、セクションβの第1のカラムの流量はゼロに設定されている。
【0136】
原則的には、このようにカラムを二重にすることは、セクションのそれぞれ及びいくつかのセクションに対しても可能である。
【0137】
2カラム構成:
本発明の要旨の範囲で、3カラム半連続プロセスを2カラムだけに減らすことも可能であるが、その場合、軽い画分Cと重い画分Aのリサイクルを同時に実施することはできず、その上段階的でなければならない。
【0138】
3つのステップ(図28のステップ2〜4)においては、3つの機能α、β、γのうちただ1つが、図19の場合と同様に1つのカラムによって実行されるため、原則は3カラムに対するもの(上記参照)に類似している。しかしさらに、この構成では、1つの別のステップ(図28のステップ1)において、α、β、γのどの機能もカラムによって実行されず、δの機能だけが実行される(図28のステップ1、機能δとδ)。
【0139】
2カラム構成を図27に示す。このプロセスは、ポジションγからのカラムがポジションδに切り替えられる前に、Bがポジションδのカラムを全く離れないように設計される必要がある。そうでなければ、有益な生成物Bは軽い画分出口Aで失われてしまう。
【0140】
図27に示すように、上側の第1ステップ(図28のより体系的な図に合わせて参照番号3とした)では、その目的は、ポジションβとδg間で、重い画分Cと中間画分Bをリサイクルさせることと、軽い画分Aを収集することである(閉鎖線はその間に弁を有していることに注意)。
【0141】
次のステップ4では、その目的は、重い画分Cを収集し、同時に軽い画分Aも収集することである。この次のステップ4は、Cだけがカラム1を離れようとする時点でスタートする。
【0142】
これら2つの最初のステップ3及び4では、第3のポジションがカラムに占有されていない(斜線をかけた長方形)。
【0143】
このステップ4の後、ポジション1のカラムがポジション3に切り替わる。つまり、ポジション1の上流のカラムとポジションの2の下流のカラムがそれらの場所を交換するといえる。続く2つのステップでは、ポジション1にカラムがない。これは、ポジション2だけが常にカラムに占有されていることを意味する。
【0144】
続くステップ1では、その目的は軽い画分Aをリサイクルさせ、トレーサーを収集することである。このステップは、純粋な中間生成物Bがポジション2のカラムを出始めるまで行われる。
【0145】
純粋な中間生成物Bがポジション2のカラムを出始めるとすぐに、次のステップ2が始まる。すなわちこのステップ2では、その目的は、バッチモードのカラム2から中間画分Bを収集し、同時に供給物をポジション3のカラムに装填し、非常に軽い画分Aを収集することである。このステップ2は、中間画分Bが、重い画分Cの一部とともに混合物の状態で、ポジション2のカラムを離れ始める直前まで続けられる。
【0146】
このステップ2の後、カラムは、ポジション2のカラムがポジション1に動かされ、ポジション3のカラムがポジション2に動かされるように切り替えられる。このプロセスは3−4−1−2−3−4−1−2−・・・というように順番に繰り返される。1つの完全なサイクルには、図27のようなタイプの2つのシリーズが含まれることに注意しなければならない。
【0147】
図28は、同じプロセスをより系統的な図に示す。1つの完全なサイクルを含む2カラム構成を上側に示す。下側には、向流グラジエント精製のためのグラジエントクロマトグラムの相当するタスクを示し、また下側には、モディファイア16の濃度プロファイルを示す。実際のところ、この2カラム構成は、特にグラジエント走行用に稼働する。このプロセスは、2つのカラムを交互に入れ替えながら、ポジションを1−2−3−4−1−2−...と繰り返す。
【0148】
半連続ユニットの連続的構成
既に上述したように、数種の精製を含む1つのプラント内で、本発明の精製ユニットを連結することもできる。上記の精製ユニットにつきわずか3カラムまで減らすことは、例えば以下に示すような好ましい操作モードを提供する。
【0149】
全体的なクロマトグラフ精製プロセスにはいくつかのステップを含むことができ、例えば:
−陽イオン交換(CEX)
−陰イオン交換(AEX)
−疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)
を含むことができる。
半連続精製プロセスの連続的構成を図29に提案する。ここでは、「CEX」、「AEX」と「HIC」が1つのプラント内で連結されている。
【0150】
定置洗浄ステップは図29では考慮されていない。CIPを可能にするための、最も経済的な方法は、カラムを定置洗浄のために「駐車させる」ことのできる第4のポジションを具備することであろう。
【0151】
多くの場合、「AEX」ステップは負の(negative)クロマトグラフステップであり、その場合生成物は吸着しないが、例えばウィルスは吸着する。このような2つの成分の分離(生成物からウィルスを取り除く)には、2つのカラムが必要なだけであり、ユニット2のポジション1は必要ではないであろう。
【0152】
ユニット1と2の間及びユニット2と3の間のミキサーは、1サイクルに渡って生成物濃度を均一にする。非線形等温線の場合、これは重要な内容であるかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】6カラムの線形溶媒グラジエントSMBの例を示す。
【図2】ステップグラジエント(b)と周期的溶媒グラジエント(a)の重ね合わせによる準線形グラジエントの、ここでは5カラム用の技術的な実現を示す。
【図3】4成分混合物を分離するための、5カラム溶媒グラジエントSMBの略フローシートを示す。
【図4】「短絡線形溶媒グラジエントSMB」構成の具体例を示す。
【図5】「連続的グラジエント精製プロセス」の一般化フローシートを示す。
【図6】具体的な「連続的グラジエント精製プロセス」のフローシートを示す。
【図7】他の具体的な「連続的グラジエント精製プロセス」のフローシートを示す。
【図8】他の具体的な「連続的グラジエント精製プロセス」のフローシートを示す。
【図9】定性的クロマトグラムと精製プロセスのセクションを示す。
【図10】連続プロセスの構造を説明するための疑似グラジエントクロマトグラムを示す。
【図11】切り替え真ん中のプロセスシミュレーションを示す。カラム1が既に完全に洗浄されているのがわかる。
【図12】切り替え前のプロセスシミュレーションを示す。
【図13】切り替え後のプロセスシミュレーションを示す。
【図14】最大流量2.25ml/min、純度79%、収率100%の連続7ショートカラムのバッチ溶出用疑似グラジエントクロマトグラムを示す。
【図15】確認のために使用される8カラムプロセスのフローシートと定性的クロマトグラムを示す。
【図16】分析ODS−カラム ZORBAX ODS SB−300を用いた、供給物のグラジエント分析を示す。
【図17】わずかに異なる操作条件に対する、収率と純度の間の関係を示す。
【図18】連続する2つの精製システムを示す。
【図19】3カラムだけで操作された「5カラムユニット」のスキームを示す。ここでセクションα、β及びγは1つのカラムに結合されている。
【図20】向流レーンとバッチレーンを具備する連続6カラムユニットを示す。
【図21】図20で示されたような特定の「連続グラジエント精製プロセス」のフローシートを示す。
【図22】特定の実験値のための3カラムだけ具備する、図20の構成の操作を示す。
【図23】図20の構成の切り替えスキームを示す。
【図24】明確に3カラムだけで実現された、図20の構成の操作を示す。
【図25】3カラムで操作される「6カラムユニット」の1サイクル中のカラムポジションを示す。
【図26】セクションβに2つの向流カラムを具備した、図21の接続形態のための考えられる4カラム構成を示す。
【図27】向流グラジエント精製のための2カラム構成を示す。
【図28】図27の構成を、下部に相当するグラジエントクロマトグラムのタスクを含む概略図に示す。
【図29】1つのプラントに「CEX」、「AEX」及び「HIC」を具備する連続的な半連続構成を示す。
【符号の説明】
【0154】
1. 開ループ用の溶媒
2. 排水管
3. 第1の短絡
4. 第2の短絡
5. 第1の「分離した」カラム
6. 第2の「分離した」カラム
11. 純粋なC
12. リサイクル
13. 分別
14. リサイクル
15. 純粋なA
16. モディファイアグラジエント
21. システム1、Iex
22. システム2、HIC又は逆相
23. 精製された生成物
24. 塩又は有機モディファイア

a. 精製プロセスの第1セクション
b. 精製プロセスの第2セクション
c. 精製プロセスの第3セクション
d. 精製プロセスの第4セクション

A,B,C,D: 画分
A. 軽い画分
B. 中間画分、目的生成物
C. 重い画分

s 溶媒
E1 抽出物1
E2 抽出物2
R ラフィネート
F 供給物
t 時間
切り替え時間
tr トレーサー
bf 切り替え前
af 切り替え後

mod,v 可変モディファイア濃度
mod,c ポジションごとの一定のモディファイア濃度
mod モディファイア濃度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合物が少なくとも1つの溶媒(s)によって供給される少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの個々のクロマトグラフィーカラムを用いた多成分混合物(F)の連続又は準連続精製のためのプロセスであって、
前記多成分混合物(F)は少なくとも、軽い不純物(A)、精製されるべき中間生成物(B)及び重い不純物(C)を含み、
カラムは、1つのカラムの出口が中間生成物(B)を収集するために使用される、少なくとも1つのバッチモードステップ又はポジションと、少なくとも1つのカラムの出口が少なくとも1つの他のカラムの入口と流体的に接続されている、少なくとも1つの連続又は準連続モードステップ又はポジションで走行され、
前記バッチモードと前記連続又は準連続モードは、同期的あるいは連続的に実現され、
切り替え時間(t)後又は内に、前記カラムが前記溶媒流れの通常方向と反対方向にそのポジションを移動させられるプロセス。
【請求項2】
混合物が少なくとも1つの溶媒(s)によって供給される個々のクロマトグラフィーカラムを用いた多成分混合物(F)の連続又は準連続精製のための、特に請求項1に記載のプロセスであって、
前記多成分混合物(F)は少なくとも、軽い不純物(A)、精製されるべき中間生成物(B)及び重い不純物(C)を含み、
前記カラムは少なくとも4つのセクション(α,β,γ,δ)に分類され、そのうち、第1のセクション(α)は溶媒(s)の少なくとも1つの入口と精製された中間生成物(B)用の少なくとも1つの出口を備え、精製された中間生成物(B)はシステムの外に洗い出すが、重い不純物(C)はセクション(α)内部に保持し、
第2のセクション(β)は溶媒(s)の少なくとも1つの入口と第4のセクション(β)の入口に接続された少なくとも1つの出口を備え、重い不純物(C)で汚染されている中間生成物(B)は前記出口を通して第4のセクション(δ)へと洗い流すが、純粋な重い不純物(C)はセクション(β)内部に保持し、
第3のセクション(γ)は溶媒(s)の少なくとも1つの入口と重い不純物(C)用の出口を1つ備え、重い不純物(C)は前記出口を通して洗い出し、クロマトグラフィーカラムを洗浄し、
第4のセクション(δ)は第2のセクション(β)の出口のアウトプットを受けるための少なくとも1つの入口と、多成分混合物(F)を供給するための少なくとも1つの入り口と軽い不純物(A)用の少なくとも1つの出口を備え、軽い不純物(A)はシステム外へ洗い出すが、中間生成物(B)はセクション(δ)内部に保持し、
切り替え時間(t)後又は内に、第1のセクション(α)からの最後のカラムを第2のセクション(β)の第1のポジションへ動かし、第2のセクション(β)の最後のカラムを第3のセクション(γ)の第1のポジションへ動かし、第3のセクション(γ)の最後のカラムを第4のセクション(δ)の第1のポジションへ動かし、第4のセクション(δ)の最後のカラムが第1のセクション(α)の第1のカラムになるように動かし、
前記セクションの機能を、同期的あるいは連続的に実行し、後者の場合、好ましくは、1切り替え時間内に、連続又は準連続溶出とバッチ溶出を有する連続したステップが存在するプロセス。
【請求項3】
セクション(α,β,γ,δ)の少なくとも1つに供給される溶媒(s)が、切り替え時間(t)中、実質上連続的に成分を変化させ、及び/又は、超臨界溶媒の場合、セクション(α,β,γ,δ)の少なくとも1つに供給される超臨界溶媒(s)が、切り替え時間(t)中、実質上連続的に密度を変化させる、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの個々のカラムが存在し、セクション(α;β;γ;δ/δ,δ,δ)の分類がただ1つの(single)カラムにより実現され、個々のセクション(α;β;γ;δ/δ,δ,δ)の機能は、1切り替え時間内に連続又は準連続溶出のステップとバッチ溶出を有するステップを選択的に交互に行いながら連続的に実行される、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項5】
セクション(α,β,γ,δ)の全てに供給される溶媒(s)が、切り替え時間(t)中、増加又は減少するモディファイア濃度に伴い、実質上連続的に成分を変化させ、及び/又は、超臨界溶媒の場合は、切り替え時間(t)中、増加又は減少する密度に伴い、密度を変化させ、
カラムの移動後、各カラム中のモディファイア濃度(Cmod)/密度は、実質的に、カラムの新しいポジションにおける超臨界溶媒の濃度/密度のベース濃度であり、次の切り替え時間(t)中に各カラム内のモディファイア濃度(Cmod)/密度が、カラムのさらなる移動後、次のポジションのベース濃度/密度まで増加又は減少されるように、第4(δ)から第1(α)セクションまでの一連のカラムに沿って、モディファイア濃度(Cmod)/密度が増加又は減少している、請求項3又は4に記載のプロセス。
【請求項6】
セクション(α,β,γ,δ)の全て又はいくつかに供給される溶媒(s)が、切り替え時間(t)中、線形的又は準線形的又は非線形的に、実質的連続的に成分及び/又は濃度を変化させ、好ましくは前記モディファイアの濃度をそのような方法で変化させる、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
各溶媒入り口において、個々のモディファイアの一定ベース濃度(Cmod,c)を有する溶媒が供給され、流量及び/又は成分、好ましくはモディファイア濃度(Cmod,v)が変化する溶媒流が、いくつかの入口に供給され、システムに沿って勾配を作るために、個々のモディファイアの一定ベース濃度(Cmod,c)を有する溶媒と混合される、請求項5又は6に記載のプロセス。
【請求項8】
少なくとも1つのセクション(α,β,γ,δ)が少なくとも2つのカラムを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
第2のセクション(β)が少なくとも2つの向流の連続的に接続されたカラムを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
第4のセクション(δ)が、3つのサブセクション(δ,δ,δ)に分類された少なくとも3つのカラム、又はこれらのサブセクションの機能を連続的に提供するより少ないカラムを含み、第1のサブセクション(δ)は、多成分混合物(F)を好ましくはシステムの全体流量より低い流量で供給するための少なくとも1つの入口と、システムの外にあるいは第3のサブセクション(δ)の入口へ軽い不純物(A)を直接取り除くための少なくとも1つの出口を含み、
第2のサブセクション(δ)は、第2のセクション(β)のアウトプットを取り上げるための少なくとも1つの入口と、第3のサブセクション(δ)の少なくとも1つの入口に接続された少なくとも1つの出口を含み、
第3のサブセクション(δ)は、第2のサブセクション(δ)のアウトプットを取り上げるための少なくとも1つの入り口と、場合により、第1のサブセクション(δ)のアウトプットを取り上げるための少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの出口を含み、
1切り替え時間(t)後又は内に、第1のサブセクション(δ)からのカラムが第2のサブセクション(δ)の第1のポジションに動かされ、第2のサブセクション(δ)の最後のカラムが第1のセクション(β)の第1のポジションに動かされ、第3のセクション(γ)の最後のカラムが第3のサブセクション(δ)の第1のポジションに動かされ、第3のサブセクション(δ)の最後のカラムが第1のサブセクション(δ)のカラムになるように動かされ、
セクション(δ,δ,δ)の機能は、同期的あるいは連続的に実行される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記システムが3つのカラムを含み、第1の(α)、第2の(β)及び第3の(γ)セクションの機能はただ1つの(single)カラムにより実現され、1切り替え時間内に、このただ1つのカラムは、
まず、溶媒用の入口を備え、その出口を中間生成物(B)を収集するために使用する第1の(α)セクションの機能を行い、一方、第4の(δ)セクションの機能を供給しているカラムが直列に接続され、第4の(δ)セクションの出口を用いて軽い不純物(A)が収集され、
次に、このただ1つのカラムは、溶媒用の入口を備え、その出口が第4の(δ)セクションの第1のカラムに直接接続される第2の(β)のセクションの機能を行い、一方、第4の(δ)セクションの機能を提供しているカラムが直列に接続され、第4の(δ)セクションの出口を用いて軽い不純物(A)が収集され、
次に、このただ1つのカラムは、溶媒用の入口を備え、その出口が重い不純物(C)を収集するために使用される第3の(γ)のセクションの機能を行い、一方、第4の(δ)セクションの機能を提供しているカラムが直列に接続され、第4の(δ)セクションの出口を用いて軽い不純物(A)が収集され、第4の(δ)セクションの機能を提供しているカラムの間で、多成分混合物(F)が第4の(δ)セクションに供給される、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
一組のセクション(α;β;γ;δ/δ,δ,δ)の連続する機能が1つのカラム内で結合され、1切り替え時間内に、連続又は準連続溶出のステップとバッチ溶出を有するステップが、それらの機能を連続的に実行しながら交互に起こる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
第4のセクション(δ)が、請求項10に記載の3つのサブセクション(δ,δ,δ)を含み、全システム中に3つのカラムが備わっており、これら3つのカラムが、1切り替え時間の第1の部分の範囲では、連続又は準連続溶出のステップ(CCL)で連続的に接続され、前記切り替え時間の第2の部分の範囲では、多成分混合物(F)の個々の画分(A、B、C)を取り出すためにバッチステップ(BL)で駆動される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
第4のセクション(δ)が、請求項10に記載の3つのサブセクション(δ,δ,δ)を含み、全システム中に4つのカラムが備わっており、これら4つのカラムが、1切り替え時間の第1の部分の範囲では、連続又は準連続溶出のステップ(CCL)で連続的に接続され、前記切り替え時間の第2の部分の範囲では、多成分混合物(F)の個々の画分(A、B、C)を取り出すためにバッチステップ(BL)で駆動され、このバッチステップ(BL)ではカラムの1つがゼロに近いか又は等しい流量を有する、請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
前記システムが2つのカラムを備え、第4のセクション(δ)が請求項10に記載の3つのサブセクション(δ,δ,δ)を含み、前記2つのカラムは、
前記切り替え時間の第1の部分で、連続溶出のために直列に接続され、一方、出口を用いて軽い不純物(A)が収集され、
前記切り替え時間の第2の部分で、前記カラムは、上流のカラムの中間画分(B)と下流のカラムの軽い不純物(A)を収集するためにバッチモードで駆動され、一方、同時に下流のカラムに多成分混合物(F)を供給し、
前記切り替え時間の第3の部分で、前記カラムは、連続溶出のために直列に接続され、一方、出口を用いて軽い不純物(A)が収集され、
前記切り替え時間の第4の部分で、前記カラムは、上流のカラムの重い不純物(C)と下流のカラムの軽い不純物(A)を収集するために、バッチモードで駆動され、
各切り替え時間後に前記2つのカラムのポジションが入れ替えられる、請求項3〜10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
第1のサブセクション(δ)が少なくとも2つの平行なカラムを含み、及び/又は、第2の(δ)及び/又は第3の(δ)サブセクションが少なくとも2つの向流の平行又は連続なカラムを含む、請求項10〜15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記供給が1切り替え時間(t)内に連続、又はパルス状の、又は成形した濃度/密度プロファイルであり、及び/又は、溶媒流れが1切り替え時間(t)内において変化し、及び/又は、個々の入口/出口の切り替えが1切り替え時間(t)内において段階的である、請求項1〜16のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
個々のカラム内の流量が異なる、請求項1〜17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載のプロセスを行うためのパラメータを設定するための方法であって、第1のステップにおいて、グラジエントバッチクロマトグラムを行い、第2のステップにおいて、前記得られたクロマトグラムを軽い画分を有する第1の部分と、前記目的の画分を有する第2の部分と、前記重い画分が重なっている前記目的の画分を有する第3の部分と、前記重い画分だけを有する第4の部分に分け、第3のステップにおいて、前記プロセスのパラメータを、第1のセクション(α)が前記第2の部分の時間の前記グラジエントバッチクロマトグラムに相当するタスクを実行し、第2のセクション(β)が前記第3の部分の時間の前記グラジエントバッチクロマトグラムに相当するタスクを実行し、第3のセクション(γ)が前記第4の部分の時間の前記グラジエントバッチクロマトグラムに相当するタスクを実行し、第4のセクション(δ)が前記第1の部分の時間の前記グラジエントクロマトグラムに相当するタスクを実行するように選ぶ方法。
【請求項20】
切り替え時間(t)は、前記目的の画分が、目的とする純度で溶出し始めるまでの時間に、前記グラジエントバッチクロマトグラムの流量(Qbatch)を乗じ、前記装置の最大流量(Qmax)と前記グラジエントの一部を行う第4のセクション(δ)中のカラムの数(N)とで割って計算される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
各カラムの流量は、相当する部分が前記グラジエントバッチクロマトグラムでかかる時間に、前記バッチ流量(Qbatch)を乗じ、切り替え時間(t)で割って決定される、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜18のいずれか一項に記載のプロセスを実行するための装置であって、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの個々のクロマトグラフィーカラムのトポロジーを備え、これを通して混合物を少なくとも1つの溶媒(s)によって供給し、多成分混合物(F)は少なくとも、軽い不純物(A)、精製されるべき中間生成物(B)及び重い不純物(C)を含み、ポンプ、弁、カラム間を接続するチューブ、収集出口、溶媒入口及び供給入口の形状の手段を具備し、これらの要素により、少なくとも1つのバッチモードステップ又はポジションにおいて、1つのカラムの出口が中間生成物(B)を収集するために使用され、少なくとも連続又は準連続モードステップ又はポジションにおいて、少なくとも1つのカラムの出口が少なくとも1つの他のカラムの入口に流体的に接続されているように、前記カラムを走行させることができ、前記バッチモード及び前記連続又は準連続モードは、同期的あるいは連続的に実現することができ、切り替え時間(t)後又は内に、前記カラムは溶媒流れの通常方向と反対方向にそのポジションを動かされる装置。
【請求項23】
請求項1〜18のいずれか一項に記載のプロセスを実行するための装置であって、カラムが少なくとも4つのセクション(α,β,γ,δ)に分類され、そのうち、第1のセクション(α)には、溶媒(s)の少なくとも1つの入口と精製された中間生成物(B)用の少なくとも1つの出口が備わり、精製された中間生成物(B)をシステムから外へ洗い出すが、重い不純物(C)はこのセクション(α)内に保持し、
第2のセクション(β)には、溶媒(s)の少なくとも1つの入口と第4のセクション(δ)の入り口に接続された少なくとも1つの出口が備わり、前記出口を通して第4のセクション(δ)に重い不純物(C)で汚染されている中間生成物(B)を洗い流すが、純粋な重い不純物(C)はセクション(β)内に保持し、
第3のセクション(γ)には、溶媒(s)の少なくとも1つの入口と重い不純物(C)用の出口が備わり、重い不純物(C)を前記出口を通して洗い出し、前記クロマトグラフィーカラムを洗浄し、
第4のセクション(δ)には、第2のセクション(β)の出口のアウトプットを受けるための少なくとも1つの入口と、多成分混合物(F)を供給するための少なくとも1つの入口と軽い不純物(A)用の少なくとも1つの出口が備わり、軽い不純物(A)をシステムから外へ洗い出すが、中間生成物(B)はセクション(δ)内に保持し、
接続及び切断手段を具備し、1つの切り替え時間(t)後又は内に、第1のセクション(α)からの最後のカラムを第2のセクション(β)の第1のポジションへ動かし、第2のセクション(β)の最後のカラムを第3のセクション(γ)の第1のポジションへ、第3のセクション(γ)の最後のカラムを第4のセクション(δ)の第1のポジションへ、第4のセクション(δ)の最後のカラムが第1のセクション(α)の第1のカラムになるように動かすことができ、
セクションの機能を、同期的あるいは連続的に実行し、後者の場合、好ましくは、1切り替え時間内に連続又は準連続溶出とバッチ溶出を有する連続なステップが存在する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公表番号】特表2008−539395(P2008−539395A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508046(P2008−508046)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際出願番号】PCT/CH2006/000232
【国際公開番号】WO2006/116886
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(502147960)