説明

クローラの連結構造

【課題】2つの軸部を切り欠いた1対の切欠面を形成し、かかる切欠面を利用して、前記軸部の結合を確実にしたクローラの連結構造を提供する。
【解決手段】隣接する1対のクローラの側部に突出する2つの軸部同士を嵌合させて該クローラを連結するクローラの連結構造において、前記2つの軸部の対面する部位を面状に切り欠いた1対の切欠面と、該切欠面と係合する係合凸部を軸挿入内周側にそれぞれ設けた軸包皮体状のコネクタと、該コネクタの前記係合凸部間の軸間隣接空間に、該空間を圧縮する方向に締付けて前記1対の係合凸部と前記切欠面とを締め付ける締付け要具とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械等の装軌機械に適用され、隣接する1対のクローラの側部に突出する2つの軸部同士を嵌合させて履板を連結するクローラの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
隣接する1対の履板の2つの軸部同士を嵌合させて該履板を連結するクローラの連結構造の1つとして、特許文献1(特表2004−532160号公報)がある。
特許文献1においては、2本のピンを備えたエンドコネクタにおいて、該エンドコネクタの使用時には、エンドコネクタのテンションねじのねじ込み過ぎやねじ込み不足等の誤動作から生じる、エンドコネクタの滑りによる軌道分離の危険性を回避するため、2本の横ピンを前記2本のピンに斜めに固定して、該横ピンを前記テンションねじの外面によって支承するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004−532160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1において、例えば、図1〜2では、2本のピンを備えたエンドコネクタにおける、該エンドコネクタの滑りによる軌道分離の危険性を回避するため、2本の横ピンを前記2本のピンで固定し、該横ピンをテンションねじの外面によって支承していることから、テンションねじは横ピンによって支持されており、テンションねじと2本の横ピンとは線接触であるため、横ピンへの負荷が大きく破損し易い。横ピンが破損するとテンションねじの固定が無くなるため、エンドコネクタが脱落し易い。
【0005】
何れにしても、特許文献1においては、テンションねじとピンの組み合わせが、隣接する1対の履板の側部に突出する2つの軸部同士を嵌合させる場合、2つの軸部(ピン部)と切り欠いた1対の切欠面を形成し、かかる切欠面を利用したクローラの連結構造は示されていない。
【0006】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、2つの軸部を切り欠いた1対の切欠面を形成し、かかる切欠面を利用して、前記軸部の結合を確実に且つ締付け要具の抜け止めがなされたクローラの連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はかかる目的を達成するもので、隣接する1対の履板の側部に突出する2つの軸部同士を嵌合させて該履板を連結するクローラの連結構造において、前記2つの軸部の対面する部位を面状に切り欠いた1対の切欠面と、該切欠面と係合する係合凸部を軸挿入内周側に設けた軸包皮体状のコネクタと、該コネクタの前記軸挿入内周部と軸外周部間の空間を圧縮する方向に締め付けるとともに、前記1対の係合凸部と前記切欠面とを接触させる締付け要具とを備えたことを特徴とする。
【0008】
特に、かかる発明において、具体的には次のように構成する。
前記コネクタを前記軸部の横断方向に2分割して下方側のコネクタにネジ穴を形成し、前記2分割したコネクタの一方側に前記係合凸部を設け、前記切欠面を上方から前記係合凸部を挿入して該切欠面と係合凸部を当接可能に構成し、前記締付け要具を前記コネクタを貫通させて前記ネジ穴に螺合して締め付けることにより、前記係合凸部と前記切欠面とを当接固定するとともに前記2分割したコネクタ同士を締着する。
【0009】
また、本発明は、
隣接する1対の履板の側部に突出する2つの軸部同士を嵌合させて該履板を連結するクローラの連結構造において、前記2つの軸部の対面する部位を面状に切り欠いた1対の切欠面と、該切欠面と係合する係合部を両端に設け締付け要具の挿入孔が穿孔されたウェッジと、前記切欠面及びウェッジを覆い下部にネジ穴が設けられた軸包皮体状のコネクタと、前記コネクタの上部から前記ウェッジの挿入孔に挿入されさらに前記コネクタの下部に形成されたネジ穴に螺合される締付け要具とを備え、前記締付け要具を前記コネクタのネジ穴に螺合させて締付けることにより、前記ウェッジの係合部と前記切欠面とを当接させるように構成したことを特徴とする。
【0010】
かかる発明において、具体的には次のように構成する。
(1)前記1対の切欠面と前記ウェッジの係合部との係合面は、前記2つの軸部に軸方向に移動不能な平面にて形成され、前記締付け要具により前記コネクタとウェッジを該コネクタのネジ穴に螺合させて締め付けることにより、前記平面を当接し固定する。
(2)前記切欠面を前記2つの軸部の対面する部位を面状に且つ軸の先端部まで切欠き、その切欠面に前記ウェッジを切欠面に沿って挿入可能にして、該ウェッジの係合部と前記切欠面とを係合させる締付け要具とを備える。
【0011】
また、本発明は、隣接する1対の履板の側部に突出する2つの軸部同士を嵌合させて該履板を連結するクローラの連結構造において、前記2つの軸部の対面する部位を面状に切り欠いた1対の切欠面と、該切欠面と係合する係合部を両側部に設けた締付け要具と、前記係合部を覆う軸包皮体状のコネクタとを備え、前記締付け要具を前記コネクタの上端部外周から該コネクタを貫通して前記コネクタの下端部に形成されたネジ穴に螺合させることにより、該締付け要具の係合部と切欠面とを当接させる特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、2つの軸部の対面する部位を面状に切り欠いた1対の切欠面と、該切欠面と係合する係合凸部を軸挿入内周側にそれぞれ設けた軸包皮体状のコネクタと、該コネクタの前記係合凸部間の軸間隣接空間に、該空間を圧縮する方向に締付けて前記1対の係合凸部と前記切欠面とを当接させて固定する締付け要具とを備え、具体的には、コネクタを軸部の横断方向に2分割して下方側のコネクタにネジ穴を形成し、前記2分割したコネクタの一方側に係合凸部を設け、切欠面を上方から前記係合凸部を挿入して該切欠面と係合凸部を当接可能に構成し、締付け要具をコネクタに貫通させてネジ穴に螺合して締め付けることにより、前記係合凸部と前記切欠面とを当接固定するとともに前記2分割したコネクタ同士を締着するしたので、
2分割したコネクタの一方側に係合凸部を設け、該係合凸部を上方から切欠面に当接可能に構成することにより、切欠面と係合凸部とを確実に当接できる。
また、前記切欠面を係合凸部で係止して相対回転不能に支持されているので、軸の周り止めが確実にできる。また、締付け要具が脱落しない限りは、コネクタの抜け出しを防止できる。
【0013】
また、本発明によれば、2つの軸部の対面する部位を面状に切り欠いた1対の切欠面と、該切欠面と係合する係合部を両端に設け、締付け要具の挿入孔が穿孔されたウェッジと、前記切欠面及びウェッジを覆う軸包皮体状のコネクタと、前記コネクタの上部から前記ウェッジの挿入孔に挿入されさらに前記コネクタの下部に形成されたネジ穴に螺合される締付け要具とを備えて、さらに具体的には、1対の切欠面とウェッジの係合部との係合面は、2つの軸部に軸方向に移動不能な平面にて形成され、前記締付け要具により前記コネクタとウェッジを、該コネクタにネジ穴に螺合させて締め付けることにより、前記平面が当接するように構成されたので、
締付け要具をコネクタのネジ穴に螺合させて締付けることにより、ウェッジの係合部と前記切欠面とを確実に当接固定させることができ、さらに軸包皮体状で1体のコネクタで切欠面及びウェッジを覆い、該ウェッジを2つの軸部の切欠面に嵌めこみ、締付け要具によりコネクタとウェッジを該コネクタのネジ穴に螺合させて締め付けることにより、ウェッジの係合部と軸部の切欠面を当接したことで、ウェッジの係合部と軸部の切欠面を緩み無く確実に当接できて、かかる当接により軸の周り止めが確実にできる。さらに、該締付け要具の緩みの発生を防止できる。また、締付け要具が脱落しない限りは、コネクタの抜け出しを防止できる。
【0014】
また、本発明は、前記切欠面を前記2つの軸部の対面する部位を面状に且つ軸の先端部まで切欠き、その切欠面に前記ウェッジを切欠面に沿って挿入可能にして、該ウェッジの係合部と前記切欠面とを係合させる締付け要具とを備えるように構成すれば、軸にコネクタを嵌めてからウェッジを外から入れることができるため、切欠面とウェッジの係合部との組立てが簡単となる。
【0015】
また、本発明は、2つの軸部の対面する部位を面状に切り欠いた1対の切欠面と、該切欠面と係合する係合部を両側部に設けた締付け要具と、前記係合部を覆う軸包皮体状のコネクタとを備えたので、切欠面と係合する係合部を両側部に設けた締付け要具に、前記切欠面と係合する係合部を形成して、前記締付け要具を前記コネクタの上端部外周から該コネクタを貫通して前記コネクタの下端部に形成されたネジ穴に螺合させることにより、該締付け要具の係合部と切欠面とを確実に当接させることができる。従って切欠面と係合する係合部を締付け要具に形成できるので構造が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施例にかかるクローラの連結構造部の構成図で、(A)は前記クローラの連結構造部の斜視図、(B)は連結構造部の側面図(A矢視図)、(C)は連結構造部の断面図である。
【図2】本発明の第2実施例にかかるクローラの連結構造部の構成図で、(A)は前記クローラの連結構造部の斜視図、(B)は連結構造部の側面図(A矢視図)、(C)は連結構造部の断面図である。
【図3】本発明の第3実施例にかかるクローラの連結構造部の構成図で、(A)は前記クローラの連結構造部の斜視図、(B)は連結構造部の側面図(A矢視図)である。
【図4】本発明の第4実施例にかかるクローラの連結構造部の構成図で、(A)は前記クローラの連結構造部の斜視図、(B)は連結構造部の側面図(A矢視図)、(C)は連結構造部の断面図である。
【図5】本発明にかかるクローラの部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0018】
図5は本発明にかかる履帯の部分斜視図である。図5において200はクローラ(履帯)、50は履板で、該履板50が帯状に連結されて前記クローラ200を構成する。100は本発明の対象となるクローラの連結構造部である。1は互いに平行な軸で、該軸1,1を連続的にコネクタ3を用いて連結することによりクローラの連結構造部100を構成している。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明の第1実施例にかかるクローラの連結構造部の構成図で、(A)は前記クローラの連結構造部の斜視図、(B)は連結構造部の側面図(A矢視図)、(C)は連結構造部の断面図である。
図1において、前記クローラの連結構造部100は隣接する対をなす履板50の側部に突出する2つの軸1,1同士を以下のように嵌合させて構成される。
前記2つの軸1,1には、互いに対向する部位の一定長さを面状に切り欠いた1対の切欠面1a、1aが形成されている。この切欠面1a、1aは、後述するコネクタ3a,3bを嵌め合わせたとき、互いに向かい合うように形成される。
【0020】
3a,3bは軸包皮体状(繭状断面)を有するコネクタで、前記軸1の横断方向(軸1、1を横切るように)に2分割してなり、後述するボルト2により一体に締着している。
前記コネクタ3a,3bの下方側のコネクタ3bにネジ穴3zを形成し、コネクタの上方側3aに1対の係合凸部3d、3dを設けている。該係合凸部3d、3dと前期切欠面1a,1aとの係合面は、前記2つの軸1,1に軸方向に移動不能な平面3d、1aにて形成されている。
そして、図1(C)のように上方から前記係合凸部3d、3dを挿入し、該係合凸部3d、3dが軸1,1の切欠面1a,1aに当接するようにしている。
【0021】
そして、前記コネクタ3aには挿入孔(キリ穴)3sが形成されており、ボルト2をコネクタ3aの上部から、挿入孔3sを貫通して、前記コネクタ3bのネジ穴3zに直接締め付けることにより、前記係合凸部3d、3dと前記切欠面1a,1aとを当接固定できるとともに、かかる締め付けにより前記2分割したコネクタ3a,3b同士を締着する。
【0022】
以上の第1実施例によれば、コネクタ3a,3bを軸1,1の横断方向に2分割して下方側のコネクタ3bにネジ穴3zを形成し、前記2分割したコネクタ3aの上方側に係合凸部3d、3dを設け、切欠面1a,1aを上方から前記係合凸部3d、3dに挿入して、前記ボルト2により、コネクタ3a,3bの挿入孔(キリ穴)3sを貫通させてから、ネジ穴3zにて締め付け、これにより、該切欠面1a,1aと係合凸部3d、3dとを当接させるように構成している。
従って、ボルト2を、前記コネクタ3a,3bの挿入孔(キリ穴)3sを貫通させてから、ネジ穴3zにて締め付けているので、ボルト2により、前記2分割したコネクタ3a,3b同士を確実に締着することができる。
また、前記のように、ボルト2を、前記コネクタ3a,3bの挿入孔(キリ穴)3sを貫通させてから、ネジ穴3zにて締め付けたので、該係合凸部3d、3dと前記切欠面1a,1aとを、確実に当接させることができる。
また、前記切欠面1a,1aを係合凸部3d、3dで係止して相対回転不能に支持されているので、軸1,1の周り止めを確実に行うことができる。
【0023】
即ち、かかる実施例においては、切欠面1a,1aと係合凸部3d、3dとを当接して軸1,1の回転を阻止しているので、回転部分の強度が前記特許文献1(特表2004−532160号公報)よりも強い。
また、前記ボルト2が脱落しない限りコネクタ3a,3bが抜けるのを防止できる。
【実施例2】
【0024】
図2は本発明の第2実施例にかかるクローラの連結構造部の構成図で、(A)は前記クローラの連結構造部の斜視図、(B)は連結構造部の側面図(A矢視図)、(C)は連結構造部の断面図である。
図2において、前記クローラの連結構造部100は、隣接する覆板50の側部に突出する2つの軸1,1同士を以下のように嵌合させて構成される。
前記2つの軸1,1には、互いに対向する部位の一定長さを面状に切り欠いた1対の切欠面1a、1aが形成されている。この切欠面1a、1aは、後述するコネクタ3bを嵌め合わせたとき、互いに向かい合うように形成される。
【0025】
3は軸包皮体状(繭状断面)を有するコネクタであり、上部に挿入孔3s(キリ穴)が形成され、下部にネジ穴3zが形成される。4はウェッジで、前記切欠面1a、1aと係合する係合部4bを両端に設け、中央にボルト2の挿入孔4z(キリ穴)が穿孔されている。そして、図2(C)にように、前記1対の切欠面1a、1aと前記ウェッジ4の係合部4bとの係合面は、前記2つの軸1,1に軸方向に移動不能な平面1a、4bにて形成されている。
また、前記軸包皮体状のコネクタ3により、前記切欠面1a、1a及びウェッジ4の係合部4bとの係合面を覆っている。
【0026】
2はボルトで、該ボルト2を、前記コネクタ3の挿入孔3s及びウェッジ4の挿入孔4zをそれぞれ貫通して、前記ネジ穴3zに螺合させ、該ネジ穴3zにて締め付け、かかるボルト2の締付力により、前記軸1,1の切欠面1a、1aとウェッジ4の係合部4b、4bとを面接着させる。
【0027】
以上の第2実施例によれば、1対の切欠面1a、1aとウェッジ4の係合部4bとの係合面は、2つの軸1,1に軸方向に移動不能な平面1a、4bにて形成されている。
従って、ボルト2を、前記コネクタ3の挿入孔3s及びウェッジ4の挿入孔4zをそれぞれ貫通して、前記ネジ穴3zに螺合させ、該ネジ穴3zにて締め付けることによって、該ボルト2の締付力により、前記平面1a、4bを確実に当接させることができる。
【0028】
さらに軸包皮体状で1体のコネクタ3で、切欠面1a、1a及びウェッジ4を覆った上で、該ウェッジ4を2つの軸1,1の切欠面1a、1aに嵌めこみ、前記のように、ボルト2を、コネクタ3の挿入孔3s及びウェッジ4の挿入孔4zにそれぞれ貫通して、該ネジ穴3zにて締め付けることにより、前記切欠面1a,1aを係合部4b、4bで係止して相対回転不能に支持したので、軸1,1の周り止めを確実に行うことができる。
また、切欠面1a,1aと係合部4bとを面接触して軸1,1の回転を阻止しているので、回転部分の強度が前記特許文献1(特表2004−532160号公報)よりも強い。
さらにボルト2が脱落しない限りは、コネクタ3の抜け出しを防止できる。
【実施例3】
【0029】
図3は本発明の第3実施例にかかるクローラの連結構造部の構成図で、(A)は前記クローラの連結構造部の斜視図、(B)は連結構造部の側面図(A矢視図)である。
図3において、この第3実施例においては、前記切欠面1a、1aを前記2つの軸1,1の対面する部位を面状に且つ軸の先端部まで切欠いている。
そして、その切欠面1a、1aに、前記第2実施例と同様な構成を有するウェッジ4を、切欠面1a、1aに沿って(図3のZ矢方向)に挿入可能にしている。
また、ボルト2を、コネクタ3の上部に形成された挿入孔(キリ穴)3sから前記ウェッジ4の挿入孔(キリ穴)4zを貫通して、コネクタ3の下部に穿孔したネジ穴3zにねじ込むことにより、ウェッジ4の係合部4bと前記切欠面1a、1aとを当接させている。
その他の構成、作用効果は前記第2実施例と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
【0030】
以上の第3実施例によれば、切欠面1a、1aを前記2つの軸1,1の対面する部位を面状に且つ軸の先端部まで切欠き、その切欠面1a、1aに前記ウェッジ4を、該切欠面1a、1aに沿って挿入可能にして、ボルト2により、前記ウェッジ4の挿入孔(キリ穴)4zを貫通して、コネクタ3の下部に穿孔したネジ穴3zに締めこむことにより、該ウェッジ4の係合部4bと前記切欠面1a、1aとを当接させるので、軸1,1にコネクタ3を嵌めてからウェッジ4を外から入れることができるため、組立が簡単である。
即ち軸1,1の先端部まで切欠いた切欠面1a、1aと、ウェッジ4の係合部4bを、軸1,1の先端部から該切欠面1a、1aに一致させて、コネクタ3を嵌めることができ、切欠面1a、1aとウェッジ4の係合部4bとの組立てが簡単である。
また、ボルト2を、前記のように、コネクタ3の挿入孔3s及びウェッジ4の挿入孔4zをそれぞれ貫通して、前記ネジ穴3zに螺合させ、該ネジ穴3zにて締め付けることにより、前記切欠面1a,1aを係合部4b、4bで係止して相対回転不能に支持したので、軸1,1の周り止めが可能となる。
尚、切欠面1a,1aと係合部4bとを当接して軸1,1の回転を阻止しているので、回転部分の強度が前記特許文献1(特表2004−532160号公報)よりも強い。
【実施例4】
【0031】
図4は本発明の第4実施例にかかるクローラの連結構造部の構成図で、(A)は前記クローラの連結構造部の斜視図、(B)は連結構造部の側面図(A矢視図)、(C)は連結構造部の断面図である。
図4において、2つの軸1,1には、図4(C)のように、互いに対向する部位を後述するボルト2の軸線に平行方向に一定長さを面状に切り欠いた1対の切欠面1a、1aが形成されている。
【0032】
3は軸包皮体状(繭状断面)を有するコネクタであり、上部に挿入孔(キリ穴)3s、下部にネジ穴3zが形成される。2はボルトで、その両側には前記切欠面1a、1aとの係合部2u、2uを設けている。そして、図4(C)のように、前記ボルト2を前記コネクタ3の上端部外周から該コネクタ3の挿入孔3s(キリ穴)を貫通して、前記コネクタ3の下端部に形成されたネジ穴3zに螺合することにより、前記切欠面1a、1aと係合部2u、2uを接触させている。
尚、前記係合部2u、2uを、ボルト2の外径のネジ部で構成してもよい。
【0033】
以上の第4実施例によれば、2つの軸1,1の対面する部位を、ボルト2の軸線に平行方向に一定長さを面状に切り欠いた1対の切欠面1a、1aと、該切欠面1a、1aと係合する係合部2u、2uを両側部に設けたボルト2と、前記切欠面1a、1a及び係合部2u、2uを覆う軸包皮体状のコネクタ3とを備えたので、ボルト2に設けた係合部2u、2uと切欠面1a、1aとを接触させることができる。
従って前記ボルト2を、前記コネクタ3の上端部外周から該コネクタ3を貫通して前記コネクタ3の下端部に形成されたネジ穴3zに螺合させることにより、該ボルト2の係合部2u、2uと切欠面1a、1aとを接触させて、軸1,1の周り止めが可能となる。
このように、切欠面1a、1aと係合する係合部2u、2uをボルト2に形成できるので構造が簡単であり、さらに部品数が少ないため組立てが簡単になる。
また、切欠面1a,1aと係合部2u、2uとを当接して軸1,1の回転を阻止しているので、回転部分の強度が前記特許文献1(特表2004−532160号公報)よりも強い。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、2つの軸部を切り欠いた1対の切欠面を形成し、かかる切欠面を利用して、前記軸部の結合を確実にしたクローラの連結構造を提供できる。
【符号の説明】
【0035】
1 軸
1a 切欠面
2 ボルト
2a ネジ
2s,3a 挿入孔(キリ穴)
2u 係合部
3,3a,3b コネクタ
3b 係合部
3d 係合凸部
4 ウェッジ
50 履板
100 クローラの連結構造部
200 クローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する1対の履板の側部に突出する2つの軸部同士を嵌合させて該履板を連結するクローラの連結構造において、前記2つの軸部の対面する部位を面状に切り欠いた1対の切欠面と、該切欠面と係合する係合凸部を軸挿入内周側に設けた軸包皮体状のコネクタと、該コネクタの前記軸挿入内周部と軸外周部間の空間を圧縮する方向に締め付けるとともに、前記1対の係合凸部と前記切欠面とを接触させる締付け要具とを備えたことを特徴とするクローラの連結構造。
【請求項2】
前記コネクタを前記軸部の横断方向に2分割して下方側のコネクタにネジ穴を形成し、前記2分割したコネクタの一方側に前記係合凸部を設け、前記切欠面を上方から前記係合凸部を挿入して該切欠面と係合凸部を当接可能に構成し、前記締付け要具を前記コネクタを貫通させて前記ネジ穴に螺合して締め付けることにより、前記係合凸部と前記切欠面とを当接して固定するとともに前記2分割したコネクタ同士を締着することを特徴とする請求項1記載のクローラの連結構造。
【請求項3】
隣接する1対の履板の側部に突出する2つの軸部同士を嵌合させて該履板を連結するクローラの連結構造において、前記2つの軸部の対面する部位を面状に切り欠いた1対の切欠面と、該切欠面と係合する係合部を両端に設け締付け要具の挿入孔が穿孔されたウェッジと、前記切欠面及びウェッジを覆い下部にネジ穴が設けられた軸包皮体状のコネクタと、前記コネクタの上部から前記ウェッジの挿入孔に挿入され、さらに前記コネクタの下部に形成されたネジ穴に螺合される締付け要具とを備え、前記締付け要具を前記コネクタにネジに螺合させて締付けることにより、前記ウェッジの係合部と前記切欠面とを当接させるように構成したことを特徴とするクローラの連結構造。
【請求項4】
前記1対の切欠面と前記ウェッジの係合部との係合面は、前記2つの軸部に軸方向に移動不能な平面にて形成され、前記締付け要具により前記コネクタとウェッジを該コネクタのネジ穴に螺合させて締め付けることにより、前記平面を当接固定することを特徴とする請求項3記載のクローラの連結構造。
【請求項5】
前記切欠面を前記2つの軸部の対面する部位を面状に且つ軸の先端部まで切欠き、その切欠面に前記ウェッジを切欠面に沿って挿入可能にして、該ウェッジの係合部と前記切欠面とを係合させる締付け要具とを備えたことを特徴とする請求項3記載のクローラの連結構造。
【請求項6】
隣接する1対の履板の側部に突出する2つの軸部同士を嵌合させて該履板を連結するクローラの連結構造において、前記2つの軸部の対面する部位を面状に切り欠いた1対の切欠面と、該切欠面と係合する係合部を両側部に設けた締付け要具と、前記係合部を覆う軸包皮体状のコネクタとを備え、前記締付け要具を前記コネクタの上端部外周から該コネクタを貫通して前記コネクタの下端部に形成されたネジ穴に螺合させることにより、該締付け要具の係合部と切欠面とを当接させる特徴とするクローラの連結構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−110982(P2011−110982A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267148(P2009−267148)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、防衛省、「新戦車(その5)」試作研究請負契約、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(390014306)防衛省技術研究本部長 (169)