説明

クローラ走行部洗浄台

【課題】 支持台の幅方向の中央にクローラ走行部が自動的に位置するようにする。
【解決手段】 洗浄台1は、被洗浄作業車輌の各クローラ走行部11に対応する支持台2を備えており、支持台2は、対応するクローラ走行部11を支持するとともに空回りさせるように構成されている。支持台2は、クローラ走行部11の幅より広い所定間隔Wを左右方向において配設された一対のフレーム3,3と、一対のフレーム3,3の間に、該フレームの長さ方向へ交互に列設された第一ローラ4及び第二ローラ5とを備えており、支持台2の前後とクローラ走行部11の走行方向の前後とを一致させた状態でクローラ走行部11を支持するように構成されている。第一ローラ4は、平面視で左側に対して右側が後方になるように傾斜させた第一軸4aを介して支持されている。第二ローラ5は、平面視で右側に対して左側が後方になるように傾斜させた第二軸5aを介して支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用や土木用などの各種作業車輌のクローラ走行部を洗浄するために用いる洗浄台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の作業車輌のクローラ走行部洗浄台としては、特許文献1に記載された洗浄装置の載置台を例示する。この洗浄装置は、載置台108,108上に載せた被洗浄作業車輌を繋止手段Jで繋止し、その被洗浄作業車輌のクロ−ラ走行部111を回転させながら、載置台に沿って往復走行する洗浄器121,122によりクロ−ラ走行部111に向けて洗浄液を噴出投与するように構成されている。載置台108,108は、平面視でハ字状を呈するように回転軸心を傾けて列設するロ−ラ−109群によって構成されている。各々の載置台108は、クロ−ラ走行部111の外側部位に位置する鉛直向きのガイドロ−ラ112を備え、該ガイドローラ112は保持筒115を介して載置台108に支持されている。このガイドローラ112により、クローラ走行部111が載置台108上で横外方に片寄って載置台108から脱落することを防止するようにしている。載置台108には複数個所に保持筒115が設置されており、被洗浄対象の作業車輌の大きさに応じた位置の保持筒115にガイドローラ112を取り付けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−34319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、載置台108は、クローラ走行部111の両外側部位にガイドローラ112を備えるとともに、該ガイドローラ112が複数個所に設置可能となるように複数の保持筒115を備えているので、部品点数が増え、コストが掛かるという課題がある。
【0005】
また、使用時には、作業車輌の大きさに応じてガイドローラ112の位置を調節しなければならず、手間が掛かるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のクローラ走行部洗浄台は、
被洗浄作業車輌の各クローラ走行部に対応する支持台を備えており、該支持台は、対応するクローラ走行部を支持するとともに空回りさせるように構成されたクローラ走行部洗浄台であって、
前記支持台は、前記クローラ走行部の幅より広く設定された所定間隔を左右方向において配設された一対のフレームと、該一対のフレームの間に、該フレームの長さ方向へ交互に列設された第一ローラ及び第二ローラとを備えており、該支持台の前後とクローラ走行部の走行方向の前後とを一致させた状態で該クローラ走行部を支持するように構成されており、
前記第一ローラは、平面視で左側に対して右側が後方になるように傾斜させた第一軸を介して支持されており、
前記第二ローラは、平面視で右側に対して左側が後方になるように傾斜させた第二軸を介して支持されている。
【0007】
この構成によれば、前記クローラ走行部が前記支持台の上で空回りすると、平面視で左側に対して右側が後方になるように傾斜させた前記第一軸を介して支持された第一ローラが、前記クローラ走行部に対し左側に寄せる力を作用させる。一方、平面視で右側に対して左側が後方になるように傾斜させた前記第二軸を介して支持された第二ローラが、前記クローラ走行部に対し右側に寄せる力を作用させる。このため、前記第一ローラによる前記力と前記第二ローラによる前記力との相互作用により、前記支持台の幅方向の中央に前記クローラ走行部が自動的に位置するようになる。
【0008】
前記クローラ走行部洗浄台においては、
前記第一ローラ及び前記第二ローラは、それらの幅が前記所定間隔よりも狭く形成されており、
前記第一ローラは、平面視で前記第一軸における右側に片寄せされて配設されており、
前記第二ローラは、平面視で前記第二軸における左側に片寄せされて配設されている態様を例示する。
【0009】
この構成によれば、前記クローラ走行部が前記支持台の上で空回りしているときに、該支持台の幅方向における右側に位置すると、前記第二軸の左側に片寄せされて配設された第二ローラよりも、前記第一軸の右側に片寄せされて配設された第一ローラに幅広く支持されることになる。このため、該第二ローラによる前記右側に寄せる力よりも、該第一ローラによる前記左側に寄せる力が強く作用する。また、この反対に、前記クローラ走行部が前記支持台の幅方向における左側に位置すると、前記第二ローラによる前記右側に寄せる力が強く作用する。従って、前記支持台の幅方向の中央に前記クローラ走行部がスムーズに位置するようになる。
【0010】
前記クローラ走行部洗浄台においては、
前記支持台は、正面視で、前記第一軸を右側に対して左側が下方になるように傾斜させ、前記第二軸を左側に対して右側が下方になるように傾斜させることにより、該第一軸及び該第二軸が略X字を形成するように配設されている態様を例示する。
【0011】
この構成によれば、前記第一ローラ及び前記第二ローラにより形成された前記支持台の上面は、その幅方向の中央が低くなるので、該中央に前記クローラ走行部がスムーズに位置するようになる。
【0012】
前記クローラ走行部洗浄台においては、
前記支持台は、その前端部に、前記第一ローラ及び前記第二ローラよりも高位置に配設された前進止めローラを備えている態様を例示する。
【0013】
この構成によれば、前記前進止めローラにより、第一ローラ、第二ローラ等の各部との摩擦により発生するクローラ走行部の前進力を受け止めることができ、クローラ走行部を支持台上で空回りさせることができる。
【0014】
前記クローラ走行部洗浄台においては、
前記支持台は、後側が前側よりも低くなるように傾斜させて設置されている態様を例示する。
【0015】
この構成によれば、クローラ走行部を前記支持台へスムーズに乗り上げさせることができる。また、第一ローラ、第二ローラ等の各部との摩擦により発生するクローラ走行部の前進力を相殺し、前記前進止めローラへの押圧負荷を軽減させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るクローラ走行部洗浄台によれば、クローラ走行部を支持する支持台の幅方向の中央にクローラ走行部が自動的に位置するようになるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を具体化した一実施形態に係るクローラ走行部洗浄台の平面図である。
【図2】同洗浄台の右側面図である。
【図3】図1及び図2のIII矢視図である。
【図4】図3のIV矢視図である。
【図5】従来のクローラ走行部洗浄装置の側面図である。
【図6】同洗浄装置の前部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜図4は本発明を具体化した一実施形態のクローラ走行部洗浄台1を示している。この洗浄台1は、被洗浄作業車輌10の各クローラ走行部11に対応する支持台2,2を備えており、該支持台2は、対応するクローラ走行部11を支持するとともに空回りさせるように構成されている。そして、洗浄台1の上で空回りするクローラ走行部11に対し洗浄液を噴射することにより、クローラ走行部11を洗浄することができるようになっている。なお、各図において、矢印Fは支持台2,2を含む洗浄台1の前側を指し示すとともに、クローラ走行部11の走行方向の前側を指し示している。
【0019】
支持台2は、クローラ走行部11の幅より広く設定された所定間隔Wを左右方向において配設された一対のフレーム3,3を含む基枠7と、該フレーム3の長さ方向へ交互に列設された第一ローラ4及び第二ローラ5と、該支持台2の前端部に第一ローラ4及び第二ローラ5よりも高位置に配設された前進止めローラ6とを備えており、該支持台2の前後とクローラ走行部11の走行方向の前後とを一致させた状態で該クローラ走行部11を支持するように構成されている。また、支持台2の基枠7は、その前後が、左右一対の前脚7aと、左右一対の後脚7bとによりそれぞれ支持されており、後脚7bが前脚7aよりも短く形成されている。このように、支持台2は、第一ローラ4及び第二ローラ5で構成されるクローラ走行部11の支持面の後側が前側よりも低くなるように傾斜させて設置されており、該支持台2の設置面と該後側との段差が、クローラ走行部11で乗り上げ可能な高さとなるように構成されている。
【0020】
第一ローラ4は、平面視で左側に対して右側が後方になるように傾斜させた第一軸4aを介して支持されており、第二ローラ5は、平面視で右側に対して左側が後方になるように傾斜させた第二軸5aを介して支持されている。本例では、第一軸4aと第二軸5aとの相対角度Aが20°に設定されている。また、本例では、第一ローラ4及び第二ローラ5は、それらの幅が所定間隔Wよりも狭く形成されており、第一ローラ4は、平面視で第一軸4aにおける右側に片寄せされて配設されており、第二ローラ5は、平面視で第二軸5aにおける左側に片寄せされて配設されている。さらに、本例では、正面視で、第一軸4aを右側に対して左側が下方になるように傾斜させ、第二軸5aを左側に対して右側が下方になるように傾斜させることにより、該第一軸4a及び該第二軸5aが略X字を形成するように配設されている。
【0021】
次に、本例の洗浄台における第一ローラ4及び第二ローラ5の作用について説明する。図4に示すように、第一ローラ4の上でクローラ走行部11のクローラ11aが空回りするときに、支持台2におけるクローラ走行部11の支持面上を移動する方向D1に対し、第一ローラ4の回転方向D2は左側に傾いている。このため、クローラ11aの空回りするときの第一ローラ4の回転により、クローラ走行部11には、左側に寄せる力Sが作用する。そして、第一ローラ4及び第二ローラ5は、支持台2の幅方向の中心線を対称軸として左右対称の構成であるため、クローラの空回りするときの第二ローラ5の回転により、クローラ走行部11には、右側に寄せる力(Sの逆向きの力)が作用することになる。
【0022】
以上のように構成された本例のクローラ走行部洗浄台1によれば、クローラ走行部11が支持台2の上で空回りすると、平面視で左側に対して右側が後方になるように傾斜させた第一軸4aを介して支持された第一ローラ4が、クローラ走行部11に対し左側に寄せる力Sを作用させる。一方、平面視で右側に対して左側が後方になるように傾斜させた第二軸5aを介して支持された第二ローラ5が、クローラ走行部11に対し右側に寄せる力(Sの逆向きの力)を作用させる。このため、第一ローラ4による力Sと第二ローラ5による力(Sの逆向きの力)との相互作用により、支持台2の幅方向の中央にクローラ走行部11が自動的に位置するようになる。
【0023】
また、クローラ走行部11が支持台2の上で空回りしているときに、該支持台2の幅方向における右側に位置すると、第二軸5aの左側に片寄せされて配設された第二ローラ5よりも、第一軸4aの右側に片寄せされて配設された第一ローラ4に幅広く支持されることになる。このため、該第二ローラ5による右側に寄せる力(Sの逆向きの力)よりも、該第一ローラ4による左側に寄せる力Sが強く作用する。また、この反対に、クローラ走行部11が支持台2の幅方向における左側に位置すると、第二ローラ5による右側に寄せる力(Sの逆向きの力)が強く作用する。従って、支持台2の幅方向の中央にクローラ走行部11がスムーズに位置するようになる。
【0024】
また、第一軸4a及び第二軸5aが略X字を形成するように配設されることにより、第一ローラ4及び第二ローラ5により形成された支持台2の上面は、その幅方向の中央が低くなるので、該中央にクローラ走行部11がスムーズに位置するようになる。
【0025】
また、前進止めローラ6により、第一ローラ4、第二ローラ5等の各部との摩擦により発生するクローラ走行部11の前進力を受け止めることができ、クローラ走行部11を支持台2の上で空回りさせることができる。
【0026】
さらに、支持台2は、後側が前側よりも低くなるように傾斜させて設置されているので、クローラ走行部11を支持台2へスムーズに乗り上げさせることができる。また、第一ローラ4、第二ローラ5等の各部との摩擦により発生するクローラ走行部11の前進力を相殺し、前進止めローラ6への押圧負荷を軽減させることができる。
【0027】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)支持台2に沿って往復走行する洗浄器を設けることにより、クローラ走行部洗浄装置として構成すること。
(2)前脚7a又は/及び後脚7bを、高さ調節可能に構成すること。
(3)一対の支持台2の間隔を調節する装置を設けること。
【符号の説明】
【0028】
1 クローラ走行部洗浄台
2 支持台
3 フレーム
4 第一ローラ
4a 第一軸
5 第二ローラ
5a 第二軸
6 前進止めローラ
7 基枠
7a 前脚
7b 後脚
10 被洗浄作業車輌
11 クローラ走行部
11a クローラ
F 洗浄台の前側(クローラ走行部の走行方向の前側)
W 所定間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄作業車輌の各クローラ走行部に対応する支持台を備えており、該支持台は、対応するクローラ走行部を支持するとともに空回りさせるように構成されたクローラ走行部洗浄台であって、
前記支持台は、前記クローラ走行部の幅より広く設定された所定間隔を左右方向において配設された一対のフレームと、該一対のフレームの間に、該フレームの長さ方向へ交互に列設された第一ローラ及び第二ローラとを備えており、該支持台の前後とクローラ走行部の走行方向の前後とを一致させた状態で該クローラ走行部を支持するように構成されており、
前記第一ローラは、平面視で左側に対して右側が後方になるように傾斜させた第一軸を介して支持されており、
前記第二ローラは、平面視で右側に対して左側が後方になるように傾斜させた第二軸を介して支持されている
クローラ走行部洗浄台。
【請求項2】
前記第一ローラ及び前記第二ローラは、それらの幅が前記所定間隔よりも狭く形成されており、
前記第一ローラは、平面視で前記第一軸における右側に片寄せされて配設されており、
前記第二ローラは、平面視で前記第二軸における左側に片寄せされて配設されている
請求項1記載のクローラ走行部洗浄台。
【請求項3】
前記支持台は、正面視で、前記第一軸を右側に対して左側が下方になるように傾斜させ、前記第二軸を左側に対して右側が下方になるように傾斜させることにより、該第一軸及び該第二軸が略X字を形成するように配設されている請求項1又は2記載のクローラ走行部洗浄台。
【請求項4】
前記支持台は、その前端部に、前記第一ローラ及び前記第二ローラよりも高位置に配設された前進止めローラを備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載のクローラ走行部洗浄台。
【請求項5】
前記支持台は、後側が前側よりも低くなるように傾斜させて設置されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のクローラ走行部洗浄台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−61974(P2012−61974A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208224(P2010−208224)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000100469)みのる産業株式会社 (158)
【Fターム(参考)】