説明

クーラント供給を強化した切削アセンブリ

【課題】クーラント供給を強化した切削アセンブリを提供する。
【解決手段】工具ホルダは、下部座部を有する下部延長部と、上部座部を有する上部延長部とにヘッド部分を分離して、切削インサートを保持するスロットを含むヘッド部分を有する。ヘッド部分は、クーラント源からクーラントを収容するクーラント進入通路と、切削インサートに向かってクーラントを放出するクーラント供給通路とを含む。切削インサートは、上方に延在する隆起部を有する頂面を含み、隆起部は、切削インサートを工具ホルダのヘッド部分に堅固に取り付けるために工具ホルダによって係合されることができる。さらに、切削インサートは、切削インサートと被加工物との界面に供給されるクーラントの流量を増やすためにクーラント放出口の反対側に直接位置付けされる切削インサートの頂面に形成されたクーラント流路を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物から材料を除去するための切削アセンブリに関する。より詳細には、本発明は、切削インサートを支持する工具ホルダを含むこのような切削アセンブリに関し、この場合、工具ホルダはクーラントを切削インサートに供給する能力を提供する。
【背景技術】
【0002】
例えば溝切り作業のような切削作業では、溝切り又は切削インサートは、被加工物から材料を除去するように被加工物に係合する。ある切削アセンブリでは、上部座部及び下部座部が切削インサートを保持する。上部座部及び下部座部が切削インサートを保持する例示的な切削アセンブリが、特許文献1及び特許文献2に示されている。
【0003】
材料除去作業によって、切削インサートと被加工物との間の界面に熱が発生する可能性がある。典型的に、切削インサートと被加工物との間の界面の近傍にクーラントを供給することが有利である。以下の特許文献は、クーラントを切削インサートの近傍に供給する装置の一例である(特許文献3、特許文献4、特許文献5、及び特許文献6)。
【0004】
特許文献1〜6のいくつかに開示された装置は、クーラントを供給するが、切削インサートと被加工物との間の界面にクーラントを効率的に供給する切削アセンブリを提供することが依然として非常に望ましい。このことは、切削インサートが、溝を切削するために外径(すなわち、外側の被加工物表面)において被加工物表面に係合する切削作業に特に当てはまる。切削作業中、溝の深さが増すにつれ、切削インサートと被加工物との界面へのクーラント供給に関連する困難が増大する。理解され得るように、溝の深さが切削作業中に増加するときにも、切削インサートと被加工物との界面にクーラントを供給する切削アセンブリ(特に工具ホルダ)を提供することが非常に有益であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,261,032号明細書
【特許文献2】国際公開第2009/141815A1号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5,439,327号明細書明細書
【特許文献4】米国特許第5,775,854号明細書明細書
【特許文献5】米国特許第6,705,805号明細書明細書
【特許文献6】米国特許第7,641,422号明細書明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、切削インサートのシャンク部分に形成されるクーラント流路を設けることによって、切削インサートと被加工物との界面にクーラントを供給する問題を解決した。より詳細には、クーラント流路は、工具ホルダのクーラント放出口(coolant discharge)の直接反対側にある切削インサートの頂面の隆起部に形成される。クーラント流路は、切削インサートと被加工物との界面へのクーラントの流量を増やすためのノズルとして作用する。
【0007】
一態様において、本発明は、工具ホルダ及び切削インサートを備える切削アセンブリである。工具ホルダは、軸方向前端及び軸方向後端を有し、軸方向前端にヘッド部分及び軸方向後端にシャンク部分を有する。ヘッド部分は、ヘッド部分を下部セクションと上部セクションとに分離するスロットを含み、下部座部を画定する下部セクションと上部セクションとは、それらの間に切削インサートを保持するように適合される。ヘッド部分は、締結具ボアと流体連通するクーラント進入通路を含み、かつ、ヘッド部分は、締結具ボアと流体連通するクーラント供給通路を含み、クーラント供給通路は、クーラントを切削インサートに導くように適合された出口を有する。切削インサートは、上方に延在する隆起部を有する頂面を含み、隆起部は、切削インサートを工具ホルダのヘッド部分に堅固に取り付けるために工具ホルダによって係合されることができる。さらに、切削インサートは、その頂面に形成されたクーラント流路を含み、この場合、クーラント流路は、工具ホルダに取り付けられるときに出口の反対側に直接位置付けされ、これによって、流路が、切削インサートと被加工物との間の界面に供給されるクーラントの流量を増やすためのノズルとして作用するようになる。
【0008】
他の態様において、本発明は、切削アセンブリが切削インサートと被加工物との界面において被加工物に係合すると、被加工物表面を有する被加工物から材料を除去するための切削アセンブリに関する。アセンブリは工具ホルダ及び細長い切削インサートを備え、細長い切削インサートは切削インサート長手方向中心軸線を有し、この場合、切削インサート長手方向中心軸線は被加工物表面に対して概して直角である。工具ホルダは、軸方向前端及び軸方向後端を有し、軸方向前端にヘッド部分及び軸方向後端にシャンク部分を有する。ヘッド部分は、長手方向延長中心軸線を有する狭い軸方向前方延長部を有する。ヘッド部分は、狭い軸方向前方延長部を下部軸方向前方延長セクションと上部軸方向前方延長セクションとに分離するスロットを含み、この場合、上部軸方向前方延長セクションは下部軸方向前方延長セクションに対して移動可能である。下部軸方向前方延長セクションは下部座部を画定し、上部軸方向前方延長セクションは上部座部を画定し、この場合、下部座部及び上部座部は、切削インサート長手方向中心軸線が長手方向延長中心軸線に対して概して平行であるように、細長い切削インサートを下部座部と上部座部との間に保持するように適合される。ヘッド部分は締結具ボアを含む。ヘッド部分は、締結具ボアと流体連通するクーラント進入通路を含み、上部軸方向前方延長セクションは、長手方向クーラント放出軸線を有するクーラント放出セクションの少なくとも一部分を含む。締結具が締結具ボア内に収容され、締結具は、入口と出口とを有する軸方向締結具ボアを有し、軸方向締結具ボアの入口はクーラント進入通路と流体連通し、軸方向締結具ボアの出口は締結具ボアと流体連通している。クーラント放出セクションは締結具ボアと流体連通し、クーラント放出セクションは、上部軸方向前方延長セクションに出口を有し、この場合、出口は、切削インサート長手方向中心軸線に対して概して平行の方向に切削インサートに向かってクーラントを放出するように、切削インサートと被加工物との界面に向かって開口する。切削インサートは、上方に延在する隆起部を有する頂面を含み、隆起部は、切削インサートを工具ホルダのヘッド部分に堅固に取り付けるために工具ホルダによって係合されることができる。さらに、切削インサートは、その頂面に形成されたクーラント流路を含み、この場合、クーラント流路は、工具ホルダに取り付けられるときに出口の反対側に直接位置付けされ、これによって、流路が、切削インサートと被加工物との間の界面に供給されるクーラントの流量を増やすためのノズルとして作用するようになる。
【0009】
本発明の様々な実施形態が例示されているが、図示した特定の実施形態が特許請求の範囲を限定すると解釈されるべきでない。本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正をなし得ることが予想される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】工具ホルダ及び工具ホルダによって保持された切削インサートを有する切削アセンブリの等角図である。
【図2】図1の工具ホルダのヘッド部分の平面図である。
【図3】図2の断面線3−3に沿った図1の工具ホルダのヘッド部分の断面図である。
【図4】図2の断面線4−4に沿った図1の工具ホルダのヘッド部分の断面図である。
【図5】図2の断面線5−5に沿った図1の工具ホルダのヘッド部分の断面図である。
【図6】工具ホルダを通して切削インサートへのクーラントの流れを示した拡大図である。
【図7】本発明の実施形態による切削インサートの等角図である。
【図8】切削インサートの平面図である。
【図9】切削インサートの端面図である。
【図10】図8の断面線10−10に沿った図7の切削インサートの断面図である。
【図11】図8の断面線11−11に沿った図7の切削インサートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
同様の参照番号が同様の要素を示す図面を参照すると、概して20で示された切削アセンブリが示されている。図示した特定の種類の切削アセンブリ20は溝切りアセンブリである。溝切りアセンブリの説明は、本発明の範囲を制限するようには意図されない。さらに、溝切りアセンブリ及び溝切りインサートとして切削アセンブリ及び切削インサートに言及することは、本発明の範囲を制限するようには意図されない。本発明が関係する切削アセンブリの種類は、限定なしに、旋削アセンブリ、切断工具アセンブリ(cut−off tool assembly)、及び面溝切りアセンブリを含む。本発明の真の範囲及び精神は、本発明の特許請求の範囲によって示される。
【0012】
切削(又は溝切り)アセンブリ20は、工具ホルダ22及び切削インサート(又は溝切りインサート)24を備える。図7に示したように、切削インサート24は、切削インサート長手方向中心軸線A−Aを有する。切削インサート24は、切削インサート長手方向中心軸線A−Aが、被加工物表面(図示せず)に対して概して直角であるように工具ホルダ22に固定される。工具ホルダ22は、軸方向前端28と軸方向後端30とを有する。工具ホルダ22は、軸方向後端30にシャンク部分32と、軸方向前端28にヘッド部分34とを有する。
【0013】
ヘッド部分34はスロット36を含む。スロット36は、ヘッド部分34を上部セクション(括弧部分40を参照)と下部セクション(括弧部分42参照)とに分割する。ヘッド部分34は、長手方向延長中心軸線B−B(図1参照)を有する狭い(又は薄い)軸方向前方延長部44を有する。狭い軸方向前方延長部44は、下部軸方向前方延長部44A及び上部軸方向前方延長部44Bを形成する。スロット36は、下部軸方向前方延長部44A及び上部軸方向前方延長部44Bを分離し、このためそれらは互いに移動可能である。上部セクション40(上部軸方向前方延長部44Bの形態)は、軸方向前方延長部44の近傍に上部座部46を有する。下部セクション42(下部軸方向前方延長部44Aの形態)は、軸方向前方延長部44の近傍に下部座部48を有する。上部座部46及び下部座部48は、50で概して示した着座領域を備える。
【0014】
ヘッド部分34は、図2に示したような最大横方向寸法「G」を有する。狭い軸方向前方延長部44は、図2に示したような横方向寸法「F」を有する。図2に示したように、ヘッド部分の最大横方向寸法に対する狭い軸方向前方延長部の横方向寸法の比率(F/G)は、約0.16である。ヘッド部分の最大横方向寸法に対する狭い軸方向前方延長部の横方向寸法の比率(F/G)は、約0.15〜約0.50の範囲にある。代りの範囲では、F/Gの範囲は約0.25〜約0.40である。
【0015】
ヘッド部分34は、頂面52と、図1のような図面に見える選択された側面54とを有する。
【0016】
以下に説明するように、クーラントは、ヘッド部分34の狭い軸方向前方延長部44の開口部からクーラントを放出することによって、切削インサートと被加工物との界面の近傍に供給される。切削作業全体にわたって、切削インサートと被加工物との界面にクーラントを直接放出することから利点が得られる。
【0017】
図1と図3を参照すると、ヘッド部分34は、一方の側面54に進入開口部62を有するクーラント進入通路60を含む。図3に示したように、クーラント進入通路60は、進入開口部62からヘッド部分34の内部に延在する。特に、クーラント進入通路60は、ヘッド部分34の下部セクション42内に延在し、下部セクション42の内部に終端する。進入開口部62は、概略的に示されているクーラント源64と流体連通し、この場合、クーラント源は典型的に圧力下にある。
【0018】
ヘッド部分34はまた、頂面52に開放端72を有しかつヘッド部分34の内部に延在する締結具ボア70を含む。締結具ボア70は、クーラント進入通路60と交差し、交差領域は参照番号56を有する。交差領域は、締結具ボア70が終端する交差領域56にある。
【0019】
締結具ボア70の形状を参照し、特に図3を見ると、締結具ボア70は、開放端72に隣接するカウンタボアセクション74を有する。締結具ボア70は、さらにクーラント溜めセクション76を有し、この場合、環状肩部78がカウンタボアセクション74をクーラント溜めセクション76から分離する。締結具ボア70は、さらに、クーラント溜めセクション76からスロット36に延在する上部終端ボアセクション80を有する。締結具ボア70は、さらに、スロット36から延在しかつ溝切り工具ホルダ22のヘッド部分34の下部セクション42に終端する下部ボアセクション82を有する。下部ボアセクション82は、交差領域56のクーラント進入通路60と交差するように終端する。この交差により、下部ボアセクション82はクーラント進入通路60と流体連通される。
【0020】
図3と図4を参照すると、ヘッド部分34の上部セクション40は、収容セクション92を有するクーラント供給通路90を含む。収容セクション92は、概して横方向の配向を有し、ヘッド部分34の一方の表面54に開口部94を有する。プラグ100(等)は、開口部94で収容セクション92を塞ぐ。クーラント供給通路90の収容セクション92は、クーラント溜めセクション76と交差するような配向で、開口部94から締結具ボア70を過ぎて移動する。クーラント供給通路90の収容セクション92は、締結具ボア70のクーラント溜めセクション76と流体連通する。
【0021】
クーラント供給通路90は、図5に示したように(図6に仮想線で図示)、放出開口部(又は出口)98に終端する放出セクション96を有する。放出セクション96は、長手方向クーラント放出軸線E‐Eを有する(図6参照)。収容セクション92は、放出セクション96と流体連通している。クーラントは、切削インサートと被加工物との界面の上にある位置(又は場所)から、放出開口部98から切削インサートと被加工物との界面に向かって放出する。
【0022】
クーラントは、放出開口部98から切削インサート24に直接向かう方向に放出することを理解すべきである。切削インサート24は、細長く、長手方向中心軸線を有し、クーラントは、切削作業全体にわたって、放出開口部98から細長い切削インサート24の長手方向中心軸線と概して整列される方向に放出することに留意されたい。以下に説明するように、切削作業全体にわたって、クーラントを切削インサートと被加工物との界面の近傍に直接放出することにより、ある利点が得られる。
【0023】
締結具ボア70は、細長い締結具110を収容する。締結具110は、頂部(一方)軸方向端部112及び反対側の底部(他方)軸方向端部114を有する。締結具110は、頂部軸方向端部112に隣接するヘッドセクション118を有する。締結具110は、さらに、ねじ付きのシャンクセクション122と、ヘッドセクション118とシャンクセクション122との間の中間セクション120とを有する。締結具110は、中間セクション120にシール溝124を有し、シール溝124は弾性シール126を支持する。シール126は、上部終端ボアセクション80との液密シールを提供する。締結具110は、締結具110の底端部114に隣接する開放端132を有する軸方向締結具ボア130を含む。締結具110は、さらに、軸方向締結具ボア130と交差する横方向締結具ボア136を含み、開口部138を有する。
【0024】
図3〜図6を参照すると、作業時、クーラント源64からの圧力下のクーラントは、進入開口部62を介してクーラント進入通路60に入る。クーラントは、クーラント進入通路60を通して下部ボアセクション82の容積内に移動する。次に、クーラントは、その開放端132を介して軸方向締結具ボア130内に通過する。次に、クーラントは、軸方向締結具ボア130の上方に、横方向締結具ボア136内に移動する。クーラントは、開口部138において横方向締結具ボア136からクーラント溜めセクション76内に出る。次に、クーラントは、クーラント供給通路90の収容セクション92内に入り、次に、クーラント供給通路90の放出セクション96内に入る。圧力下にあるクーラント(図5と図6の矢印「C」参照)は、次に、切削インサート24に向かう方向に放出開口部98を出る。
【0025】
図7〜図11を参照すると、切削インサート24は、シャンク部分144のいずれかの側面に配置された1対の切削部分140、142を含む。使用中、切削インサート24のシャンク部分144は、図1に示したように、工具ホルダ22にクランプされ、工具ホルダは切削部分140、142の一方を配置して、支持する。切削部分140、142の一方、例えば切削部分140が摩耗した場合、切削インサート24は、他方の切削部分142を機械加工位置に配置するために工具ホルダ22で180°回転される。図8と図9に示したように、切削インサート24は、上方に延在する隆起部146を有する頂面145を含み、隆起部は、切削インサート24を工具ホルダ22の動作位置に堅固に取り付けるために工具ホルダによって係合されることができる。
【0026】
一実施形態において、切削インサート24は、比較的硬質の材料、例えば炭化物、サーメット、セラミック等から形成される。切削インサート24は、当該技術分野において公知の粉末金属技術を使用して成形することができる。しかし、本発明は、切削インサートを形成して、作製するための他の方法及び技術、ならびに上に示した材料以外の材料を考慮する。
【0027】
切削部分140、142は実質的に同一であり、したがって、簡潔さのために切削部分140のみについて説明する。切削部分140は、図9と図11に示したように、前方切削エッジ148と、前方切削エッジから下方に延在するクリアランス面150とを含む。図示した実施形態では、前方切削エッジ148は、0度に等しいリード角で配向される。しかし、本発明はリード角の大きさによって限定されないこと、及び本発明が望ましい任意のリード角、例えば0度〜10度のリード角で実施できることを認識すべきである。すくい面152は、前方切削エッジ148から後方に、すなわちシャンク部分144に向かって突出部146に延在する。
【0028】
全体の切削作業の間、切削インサートと被加工物との界面にクーラントを供給することが重要である。溝を形成する切削作業の性質によって、切削作業が進行するとき、被加工物の表面に対して直角の長手方向中心軸線を有する細長い形状の切削インサートは、被加工物内により深く移動する。さらに、切削作業が進行するとき、切削インサートと被加工物との界面は、被加工物の質量内により深く移動する。この結果、外側面のノズルから切削インサートと被加工物との界面にクーラントを供給することがより難しくなるが、この理由は、被加工物それ自体が、クーラントが切削インサートと被加工物との界面に到達することを阻止するからである。
【0029】
切削インサートと被加工物との界面にクーラントを供給する問題は、本発明によって、切削インサート24のシャンク部分144に形成される概して154で示したクーラント流路を設けることによって解決された。図示した実施形態では、クーラント流路154は、切削インサート24の頂面145の隆起部146に形成される。しかし、本発明は、隆起部に形成されるクリアランス流路に限定されないこと、及び本発明が、クーラント流路が工具ホルダ22の放出開口部98と実質的に位置合わせされる限り、隆起部を含まない切削インサートの頂面にクーラント流路を設けることによって実施できることが認識されるであろう。
【0030】
図示した実施形態では、クーラント流路154の断面は実質的V字形状であり、1対の側壁156、158及びそれらの間の底面160によって画定される。しかし、本発明は、流路の断面形状によって限定されないこと、及び本発明が、クーラント流れの所望の挙動特性を提供する望ましい任意の断面形状によって実施できることが認識されるであろう。例えば、流路154の断面は、楕円形、卵形、U字形等でもよい。各々の側壁156、158の前端は、流路154を通したクーラントの流れを促進するための傾斜面162を含む。
【0031】
流路154は、図8に示したように、切削インサート24の切削インサート長手方向中心軸線A−Aと整列され、平行であることが指摘される。同様に、流路154は、図6に示したように、工具ホルダ22に取り付けられるときに放出開口部98の反対側に直接位置付けされることが指摘される。この特徴によって、流路154は、切削インサートと被加工物と界面に直接供給されるクーラントの流量を増やすためのノズルとして作用するようにされ、したがって、クーラントの供給はより高いレベルの効率を有する。より多くのクーラントが切削インサートと被加工物との界面に衝突し、これによって、切削インサートと被加工物との界面のより効率的な冷却を可能にする。
【0032】
全体的に、図面と関連した上記の説明から、切削アセンブリが、切削インサートと被加工物との間の界面の近傍にクーラントを効率的に供給することが明白である。
【0033】
本明細書において特定した特許および他の文献は、参照によって本明細書に組み込まれている。本明細書に開示した本発明の説明と実施を考慮することにより、本発明の他の実施形態が当業者には明白であろう。説明及び実施例は例示的なものに過ぎないことが意図され、また本発明の範囲を限定するようには意図されない。本発明の真の範囲及び精神は、特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0034】
20 切削アセンブリ
22 工具ホルダ
24 切削インサート
28 軸方向前端
30 軸方向後端
32 シャンク部分
34 ヘッド部分
36 スロット
40 上部セクション
42 下部セクション
44 狭い軸方向前方延長部
44A 下部軸方向前方延長部
44B 上部軸方向前方延長部
46 上部座部
48 下部座部
50 着座領域
52 頂面
54 側面
56 交差領域
60 クーラント進入通路
62 進入開口部
64 クーラント源
70 締結具ボア
72 開放端
74 カウンタボアセクション
76 クーラント溜めセクション
78 環状肩部
80 上部終端ボアセクション
82 下部ボアセクション
90 クーラント供給通路
92 収容セクション
94 開口部
96 放出セクション
98 放出開口部
100 プラグ
110 細長い締結具
112 頂部軸方向端部
114 底部軸方向端部
118 ヘッドセクション
120 中間セクション
122 シャンクセクション
124 シール溝
126 弾性シール
130 軸方向締結具ボア
132 開放端
136 横方向締結具ボア
138 開口部
140、142 切削部分
144 シャンク部分
145 頂面
146 隆起部
148 前方切削エッジ
150 クリアランス面
152 すくい面
154 クーラント流路
156、158 側壁
160 底面
162 傾斜面
A−A 切削インサート長手方向中心軸線
B−B 長手方向延長中心軸線
C クーラント
E‐E 長手方向クーラント放出軸線
F 横方向寸法
G 最大横方向寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削アセンブリであって、
工具ホルダ及び切削インサートを備え、
前記工具ホルダが軸方向前端と軸方向後端とを有し、前記軸方向前端にヘッド部分及び前記軸方向後端にシャンク部分を有し、
前記ヘッド部分が、前記ヘッド部分を下部セクションと上部セクションとに分離するスロットを含み、下部座部を画定する前記下部セクションと前記上部セクションとが、それらの間に前記切削インサートを保持するように適合され、
前記ヘッド部分が、クーラントを前記切削インサートに導くように適合された出口を有し、
前記切削インサートが、上方に延在する隆起部を有する頂面を含み、前記隆起部が、前記切削インサートを前記工具ホルダのヘッド部分に堅固に取り付けるために前記工具ホルダによって係合されることができ、
前記切削インサートが、前記切削インサートの頂面に形成されたクーラント流路をさらに含み、
前記クーラント流路が、前記工具ホルダに取り付けられるときに前記出口の反対側に直接位置付けされ、これによって、前記流路が、前記切削インサートと前記被加工物との間の界面に供給される前記クーラントの流量を増やすためのノズルとして作用するようになる、
切削アセンブリ。
【請求項2】
前記クーラント流路が、前記切削インサートの頂面の前記隆起部に形成される、請求項1に記載の切削アセンブリ。
【請求項3】
前記クーラント流路の断面がV字形状である、請求項1に記載の切削アセンブリ。
【請求項4】
前記クーラント流路が、前記切削インサートの切削インサート長手方向中心軸線と整列され、かつ平行である、請求項1に記載の切削アセンブリ。
【請求項5】
締結具ボアの少なくとも一部分内に収容される締結具であって、前記締結具が、入口と出口とを有する軸方向締結具ボアを有し、前記軸方向締結具ボアの入口が前記クーラント進入通路と流体連通し、前記軸方向締結具ボアの出口が前記締結具ボアと流体連通している締結具をさらに備える、請求項1に記載の切削アセンブリ。
【請求項6】
前記締結具が、前記軸方向締結具ボアと交差する横方向締結具ボアをさらに含む、請求項5に記載の切削アセンブリ。
【請求項7】
前記締結具ボアがクーラント溜めセクションを画定し、前記横方向締結具ボアが前記クーラント溜めセクション内に開口する、請求項6に記載の切削アセンブリ。
【請求項8】
前記ヘッド部分が狭い軸方向前方延長部を有し、前記クーラント供給通路の少なくとも一部分が前記狭い軸方向前方延長部にあり、前記出口が前記狭い軸方向前方延長部にある、請求項1に記載の切削アセンブリ。
【請求項9】
切削アセンブリが切削インサートと被加工物との界面において前記被加工物に係合すると、被加工物表面を有する前記被加工物から材料を除去するための切削アセンブリであって、
工具ホルダ及び細長い切削インサートを備え、前記細長い切削インサートが切削インサート長手方向中心軸線を有し、前記切削インサート長手方向中心軸線が前記被加工物表面に対し概して直角であり、
前記工具ホルダが軸方向前端と軸方向後端とを有し、前記軸方向前端にヘッド部分及び前記軸方向後端にシャンク部分を有し、
前記ヘッド部分が、長手方向延長中心軸線を有する狭い軸方向前方延長部を有し、前記ヘッド部分が、前記狭い軸方向前方延長部を下部軸方向前方延長セクションと上部軸方向前方延長セクションとに分離するスロットを含み、前記上部軸方向前方延長セクションが前記下部軸方向前方延長セクションに対し移動可能であり、前記下部軸方向前方延長セクションが下部座部を画定し、前記上部軸方向前方延長セクションが上部座部を画定し、前記下部座部及び前記上部座部が、前記切削インサート長手方向中心軸線が前記長手方向延長中心軸線に対して概して平行であるように、前記細長い切削インサートを前記下部座部と前記上部座部との間に保持するように適合され、
前記ヘッド部分が締結具ボアを含み、
前記ヘッド部分が前記締結具ボアと流体連通するクーラント進入通路を含み、前記上部軸方向前方延長セクションが、長手方向クーラント放出軸線を有するクーラント放出セクションの少なくとも一部分を含み、
切削アセンブリがさらに、
前記締結具ボア内に収容される締結具であって、前記締結具が、入口と出口とを有する軸方向締結具ボアを有し、前記軸方向締結具ボアの入口が前記クーラント進入通路と流体連通し、前記軸方向締結具ボアの出口が前記締結具ボアと流体連通している締結具を備え、
前記クーラント放出セクションが前記締結具ボアと流体連通し、前記クーラント放出セクションが前記上部軸方向前方延長セクションに出口を有し、前記出口が、前記切削インサート長手方向中心軸線に対して概して平行の方向に前記切削インサートに向かってクーラントを放出するように、前記切削インサートと被加工物との界面に向かって開口し、
前記切削インサートが、上方に延在する隆起部を有する頂面を含み、前記隆起部が、前記切削インサートを前記工具ホルダのヘッド部分に堅固に取り付けるために前記工具ホルダによって係合されることができ、
前記切削インサートが、前記切削インサートの頂面に形成されたクーラント流路をさらに含み、
前記クーラント流路が、前記工具ホルダに取り付けられるときに前記出口の反対側に直接位置付けされ、これによって、前記流路が、前記切削インサートと被加工物との間の界面に供給される前記クーラントの流量を増やすためのノズルとして作用するようになる、
切削アセンブリ。
【請求項10】
前記クーラント流路が、前記切削インサートの頂面の前記隆起部に形成される、請求項9に記載の切削アセンブリ。
【請求項11】
前記クーラント流路の断面がV字形状である、請求項9に記載の切削アセンブリ。
【請求項12】
前記クーラント流路が、前記切削インサートの切削インサート長手方向中心軸線と整列され、かつ平行である、請求項9に記載の切削アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−107196(P2013−107196A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−252838(P2012−252838)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【出願人】(399031078)ケンナメタル インコーポレイテッド (182)
【氏名又は名称原語表記】Kennametal Inc.
【住所又は居所原語表記】1600 Technology Way Latrobe PA 15650−0231, USA
【Fターム(参考)】