説明

グラフェン溶液、グラフェンアルカリ金属塩およびグラフェン複合材料の製造方法

本発明は、アルカリ金属塩を用いるグラフェン溶液の製造方法、グラフェン溶液、グラフェンアルカリ金属塩の製造方法、グラフェンアルカリ金属塩、および、グラフェン複合材料およびグラフェン複合材料の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ金属塩を用いるグラフェン溶液の製造方法、グラフェン溶液、グラフェンアルカリ金属塩の製造方法、グラフェンアルカリ金属塩、および、グラフェン複合材料およびグラフェン複合材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラフェンは、個々のグラファイト層に類似する構造を有する2次元炭素結晶を含む。炭素原子は、6角形の蜂の巣状構造に配列されている。この配列のために、sp混成軌道として知られるものの生成を伴う、炭素原子の2s、2pxおよび2py軌道の混成(「統合」)が生じる。グラフェンは、金属的性質および非金属的性質を有する。グラフェンの金属的性質は、良好な電気伝導性および熱伝導性に関する。非金属的性質のために、これら化合物は、熱安定性、化学的不活性および潤滑性が高い。したがって、グラフェンは、多数の産業用途、例えばバッテリー、燃料電池または耐熱材料に適当である。
【0003】
最初のグラフェン薄片は、Novoselovにより、HOPG(高配向熱分解グラファイト)を剥離することによって得られた[K. S. Novoselovら著、Science 306, 5696, 2004、第666〜669頁]。これは、HOPG上に粘着テープを押しつけた後、それを引き剥がすことによりなされ、グラファイトが粘着剤中に残される。続いて、粘着剤片を薄い二酸化ケイ素層を有するシリコン基板上に押しつけ、再び引き剥がす。その後、適当な光学的方法により、グラフェンが見えるようになる。この方法は、きわめて時間がかかり、高価値ではあるがきわめてわずかなサンプルしか得られない。
【0004】
力学的剥離に加えて、有機分子からの合成(例えば、L.Zhiら著、「J. Mater. Chem. 18」、18、2008、第1472〜1484頁参照)および化学的剥離、例えば酸化性酸(例えば硝酸)または酸化性塩(例えば過マンガン酸カリウムまたはクロム酸カリウム)のグラファイト中への挿入および続く熱処理または力学的処理により、約40〜50のグラフェン層に相当する約20ナノメートルの厚みを有するグラフェンを生成する[米国特許第4895713号]がある。この方法では、より少ないグラフェン層を製造することはできない。
【0005】
さらなる方法は、強い酸化剤を用いる酸化グラフェンの製造に関する。この方法により生じた酸化グラフェンは、形態的側面でグラフェン層に似ているが、完全に酸化された状態であるために化学的側面でグラフェンと異なる。最終的にグラフェンを得るために、有毒かつ環境に有害な液体ヒドラジンを用いることにより、この方法により生じた酸化グラフェンをさらに還元することができる[Stakovich,S.ら著、「Jour. of Mat. Chem.」、2006、16、第155〜158頁]。
【0006】
上記の既知の方法の欠点は、グラフェンの収率が低いこと、より厚みのあるグラフェン層が生じることおよびグラフェンを調製するためには有毒な、環境に有害な、かつ、高価な化学薬品が必要であることである。したがって、先行技術の欠点に対処し克服できるグラフェンの新規な製造方法に対する要求がなお存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4895713号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】K. S. Novoselovら著、Science 306, 5696, 2004、第666〜669頁
【非特許文献2】L.Zhiら著、「J. Mater. Chem. 18」、18、2008、第1472〜1484頁
【非特許文献3】Stakovich,S.ら著、「Jour. of Mat. Chem.」、2006、16、第155〜158頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の課題は、そのようなグラフェンの新規な製造方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、極性有機溶媒中、グラファイトをアルカリ金属塩で還元させる、グラフェン溶液の製造方法を提供することにより、上記課題は達成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(負荷電性)グラフェンおよびアルカリ金属(例えばリチウムイオン)が、非プロトン性有機溶媒(例えばTHF)中に溶解して存在する、本発明の精製グラフェン溶液の例示的図である。
【図2】グラファイト:アルカリ金属比の関数としてのグラフェン層の数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の方法の1つの利点は、グラフェン溶液を製造するために、有毒な剤、環境に有害な剤、および、高価な剤の使用が避けられることである。特定の化学的剥離方法に対して記載されるような700℃〜1200℃の温度での熱処理も不要である。本発明による本方法のさらなる利点は、スケーラビリティ、および、これに関連して、グラフェンを工業スケールで製造できる可能性にある。さらに、本発明の方法は、20ナノメートル未満の層厚を有するグラフェン、すなわち単一のグラフェン層(0.34nm)を有するグラフェンにまで減らしたグラフェンの製造も可能である。本発明の方法によれば、添加する還元剤の量によって層厚を精密に制御可能である(図2参照)。したがって、例えば同じ工業スケール設備で、反応条件(添加する還元剤の量など)の最小の変化で、異なる生成物を製造することが可能である。さらなる利点は、本発明の方法により製造できるグラフェン溶液でであり、基材の表面機能付与、特に従来の印刷、コーティングおよび浸漬方法に関して、グラフェン溶液を簡単に処理することができる。
【0013】
本発明によれば、次の式:
【化1】

[Aはアルカリ金属イオンのカチオン、特にリチウムまたはナトリウムであり、
は多環芳香族化合物のアニオンである]
で示されるアルカリ金属塩をグラフェン溶液の製造方法に添加することが好ましい。
【0014】
使用するアニオンは、多環芳香族化合物であることが好ましい。その例には、ナフタレン、アントラセン、カルバゾール、ペリレン、フェナントレン、コロネン、クリセン、トリフェニレン、フルオレノン、ベンゾフェノンおよび/またはアントラキノンが含まれる。ナフタレンを使用することが特に好ましい。
【0015】
本発明のグラフェン溶液の製造方法に適当な極性有機溶媒は、特にテトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、1,2-ジメトキシエタン(DME)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルまたはテトラエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン(テトラメチレンスルホン)、テトラメチレンスルホキシド(TMSO)、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルウレア、テトラ-n-ブチルウレア、1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-オン(DMI)、他のグリコールエーテルまたはそれらの混合物である。好ましい有機溶媒は、グリコールエーテル、例えば1,2-ジメトキシエタン(DME)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルまたはテトラエチレングリコールジメチルエーテルまたはそれらの混合物である。
【0016】
本発明の方法について、第1に、多環芳香族化合物を(きわめて実質的に無水の)極性有機溶媒中に、好ましくは10mM(1:100)〜1M(1:1)の割合で、好ましくは撹拌しながら、溶解させることが好ましい。その後で、アルカリ金属を、好ましくはわずかに化学量論過剰で、すなわち溶液に対して11mM〜1.1Mの割合でこの溶液に供給する。アルカリ金属の溶解を促進するために、アルカリ金属を(例えばワイヤーを刻む等により)きわめて小片で供給することが好ましい。アルカリ金属の溶解を加速するために、このようにして得られる溶液を、好ましくは15分〜2時間の時間をかけて、60℃〜120℃の温度まで加熱することが好ましい。このようにして得られる溶液(以下において「還元剤」とも称する)をさらに直接使用しない場合、長期間の後に使用するために冷却し保管できる。
【0017】
グラフェン溶液を製造するための本発明の方法において、グラファイトを次いで好ましくは撹拌しながら還元剤に添加する。特に当業者に知られる一般常識である機械的処理技術により得ることができる、きわめて微細な粉末のグラファイトを使用することが特に適当である。きわめて微細な粉末のグラファイトにより剥離および溶解工程が後押しされる。この工程は、安定なグラフェン溶液が得られるまで行われ、ここで、最小レベルの析出物は目に見えるままである。
【0018】
本発明の方法は、アルカリ金属1モルあたりグラファイト4000g未満、好ましくはアルカリ金属1モルあたりグラファイト20g未満の、アルカリ金属に対するグラファイトの割合で行うことが好ましい。
【0019】
グラフェン溶液を製造するための本発明の方法は、できる限り不活性条件下で行う。本発明による「不活性条件」という用語は、その条件下において、本発明の方法のためのグラフェン溶液を調製するために使用する剤、またはそれから得られた溶液および化合物と、最少量の水または酸素とが接触する、または、きわめて実質的に水または酸素とが接触しない条件を意味する。これは、本発明の方法を、好ましくは不活性空間、実質的に気密し密閉することができる不活性ガス雰囲気(例えば、窒素またはアルゴン)で満たされている、例えばグローブボックス中で行うことにより達成できる。当業者は、相当する装置および系を知っている。
【0020】
本発明は、さらに、(負荷電性)グラフェン、多環芳香族化合物および(正荷電性)アルカリ金属が極性有機溶媒中に溶解して存在する溶液−この用途において「グラフェン溶液」と称される−に関する。そのようなグラフェン溶液に適当な多環芳香族化合物、アルカリ金属および極性有機溶媒は、既に上述した。本発明は、さらに、上記グラフェン溶液の製造方法により調製したグラフェン溶液に関する。グラフェン溶液を不活性条件下で貯蔵することが好ましい。
【0021】
本発明は、本発明のグラフェン溶液の溶媒を留去することによるグラフェンアルカリ金属塩の製造方法にも関する。留去に適した装置または方法、例えばロータリーエバポレータは、当業者に既知である。この方法は、例えばナフタレンを使用する場合、多環芳香族化合物をも留去することが好ましい。蒸留によって除去することができない他の多環芳香族化合物を使用する場合、いずれかの多環芳香族化合物を除去するために、当業者に既知の他の抽出方法を使用することができる。本発明はさらに、そのような方法により調製可能なグラフェンアルカリ金属塩も提供する。
【0022】
本発明は、さらに、上記のグラフェンアルカリ金属塩の製造方法により溶媒を留去することによって調製可能なグラフェンアルカリ金属塩を、非プロトン性有機溶媒中に、好ましくは不活性条件下で、好ましくはグラフェンアルカリ金属塩に対して1:100〜1:1の割合で溶解させる、グラフェン溶液(以下、「精製グラフェン溶液」と称する)の製造方法に関する。適当な非プロトン性有機溶媒は、特に非プロトン性極性有機溶媒であり、したがって、極性有機溶媒の例により上述したものが同様に好ましい。本発明の方法の工程の利点は、特に、さらなる処理工程に関して、さらなる処理に対してより適当な別の溶媒中にグラフェンを溶解させる機会を得ることができることである。例えば、本発明の精製グラフェン溶液を、本発明の複合材料の製造に使用する場合、添加する物質に適当な溶媒中に、グラフェンアルカリ金属塩をこの段階で溶解させることもできる。例えば、グラフェン-ポリスチレン複合材料を製造するためには、ポリスチレンもまたDMF中に十分に溶解するため、アルカリ金属塩をDMF中に溶解させることが好ましい。当業者は、精製グラフェン溶液を使用する具体的な分野に対し、どの非プロトン性有機溶媒を使用すべきか分かっている。本発明は、本発明の方法により製造した精製グラフェン溶液にも関する。そのような精製グラフェン溶液を、使用するまで、不活性条件下でさらに貯蔵することが好ましい。
【0023】
所望であれば、グラフェン溶液または精製グラフェン溶液を空気または水にさらすことにより、グラフェンの中和特性を再構築することができる。これは、グラフェン溶液または精製グラフェン溶液を他のポリマーと使用することに関して、特にポリマー繊維の製造において、都合よくありうる。例えば紡糸ポリマー繊維の熟成工程または乾燥工程の過程で、空気または水との接触に際し、ポリマーまたは紡糸ポリマー繊維中でグラフェン塩を純粋なグラフェンに変換させることができる。
【0024】
例えば、材料および特にポリマーの表面を機能化するために、本発明のグラフェン溶液または本発明の精製グラフェン溶液を用いることもできる。この目的に対し、これら材料の表面を、本発明の溶液で、浸透、コートまたは印刷する。新規なマイクロ電子部品、例えば(グラフェンでできた電気回路を有する)トランジスタを生成するために、例えばシリコン基板のような電気材料にグラフェン溶液または精製グラフェン溶液をコートまたはインプリントさせることができる。グラフェン溶液または精製グラフェン溶液により、特に、簡単な加工性が可能となるため、グラフェン溶液または精製グラフェン溶液は、特に従来の印刷技術およびマイクロリソグラフィーでの使用に対して興味深い物質である。
【0025】
(基材に作用することができる)純粋なグラフェンを得るために、上記の通りヒドラジンなどの剤が必要である酸化グラフェンを浸透、コートまたは印刷させた基材と比較して、本発明のグラフェン溶液または精製グラフェン溶液で浸透、コートまたは印刷させた基材の場合には、大気中の空気にさらすことのみが必要である。
【0026】
さらなる本発明の方法は、本発明のグラフェン溶液または本発明の精製グラフェン溶液を使用する複合材料の製造を記載し、さらなる物質を、好ましくは撹拌しながら添加し、続いてさらに処理することにより、適当な仕上げ処理を備えた複合材料が得られる。
【0027】
グラフェン溶液または精製グラフェン溶液に添加できる適当な物質は、例えば、プラスチック、金属またはセラミック材料である。これらを、複合材料のグラフェンの重量による割合が好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、最も好ましくは2%以下、好ましくは0.1〜1%の割合となるような比率で、グラフェン溶液または精製グラフェン溶液に添加する。本発明の複合材料に適当なポリマーの例は、ナイロン、塩化ポリビニル、ポリ(メチル)メタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリフッ素化炭化水素、ポリイミド、ポリアミド、フッ素化ポリマー、アクリルアミド、ポリエステル、シアネートエステルおよびそれらの混合物である。適当な金属は、特にアルミニウム、マグネシウム、チタン、およびそれらの合金である。銅との合金、例えば真ちゅうまたは青銅も、本発明の複合材料の製造に適当である。適当なセラミック材料は、例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ベリリウムなどの酸化物セラミックス、炭化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ホウ素などの非酸化物セラミックス、または複合セラミックである。
【0028】
適当な物質を、粉末形態または微細な粒子としてグラフェン溶液または精製グラフェン溶液中に添加することが好ましい。
【0029】
適当な仕上げ処理は、特に熱処理方法、例えば焼結である。追加の物質とあらかじめ混合したグラフェン溶液または精製グラフェン溶液を、酸素環境下にさらし、適当な温度および適当な圧力で熱処理する。適当な条件(温度、圧力、滞留時間など)は、(グラフェンではなく)添加した物質による。金属または合金を使用する場合、例えば、温度を金属または合金の融点温度に近いがそれより低い温度にすべきである。当業者は、使用する物質に応じて、どの要因を考慮すべきか分かっている。
【0030】
本発明は、さらに、上記の複合材料の製造方法により得られる複合材料も提供する。
【0031】
本発明の複合材料を、例えば、熱伝導性および/または電気伝導性製品に使用することができる。本発明の複合材料の使用例は、電池、コンデンサ、塗料、他のコーティングまたは触媒における使用である。当業者は、上記複合材料を使用することができるさらなる用途を知っている。
【0032】
図1は、(負荷電性)グラフェンおよびアルカリ金属(例えばリチウムイオン)が、非プロトン性有機溶媒(例えばTHF)中に溶解して存在する、本発明の精製グラフェン溶液の例示的図である。
【0033】
図2は、グラファイト:アルカリ金属比の関数としてのグラフェン層の数を示す。図よりアルカリ金属1モルあたり20g未満のグラファイトの割合では、本発明のグラフェン溶液中で、グラフェン層を得ることができることが明らかになる。
【実施例】
【0034】
〔実施例1〕
水および酸素に敏感であるために、実験をできる限り不活性な雰囲気中で行うことが重要である。この目的のために、例えば、不活性ガス(例えば窒素またはアルゴン)で満たしたグローブボックスが適当である。
【0035】
〔工程1:還元剤の調製〕
丸底フラスコ中、撹拌しながら、ナフタレン384mg(3mmol)を無水THF100mlに溶解させ、その後、溶液に金属リチウムをわずかに化学量論過剰で添加し(約30mg)、還元剤を調製する。アルカリ金属の溶解を促進するために、アルカリ金属はきわめて小片で供給すべきである。次いで、混合物をTHFの沸点(66℃)まで、約2〜3時間還流しながら加熱する。この時間の間、アルカリ金属はナフタレン/THF溶液に溶解し(アルカリ金属粒子の大きさが小さくなるのが見える)、混合物は暗緑色に変化する(通常のLi-ナフタレン錯体)。還元剤を冷却し、さらに使用する。
【0036】
〔工程2:グラファイト原料の溶解〕
グラファイト200mgを、工程1で調製した還元剤に添加する。剥離および溶解工程を促進するために、きわめて細かい粉末状のグラファイトを使用すべきである。その後、上記のグラファイト/還元剤懸濁液を約30分間撹拌する。この工程の間、暗緑色の溶液は黒褐色に変化し、Li-ナフタレン錯体が変換される。この工程の後、懸濁液は安定である。析出は全く見られない。
【0037】
〔工程3:グラフェン-リチウム塩の調製〕
ロータリーエバポレーターまたはそのために使用可能な他の既知の方法を用いてTHF溶媒を留去することにより、グラフェン-リチウム塩固体を精製することができる。得られた個体を、不活性雰囲気下で、極性非プロトン性有機溶媒、例えばTHF、DMF、DMSO、DMEまたは他のグリコールエーテル中に溶解させて、意図される目的に使用する。
【0038】
〔実施例2〕
アルミニウム粉末(300メッシュ)10gを、実施例1の工程2で調製したTHF/Li-グラフェン溶液に添加し、撹拌により均質化する。その後、2%グラフェン/Al複合材料を得るために、この溶液を酸素にさらし、焼結することができる。グラフェンは、複合材料中に微細に分布して存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極性有機溶媒中、アルカリ金属塩でグラファイトを還元することによる、グラフェン溶液の製造方法。
【請求項2】
次の式:
【化1】

[Aは、特にリチウムまたはナトリウムを有する、アルカリ金属イオンのカチオンであり、
は多環芳香族化合物のアニオンである]
で示されるアルカリ金属塩を添加することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
極性有機溶媒中に溶解したグラフェン、多環芳香族化合物およびアルカリ金属が存在する、グラフェン溶液。
【請求項4】
請求項1または2に記載の方法により製造した、グラフェン溶液。
【請求項5】
請求項3または4に記載のグラフェン溶液の極性有機溶媒を留去することによる、グラフェンアルカリ金属塩の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法により製造した、グラフェンアルカリ金属塩。
【請求項7】
請求項6に記載のグラフェンアルカリ金属塩を非プロトン性有機溶媒中に溶解させることを特徴とする、精製グラフェン溶液の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法により製造した、精製グラフェン溶液。
【請求項9】
請求項3または4に記載のグラフェン溶液、および/または、請求項8に記載の精製グラフェン溶液にさらなる物質を添加した後、該溶液を複合材料を与える製造方法でさらに処理することを特徴とする、複合材料の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法により製造した、複合材料。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−510787(P2013−510787A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538297(P2012−538297)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067008
【国際公開番号】WO2011/057985
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(512137348)バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (91)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Intellectual Property GmbH
【Fターム(参考)】