説明

グリッド負荷同期デバイスおよび方法

本明細書に記載のグリッド負荷同期システムは、電力グリッドに断続的に遷移する大きな負荷の影響、ならびに結果的なリスクおよびそれに関連した電力品質問題のプロアクティブな軽減を可能にする。開示されるプロアクティブシステムは、グリッドに接続された電力消費者が、デジタル通信リンクを使用して、リアルタイムで需要を電力貯蔵機器と同期させることを可能にする。電力消費者は、制御サイトに、負荷をオンラインまたはオフラインにする要求を伝送する。制御サイトは、電力グリッド源および電力グリッド負荷を調整し、負荷がオンラインおよびオフラインとなる時の電力品質を維持する。制御サイトは、複数の電力消費者からの要求を管理し、大きな負荷が電力グリッドに断続的に遷移する影響を軽減するように、消費者への様々な負荷のスケジュールを立てる。結果的な電力品質は、ライン条件に反応して補償アクションを開始するのではなく、適切な電池源がプロアクティブに利用可能となった場合に保証することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年12月3日出願の米国仮特許出願第61/266,219号の利益を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
電気グリッド上の電力のバランスをとるための様々なシステムおよび方法が提案されている。例えば、Wernerssonに対する米国特許第6,674,267号は、工業負荷による無効電力の消費の補償のための方法およびデバイスに関する。しかしながら、Wernerssonは、工業負荷の急速な電力需要変化には対応しておらず、1以外の力率の負荷を補償するに過ぎない。
【0003】
他の先行技術の方法は、電圧ディップ、周波数変動、および急速な電力工場変動に対する補償を含む。デバイスは、グリッド状態を監視し、問題を修正するような方向および大きさの電力を挿入することにより反応する。しかしながら、この技術は、補償を提供する必要性を決定するためにラインの変動に反応する。ライン異常の感知と補償アクションとの間の反応時間は、他のグリッド消費者およびそのシステムに対する電力品質を低下させるグリッド障害をもたらす可能性がある。当然ながら、このシステムは、常にライン障害を有する。許容される障害が小さいほど、補償システムはより反応性で非効率的である必要がある。
【0004】
別の先行技術の方法は、力率を修正し、その負荷からの電力サージを、内部電池から入力電力ポートに穏やかに遷移させる、無停電電源システムにより大きな工業負荷を緩衝する。しかしながら、この技術は、工業負荷を実行するためのフルサイズの電力変換機を必要とする。変換機は、電力の大きな流入、および進行中の負荷に継続的に対処するようなサイズでなければならない。連続的な電力変換が熱損失の形態で電力を消費するため、この方法は非効率的である。また、ACからDCへ、および再びACへ変換するために必要な電力変換システムのため、高価でもある。
【0005】
さらなる先行技術の方法は、大きな工業負荷に流入する電流を感知し、大きな負荷への電流の測定された流入と同時に、グリッドへの同量の電流を補償するために、大型電池システムに信号を提供する。しかしながら、この方法では、電池システムは、工業負荷で測定された電流の流入に十分迅速に反応するために、アイドル状態で継続的に従事し、かつ作動していなければならない。この継続的動作は、電力を消費し、電力変換デバイスの寿命を短縮する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載のグリッド負荷同期システムは、電力グリッドに断続的に遷移する大きな負荷の影響、ならびに結果的なリスクおよびそれに関連した電力品質問題のプロアクティブな軽減を可能にする。開示されるプロアクティブシステムは、グリッドに接続された電力消費者が、デジタル通信リンクを使用して、リアルタイムで需要を電力貯蔵機器と同期させることを可能にする。電力消費者は、制御サイトに、負荷をオンラインまたはオフラインにする要求を伝送する。制御サイトは、電力グリッド源(複数を含む)および電力グリッド負荷を調整し、負荷がオンラインおよびオフラインとなる時の電力品質を維持する。制御サイトは、複数の電力消費者からの要求を管理し、大きな負荷が電力グリッドに断続的に遷移する影響を軽減するように、消費者への様々な負荷のスケジュールを立てる。結果的な電力品質は、ライン条件に反応して補償アクションを開始するのではなく、適切な電池リソースがプロアクティブに利用可能となった場合に保証することができる。
【0007】
一態様において、本開示は、電力グリッド上での使用のためのグリッド同期システムであって、電力グリッド上の顧客サイトに配置される負荷コントローラであって、顧客サイトでの電力グリッド上の負荷を変更する許可の要求を伝送するようにプログラムされる、負荷コントローラと、顧客サイトから離れて配置されるグリッド安定化コントローラと、顧客サイトから離れて配置される電力グリッド上のグリッド安定化サブシステムとを含む、グリッド安定化システムに関する。グリッド安定化システムは、エネルギーを貯蔵するためのエネルギー貯蔵システムと、エネルギー貯蔵システムを電力グリッドに電気的に結合し、エネルギー貯蔵システムと電力グリッドとの間の電力の伝達を提供するための、電力伝達インターフェースと、電力伝達インターフェースを制御するための電力伝達コントローラとを含み、グリッド安定化コントローラは、負荷コントローラからの要求を受信し、負荷コントローラが要求された負荷変更を実行する将来のイベント時間を決定し、前記将来のイベント時間を負荷コントローラに伝送し、電力伝達インターフェースが、前記将来のイベント時間に開始する、電力グリッドとエネルギー貯蔵システムとの間の電力伝達を実行させるように、電力伝達コントローラに指示するように、プログラムされる。
【0008】
いくつかの実施形態において、グリッド安定化コントローラおよびグリッド安定化サブシステムは、同一場所に配置される。いくつかの実施形態において、グリッド安定化コントローラは、グリッド安定化サブシステムから離れて配置される。いくつかの実施形態において、グリッド安定化システムは、全て顧客サイトから離れて、および電力グリッド上の異なる場所に配置される複数のグリッド安定化サブシステムを含み、前記複数のグリッド安定化サブシステムは、前記最初に述べたグリッド安定化サブシステムを含み、前記複数のグリッド安定化サブシステムの各グリッド安定化サブシステムは、エネルギーを貯蔵するためのエネルギー貯蔵システムと、エネルギー貯蔵システムを電力グリッドに電気的に結合し、エネルギー貯蔵システムと電力グリッドとの間の電力の伝達を提供する、電力伝達インターフェースと、電力伝達インターフェースを制御するための電力伝達コントローラとを含み、グリッド安定化コントローラは、最初に述べたグリッド安定化サブシステムに加えて複数のグリッド安定化サブシステムの前記別のグリッド安定化サブシステムにおける電力伝達コントローラにも命令するように、前記他のグリッド安定化サブシステムにおける電力伝達インターフェースに、前記将来のイベント時間に開始する、電力グリッドと前記他のグリッド安定化サブシステムにおけるエネルギー貯蔵システムとの間の電力伝達を実行させるようにプログラムされる。
【0009】
いくつかの実施形態において、エネルギー貯蔵システムは、電池である。いくつかの実施形態において、グリッド安定化システムは、すべてグリッド安定化コントローラから離れて電力グリッド上の異なる場所に配置される複数の顧客サイトを含み、かつ前記複数の顧客サイトは、最初に述べた前記顧客サイトを含み、各顧客サイトは、顧客サイトにおける電力グリッド上の負荷を変更する許可の要求を伝送する負荷コントローラを備える。いくつかの実施形態において、グリッド安定化コントローラは、インターネット接続を介して、負荷コントローラから要求を受信する。いくつかの実施形態において、顧客サイトおよびグリッド安定化サブシステムのそれぞれは、将来のイベント時間をマーキングするための全地球測位システム(GPS)クロックを備える。いくつかの実施形態において、顧客サイトおよびグリッド安定化システムは、将来のイベント時間をマーキングするためにネットワークタイムプロトコル(NTP)サーバに接続される。いくつかの実施形態において、グリッド安定化コントローラは、顧客サイトからグリッド測定情報を受信する。いくつかの実施形態において、グリッド安定化コントローラは、顧客サイトから、負荷量、ランプ時間、および突入ピーク長さ情報を受信する。いくつかの実施形態において、グリッド安定化コントローラは、グリッド安定化サブシステムからグリッド測定情報を受信する。いくつかの実施形態において、グリッド測定は、力率、ワット、VAR、および電圧を含む。いくつかの実施形態において、顧客サイトおよびグリッド安定化サブシステムのそれぞれは、同期フェーザを備える。いくつかの実施形態において、負荷の変更は、負荷をオンラインにすることを含む。いくつかの実施形態において、負荷の変更は、負荷をオフラインにすることを含む。
【0010】
一態様において、本開示は、電力グリッド上の負荷を同期させるための方法であって、負荷コントローラから、電力グリッド上の負荷を変更する許可の要求を受信することと、負荷コントローラが要求された負荷変更を実行する将来のイベント時間を決定することと、前記将来のイベント時間を負荷コントローラに伝送することと、電力伝達インターフェースに、前記将来のイベント時間に開始する、電力グリッドとエネルギー貯蔵システムとの間の電力伝達を実行させるように、電力伝達コントローラに命令することとを含み、電力伝達が、負荷変更を軽減する方法に関する。いくつかの実施形態において、エネルギー貯蔵システムは、電池を備える。いくつかの実施形態において、方法は、インターネット接続を介して、負荷コントローラから要求を受信することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、顧客サイトおよびグリッド安定化サブシステムのそれぞれは、将来のイベント時間をマーキングするためのGPSクロックを含む。いくつかの実施形態において、顧客サイトおよびグリッド安定化システムは、将来のイベント時間をマーキングするためにNTPサーバに接続される。いくつかの実施形態において、方法は、顧客サイトからグリッド測定情報を受信することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、顧客サイトから、負荷量、ランプ時間、および突入ピーク長さ情報を受信することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、グリッド安定化サブシステムからグリッド測定情報を受信することを含む。いくつかの実施形態において、グリッド測定は、力率、ワット、VAR、および電圧を含む。いくつかの実施形態において、顧客サイトおよびグリッド安定化サブシステムのそれぞれは、同期フェーザを備える。いくつかの実施形態において、負荷の変更は、負荷をオンラインにすることを含む。いくつかの実施形態において、負荷の変更は、負荷をオフラインにすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の図面を参照しながら開示される主題を説明するが、図面は、例示のみを目的として示され、本発明の限定を意図しない。
【0013】
【図1】本開示の実施形態によるグリッド負荷同期の概略図である。
【図2】本開示の実施形態によるグリッド負荷同期の別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
開示されるグリッド負荷同期システムは、電力グリッドへ、または電力グリッドから外れるように遷移する大きな負荷の、これらの遷移の影響を軽減するために利用可能なグリッド安定化リソース(例えば、電池システム)との同期を提供するシステムである。これらのグリッド接続リソースおよび負荷を正確に同期させることにより、グリッド電力品質に対する悪影響および大きな負荷の変化に関連した機能停止のリスクが最小限化または排除することができる。
【0015】
重要なことに、このシステムは、停電(または負荷の切断をもたらす他の異常)後の大きな負荷の再起動の順位付けを補助し、それによりこれらの負荷の同時再起動、ならびに電力グリッド電圧の不安定性および潜在的なグリッド機能停止の発生を防止することができる。さらに、グリッドに無効電力を注入して大きな無効負荷の始動を補償することにより、伝送ラインの過電流トリップおよび結果的な二次停電のリスクを最小限化することができる。
【0016】
開示されるグリッド負荷同期システムは、ネットワーク上で通信して工業負荷およびグリッド電源を正確に調整し、大きな工業負荷の始動および停止を静止グリッド安定化システムの動作とプロアクティブに同期させる、コントローラの集合となる可能性がある。開示されるグリッド負荷同期システムは、顧客サイトでの機械停止時間を低減し、電力グリッドにおける電圧降下の悪影響を軽減し、グリッドの性能を改善することができる。
【0017】
図1は、グリッド負荷同期システム100の概略図であり、グリッド負荷同期システム100は、顧客サイト105の負荷コントローラ130と、顧客サイト105から離れて配置されるグリッド安定化コントローラ140とを含む。図1は、グリッド安定化サブシステムサイト110に配置されるグリッド安定化コントローラ140を示している。グリッド安定化コントローラ140は、セキュアインターネットコネクション115を介して、顧客サイト105に接続される。セキュアインターネットコネクション115はセキュアシェル(SSH)であるが、いかなるセキュア通信プロトコルとすることもできる可能性がある。グリッド安定化コントローラ140は、顧客サイト105における負荷を変更するための許可に対する、顧客サイト105による要求を受信する。そのような要求に応答して、グリッド安定化コントローラ140は、顧客サイト105が負荷を変更することができる将来のイベント時間を決定し、将来のイベント時間を、顧客サイト105およびグリッド安定化サブシステムサイト110の両方に伝達する。グリッド安定化コントローラ140は、本明細書に記載の機能を実行可能なプロセッサ、コントローラまたはコンピュータとすることができる。
【0018】
顧客サイト105は、複数の高電気負荷機械またはデバイス122を有する、工業サイト/電力消費者/顧客とすることができる。顧客サイト105は、グリッド126およびグリッド安定化コントローラ140に接続される。グリッド安定化コントローラ140は、インターネット接続を介して顧客サイト105と通信する。顧客サイト105は、コンピュータ125を含む。コンピュータ125は、有線グリッド上の負荷を制御するために使用されるプログラマブルロジックコントローラであってもよく、例えば、コンピュータ125は、グリッド126からの負荷の接続および切断を制御する。顧客サイト105はまた、負荷コントローラ130を含む。負荷コントローラ130は、MODBUS TCP接続135を介してコンピュータ125に接続され、顧客サイト105における負荷の変更に関して、セキュアインターネット接続115を介して、グリッド安定化サブシステムサイト110における対応するグリッド安定化コントローラ140と通信する。接続135はまた、MODBUS RTU接続とすることができる。顧客サイトはまた、負荷122をグリッド126に接続するための、電力伝達インターフェース124、例えばインバータも含む。
【0019】
上述のように、グリッド安定化サブシステムサイト110は、グリッド安定化コントローラ140を含む。グリッド安定化コントローラ140は、MODBUS TCP接続145を介して、電力伝達コントローラ150に接続される。電力伝達コントローラ150およびグリッド安定化コントローラ140は、エネルギー貯蔵システム160および電力伝達インターフェース170、例えばインバータに接続される。エネルギー貯蔵システム160は、即座に電力を電力グリッドにシンクまたは供給することができるいかなる種類の双方向電源であってもよく、グリッドの断続的な負荷遷移に対抗するのに十分な期間、電力供給を維持することができる。例えば、エネルギー貯蔵システム160は、いかなる電気化学的、機械的または熱エネルギー貯蔵デバイスとすることもできる。さらに、エネルギー貯蔵システム160は、例えば、負荷をオンラインにする、または負荷をオフラインにすることによりもたらされる変動を無効化するために十分な電力を供給またはシンクするのに十分大きなグリッド電池システム、例えば、A123 Systems, Inc.(米国マサチューセッツ州ウォータータウン)製の電池とすることができる。具体的には、エネルギー貯蔵システム160は、要求に応じてゼロワットから2メガワットの電力それぞれを提供することができる複数の2メガワット電池モジュールを含むことができる。
【0020】
電力伝達コントローラ150は、電力伝達インターフェース170を介したグリッド126への電力の注入およびグリッド126からの電力の吸収を制御する。電力伝達コントローラ150は、プロセッサ、コントローラ、またはコンピュータとすることができる。電力伝達インターフェース170により、エネルギー貯蔵システム160からグリッド126に選択可能な量の電力を供給して、顧客サイト105におけるグリッド126の断続的な大きな負荷の遷移の影響を軽減することができる。電力伝達インターフェース170は、入力または出力電力を徐々に入れる、または徐々に除去することができ、また、グリッド安定化コントローラ140により提供または選択された負荷プロファイルに基づいて、電力をシンクまたは供給することができる。負荷プロファイルは、様々な種類の負荷に対してグリッド安定化コントローラ140に保存することができ、または、グリッド安定化コントローラ140はプロファイルを作成することができる。プロファイルは、グリッド126に注入される、またはグリッド126から吸収される電力の特性を含む。電力伝達インターフェース170は、全ての必要な電力を即座に提供することができ、または、経時的に電力の供給を調節することができる。例えば、電力は、設定されたサイクルの期間もしくは時間にわたって徐々に変化することができ、または、電力は、ある特定サイクル数に対して110%で適用し、次いでいくつかのサイクルにわたって周期的に低減することができる。負荷プロファイルは、グリッドが、グリッドに付加される、またはグリッドから外される負荷の影響を殆ど、または全く受けないように、負荷の特性に応答するように設計される。グリッド126をより正確に安定化するために、グリッド安定化サブシステムサイト110はまた、グリッド安定化サブシステムサイト110におけるグリッド126の特性、例えば、電圧、力率、VARSおよびワット等を測定することができる。グリッド安定化コントローラ140は、負荷のプロファイルだけでなく、グリッド安定化サブシステムサイト110におけるグリッド126上の現在の状況に基づいて、グリッド126に付加される、またはグリッド126から外される付加に対抗するために、電力伝達インターフェース170がグリッドに注入する、またはグリッドから吸収する電力の量および種類を決定することができる。さらに、顧客サイト105は、ローカルのグリッド状態、例えば、電圧、力率、VARS、およびワットを測定し、負荷コントローラ130を介してその情報をグリッド安定化コントローラ140に伝送することができる。顧客サイト105におけるグリッド測定はまた、グリッド126に注入する、またはグリッド126から吸収する適切な軽減電力を決定するために、グリッド安定化コントローラ140により使用することができる。
【0021】
グリッド安定化サブシステム110が負荷変更を軽減する同じ将来の設定時間に顧客サイト105がその負荷を変更することを確実とするために、両方のシステムは、正確なクロックを有する必要がある。一実施形態において、グリッド負荷同期システム100は、顧客サイト105およびグリッド安定化サブシステムサイト110での時間基準を同期させることができる、インターネット接続時間基準120を含む。インターネット接続時間基準120は、ネットワーク時間プロトコル(「NTP」)サーバとすることができる。NTPサーバは、確実に異なる場所のクロックが同期させることにより、システムの同期動作を確実にする。
【0022】
代替として、顧客サイト105またはグリッド安定化サブシステムサイト110における極めて正確なリアルタイムクロックは、NTPサーバに依存する代わりに、顧客プログラマブルコントローラ130と制御サイトコントローラ140との間の同期を提供することができる。約数サイクル以内まで、例えば約10ミリ秒以内まで正確とすることができる限り、いなかる時間同期スキームも実行することができる。例えば、負荷コントローラ130およびグリッド安定化コントローラ140のそれぞれは、それぞれ顧客サイト105およびグリッド安定化サブシステムサイト110における時間基準を同期させるためのGPSクロックを含むことができる。GPSクロックは、ミリ秒未満の範囲の時間同期を可能とし、NTPサーバは、約5ミリ秒から約10ミリ秒の範囲内の時間同期を許容する。SNMP、イーサネットIP、または他のプロトコルを含む、顧客プログラマブルコントローラ130と通信する異なる手段を使用できる可能性がある。
【0023】
通信方法は、撚り対線、同軸ケーブル、光ファイバー、または無線周波数ワイヤレステレメトリを含むことができる。さらに、負荷は、電池リソースの利用可能性に従いオンまたはオフになるよう同期することができる。例えば、顧客には、他の負荷が成功裏に起動され補償されるまで遅延された起動時間を与えられる可能性がある。さらに、顧客は、負荷を追加することができないことを通知される可能性がある。
【0024】
図2は、グリッド同期システム200の別の実施形態を示す。グリッド同期システム200は、複数の顧客サイト105およびグリッド安定化サブシステムサイト110を含む。顧客サイト105およびグリッド安定化サブシステムサイト110のそれぞれは、両方とも、それぞれ電力伝達コントローラ124、170を介してグリッドに接続され、またグリッド安定化コントローラ140に接続される。この実施形態において、グリッド安定化コントローラ140は、顧客サイト105およびグリッド安定化サブシステムサイト110の両方から離れて配置される。顧客サイト105およびグリッド安定化サブシステムサイト110のそれぞれは、顧客サイト105に配置される負荷コントローラ130またはグリッド安定化サブシステムサイト110のそれぞれに配置される電力伝達コントローラ150を介して、インターネット接続205によりグリッド安定化コントローラ140に接続される。
【0025】
グリッド安定化コントローラ140は、顧客サイト105における負荷の変更のための顧客サイト105からの要求を管理および検証する媒介として機能する。顧客は、電力の要求とともに証明書を提供し、これは次いでグリッド安定化コントローラ140により検証される。グリッド安定化コントローラ140が顧客サイト105における電力グリッドへの負荷を変更する許可の要求を有すると、グリッド安定化コントローラ140は、負荷変更を軽減するために使用される利用可能なグリッド安定化サブシステムサイト(複数を含む)110を決定することができる。例えば、グリッド安定化コントローラ140は、負荷変更を効果的に軽減するために1つのグリッド安定化サブシステムサイトが使用されるべきであることを決定する可能性がある。または、グリッド安定化コントローラ140は、3つのグリッド安定化サブシステムサイトが使用されるべきであることを決定する可能性がある。グリッド安定化コントローラ140が2つ以上のグリッド安定化サブシステムサイトが使用されるべきであることを決定した場合、グリッド安定化コントローラ140は、選択されたグリッド安定化サブシステムサイト間に電力プロファイルを割り当てる。例えば、1つのグリッド安定化サブシステムサイトは、総電力プロファイルの40%をグリッドにかけ、一方他の2つは、それぞれ総電力プロファイルの30%をグリッドにかける。グリッド安定化コントローラ140は、グリッド安定化サブシステムサイトのそれぞれからの利用可能なグリッド測定情報およびその場所、例えば顧客サイト105に対する場所を使用して、負荷変更を軽減する最も効果的な手法を決定することができる。
【0026】
また、グリッド負荷同期システムは、システム内のグリッド安定化コントローラおよび負荷コントローラのそれぞれにおいて、同期フェーザも含むことができる。同期フェーザは、電力グリッド上のそれらの場所のそれぞれにおける電圧および電流を測定することができ、タイムスタンプ付きの電圧および電流フェーザを正確に出力することができる。これらのフェーザは真に同期されるため、リアルタイムでの2つの量の同期比較が可能である。これらの比較は、システム状態を評価するために使用することができる。この情報は、グリッド安定化コントローラがどれ程の真のまたは無効電力を注入または吸収すべきかを決定するのを補助するために使用することができる。
【0027】
グリッド負荷同期システムは、以下の様式で動作する。
【0028】
ステップ1:工業プロセスまたは標準的工業プロトコル(例えば、MODBUS RTUもしくはMODBUS TCP、または他の通信プロトコル)を介して負荷コントローラ130と通信する機器が、顧客サイト105において電力グリッド126に大きな負荷を追加する、または電力グリッド126から大きな負荷を取り除く許可を要求する。
【0029】
ステップ2:負荷コントローラ130は、標準インターネットプロトコルを介してグリッド安定化コントローラ140に通信し、グリッド安定化コントローラ140に負荷変更要求を通知する。負荷コントローラ130は、連続負荷量、力率、ランプ時間、突入ピークおよび長さ、ならびに他の関連情報を伝達する。グリッド安定化コントローラ140は、現在の充電状態、出力状態およびグリッド安定化サブシステムサイト110の当面の能力を決定するその他のパラメータを考慮して、電力シンクまたは供給に応答する能力に基づき、顧客サイト105からの要求を受容、保留または拒否することができる。グリッド安定化コントローラ140は、顧客に対する契約上の設定、ならびに顧客サイト105およびグリッド安定化サブシステムサイト110におけるグリッド126上の現在の状態に基づき、要求を受容することができる。受容された場合、負荷要求は、他の工業/顧客サイトからの他の負荷要求と調整され、将来の始動時間(例えば、将来における数秒)が、同期イベント時間(SET)として識別される。したがって、グリッド安定化コントローラ140は、他の負荷要求を考慮し、グリッドに対するその影響を最小限化するようにそのタイミングを調整する。
【0030】
ステップ3:SETは負荷コントローラ130に戻るように転送され、顧客コンピュータ125は、グリッドへ、またはグリッドから負荷を遷移させる時間であることを示す「実行」信号を待つ。SETは、要求が実行されてもよい時間を負荷コントローラ130に伝える。その時間に、負荷コントローラ130は顧客コンピュータ125に「実行」信号を送信する。次いで、顧客コンピュータ125は、必要に応じて負荷を切断または接続する。
【0031】
ステップ4:顧客コンピュータ125は、所定のSETにおいて負荷を始動する。同時に、グリッド安定化サブシステムサイト110は、所定のSETに即座に同様の量の電力を供給またはシンクし、次いで数秒にわたってその供給/シンク電力を徐々に減少させ、負荷変更の影響を平坦化する。
【0032】
グリッド負荷安定化システムは、確認を要求/受容するために、迅速な、例えば5秒未満の検証および同期を提供する。グリッド安定化サブシステムサイトによる負荷の遷移および電力の注入(または電力のシンク)を、NTPプロトコルまたはGPSクロックにより同期が達成されるため、数電力サイクル以内で生じることができる。グリッド安定化サブシステムサイトは、負荷始動/停止と同時に電力を供給/シンクすることができる。このように、グリッド安定化サブシステムサイトは、グリッド上の監視されるチャージに反応するのではなく、それらの変化を予想して(予知して)プロアクティブに機能することができる。
【0033】
本発明の例を示し説明したが、本発明の範囲から逸脱せずに、それらに様々な変更および修正を行ってもよいことができることが、当業者に容易に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力グリッド上での使用のためのグリッド同期システムであって、
前記電力グリッド上の顧客サイトに配置される負荷コントローラであって、前記顧客サイトにおける前記電力グリッド上の負荷を変更するための許可の要求を伝送するようにプログラムされる、負荷コントローラと、
前記顧客サイトから離れて配置されるグリッド安定化コントローラと、
前記顧客サイトから離れて配置される前記電力グリッド上のグリッド安定化サブシステムであって、
エネルギーを貯蔵するためのエネルギー貯蔵システムと、
前記エネルギー貯蔵システムを前記電力グリッドに電気的に結合し、前記エネルギー貯蔵システムと前記電力グリッドとの間の電力の伝達を提供するための、電力伝達インターフェースと、
前記電力伝達インターフェースを制御するための電力伝達コントローラとを含む、グリッド安定化システムと、を含み、
前記グリッド安定化コントローラは、前記負荷コントローラからの前記要求を受信し、前記負荷コントローラが前記要求された負荷変更を実行する将来のイベント時間を決定し、前記将来のイベント時間を前記負荷コントローラに伝送し、前記電力伝達インターフェースに、前記将来のイベント時間に開始する、前記電力グリッドと前記エネルギー貯蔵システムとの間の電力伝達を実行させるように、前記電力伝達コントローラに命令するように、プログラムされるグリッド同期システム。
【請求項2】
前記グリッド安定化コントローラおよび前記グリッド安定化サブシステムが、同一場所に配置される、請求項1に記載のグリッド安定化システム。
【請求項3】
前記グリッド安定化コントローラが、前記グリッド安定化サブシステムから離れて配置される、請求項1に記載のグリッド安定化システム。
【請求項4】
全て前記顧客サイトから離れて、前記電力グリッド上の異なる場所に配置される複数のグリッド安定化サブシステムをさらに含み、前記複数のグリッド安定化サブシステムは、最初に述べた前記グリッド安定化サブシステムを含み、前記複数のグリッド安定化サブシステムの各グリッド安定化サブシステムは、
エネルギーを貯蔵するためのエネルギー貯蔵システムと、
前記エネルギー貯蔵システムを前記電力グリッドに電気的に結合し、前記エネルギー貯蔵システムと前記電力グリッドとの間の電力の伝達を提供するための、電力伝達インターフェースと、
前記電力伝達インターフェースを制御するための電力伝達コントローラとを含み、
前記グリッド安定化コントローラは、前記最初に述べたグリッド安定化サブシステムに加えて前記複数のグリッド安定化サブシステムの別のグリッド安定化サブシステムにおける電力伝達コントローラにも、前記他のグリッド安定化サブシステムにおける前記電力伝達インターフェースに、前記将来のイベント時間に開始する、前記電力グリッドと前記他のグリッド安定化サブシステムにおける前記エネルギー貯蔵システムとの間の電力伝達を実行させるように命令するようにプログラムされる、請求項1に記載のグリッド安定化システム。
【請求項5】
前記エネルギー貯蔵システムは、電池を含む、請求項1に記載のグリッド安定化システム。
【請求項6】
すべて前記グリッド安定化コントローラから離れて前記電力グリッド上の異なる場所に配置される複数の顧客サイトをさらに含み、前記複数の顧客サイトは、最初に述べた前記顧客サイトを含み、各顧客サイトは、前記顧客サイトでの前記電力グリッド上の負荷を変更する許可の要求を伝送する負荷コントローラを備える、請求項1に記載のグリッド安定化システム。
【請求項7】
前記グリッド安定化コントローラが、インターネット接続を介して前記負荷コントローラからの前記要求を受信する、請求項1に記載のグリッド安定化システム。
【請求項8】
前記顧客サイトおよび前記グリッド安定化サブシステムのそれぞれは、前記将来のイベント時間をマーキングするためのGPSクロックを含む、請求項1に記載のグリッド安定化システム。
【請求項9】
前記顧客サイトおよび前記グリッド安定化システムは、前記将来のイベント時間をマーキングするためにNTPサーバに接続される、請求項1に記載のグリッド安定化システム。
【請求項10】
前記グリッド安定化コントローラが、前記顧客サイトからグリッド測定情報を受信する、請求項1に記載のグリッド安定化システム。
【請求項11】
前記グリッド安定化コントローラが、前記顧客サイトから、負荷量、ランプ時間、突入ピーク長さ情報を受信する、請求項1に記載のグリッド安定化システム。
【請求項12】
前記グリッド安定化コントローラが、前記グリッド安定化サブシステムからグリッド測定情報を受信する、請求項1に記載のグリッド安定化システム。
【請求項13】
前記グリッド測定が、力率、ワット、VAR、および電圧を含む、請求項12に記載のグリッド安定化システム。
【請求項14】
前記顧客サイトおよび前記グリッド安定化サブシステムサイトのそれぞれが、同期フェーザを含む、請求項1に記載のグリッド安定化システム。
【請求項15】
負荷の変更は、負荷をオンラインにすることを含む、請求項1に記載のグリッド安定化システム。
【請求項16】
負荷の変更は、負荷をオフラインにすることを含む、請求項1に記載のグリッド安定化システム。
【請求項17】
電力グリッド上の負荷を同期させるための方法であって、
負荷コントローラから、前記電力グリッド上の負荷を変更する許可の要求を受信する工程と、
前記負荷コントローラが要求された負荷変更を実行する将来のイベント時間を決定する工程と、
前記将来のイベント時間を前記負荷コントローラに伝送する工程と、
電力伝達インターフェースに、前記将来のイベント時間に開始する、前記電力グリッドとエネルギー貯蔵システムとの間の電力伝達を実行させるように、電力伝達コントローラに命令する工程とを含み、前記電力伝達が負荷変更を軽減する、方法。
【請求項18】
前記エネルギー貯蔵システムは、電池を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
インターネット接続を介して、前記負荷コントローラから前記要求を受信する工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記顧客サイトおよび前記グリッド安定化サブシステムのそれぞれは、前記将来のイベント時間をマーキングするためのGPSクロックを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記顧客サイトおよび前記グリッド安定化システムは、前記将来のイベント時間をマーキングクするためにNTPサーバに接続される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記顧客サイトからグリッド測定情報を受信する工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記顧客サイトから、負荷量、ランプ時間、突入ピーク長さ情報を受信する工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記グリッド安定化サブシステムからグリッド測定情報を受信する工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記グリッド測定が、力率、ワット、VAR、および電圧を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記顧客サイトおよび前記グリッド安定化サブシステムサイトのそれぞれが、同期フェーザを含む、請求項17記載の方法。
【請求項27】
負荷の変更は、負荷をオンラインにする工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
負荷の変更は、負荷をオフラインにする工程を含む、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−513353(P2013−513353A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542221(P2012−542221)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/058911
【国際公開番号】WO2011/069078
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(510327507)エー123 システムズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】