説明

グリップ式物品搬送装置

【課題】物品を高速に搬送することができ、また、高速に経路を分けて下流側に搬送することができ、装置全体も小型に形成することのできるグリップ式物品搬送装置を提供すること。
【解決手段】回転体9に周方向等分配置されているとともに、物品Wを把持する開閉自在なグリップフィンガ21を有する複数の物品グリッパ20と、各物品グリッパ20のグリップフィンガ21を開閉駆動するカム面22sを有するとともに軸方向に移動自在な円錐カム22とを備えたグリップ式物品搬送装置1において、円錐カム22を径方向および軸方向の少なくとも一方に複数配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリップ式物品搬送装置に係り、特に回転しながら物品を把持したり開放したりして搬送するのに好適なグリップ式物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、上流側から搬送されてくる物品を、搬送経路を変えて下流側に搬送したり、当該物品の性質に応じて少なくとも2方向に分けて下流側に搬送するために、グリップ式物品搬送装置が利用されている。
【0003】
このグリップ式物品搬送装置においては、回転軌道上を周回するグリップフィンガによって上流側から搬送されてくる物品を把持して受け取り、所定位置まで回転した後に物品を開放して下流側に送出するようにして搬送している。
【0004】
搬送すべき物品にはその外直径が大小に異なる場合があり、グリップフィンガの開放時の最大間隔が一定の場合には、当該最大間隔に合わない大きな外直径を有する物品は搬送不可能であった。
【0005】
そこで、従来においては、円錐状のカム面を有する円錐カムをもってグリップフィンガを開閉駆動するとともに、当該円錐カムを軸方向に移動自在に形成して、1種の円錐カムによってグリップフィンガの開放時の最大間隔を変更自在として、外直径が異なる物品も搬送可能とし、更にグリップフィンガから解放された物品の搬送路の途中に押出し部材を突出入させて搬送経路を変更することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平06−043067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年においては、物品に対する処理速度の高速化が要望されているために、物品を高速に搬送する必要がある。
【0008】
ところが、前記従来例においては、グリップフィンガから解放された物品の下流側への搬出路の途中を遮るように押出し部材を突出入させて搬出経路を変更するように形成されているために、物品を高速に搬送することができないという不都合があった。その理由は、押出し部材を突出入させるアクチュエータの動作スピードに限りがあり、前記押出し部材を搬出路に出入させている動作中に次の物品を当該搬出路に投入すると、次のグリップフィンガが押出し部材に干渉して衝突することとなるので、前記押出し部材の搬出路への出入動作が終了するまで次のグリップフィンガが待機しなければならず、物理的に物品の搬送速度を高速化できないものであった。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、物品を高速に搬送することができ、また、高速に経路を分けて下流側に搬送することができ、装置全体も小型に形成することのできるグリップ式物品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明の第1の態様に係るグリップ式物品搬送装置は、回転体に周方向等分配置されているとともに、物品を把持する開閉自在なグリップフィンガを有する複数の物品グリッパと、前記各物品グリッパのグリップフィンガを開閉駆動するカム面を有するとともに軸方向に移動自在な円錐カムとを備えたグリップ式物品搬送装置において、前記円錐カムを径方向および軸方向の少なくとも一方に複数配置したことを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、径方向および軸方向の少なくとも一方に複数配置した円錐カムによって多数の物品グリッパのグリップフィンガを駆動できるので、1個の回転体に円錐カムの個数倍の物品グリッパを配置することができ、これによって各物品グリッパを高速回転させて物品を高速に搬送することができ、装置全体の小型化を図ることができる。
【0012】
また、本発明の第2の態様に係るグリップ式物品搬送装置は、前記複数の物品グリッパを前記円錐カムの個数と同数組に分けて交互に周方向等分に配置するとともに、各円錐カムによって相互に対応する各組の物品グリッパを駆動するように形成したことを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、複数の円錐カムのそれぞれに対応する複数の物品グリッパを1個の回転体に周方向に偏ることなく等分に配置することができ、各円錐カムによってそれぞれに対応する複数の物品グリッパを円滑に駆動することができ、回転体および物品グリッパの回転むらの発生を抑えることができ、装置の小型化を図ることができる。
【0014】
また、本発明の第3の態様に係るグリップ式物品搬送装置は、前記各円錐カムは、カム面の一部を径方向に移動自在な移動カム面とするとともに対応する物品グリッパのグリップフィンガを開放する開放位置と閉塞する閉塞位置とを移動自在に形成されていることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、移動カム面を開放位置に移動させることにより所望の物品を確実に開放して下流側へ高速に搬送させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のグリップ式物品搬送装置によれば、物品を高速に搬送することができ、また、高速に経路を分けて下流側に搬送することができ、装置全体も小型に形成することができるという優れた効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るグリップ式物品搬送装置の一実施形態を上下流側の搬送装置とともに示す平面図
【図2】図1の2−2線に沿った拡大断面図
【図3】本発明に係るグリップ式物品搬送装置における円錐カムの一実施形態を示し、内側の移動カム面がグリップフィンガの開放位置にあり、外側の移動カム面がグリップフィンガの閉塞位置にある状態の平面図
【図4】本発明に係るグリップ式物品搬送装置における円錐カムの一実施形態を示し、内側の移動カム面がグリップフィンガの閉塞位置にあり、外側の移動カム面がグリップフィンガの開放位置にある状態の平面図
【図5】本発明に係るグリップ式物品搬送装置におけるグリッパ駆動部の一実施形態を示す斜視図
【図6】本発明に係るグリップ式物品搬送装置における物品グリッパ、内側の円錐カムおよび内側のグリッパ駆動部の一実施形態を示し、(a)はグリップフィンガの開放状態を示す平面図、(b)はグリップフィンガの閉塞状態を示す平面図
【図7】本発明に係るグリップ式物品搬送装置における物品グリッパ、外側の円錐カムおよび外側のグリッパ駆動部の一実施形態を示し、(a)はグリップフィンガの開放状態を示す平面図、(b)はグリップフィンガの閉塞状態を示す平面図
【図8】本発明に係るグリップ式物品搬送装置を用いて物品に対する処理を施すとともに処理結果に応じて物品を複数方向に分けて搬送する装置の全体を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るグリップ式物品搬送装置の実施形態について、図1乃至図8を参照して説明する。
【0019】
図1乃至図7は本発明の1実施形態を示す。
【0020】
本実施形態のグリップ式物品搬送装置1は、図1の平面図に示すように、上流側の物品処理装置2から飲料用容器、調理用容器等からなる円筒状の外周面を有する物品Wを受取り、下流側の搬送装置3または4に搬出させるように形成されている。本実施形態のグリップ式物品搬送装置1、上流側の物品処理装置2および下流側の一方の搬送装置4は物品Wを回転軌道上に沿って搬送し、下流側の他方の搬送装置3は物品Wを直線に沿って搬送するように形成されている。
【0021】
更に説明すると、本実施形態のグリップ式物品搬送装置1は、図2の断面図に示すように、適宜な架台(図示せず)に固定されている基板5に設置されている。基板5には装置の回転中心となる位置に合わせて長尺な固定筒7を鉛直方向に立設している。この固定筒7の内部には、同心にして回転軸6が軸受10、10をもって鉛直軸回りに回転自在に支持されている。回転軸6の基板5より下方への突出部分には回転力付与用の歯車8が固着されている。回転軸6の上端部には円盤状の第1回転体9が水平にして固着されている。この第1回転体9の下面には、固定筒7の外側に同心にして円筒状スリーブ12が固着されており、当該円筒状スリーブ12の下端部には外径を第1回転体9と同一とした環状の第2回転体13が水平にして固着されている。固定筒7の下半部の外側には、カム移動用円筒14が相互間に介装した回転止め用のキー11をもって軸方向のみに移動自在に遊嵌されている。このカム移動用円筒14の下端部には雄ねじ14aが形成されている。カム移動用円筒14の下端部にはナット体15が内面に形成された雌ねじ15aをカム移動用円筒14の雄ねじ14aに螺合させられるとともに、軸受16をもって固定筒7の基部上に回転自在に支持されている。このナット体15の外周部分には回転力付与用のスプロケット17が固着されている。カム移動用円筒14の上端部と長手方向中間位置には、それぞれ環状の板部材からなる第1カム支持板18および第2カム支持板19が水平にして固着されている。
【0022】
次に、本実施形態における物品グリッパと円錐カムとの構成を説明する。
【0023】
本実施形態においては、物品Wを把持する開閉自在な一対のグリップフィンガ21、21を有する複数(本実施形態においては20個、図1においては、半数の10個を図示している。)の物品グリッパ20を、第1回転体9に周方向等分に配置している。
【0024】
本発明においては、これらの各物品グリッパ20のグリップフィンガ21、21を開閉駆動するためのカム面を有するとともに軸方向に移動自在な円錐カムを径方向および軸方向の少なくとも一方に複数配置するものである。
【0025】
本実施形態においては、径方向に2種類および軸方向に2種類、合計4種類の円錐カム22〜25を配設している。具体的には、上方の第1カム支持板18上に、円錐状外周面をカム面22sとした第1内側円錐カム22と、円錐状内周面をカム面23sとした第1外側円錐カム23とを固定し、下方の第2カム支持板19上に、円錐状外周面をカム面24sとした第2内側円錐カム24と、円錐状内周面をカム面25sとした第2外側円錐カム25とを固定している。これらの円錐カム22〜25は、カム移動用円筒14と一緒に軸方向に上下移動自在とされている。上下に配置されている一方の内側円錐カム22、24および他方の外側円錐カム23、25は互いに全く同一形状に形成されており周方向にも位相差を設けないで同一位置に配設されている。これらの円錐カム22〜25においては、図1に示すように、第1回転体9と一緒に回転する複数の物品グリッパ20のグリップフィンガ21の開閉を行わせるように各カム面22s〜25sが形成されている。各物品グリッパ20は第1回転体9と一緒に反時計方向に回転しつつ、受領位置Aにおいて上流側の物品処理装置2から物品Wをグリップフィンガ21によって把持することによって受領し、続いて開放位置Bまで回転して例えば良品と判断された物品をグリップフィンガ21を開放することによって下流側の搬送装置3に開放し、良品でないと判断された物品Wをグリップフィンガ21によって把持したままにして開放位置Bにおいて開放しないで回転を継続させ、次の送出位置Cにおいてグリップフィンガ21を開放して下流側の搬送装置4に受け渡し、その後受領位置Aまでグリップフィンガ21を開放したまま移動して、当該受領位置Aにおいて他の物品Wを新たに受領する。
【0026】
このように各物品グリッパ20を動作させるために、図1、図3および図4に示すように、一方の内側円錐カム22、24においては、送出位置Cから受領位置Aを移動する物品グリッパ20のグリップフィンガ21を開放させるために、円錐状外周面からなるカム面22s、24sを径方向外側に膨出する外側膨出部22b、24bを設けている。更に、他方の外側円錐カム23、25においては、送出位置Cから受領位置Aを移動する物品グリッパ20のグリップフィンガ21を開放させるために、円錐状内周面からなるカム面23s、25sを径方向内側に膨出する内側膨出部23b、25bを設けている。各膨出部22b〜25bを更に説明すると、送出位置Cの若干手前からグリップフィンガ21の開放動作を開始し、送出位置Cにおいては最大開放状態となるように次第に膨出し、その後は受領位置Aの手前まで最大開放状態を維持し、受領位置Aの若干手前からグリップフィンガ21の閉塞動作を開始し、受領位置Aにおいては閉塞状態となるように次第に膨出量を小さくするように形成されている。
【0027】
各円錐カム22〜25によって各物品グリッパ20のグリップフィンガ21を駆動するために図5〜図7に示すようなグリッパ駆動部26が各物品グリッパ20毎に設置されている。一方の内側円錐カム22、24に対しては、図5および図6に示す内側用のグリッパ駆動部26aが配設され、他方の外側円錐カム23、25に対しては図7に示す外側用のグリッパ駆動部26bが配設されている。
【0028】
ここでは一方の内側用のグリッパ駆動部26aの構成を詳細に説明して、外側用の説明を簡略にする。
【0029】
内側用のグリッパ駆動部26aは円錐カム22のカム面22sに当接するカムフォロア30の移動を回転として取出し、複数の軸および歯車群によってグリップフィンガ21に開閉力として付与するものである。グリッパ駆動部26における主たる軸は、第1回転体9および第2回転体13を介して鉛直方向に回転自在に支承されている回転軸27,この回転軸27の下端部に対して並行に支持して配設されたカムフォロア軸28、回転軸27の上端部に対して並行に第1回転体9に配設されたグリッパ要軸29である。カムフォロア軸28の下端にはカムフォロア30を先端下面側に有するレバー31が固着されている。また、カムフォロア軸28の上端と回転軸27の下端とは互いに噛合する歯車32、33によって連結されている。回転軸27の上端部に固着した歯車34は中間歯車35を介してグリッパ要軸29の上端部に固着した歯車36に連結されている。また、回転軸27の上端部に固着した歯車34は中間歯車35の他に、グリッパ要軸29に相対回転自在に装着されている歯車37にも連結している。この歯車37は中間歯車35と噛合う部分を切り欠いてあるために噛合うことがない。更に、この歯車37の下部にはグリッパ要軸29の外側に同軸で遊嵌されている円筒状のスリーブ38がが固着されている。そして、物品グリッパ20の一方のグリップフィンガ21がグリッパ要軸29の下端部に固着され、他方のグリップフィンガ21がスリーブ38の下端部に固着されている。
【0030】
このように形成されているグリッパ駆動部26によれば、例えば図5および図6(a)に示すように、カムフォロア30が内側円錐カム22、24のカム面22s、24sの膨出部22b、24bに向けて進行して、レバー31が図5の矢印に示す通り、カムフォロア軸28を中心として反時計方向に回転すると、その回転が、歯車32、33、34、35、36、グリッパ要軸29の順に伝達されて、一方のグリップフィンガ21が開放方向(時計方向)に回転する。同時に、歯車34、37、スリーブ38の順に伝達されて、他方のグリップフィンガ21が開放方向(反時計方向)に回転する。
【0031】
また、カムフォロア30が内側円錐カム22、24のカム面22s、24sの膨出部22b、24bより遠ざかるよう進行すると、レバー31が前記と逆に時計方向に回転して、一対のグリップフィンガ21が閉じることとなる。
【0032】
また、外側用のグリッパ駆動部26bにおいては、カムフォロア30が外側円錐カム23、25のカム面23s、25sの膨出部23b、25bに向けて進行する際に一対のグリップフィンガ21が開放し(図7(a)参照)、カムフォロア30が外側円錐カム23、25のカム面23s、25sの膨出部23b、25bより遠ざかるよう進行すると、レバー31が前記と逆に回転して、一対のグリップフィンガ21が閉じることとなる(図7(b)参照)。
【0033】
そして、本実施形態においては、4種類の円錐カム22〜25によって20個の物品グリッパ20を開閉させるものであるので、グリッパ駆動部26も含めて構成を周方向に偏らせないようにするとよい。
【0034】
即ち、複数(20個)の物品グリッパ20を円錐カム22〜25の個数(4個)と同数組(4組)に分けて交互に周方向等分に配置するとともに、各円錐カム22〜25によって相互に対応する各組の物品グリッパ20を駆動する(同一の円錐カムによって4個おきに配置されている物品グリッパ20が開閉駆動される)ように形成するとよい。
【0035】
また、開放位置Bにおいて物品Wを選択的に開放させるために、本実施形態においては、図1、図3、図4に示すように、内外の円錐カム22〜25は、カム面22s〜25sの一部を径方向に移動自在な移動カム面22c〜25cとするとともに、対応する物品グリッパ20のグリップフィンガ21を開放する開放位置と閉塞する閉塞位置とを移動自在に形成している。ここで、図3においては、内側の移動カム面22c、24cがグリップフィンガ21の開放位置にあり、外側の移動カム面23c、25cがグリップフィンガ21の閉塞位置にあり、図4においては、内側の移動カム面22c、24cがグリップフィンガ21の閉塞位置にあり、外側の移動カム面23c、25cがグリップフィンガ21の開放位置にある。
【0036】
一方の外側の円錐カム23、25の場合には、図2の右半部および図4に示すように、第1カム支持板18および第2カム支持板19の中心寄り部分に固定したシリンダ39の径方向の外側に向けて出入するピストン40の先端に固着した連結ブラケット41の先端部に前記移動カム面23c、25cを有する移動カム体23d、25dを固着して形成されている。前記連結ブラケット41は内側の移動カム体22d、24dの下方部分を通して径方向に往復動可能とするために、薄板状に形成されている。なお、図4においては、説明の弁のために、移動カム体23d、25dを径方向に移動させるシリンダ39等を矩形の鎖線で示している。
【0037】
他方の内側の円錐カム22、24の場合には、図2の右半部および図3に示すように、第1カム支持板18および第2カム支持板19の中心寄り部分に固定したL字状のブラケット42によって外側用のシリンダ39の上部に内側用のシリンダ43を固着し、更にその径方向の外側に向けて出入するピストン44の先端部に前記移動カム面22c、24cを有する移動カム体22d、24dを固着して形成されている。なお、図3においては、説明の弁のために、移動カム体22d、24dを径方向に移動させるシリンダ43等を矩形の鎖線で示している。
【0038】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0039】
図8は本実施形態のグリップ式物品搬送装置1を用いて物品Wに対する処理を施すとともに処理結果に応じて物品を複数方向に分けて搬送する装置の全体を示している。本装置においては、空の飲料用容器としての物品Wに飲料を充填し、キャピングを施し、良品、充填不足、キャッピング不良に分けて搬出するように形成されている。具体的には、搬入搬送装置aを通して直線状に物品Wを装置内に搬入し、続いて取出し搬送装置bによって物品Wを1個ずつ所定間隔で取出して充填機cに渡して飲料を物品W内に充填する。飲料が充填された物品Wは受け渡し用の搬送装置dによってキャッピングを施す物品処理装置2に受け渡される。物品処理装置2においては、キャッピングを施すとともに、飲料の充填量の計測とキャッピングの良否が測定され、各物品W毎に良品、充填不足、キャッピング不良のクラス分けが行われる。物品処理装置2から本実施形態のグリップ式物品搬送装置1に受け渡された物品Wは、良品の場合のみ搬送装置3に搬出され、充填不足およびキャッピング不良の物品Wは搬送装置4に受け渡される。続いて、搬送装置4に受け渡された物品Wは、充填不足の場合のみ搬送装置eに搬出され、キャッピング不良の物品Wは搬送装置fに受け渡される。続いて、搬送装置fに受け渡された充填不足の物品Wは搬送装置gに搬出される。
【0040】
<初期設定>
図8に示す装置における物品処理を実行する前に、本実施形態のグリップ式物品搬送装置1により搬送する物品Wの外直径に合わせて各物品グリッパ20の一対のグリップフィンガ21の開放時の最大間隔を設定する。具体的には、高さ位置が一定とされている各グリッパ駆動部26のカムフォロア30に対して、図示しない駆動源によってスプロケット17およびナット体16を回転させてカム移動用円筒14および両カム支持板18、19と一緒に各円錐カム22〜25の高さを移動調節する。これにより、各カムフォロア30と接触する各円錐状のカム面22s〜25sの高さ位置を調節して、各カムフォロア30のカムフォロア軸28回りの回転角度を適正位置とさせて、各物品グリッパ20の一対のグリップフィンガ21の開放時の最大間隔を適正値に設定する。図2において左半部が各円錐カム22〜25の高さを低くした状態を示し、右半部が各円錐カム22〜25の高さを高くした状態を示している。
【0041】
なお、この調整は、搬送する物品Wが変更される度に実行するとよい。
【0042】
<通常運転>
初期設定を終えた後に、本実施例のグリップ式物品搬送装置1並びに図8に示す構成各部を稼働させ、物品Wを上流側より投入して通常運転を実行する。
【0043】
本実施例のグリップ式物品搬送装置1は、通常運転においては、図示しない駆動源によって歯車8に回転力が付与され、回転軸6、両回転体9、13と一緒に各物品グリッパ20は反時計方向に回転しつつ、4種の円錐カム22〜25によって対応するグリッパ駆動部26を介してグリップフィンガ21を開閉制御されたり、シリンダ39、43によって移動カム体22d〜25dを駆動することによって同様にグリップフィンガ21を開閉制御される。
【0044】
具体的には、図1において、受領位置Aにおいて上流側の物品処理装置2から物品Wをグリップフィンガ21によって把持することによって受領し、続いて開放位置Bまで回転して例えば良品と判断された物品Wをグリップフィンガ21を開放することによって下流側の搬送装置3に開放し、良品でないと判断された物品Wをグリップフィンガ21によって把持したままにして開放位置Bにおいて開放しないで、次の送出位置Cにおいてグリップフィンガ21を開放して下流側の搬送装置4に受け渡し、その後受領位置Aまでグリップフィンガ21を開放したまま移動して、当該受領位置において他の物品Wを新たに受領する。
【0045】
この通常運転においては、物品Wを高速で搬送することができる。
【0046】
このように、本実施形態のグリップ式物品搬送装置1においては、径方向および軸方向の双方に2個ずつ配置した合計4種類の円錐カム22〜25によって第1回転体9に周方向に等分に配置した20個(4×n個に相当)の物品グリッパ20のグリップフィンガ21を駆動できる。これにより1個の第1回転体9に円錐カム22〜25の個数倍(4倍)の物品グリッパ20を配置することができ、各物品グリッパ20を高速回転させて物品Wを高速に搬送することができ、装置全体の小型化を図ることができる。
【0047】
また、各円錐カム22〜25は、カム面22s〜25sの一部を径方向に移動自在な移動カム面22c〜25cとするとともに対応する物品グリッパ20のグリップフィンガ21を開放する開放位置と閉塞する閉塞位置とを移動自在に形成しているので、移動カム面22c〜25cを開放位置に移動させることにより所望の物品Wを確実に開放して下流側へ高速に搬送させることができる。これらの移動カム面22c〜25cの移動によっては下流側の搬送装置3の搬送経路を塞いで物品Wの移動の邪魔になることがないので、物品Wを確実に開放して下流側へ高速に搬送させることができる。
【0048】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて変更することができる。
【0049】
例えば、前記実施形態においては、円錐カムを径方向と軸方向の両方に2個設けているが、一方向に限ってもよく、更に内側の円錐カム同士または外側の円錐カム同士を複数配置してもよく、3個以上配置してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 グリップ式物品搬送装置
9 回転体
20 物品グリッパ
21 グリップフィンガ
22 円錐カム
22s カム面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体に周方向等分配置されているとともに、物品を把持する開閉自在なグリップフィンガを有する複数の物品グリッパと、
前記各物品グリッパのグリップフィンガを開閉駆動するカム面を有するとともに軸方向に移動自在な円錐カムと
を備えたグリップ式物品搬送装置において、
前記円錐カムを径方向および軸方向の少なくとも一方に複数配置した
ことを特徴とするグリップ式物品搬送装置。
【請求項2】
前記複数の物品グリッパを前記円錐カムの個数と同数組に分けて交互に周方向等分に配置するとともに、各円錐カムによって相互に対応する各組の物品グリッパを駆動するように形成した
ことを特徴とする請求項1に記載のグリップ式物品搬送装置。
【請求項3】
前記各円錐カムは、カム面の一部を径方向に移動自在な移動カム面とするとともに対応する物品グリッパのグリップフィンガを開放する開放位置と閉塞する閉塞位置とを移動自在に形成している
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のグリップ式物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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