説明

グリル

【課題】グリルの熱効率を向上させる。
【解決手段】被調理物を収容するグリル庫41と、グリル庫41の天井部411に設けられた上火バーナ61と、グリル庫41の左右の両側壁412に設けられた下火バーナ62と、下火バーナ62の上方であって、グリル庫41の左右の両側壁412に夫々着脱自在に設けられたカバー板473とを備えるグリル4において、カバー板473は、下火バーナ62の上に配置される載置片473bと、載置片473bの左右方向外端からグリル庫41の側壁412を覆うように延びる側片473aと、側片473aの上端縁からグリル庫41の天井部411に沿って延びる断熱片473hとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下火バーナの上方に位置させてグリル庫内の左右の両側壁に着脱自在に設けられたカバー板を備えるグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被調理物を収容するグリル庫と、このグリル庫の天井部に設けられた上火バーナと、グリル庫の左右の両側壁下方に夫々設けられた一対の下火バーナと、下火バーナの上方であって、グリル庫の左右の両側壁に夫々着脱自在に設けられたカバー板とを備えるグリルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このカバー板は、下火バーナの上に配置される載置片と、この載置片の左右方向外端からグリル庫の側壁を覆うように延びる側片とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−35670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
グリルは、グリル庫の天井部の側縁部分が最も高温となる個所となる。この高温となる天井部の側縁部分に汚れが焦げて付着した状態のまま長期間が経過すると、天井部が腐食する虞がある。これを防止すべく、グリル庫の天井部を定期的に清掃する必要があるが、グリル庫の天井部は、使用者には見え難い個所であり、清掃し難いという問題があった。
【0006】
又、近年、消費者のエコロジーへの関心が高まり、グリルにおいても熱効率の更なる向上が望まれる。
【0007】
本発明は、従来よりも熱効率を向上させたグリルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明は、被調理物を収容するグリル庫と、グリル庫の天井部に設けられた上火バーナと、グリル庫の左右の両側壁に設けられた下火バーナと、下火バーナの上方であって、グリル庫の左右の両側壁に夫々着脱自在に設けられたカバー板とを備えるグリルにおいて、カバー板は、下火バーナの上に配置される載置片と、載置片の左右方向外端からグリル庫の側壁を覆うように延びる側片と、側片の上端縁からグリル庫の天井部に沿って延びる断熱片を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、カバー板の断熱片が、側片の上端縁から天井部に沿って延びているため、グリル庫内、特に天井部からの熱の放出が抑制される。従って、従来の断熱片を有しないカバー板が設けられたグリルに比し、グリルの熱効率を向上させることができる。
【0010】
又、カバー板は、グリル庫の左右の側壁に着脱自在に設けられているため、取り外して容易に汚れを除去し易い。更に、断熱片はグリル庫内の天井部に沿って延びるため、グリル庫内の天井部が汚れ難くなり、グリル庫内の美観を維持し易くすることができる。
【0011】
[2]ところで、カバー板をグリル庫から着脱し易くすべく、カバー板の前端に把持部を設けることが考えられる。ここで、本発明のカバー板は断熱片を備えているため、カバー板の重量が増加している。そして、把持部をカバー板の側片や載置片の前端に設けることも考えられるが、このように構成すると、カバー板の重心が把持部の側方又は上方に位置することとなる。従って、把持部を把持してカバー板を着脱する場合に、カバー板が把持部を中心に回転しようとする力が働き易く、カバー板をグリル庫から着脱し難くなる虞がある。
【0012】
この場合、把持部を断熱片の前端に設ければよい。これにより、カバー板の重心が把持部の下方に位置することとなる。従って、把持部を把持してカバー板を着脱する場合に、カバー板が回転しようとする力が働き難くなり、グリル庫からカバー板を着脱する作業が行い易くなる。
【0013】
[3]本発明において、カバー板の断熱片の少なくとも内面を、熱を反射する熱反射面とすることが好ましい。これによれば、断熱片の少なくとも内面で熱をグリル庫内に向かって反射させることができ、グリルの更なる熱効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態のグリルを備えるコンロを示す斜視図。
【図2】実施形態のグリルを示す断面図。
【図3】実施形態のグリルの右側のカバー板とグリル庫の側壁を示す斜視図。
【図4】実施形態のグリルの左側のカバー板を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、システムキッチンのカウンタトップ(図示せず)に組み込むビルトイン式コンロを示している。このコンロは、カウンタトップに開設した開口に落とし込むようにして設置するコンロ本体1と、コンロ本体1の上面を覆うようにしてカウンタトップに載置する天板2とを備えている。コンロ本体1には、前側の左右2個と後側の1個の計3個のコンロバーナ3が配置されると共に、グリル4が内蔵されている。
【0016】
カウンタトップの下で前方に露出するコンロ本体1の前面部分には、後述するグリル庫41の前面開口を閉じるグリル扉42とその左右の前面パネル5,5とが設けられている。各前面パネル5には、コンロバーナ3用とグリル4用の各操作部5aが組み込まれている。
【0017】
グリル4は、図2に左右方向で切断した状態で示すように、コンロ本体1内に設置されるグリル庫41を備えている。グリル庫41の天井部411には、上火バーナ61が装着され、更に、上火バーナ61を上方から覆うようにして遮熱カバー61aが設けられている。また、グリル庫41の左右の各側壁412に、下火バーナ62を配置している。尚、図2の符号61b,62aは上火バーナ61と下火バーナ62の混合管である。
【0018】
グリル庫41内には、下火バーナ62よりも下方に位置させてグリル皿45が配置されている。このグリル皿45は、グリル庫41の底面を前後方向にスライド自在に配置された皿支持枠45aにより支持されている。又、グリル庫41内には、下火バーナ62よりも上方に位置させて、焼き網43が配置されている。焼き網43は、その前後両端部から下方に垂下しグリル皿45に当接する脚片部43aで支持されている。
【0019】
これにより、焼き網43に載置された被調理物を上火バーナ61と下火バーナ62とで上下から焼成する両面焼きグリルが構成される。そして、グリル扉42に設けられた取手42a(図1参照)を把持して手前に引くことにより、皿支持枠45aが焼き網43及びグリル皿45と共にグリル庫41から前方に引き出されるようになっている。
【0020】
グリル庫41の両側壁412には、前方側であって下火バーナ62よりも上方に位置させて、突起414(図3参照)が夫々突設けられている。突起414は、先端が拡径されたキノコ状に構成される。
【0021】
下火バーナ62は、上バーナカバー471を備える。上バーナカバー471の後方部には外方に隆起する隆起部471cが形成されており、下火バーナ62用の点火装置やサーモカップル等の逃げ部となっている。上バーナカバー471は、金属薄板をプレス成形することによって一体形成されており、隆起部471cは絞り加工によって数ミリメートル程度隆起するように成形されている。隆起部471cは、滑らかに隆起しており、その頂部は平らに形成されている。平らな頂部は、ここでは、前後方向を長手方向とする長方形状に形成されている。
【0022】
左右の上バーナカバー471は、グリル庫41の側壁412に夫々着脱自在に装着されるカバー板473によって、その上面が覆われている。カバー板473は、ホーローの表面処理が施された銅製であり、側壁412への取付け面となる側片473aと、この側片473aの下端縁から斜め下方に延び、上バーナカバー471の上面に載置される載置片473bと、側片473aの上端縁から斜め上方に延び、天井部411の左右の側縁部分に沿った断熱片473hとから構成されている。
【0023】
カバー板473は、上バーナカバー471のみならず、上バーナカバー471より上方のグリル庫41の側壁412の内面、及びグリル庫41の天井部の左右の側縁部分を覆うようにして、グリル庫41内に装着されている。
【0024】
カバー板473は、グリル庫41内の被調理物から飛散する煮汁や油等の汚れが上バーナカバー471や側壁412、天井部411の左右の側縁部分に付着することを防止している。使用者は、カバー板473を取り外して丸洗いし、カバー板473に付着した汚れを容易に清掃することができる。
【0025】
側片473aには、側壁412の突起414に対応する位置に穴473cが穿設されている。この穴473cは、突起414の拡径された先端部を挿通可能な大穴と、突起414の先端の外径よりも小さい小穴とを連結させて形成している。載置片473bは、上バーナカバー471と同じように傾斜している。そして、載置片473bの後方部分には、上バーナカバー471の隆起部471cと対応する位置に、隆起部473dが設けられている。
【0026】
この隆起部473dは、上バーナカバー471の隆起部471cに被さって係止されるように形成されている。ここでは、カバー板473の隆起部473dは、上バーナカバー471の後端まで延びていることを除いて、上バーナカバー471の隆起部471cとほぼ同形状に形成されている。カバー板473を上バーナカバー471の上に置いたときに、カバー板473の隆起部473dが上バーナカバー471の隆起部471cと係合して、カバー板473が上バーナカバー471からずれ落ちないようになっている。
【0027】
断熱片473hの前端には、先端に丸みを帯びた把持部473gが延長して形成されており、カバー板473の着脱作業を行う際、作業者がこの把持部473gを把持して着脱作業を容易に行えるようにしている。又、把持部473gを断熱片473hの前端に設けることにより、カバー板473の重心が把持部473gの下方に位置することとなる。
【0028】
従って、把持部を側片473aや載置片473bの前端に設けてカバー板473の重心が把持部の側方又は上方に位置する場合に比し、カバー板473が把持部473gを中心に回転しようとする力が働き難くなり、グリル庫41からカバー板473を着脱し易くなる。
【0029】
カバー板473は、銅製の金属薄板をプレス成形することによって一体形成されており、隆起部473dは絞り加工によって突出成形されている。
【0030】
カバー板473をグリル庫41内に装着する場合、作業者は把持部473gを把持して、カバー板473をグリル庫41内に差し込み、前側に位置する突起414を穴473cの大穴に挿通させる。このとき、カバー板473の穴473cに挿通させる突起414は、前側に位置するので見易く、作業者はその位置合わせや挿通を容易に行うことができる。
【0031】
そして、カバー板473を側壁412に沿わせながら降下させて、穴473cの小穴に突起414を係止させると共に、隆起部473dを上バーナカバー471の隆起部471cに被さるようにして、カバー板473を上バーナカバー471の上に載置する。
【0032】
このとき、カバー板473の隆起部473dを上バーナカバー471の隆起部471cに対して少しずらして使用者が被せようとした場合であっても、そのずれは隆起部471c,473dの傾斜部分により解消されて自動的に位置合わせが行われる。また、この逆の手順を辿ることにより、カバー板473をグリル庫41内から取り外すことができる。
【0033】
このように、カバー板473をグリル庫41内に容易に脱着することができる。また、カバー板473は、突起414と穴473cとの係合によりその脱落が防止された状態で係止されている。そのため、カバー板473は、焼き網43が引っ掛かった場合であっても脱落することなく、安定的に装着されている。また、グリル庫41内には突起414が側壁412から突出して設けられるが、この突起414は前側に位置するため、グリル庫41内の清掃も容易となる。
【0034】
尚、図3においては、右側のカバー板473のみを示しているが、左側のカバー板473も同様に構成される。但し、図4に示すように、左側のカバー板473には、上火バーナ61用の点火装置等に接触しないように逃げ部473iが設けられている点のみ異なる。
【0035】
グリル庫41の横方向両側の外側には、前後方向に長手の固定レール48と、固定レール48に前後方向に移動自在に支持される可動レール49とが配置されている。ここで、グリル庫41の下方には、グリル庫41の底壁部との間に空隙を存して遮熱板415が設置されている。そして、遮熱板415の横方向両側部をグリル庫41の横方向外側で上方に屈曲させて、起立状態の取付板481を形成し、この取付板481の横方向外側の面に固定レール48を取付けている。
【0036】
固定レール48には、中間レール482がボール48aを介して前後方向に移動自在に係合しており、この中間レール482にボール48aを介して可動レール49が前後方向に移動自在に係合している。従って、可動レール49は中間レール482を介して固定レール48に前後方向に移動自在に支持される。
【0037】
グリル庫41の横方向両外側の一対の可動レール49は、その前端においてレール連結枠(図示省略)を介して連結される。レール連結枠には、皿支持枠45aの前端部が係止されると共に、グリル扉42が着脱自在に連結される。かくして、グリル扉42の前面下部の取手42aを把持して前後方向に押し引きすることにより、可動レール49が固定レール48に案内されて前後方向にスライドし、これに連動して皿支持枠45aも前後方向にスライドして、皿支持枠45aに支持されるグリル皿44がグリル庫41にスムーズに出し入れされる。尚、皿支持枠45aの前後方向へのスライドの案内すべく、グリル庫41の底壁部には左右一対のガイド部416が形成されている。
【0038】
実施形態のグリル4によれば、カバー板473の断熱片473hが、側片の上端縁から天井部411に沿って延びているため、グリル庫41内、特に天井部411からの熱の放出が抑制される。従って、従来の断熱片473hを有しないカバー板が設けられたグリルに比し、グリル4の熱効率を向上させることができる。
【0039】
又、カバー板473は、グリル庫41の左右の側壁412に着脱自在に設けられているため、取り外して容易に汚れを除去し易い。更に、断熱片473hはグリル庫41内の天井部411に沿って延びるため、グリル庫41内の天井部411が汚れ難くなり、グリル庫41内の美観を維持し易くすることができる。
【0040】
又、断熱片473hの内面で熱をグリル庫41内に向かって反射させることができ、グリル4の更なる熱効率の向上を図ることができる。
【0041】
尚、ドロップイン式コンロに本発明のグリルを適用した実施形態について説明したが、卓上式コンロに組み込むグリル、更にはコンロに組み込まずに独立して設けられるグリルにも同様に本発明を適用できる。
【0042】
又、実施形態においては、把持部473gを断熱片473hの前端に形成したものを説明したが、これに限らず、把持部473gを側片473a又は載置片473bの前端に形成しても、グリルの熱効率を向上させると共にグリル庫内の美観を保ち易くするという本願発明の作用効果を得ることができる。
【0043】
又、実施形態ではカバー板473として、ホーローの表面処理が施された銅板で成形したものを説明したが、これに限らず、熱反射性の良好な材質であれば他の材質を用いてもよい。又、カバー板473の少なくとも内面を、熱反射性の良好な材料で被覆してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…コンロ本体、2…天板、3…コンロバーナ、4…グリル、41…グリル庫、411…天井部、412…側壁、414…突起、416…ガイド部、42…グリル扉、42a…取手、43…焼き網、43a…脚片部、45…グリル皿、45a…皿支持枠、471…上バーナカバー、471c…隆起部、473…カバー板、473a…側片、473b…載置片、473c…穴、473d…隆起部、473e…角部、473f…凸部、473g…把持部、473h…断熱片、473i…逃げ部、48…固定レール、48a…ボール、49…可動レール、5…前面パネル、5a…操作部、61…上火バーナ、61a…遮熱カバー、61b…混合管、62…下火バーナ、62a…混合管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を収容するグリル庫と、該グリル庫の天井部に設けられた上火バーナと、前記グリル庫の左右の両側壁に設けられた下火バーナと、該下火バーナの上方であって、前記グリル庫の左右の両側壁に夫々着脱自在に設けられたカバー板とを備えるグリルにおいて、
前記カバー板は、前記下火バーナの上に配置される載置片と、該載置片の左右方向外端から前記グリル庫の側壁を覆うように延びる側片と、該側片の上端縁から前記グリル庫の天井部に沿って延びる断熱片を備えることを特徴とするグリル。
【請求項2】
請求項1記載のグリルにおいて、
前記断熱片の前端に把持部が形成されることを特徴とするグリル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のグリルにおいて、
前記カバー板の断熱片の少なくとも内面が熱を反射する熱反射面とされることを特徴とするグリル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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