グルコマンナン、キサンタンガム、アルギナートおよび脂質を含む食物繊維組成物
本発明の一局面は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物、ならびに少なくとも1種の脂質またはその混合物を含む食物繊維組成物であって、この脂質またはその混合物が、食物繊維組成物全体の少なくとも20% w/wを構成する食物繊維組成物を提供する。本発明はまた、有効量の食物繊維組成物を含む食品を提供する。他の局面において、本発明は、食物繊維組成物または食物繊維組成物を含む食品を調製するための方法、および哺乳動物において、飽満を促進する、体重減少を促進する、血中グルコースを低下させる、または血中コレステロールレベルを低下させるための方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、食物繊維組成物、ならびに食欲を抑制し、体重減少を促進し、血中グルコースレベルおよび血中コレステロールレベルを低下させるためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
肥満およびメタボリックシンドロームは、2型糖尿病の発生に繋がり得る状態であり、ますます一般的になってきた。そのような状態は、細胞のインシュリン抵抗性が増大することによることが見出された。従来、糖尿病状態は、血糖を調節するためにインシュリン注射および種々の薬剤を用いて管理されている。しかしながら、食餌および体重減少が、糖尿病と関連づけられる多くの代謝異常を矯正するのに主要な役割を果たしている(非特許文献1)。高い血糖上昇指数を有する食料の高摂取は、過食および肥満をもたらすことが知られている(非特許文献2)。したがって、糖尿病状態ならびに体重減少の管理に使用される薬剤はいずれも血糖上昇指数が低いことが好ましい。最も好ましいのは、そのような薬剤が食品の血糖上昇指数を低下させる場合である。
【0003】
炭水化物摂取の低減もまた、糖尿病状態の管理の成功に必要とされる。食餌カウンセリングは有用であるが、糖尿病患者は、低血糖の状態をより頻繁に経験するにつれ、より大きな食欲を経験する(非特許文献3)。更に、糖尿病患者における血中グルコースレベルを低下させる療法は、体重増加という望ましくない副作用としばしば関連づけられる(非特許文献4)。可溶性繊維の多い食餌は、インシュリン感受性の上昇により糖尿病の危険性を低下させ得ることが報告された(非特許文献5)。これは、血糖調節における食物繊維の果たし得る役割に起因し得る。高粘度の食事は、低粘度の食事と比較して、より大きな満腹感を生じさせることも報告された(非特許文献6)。
【非特許文献1】Yipら、2001年、Obesity Res.、9:341S−347S
【非特許文献2】Ludwigら、1999年、Pediatrics、103(3):E26
【非特許文献3】Strachanら、2004年、Physiol.Behav.、80(5):675−82
【非特許文献4】Schultesら、2003年、J.Clin.Endocrinol.Metabol.、88(3):1133−41
【非特許文献5】Ylonenら、2003年、Diabetes Care、26:1979−85
【非特許文献6】Marcianiら、2001年、Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.、280:G1227−33
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、血糖レベルを低下させ、飽満感を促進することによって糖尿病状態の管理を助ける食物繊維組成物の必要性がある。本発明は、この必要性およびその他に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
本発明の一局面は、食物繊維組成物を提供する。典型的に、この食物繊維組成物は、所望の粘度を生じさせるための有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、胃条件下で15分後に少なくとも2000センチポアズの粘度を有する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、腸条件下で15分後に少なくとも10,000センチポアズの粘度を有する。上記食物繊維組成物の一部の実施形態は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む。
【0006】
一部の実施形態において、本発明は、哺乳動物被験体において、約1センチポアズ〜約3000センチポアズの初期粘度を生じさせ、摂食後15分以内に少なくとも3倍の粘度上昇を生じさせるために有効な量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む食物繊維組成物を提供する。
【0007】
一部の実施形態において、本発明は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む有効量の食物繊維組成物を含む食品を提供する。典型的な食品としては、栄養補助食品および代替食品(meal replacement)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、上記食品は、約2%〜約10%(w/w)の食物繊維組成物を含み、この食物繊維組成物は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む。
【0008】
本発明の別の局面は、食物繊維組成物を調製するための方法を提供する。一部の実施形態において、上記方法は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを合わせて有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む食物繊維組成物を提供する工程を包含する。一部の実施形態において、上記方法は、食物繊維組成物を顆粒化する工程を更に包含する。本発明の方法に従って調製される食物繊維組成物は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含み得る。一部の実施形態において、食物繊維組成物を調製するための上記方法は、上記組成物を顆粒化する工程を包含する。
【0009】
別の局面において、本発明は、グルコマンナンを含む食物繊維組成物の初期粘度を低下させる方法を提供し、この方法は、食物繊維組成物を顆粒化する工程を包含する。
【0010】
別の局面において、本発明は、グルコマンナンおよびキサンタンガムを含む食物繊維組成物の初期粘度を低下させる方法を提供し、この方法は、有効量のアルギナートを上記組成物に加える工程を包含する。
【0011】
本発明の更なる局面は、哺乳動物において、飽満を促進するか、体重減少を促進するか、血中グルコースレベルを低下させるか、または血中コレステロールレベルを低下させる方法を提供する。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において、飽満を促進するか、体重減少を促進するか、血中グルコースレベルを低下させるか、または血中コレステロールレベルを低下させるのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。これらの方法に従って投与される食物繊維組成物は、約48%と約70%(w/w)との間のグルコマンナン、約11%と約13%(w/w)との間のキサンタンガムおよび約9%と約17%(w/w)との間のアルギナートを含み得る。
【0012】
別の局面において、本発明は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物、ならびに少なくとも1種の脂質またはその混合物を含む食物繊維組成物であって、この脂質またはその混合物が、食物繊維組成物全体の少なくとも20%を構成する食物繊維組成物を提供する。一部の実施形態において、この組成物は、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む。一部の実施形態において、この組成物は、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む。一部の実施形態において、この組成物は、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約9%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む。一実施形態では、この組成物は、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む。
【0013】
別の局面において、本発明は、(a)グルコマンナン、キサンタンガム、およびアルギナートを含む繊維混合物、および(b)少なくとも1種の脂質またはその混合物を含む食物繊維組成物を提供し、この繊維混合物および少なくとも1つの脂質は、胃条件に暴露されて5分後にこの食物繊維組成物が約1〜約3,500センチポアズの水中粘度、および15分以内に少なくとも5倍の粘度の増大を示すことを可能にするのに十分な量でそれぞれ存在する。一部の実施形態において、組成物は、約50%〜約90%(w/w)のグルコマンナンを含む繊維混合物を含む。一実施形態では、この組成物は、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む。
【0014】
別の局面において、本発明は、この食品の有効炭水化物50g当たり2.5〜7.5gの、繊維混合物を含む組成物を含む食品を提供し、この繊維混合物が約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む。一部の実施形態において、この組成物は、約60%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む。一部の実施形態において、この組成物は、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約9%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む。一実施形態では、この組成物は、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む。
【0015】
さらに別の局面において、本発明は、食品の血糖上昇指数を低下させるための方法を提供し、この方法は、食品の血糖上昇指数を、少なくとも5血糖上昇指数単位だけ低下させるのに有効な量で食物繊維混合物を含む組成物を、消費前に食品に加える工程を包含し、この繊維混合物が、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む。一実施形態では、この組成物は、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む。
【0016】
別の局面において、本発明は、血糖の不安定性(glycemic volatility)を低減する必要のある被験体における、血糖の不安定性の低減方法を提供し、この方法は、その必要のある被験体に、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む組成物を投与する工程を包含する。一部の実施形態において、この組成物は、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約9%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む。一実施形態では、この組成物は、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む。一部の実施形態において、本発明のこの局面は、(a)被験体のベースラインの血糖の不安定性を求めるために、連続的グルコースモニタリングシステムを用いて、指定された時間、被験体を測定する工程と、(b)約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む有効投与量の繊維混合物を、工程(a)において測定されたベースラインの血糖の不安定性と比較して、被験体の血糖の不安定性を低減するのに有効な期間、被験体に投与する工程とを含む。
【0017】
別の局面において、本発明は、食物繊維組成物の製造方法を提供し、この方法は、(a)約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを混合する工程と、(b)約20%〜約70%の脂質またはその混合物を加え、混合して、食物繊維組成物を生成する工程とを包含する。一部の実施形態において、この方法は、工程(b)の前に、工程(a)の混合物を顆粒化する工程をさらに包含する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、実施例2に記載するように、異なる可溶性繊維源および粘性繊維混合物(VFB)の、50g経口グルコース負荷への血糖応答に対する効果を図示している。
【図2A】図2Aは、実施例2に記載するように、VFBクッキーを含む試験朝食が与えられた被験体における、0週目および3週目の、各食事および就寝前の軽食の前の主観的食欲評価の比較を提供する。データは、平均±SDとして表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【図2B】図2Bは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被験体における、0週目および3週目の、各食事および就寝前の軽食の前の主観的食欲評価の比較を提供する。データは、平均±SDとして表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【図3A】図3Aは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被験体および試験朝食が与えられた被験体における、この調査の開始時に測定した場合の急性食後グルコース応答をグラフにより図示している。
【図3B】図3Bは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被験体および試験朝食が与えられた被験体における、この調査の3週間目に測定した場合の急性食後グルコース応答をグラフにより図示している。
【図3C】図3Cは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被験体および試験朝食が与えられた被験体における、この調査の開始時に測定した場合の食後インシュリン応答をグラフにより図示している。
【図3D】図3Dは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被験体および試験朝食が与えられた被験体における、この調査の3週間目に測定した場合の食後インシュリン応答をグラフにより図示している。
【図4】図4は、実施例2に記載するように、0週目および3週目の食後グルコース応答についての曲線下面積を、コントロールおよびVFBについて示している。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【図5】図5は、実施例2に記載するように、0週目および3週目の食後インシュリン応答についての曲線下面積を、コントロールおよびVFBについて示している。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【図6】図6は、実施例2に記載するように、3週間にわたり試験朝食を消費した被験体における体脂肪率(%)の変化を、コントロール朝食を消費した被験体と比較して、グラフにより図示している。
【図7】図7は、実施例8に記載するように、蒸留水中の種々の繊維混合物の時間経過による粘度プロフィールをグラフにより図示している。
【図8】図8は、実施例8に記載するように、胃条件下の種々の繊維混合物の時間経過による粘度プロフィールをグラフにより図示している。
【図9】図9は、実施例8に記載するように、腸条件下の種々の繊維混合物の時間経過による粘度プロフィールをグラフにより図示している。
【図10】図10Aは、実施例11に記述される、固形食(白パン)、白パンおよびVFB100、または白パンおよびVFB300で複数の被験体を処置した後の、血中グルコースの漸進的変化をグラフで示す図である。図10Bは、実施例11に記述される、図10Aで示したパン治療薬で複数の被験体を処置した後の、食後血中グルコースの増分曲線下面積(incremental area under the curve)(IAUC)をグラフで示す図である。
【図11】図11Aは、実施例11に記述される、グルコース飲料コントロール、グルコース飲料およびVFB100、またはグルコース飲料およびVFB300で複数の被験体を処置した後の、血中グルコースの漸進的変化をグラフで示す図である。図11Bは、実施例11に記述される、図11Aで示したグルコース飲料処置で複数の被験体を処置した後の、食後血中グルコースの増分曲線下面積(IAUC)をグラフで示す図である。
【図12】実施例12に記述される、グルコース飲料、または漸増用量(2.5、5.0、7.5g)のVFBを含有する白パンで消費した後の、血糖上昇指数(GI)の変化をグラフで示す図である。
【図13】平均±SEMで表した、有効炭水化物約50g当たりVFBを5.0g含む、または含まない各試験食ごとの血糖上昇指数を、グラフで示す図である。図13に示されるように、VFBをコーンフレーク、米、ターキーディナー(Turkey Dinner)、またはヨーグルトに添加することにより、食事のGIがそれぞれ26%、45%、24%、および9%低下した。実施例13に記述される、VFBを添加したときのコーンフレークおよび米の食事のGIで観察されたパーセントの低下は、統計的に有意であった(p<0.00001)。
【図14】平均±SEMで表した、VFBを含む、または含まない各試験食ごとの血糖上昇指数を、グラフで示す図である。図14に示されるように、VFBを添加すると、全てのグラノーラの血糖上昇指数が低下し、実施例14に記述されるように、使用したグラノーラの種類とは無関係に、統計的に有意な低下が観察された(p<0.0001)。
【図15】24時間にわたり、肥満でも糖尿病でもない被験体の通常の血糖の不安定性を測定する、代表的な連続的グルコースモニタリングシステム(CGMS)グラフを示す。
【図16A】VFBで処置する前に24時間にわたり測定された、肥満であるが糖尿病ではない被験体(ID:10)のCGMSグラフを示す(ベースライン)。
【図16B】VFBを5週間消化した後の(10〜15g/日)、図16Aに示される被験体(ID:10)のCGMSグラフを示す。
【図17A】VFBで処置する前に、24時間にわたり測定された、糖尿病ではない被験体(ID:90)のCGMSグラフを示す(ベースライン)。
【図17B】VFBを5週間消化した後の(10〜15g/日)、図17Aに示されるものと同じ被験体(ID:90)のCGMSグラフを示す。
【図18A】VFBで処置する前に、24時間にわたり測定された、糖尿病ではない被験体(ID:20)のCGMSグラフを示す(ベースライン)。
【図18B】VFBを5週間消化した後の(10〜15g/日)、図18Aに示されるものと同じ被験体(ID:20)のCGMSグラフを示す。
【図19A】低血糖上昇指数食で処置する前の、肥満であるが糖尿病ではない被験体(ID:1098)の24時間にわたるCGMSグラフを示す(ベースライン)。
【図19B】低血糖上昇指数食を6カ月間与えた後の、(図19Aに示されるものと同じ肥満であるが糖尿病ではない被験体の)24時間にわたるCGMSグラフを示す。
【図19C】低血糖上昇指数食で処置する前の糖尿病ではない被験体(ID:1146)の、24時間にわたるCGMSグラフを示す(ベースライン)。
【図19D】低血糖上昇指数食を6カ月間与えた後の、(図19Cに示されるものと同じ肥満であるが糖尿病ではない被験体の)24時間にわたるCGMSグラフを示す。
【図20A】VFBで処置する前の、インシュリンを受けている肥満かつ糖尿病である被験体(ID:60)の24時間にわたるCGMSグラフを示す。
【図20B】4週間VFBで処置した後の(10〜15g/日)、図20Aに示されるものと同じ糖尿病の被験体の24時間にわたるCGMSグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の前記局面および多くの附帯利益は、以下の詳細な説明を参照してより良く把握され、添付図面と関連させて理解される場合、より容易に認識される。
【0020】
(詳細な説明)
一局面において、本発明は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む食物繊維組成物を提供する。本明細書中で使用される場合、「グルコマンナン」は、β−(1,4)結合D−マンノース残基とβ−(1,4)結合D−グルコース残基とを約3:1の比率で含み、更に種々のα結合ガラクトース末端基を含む、水溶性食物繊維をいう。グルコマンナンは、最も一般的には、コンニャクの根(Amorphophallus konjac)から単離されるが、他の植物源からも単離され得る。市販されているグルコマンナンは、代表的に最大約10%(w/w)の水を含む。「キサンタンガム」は、グルコース、マンノース、グルクロン酸カリウムまたはグルクロン酸ナトリウム、アセテート、ピルベートを含む複合多糖類をいう。市販されているキサンタンガムは、代表的に最大約13%(w/w)の水を含む。「アルギナート」は、マンヌロン酸およびグルロン酸の混合重合体をいう。市販されているアルギン酸ナトリウムは、代表的に最大約15%(w/w)の水を含む。
【0021】
本発明の食物繊維組成物は、有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。本明細書中で使用される場合、「有効量」は、所望の粘度を生じさせる量をいう。有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートは、合わせた場合に所望の粘度を生じさせるこれらの成分の各々の比例した量である。食物繊維組成物の有効量は、摂取された場合に所望の粘度を生じさせる組成物量である。食物組成物中のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートの割合は、一般的に、口当たりの良い初期粘度を有するが、15分〜60分間にわたって粘度を実質的に上昇させ、胃条件下または腸条件下で粘度を維持するかまたは上昇させる繊維混合物を生じさせるように選択される。本明細書中で使用される場合、用語「口当たりの良い初期粘度」は、約1センチポアズ〜約3000センチポアズのある範囲の粘度をいう。約3000センチポアズよりも大きな粘度を有する液体は、摂取するのが困難であり、したがって、口当たりが良くないと考えられる。本明細書中で使用される場合、「初期粘度」は、約4℃と約25℃との間(例えば、約16℃と25℃との間)の温度または同等な条件での、100倍(w/w)過剰な水中の食物組成物の粘度をいう。「胃条件下の粘度」は、約16℃と約25℃との間の温度または同等な条件での、70倍(w/w)過剰な胃液体中の食物組成物の粘度をいう。「胃液体」は、7.0mLのHClおよび全体を100mLとするのに十分な水に2.0gのNaClと3.2gのペプシンとを溶解することにより作製される約1.2のpHを有する溶液をいう(米国薬局方参照)。胃条件は、10滴のリン酸を200gの蒸留水に加えることにより模擬され得る。「腸条件下の粘度」は、約16℃と約25℃との間の温度または同等な条件での、70倍(w/w)過剰な模擬腸液体中の食物組成物の粘度をいう。「模擬腸液体」は、以下の通りに作製される約7.5と約8.0との間のpHを有する溶液をいう:6.8gの一塩基リン酸カリウムを250mLの水に溶解し、混合する。190mLの0.2N NaOHと400mLの水とを加える。これに続いて、10.0gのパンクレアチンを加え、混合し、0.2N NaOHを用いてこの溶液のpHを7.5±0.1に調整し、水で希釈して1000mLにする(米国薬局方参照)。
【0022】
一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、約1センチポアズ(cps)と約3000cpsとの間(例えば、約200cps〜約1000cpsまたは約400cps〜約1000cps)の初期粘度を有する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、胃条件下で約30分後に、約600cpsと約5000cpsとの間(例えば、約1000cps〜約5000cpsまたは約1000cps〜約3000cps)の粘度を有する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、腸条件下で約30分後に、約1500cpsと約8000cpsとの間(例えば、約2000cps〜約6000cpsまたは約2500cps〜約6000cps)の粘度を有する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、約1センチポアズ〜約3000センチポアズの初期粘度を生じさせ、実施例1に記載するように、哺乳動物被験体による摂食後15分以内に、少なくとも3倍の粘度上昇を生じさせるための有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。
【0023】
上記食物繊維組成物中のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートの割合は、グルコマンナンが約48%〜約90%(例えば、約60%〜約80%、または約60%〜約90%、または65%〜約75%、または約50%〜約80%、または約50%〜約70%、または約70%)、キサンタンガムが約5%〜約20%(例えば、約10%〜約20%、または約11%〜約13%、または約13%〜約17%、または約13%、または約17%)、そして、アルギナートが約5%〜約30%(例えば、約10%〜約20%、または約13%〜約17%、または約13%、または約17%)であり得る。一部の実施形態において、食物組成物中のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートの割合は、実施例1および8に記載するように、グルコマンナンが約70%、キサンタンガムが約13%〜約17%、そして、アルギナートが約13%〜約17%である。
【0024】
一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、顆粒化される。本明細書中で使用される場合、「顆粒化」は、小さな粒子を集めてより大きく恒久的な凝集体にする任意の造粒プロセスをいう。顆粒化は、混合装置での攪拌によるか、圧縮、押し出し成形または球状化により達成され得る。食物繊維組成物は、種々のメッシュサイズを用いて顆粒化され得る。用語「メッシュ」は、規定された大きさの穴を有する篩を通過する能力により決定される粒子サイズをいう。本明細書中で使用されるメッシュサイズは、Chemical Engineers’Handbook(第5版、Perry & Chilton編著)の表21−12に提示されるような、Tyler相当量(Tyler equivalent)である。実施例1に示すように、食物繊維組成物の顆粒化が大きいほど(すなわち、メッシュサイズが小さいほど)、所望の粘度が達成されるのに長い時間を費やす。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、顆粒化された物質をそれらの粒径により分け、次いで粒径で分けられた顆粒を所望の粘度プロフィールを与えるように再び組み合わせることにより、組み合わせたメッシュサイズを用いて顆粒化される。例えば、30〜60の組み合わせメッシュサイズは、30メッシュ(約600ミクロン)の顆粒と、約40メッシュ(約400ミクロン)の顆粒と、約60メッシュ(250ミクロン)の顆粒とを組み合わせることにより得られる。
【0025】
本発明の食物繊維組成物は、経口組成物の製造に関する当該技術分野において公知の任意の方法に従って、経口使用に適した形態で調製される。例えば、上記食物繊維組成物は、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、水性懸濁剤もしくは油性懸濁剤、散布可能/調剤可能粉末もしくは顆粒剤(例えば、食品上に振り掛け得る粉末および顆粒剤)、乳剤、硬カプセル剤もしくは軟カプセル剤、シロップ剤、エリキシル剤もしくは腸用処方物、または徐放性組成物として調製され得る。経口消費用には、上記食物組成物は、食物または飲料に加えられ得る。例えば、粉末形態の食物組成物は、経口摂取可能な液体と混合されて水性飲料を形成し得、または焼く前のクッキー生地と混合され得る。典型的な食物繊維組成物の処方物は、1カプセルに約500mgの食物繊維組成物を含む、硬ゼラチンカプセル剤である。
【0026】
本発明の食物繊維組成物は、更なる成分を更に含み得る。例えば、上記食物繊維組成物は、ステアリン酸マグネシウム、米粉、キシリトール、レシチン、中鎖トリグリセリド、香料、ステビアおよび/またはシロイド(syloid)シリカを更に含み得る。典型的な食物組成物は、約48%(w/w)のグルコマンナン、約11%(w/w)のキサンタンガム、約9%(w/w)のアルギナート、約31%(w/w)の米粉、および約1%(w/w)のステアリン酸マグネシウムを含む。典型的な食物繊維組成物は、実施例1、4および5に記載される。
【0027】
一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、クワの抽出物を含み得る。クワの葉は、低血糖症に対する治療効果を有することが示された(例えば、Clin.Chim.Acta 314(1−2):47−53参照)。したがって、クワの抽出物の添加は、血糖レベルの調節における食物繊維組成物の効果を高め得る。しかしながら、クワの抽出物の添加は、組成物中の食物繊維の濃度を薄め、組成物全体の粘度を低下させる。したがって、一部の実施形態において、本発明の食物繊維組成物は、クワの抽出物を含まないか、または3.5%未満のクワの抽出物を含む。
【0028】
本発明の食物繊維組成物は、食前、食事中または食後に消費され得る。本発明の食物繊維組成物は、胃腸管中に高粘度を供給することにより空腹を制御し、満腹感を誘発する。この繊維混合物は、胃の酸性条件下でも腸のアルカリ性条件下でも高粘度を維持する。本発明の食物繊維組成物は、血中グルコースレベルを低下させることにより、糖尿病状態の管理を更に助ける。
【0029】
本発明の別の局面は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む、有効量の食物繊維組成物を含む食品を提供する。本発明の食品は、栄養補助食品または代替食品であり得る。一部の実施形態において、上記食品は、シェークまたはスムージーとして提供される。典型的に、本発明の食品は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む、約2%〜約30%(例えば、約2%〜約20%、または約5%〜約15%、または約2%〜約10%)の食物繊維組成物を含む。典型的に、上記食品は、一食当たり、約2グラムと約15グラムとの間(例えば、一食当たり、約3グラムと8グラムとの間、または約3グラムと約6グラムとの間)の食物繊維を含む。一部の実施形態において、本発明の食品は、実施例3および7に記載されるように、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む、約9%(w/w)の食物繊維組成物を含む。
【0030】
本発明の食品は、更なる成分(例えば、タンパク質もしくはアミノ酸、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルおよび補因子、天然もしくは人工の香料、色素もしくは他の着色添加剤、ならびに保存剤)を更に含み得る。用語「ビタミン」は、チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、パントテン酸、ピリドキシン、ビオチン、葉酸、ビタミンB12、リポ酸、アスコルビン酸、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEおよびビタミンKが挙げられるが、これらに限定されない。また、用語「ビタミン」には、補因子および補酵素(例えば、チアミンピロリン酸(TPP)、フラビンモノヌクレオチド(FMM)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、コエンザイムA(CoA)、ピリドキサルリン酸、ビオシチン、テトラヒドロ葉酸、コエンザイムB12、リポイルリシン、11−cis−レチナール、および1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロールを含む補酵素)も含まれる。用語「ビタミン」はまた、コリン、カルニチン、αカロチン、βカロチンおよびγカロチンを含む。用語「ミネラル」は、ヒトの食事に必要とされる無機物、金属等をいい、カルシウム、鉄、亜鉛、セレン、銅、ヨウ素、マグネシウム、リン、クロム、マンガン、カリウム等、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。上記ミネラルは、塩、酸化物またはキレート塩の形態であり得る。
【0031】
着色剤としては、二酸化チタンおよび食物に適した色素(例えば、FD&C色素として公知の色素)、ならびに天然着色剤(例えば、ブドウの皮の抽出物、ビートレッド粉末(beet red powder)、βカロチン、アナトー、カルミン、ターメリック(tumeric)、クロロフィルおよびパプリカ)が挙げられるが、これらに限定されない。使用される着色剤の量は、色の彩度に応じ、乾燥重量で組成物全体のうち、約0.0%〜約3.5%の範囲であり得る。
【0032】
組成物中に含まれる香料は、合成香油、香料用芳香剤および/または天然油、植物、葉、花および果実からの抽出物、ならびにそれらの組み合わせより選択され得る。これらの香料としては、桂皮油、ウインターグリーン油、ペパーミント油、チョウジ油、月桂樹油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ニクズク油、セージ油、柑橘類果実(レモンおよびオレンジを含むが、これらに限定されない)の油、苦扁桃油およびカッシア油が挙げられるが、これらに限定されない。適切な香料としては、バニラ、チョコレート、モカ、コーヒー、アイスクリーム、柑橘類(レモン、オレンジ、ブドウ、ライムおよびグレープフルーツを含む)、リンゴ、西洋ナシ、モモ、マンゴー、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップルおよびアプリコットが挙げられるが、これらに限定されない。香料の量は、多数の要因(望ましい感覚器刺激効果を含む)に依存し得る。香料は、組成物の乾燥重量を基準として、約0%〜約10.0%の乾燥重量の範囲で存在し得る。典型的な本発明の食品は、実施例2、3および7に提供される。
【0033】
一部の実施形態において、本発明の食品は、ビルベリーの抽出物、ルテインおよび/またはタウリンを含まない。本発明の一部の実施形態は、28g未満のホエイタンパク質または8.9g未満のフルクトースを含む食品を提供する。本発明の一部の実施形態は、0.9gより多くの中鎖トリグリセリドを含む食品を提供する。
【0034】
更なる局面において、本発明は、食物繊維組成物を調製するための方法および食物繊維組成物を含む食品を調製する方法を提供する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物を調製する方法は、約1センチポアズ〜約3000センチポアズの初期粘度を生じさせ、摂食後15分以内に少なくとも3倍の粘度の増大を生じさせるための、有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを合わせる工程を包含する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物を調製する方法は、食物繊維組成物を顆粒化する工程を更に包含する。
【0035】
一部の実施形態において、上記食物繊維組成物を含む食品を調製する方法は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む有効量の食物繊維組成物を食品に加える工程を包含する。本発明の食品は、一日に一回または数回、消費され得る。
【0036】
別の局面において、本発明は、グルコマンナンを含む食物繊維組成物の初期粘度を低減する方法を提供する。一部の実施形態において、上記方法は、グルコマンナンを含む食物繊維組成物を顆粒化して、低減させた粘度を有する組成物を生成する工程を包含する。一部の実施形態において、上記食物繊維は、キサンタンガムおよび/またはアルギナートを更に含む。一部の実施形態において、上記方法は、組成物の初期粘度を低減させながらも、時間の経過により(例えば、約120分間後に)組成物の粘度を増大させるのに有効な量のアルギナートを、グルコマンナンを含む組成物に加える工程を包含する。
【0037】
本発明の更に別の局面は、哺乳動物において、飽満を促進する、体重減少を促進する、血中グルコースレベルを低下させる、または血中コレステロールレベルを低下させるための方法を提供する。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において飽満を促進するのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において体重減少を促進するのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において血中グルコースレベルを低下させるのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において血中コレステロールレベルを低下させるのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。
【0038】
本発明の方法における使用のための典型的な食物繊維組成物は、上述の通りである。食物繊維組成物は、任意の形態で投与され得る。例えば、それらの食物繊維組成物は、カプセル剤として投与され得るか、または食品に含めて投与され得る。
【0039】
典型的な本発明の方法は、実施例2および3に記載されている。実施例2および3に示されるように、本発明の方法は、インシュリン感受性の顕著な増大を生じさせ、体脂肪を減少させ、そして飽満および体重減少を促進する。
【0040】
別の局面において、本発明は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物、ならびに少なくとも1種の脂質またはその混合物を含む食物繊維組成物であって、この脂質またはその混合物が、食物繊維組成物の少なくとも20% w/wを構成する食物繊維組成物を提供する。
【0041】
実施例9および10、ならびに表28〜31に記載されているように、本発明の種々の実施形態の食物繊維組成物への脂質またはその混合物の添加は、水中での繊維混合物の粘性作用を遅らせるのに有効であり、これは、被験体における経口投与の間の窒息を防止するのに有用でありながら、胃条件(消費後のインビボ条件)下で短時間内に高粘度にさせる。
【0042】
約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物は上述されている。
【0043】
本発明のこの実施形態によって使用される場合、脂質は、アルコールに溶解するが、水に溶解しない物質(例えば、脂肪、油、またはワックス)として定義される。本明細書中で使用される場合、用語「脂肪」および「油」は、互換的に使用され、脂肪酸を含む。
【0044】
一部の実施形態において、組成物における使用のための脂質は、乳製品の脂肪(例えば、乳脂肪、バター脂肪)、動物性脂肪(例えば、ラード)、または植物性脂肪(例えば、ヤシ油、カカオバター、もしくはパーム油)からなる群から選択される脂肪を含む。
【0045】
一部の実施形態において、組成物における使用のための脂質は、食用油または油の混合物を含む。そのような油として、植物油(例えば、キャノーラ油、ダイズ油、パーム核油、オリーブ油、サフラワー油、ヒマワリ種子油、亜麻仁(flaxseed)(亜麻仁(linseed))油、トウモロコシ油、綿実油、ラッカセイ油、クルミ油、扁桃油、ブドウ種子油、月見草油、ヤシ油、ルリヂサ油およびクロフサスグリ油);海産油(例えば、魚油および魚肝油)、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
一部の実施形態において、組成物における使用のための脂質は、中鎖トリグリセリドを含む油(例えば、ヤシ油、パーム核油およびバター、または精製形態での中鎖トリグリセリド)を含む。
【0047】
一部の実施形態において、食物繊維組成物は、組成物全体のうち、約0.01%〜約80%(w/w/)の範囲の食物繊維混合物(VFB)の量、および20%〜約99.99%(w/w)の範囲の脂質の量を含む。例えば、ある特定の実施形態では、VFBと脂質の比は、(重量対重量比で)5:95;10:90;20:80;30:70;40:60;50:50;60:40;70:30;または80:20を含む。
【0048】
一部の実施形態において、食物繊維組成物における使用のための食物繊維混合物は、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む。
【0049】
一部の実施形態において、食物繊維組成物における使用のための食物繊維混合物は、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む。
【0050】
一部の実施形態において、食物繊維組成物における使用のための食物繊維混合物は、約70%(w/w)のグルコマンナン、約13%〜約17%(w/w)のキサンタンガム、および約13%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む。
【0051】
一特定の実施形態では、食物繊維組成物は、53:47(w/w)の比で、70%のグルコマンナン、13%のキサンタンおよび17%のアルギナートを含む食物繊維混合物(VFB)と、中鎖トリグリセリド(MCT)とを含む。
【0052】
一部の実施形態において、食物繊維組成物は、実施例9に記載されているように、ゼラチン、グリセリン、および水の組み合わせを含む外側のソフトゼラチンカプセルをさらに含む。
【0053】
約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物、ならびに少なくとも1種の脂質またはその混合物を含む食物繊維組成物は、本明細書に記載される方法を使用して繊維混合物を最初に生成し、続いて油(またはその混合物)を加え、繊維混合物と油を混合することによって製造され得る。食物繊維組成物の典型的な生成方法は、実施例9に記載されている。
【0054】
本明細書中で記載されているように、種々の実施形態の食物繊維混合物は、液体または固体で食品に含めることができ、低下した血糖上昇指数の食品をもたらす。実施例11〜14、および図12〜14に記載されているように、食物繊維組成物の利点は、種々の種類の食物(限定することなく、食物繊維組成物と混合された飲料、グラノーラ、パン、米、ヨーグルト、コーンフレーク、シチメンチョウ、マーガリン、乳を含む)において実現される。実施例13に記載されているように、食物繊維混合物の添加は、試験されたすべて試験食事の血糖上昇指数を低下させた。例えば、コーンフレーク、米、シチメンチョウ、またはヨーグルトへの食物繊維混合物の添加は、試験された種々の食物の口当たりの良さを低下させることなく、それぞれ26%、45%、24%、および9%の、食事の血糖上昇指数の低下をもたらした。
【0055】
前述によれば、別の局面において、本発明は、食品の有効炭水化物50g当たり2.5g〜7.5gの食物繊維混合物を含み、この食物繊維混合物は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む食品を提供する。
【0056】
食物繊維混合物は、任意の種類の食品(固形、流動、または半固形食品を含む)と組み合わせられ得る。典型的な固形食品として、それだけに限らないが、穀物(例えば、米、シリアル(ホットまたはコールド))、グラノーラ、オートミール、焼いた食品(パン、クッキー、マフィン、ケーキ等)、パスタ(米または他の穀物で作製された麺類を含む);肉(例えば、家禽肉、牛肉、豚肉、魚肉)、乳製品(例えば、乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、バター、およびマーガリン)が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な流動または半流動食品として、食事代替飲料、果汁、スープ(乾燥スープミックスを含む)、栄養補助食品、およびスムージーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
食物繊維混合物は、任意の適切な方法を使用して、消費前に食品に加えられ得る。例えば、食物繊維混合物は、焼いて食品にするか、食品と混合するか、食品上に散在させることができる。
【0058】
別の局面において、本発明は、血糖の不安定性を低減する必要のある被験体における、血糖の不安定性の低減方法であって、その必要のある被験体に、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を投与する工程を包含する方法を提供する。
【0059】
血糖の不安定性は、被験体において経時的に測定された場合の、血糖偏倚の頻度の増大、血糖の増減の急速な性質、および血糖の不安定性の増大としての理想的な血糖レベルを超えて費やされる時間の量(低い血糖の不安定性を有する正常な被験体と比較して)を総合したものをいう。血糖の不安定性は、市販の連続的グルコースモニタリングシステム(例えば、CGMS MiniMed、Medtronic,Inc.)を使用して測定され得る。
【0060】
図15に示されるように、正常なヒト被験体(肥満でも糖尿病でもない)における血中グルコースレベルは、70mmol/Lと120mmol/Lとの間であり、血糖の不安定性は低い(24時間にわたる平均からほんのわずかな変動)。対照的に、実施例16で実証されるように、過体重の被験体(25〜30のBMIに基づく)、および肥満の被験体(30を超えるBMIに基づく)は、血糖の不安定性の増大を示す(正常な被験体と比較して)。図16A、17A、および18Aに示されるように、3つの異なる肥満の被験体のベースラインの血糖の不安定性は、120mmol/Lを超えるピーク血中グルコースレベルを有する。実施例16に記載され、図16B、17Bおよび18Bに例示されるように、本発明者らは、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む食物繊維混合物(VFB)を用いた、増大した血糖の不安定性を有する肥満の被験体の処置は、処置前のベースラインの血糖の不安定性と比較して、肥満の被験体の血糖の不安定性を低減するのに有効であることを発見した。例えば、図16B、図17Bおよび図18Bに示されるように、少なくとも4週間(例えば、少なくとも5週間または少なくとも6週間)にわたる、1日当たり5g〜15gのVFBを用いた処置後に、血糖の不安定性は低減され、ピークグルコースレベルは、120mmol/L未満に低下した。実施例16にさらに記載されているように、VFBは、意外にも有効であり、低血糖上昇指数飲食物より優れていることが判明した。
【0061】
血糖の不安定性(GV)は、以下の式によって記述され得る:
【0062】
【数1】
(式中、
Biは、CGMSによって、任意の所与の時点で測定された血中グルコースレベルであり、
tiは、Biが測定される時間であり、
tは、血中グルコースレベルがCGMSによって測定される間の合計時間であり、
BLは、正常な被験体における最低正常血中グルコースレベルであり、これはほとんどの場合、70mmol/Lであり、
BUは、正常な被験体における最高正常血中グルコースレベルであり、これはほとんどの場合、120mmol/Lである)。
【0063】
上記に示されたGv1の式(式1)は、CGMSグラフの勾配を記述し、所与の時間わたる、被験体における血中グルコースの変動の速度および頻度の尺度を提供する。Gv1値の増加は、被験体における血糖の不安定性の増大を示す。本方法の一部の実施形態において、Gv1は、Gv1基準値を得るために、1つまたは複数の正常な個体(糖尿病でなく、正常な体重)について計算することができ、このGv1基準値は、試験被験体からのGv1値と比較することができ、基準値からの参照Gv1値と比較した場合に増加した、試験被験体からのGv1値は、試験被験体における血糖の不安定性の増大を示す。
【0064】
上記に示されたGv2式(式2)は、所与の時間にわたるCGMSグラフにおける、正常範囲外の血中グルコース変動(例えば、120mmol/L超、および70mmol/L未満)の規模の尺度である。Gv2値の増加は、血糖の不安定性の増大を示す。本方法の一部の実施形態において、Gv2は、Gv2基準値を得るために、1つまたは複数の正常な個体(糖尿病でなく、正常な体重)について計算することができ、このGv2基準値は、試験被験体からのGv2値と比較することができ、参照Gv2値と比較した場合に増加した、試験被験体からのGv2値は、試験被験体における血糖の不安定性の増大を示す。
【0065】
一部の実施形態において、本発明のこの局面は、(a)被験体のベースラインのグリコールの不安定性を求めるために、連続的グルコースモニタリングシステムを用いて、指定された時間被験体を測定する工程と、(b)約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む有効投与量の繊維混合物を、工程(a)において測定されたベースラインのグリコールの不安定性と比較して、被験体のグリコールの不安定性を低減するのに有効な期間、被験体に投与する工程とを含む。ベースラインのグリコールの不安定性の測定値は、連続的グルコースモニタリングシステムを使用し、上述したようなGO式(式1および/または式2)を使用して求められ得る。
【0066】
連続的グルコースモニタリングシステムは、グリコールの不安定性を求めるのに十分な指定された時間(例えば、少なくとも12時間、少なくとも15時間、少なくとも24時間、またはそれ以上)使用され得る。繊維混合物を用いた処置後の被験体のグリコールの不安定性も、連続的グルコースモニタリングシステムを使用し、上述したようなGO式(式1および/または式2)を使用して求められ得る。
【0067】
一部の実施形態において、繊維混合物の投与量は、1日当たり少なくとも5.0g〜15.0gのVFB、またはそれ以上(例えば、1日当たり10.0〜15.0gのVFB(例えば、5.0g/日、6.0g/日、7.0g/日、8.0g/日、9.0g/日、10.0g/日、11.0g/日、12.0g/日、13.0g/日、14.0g/日、または15.0g/日))である。繊維混合物は、本明細書に記載されているように、液体中に撹拌された粉末として、カプセル剤で、または食品中に散在させるか、焼くか、もしくは混合して投与することができる。
【0068】
本発明のこの局面の方法によれば、VFBの投与は、一般に、少なくとも4週間(例えば、少なくとも5週間、少なくとも6週間、またはそれ以上)施される。
【0069】
一部の実施形態において、食物繊維混合物は、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む。
【0070】
一部の実施形態において、食物繊維混合物は、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む。
【0071】
一部の実施形態において、食物繊維混合物は、約70%(w/w)のグルコマンナン、約13%〜約17%(w/w)のキサンタンガム、および約13%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む。
【0072】
一部の実施形態において、食物繊維混合物は、少なくとも1種の脂質またはその混合物をさらに含み、この脂質またはその混合物は、食物繊維組成物全体の少なくとも20%を構成する。
【0073】
一特定の実施形態では、食物繊維混合物は、53:47(w/w)の比で、70%のグルコマンナン、13%のキサンタンおよび17%のアルギナートと、中鎖トリグリセリド(MET)とを含む。
【0074】
本明細書中で使用される場合、用語「その必要のある被験体」は、同種の正常な(糖尿病でも、肥満でも、過体重でもない)被験体と比較して、グリコールの不安定性が増大した任意の哺乳動物被験体をいい、例えば、過体重の糖尿病ではない被験体(25〜30のBMIに基づく)、肥満であるが糖尿病ではない被験体(30を越えるBMIに基づく)、II型糖尿病の被験体が挙げられる。
【0075】
一部の実施形態において、本発明のこの局面の方法は、120mol/Lを越えるピークグルコースレベルを伴うベースラインのグリコールの不安定性を有する、肥満であるが糖尿病ではない被験体を処置するのに使用することができ、繊維混合物を用いた処置は、実施例16に記載され、図16A〜18Bに示されるように、グリコールの不安定性を、120mol/L未満のピークグルコースレベルに低減する。
【0076】
一部の実施形態において、本発明のこの局面の方法は、220mol/Lを越えるピークグルコースレベルを伴うベースラインのグリコールの不安定性を有する糖尿病かつ肥満である被験体を処置するのに使用することができ、繊維混合物を用いた処置は、実施例16に記載し、図20Aおよび20Bに示すように、グリコールの不安定性を、220mol/L未満のピークグルコースレベルに低減する。
【0077】
以下の実施例は、上記で熟慮された本発明を実施するための最良の形態を単に例示しているに過ぎず、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0078】
(実施例1)
この実施例は、胃腸条件下で所望の粘性プロフィールを提供する、粘性繊維混合物(VFB)と呼ばれる典型的な食物繊維組成物中の繊維の選択について記述する。
【0079】
VFBの配合において、主な目的は、30〜60分間にわたって実質的に粘度を増大し得る繊維混合物を、生成することであった。口当たりの良さを高めるには、繊維混合物の初期粘度をより薄くし、かつ繊維混合物の最大濃度を被験体の胃および腸にもたらすことが望ましい。したがって、繊維の選択では、混合物は、胃(酸性)および腸の両方の条件下で粘度を維持し、またはより望ましくは増大させなければならなかった。消化器系のこのポイントで高粘度であると、満腹感をもたらす可能性があり、炭水化物吸収を変調させることによって血糖値の制御に役立てることもできる。
【0080】
表1は、別々に試験をした種々の繊維:ガラクトマンナン(コロハからの純度80%よりも高い、Faunlike製)、グルコマンナン(コンニャク根からの純度80%よりも高い)、グアーガム(Cyanosis tetragonolobaの、商業的に供給されたガラクトマンナン抽出物)、キサンタンガム(商業的に供給された、Xanthomonas bacteriaからの細胞外ヘテロ多糖)、アルギナート(商業的に供給された、Ascophyllum nodosumからの中粘度アルギン酸ナトリウム)、および商用の繊維(Vuksan博士から供給されかつ米国特許出願公開第2005/0020535号に記載されている、グルコマンナン69%、キサンタン17%、カラゲナン9%、およびグアー8%からなる)の粘度を示す。各繊維組成物2gを、水200gと混合した。粘度測定値(単位:センチポアズ)を、数回の間隔を空けて記録した。
【0081】
【表1】
アルギナートおよびガラクトマンナンの粘度が最も小さかった。キサンタンガムおよびグァーガムは、ほぼ即時にそれらの最も濃い状態に達した。グルコマンナンは、時間の経過により相当な粘度の増大を見せた。しかしながら、本発明者らの目的に対しては濃すぎると思われたため、本発明者らは、他の粘性繊維と組み合わせたグルコマンナンがどのように反応するかを分析した。組み合わせた繊維混合物についての粘度結果を、表2に示す。
【0082】
【表2】
アルギナート、キサンタンガムおよびガラクトマンナンは、グルコマンナンとの組み合わせにおいて強い低粘稠化作用を有した。即時に最大粘度に達したキサンタンの特性は、グルコマンナンと組み合わせた場合にも引き継がれた。この混合物に関する欠点は、初期粘度が濃すぎ、時間の経過により濃くなり続けなかったことである。アルギナートとグルコマンナンとの混合物は、時間の経過により濃くなり続けた点で、グルコマンナンの特性を維持した。しかしながら、初期粘度が少し薄すぎ、濃くなるのが急速すぎた。グァーガムとアルギナートとの混合物は、適当な粘度を生じなかった。
【0083】
これらの結果から、グルコマンナンが、その高粘度特性により、繊維混合物にとって望ましい成分であると判断した。グルコマンナンは、口当たりの良さを高める非常に滑らかなテクスチャも有していた。アルギナートは、グルコマンナンの強い粘稠化特性を緩和するのを助け、また、摂取の初期段階の間、更に口当たりの良い粘度を達成した。キサンタンガムは、グルコマンナンを抑制し、粘度試験の終わりに近づくと(30分〜60分)グルコマンナンを弱めたと思われる唯一の繊維であったため、キサンタンガムもまた、混合物の成分として選択された。グァーガムおよびガラクトマンナンは、VFBの質に寄与する新たな特性を何ら示さず、したがって、それらを繊維混合物の成分として選択しなかった。
【0084】
作製されたVFBの最終組成は、グルコマンナンが48%〜90%、キサンタンガムが5%〜20%およびアルギナートが5%〜30%であった。グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートがこれらの比率で組み合わされてVFBを生成する場合、この組成物を水と混合すると、図7に示され、実施例8に記載されるように、120分後に予想以上に高い粘度値を示す。VFBはまた、胃液と混合すると、図8に示され、実施例8に記載されるように、10分後に予想以上に高い粘度値を生じる。
【0085】
更に低いグルコマンナンの比率では、上記生成物は、所望の濃さに達しない。更に高いキサンタンの比率でも、上記生成物は、所望の濃さに達しなかった。更に低いキサンタンの比率では、上記繊維混合物は、濃くなるのが急速すぎた。アルギナートもまた、生成物の初期段階の間、粘度を低下させることにより、口当たりの良さを高める重要な役割を有した。
【0086】
好ましい実施形態において、60%〜80%のグルコマンナン、10%〜20%のキサンタンガムおよび10%〜20%のアルギナートを含み、前述した所望の特性を有するVFB組成物を生成した。例えば、70%のグルコマンナン、13%のキサンタンガムおよび17%のアルギナートを含み、本明細書中に記載されるような所望の特性を有するVFB組成物を生成した。70%のグルコマンナン、17%のキサンタンガムおよび13%のアルギナートを含み、同様な所望の特性を有する別のVFB組成物を生成した。
【0087】
VFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールを、市販の競合する繊維と比較して、表3に示す。
【0088】
【表3】
スムージー中のVFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールを、スムージー中の市販の競合する繊維と比較して、表4に示す。5グラムの繊維をスムージー混合物(典型的なスムージーの組成については実施例6を参照)に加え、次いで、350gの蒸留水を加えた。
【0089】
【表4】
VFBと市販の繊維との差異の一つは、模擬消化液条件下でどのようにそれらが反応するかである。表5および表6に示されるように、VFBは、胃条件下で濃さを増大させる能力を有する。表5は、10滴のリン酸を含む200gの蒸留水に2gの繊維を加えた場合の、VFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールと市販の繊維の粘度プロフィールとを比較している。
【0090】
【表5】
表6は、スムージー製品中のVFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールと市販の繊維の粘度プロフィールとを、胃条件下で比較している。5gの市販の繊維または4gのVFBをスムージー混合物(典型的なスムージーの組成については実施例6を参照)に加え、次いで、350gの胃液体を加えた。
【0091】
【表6】
表7は、VFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールと市販の繊維の粘度プロフィールとを、腸条件下で比較している。2gの繊維を200gの腸液体に加えた。腸液体を、250mLの水に6.8gの一塩基リン酸カリウムを溶解し、混合し、190mLの0.2N NaOHおよび400mLの水を加えることにより作製した。10.0gのパンクレアチンを加え、続いて混合し、pHを0.2N NaOHでpH7.5±0.1に調節した。この溶液を水で1000mLに希釈した(米国薬局方)。
【0092】
【表7】
表8は、VFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールと市販の繊維の粘度プロフィールとを、腸条件下で比較している。5gの市販の繊維または4gのVFBをスムージー混合物(典型的なスムージーの組成については実施例6を参照)に加え、次いで、350gの腸液体を加えた。
【0093】
【表8】
これらの試験結果は、模擬胃条件下および模擬腸条件下で、VFB繊維混合物が市販の繊維混合物よりも濃くなったことを示しており、VFBが胃中で市販の繊維よりも高い粘度を有し、腸条件下で濃くなり続け得ることを示している。
【0094】
より消費者に訴える製品を作るために、顆粒化したVFBを使用して、摂取の初期段階の間の粘度を更に遅らせた。顆粒化を、VFB混合物への30%〜60%(w/w)の水の添加により達成し、次いで、加えた水を乾燥させて除く。このプロセスを、典型的に、自動造粒機、流動床造粒機/乾燥機、自動凝集機を通じて実施するか、または単純な混合に続き、オーブンもしくは真空乾燥を通じて実施する。
【0095】
非顆粒化VFBは非常に微細であり、水を加えると凝集する傾向がある。非顆粒化VFBは湿気を非常に急速に吸収するため、実際には水が粉末を包み込んでしまう。しかしながら、より大きな顆粒ほど、湿気を含んだ場合に互いに分離したままとなるので、顆粒化VFBはこの問題を避ける。VFB顆粒は徐々に水に溶解するので、スラリーはゆっくりと濃くなる。
【0096】
VFBの適切なメッシュサイズを決定することは、顆粒化プロセスにおいて重要である。30メッシュの粒子は、直径約600ミクロンであり、40メッシュの粒子は、直径約400ミクロンであり、50メッシュの粒子は、直径約300ミクロンであり、60メッシュの粒子は、直径約250ミクロンであり、80メッシュの粒子は、直径約180ミクロンである。顆粒化VFBは粘度の上昇を遅らせるが、それでもなお、満腹感を生じさせ、腸における炭水化物の吸収を遅らせることにより血糖レベルを調節する原因となる所望の濃さまで粘度を上昇させる。表9に示すように、顆粒化が大きいほど(すなわち、メッシュサイズが小さいほど)、粘度の上昇が遅れる。
【0097】
【表9】
30、40および60メッシュサイズの顆粒の1:1:1の組み合わせからなる、30〜60メッシュサイズの組み合わせの顆粒化VFB生成物が望ましい。メッシュを小さくし、その割合が大きくなるほど、粘度の上昇を更に遅らせる。
【0098】
(実施例2)
この実施例は、本発明の典型的な食物繊維組成物(VFB)の消費が、インシュリン感受性の改善および体脂肪の減少をもたらすことを記載している。
【0099】
5%〜10%の体脂肪の減少が、メタボリックシンドロームと関連づけられる危険因子を減少させ得る(KraussらCirculation I(18):2284−99(2000))。一般的な体重減少戦略(例えば、薬理学的処置、低カロリーダイエット(hypocaloric diet)および流行のダイエット)は、食欲を対象とせず、維持することが困難で費用がかかり、肥満と関連づけられる多くの代謝異常および2型糖尿病には取り組まず、上記戦略の継続が一度中断されると、体重の再増加および共存症の再確立をもたらす。
【0100】
先を見越した研究は、高食物繊維が体重、飽満およびエネルギー摂取と強力にかつ逆比例的に関連することを示している(Stevensら(1987)Am.J.Clin.Nutr.46(5):812−7;Blundell & Burley(1987)Int.J.Obes.11 Suppl.1:9−25;Howarth
ら(2001)Nutr.Rev.59(5):129−39)。証拠はまた、高可溶性繊維の摂取がインシュリン感受性および血糖症の改善と関連づけられることも示唆している(Salmeronら(1997)Diabetes Care 20(4):545−50;Salmeronら(1997) JAMA 277(6):462−77;Jenkinsら(1967)Lancet 2(7999):1251;Doiら(1979)Lancet 1(8123):987−8;Shimaら(1982)Nutr.Rep.Int.26:297−302)。精製された高粘性繊維(Brandら(1991)Diabetes Care 14(2):95−101;Wolever
ら(1992)Diabet.Med.9(5):451−8)(例えば、グァーガム(Jenkinsら(1977)Lancet 2(8042):779−80;Aroら(1981)Diabetologia 21(1):29−33))およびグルコマンナン(Vuksanら(2000)Diabetes Care 23(1):9−14)の消費が、インシュリン抵抗性、2型糖尿病およびメタボリックシンドロームに罹っている被験体におけるインシュリン感受性の改善をもたらした(Chiassonら(1996)Diabetes Care 19(11):1190−3;Frostら(1998)Metabolism 47(10):1245−51)。
【0101】
粘性繊維は、消化および吸収を遅くし、急性および長期的な血糖制御に影響を及ぼし、したがって、食欲の制御(Meyer(1955)Ann.NYAcad.Sci.63:15−32;Penicaudら(2002)Curr.Opin.Clin.Nutr.Metab.Care 5(5):539−43)およびインシュリン感受性の上昇に繋がると考えられている。インシュリンは、脂肪代謝を調節するのを助けることが知られており、また、糖尿病において重要な役割を果たす。インシュリンレベルを下げることはまた、人々の空腹感を軽減し、これもまた、体重減少との関連を説明し得る。
【0102】
本調査は、高粘性食物繊維の混合物が補われた代謝制御される低脂肪ダイエットが、体重および体脂肪率の減少の結果として、食後の血糖制御およびインシュリン分泌を改善するという仮説を検証した。この仮説によると、高粘性食物繊維は、機械的効果(例えば、胃拡張、胃内容排出、胃腸通過時間、栄養素吸収率および胃腸管との栄養素の接触に影響を及ぼすことによる)、ならびに代謝効果(例えば、ホルモン分泌、血糖応答およびインシュリン応答、短鎖脂肪酸および糞便中エネルギー排泄に影響を及ぼすことによる)を提供する。
【0103】
(方法)
1.被験体:この調査には11人の参加者があった。この含める基準を、表10に示す。参加者のベースラインプロフィールを、表11に示す。
【0104】
【表10】
【0105】
【表11】
2.デザイン:無作為二重盲検プラシーボ−対照交換デザイン。6週間の導入期の間、参加者は、National Cholesterol Education Program Therapeutic Lifestyle Changes(TLC)食を消費した。この調査の実験段階は、2つの逐次的な3週間の処置期間とそれらの処置期間の間の2週間の洗い流し期間(TLC食を用いる)からなった。最初の処置期間の間、被験体は、無作為に、粘性繊維混合物(VFB)を含むTLC食か、または小麦フスマ(WB)のみのコントロールのいずれかを無作為に割り当てられた。次の処置期間の間、参加者を交換した。参加者は、0週目および3週目に診療所に来て、試験朝食またはコントロール朝食を消費し、食後のグルコースおよびインシュリンを体重および体脂肪%と共に評価した。各実験期間の開始時および終了時に、参加者を、試験朝食またはコントロール朝食の食後0分、30分、45分、60分、90分、120分および180分の時点で、グルコース濃度およびインシュリン濃度について試験した。インシュリン感受性を、以前に記載されたように計算した(Matsuda & Defronzo(1999)Diabetes Care 22:1462−70)。体脂肪を、赤外線インタラクタンス(interactance)(Futrex−5000)により、0週目および3週目にて測定した。
【0106】
3.試験朝食:交換デザインにおいて、インシュリン感受性が低下し、メタボリックシンドロームに罹っている参加者は、0.5g/100kcalの高粘度食物繊維(VFB、試験朝食)か、または対応する小麦フスマコントロール(コントロール朝食)のいずれかで強化された代謝制御食を、2週間の洗い流し期間を間に挟む2回の3週間にわたり、消費するように割り当てられた。コントロール朝食は、49gの小麦フスマクッキー、52gのフスマフレーク、250mLの2%ミルクおよび8gのバターからなった。試験朝食は、58gのVFBクッキー(VFB繊維を約10%、スクロースを25%含み、栄養素プロフィールは、約6%のタンパク質、14%の脂肪、60%の有効炭水化物、1.5%の灰分および2.8%の水分である)、69gのフスマフレーク、250mLの2%ミルクおよび8gのバターからなった。これら2つの朝食は、カロリーは等しく(isocaloric)、外見および味は同様であった。これら2つの朝食の栄養素プロフィールは、表12に示すように、繊維の種類のみが異なった。
【0107】
【表12】
(結果)
1.レオロジー:表13は、5つの異なる粘性可溶性繊維源の粘性を、粘性繊維混合物(VFB)と比較して示している。サンプルの測定値を、Brookfield粘度計(Middleboro、マサチューセッツ)により、1秒間に30回転のせん断速度で「F」スピンドルを使用し、24時間の時点で1%溶液を用いてとった。データは、3回以上の繰り返しの平均である(cps=センチポアズ)。
【0108】
【表13】
2.血糖応答:図1および表14は、3gの種々の可溶性繊維源およびVFBを投与することの、50gの経口グルコース負荷への血糖応答に対する効果を示している。このコントロールは、50gの経口グルコース負荷のみである。
【0109】
【表14】
3.食欲制御:図2A〜2Bおよび表15は、VFBを含む試験朝食が提供される被験体(図2A)およびコントロール朝食が提供される被験体(図2B)における、0週目および3週目の、各食事および就寝前の軽食の前の主観的な食欲評価の比較を示している。データは、平均±SDとして表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0110】
【表15】
4.グルコース:図3A〜3Bおよび表16は、コントロール朝食が提供される被験体とVFB試験朝食が提供される被験体における急性の食後のグルコース応答の比較を示している。被験体は、3週間の間、毎日、コントロール朝食か試験朝食かのいずれかが与えられた。被験体の血中グルコース応答を、調査の開始時(0週目)および調査の終了時(3週目)に測定した。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0111】
図4は、0週目および3週目における食後のグルコース応答についての曲線下面積(AUC)を、コントロールおよびVFBについて示している。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0112】
【表16】
5.インシュリン:図3C〜Dおよび表17は、コントロール朝食が提供される被験体における食後のインシュリン応答と試験VFB朝食が提供される被験体との食後のインシュリン応答の比較を示している。被験体は、3週間毎日、コントロール朝食または試験朝食のいずれかを与えられた。被験体の血中インシュリン応答を、調査の開始時(0週目)および調査の終了時(3週目)に測定した。全てのデータポイントは、平均±SDとして表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0113】
図5は、0週目および3週目にて食後のインシュリン応答についての曲線下面積(AUC)を、コントロールおよびVFBについて示している。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0114】
【表17】
6.体脂肪率(%):赤外線インタラクタンスFutrex−5000(登録商標)系(Futrex Inc,Gaithersburg,メリーランド)を使用して、身体組成を評価した。図6および表18は、参加者がコントロール朝食を消費したコントロールの間の0週目〜3週目の体脂肪率(%)の変化と、参加者が試験朝食を消費した期間の変化とを比較して例示している。データは、平均として表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0115】
【表18】
(結論)
血糖(−23.13.5%に対して0.42.3%、P=0.000022)についての曲線下面積およびインスリン血症(−40.54.5%に対して2.02.9%、p=0.000012)についての曲線下面積は、コントロールと比較して、VFBを含む場合に顕著に減少した。これらの減少は、コントロールと比較して、VFBの消費後にインシュリン感受性の顕著な上昇を引き起こした(55.99.2%に対して9.74.5%、P=0.00056)。更に、VFBを用いた3週間に続き、1.4%の体脂肪の減少(p<0.05)を経験したコントロール群と比較して、体脂肪をベースラインから2.8%減少させた。本発明者らは、長期的なVFBの消費が、メタボリックシンドロームにおいてインシュリン感受性を低下させた個体の体脂肪を減少させると結論付けた。考え得る解釈としては、インシュリン感受性の改善が挙げられる。
【0116】
(実施例3)
この実施例は、本発明の食物繊維組成物を含む代替食品製品の典型的な実施形態を提供する。
【0117】
典型的な食物繊維混合物(VFB)を、グルコマンナン(コンニャク根由来の80%より高い純度のもの)と、キサンタンガム(市販されている、Xanthomonas細菌由来の細胞外複合多糖類)と、アルギナート(市販されている、Ascophyllum
nodosum由来の中粘性アルギン酸ナトリウム)とを合わせて作製した。典型的な食物繊維混合物(VFB)の組成物を、表19に示す。
【0118】
【表19】
代替食品製品を、表20に示すように、VFB繊維混合物と共に処方した。
【0119】
【表20】
表21は、代替食品製品の1食分当たりに提供されるビタミンおよびミネラルを示している(RE=レチノール相当単位(equivalent unit)、NE=ナイアシン相当単位、mcg=マイクログラム、mg=ミリグラム)。
【0120】
【表21】
代替食品の香料としては、以下のいずれも含み得るが、これらに限定されない:チョコレート、イチゴ、バニラ、パイナップル、マンゴー、モモ、オレンジ、モカおよびチェリー。この代替食品は粉末形態である。1食分は、57グラムであり、グラス一杯の水と混合される。通常の食事の代わりに1食分を朝食時および昼食時に摂取する。
【0121】
(実施例4)
この実施例は、本発明の食物繊維組成物(VFB)を含む代替食品製品を消費することのボランティアに対する効果を例示している。
【0122】
ある中年の男性ボランティアは、9ヶ月間の試験の間、1日に2度、実施例3に記載される代替食品製品を摂取した。試験の開始時に、このボランティアは247.2ポンドの体重があり、BMIは36であり、胴周りの測定値は45.25インチであり、腰周りの測定値は47.25インチであり、体脂肪の測定値は27.7%であった。9ヶ月の試験の終了時に、このボランティアは、223.75ポンドの体重があり、胴周りの測定値は43インチであり、腰周りの測定値は45.5インチであり、体脂肪の測定値は25.7%であった。このボランティアは、腹痛、ゆるい便通、そして、代替食品を摂取しない場合の晩に空腹を訴えた。
【0123】
ある中年の女性のボランティアは、9ヶ月の試験の間、1日に2度、実施例3に記載される代替食品製品を摂取した。試験の開始時に、このボランティアは、170ポンドの体重があり、BMIは30.3であり、胴周りの測定値は36.5インチであり、腰周りの測定値は43インチであり、体脂肪の測定値は46.6%であった。9ヶ月の試験の終了時に、このボランティアは、156ポンドの体重があり、胴周りの測定値は33.5インチであり、腰周りの測定値は41インチであった。このボランティアは、試験の最初の2日間、下痢を訴え、喉が渇くために、普段より水を多く飲んだ。
【0124】
ある中年の女性のボランティアは、9ヶ月の試験の間、1日に2度、実施例3に記載される代替食品製品を摂取した。試験の開始時に、このボランティアは、162.5ポンドの体重があり、BMIが27.9であり、胴周りの測定値は37インチであり、腰周りの測定値は43インチであり、体脂肪の測定値は41.9%であった。9ヶ月の試験の終了時に、このボランティアは、141ポンドの体重があり、胴周りの測定値は34インチであり、腰周りの測定値は41インチであり、体脂肪の測定値は35.3%であった。このボランティアは、この試験の最初の2週間、軽い頭痛を訴えた。
【0125】
ある中年女性のボランティアは、9ヶ月の試験の間、1日に2度、実施例3に記載される代替食品製品を摂取した。試験の開始時に、このボランティアは、172ポンドの体重があり、BMIは27.7であり、胴周りの測定値は35.75インチであり、腰周りの測定値は43インチであり、体脂肪の測定値は41.6%であった。9ヶ月の試験の終了時に、このボランティアは、143ポンドの体重があり、胴周りの測定値は31インチであり、腰周りの測定値は38.25インチであった。このボランティアは、これを無理のない柔軟なダイエット計画であると思った。
【0126】
(実施例5)
この実施例は、ゼラチンカプセル剤として処方される本発明の食物繊維組成物(VFB)の典型的な実施形態を提供する。
【0127】
典型的な食物繊維組成物を、2部からなる硬ゼラチンカプセル剤として処方し、各カプセルは、500mgの表22に示す組成物を含む。
【0128】
【表22】
(実施例6)
この実施例は、食欲制御粉末として処方される本発明の食物繊維組成物の典型的な実施形態を提供する。
【0129】
典型的な食物繊維組成物を、食欲制御粉末として処方した。各瓶は、182gを含み、これは、26食分に相当する。この食欲制御粉末の1食分の内容量を、表23に示す。
【0130】
【表23】
(実施例7)
この実施例は、代替食品スムージーとして処方される本発明の食物繊維組成物(VFB)の典型的な実施形態を提供する。
【0131】
典型的な食物繊維組成物を、代替食品スムージーとして処方した。この代替食品スムージーの1食分の内容量を、表24に示す。
【0132】
【表24】
(実施例8)
この実施例は、種々の条件下における、典型的な繊維混合物(VFB)の粘度プロフィールと他の繊維混合物の粘度プロフィールとの比較を記載する。
【0133】
(方法)70%のグルコマンナン(コンニャク)、13%のキサンタンガムおよび17%のアルギナートを含む粘性繊維混合物(VFB)の処方物を、実施例1に記載されるように作製した。以下のとおり、蒸留水中、胃条件下および腸条件下で、このVFBを、コンニャク/キサンタンガム(70:30)繊維混合物およびコンニャク/アルギナート(70:30)繊維混合物と比較した。
【0134】
(試験された組成物)
(1)VFB:コンニャク(70%)/キサンタンガム(13%)/アルギナート(17%)
(2)KX:コンニャク(70%)/キサンタンガム(30%)
(3)KA:コンニャク(70%)/アルギナート(30%)。
【0135】
(粘度プロフィール実験)5gの試験物質を350gの液体(蒸留水、胃液または腸液のいずれか)と混合した。このサンプルを、Proctor/Silex混合機を用い、低速2で30秒間混合した。粘度の読み取りを、5分、10分、15分、20分、30分、45分、60分および120分の時点で実施した。胃液体および腸液体を、Universal Sample Preparation(USP)法に従って調製した。
【0136】
(結果)
表25および図7は、通常の条件(蒸留水)下において、VFBの粘度プロフィールを、KXおよびKAの粘度プロフィールと比較している。表26および図8は、胃条件下において、VFBの粘度プロフィールを、KXおよびKAの粘度プロフィールと比較している。表27および図9は、腸条件下において、VFBの粘度プロフィールを、KXおよびKAの粘度プロフィールと比較している。図7、8および9に示すように、KA(コンニャク/アルギナート 70:30)繊維混合物は、一貫して、試験された3つの繊維混合物のうちで最低の粘度を有する。中性条件下および胃条件下において、KX(コンニャク/キサンタンガム 70:30)は、敏速に(例えば、約15分〜20分以内で)最大粘度に達した。VFB混合物(コンニャク(70%)/キサンタンガム(13%)/アルギナート(17%))は、中性条件下においてKAとほぼ同じ粘度で開始し、胃条件下でも腸条件下でも時間の経過により粘度を上昇させ、中性条件下および胃条件下で、最終的に、KXよりも大きな粘度に達する。この組み合わせはまた、胃液と混合する場合、10分後に予想外に高い粘度値を生じさせる。したがって、KXの組み合わせへのアルギナートの添加は、中性条件にてVFBの粘度の低下を予想外に提供し、時間の経過により、KXのみよりも大きな粘度をもたらす。
【0137】
【表25】
【0138】
【表26】
【0139】
【表27】
(実施例9)
この実施例は、中鎖トリグリセリドと混合した粘性繊維混合物を含有するソフトゼラチン(ソフトゲル)カプセルの調製について記述する。
【0140】
方法
粘性繊維混合物を含有するソフトゼラチンカプセルの調製:
内部充填物
ソフトゼラチンカプセルは、粘性繊維混合物(コンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17))および油(例えば、中鎖トリグリセリド(MCT)であって、0.01:99.99から80:20(w/w VFB:MCT)までの比にある)を含む内部充填物を用いて調製した。52.7:47.3w/wであるVFB:MCTの比の一例を、以下の表28に示す。MCTは、下記の油:大豆油、パーム核油、魚油、および菜種油のいずれかで置換することができる。
【0141】
【表28】
外側のカプセルシェル
外側のカプセルシェルには、ゼラチン、グリセリン、および水の混合物が含まれる。
【0142】
典型的なソフトゲルカプセルは、下記の通り生成した。
【0143】
内部充填物:790mg VFB
710mg MCT
外側のカプセルシェル:ゼラチン、グリセリン、および水からなる混合物2,130mgを使用した。
【0144】
外側のカプセルシェルと内部充填との割合は、表28に示されるように、様々なカプセルサイズに適応するよう変えてもよい。
【0145】
中鎖トリグリセリドと混合したVFBを含有するソフトゲルカプセルは、水中でのVFB粘性作用を遅延させるのに有効でありながらも、実施例10で実証されるように、胃条件下でVFBの粘度を最大限にすることを可能にする。
【0146】
(実施例10)
この実施例は、油ベースのソフトゲルカプセルにカプセル化されたVFBが、潜在的な窒息の危険性を低減させるために水中でその粘性作用を遅延させながらも胃条件下で最大限の粘度に迅速に到達するのに、有効であることを実証する。
【0147】
方法
油ベースのソフトゲルカプセルにカプセル化されたVFBの粘度プロフィールを、蒸留水中と胃液中とで比較した。
【0148】
油と混合したVFBを含有するソフトゼラチンカプセルを、実施例9で述べたように調製した。各カプセルは、790mgのVFB(コンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17))を含有していた。6個のカプセル(合計で4.74gのVFB)を、全体積が331.8の蒸留H2Oまたは胃液(USP指針に従い調製した)中に溶解し、5g VFB:350g H2Oにした。
【0149】
サンプルを、25℃の水浴内に置いた容器の液体媒体に入れた。液体中で15分経過後、スプーンを使用して軟化カプセルを潰した。次いで混合物を、手で5分間混合し、次いでブレンダ内にいれ、4,000rpmで30秒間機械的に混合し、その後、8,000rpmでさらに30秒間混合した。粘度の読取りは、3時間にわたる時間間隔で行った。
【0150】
結果:
蒸留水中のVFBソフトゲルカプセルの粘度プロフィールを、以下の表29に示す。
【0151】
【表29】
胃液中のVFBソフトゲルカプセルの粘度プロフィールを、以下の表30に示す。
【0152】
【表30】
【0153】
【表31】
表30〜31に示されるように、胃条件下では、ソフトゲルカプセルで送達された油ベースのVFBは、混合後に迅速に濃厚になり(5分以内)、90,000センチポアズよりも高い粘度に到達した。これとは対照的に、表29および31に示されるように、ソフトゲルカプセルで送達された油ベースのVFBは、蒸留水中でゆっくりと濃厚になり、混合後5分で3,500の粘度レベルになり、混合後160分で、最大限の65,000センチポアズにまで徐々に増大した。表29に示されるように、ソフトゲルカプセルで送達されたVFBは、蒸留水中で19,630cpの粘度に到達するのに60分かかり、3時間以上経過した後でも90,000cpには到達しなかった。この結果は、本明細書の実施例1、表9に示されるように、120分で90,000cpに到達する、水中で撹拌したときにVFB(非顆粒化、油ベースのカプセルなし)で観察された挙動とは有意に異なる。事実、ソフトゲルカプセルで送達されたVFBに関して、最大粘度に到達する際に観察された時間遅延は、120分でそれぞれ90,000spに到達した顆粒化VFBメッシュサイズ40およびメッシュサイズ60で観察された場合よりも、さらにより明白であることがわかる(本明細書の表9参照)。これらの結果は、VFBへの油の添加が、水と混合したときのその粘性作用を遅延させるのに有効であることを示す。したがって、VFB単独では水中で非常に迅速に粘稠になり、大きな塊を形成し易くなることが観察されたので、個体へのVFBの投与中に潜在的な窒息の危険性を回避するために、VFBと油との組み合わせを使用してもよい。
【0154】
さらに、水中で観察される遅延粘性とは対照的に、ソフトゲルカプセルで送達されたVFBは、表30および31に示されるように、胃条件に接触した後5分以内に90,000cpに到達した。この高い粘度は、経時的に維持された(データは示さず)。VFBと油との組み合わせが、胃条件下でそのような短時間で90,000cpに到達し得ることは、驚くべきことであった。ソフトゲルカプセル中のVFBに関するこの粘度プロフィールは、胃条件下でVFB単独で観察された場合、即ち60分後であってもそのような高粘度に到達したことが観察されなかった場合と非常に異なったことに留意することは(本明細書の表6参照)、重要である。表6に示されるように、VFB単独では、60分後に3,600cpにしか到達しなかった。
【0155】
したがって、水中での粘性遅延および胃条件下で到達する素早い高粘度レベルを含めた、ソフトゲルカプセル中のVFBで観察されたこの実施例で記述される結果は、胃の満腹感の所望の効果を得、また個体での空腹感を低減させながらも共に摂取中の窒息の危険性を低減させるのに、VFBおよび油の組み合わせを使用してもよいことを実証する。
【0156】
理論に拘束されることを望まないが、VFBおよび油の組み合わせに関してこの実施例で記述される有益な結果は、繊維を覆う油のコーティングに起因すると考えられる。水中で観察された遅延粘度に関し、油は、水によって粒子が一塊にならないようにかつその分散が制限されないように、粒子をコーティングし分離する可能性がある。しかし胃条件下では、酸性度および胃の酵素によって、VFB繊維が最大粘度に迅速に到達し得るように、油のコーティングの少なくとも一部が取り除かれる可能性がある。さらに、若干の凝集をもたらす水中でのVFB(油コーティングなし)の分散とは対照的に、VFBと油との組み合わせは水中での凝集を回避し、水中での初期全体粘度を低下させ、それによって時間の経過により最終的にはより高い粘度を可能にするが、それはVFBと油との組み合わせがより均等に分散し、塊を形成する代わりにより多くの繊維粒子を水と反応させることができるからである。
【0157】
(実施例11)
この実施例は、固形食または流動食で投与された様々な粒度の顆粒化粘性繊維混合物が、健常者の食後血糖上昇指数応答に及ぼす影響について記述する。
【0158】
理論的根拠
この研究の目的は、固形(白パン)でまたは液体形態(GLUCODEX)で投与された、2つの異なる顆粒サイズの粘性繊維混合物(コンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17)、VFB100(より小さいメッシュサイズに造粒)およびVFB300(より大きいメッシュサイズに造粒))の、血糖上昇指数を決定することであった。VFB100は、40メッシュよりも細かい粒子のみ含有する。VFB300は、20メッシュよりも細かい粒子のみ含有する。非顆粒化VFB(コンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17))は、約200メッシュのメッシュサイズを有する。
【0159】
方法
無作為交差法研究では、10名の健常者(5名の男性および5名の女性、x±SEM 年齢:21±2y)をこの研究に含めた。糖尿病や高血圧、肥満などの、任意の知られている健康状態を有する被験体は、この研究から除外した。各研究参加者は、無作為二重盲検交差法において、合計で8つの処置を受けた。種々の食品形態でのVFB100およびVFB300の作用を試験するために、白パンおよびグルコース飲料(GLUCODEX)を以下の通り調製した。VFB100およびVFB300は、実施例1で述べたように調製した。5つの白パン治療薬には、VFB100、VFB300を含め、または標準コントロールとしてVFBを含まずに焼いたものが含まれた。3つの飲料処置には、VFB100、VFB300に混合したもの、またはVFBを含まない(コントロール)ものが含まれた。様々なVFB顆粒サイズを有する全ての調製および白パンのベーキングは、試験サンプル間のばらつきを最小限に抑えるために、1名で行った。研究参加者には、パンまたは飲料中の繊維のコーディングおよび区別がつかない性質によって、プラシーボおよびVFB処置の特定がなされなかった。安定性を確実にするために、VFB100およびVFB300は共に、研究の過程で低温の乾燥箇所で保存した。
【0160】
各被験体に、下記の通り8つの治療薬を与えた:
300mlの水と共に消費された、VFBを含まない白パンコントロール50g(固形食コントロールを、各被験体ごとに3回繰り返した。)
300mlの水と共に消費された、VFB100を3g含む白パン50g
300mlの水と共に消費された、VFB300を3g含む白パン50g
300mlの水と共に消費された、GLUCODEX(液体コントロール)50g
VFB100を3g含む、300ml中に希釈されたGlucodex 50g
VFB300を3g含む、300ml中に希釈されたGlucodex 50g 。
【0161】
研究参加者には、10〜12時間の一晩の絶食後、8日間の別々の朝に、合わせて8つの処置を与えた。この研究を、2カ月間にわたり行った。持越し効果を最小限に抑えるため、各処置の間に少なくとも3日の分離期間をおいた。各参加者には、各処置の前の晩に同じ食事および運動パターンを維持するように、また、各処置の前に3日間にわたり、毎日炭水化物を少なくとも150g消費するように指示を与えた。これらの指示に確実に従わせるため、参加者は、来診のたびに、その食事および生活様式パターンに関する事前情報について詳述する質問表に記入した。研究参加者のいずれによっても、有害な影響は報告されなかった。
【0162】
各処置の始めに、Manoejector Lancet Device(Owen Mumford Ltd.、Woodstock、Oxon、英国)で収集された、250μLのファスティングフィンガープリックキャピラリーを使用して、血液サンプルを各参加者から得た。次いで8つの治療薬のうちの1つを、5分間かけて投与した。追加のフィンガープリック血液サンプルを、処置開始(t=0)から15、30、45、60、90、および120分後に得て、処置当たりの参加者当たり、合計で7つの収集管にした。
【0163】
血中グルコース分析
全ての血液サンプルを、フッ化物オキサラートが入っている試験管に収集し、その直後に、分析するまで−20℃で凍結し、収集から3日以内に分析した。グルコース濃度は、YSI 2300 Statグルコース/L−ラクタート分析器、モデル115(Yellow springs、Ohio)を使用して、グルコース酸化法により決定した。2つのサンプルプールに関するこの方法の分析法間CVは、3.3%(3.99±0.013mmol/L;n=91)および1.8%(14.35±−/26mmol/L;n=89)であった。
【0164】
統計的分析:
食後血清血中グルコース曲線を、経時的な血中グルコースの漸進的変化としてプロットし、正の曲線下漸増面積(AUC)を、各参加者ごとに幾何学的に計算した。血中グルコース濃度を使用して、処置と処置との間の絶食の差を制御した。ナンバークランチャー統計システム(NCSS統計ソフトウェア、Kaysville、Utah)を、統計的分析の目的で使用した。AUCに対する治療薬の用量および食事の、独立および複合的(interactive)な作用は、二元配置分散分析(ANOVA)の反復測定によって評価した。二元配置ANOVAの反復測定は、2つの因子のそれぞれの各対、即ち治療薬×投与時間、治療薬×サンプリング時間、および投与時間×サンプリング時間の、複合的および独立した効果を評価した。相互作用の項が有意な場合、さらなる二元配置ANOVAによって、食後サンプリング点のそれぞれ(15、30、45、60、90、120分)での漸増血糖およびAUCに対する処置および投与時間の複合的および独立した効果について評価した。Turkey−Kramer試験による調節は、多重比較を制御するために、治療薬の用量および投与時間の両方における手段を対比するために行った。一元配置ANOVAの反復測定は、試験における各時点(15、30、45、60、90、および120分)での、AUCおよび漸増血糖での治療薬間のペアワイズ差異を測定するのに使用した。結果を、平均±SDで表し、p<0.05は、統計的に有意であると見なす。
【0165】
結果
二元配置ANOVAは、有意な相互作用(p<0.0001)を有する漸増血糖に対して、治療薬(p<0.001)および時間(p<0.001)の有意な効果を示した。二元配置ANOVAに関する相互作用の項は有意であったので、治療薬の影響は、食後サンプリングのそれぞれの時点でおよびAUCに関して評価した。
【0166】
固形食(白パン)
図10Aは、固形食(白パン)、白パンおよびVFB100、または白パンおよびVFB300を用いた各治療薬に関する血中グルコースの漸進的変化をグラフで示す。これらのデータに適用された二元配置分散分析(ANOVA)の反復測定は、時間および治療薬の有意な効果、ならびに有意な相互作用(p=0.0007)を実証した。図10A中の「*」記号は、特定の時点での、治療薬とコントロールとの間の血中グルコースレベルの有意な差(p<0.05)を表す。図10Aに示されるように、30、45、および60分では、VFB300での血中グルコースレベルがコントロールの場合よりも有意に低かった(p<0.05)。0、90、および120分の時点では、VFB100およびVFB300および白パンコントロール(w/o VFB)の間には、有意な差はなかった。さらに、15、30、45、および60分の時点では、VFB100およびVFB300のパン治療薬の間では、有意な差がなかった。30分の時点では、VFB100およびVFB300のパン治療薬の両方が、白パンコントロールの場合よりも有意に低かった(p<0.05)。図10Bは、固形食(白パン)、白パンおよびVFB100、または白パンおよびVFB300で処置した後の、複数の被験体における食後血中グルコースの曲線下漸増面積(IAUC)をグラフで示す。図10B中の「*」記号は、治療薬とコントロールとの間での、血中グルコースレベルの有意な差(p<0.05)を表す。図10Bに示されるように、VFB300治療薬でのIAUCは、平均的な白パンコントロールと比べた場合に有意に低いが(p<0.05)、VFB100治療薬および白パンでのIAUCには、有意な差がなかった。さらに、VFB100とVFB300治療薬をパンに含めたものの間には、有意な差が検出されなかった。
【0167】
液体(グルコース飲料)
グルコースコントロール飲料、グルコース飲料およびVFB100、またはグルコース飲料およびVFB300での各治療薬に関する血中グルコースの漸進的変化を、図11Aに示す。図11A中の「*」記号は、特定の時点で、治療薬とコントロールとの間で血中グルコースレベルに有意な差を表す(p<0.05)。図示されるように、二元配置分散分析(ANOVA)の反復測定は、時間および治療薬の有意な効果、ならびに有意な相互作用があることを見出した(p=0.0007)。0、90および120分の時点では、VFB100およびVFB300およびグルコース飲料(GLUCODEX)コントロールの間に有意な差が観察されなかった。30、45、および60分では、VFB100は、コントロールと比較したときに有意に低い血中グルコースレベルであることがわかった(p<0.05)。15、45、および60分の時点では、VFB100およびVFB300の飲料治療薬の間に有意な差は観察されなかった。15および60分の時点では、VFB100およびVFB300の両方の飲料治療薬は、コントロールと比較したときに有意に低い血中グルコースが観察された(p<0.05)。また、30分の時点では、VFB100飲料は、VFB300飲料治療薬よりも有意に低かった(p<0.003)。45分の時点では、VFB100飲料は、コントロールよりも有意に低く(p=0.025);しかしこの時点では、VFB300とコントロールとの間に有意な差は観察されなかった。
【0168】
図11Bは、グルコースコントロール飲料、グルコース飲料およびVFB100、またはグルコース飲料およびVFB300で処置した後の食後血中グルコースのIAUCを、グラフで示す。図11B中の「*」記号は、治療薬とコントロールとの間の血中グルコースレベルの、有意な差(p<0.05)を表す。図11Bに示されるように、VFB100治療薬およびVFB300治療薬のIAUCは、コントロールと比較したときに有意に低かったが(p<0.05)、VFB100飲料治療薬およびVFB300飲料治療薬のIAUCに間には、有意な差が観察されなかった。
【0169】
概括および結論
パンでは、VFB100およびVFB300が共に、血漿血中グルコースを低下させることが観察された。VFBを含まないパンコントロールと比較した場合、より大きなVFB300顆粒は、より細かいVFB100顆粒よりも、食後血中グルコースに対して大きな効果を発揮する傾向があることが観察された。理論に拘束されることを望まないが、より大きな粒子(VFB300)は、パンのベーキングプロセスの前に水分子に接触しにくい可能性があり、したがって、パンを消費した後により多くの粒子を水分子との結合に利用することができ、それに対してより小さな粒子(VFB100)は、ベーキングプロセス中および消費前に、水分子の結合で飽和する可能性がある。したがって、より大きい粒度(例えば、300)のVFBは、白パンを消費したときにGI管にグルコースを捕捉する際、より小さな粒度(例えば、100)のVFBよりも粘稠なゲル化を示しかつより良好に機能する。
【0170】
飲料に混合した場合、VFB100およびVFB300は共に、コントロールと比較したときに、パンで観察されたよりも大きな食後血糖応答を発生させたが、これはおそらく、パンと比較した場合、飲料が消費されたときのグルコースの直接吸収に起因する。しかし、より小さな粒度(VFB100)は、より大きなサイズ(VFB300)と比較した場合、飲料中の血中グルコースにより大きな低減をもたらした。理論に拘束されることを望まないが、より小さな粒子はより容易に水分子に結合することができ、それによってより良好なゲル形成が生じるので、飲料中のグルコースのより速い吸収速度がこの結果に寄与する傾向にある。このメカニズムは、パンの場合とは異なるようであるが、それは飲料中のVFBがいかなる処理も受けず、水分子と直接相互に作用することができ、グルコースを捕捉することができるからである。
【0171】
結論:
これらの結果は、飲料形態中のより小さい粒度のVFB(例えば、VFB100)の投与が、健常者の血糖応答を改善するのに最良であることを示す。固形食形態(例えば、パン)中のより大きな粒度のVFB(例えば、VFB300)の投与は、健常者の血糖応答を改善するのに最良である。
【0172】
(実施例12)
この実施例は、消費前に流動食および固形食製剤に添加された様々な用量のVFBの、血糖上昇指数低下能を決定するための、用量応答研究について記述する。
【0173】
方法:
VFB100およびVFB300の血糖上昇指数低下能を、流動食(グルコース飲料)および固形食(白パンおよびマーガリン)製剤に添加したときに決定した。これらの異なる用量を投与し、血糖上昇指数を各用量ごとに計算した。健常者に、別々の日に、治療薬を与えたが、このとき各被験体には、週当たり2つまでの試験を行い、これらの試験と試験との間には少なくとも1日置いた。各試験日に、被験体は、10〜14時間一晩絶食した翌朝に到着した。体重を量った後、およびフィンガープリックで空腹時サンプルを得た後に、被験体は10分以内に試験食を消費し、試験食の開始後15、30、45、60、90、および120分後に、さらに血液サンプルを得た。被験体には、ミルクありまたはミルクなしの1〜2杯の水、紅茶、またはコーヒーの選択も与えた。各被験体によって消費された飲料は、各試験日において同じに維持された。
【0174】
グルコース系
被験体
グルコース系について、以下の表32に示すように、年齢35.6±13.2才、ボディマス指数24.6±2.1kg/m2の、5名の男性および5名の女性を含む10名の健常者で試験をした。
【0175】
【表32】
試験食(グルコース系)
グルコース系の試験食は、小型ハンドミキサを使用して、VFBが添加された水200mlと混合したグルコース50gからなるものであった。試験食の他に、グルコース系の各被験体には、3回にわけて、炭水化物含量に匹敵した標準的なグルコースコントロールも与えた。
【0176】
【表33】
*重量は、含水量に応じてバッチ間でわずかに変化する可能性があり、CHO=炭水化物である。
【0177】
白パン系
被験体
白パン系について、以下の表34に示すように、年齢33.5±11.1才、ボディマス指数26.3±5.2kg/m2の、3名の男性および7名の女性を含む10名の健常者で試験をした。
【0178】
【表34】
試験食(白パン系)
白パン系は、50gの有効炭水化物(全炭水化物から食物繊維を差し引いたものと定義される)を含有する複数人前の白パンからなるものであった。白パンを、製パン機で、250gの有効炭水化物を含有するいくつかの塊で焼いた。各塊に用いられる成分(温水250ml、万能小麦粉340g、砂糖7g、塩4g、およびドライイースト6.5g)を、取扱説明書に従い製パン機に入れ、製パン機のスイッチを入れた。この塊を作製したあと、そのまま1時間冷まし、次いで計量し、パンの耳の端部を廃棄した後に、その残りを、50gの有効炭水化物を含有する一人前サイズに分割した。これらの分割した部分を使用前に冷凍し、消費前にマイクロ波で再加熱した。
【0179】
VFBの損失を回避して口当たりの良さを増すために、VFBを散在させた白パンに、Becelマーガリン10gを添加した。マーガリンがグルコース耐性に及ぼした可能性があるあらゆる影響を制御するために、マーガリンのみ含有する特別な白パンも消費した。全ての試験食は、無作為な順序で与えた。マーガリンを含む白パンの特別な試験食も、VFBと共に与えられたマーガリンに匹敵するように、白パン系に与えられた。
【0180】
【表35】
*重量は、含水量に応じてバッチ間でわずかに変化する可能性があり、CHO=炭水化物である。
【0181】
アッセイ法:
絶食後と、試験食を食べてから15、30、45、60、90、および120分後に、血中グルコースを測定した。血中グルコース応答曲線下漸増面積(IAUC)を、台形規則(trapezoid rule)を使用して、かつベースラインの下の面積を無視することによって、計算した。各試験食を消費した後の、各被験体のIAUCは、同じ被験体によって摂取された3つの白パンコントロールの平均IAUCに対するパーセンテージとして表した。
【0182】
血糖上昇指数は、試験食に関する各被験体のグルコースIAUCを、参照の白パンを摂取した後の同じ被験体の平均応答に対するパーセンテージとして表すことによって計算した。得られた値の平均は、グルコーススケール(即ち、グルコースのGI=100)に基づいた食物GIであった。各時点での血中グルコース濃度およびIAUC値を、反復測定分散分析(ANOVA)にかけて、試験食の影響について試験をした。
【0183】
著しい不均質性が実証された後、個々の平均間の差の有意性を、多重比較に合わせるためにテューキー検定を使用して評価した。さらに、各試験食および白パンに関する血中グルコース濃度および増分の間の差の有意性を、対応のあるt検定により評価した。VFB 1gのGI低下能を評価するために、個々の用量それぞれに関するGI変化を平均し、VFB 1g当たりで計算した。
【0184】
被験体内分散:
白パンコントロールの3つの試験後の、血中グルコース応答曲線下漸増面積(IAUC)を、計算した(データは示さず)。被験体間のIAUCの差は非常に著しかったが、ANOVA統計的方法を使用した順序効果はなかった。グルコースおよび白パン系のIAUCに関する平均被験体内分散係数(CV)は、それぞれ、健常者の平均である21.7±4.9%および26.5±5.2%であった。30%未満の値を、この研究で満足がいくものであると見なした。
【0185】
口当たりの良さを、一端が非常に「おいしくない」でありもう一方の端部が「非常においしい」とした、100mm視覚アナログスケールでランク付けした。したがって、より大きな数は、よりおいしい製品に対する被験体の知覚に対応する。
【0186】
結果
グルコース試験食に関する血中グルコース応答
グルコース試験食研究の結果を、以下の表36にまとめる。「*」記号は、示された時点での、試験条件とグルコースコントロールとの統計的有意差を示す。
【0187】
【表36】
上記の表36に示したように、グルコースコントロールと比較したグルコース+VFB 2.5gは、15分の時点で、血中グルコースレベルで統計的に有意な低下を示した(p=0.0001)。グルコースコントロールと比較したグルコース+VFB 5.0gは、試験食消費後15分(p=0.026)、30分(p=0.009)、45分(p=0.023)、および120分(p=0.014)の時点で、血中グルコースレベルに統計的に有意な低下を示した。グルコースコントロールと比較したグルコース+VFB 7.5gは、15分(p=0.016)、30分(p=0.010)、45分(p=0.011)、および120分(p=0.003)で、血中グルコースレベルに統計的に有意な低下を示した。
【0188】
白パン試験食に関する血中グルコース応答
白パン試験食の結果を、以下の表37にまとめる。「*」記号は、指示された時点での、試験条件とグルコースコントロールとの間の統計的有意差を示す。
【0189】
【表37】
上記表37に示されるように、白パンおよびマーガリンコントロールと比較した場合、白パンのみのコントロールを消費した後の血中グルコース濃度に、有意差は観察されなかった。しかし、白パンおよびマーガリンおよびVFB 2.5gは、白パンコントロールと比較した場合、試験食の消費後30分(p=0.008)、45分(p=0.002)、および60分(p=0.018)で、統計的に有意な差を示した。白パンおよびマーガリンおよびVFB 5.0gは、白パンコントロールと比較した場合、15分(p=0.006)、30分(p=0.0001)、45分(p=0.001)、60分(p=0.001)、および90分(p=0.0001)で、統計的に有意な差を示した。白パンおよびマーガリンおよびVFB 7.5gは、白パンコントロールと比較したときに、15分(p=0.029)、30分(p=0.0001)、45分(p=0.0001)、60分(p=0.0001)、および90分(p=0.001)で、統計的に有意な差を示した。
【0190】
口当たりの良さおよび血糖上昇指数
グルコースおよびパン系に関する口当たりの良さのスコアおよびGI値を、上述のように計算し、以下の表38に示す。口当たりの良さに関して、全ての試験食は容認されたが、3つの用量全てに関するVFBを有するグルコースの口当たりの良さのスコアは、コントロールグルコースに比べて有意に低下し、これはおそらく、全てが消費される前にグルコースのゲル化(VFBの添加後)が生じたことによる。
【0191】
【表38】
上付きの種々の文字を有する値は、有意に異なる(p<0.001)。
【0192】
【表39】
血糖上昇指数に関しては、グルコース系の場合、7.5g VFBのGI値がコントロールグルコース試験食よりも有意に低く(表38参照)、一方、パン系の場合、3つの用量全てのVFB(2.5、5.0、7.5g)は、白パンと白パンおよびマーガリンコントロールとの両方よりも有意に低かった(表39参照)。
【0193】
次いで、流動食(グルコース)および固形食(白パンおよびマーガリン)製剤に添加したときの、VFBの血糖上昇指数低下能を決定した。血糖上昇指数は、VFBの各用量ごとに(2.5、5.0、7.5g)計算した。血中グルコース応答曲線下漸増面積(IAUC)は、上述のように計算した。各試験食消費後の、各被験体のIAUCを、同じ被験体により摂取された3つの白パンコントロールの平均IAUCに対するパーセンテージとして表した。得られた値の平均は、グルコーススケール(即ち、グルコースのGI=100)を基にした食物GIであった。さらに、各製剤の血糖上昇指数低下能を評価した。血糖上昇指数、およびVFB 1g当たりの血糖上昇指数の変化(ΔGI/g VFB)を、グルコース飲料試験食に関して以下の表40に示し、白パン試験食に関して以下の表41に示す。
【0194】
【表40】
上付きの種々の文字が付された数は、統計的に異なっている(p<0.05)。
【0195】
【表41】
上付きの種々の文字を有する数は、統計的に異なっている(p<0.05)。
【0196】
概要および結論
この実施例の結果は、VFBの添加によって、このVFBが添加された食事の種類とは無関係に、食事の全ての血糖上昇指数が低下したことを実証している。図12は、増加用量のVFBを含有するグルコース飲料または白パンで消費後の、血糖上昇指数の変化をグラフで示す。図12に示されるように、VFBの用量を増加させると、それに対応してGI値が低下するが、その関係は線形ではない。
【0197】
VFBのGI低下能の評価を得るために、各用量レベルでの、VFB 1g当たりで観察される低下の平均を計算し、その結果を上記表40および表41に示す。表40に示されるように、流動食(グルコース飲料)に添加したときのVFBの血糖上昇指数低下能は、グルコース系で−4.9±0.9である。表41に示されるように、固形食(白パンおよびマーガリン)に添加したときのVFBの血糖上昇指数低下能は、白パン系で−7.0±1.3である。マーガリンを添加したときには、GIの有意な変化が観察されなかったので(表37参照)、白パン系のGI低下能は、コントロールの白パンGI値を使用して計算した。したがって、2.5〜7.5gの用量範囲で液体にVFBを添加することにより、流動食品では約5GI単位だけ、また固形食品に添加したときは7GI単位だけ、食品のGIが低下することになる。
【0198】
(実施例13)
この実施例は、様々な食物にVFBを添加することは、このVFBが添加される食物の血糖上昇指数を低下させるのに有効であることを実証する。
【0199】
方法
被験体
年齢37.3±3.6才、ボディマス指数23.8±1.3kg/m2である10名の健常者(4名の男性および6名の女性)について、研究した。個々の詳細を、以下の表42に示す。
【0200】
【表42】
試験食
以下の食物の種類を、この研究に含めた:
研究1:コーンフレーク、米、ローストターキー、ヨーグルト、白パン
研究2:グラノーラ1B、1C、2B、3B、Slimfast
全ての試験食は、50gの有効炭水化物(全炭水化物から食物繊維を差し引いたものと定義される)を含有する各食物の、複数人前からなるものであった。VFB300(顆粒化(コンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17))5gを、消費する直前に、一人前のコーンフレーク、米、ローストターキーディナー、またはヨーグルトに散在させた。コーンフレークは、ミルク125mlと共に消費した。
【0201】
ミルクがグルコース耐性に及ぼした可能性があるいかなる影響も制御するために、ミルクを含む特別な白パンも消費した。白パンを製パン機で焼いて、250gの有効炭水化物を含有するいくつかの塊にした。各塊ごとの成分(温水250ml、万能小麦粉340g、砂糖7g、塩4g、およびドライイースト6.5g)を、取扱説明書に従い製パン機に入れ、機械のスイッチを入れた。塊の作製後、そのまま1時間冷まし、次いで計量し、耳の端部を廃棄した後、その残りを、50gの有効炭水化物を含有する一人前サイズに分割した。これら分割されたものを、使用前に冷凍し、消費前にマイクロ波で再加熱した。
【0202】
【表43】
アッセイ法
各被験体は、別々の日に処置を受け、各被験体には、1週当たり2回までの試験を行い、それらの試験と試験との間は少なくとも1日空けた。各試験日に、被験体は、10〜14時間一晩絶食した翌朝に到着した。次いで体重を量った後、およびフィンガープリックで空腹時サンプルを得た後に、被験体は10分以内に試験食を消費し、試験食の開始後15、30、45、60、90、および120分後に、さらに血液サンプルを得た。被験体には、ミルクありまたはミルクなしの1〜2杯の水、紅茶、またはコーヒーの選択も与えた。各被験体によって消費された飲料は、各試験日において同じに維持された。
【0203】
血液サンプルを、少量のフッ化ナトリウム/シュウ酸カリウムが入っている5mlポリプロピレンチューブに収集し、このチューブを激しく回転させることによって混合し、冷蔵庫内に置いた。最後の血液サンプルの後、自動分析機(モデル2300 STAT、Yellow Springs Instruments、Madison、Wisconsin)を使用して、グルコースを分析する前に、チューブを−20℃で保存した。全ての血液サンプルを、収集から1週間以内に分析した。絶食後と、試験食を食べた後15、30、45、60、90、および120分で、血中グルコースを測定した。血漿グルコース曲線下漸増面積(IAUC)を、台形規則を使用してかつベースラインの下の面積を無視することによって、計算した。血糖上昇指数は、試験食に関する各被験体のグルコースIAUCを、参照の白パン後の、同じ被験体の平均応答に対するパーセンテージとして表すことによって計算した。得られた値の平均は、グルコーススケール(即ち、グルコースのGI=100)を基にした食物血糖上昇指数(GI)であった。各時点での血中グルコース濃度およびIAUC値を、反復測定分散分析(ANOVA)にかけ、試験食の影響について検査した。著しい不均質性が実証された後、個々の平均同士の差の有意性を、テューキー検定を使用して評価し、多重比較の調節をした。さらに、各試験食および白パンに関する血中グルコース濃度および増分の差の有意性を、対応のあるt検定によって評価した。GIの低下%は、VFBを有する各食事ごとに計算した。
【0204】
口当たりの良さを、その一端が非常に「おいしくない」ものでありもう一方の端部が「非常においしい」ものである、100mm視覚アナログスケールでランク付けした。数値が大きくなるほど、認知される試験食の口当たりの良さは高くなる。
【0205】
結果
様々な試験食に関する血中グルコース試験の結果を、以下の表44にまとめる。「*」記号は、指示された時点での、試験条件と白パンコントロールとの間の統計的に有意な差を示す。
【0206】
【表44】
上記表44に示されるように、コーンフレーク消費後の血中グルコース濃度は白パンコントロールよりも高く、その統計的な差は、45分で観察された(p=0.001)。コーンフレークおよびVFBを消費した後の血中グルコース濃度は、コーンフレークのみの場合に比べて低下し、これは白パンコントロールを消費した後に観察されたものと非常に類似していた。
【0207】
表44に示されるように、米を消費した後の血中グルコース濃度は、白パンコントロールを消費した後に観察されたものと非常に類似していた。しかし、米およびVFBを消費した後の血中グルコース濃度は、白パンコントロールに比べ、試験食消費後30分(p=0.049)、45分(p=0.005)、および60分(p=0.002)で、統計的に有意に低いレベルに低下した。
【0208】
表44に示されるように、ローストターキーを消費した後の血中グルコース濃度は、最初は、白パンコントロールで観察されたものよりも高く、30分(p=0.025)では著しく高いレベルが観察され、次いで低下する傾向があり、統計的に有意に低いレベルが60分(p=0.037)、90分(p=0.001)、および120分(0.011)で観察された。ローストターキーをVFBと共に消費した後、初期血中グルコースレベルは白パンコントロールと類似しており、次いで白パンで観察されたものよりも低くなる傾向があり、45分(p=0.006)、60分(p=0.001)、および90分(p=0.012)では、白パンコントロールに比べて統計的に有意に低いレベルが観察された。
【0209】
最後に、表44にさらに示されるように、ヨーグルトを消費した後の血中グルコース濃度は、最初は、白パンコントロールで観察されたものよりも高く、次いで低下する傾向があり、45分(p=0.021)、60分(p=0.00)、および90分(p=0.001)では白パンコントロールに比べて統計的に有意に低いレベルが観察された。ヨーグルトをVFBと共に消費した後の血中グルコース濃度は、最初は白パンコントロールと同じであり、次いで低下する傾向があり、白パンコントロールに比べて統計的に有意に低いレベルが45分(p=0.007)、60分(p=0.00)、90分(p=0.00)、および120分(p=0.00)で観察された。
【0210】
口当たりの良さおよび血糖上昇指数
試験食に関する口当たりの良さのスコアおよび血糖値を、以下の表45に示す。
【0211】
【表45】
1血糖上昇指数カテゴリーは、下記の通り定義される:GI≦55は、「低」と分類され;56<GI<69は「中」と分類され;GI≧70は「高」と分類される(the Canadian Diabetes Association website、www.diabetes.ca/Section About glycemic.asp、2002年7月26日アクセス、参照)。
【0212】
上記表45に示されるように、VFBの添加によって、このVFBが添加される食事の種類とは無関係に、試験食の全ての血糖上昇指数(GI)は低下した。特に、VFBをコーンフレークに添加すると、コーンフレークのGIは高GIカテゴリーから中程度のカテゴリーに低下し、VFBを米に添加すると、米のGIは高GIカテゴリーから低GIカテゴリーに低下したことに留意されたい。
【0213】
図13は、平均±SEMで表した、有効炭水化物約50g当たりVFBを5.0g含む、または含まない各試験食に関する血糖上昇指数をグラフで示す。図13に示されるように、VFBをコーンフレーク、米、ターキーディナー、またはヨーグルトに添加した結果、食事のGIがそれぞれ26%、45%、24%、および9%低下した。VFBを添加したときの、コーンフレークおよび米の食事のGIで観察された低下%は、統計的に有意であった(p<0.00001)。
【0214】
口当たりの良さに関しては、全ての試験食は十分に認められるものであった。VFBを様々な食物の種類に添加しても、特定の食品の口当たりの良さを有意に低下させなかったことに留意されたい。したがってこれらの結果は、VFBの添加によって、このVFBが添加される食事の種類とは無関係に試験食の全てのGIが低下し、かつ試験食の口当たりの良さに著しい影響を及ぼさなかったことを実証する。
【0215】
(実施例14)
この実施例は、VFBを様々な種類のグラノーラに添加することが、このVFBが添加されるグラノーラの血糖上昇指数を低下させるのに有効であることを実証する。
【0216】
方法
被験体
年齢37.3±3.6才、ボディマス指数23.8±1.3kg/m2の健常者(男性4名および女性6名)について、研究した。この研究に参加した被験体の個々の詳細を、実施例13の表42に示す。
【0217】
試験食
全ての試験食は、50gの有効炭水化物(全炭水化物から食物繊維を差し引いたものと定義される)を含有する各食物の、数人分からなるものであった。白パンコントロールは、実施例13で記述したように用意した。VFBは、選択的な乾燥および液体グラノーラ成分とVFB(コンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17))とを混合し、次いで混合物全体をベーキングまたはその他の乾燥方法により処理することによって、グラノーラに組み込んでもよい。以下の試験グラノーラ食は、VFBをグラノーラ中に焼き込むことによって調製した。
【0218】
グラノーラ1C=一人前60g(有効CHO 50g)当たりVFB2.5gを有するクランベリーグラノーラ
グラノーラ1B=一人前60g(有効CHO 50g)当たりVFB2.5gを有するブルーベリーグラノーラ
グラノーラ2B=一人前60g(有効CHO 50g)当たりVFB5.0gを有するブルーベリーグラノーラ
グラノーラ3B=一人前60g(有効CHO 50g)のブルーベリーグラノーラコントロール(VFBなし)
【0219】
【表46】
アッセイ法
各被験体は、別々の日に処置を受け、各被験体は、1週当たり2回までの試験を行い、これらの試験と試験との間を少なくとも1日空けた。各試験日に、被験体は、10〜14時間、一晩絶食した翌朝に到着した。次いで体重を量った後、およびフィンガープリックにより空腹時血液サンプルを得た後に、被験体は10分以内に試験食を消費し、試験食の開始後15、30、45、60、90、および120分後に、さらに血液サンプルを得た。被験体には、ミルクありまたはミルクなしの1〜2杯の水、紅茶、またはコーヒーの選択を与えた。各被験体によって消費された飲料は、各試験日において同じに維持された。
【0220】
血中グルコースを、絶食後と、試験食を食べた後15、30、45、60、90、および120分後に、実施例13に示される方法を使用して測定した。口当たりの良さを実施例13に記載された方法を使用して測定した。
【0221】
結果
様々なグラノーラ試験食およびコントロールに関する血中グルコース試験の結果を、以下の表47にまとめる。「*」記号は、指示された時点での、試験条件と白パンコントロールとの間の統計的に有意な差を示す。
【0222】
【表47】
上記表47に示されるように、グラノーラ3B(コントロール)消費後の血中グルコース濃度は、白パン消費後のグルコース濃度に類似しており、統計的に有意な低下が、試験食消費後30分(p=0.034)で観察された。グラノーラ1B(VFB 2.5gを有する)の消費後の血中グルコース濃度は、白パンコントロールで観察されたものよりも有意に低く、統計的に有意な差が、試験食消費後45分(p=0.001)および60分(p=0.0001)で観察された。グラノーラ2B(VFB 5.0gを有する)消費後の血中グルコース濃度は、白パンコントロールに比べてさらに低下し、統計的に有意な低下が、試験食消費後30分(p=0.002)、45分(p=0.0001)、60分(p=0.0001)、および90分(p=0.036)で観察された。グラノーラ1C(VFB 2.5gを有する)消費後の血中グルコース濃度も、白パンコントロールで観察されたものよりも有意に低く、統計的に有意な低下が、試験食消費後30分(p=0.034)、45分(0.001)、60分(0.001)、および90分(0.022)で観察された。
【0223】
口当たりの良さおよび血糖上昇指数
口当たりの良さおよび血糖上昇指数は、実施例13で既に述べたように分析した。その結果を、以下の表48に示す。口当たりの良さに関し、全ての試験食は十分に容認されるものであり;しかし、5gのVFBを有するブルーベリーグラノーラ(Gran2B)の口当たりの良さに関するスコアは、白パンコントロールと比べたときよりも有意に低かった。
【0224】
【表48】
血糖上昇指数に関し、VFBを含有するグラノーラの全ては、白パンコントロールまたはグラノーラコントロールよりも有意に低かった。図14は、平均±SEMとして表される、VFBを含む、または含まない各試験食に関する血糖上昇指数をグラフで示す。図14に示されるように、VFBの添加によって、全てのグラノーラの血糖上昇指数が低下し、統計的に有意な低下が、使用されるグラノーラの種類とは無関係に観察された(p<0.0001)。コントロールグラノーラ(ブルーベリー)と比較すると、クランベリーグラノーラ(2.5g VFB)、ブルーベリーグラノーラ(2.5g VFB)、およびブルーベリーグラノーラ(5.0g VFB)は、それぞれのGIが31%、45%、および64%低下した。
【0225】
この研究は、中および高血糖上昇指数を有する食物摂取後に血中グルコースレベルの急上昇を穏やかにする、効果的で口当たりの良さを増すことができる方法として、VFBをグラノーラおよびその他の食物に組み込むことができることを実証する。VFBの添加によって用量依存的にGIを低下させただけではなく、グラノーラの血糖上昇指数カテゴリーも中から低へと低下させた。その他の中または高血糖上昇指数カテゴリー食物にVFBを添加することは、同様の効果を発揮すると予測することができる。
【0226】
(実施例15)
この実施例は、粘性繊維混合物(VFB)を毎日投与したときに、体重を低下させ、コレステロールレベルを低下させ、空腹時グルコースを低下させるのに有効であることを実証する、過体重および肥満の被験体の14週間の研究について記述する。
【0227】
理論的根拠:
この観察上の遡及的臨床分析の目的は、体重減少、ボディマス指数、ウェスト回り、ウェスト−ヒップ比と、過体重および肥満の成人の、14週に及ぶ、総およびLDLコレステロール、トリグリセリド、空腹時インシュリン、空腹時グルコース、および2時間グルコース耐性試験を含む実験室測定値に対する、VFBミクロ顆粒(VFB 100)(顆粒化したコンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17))の効力を試験することであった。
【0228】
被験体:
合計で29名の、あまり運動しない成人(女性23名;男性6名、概して良好な健康状態)であって、年齢20〜65才、ボディマス指数(BMI)が約23kg/m2〜36kg/m2である成人を、地方紙に掲載された一連の広告を通して参加するように促した。被験体は、このプログラムに参加することの同意書を提出し、研究責任者の一人によって与えられる2週ごとに、かつ最大で14週間、全身の健康状態、食事、および運動に関するグループレクチャーに参加するよう求められた。
【0229】
方法:
被験体のスクリーニングおよび評価は、医師または自然療法師によって、身長(インチ)、体重(ポンド)、ウェスト−ヒップ比の測定に関し、週2回ベースで行った。体脂肪%は、ベースラインでおよびその後2週ごとに、生体電気インピーダンス試験を使用して決定した。BMIおよび体脂肪%を決定するために、全ての被験体に関してコンピュータ化分析(RJRシステム)をさらに用いた。このプログラムに登録された全ての被験体は、最初にベースラインでHDL、LDL、総コレステロール、トリグリセリド、空腹時グルコース、空腹時インシュリン、2時間絶食インシュリン、および75gグルコース耐性試験に関して評価し、異常な危険因子を有する場合のみ、後者の実験室パラメータを14週で使用して再試験した。この時間枠中、ボランティアは、VFBミクロ顆粒(VFB 100)を10gまで、12〜16ozの水と共に1日を通して複数回に分けた用量で摂取することが求められた。
【0230】
有意性は、the Short Term Consulting Service、Department of Statistics、University of British Columbiaの支援を受け、対応のあるT検定分析を使用して決定した。
【0231】
結果:
体重減少およびその他のパラメータ:VFBを使用した14週間中、グループ体重(−12.78±7.84ポンド)、ウェスト回り(−4.75±2.19インチ)、体脂肪%(−2.43±2.39%)、およびBMI(−2.26±1.24kg/m2)に、有意な低下があった。これら後者の結果と同様にかつ協働して、男女共に、以下の表に示されるように試験をした体重減少変数には有意な低下があることを、個々に実証した。
【0232】
【表49】
*0週に対してp<0.05
”単位ポンドで表した体重
””単位インチで表したウェストおよびヒップ
【0233】
【表50】
*0週に対してp<0.05
【0234】
【表51】
*0週に対してp<0.05
【0235】
【表52】
*0週に対してp<0.05
”BMI(単位:kg/m2) 。
【0236】
脂質レベル
ベースライン値と比較すると、14週の研究期間にわたりVFBミクロ顆粒を用いる被験体には、総およびLDLコレステロール値でそれぞれ19.26%(n=17;p<0.05)および25.51%(n=16;p<0.05)の有意な低下があった。トリグリセリドの低下およびHDLコレステロール値の上昇に向かう傾向があるが、得られた変化は統計的に有意ではなかった。
【0237】
空腹時インシュリンおよびグルコース:
グループとして、また研究期間の終わりまでに、VFBを用いる参加者は、ベースラインに比べ、空腹時グルコースで6.96%の低下(n=20;p<0.05)、2時間グルコース耐性で12.05%の低下(n=21;p<0.05)、および空腹時インシュリンレベルで27.26%の低下(n=17;p<0.05)を経験した(グラフ2参照)。2時間空腹時インシュリンレベルが低下する傾向があったが、その結果は、統計的に有意ではなかった。
【0238】
表53は、VFBミクロ顆粒を用いた14週試験中に得られた、全実験室データの概要である。
【0239】
【表53】
*ベースラインに対してp<0.05。
【0240】
自己報告スケールを使用した効力の分析:
研究の終わりに参加者によって完了された自己報告スケールでは、VFB使用者の97.7%が、食物要求を抑制されている(curbing food craving)時および空腹時の両方で製品に対して肯定的な応答をしたことを示した。
【0241】
試験調製物の副作用:
VFBは、報告された苦情全ての大部分を構成する胃腸(GI)症状を有する参加者によって、おおむね十分に容認された。ガス、鼓脹、腸痙攣、便秘、および下痢などの症状が、ボランティアによって認識された。68%は、そのGI症状が、VFB開始から約3週間以内に消散したことを示した。参加者の32%全てには、この研究中に中程度のGI副作用があることがわかったが、その重症度は、使用を中断するほど十分なものではなかった。
【0242】
考察:
この遡及的分析の結果は、14週間にわたる、食事および身体的活動の全体的な変化と共にVFBミクロ顆粒(VFB 100)を使用することは、過体重および/または肥満の人間の代謝および心臓血管の危険因子を修正するのに有益であることを、明らかに実証している。全体的に、グループ体重(−12.78±7.84ポンド)、ウェスト回り(−4.75±2.19インチ)、および体脂肪%(−2.43%±2.39%)に、有意な低下があった。さらに、これら後者の変化は、14週という比較的短い時間帯において。空腹時LDL(−25.51%)、空腹時グルコース(−6.96%)、および空腹時インシュリン(−27.26%)レベルの有意な低下と並行していた。VFBミクロ顆粒によって提供されたこの広範な臨床上の利益は、代謝制御を改善する際のその独自の生理学的利点を反映している。
【0243】
粘性可溶性繊維に富む食物5〜10gの消費は、血清LDLコレステロールを低下させ、後続のCDV事象では10%〜15%低下させることが報告されている(Shamliyanら、J,Fam.Pract. 55巻:761〜9頁(2006年))。この研究から得られた結果に基づき、VFBは、LDLコレステロールを25.1%低下させるのに、より効果的になることが示された。比較において、研究は、最短でも3カ月にわたってコレステロール低下食材の「ポートフォリオ」を用いる者は、約14%というLDLコレステロールの安定した低下をもたらすことを示した(p<0.001)(Jenkinsら、Am.J.Clin.Nutr. 83巻:582〜91頁(2006年))。
【0244】
さらに、この調査に見られるLDLコレステロール値の低下は、VFBを用いて得られた低下%がスタチン型薬物で報告された有効性(20%〜55%)の範囲内に包含されるので、注目に値する(Ritishauser、Swiss Med. Wkly 136巻:41〜9頁(2006年))。
【0245】
この研究の結果は、14週間にわたる短期体重減少を促進するのに、VFBが有効であることを実証する。得られた結果(−12.78ポンド;5.81kg)は、抗肥満薬オルリスタットを摂取したものと同様である。対照研究では、12週間にわたって1日3回、120mgの用量で薬物オルリスタットを用いた過体重(BMI>25kg/m2)2型糖尿病患者は、プラセボ群の0.4kgに比べて2.5kg減少した(p<0.05)(Kuoら、Int.J.Clin.Pract. 60巻(8号):906〜10頁(2006年))。シブトラミンおよびオルリスタットを含む処方薬である体重減少薬物の長期使用(12カ月)は、プラセボに比べ、それぞれ4.5kgおよび2.9kgの平均体重減少をもたらした(Dixon、Australian Fam.Phys. 35巻:576〜79頁(2006年))。
【0246】
現行の14週調査で、男性(−18.32±6.15ポンド)は女性(−11.34±7.69ポンド)よりも、平均して多くの体重を失うことが示されたことは、興味深い。この変化は、安静時エネルギー消費量に見られる基本的性差による可能性がある。ロバート・フェラーロ博士およびその関係者による研究は、あまり動かない場合の24時間エネルギー消費量が、年齢、活動、および身体組成に関する統計的調節後、男性に比べて女性では約5%〜10%低いことを示した(Ferraroら、J.Clin.Invest. 90巻:780〜784頁(1992年))。
【0247】
この研究では、携帯用間接熱量計(MedGemデバイス、HealtheTechによる)の使用を通して、女性は、この研究の最初では男性(2346.67キロカロリー)に比べてより低い平均安静時/基礎代謝率(1841.18キロカロリー)を有していたことが決定された。
【0248】
またこの研究は、VFBを消費した被験体で、体重の減少と並行してBMIスコアも、ベースラインから2.26±1.24%有意に低下したことを実証した(p<0.05)。BMIは、過体重/肥満の程度およびこれが健康上で危険性に及ぼす全体的な影響の評価するために、一般的に用いられる尺度である(usda.gov/cnpp/Insights/Insight16b.pdf)。例えば、30以上のBMIを有する男女は共に、過体重(25kg/m2〜29.9kg/m2のBMI)であると分類されたものよりも高い死亡危険率を有する(Villarealら、Am.J.Clin.Nutr. 82巻:923〜34頁(2005年))。
【0249】
体重およびコレステロールレベルを修正する他に、この研究の結果は、VFBが、空腹時グルコース、2時間グルコース、および空腹時インシュリンレベルを有意に低下させたことを示し、これはVFBが、血糖制御を改善するのに価値があることを実証している。特に、本発明の研究の結果は、総空腹時インシュリンレベルが、14週の調査中に89.41±44.84pmol/Lから65.04±33.21pmol/Lに低下したことを示す。この後者の知見は、過体重または肥満の個体において、インシュリン分泌のベースラインおよび食後4時間での分泌率が、正常体重の場合よりも高いことを確認する。この結果は、健常者および肥満被験体でのインシュリン分泌の24時間プロフィールを測定した別の研究(Polanskyら、J.Clin.Investg. 28巻(supple 2):3〜6頁(1998年))と一致している。
【0250】
さらに、これらの結果は、VFB顆粒による生活スタイルの修正が、インシュリン耐性の処置に役立つことも示唆している。肥満は、インシュリン耐性で重要な役割を演じ、インシュリン耐性の増加または減少は、それぞれ体重増加または減少に結び付いている(Lamounier−Zepterら、Best Pract.Res.Clin.Endocrin.Metabol. 20巻:355〜367頁(2006年))。
【0251】
これら後者の結果は、VFBの処置的使用が、過剰な体重、肥満、および/またはメタボリックシンドロームに罹っている者に実用的な利益をもたらすことを示唆している。
【0252】
(実施例16)
この実施例は、血糖の不安定性を示す肥満であるが糖尿病ではない被験体および糖尿病の被験体に関する研究について記述しており、これら被験体への粘性繊維混合物(VFB)の投与が、その血糖の不安定性を低下させるのに有効であることを実証する。
【0253】
理論的根拠:12名の肥満であるが糖尿病ではない被験体、および数名の糖尿病の被験体について、連続的グルコースモニタリングシステム(MiniMed(登録商標)CGMS、Medtronic Inc.)を使用して研究し、正常体重のコントロール被験体と比較した。CGMSは、医師によって腹部脂肪組織内に挿入されたマイクロ電子センサに接続されている、1週間まで装着される携帯用電子デバイスである。このデバイスは、インシュリン依存性糖尿病での血糖のモニタリングに関し、FDAにより承認されたものであり、典型的には、インシュリンのより精密な調節が可能になるように、糖尿病の血糖をより正確にかつ24時間休みなく見るために、糖尿病専門センターで使用される。フィンガースティックグルコースモニタのように、血糖を1日当たり2〜3回サンプリングするのではなく、CGMSは、血糖を1日当たり数百回サンプリングする。数日後、患者を医師に戻し、血糖データを医師のコンピュータにダウンロードする。次いでデータをグラフ表示し、定量的に分析して、低血糖エピソードの頻度などのパラメータを評価し、ならびに平均およびピーク血糖値を評価する。本発明者らの知る限りでは、ならびにデバイス製造業者が知る限りでは、本発明者らは、肥満であるが糖尿病ではない個体の評価でCGMSを使用した最初のグループである。本発明者らは、血糖偏倚の頻度の増大、血糖の上昇および下降の迅速な性質、増大した血糖の不安定性として理想的な血糖値よりも高く維持された時間について、まとめて言及する。
【0254】
方法:12名の肥満であるが糖尿病ではない被験体および数名の糖尿病の被験体の血糖の不安定性を、連続的グルコースモニタリングシステム(CGMS MiniMed、Medtronic,Inc.)を使用してベースラインでまた5週間の研究後に評価した。5週間の研究中、各被験体は、1日当たりVFB(コンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17))10〜15gを消費した。被験体を、この研究機関中に主観的空腹および食物要求についても評価した。
【0255】
第2の研究では、数名の肥満であるが糖尿病ではない被験体を、低血糖上昇指数食(VFBを含まない)で6カ月間処置し、血糖の不安定性を、低血糖上昇指数食の前のベースラインで、さらに6カ月間の食事の後にも評価した。
【0256】
第3の研究では、インシュリン処置を受ける数名の糖尿病の被験体を、4週間にわたり、1日当たり10〜15gのVFB(コンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17))で処置した。被験体を、連続的グルコースモニタリングシステムを使用して、ベースラインで、また4週間の研究後にも評価した。
【0257】
結果:
健常者:
図15は、24時間にわたる、肥満でも糖尿病でもない被験体での正常な血糖の不安定性を測定する、代表的な連続的グルコースモニタリングシステム(CGMS)グラフを示す。図15に示されるように、健常者の血中グルコースレベルは、70〜120mmol/dLの理想的な値の間にあり、血糖の不安定性は、24時間にわたる約100mmol/dlの平均血糖グルコースレベルからの、非常に穏やかで低頻度の偏倚を示す。図15に示されるデータは、試験をした数名の健常者を表している。
【0258】
肥満であるが糖尿病ではない被験体(VFB処置の前後):
健常者で得られた結果とは対照的に、肥満の個体は、迅速に変動する血糖レベルを有し、かつ典型的には、以下により詳細に記述するように、年齢が一致したコントロールに比べ、高頻度の高血糖および低血糖性の血糖偏倚を示すことを発見した。
【0259】
図16Aは、VFBで処置する前に24時間にわたり測定された(ベースライン)、肥満であるが糖尿病ではない被験体(ID:10)に関するCGMSグラフを示す。図16Aに示される結果は、VFBで処置する前のこの被験体で、5回連続して24時間にわたり測定された結果を表す。図16Aに示されるように、被験体(ID:10)は、健常者(図15)に比べて増大した血糖の不安定性を有しており、ピーク血中グルコースレベルは180mg/dLを超え、それと共に頻繁な血中グルコース偏倚があり、その結果、健康な固体に比べて(図15)全体的に増大した血糖の不安定性が生じた。図16Bは、VFBを5週間消費させた後(10〜15g/日)の、図16Aに示されたものと同じ被験体ID:10のCGMSグラフを示す。図16Bに示されるように、血糖の不安定性の劇的な低下は、VFBで処置した後の被験体ID:10で観察され、このときの平均血中グルコースレベル約100mmol/dLは、健常者で観察されたものと同様に(図15)、24時間にわたって維持された。
【0260】
図17Aは、VFBで処置する前に24時間にわたり測定された(ベースライン)、第2の肥満であるが糖尿病ではない被験体(ID:90)に関するCGMSグラフを示す。図17Aに示される結果は、VFBで処置する前に、この被験体で5回連続して24時間にわたり測定された結果を表す。図17Aに示されるように、被験体(ID:90)は、健常者(図15)に比べて増大した血糖の不安定性を有し、それと共に頻繁な血中グルコース偏倚を有し、その結果、健康な個体(図15参照)に比べて全体的に増大した血糖の不安定性をもたらす。図17Bは、VFBを5週間消費させた後(10〜15g/日)の、図17Aに示されるものと同じ被験体ID:90のCGMSグラフを示す。図17Bに示されるように、血糖の不安定性の劇的な低下は、VFBで処置した後の被験体ID:90で観察され、そのときの平均血中グルコースレベル約100mmol/dLは、健常者で観察された場合と同様に(図15)、24時間にわたって維持された。図17Bに示される結果は、VFBで処置した後のこの被験体で、5回続けて24時間にわたり測定された結果を表す。
【0261】
図18Aは、VFBで処置する前に24時間にわたり測定された、第3の肥満であるが糖尿病ではない被験体(ID:20)のCGMSグラフを示す(ベースライン)。図18Aに示される結果は、VFBで処置する前の被験体で、5回連続して24時間にわたり測定された結果を表す。図18Aに示されるように、被験体(ID:20)は、健常者(図15)に比べて増大した血糖の不安定性を有し、それと共に頻繁な血中グルコース偏倚を有し、その結果、健康な個体(図15参照)に比べて全体的に増大した血糖の不安定性が得られた。図18Bは、VFBを5週間消費させた後(10〜15g/日)の、図18Aに示されるものと同じ被験体ID:20のCGMSグラフを示す。図18Bに示されるように、血糖の不安定性の劇的な低下は、VFBで処置した後の被験体ID:20で観察され、その平均血中グルコースレベル約100mmol/dLは、健常者(図15)で観察された場合と同様に、24時間にわたり維持された。図18Bに示される結果は、VFBで処置した後のこの被験体で、5回続けて24時間にわたり測定された結果を表す。
【0262】
上述の3名の被験体(ID:10、20、90)の結果は、この研究に含めたその他の被験体(データは示さず)を表した。これらの結果は、VFBが、肥満被験体で観察された血糖の不安定性を有意に低下させるのに有効であったことを実証する。さらに、この研究における肥満であるが糖尿病ではない被験体は、5週間の研究の過程で、主観的空腹および食物要求の著しい低下を報告することが示された。
【0263】
肥満であるが糖尿病ではない被験体(低血糖上昇指数食の前後):
CGMSデータは、低血糖上昇指数食(VFBを含まない)で処置する前および後の、数名の肥満であるが糖尿病ではない被験体から得られた。重要なことは、VFBで観察された結果とは対照的に、低血糖上昇指数食が、これら被験体の血糖の不安定性を有意に低下させることはないことが観察されたことである。図19Aは、低血糖上昇指数食で処置する前の(ベースライン)、肥満であるが糖尿病ではない被験体(ID:1098)の24時間にわたるCGMSグラフを示す。図19Bは、6カ月間の低血糖上昇指数食の後の、24時間にわたるCGMSグラフを示す(図19Aに示されるものと同じ、肥満であるが糖尿病ではない被験体から)。図示されるように、食事前の被験体で示される血糖の不安定性(図19A)は、低血糖上昇指数食によって有意に低下することはないことを示した(図19B)。別の例として、図19Cは、低血糖上昇指数食で処置する前の(ベースライン)、第2の肥満であるが糖尿病ではない被験体(ID:1146)の、24時間にわたるCGMSグラフを示す。図19Dは、6カ月間の低血糖上昇指数食の後の、24時間にわたるCGMSグラフを示す(図19Cに示されるものと同じ肥満であるが糖尿病ではない被験体から)。図示されるように、食事の前の被験体で示された血糖の不安定性は(図19C)、低血糖上昇指数食によって有意に低下することはなかった(図19D)。したがってこれらの結果は、低血糖上昇指数食が、肥満被験体で観察された血糖の不安定性を低下させるのに有効ではなかったことを実証する。
【0264】
糖尿病被験体(VFB処置の前後)
CGMSデータを、VFBで処置する前および後の(4週間にわたり10〜15g/日)、インシュリン処置を受けている数名の糖尿病の被験体から得た。図20Aは、VFBで処置する前(ベースライン)の、インシュリンを受けている肥満の糖尿病被験体(ID:60)の、24時間にわたるCGMSグラフを示す。図20Aに示されるように、血糖は、この被験体で不十分に制御され、ピーク血中グルコースレベルが300mg/dLを超え、低血中グルコースレベルは70mg/dLよりも低く、それと共に頻繁な血中グルコース偏倚があり、その結果、健康な個体に比べて全体的に増大した血糖の不安定性が生じた。図20Aに示される結果は、VFBで処置する前に、この被験体で5回続けて24時間にわたり測定された結果を表す。
【0265】
図20Bは、4週間にわたりVFBで処置した後の(10〜15g/日)、図20Aに示されるものと同じ糖尿病の被験体の、24時間にわたるCGMSのグラフを示す。図20Bに示されるように、血糖レベルは、VFB処置によってさらにより良く制御され、重要なことは、インシュリン要求が、VFB処置前に前もって必要とされる用量の1/2未満であることであった。図20Aに示される結果は、VFBで処置した後のこの被験体で、5回続けて24時間にわたり測定された結果を表す。同様の効果が、その他の糖尿病の被験体で観察された。
【0266】
結論:
まとめると、これらの結果は、血糖の不安定性に対してVFB処置の有意かつ意外な影響が発揮され、肥満であるが糖尿病ではない被験体では、低血糖上昇指数食のみでの処置よりもVFB処置が優れていることを実証する。この研究で分析された肥満であるが糖尿病ではない被験体の全ては、この研究の開始前に24時間にわたり測定したとき(ベースライン)に増大した血糖の不安定性を有し、それに比べて健康なコントロール被験体では、VFBで処置した後に有意に低下したことが観察された。さらに、VFB処置は、肥満のインシュリン依存性糖尿病の被験体で血糖調節を著しく改善するのに有効であることが実証された。
【0267】
本発明の好ましい実施形態が例示され、記載されたが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、それらの実施形態において種々の変更をなし得ることが理解される。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、食物繊維組成物、ならびに食欲を抑制し、体重減少を促進し、血中グルコースレベルおよび血中コレステロールレベルを低下させるためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
肥満およびメタボリックシンドロームは、2型糖尿病の発生に繋がり得る状態であり、ますます一般的になってきた。そのような状態は、細胞のインシュリン抵抗性が増大することによることが見出された。従来、糖尿病状態は、血糖を調節するためにインシュリン注射および種々の薬剤を用いて管理されている。しかしながら、食餌および体重減少が、糖尿病と関連づけられる多くの代謝異常を矯正するのに主要な役割を果たしている(非特許文献1)。高い血糖上昇指数を有する食料の高摂取は、過食および肥満をもたらすことが知られている(非特許文献2)。したがって、糖尿病状態ならびに体重減少の管理に使用される薬剤はいずれも血糖上昇指数が低いことが好ましい。最も好ましいのは、そのような薬剤が食品の血糖上昇指数を低下させる場合である。
【0003】
炭水化物摂取の低減もまた、糖尿病状態の管理の成功に必要とされる。食餌カウンセリングは有用であるが、糖尿病患者は、低血糖の状態をより頻繁に経験するにつれ、より大きな食欲を経験する(非特許文献3)。更に、糖尿病患者における血中グルコースレベルを低下させる療法は、体重増加という望ましくない副作用としばしば関連づけられる(非特許文献4)。可溶性繊維の多い食餌は、インシュリン感受性の上昇により糖尿病の危険性を低下させ得ることが報告された(非特許文献5)。これは、血糖調節における食物繊維の果たし得る役割に起因し得る。高粘度の食事は、低粘度の食事と比較して、より大きな満腹感を生じさせることも報告された(非特許文献6)。
【非特許文献1】Yipら、2001年、Obesity Res.、9:341S−347S
【非特許文献2】Ludwigら、1999年、Pediatrics、103(3):E26
【非特許文献3】Strachanら、2004年、Physiol.Behav.、80(5):675−82
【非特許文献4】Schultesら、2003年、J.Clin.Endocrinol.Metabol.、88(3):1133−41
【非特許文献5】Ylonenら、2003年、Diabetes Care、26:1979−85
【非特許文献6】Marcianiら、2001年、Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.、280:G1227−33
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、血糖レベルを低下させ、飽満感を促進することによって糖尿病状態の管理を助ける食物繊維組成物の必要性がある。本発明は、この必要性およびその他に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
本発明の一局面は、食物繊維組成物を提供する。典型的に、この食物繊維組成物は、所望の粘度を生じさせるための有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、胃条件下で15分後に少なくとも2000センチポアズの粘度を有する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、腸条件下で15分後に少なくとも10,000センチポアズの粘度を有する。上記食物繊維組成物の一部の実施形態は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む。
【0006】
一部の実施形態において、本発明は、哺乳動物被験体において、約1センチポアズ〜約3000センチポアズの初期粘度を生じさせ、摂食後15分以内に少なくとも3倍の粘度上昇を生じさせるために有効な量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む食物繊維組成物を提供する。
【0007】
一部の実施形態において、本発明は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む有効量の食物繊維組成物を含む食品を提供する。典型的な食品としては、栄養補助食品および代替食品(meal replacement)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、上記食品は、約2%〜約10%(w/w)の食物繊維組成物を含み、この食物繊維組成物は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む。
【0008】
本発明の別の局面は、食物繊維組成物を調製するための方法を提供する。一部の実施形態において、上記方法は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを合わせて有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む食物繊維組成物を提供する工程を包含する。一部の実施形態において、上記方法は、食物繊維組成物を顆粒化する工程を更に包含する。本発明の方法に従って調製される食物繊維組成物は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含み得る。一部の実施形態において、食物繊維組成物を調製するための上記方法は、上記組成物を顆粒化する工程を包含する。
【0009】
別の局面において、本発明は、グルコマンナンを含む食物繊維組成物の初期粘度を低下させる方法を提供し、この方法は、食物繊維組成物を顆粒化する工程を包含する。
【0010】
別の局面において、本発明は、グルコマンナンおよびキサンタンガムを含む食物繊維組成物の初期粘度を低下させる方法を提供し、この方法は、有効量のアルギナートを上記組成物に加える工程を包含する。
【0011】
本発明の更なる局面は、哺乳動物において、飽満を促進するか、体重減少を促進するか、血中グルコースレベルを低下させるか、または血中コレステロールレベルを低下させる方法を提供する。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において、飽満を促進するか、体重減少を促進するか、血中グルコースレベルを低下させるか、または血中コレステロールレベルを低下させるのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。これらの方法に従って投与される食物繊維組成物は、約48%と約70%(w/w)との間のグルコマンナン、約11%と約13%(w/w)との間のキサンタンガムおよび約9%と約17%(w/w)との間のアルギナートを含み得る。
【0012】
別の局面において、本発明は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物、ならびに少なくとも1種の脂質またはその混合物を含む食物繊維組成物であって、この脂質またはその混合物が、食物繊維組成物全体の少なくとも20%を構成する食物繊維組成物を提供する。一部の実施形態において、この組成物は、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む。一部の実施形態において、この組成物は、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む。一部の実施形態において、この組成物は、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約9%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む。一実施形態では、この組成物は、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む。
【0013】
別の局面において、本発明は、(a)グルコマンナン、キサンタンガム、およびアルギナートを含む繊維混合物、および(b)少なくとも1種の脂質またはその混合物を含む食物繊維組成物を提供し、この繊維混合物および少なくとも1つの脂質は、胃条件に暴露されて5分後にこの食物繊維組成物が約1〜約3,500センチポアズの水中粘度、および15分以内に少なくとも5倍の粘度の増大を示すことを可能にするのに十分な量でそれぞれ存在する。一部の実施形態において、組成物は、約50%〜約90%(w/w)のグルコマンナンを含む繊維混合物を含む。一実施形態では、この組成物は、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む。
【0014】
別の局面において、本発明は、この食品の有効炭水化物50g当たり2.5〜7.5gの、繊維混合物を含む組成物を含む食品を提供し、この繊維混合物が約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む。一部の実施形態において、この組成物は、約60%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む。一部の実施形態において、この組成物は、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約9%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む。一実施形態では、この組成物は、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む。
【0015】
さらに別の局面において、本発明は、食品の血糖上昇指数を低下させるための方法を提供し、この方法は、食品の血糖上昇指数を、少なくとも5血糖上昇指数単位だけ低下させるのに有効な量で食物繊維混合物を含む組成物を、消費前に食品に加える工程を包含し、この繊維混合物が、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む。一実施形態では、この組成物は、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む。
【0016】
別の局面において、本発明は、血糖の不安定性(glycemic volatility)を低減する必要のある被験体における、血糖の不安定性の低減方法を提供し、この方法は、その必要のある被験体に、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む組成物を投与する工程を包含する。一部の実施形態において、この組成物は、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約9%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む。一実施形態では、この組成物は、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む。一部の実施形態において、本発明のこの局面は、(a)被験体のベースラインの血糖の不安定性を求めるために、連続的グルコースモニタリングシステムを用いて、指定された時間、被験体を測定する工程と、(b)約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む有効投与量の繊維混合物を、工程(a)において測定されたベースラインの血糖の不安定性と比較して、被験体の血糖の不安定性を低減するのに有効な期間、被験体に投与する工程とを含む。
【0017】
別の局面において、本発明は、食物繊維組成物の製造方法を提供し、この方法は、(a)約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを混合する工程と、(b)約20%〜約70%の脂質またはその混合物を加え、混合して、食物繊維組成物を生成する工程とを包含する。一部の実施形態において、この方法は、工程(b)の前に、工程(a)の混合物を顆粒化する工程をさらに包含する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、実施例2に記載するように、異なる可溶性繊維源および粘性繊維混合物(VFB)の、50g経口グルコース負荷への血糖応答に対する効果を図示している。
【図2A】図2Aは、実施例2に記載するように、VFBクッキーを含む試験朝食が与えられた被験体における、0週目および3週目の、各食事および就寝前の軽食の前の主観的食欲評価の比較を提供する。データは、平均±SDとして表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【図2B】図2Bは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被験体における、0週目および3週目の、各食事および就寝前の軽食の前の主観的食欲評価の比較を提供する。データは、平均±SDとして表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【図3A】図3Aは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被験体および試験朝食が与えられた被験体における、この調査の開始時に測定した場合の急性食後グルコース応答をグラフにより図示している。
【図3B】図3Bは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被験体および試験朝食が与えられた被験体における、この調査の3週間目に測定した場合の急性食後グルコース応答をグラフにより図示している。
【図3C】図3Cは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被験体および試験朝食が与えられた被験体における、この調査の開始時に測定した場合の食後インシュリン応答をグラフにより図示している。
【図3D】図3Dは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被験体および試験朝食が与えられた被験体における、この調査の3週間目に測定した場合の食後インシュリン応答をグラフにより図示している。
【図4】図4は、実施例2に記載するように、0週目および3週目の食後グルコース応答についての曲線下面積を、コントロールおよびVFBについて示している。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【図5】図5は、実施例2に記載するように、0週目および3週目の食後インシュリン応答についての曲線下面積を、コントロールおよびVFBについて示している。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【図6】図6は、実施例2に記載するように、3週間にわたり試験朝食を消費した被験体における体脂肪率(%)の変化を、コントロール朝食を消費した被験体と比較して、グラフにより図示している。
【図7】図7は、実施例8に記載するように、蒸留水中の種々の繊維混合物の時間経過による粘度プロフィールをグラフにより図示している。
【図8】図8は、実施例8に記載するように、胃条件下の種々の繊維混合物の時間経過による粘度プロフィールをグラフにより図示している。
【図9】図9は、実施例8に記載するように、腸条件下の種々の繊維混合物の時間経過による粘度プロフィールをグラフにより図示している。
【図10】図10Aは、実施例11に記述される、固形食(白パン)、白パンおよびVFB100、または白パンおよびVFB300で複数の被験体を処置した後の、血中グルコースの漸進的変化をグラフで示す図である。図10Bは、実施例11に記述される、図10Aで示したパン治療薬で複数の被験体を処置した後の、食後血中グルコースの増分曲線下面積(incremental area under the curve)(IAUC)をグラフで示す図である。
【図11】図11Aは、実施例11に記述される、グルコース飲料コントロール、グルコース飲料およびVFB100、またはグルコース飲料およびVFB300で複数の被験体を処置した後の、血中グルコースの漸進的変化をグラフで示す図である。図11Bは、実施例11に記述される、図11Aで示したグルコース飲料処置で複数の被験体を処置した後の、食後血中グルコースの増分曲線下面積(IAUC)をグラフで示す図である。
【図12】実施例12に記述される、グルコース飲料、または漸増用量(2.5、5.0、7.5g)のVFBを含有する白パンで消費した後の、血糖上昇指数(GI)の変化をグラフで示す図である。
【図13】平均±SEMで表した、有効炭水化物約50g当たりVFBを5.0g含む、または含まない各試験食ごとの血糖上昇指数を、グラフで示す図である。図13に示されるように、VFBをコーンフレーク、米、ターキーディナー(Turkey Dinner)、またはヨーグルトに添加することにより、食事のGIがそれぞれ26%、45%、24%、および9%低下した。実施例13に記述される、VFBを添加したときのコーンフレークおよび米の食事のGIで観察されたパーセントの低下は、統計的に有意であった(p<0.00001)。
【図14】平均±SEMで表した、VFBを含む、または含まない各試験食ごとの血糖上昇指数を、グラフで示す図である。図14に示されるように、VFBを添加すると、全てのグラノーラの血糖上昇指数が低下し、実施例14に記述されるように、使用したグラノーラの種類とは無関係に、統計的に有意な低下が観察された(p<0.0001)。
【図15】24時間にわたり、肥満でも糖尿病でもない被験体の通常の血糖の不安定性を測定する、代表的な連続的グルコースモニタリングシステム(CGMS)グラフを示す。
【図16A】VFBで処置する前に24時間にわたり測定された、肥満であるが糖尿病ではない被験体(ID:10)のCGMSグラフを示す(ベースライン)。
【図16B】VFBを5週間消化した後の(10〜15g/日)、図16Aに示される被験体(ID:10)のCGMSグラフを示す。
【図17A】VFBで処置する前に、24時間にわたり測定された、糖尿病ではない被験体(ID:90)のCGMSグラフを示す(ベースライン)。
【図17B】VFBを5週間消化した後の(10〜15g/日)、図17Aに示されるものと同じ被験体(ID:90)のCGMSグラフを示す。
【図18A】VFBで処置する前に、24時間にわたり測定された、糖尿病ではない被験体(ID:20)のCGMSグラフを示す(ベースライン)。
【図18B】VFBを5週間消化した後の(10〜15g/日)、図18Aに示されるものと同じ被験体(ID:20)のCGMSグラフを示す。
【図19A】低血糖上昇指数食で処置する前の、肥満であるが糖尿病ではない被験体(ID:1098)の24時間にわたるCGMSグラフを示す(ベースライン)。
【図19B】低血糖上昇指数食を6カ月間与えた後の、(図19Aに示されるものと同じ肥満であるが糖尿病ではない被験体の)24時間にわたるCGMSグラフを示す。
【図19C】低血糖上昇指数食で処置する前の糖尿病ではない被験体(ID:1146)の、24時間にわたるCGMSグラフを示す(ベースライン)。
【図19D】低血糖上昇指数食を6カ月間与えた後の、(図19Cに示されるものと同じ肥満であるが糖尿病ではない被験体の)24時間にわたるCGMSグラフを示す。
【図20A】VFBで処置する前の、インシュリンを受けている肥満かつ糖尿病である被験体(ID:60)の24時間にわたるCGMSグラフを示す。
【図20B】4週間VFBで処置した後の(10〜15g/日)、図20Aに示されるものと同じ糖尿病の被験体の24時間にわたるCGMSグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の前記局面および多くの附帯利益は、以下の詳細な説明を参照してより良く把握され、添付図面と関連させて理解される場合、より容易に認識される。
【0020】
(詳細な説明)
一局面において、本発明は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む食物繊維組成物を提供する。本明細書中で使用される場合、「グルコマンナン」は、β−(1,4)結合D−マンノース残基とβ−(1,4)結合D−グルコース残基とを約3:1の比率で含み、更に種々のα結合ガラクトース末端基を含む、水溶性食物繊維をいう。グルコマンナンは、最も一般的には、コンニャクの根(Amorphophallus konjac)から単離されるが、他の植物源からも単離され得る。市販されているグルコマンナンは、代表的に最大約10%(w/w)の水を含む。「キサンタンガム」は、グルコース、マンノース、グルクロン酸カリウムまたはグルクロン酸ナトリウム、アセテート、ピルベートを含む複合多糖類をいう。市販されているキサンタンガムは、代表的に最大約13%(w/w)の水を含む。「アルギナート」は、マンヌロン酸およびグルロン酸の混合重合体をいう。市販されているアルギン酸ナトリウムは、代表的に最大約15%(w/w)の水を含む。
【0021】
本発明の食物繊維組成物は、有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。本明細書中で使用される場合、「有効量」は、所望の粘度を生じさせる量をいう。有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートは、合わせた場合に所望の粘度を生じさせるこれらの成分の各々の比例した量である。食物繊維組成物の有効量は、摂取された場合に所望の粘度を生じさせる組成物量である。食物組成物中のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートの割合は、一般的に、口当たりの良い初期粘度を有するが、15分〜60分間にわたって粘度を実質的に上昇させ、胃条件下または腸条件下で粘度を維持するかまたは上昇させる繊維混合物を生じさせるように選択される。本明細書中で使用される場合、用語「口当たりの良い初期粘度」は、約1センチポアズ〜約3000センチポアズのある範囲の粘度をいう。約3000センチポアズよりも大きな粘度を有する液体は、摂取するのが困難であり、したがって、口当たりが良くないと考えられる。本明細書中で使用される場合、「初期粘度」は、約4℃と約25℃との間(例えば、約16℃と25℃との間)の温度または同等な条件での、100倍(w/w)過剰な水中の食物組成物の粘度をいう。「胃条件下の粘度」は、約16℃と約25℃との間の温度または同等な条件での、70倍(w/w)過剰な胃液体中の食物組成物の粘度をいう。「胃液体」は、7.0mLのHClおよび全体を100mLとするのに十分な水に2.0gのNaClと3.2gのペプシンとを溶解することにより作製される約1.2のpHを有する溶液をいう(米国薬局方参照)。胃条件は、10滴のリン酸を200gの蒸留水に加えることにより模擬され得る。「腸条件下の粘度」は、約16℃と約25℃との間の温度または同等な条件での、70倍(w/w)過剰な模擬腸液体中の食物組成物の粘度をいう。「模擬腸液体」は、以下の通りに作製される約7.5と約8.0との間のpHを有する溶液をいう:6.8gの一塩基リン酸カリウムを250mLの水に溶解し、混合する。190mLの0.2N NaOHと400mLの水とを加える。これに続いて、10.0gのパンクレアチンを加え、混合し、0.2N NaOHを用いてこの溶液のpHを7.5±0.1に調整し、水で希釈して1000mLにする(米国薬局方参照)。
【0022】
一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、約1センチポアズ(cps)と約3000cpsとの間(例えば、約200cps〜約1000cpsまたは約400cps〜約1000cps)の初期粘度を有する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、胃条件下で約30分後に、約600cpsと約5000cpsとの間(例えば、約1000cps〜約5000cpsまたは約1000cps〜約3000cps)の粘度を有する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、腸条件下で約30分後に、約1500cpsと約8000cpsとの間(例えば、約2000cps〜約6000cpsまたは約2500cps〜約6000cps)の粘度を有する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、約1センチポアズ〜約3000センチポアズの初期粘度を生じさせ、実施例1に記載するように、哺乳動物被験体による摂食後15分以内に、少なくとも3倍の粘度上昇を生じさせるための有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。
【0023】
上記食物繊維組成物中のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートの割合は、グルコマンナンが約48%〜約90%(例えば、約60%〜約80%、または約60%〜約90%、または65%〜約75%、または約50%〜約80%、または約50%〜約70%、または約70%)、キサンタンガムが約5%〜約20%(例えば、約10%〜約20%、または約11%〜約13%、または約13%〜約17%、または約13%、または約17%)、そして、アルギナートが約5%〜約30%(例えば、約10%〜約20%、または約13%〜約17%、または約13%、または約17%)であり得る。一部の実施形態において、食物組成物中のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートの割合は、実施例1および8に記載するように、グルコマンナンが約70%、キサンタンガムが約13%〜約17%、そして、アルギナートが約13%〜約17%である。
【0024】
一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、顆粒化される。本明細書中で使用される場合、「顆粒化」は、小さな粒子を集めてより大きく恒久的な凝集体にする任意の造粒プロセスをいう。顆粒化は、混合装置での攪拌によるか、圧縮、押し出し成形または球状化により達成され得る。食物繊維組成物は、種々のメッシュサイズを用いて顆粒化され得る。用語「メッシュ」は、規定された大きさの穴を有する篩を通過する能力により決定される粒子サイズをいう。本明細書中で使用されるメッシュサイズは、Chemical Engineers’Handbook(第5版、Perry & Chilton編著)の表21−12に提示されるような、Tyler相当量(Tyler equivalent)である。実施例1に示すように、食物繊維組成物の顆粒化が大きいほど(すなわち、メッシュサイズが小さいほど)、所望の粘度が達成されるのに長い時間を費やす。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、顆粒化された物質をそれらの粒径により分け、次いで粒径で分けられた顆粒を所望の粘度プロフィールを与えるように再び組み合わせることにより、組み合わせたメッシュサイズを用いて顆粒化される。例えば、30〜60の組み合わせメッシュサイズは、30メッシュ(約600ミクロン)の顆粒と、約40メッシュ(約400ミクロン)の顆粒と、約60メッシュ(250ミクロン)の顆粒とを組み合わせることにより得られる。
【0025】
本発明の食物繊維組成物は、経口組成物の製造に関する当該技術分野において公知の任意の方法に従って、経口使用に適した形態で調製される。例えば、上記食物繊維組成物は、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、水性懸濁剤もしくは油性懸濁剤、散布可能/調剤可能粉末もしくは顆粒剤(例えば、食品上に振り掛け得る粉末および顆粒剤)、乳剤、硬カプセル剤もしくは軟カプセル剤、シロップ剤、エリキシル剤もしくは腸用処方物、または徐放性組成物として調製され得る。経口消費用には、上記食物組成物は、食物または飲料に加えられ得る。例えば、粉末形態の食物組成物は、経口摂取可能な液体と混合されて水性飲料を形成し得、または焼く前のクッキー生地と混合され得る。典型的な食物繊維組成物の処方物は、1カプセルに約500mgの食物繊維組成物を含む、硬ゼラチンカプセル剤である。
【0026】
本発明の食物繊維組成物は、更なる成分を更に含み得る。例えば、上記食物繊維組成物は、ステアリン酸マグネシウム、米粉、キシリトール、レシチン、中鎖トリグリセリド、香料、ステビアおよび/またはシロイド(syloid)シリカを更に含み得る。典型的な食物組成物は、約48%(w/w)のグルコマンナン、約11%(w/w)のキサンタンガム、約9%(w/w)のアルギナート、約31%(w/w)の米粉、および約1%(w/w)のステアリン酸マグネシウムを含む。典型的な食物繊維組成物は、実施例1、4および5に記載される。
【0027】
一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、クワの抽出物を含み得る。クワの葉は、低血糖症に対する治療効果を有することが示された(例えば、Clin.Chim.Acta 314(1−2):47−53参照)。したがって、クワの抽出物の添加は、血糖レベルの調節における食物繊維組成物の効果を高め得る。しかしながら、クワの抽出物の添加は、組成物中の食物繊維の濃度を薄め、組成物全体の粘度を低下させる。したがって、一部の実施形態において、本発明の食物繊維組成物は、クワの抽出物を含まないか、または3.5%未満のクワの抽出物を含む。
【0028】
本発明の食物繊維組成物は、食前、食事中または食後に消費され得る。本発明の食物繊維組成物は、胃腸管中に高粘度を供給することにより空腹を制御し、満腹感を誘発する。この繊維混合物は、胃の酸性条件下でも腸のアルカリ性条件下でも高粘度を維持する。本発明の食物繊維組成物は、血中グルコースレベルを低下させることにより、糖尿病状態の管理を更に助ける。
【0029】
本発明の別の局面は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む、有効量の食物繊維組成物を含む食品を提供する。本発明の食品は、栄養補助食品または代替食品であり得る。一部の実施形態において、上記食品は、シェークまたはスムージーとして提供される。典型的に、本発明の食品は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む、約2%〜約30%(例えば、約2%〜約20%、または約5%〜約15%、または約2%〜約10%)の食物繊維組成物を含む。典型的に、上記食品は、一食当たり、約2グラムと約15グラムとの間(例えば、一食当たり、約3グラムと8グラムとの間、または約3グラムと約6グラムとの間)の食物繊維を含む。一部の実施形態において、本発明の食品は、実施例3および7に記載されるように、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む、約9%(w/w)の食物繊維組成物を含む。
【0030】
本発明の食品は、更なる成分(例えば、タンパク質もしくはアミノ酸、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルおよび補因子、天然もしくは人工の香料、色素もしくは他の着色添加剤、ならびに保存剤)を更に含み得る。用語「ビタミン」は、チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、パントテン酸、ピリドキシン、ビオチン、葉酸、ビタミンB12、リポ酸、アスコルビン酸、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEおよびビタミンKが挙げられるが、これらに限定されない。また、用語「ビタミン」には、補因子および補酵素(例えば、チアミンピロリン酸(TPP)、フラビンモノヌクレオチド(FMM)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、コエンザイムA(CoA)、ピリドキサルリン酸、ビオシチン、テトラヒドロ葉酸、コエンザイムB12、リポイルリシン、11−cis−レチナール、および1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロールを含む補酵素)も含まれる。用語「ビタミン」はまた、コリン、カルニチン、αカロチン、βカロチンおよびγカロチンを含む。用語「ミネラル」は、ヒトの食事に必要とされる無機物、金属等をいい、カルシウム、鉄、亜鉛、セレン、銅、ヨウ素、マグネシウム、リン、クロム、マンガン、カリウム等、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。上記ミネラルは、塩、酸化物またはキレート塩の形態であり得る。
【0031】
着色剤としては、二酸化チタンおよび食物に適した色素(例えば、FD&C色素として公知の色素)、ならびに天然着色剤(例えば、ブドウの皮の抽出物、ビートレッド粉末(beet red powder)、βカロチン、アナトー、カルミン、ターメリック(tumeric)、クロロフィルおよびパプリカ)が挙げられるが、これらに限定されない。使用される着色剤の量は、色の彩度に応じ、乾燥重量で組成物全体のうち、約0.0%〜約3.5%の範囲であり得る。
【0032】
組成物中に含まれる香料は、合成香油、香料用芳香剤および/または天然油、植物、葉、花および果実からの抽出物、ならびにそれらの組み合わせより選択され得る。これらの香料としては、桂皮油、ウインターグリーン油、ペパーミント油、チョウジ油、月桂樹油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ニクズク油、セージ油、柑橘類果実(レモンおよびオレンジを含むが、これらに限定されない)の油、苦扁桃油およびカッシア油が挙げられるが、これらに限定されない。適切な香料としては、バニラ、チョコレート、モカ、コーヒー、アイスクリーム、柑橘類(レモン、オレンジ、ブドウ、ライムおよびグレープフルーツを含む)、リンゴ、西洋ナシ、モモ、マンゴー、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップルおよびアプリコットが挙げられるが、これらに限定されない。香料の量は、多数の要因(望ましい感覚器刺激効果を含む)に依存し得る。香料は、組成物の乾燥重量を基準として、約0%〜約10.0%の乾燥重量の範囲で存在し得る。典型的な本発明の食品は、実施例2、3および7に提供される。
【0033】
一部の実施形態において、本発明の食品は、ビルベリーの抽出物、ルテインおよび/またはタウリンを含まない。本発明の一部の実施形態は、28g未満のホエイタンパク質または8.9g未満のフルクトースを含む食品を提供する。本発明の一部の実施形態は、0.9gより多くの中鎖トリグリセリドを含む食品を提供する。
【0034】
更なる局面において、本発明は、食物繊維組成物を調製するための方法および食物繊維組成物を含む食品を調製する方法を提供する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物を調製する方法は、約1センチポアズ〜約3000センチポアズの初期粘度を生じさせ、摂食後15分以内に少なくとも3倍の粘度の増大を生じさせるための、有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを合わせる工程を包含する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物を調製する方法は、食物繊維組成物を顆粒化する工程を更に包含する。
【0035】
一部の実施形態において、上記食物繊維組成物を含む食品を調製する方法は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む有効量の食物繊維組成物を食品に加える工程を包含する。本発明の食品は、一日に一回または数回、消費され得る。
【0036】
別の局面において、本発明は、グルコマンナンを含む食物繊維組成物の初期粘度を低減する方法を提供する。一部の実施形態において、上記方法は、グルコマンナンを含む食物繊維組成物を顆粒化して、低減させた粘度を有する組成物を生成する工程を包含する。一部の実施形態において、上記食物繊維は、キサンタンガムおよび/またはアルギナートを更に含む。一部の実施形態において、上記方法は、組成物の初期粘度を低減させながらも、時間の経過により(例えば、約120分間後に)組成物の粘度を増大させるのに有効な量のアルギナートを、グルコマンナンを含む組成物に加える工程を包含する。
【0037】
本発明の更に別の局面は、哺乳動物において、飽満を促進する、体重減少を促進する、血中グルコースレベルを低下させる、または血中コレステロールレベルを低下させるための方法を提供する。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において飽満を促進するのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において体重減少を促進するのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において血中グルコースレベルを低下させるのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において血中コレステロールレベルを低下させるのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。
【0038】
本発明の方法における使用のための典型的な食物繊維組成物は、上述の通りである。食物繊維組成物は、任意の形態で投与され得る。例えば、それらの食物繊維組成物は、カプセル剤として投与され得るか、または食品に含めて投与され得る。
【0039】
典型的な本発明の方法は、実施例2および3に記載されている。実施例2および3に示されるように、本発明の方法は、インシュリン感受性の顕著な増大を生じさせ、体脂肪を減少させ、そして飽満および体重減少を促進する。
【0040】
別の局面において、本発明は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物、ならびに少なくとも1種の脂質またはその混合物を含む食物繊維組成物であって、この脂質またはその混合物が、食物繊維組成物の少なくとも20% w/wを構成する食物繊維組成物を提供する。
【0041】
実施例9および10、ならびに表28〜31に記載されているように、本発明の種々の実施形態の食物繊維組成物への脂質またはその混合物の添加は、水中での繊維混合物の粘性作用を遅らせるのに有効であり、これは、被験体における経口投与の間の窒息を防止するのに有用でありながら、胃条件(消費後のインビボ条件)下で短時間内に高粘度にさせる。
【0042】
約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物は上述されている。
【0043】
本発明のこの実施形態によって使用される場合、脂質は、アルコールに溶解するが、水に溶解しない物質(例えば、脂肪、油、またはワックス)として定義される。本明細書中で使用される場合、用語「脂肪」および「油」は、互換的に使用され、脂肪酸を含む。
【0044】
一部の実施形態において、組成物における使用のための脂質は、乳製品の脂肪(例えば、乳脂肪、バター脂肪)、動物性脂肪(例えば、ラード)、または植物性脂肪(例えば、ヤシ油、カカオバター、もしくはパーム油)からなる群から選択される脂肪を含む。
【0045】
一部の実施形態において、組成物における使用のための脂質は、食用油または油の混合物を含む。そのような油として、植物油(例えば、キャノーラ油、ダイズ油、パーム核油、オリーブ油、サフラワー油、ヒマワリ種子油、亜麻仁(flaxseed)(亜麻仁(linseed))油、トウモロコシ油、綿実油、ラッカセイ油、クルミ油、扁桃油、ブドウ種子油、月見草油、ヤシ油、ルリヂサ油およびクロフサスグリ油);海産油(例えば、魚油および魚肝油)、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
一部の実施形態において、組成物における使用のための脂質は、中鎖トリグリセリドを含む油(例えば、ヤシ油、パーム核油およびバター、または精製形態での中鎖トリグリセリド)を含む。
【0047】
一部の実施形態において、食物繊維組成物は、組成物全体のうち、約0.01%〜約80%(w/w/)の範囲の食物繊維混合物(VFB)の量、および20%〜約99.99%(w/w)の範囲の脂質の量を含む。例えば、ある特定の実施形態では、VFBと脂質の比は、(重量対重量比で)5:95;10:90;20:80;30:70;40:60;50:50;60:40;70:30;または80:20を含む。
【0048】
一部の実施形態において、食物繊維組成物における使用のための食物繊維混合物は、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む。
【0049】
一部の実施形態において、食物繊維組成物における使用のための食物繊維混合物は、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む。
【0050】
一部の実施形態において、食物繊維組成物における使用のための食物繊維混合物は、約70%(w/w)のグルコマンナン、約13%〜約17%(w/w)のキサンタンガム、および約13%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む。
【0051】
一特定の実施形態では、食物繊維組成物は、53:47(w/w)の比で、70%のグルコマンナン、13%のキサンタンおよび17%のアルギナートを含む食物繊維混合物(VFB)と、中鎖トリグリセリド(MCT)とを含む。
【0052】
一部の実施形態において、食物繊維組成物は、実施例9に記載されているように、ゼラチン、グリセリン、および水の組み合わせを含む外側のソフトゼラチンカプセルをさらに含む。
【0053】
約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物、ならびに少なくとも1種の脂質またはその混合物を含む食物繊維組成物は、本明細書に記載される方法を使用して繊維混合物を最初に生成し、続いて油(またはその混合物)を加え、繊維混合物と油を混合することによって製造され得る。食物繊維組成物の典型的な生成方法は、実施例9に記載されている。
【0054】
本明細書中で記載されているように、種々の実施形態の食物繊維混合物は、液体または固体で食品に含めることができ、低下した血糖上昇指数の食品をもたらす。実施例11〜14、および図12〜14に記載されているように、食物繊維組成物の利点は、種々の種類の食物(限定することなく、食物繊維組成物と混合された飲料、グラノーラ、パン、米、ヨーグルト、コーンフレーク、シチメンチョウ、マーガリン、乳を含む)において実現される。実施例13に記載されているように、食物繊維混合物の添加は、試験されたすべて試験食事の血糖上昇指数を低下させた。例えば、コーンフレーク、米、シチメンチョウ、またはヨーグルトへの食物繊維混合物の添加は、試験された種々の食物の口当たりの良さを低下させることなく、それぞれ26%、45%、24%、および9%の、食事の血糖上昇指数の低下をもたらした。
【0055】
前述によれば、別の局面において、本発明は、食品の有効炭水化物50g当たり2.5g〜7.5gの食物繊維混合物を含み、この食物繊維混合物は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む食品を提供する。
【0056】
食物繊維混合物は、任意の種類の食品(固形、流動、または半固形食品を含む)と組み合わせられ得る。典型的な固形食品として、それだけに限らないが、穀物(例えば、米、シリアル(ホットまたはコールド))、グラノーラ、オートミール、焼いた食品(パン、クッキー、マフィン、ケーキ等)、パスタ(米または他の穀物で作製された麺類を含む);肉(例えば、家禽肉、牛肉、豚肉、魚肉)、乳製品(例えば、乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、バター、およびマーガリン)が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な流動または半流動食品として、食事代替飲料、果汁、スープ(乾燥スープミックスを含む)、栄養補助食品、およびスムージーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
食物繊維混合物は、任意の適切な方法を使用して、消費前に食品に加えられ得る。例えば、食物繊維混合物は、焼いて食品にするか、食品と混合するか、食品上に散在させることができる。
【0058】
別の局面において、本発明は、血糖の不安定性を低減する必要のある被験体における、血糖の不安定性の低減方法であって、その必要のある被験体に、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を投与する工程を包含する方法を提供する。
【0059】
血糖の不安定性は、被験体において経時的に測定された場合の、血糖偏倚の頻度の増大、血糖の増減の急速な性質、および血糖の不安定性の増大としての理想的な血糖レベルを超えて費やされる時間の量(低い血糖の不安定性を有する正常な被験体と比較して)を総合したものをいう。血糖の不安定性は、市販の連続的グルコースモニタリングシステム(例えば、CGMS MiniMed、Medtronic,Inc.)を使用して測定され得る。
【0060】
図15に示されるように、正常なヒト被験体(肥満でも糖尿病でもない)における血中グルコースレベルは、70mmol/Lと120mmol/Lとの間であり、血糖の不安定性は低い(24時間にわたる平均からほんのわずかな変動)。対照的に、実施例16で実証されるように、過体重の被験体(25〜30のBMIに基づく)、および肥満の被験体(30を超えるBMIに基づく)は、血糖の不安定性の増大を示す(正常な被験体と比較して)。図16A、17A、および18Aに示されるように、3つの異なる肥満の被験体のベースラインの血糖の不安定性は、120mmol/Lを超えるピーク血中グルコースレベルを有する。実施例16に記載され、図16B、17Bおよび18Bに例示されるように、本発明者らは、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む食物繊維混合物(VFB)を用いた、増大した血糖の不安定性を有する肥満の被験体の処置は、処置前のベースラインの血糖の不安定性と比較して、肥満の被験体の血糖の不安定性を低減するのに有効であることを発見した。例えば、図16B、図17Bおよび図18Bに示されるように、少なくとも4週間(例えば、少なくとも5週間または少なくとも6週間)にわたる、1日当たり5g〜15gのVFBを用いた処置後に、血糖の不安定性は低減され、ピークグルコースレベルは、120mmol/L未満に低下した。実施例16にさらに記載されているように、VFBは、意外にも有効であり、低血糖上昇指数飲食物より優れていることが判明した。
【0061】
血糖の不安定性(GV)は、以下の式によって記述され得る:
【0062】
【数1】
(式中、
Biは、CGMSによって、任意の所与の時点で測定された血中グルコースレベルであり、
tiは、Biが測定される時間であり、
tは、血中グルコースレベルがCGMSによって測定される間の合計時間であり、
BLは、正常な被験体における最低正常血中グルコースレベルであり、これはほとんどの場合、70mmol/Lであり、
BUは、正常な被験体における最高正常血中グルコースレベルであり、これはほとんどの場合、120mmol/Lである)。
【0063】
上記に示されたGv1の式(式1)は、CGMSグラフの勾配を記述し、所与の時間わたる、被験体における血中グルコースの変動の速度および頻度の尺度を提供する。Gv1値の増加は、被験体における血糖の不安定性の増大を示す。本方法の一部の実施形態において、Gv1は、Gv1基準値を得るために、1つまたは複数の正常な個体(糖尿病でなく、正常な体重)について計算することができ、このGv1基準値は、試験被験体からのGv1値と比較することができ、基準値からの参照Gv1値と比較した場合に増加した、試験被験体からのGv1値は、試験被験体における血糖の不安定性の増大を示す。
【0064】
上記に示されたGv2式(式2)は、所与の時間にわたるCGMSグラフにおける、正常範囲外の血中グルコース変動(例えば、120mmol/L超、および70mmol/L未満)の規模の尺度である。Gv2値の増加は、血糖の不安定性の増大を示す。本方法の一部の実施形態において、Gv2は、Gv2基準値を得るために、1つまたは複数の正常な個体(糖尿病でなく、正常な体重)について計算することができ、このGv2基準値は、試験被験体からのGv2値と比較することができ、参照Gv2値と比較した場合に増加した、試験被験体からのGv2値は、試験被験体における血糖の不安定性の増大を示す。
【0065】
一部の実施形態において、本発明のこの局面は、(a)被験体のベースラインのグリコールの不安定性を求めるために、連続的グルコースモニタリングシステムを用いて、指定された時間被験体を測定する工程と、(b)約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む有効投与量の繊維混合物を、工程(a)において測定されたベースラインのグリコールの不安定性と比較して、被験体のグリコールの不安定性を低減するのに有効な期間、被験体に投与する工程とを含む。ベースラインのグリコールの不安定性の測定値は、連続的グルコースモニタリングシステムを使用し、上述したようなGO式(式1および/または式2)を使用して求められ得る。
【0066】
連続的グルコースモニタリングシステムは、グリコールの不安定性を求めるのに十分な指定された時間(例えば、少なくとも12時間、少なくとも15時間、少なくとも24時間、またはそれ以上)使用され得る。繊維混合物を用いた処置後の被験体のグリコールの不安定性も、連続的グルコースモニタリングシステムを使用し、上述したようなGO式(式1および/または式2)を使用して求められ得る。
【0067】
一部の実施形態において、繊維混合物の投与量は、1日当たり少なくとも5.0g〜15.0gのVFB、またはそれ以上(例えば、1日当たり10.0〜15.0gのVFB(例えば、5.0g/日、6.0g/日、7.0g/日、8.0g/日、9.0g/日、10.0g/日、11.0g/日、12.0g/日、13.0g/日、14.0g/日、または15.0g/日))である。繊維混合物は、本明細書に記載されているように、液体中に撹拌された粉末として、カプセル剤で、または食品中に散在させるか、焼くか、もしくは混合して投与することができる。
【0068】
本発明のこの局面の方法によれば、VFBの投与は、一般に、少なくとも4週間(例えば、少なくとも5週間、少なくとも6週間、またはそれ以上)施される。
【0069】
一部の実施形態において、食物繊維混合物は、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む。
【0070】
一部の実施形態において、食物繊維混合物は、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む。
【0071】
一部の実施形態において、食物繊維混合物は、約70%(w/w)のグルコマンナン、約13%〜約17%(w/w)のキサンタンガム、および約13%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む。
【0072】
一部の実施形態において、食物繊維混合物は、少なくとも1種の脂質またはその混合物をさらに含み、この脂質またはその混合物は、食物繊維組成物全体の少なくとも20%を構成する。
【0073】
一特定の実施形態では、食物繊維混合物は、53:47(w/w)の比で、70%のグルコマンナン、13%のキサンタンおよび17%のアルギナートと、中鎖トリグリセリド(MET)とを含む。
【0074】
本明細書中で使用される場合、用語「その必要のある被験体」は、同種の正常な(糖尿病でも、肥満でも、過体重でもない)被験体と比較して、グリコールの不安定性が増大した任意の哺乳動物被験体をいい、例えば、過体重の糖尿病ではない被験体(25〜30のBMIに基づく)、肥満であるが糖尿病ではない被験体(30を越えるBMIに基づく)、II型糖尿病の被験体が挙げられる。
【0075】
一部の実施形態において、本発明のこの局面の方法は、120mol/Lを越えるピークグルコースレベルを伴うベースラインのグリコールの不安定性を有する、肥満であるが糖尿病ではない被験体を処置するのに使用することができ、繊維混合物を用いた処置は、実施例16に記載され、図16A〜18Bに示されるように、グリコールの不安定性を、120mol/L未満のピークグルコースレベルに低減する。
【0076】
一部の実施形態において、本発明のこの局面の方法は、220mol/Lを越えるピークグルコースレベルを伴うベースラインのグリコールの不安定性を有する糖尿病かつ肥満である被験体を処置するのに使用することができ、繊維混合物を用いた処置は、実施例16に記載し、図20Aおよび20Bに示すように、グリコールの不安定性を、220mol/L未満のピークグルコースレベルに低減する。
【0077】
以下の実施例は、上記で熟慮された本発明を実施するための最良の形態を単に例示しているに過ぎず、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0078】
(実施例1)
この実施例は、胃腸条件下で所望の粘性プロフィールを提供する、粘性繊維混合物(VFB)と呼ばれる典型的な食物繊維組成物中の繊維の選択について記述する。
【0079】
VFBの配合において、主な目的は、30〜60分間にわたって実質的に粘度を増大し得る繊維混合物を、生成することであった。口当たりの良さを高めるには、繊維混合物の初期粘度をより薄くし、かつ繊維混合物の最大濃度を被験体の胃および腸にもたらすことが望ましい。したがって、繊維の選択では、混合物は、胃(酸性)および腸の両方の条件下で粘度を維持し、またはより望ましくは増大させなければならなかった。消化器系のこのポイントで高粘度であると、満腹感をもたらす可能性があり、炭水化物吸収を変調させることによって血糖値の制御に役立てることもできる。
【0080】
表1は、別々に試験をした種々の繊維:ガラクトマンナン(コロハからの純度80%よりも高い、Faunlike製)、グルコマンナン(コンニャク根からの純度80%よりも高い)、グアーガム(Cyanosis tetragonolobaの、商業的に供給されたガラクトマンナン抽出物)、キサンタンガム(商業的に供給された、Xanthomonas bacteriaからの細胞外ヘテロ多糖)、アルギナート(商業的に供給された、Ascophyllum nodosumからの中粘度アルギン酸ナトリウム)、および商用の繊維(Vuksan博士から供給されかつ米国特許出願公開第2005/0020535号に記載されている、グルコマンナン69%、キサンタン17%、カラゲナン9%、およびグアー8%からなる)の粘度を示す。各繊維組成物2gを、水200gと混合した。粘度測定値(単位:センチポアズ)を、数回の間隔を空けて記録した。
【0081】
【表1】
アルギナートおよびガラクトマンナンの粘度が最も小さかった。キサンタンガムおよびグァーガムは、ほぼ即時にそれらの最も濃い状態に達した。グルコマンナンは、時間の経過により相当な粘度の増大を見せた。しかしながら、本発明者らの目的に対しては濃すぎると思われたため、本発明者らは、他の粘性繊維と組み合わせたグルコマンナンがどのように反応するかを分析した。組み合わせた繊維混合物についての粘度結果を、表2に示す。
【0082】
【表2】
アルギナート、キサンタンガムおよびガラクトマンナンは、グルコマンナンとの組み合わせにおいて強い低粘稠化作用を有した。即時に最大粘度に達したキサンタンの特性は、グルコマンナンと組み合わせた場合にも引き継がれた。この混合物に関する欠点は、初期粘度が濃すぎ、時間の経過により濃くなり続けなかったことである。アルギナートとグルコマンナンとの混合物は、時間の経過により濃くなり続けた点で、グルコマンナンの特性を維持した。しかしながら、初期粘度が少し薄すぎ、濃くなるのが急速すぎた。グァーガムとアルギナートとの混合物は、適当な粘度を生じなかった。
【0083】
これらの結果から、グルコマンナンが、その高粘度特性により、繊維混合物にとって望ましい成分であると判断した。グルコマンナンは、口当たりの良さを高める非常に滑らかなテクスチャも有していた。アルギナートは、グルコマンナンの強い粘稠化特性を緩和するのを助け、また、摂取の初期段階の間、更に口当たりの良い粘度を達成した。キサンタンガムは、グルコマンナンを抑制し、粘度試験の終わりに近づくと(30分〜60分)グルコマンナンを弱めたと思われる唯一の繊維であったため、キサンタンガムもまた、混合物の成分として選択された。グァーガムおよびガラクトマンナンは、VFBの質に寄与する新たな特性を何ら示さず、したがって、それらを繊維混合物の成分として選択しなかった。
【0084】
作製されたVFBの最終組成は、グルコマンナンが48%〜90%、キサンタンガムが5%〜20%およびアルギナートが5%〜30%であった。グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートがこれらの比率で組み合わされてVFBを生成する場合、この組成物を水と混合すると、図7に示され、実施例8に記載されるように、120分後に予想以上に高い粘度値を示す。VFBはまた、胃液と混合すると、図8に示され、実施例8に記載されるように、10分後に予想以上に高い粘度値を生じる。
【0085】
更に低いグルコマンナンの比率では、上記生成物は、所望の濃さに達しない。更に高いキサンタンの比率でも、上記生成物は、所望の濃さに達しなかった。更に低いキサンタンの比率では、上記繊維混合物は、濃くなるのが急速すぎた。アルギナートもまた、生成物の初期段階の間、粘度を低下させることにより、口当たりの良さを高める重要な役割を有した。
【0086】
好ましい実施形態において、60%〜80%のグルコマンナン、10%〜20%のキサンタンガムおよび10%〜20%のアルギナートを含み、前述した所望の特性を有するVFB組成物を生成した。例えば、70%のグルコマンナン、13%のキサンタンガムおよび17%のアルギナートを含み、本明細書中に記載されるような所望の特性を有するVFB組成物を生成した。70%のグルコマンナン、17%のキサンタンガムおよび13%のアルギナートを含み、同様な所望の特性を有する別のVFB組成物を生成した。
【0087】
VFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールを、市販の競合する繊維と比較して、表3に示す。
【0088】
【表3】
スムージー中のVFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールを、スムージー中の市販の競合する繊維と比較して、表4に示す。5グラムの繊維をスムージー混合物(典型的なスムージーの組成については実施例6を参照)に加え、次いで、350gの蒸留水を加えた。
【0089】
【表4】
VFBと市販の繊維との差異の一つは、模擬消化液条件下でどのようにそれらが反応するかである。表5および表6に示されるように、VFBは、胃条件下で濃さを増大させる能力を有する。表5は、10滴のリン酸を含む200gの蒸留水に2gの繊維を加えた場合の、VFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールと市販の繊維の粘度プロフィールとを比較している。
【0090】
【表5】
表6は、スムージー製品中のVFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールと市販の繊維の粘度プロフィールとを、胃条件下で比較している。5gの市販の繊維または4gのVFBをスムージー混合物(典型的なスムージーの組成については実施例6を参照)に加え、次いで、350gの胃液体を加えた。
【0091】
【表6】
表7は、VFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールと市販の繊維の粘度プロフィールとを、腸条件下で比較している。2gの繊維を200gの腸液体に加えた。腸液体を、250mLの水に6.8gの一塩基リン酸カリウムを溶解し、混合し、190mLの0.2N NaOHおよび400mLの水を加えることにより作製した。10.0gのパンクレアチンを加え、続いて混合し、pHを0.2N NaOHでpH7.5±0.1に調節した。この溶液を水で1000mLに希釈した(米国薬局方)。
【0092】
【表7】
表8は、VFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールと市販の繊維の粘度プロフィールとを、腸条件下で比較している。5gの市販の繊維または4gのVFBをスムージー混合物(典型的なスムージーの組成については実施例6を参照)に加え、次いで、350gの腸液体を加えた。
【0093】
【表8】
これらの試験結果は、模擬胃条件下および模擬腸条件下で、VFB繊維混合物が市販の繊維混合物よりも濃くなったことを示しており、VFBが胃中で市販の繊維よりも高い粘度を有し、腸条件下で濃くなり続け得ることを示している。
【0094】
より消費者に訴える製品を作るために、顆粒化したVFBを使用して、摂取の初期段階の間の粘度を更に遅らせた。顆粒化を、VFB混合物への30%〜60%(w/w)の水の添加により達成し、次いで、加えた水を乾燥させて除く。このプロセスを、典型的に、自動造粒機、流動床造粒機/乾燥機、自動凝集機を通じて実施するか、または単純な混合に続き、オーブンもしくは真空乾燥を通じて実施する。
【0095】
非顆粒化VFBは非常に微細であり、水を加えると凝集する傾向がある。非顆粒化VFBは湿気を非常に急速に吸収するため、実際には水が粉末を包み込んでしまう。しかしながら、より大きな顆粒ほど、湿気を含んだ場合に互いに分離したままとなるので、顆粒化VFBはこの問題を避ける。VFB顆粒は徐々に水に溶解するので、スラリーはゆっくりと濃くなる。
【0096】
VFBの適切なメッシュサイズを決定することは、顆粒化プロセスにおいて重要である。30メッシュの粒子は、直径約600ミクロンであり、40メッシュの粒子は、直径約400ミクロンであり、50メッシュの粒子は、直径約300ミクロンであり、60メッシュの粒子は、直径約250ミクロンであり、80メッシュの粒子は、直径約180ミクロンである。顆粒化VFBは粘度の上昇を遅らせるが、それでもなお、満腹感を生じさせ、腸における炭水化物の吸収を遅らせることにより血糖レベルを調節する原因となる所望の濃さまで粘度を上昇させる。表9に示すように、顆粒化が大きいほど(すなわち、メッシュサイズが小さいほど)、粘度の上昇が遅れる。
【0097】
【表9】
30、40および60メッシュサイズの顆粒の1:1:1の組み合わせからなる、30〜60メッシュサイズの組み合わせの顆粒化VFB生成物が望ましい。メッシュを小さくし、その割合が大きくなるほど、粘度の上昇を更に遅らせる。
【0098】
(実施例2)
この実施例は、本発明の典型的な食物繊維組成物(VFB)の消費が、インシュリン感受性の改善および体脂肪の減少をもたらすことを記載している。
【0099】
5%〜10%の体脂肪の減少が、メタボリックシンドロームと関連づけられる危険因子を減少させ得る(KraussらCirculation I(18):2284−99(2000))。一般的な体重減少戦略(例えば、薬理学的処置、低カロリーダイエット(hypocaloric diet)および流行のダイエット)は、食欲を対象とせず、維持することが困難で費用がかかり、肥満と関連づけられる多くの代謝異常および2型糖尿病には取り組まず、上記戦略の継続が一度中断されると、体重の再増加および共存症の再確立をもたらす。
【0100】
先を見越した研究は、高食物繊維が体重、飽満およびエネルギー摂取と強力にかつ逆比例的に関連することを示している(Stevensら(1987)Am.J.Clin.Nutr.46(5):812−7;Blundell & Burley(1987)Int.J.Obes.11 Suppl.1:9−25;Howarth
ら(2001)Nutr.Rev.59(5):129−39)。証拠はまた、高可溶性繊維の摂取がインシュリン感受性および血糖症の改善と関連づけられることも示唆している(Salmeronら(1997)Diabetes Care 20(4):545−50;Salmeronら(1997) JAMA 277(6):462−77;Jenkinsら(1967)Lancet 2(7999):1251;Doiら(1979)Lancet 1(8123):987−8;Shimaら(1982)Nutr.Rep.Int.26:297−302)。精製された高粘性繊維(Brandら(1991)Diabetes Care 14(2):95−101;Wolever
ら(1992)Diabet.Med.9(5):451−8)(例えば、グァーガム(Jenkinsら(1977)Lancet 2(8042):779−80;Aroら(1981)Diabetologia 21(1):29−33))およびグルコマンナン(Vuksanら(2000)Diabetes Care 23(1):9−14)の消費が、インシュリン抵抗性、2型糖尿病およびメタボリックシンドロームに罹っている被験体におけるインシュリン感受性の改善をもたらした(Chiassonら(1996)Diabetes Care 19(11):1190−3;Frostら(1998)Metabolism 47(10):1245−51)。
【0101】
粘性繊維は、消化および吸収を遅くし、急性および長期的な血糖制御に影響を及ぼし、したがって、食欲の制御(Meyer(1955)Ann.NYAcad.Sci.63:15−32;Penicaudら(2002)Curr.Opin.Clin.Nutr.Metab.Care 5(5):539−43)およびインシュリン感受性の上昇に繋がると考えられている。インシュリンは、脂肪代謝を調節するのを助けることが知られており、また、糖尿病において重要な役割を果たす。インシュリンレベルを下げることはまた、人々の空腹感を軽減し、これもまた、体重減少との関連を説明し得る。
【0102】
本調査は、高粘性食物繊維の混合物が補われた代謝制御される低脂肪ダイエットが、体重および体脂肪率の減少の結果として、食後の血糖制御およびインシュリン分泌を改善するという仮説を検証した。この仮説によると、高粘性食物繊維は、機械的効果(例えば、胃拡張、胃内容排出、胃腸通過時間、栄養素吸収率および胃腸管との栄養素の接触に影響を及ぼすことによる)、ならびに代謝効果(例えば、ホルモン分泌、血糖応答およびインシュリン応答、短鎖脂肪酸および糞便中エネルギー排泄に影響を及ぼすことによる)を提供する。
【0103】
(方法)
1.被験体:この調査には11人の参加者があった。この含める基準を、表10に示す。参加者のベースラインプロフィールを、表11に示す。
【0104】
【表10】
【0105】
【表11】
2.デザイン:無作為二重盲検プラシーボ−対照交換デザイン。6週間の導入期の間、参加者は、National Cholesterol Education Program Therapeutic Lifestyle Changes(TLC)食を消費した。この調査の実験段階は、2つの逐次的な3週間の処置期間とそれらの処置期間の間の2週間の洗い流し期間(TLC食を用いる)からなった。最初の処置期間の間、被験体は、無作為に、粘性繊維混合物(VFB)を含むTLC食か、または小麦フスマ(WB)のみのコントロールのいずれかを無作為に割り当てられた。次の処置期間の間、参加者を交換した。参加者は、0週目および3週目に診療所に来て、試験朝食またはコントロール朝食を消費し、食後のグルコースおよびインシュリンを体重および体脂肪%と共に評価した。各実験期間の開始時および終了時に、参加者を、試験朝食またはコントロール朝食の食後0分、30分、45分、60分、90分、120分および180分の時点で、グルコース濃度およびインシュリン濃度について試験した。インシュリン感受性を、以前に記載されたように計算した(Matsuda & Defronzo(1999)Diabetes Care 22:1462−70)。体脂肪を、赤外線インタラクタンス(interactance)(Futrex−5000)により、0週目および3週目にて測定した。
【0106】
3.試験朝食:交換デザインにおいて、インシュリン感受性が低下し、メタボリックシンドロームに罹っている参加者は、0.5g/100kcalの高粘度食物繊維(VFB、試験朝食)か、または対応する小麦フスマコントロール(コントロール朝食)のいずれかで強化された代謝制御食を、2週間の洗い流し期間を間に挟む2回の3週間にわたり、消費するように割り当てられた。コントロール朝食は、49gの小麦フスマクッキー、52gのフスマフレーク、250mLの2%ミルクおよび8gのバターからなった。試験朝食は、58gのVFBクッキー(VFB繊維を約10%、スクロースを25%含み、栄養素プロフィールは、約6%のタンパク質、14%の脂肪、60%の有効炭水化物、1.5%の灰分および2.8%の水分である)、69gのフスマフレーク、250mLの2%ミルクおよび8gのバターからなった。これら2つの朝食は、カロリーは等しく(isocaloric)、外見および味は同様であった。これら2つの朝食の栄養素プロフィールは、表12に示すように、繊維の種類のみが異なった。
【0107】
【表12】
(結果)
1.レオロジー:表13は、5つの異なる粘性可溶性繊維源の粘性を、粘性繊維混合物(VFB)と比較して示している。サンプルの測定値を、Brookfield粘度計(Middleboro、マサチューセッツ)により、1秒間に30回転のせん断速度で「F」スピンドルを使用し、24時間の時点で1%溶液を用いてとった。データは、3回以上の繰り返しの平均である(cps=センチポアズ)。
【0108】
【表13】
2.血糖応答:図1および表14は、3gの種々の可溶性繊維源およびVFBを投与することの、50gの経口グルコース負荷への血糖応答に対する効果を示している。このコントロールは、50gの経口グルコース負荷のみである。
【0109】
【表14】
3.食欲制御:図2A〜2Bおよび表15は、VFBを含む試験朝食が提供される被験体(図2A)およびコントロール朝食が提供される被験体(図2B)における、0週目および3週目の、各食事および就寝前の軽食の前の主観的な食欲評価の比較を示している。データは、平均±SDとして表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0110】
【表15】
4.グルコース:図3A〜3Bおよび表16は、コントロール朝食が提供される被験体とVFB試験朝食が提供される被験体における急性の食後のグルコース応答の比較を示している。被験体は、3週間の間、毎日、コントロール朝食か試験朝食かのいずれかが与えられた。被験体の血中グルコース応答を、調査の開始時(0週目)および調査の終了時(3週目)に測定した。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0111】
図4は、0週目および3週目における食後のグルコース応答についての曲線下面積(AUC)を、コントロールおよびVFBについて示している。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0112】
【表16】
5.インシュリン:図3C〜Dおよび表17は、コントロール朝食が提供される被験体における食後のインシュリン応答と試験VFB朝食が提供される被験体との食後のインシュリン応答の比較を示している。被験体は、3週間毎日、コントロール朝食または試験朝食のいずれかを与えられた。被験体の血中インシュリン応答を、調査の開始時(0週目)および調査の終了時(3週目)に測定した。全てのデータポイントは、平均±SDとして表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0113】
図5は、0週目および3週目にて食後のインシュリン応答についての曲線下面積(AUC)を、コントロールおよびVFBについて示している。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0114】
【表17】
6.体脂肪率(%):赤外線インタラクタンスFutrex−5000(登録商標)系(Futrex Inc,Gaithersburg,メリーランド)を使用して、身体組成を評価した。図6および表18は、参加者がコントロール朝食を消費したコントロールの間の0週目〜3週目の体脂肪率(%)の変化と、参加者が試験朝食を消費した期間の変化とを比較して例示している。データは、平均として表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0115】
【表18】
(結論)
血糖(−23.13.5%に対して0.42.3%、P=0.000022)についての曲線下面積およびインスリン血症(−40.54.5%に対して2.02.9%、p=0.000012)についての曲線下面積は、コントロールと比較して、VFBを含む場合に顕著に減少した。これらの減少は、コントロールと比較して、VFBの消費後にインシュリン感受性の顕著な上昇を引き起こした(55.99.2%に対して9.74.5%、P=0.00056)。更に、VFBを用いた3週間に続き、1.4%の体脂肪の減少(p<0.05)を経験したコントロール群と比較して、体脂肪をベースラインから2.8%減少させた。本発明者らは、長期的なVFBの消費が、メタボリックシンドロームにおいてインシュリン感受性を低下させた個体の体脂肪を減少させると結論付けた。考え得る解釈としては、インシュリン感受性の改善が挙げられる。
【0116】
(実施例3)
この実施例は、本発明の食物繊維組成物を含む代替食品製品の典型的な実施形態を提供する。
【0117】
典型的な食物繊維混合物(VFB)を、グルコマンナン(コンニャク根由来の80%より高い純度のもの)と、キサンタンガム(市販されている、Xanthomonas細菌由来の細胞外複合多糖類)と、アルギナート(市販されている、Ascophyllum
nodosum由来の中粘性アルギン酸ナトリウム)とを合わせて作製した。典型的な食物繊維混合物(VFB)の組成物を、表19に示す。
【0118】
【表19】
代替食品製品を、表20に示すように、VFB繊維混合物と共に処方した。
【0119】
【表20】
表21は、代替食品製品の1食分当たりに提供されるビタミンおよびミネラルを示している(RE=レチノール相当単位(equivalent unit)、NE=ナイアシン相当単位、mcg=マイクログラム、mg=ミリグラム)。
【0120】
【表21】
代替食品の香料としては、以下のいずれも含み得るが、これらに限定されない:チョコレート、イチゴ、バニラ、パイナップル、マンゴー、モモ、オレンジ、モカおよびチェリー。この代替食品は粉末形態である。1食分は、57グラムであり、グラス一杯の水と混合される。通常の食事の代わりに1食分を朝食時および昼食時に摂取する。
【0121】
(実施例4)
この実施例は、本発明の食物繊維組成物(VFB)を含む代替食品製品を消費することのボランティアに対する効果を例示している。
【0122】
ある中年の男性ボランティアは、9ヶ月間の試験の間、1日に2度、実施例3に記載される代替食品製品を摂取した。試験の開始時に、このボランティアは247.2ポンドの体重があり、BMIは36であり、胴周りの測定値は45.25インチであり、腰周りの測定値は47.25インチであり、体脂肪の測定値は27.7%であった。9ヶ月の試験の終了時に、このボランティアは、223.75ポンドの体重があり、胴周りの測定値は43インチであり、腰周りの測定値は45.5インチであり、体脂肪の測定値は25.7%であった。このボランティアは、腹痛、ゆるい便通、そして、代替食品を摂取しない場合の晩に空腹を訴えた。
【0123】
ある中年の女性のボランティアは、9ヶ月の試験の間、1日に2度、実施例3に記載される代替食品製品を摂取した。試験の開始時に、このボランティアは、170ポンドの体重があり、BMIは30.3であり、胴周りの測定値は36.5インチであり、腰周りの測定値は43インチであり、体脂肪の測定値は46.6%であった。9ヶ月の試験の終了時に、このボランティアは、156ポンドの体重があり、胴周りの測定値は33.5インチであり、腰周りの測定値は41インチであった。このボランティアは、試験の最初の2日間、下痢を訴え、喉が渇くために、普段より水を多く飲んだ。
【0124】
ある中年の女性のボランティアは、9ヶ月の試験の間、1日に2度、実施例3に記載される代替食品製品を摂取した。試験の開始時に、このボランティアは、162.5ポンドの体重があり、BMIが27.9であり、胴周りの測定値は37インチであり、腰周りの測定値は43インチであり、体脂肪の測定値は41.9%であった。9ヶ月の試験の終了時に、このボランティアは、141ポンドの体重があり、胴周りの測定値は34インチであり、腰周りの測定値は41インチであり、体脂肪の測定値は35.3%であった。このボランティアは、この試験の最初の2週間、軽い頭痛を訴えた。
【0125】
ある中年女性のボランティアは、9ヶ月の試験の間、1日に2度、実施例3に記載される代替食品製品を摂取した。試験の開始時に、このボランティアは、172ポンドの体重があり、BMIは27.7であり、胴周りの測定値は35.75インチであり、腰周りの測定値は43インチであり、体脂肪の測定値は41.6%であった。9ヶ月の試験の終了時に、このボランティアは、143ポンドの体重があり、胴周りの測定値は31インチであり、腰周りの測定値は38.25インチであった。このボランティアは、これを無理のない柔軟なダイエット計画であると思った。
【0126】
(実施例5)
この実施例は、ゼラチンカプセル剤として処方される本発明の食物繊維組成物(VFB)の典型的な実施形態を提供する。
【0127】
典型的な食物繊維組成物を、2部からなる硬ゼラチンカプセル剤として処方し、各カプセルは、500mgの表22に示す組成物を含む。
【0128】
【表22】
(実施例6)
この実施例は、食欲制御粉末として処方される本発明の食物繊維組成物の典型的な実施形態を提供する。
【0129】
典型的な食物繊維組成物を、食欲制御粉末として処方した。各瓶は、182gを含み、これは、26食分に相当する。この食欲制御粉末の1食分の内容量を、表23に示す。
【0130】
【表23】
(実施例7)
この実施例は、代替食品スムージーとして処方される本発明の食物繊維組成物(VFB)の典型的な実施形態を提供する。
【0131】
典型的な食物繊維組成物を、代替食品スムージーとして処方した。この代替食品スムージーの1食分の内容量を、表24に示す。
【0132】
【表24】
(実施例8)
この実施例は、種々の条件下における、典型的な繊維混合物(VFB)の粘度プロフィールと他の繊維混合物の粘度プロフィールとの比較を記載する。
【0133】
(方法)70%のグルコマンナン(コンニャク)、13%のキサンタンガムおよび17%のアルギナートを含む粘性繊維混合物(VFB)の処方物を、実施例1に記載されるように作製した。以下のとおり、蒸留水中、胃条件下および腸条件下で、このVFBを、コンニャク/キサンタンガム(70:30)繊維混合物およびコンニャク/アルギナート(70:30)繊維混合物と比較した。
【0134】
(試験された組成物)
(1)VFB:コンニャク(70%)/キサンタンガム(13%)/アルギナート(17%)
(2)KX:コンニャク(70%)/キサンタンガム(30%)
(3)KA:コンニャク(70%)/アルギナート(30%)。
【0135】
(粘度プロフィール実験)5gの試験物質を350gの液体(蒸留水、胃液または腸液のいずれか)と混合した。このサンプルを、Proctor/Silex混合機を用い、低速2で30秒間混合した。粘度の読み取りを、5分、10分、15分、20分、30分、45分、60分および120分の時点で実施した。胃液体および腸液体を、Universal Sample Preparation(USP)法に従って調製した。
【0136】
(結果)
表25および図7は、通常の条件(蒸留水)下において、VFBの粘度プロフィールを、KXおよびKAの粘度プロフィールと比較している。表26および図8は、胃条件下において、VFBの粘度プロフィールを、KXおよびKAの粘度プロフィールと比較している。表27および図9は、腸条件下において、VFBの粘度プロフィールを、KXおよびKAの粘度プロフィールと比較している。図7、8および9に示すように、KA(コンニャク/アルギナート 70:30)繊維混合物は、一貫して、試験された3つの繊維混合物のうちで最低の粘度を有する。中性条件下および胃条件下において、KX(コンニャク/キサンタンガム 70:30)は、敏速に(例えば、約15分〜20分以内で)最大粘度に達した。VFB混合物(コンニャク(70%)/キサンタンガム(13%)/アルギナート(17%))は、中性条件下においてKAとほぼ同じ粘度で開始し、胃条件下でも腸条件下でも時間の経過により粘度を上昇させ、中性条件下および胃条件下で、最終的に、KXよりも大きな粘度に達する。この組み合わせはまた、胃液と混合する場合、10分後に予想外に高い粘度値を生じさせる。したがって、KXの組み合わせへのアルギナートの添加は、中性条件にてVFBの粘度の低下を予想外に提供し、時間の経過により、KXのみよりも大きな粘度をもたらす。
【0137】
【表25】
【0138】
【表26】
【0139】
【表27】
(実施例9)
この実施例は、中鎖トリグリセリドと混合した粘性繊維混合物を含有するソフトゼラチン(ソフトゲル)カプセルの調製について記述する。
【0140】
方法
粘性繊維混合物を含有するソフトゼラチンカプセルの調製:
内部充填物
ソフトゼラチンカプセルは、粘性繊維混合物(コンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17))および油(例えば、中鎖トリグリセリド(MCT)であって、0.01:99.99から80:20(w/w VFB:MCT)までの比にある)を含む内部充填物を用いて調製した。52.7:47.3w/wであるVFB:MCTの比の一例を、以下の表28に示す。MCTは、下記の油:大豆油、パーム核油、魚油、および菜種油のいずれかで置換することができる。
【0141】
【表28】
外側のカプセルシェル
外側のカプセルシェルには、ゼラチン、グリセリン、および水の混合物が含まれる。
【0142】
典型的なソフトゲルカプセルは、下記の通り生成した。
【0143】
内部充填物:790mg VFB
710mg MCT
外側のカプセルシェル:ゼラチン、グリセリン、および水からなる混合物2,130mgを使用した。
【0144】
外側のカプセルシェルと内部充填との割合は、表28に示されるように、様々なカプセルサイズに適応するよう変えてもよい。
【0145】
中鎖トリグリセリドと混合したVFBを含有するソフトゲルカプセルは、水中でのVFB粘性作用を遅延させるのに有効でありながらも、実施例10で実証されるように、胃条件下でVFBの粘度を最大限にすることを可能にする。
【0146】
(実施例10)
この実施例は、油ベースのソフトゲルカプセルにカプセル化されたVFBが、潜在的な窒息の危険性を低減させるために水中でその粘性作用を遅延させながらも胃条件下で最大限の粘度に迅速に到達するのに、有効であることを実証する。
【0147】
方法
油ベースのソフトゲルカプセルにカプセル化されたVFBの粘度プロフィールを、蒸留水中と胃液中とで比較した。
【0148】
油と混合したVFBを含有するソフトゼラチンカプセルを、実施例9で述べたように調製した。各カプセルは、790mgのVFB(コンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17))を含有していた。6個のカプセル(合計で4.74gのVFB)を、全体積が331.8の蒸留H2Oまたは胃液(USP指針に従い調製した)中に溶解し、5g VFB:350g H2Oにした。
【0149】
サンプルを、25℃の水浴内に置いた容器の液体媒体に入れた。液体中で15分経過後、スプーンを使用して軟化カプセルを潰した。次いで混合物を、手で5分間混合し、次いでブレンダ内にいれ、4,000rpmで30秒間機械的に混合し、その後、8,000rpmでさらに30秒間混合した。粘度の読取りは、3時間にわたる時間間隔で行った。
【0150】
結果:
蒸留水中のVFBソフトゲルカプセルの粘度プロフィールを、以下の表29に示す。
【0151】
【表29】
胃液中のVFBソフトゲルカプセルの粘度プロフィールを、以下の表30に示す。
【0152】
【表30】
【0153】
【表31】
表30〜31に示されるように、胃条件下では、ソフトゲルカプセルで送達された油ベースのVFBは、混合後に迅速に濃厚になり(5分以内)、90,000センチポアズよりも高い粘度に到達した。これとは対照的に、表29および31に示されるように、ソフトゲルカプセルで送達された油ベースのVFBは、蒸留水中でゆっくりと濃厚になり、混合後5分で3,500の粘度レベルになり、混合後160分で、最大限の65,000センチポアズにまで徐々に増大した。表29に示されるように、ソフトゲルカプセルで送達されたVFBは、蒸留水中で19,630cpの粘度に到達するのに60分かかり、3時間以上経過した後でも90,000cpには到達しなかった。この結果は、本明細書の実施例1、表9に示されるように、120分で90,000cpに到達する、水中で撹拌したときにVFB(非顆粒化、油ベースのカプセルなし)で観察された挙動とは有意に異なる。事実、ソフトゲルカプセルで送達されたVFBに関して、最大粘度に到達する際に観察された時間遅延は、120分でそれぞれ90,000spに到達した顆粒化VFBメッシュサイズ40およびメッシュサイズ60で観察された場合よりも、さらにより明白であることがわかる(本明細書の表9参照)。これらの結果は、VFBへの油の添加が、水と混合したときのその粘性作用を遅延させるのに有効であることを示す。したがって、VFB単独では水中で非常に迅速に粘稠になり、大きな塊を形成し易くなることが観察されたので、個体へのVFBの投与中に潜在的な窒息の危険性を回避するために、VFBと油との組み合わせを使用してもよい。
【0154】
さらに、水中で観察される遅延粘性とは対照的に、ソフトゲルカプセルで送達されたVFBは、表30および31に示されるように、胃条件に接触した後5分以内に90,000cpに到達した。この高い粘度は、経時的に維持された(データは示さず)。VFBと油との組み合わせが、胃条件下でそのような短時間で90,000cpに到達し得ることは、驚くべきことであった。ソフトゲルカプセル中のVFBに関するこの粘度プロフィールは、胃条件下でVFB単独で観察された場合、即ち60分後であってもそのような高粘度に到達したことが観察されなかった場合と非常に異なったことに留意することは(本明細書の表6参照)、重要である。表6に示されるように、VFB単独では、60分後に3,600cpにしか到達しなかった。
【0155】
したがって、水中での粘性遅延および胃条件下で到達する素早い高粘度レベルを含めた、ソフトゲルカプセル中のVFBで観察されたこの実施例で記述される結果は、胃の満腹感の所望の効果を得、また個体での空腹感を低減させながらも共に摂取中の窒息の危険性を低減させるのに、VFBおよび油の組み合わせを使用してもよいことを実証する。
【0156】
理論に拘束されることを望まないが、VFBおよび油の組み合わせに関してこの実施例で記述される有益な結果は、繊維を覆う油のコーティングに起因すると考えられる。水中で観察された遅延粘度に関し、油は、水によって粒子が一塊にならないようにかつその分散が制限されないように、粒子をコーティングし分離する可能性がある。しかし胃条件下では、酸性度および胃の酵素によって、VFB繊維が最大粘度に迅速に到達し得るように、油のコーティングの少なくとも一部が取り除かれる可能性がある。さらに、若干の凝集をもたらす水中でのVFB(油コーティングなし)の分散とは対照的に、VFBと油との組み合わせは水中での凝集を回避し、水中での初期全体粘度を低下させ、それによって時間の経過により最終的にはより高い粘度を可能にするが、それはVFBと油との組み合わせがより均等に分散し、塊を形成する代わりにより多くの繊維粒子を水と反応させることができるからである。
【0157】
(実施例11)
この実施例は、固形食または流動食で投与された様々な粒度の顆粒化粘性繊維混合物が、健常者の食後血糖上昇指数応答に及ぼす影響について記述する。
【0158】
理論的根拠
この研究の目的は、固形(白パン)でまたは液体形態(GLUCODEX)で投与された、2つの異なる顆粒サイズの粘性繊維混合物(コンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17)、VFB100(より小さいメッシュサイズに造粒)およびVFB300(より大きいメッシュサイズに造粒))の、血糖上昇指数を決定することであった。VFB100は、40メッシュよりも細かい粒子のみ含有する。VFB300は、20メッシュよりも細かい粒子のみ含有する。非顆粒化VFB(コンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17))は、約200メッシュのメッシュサイズを有する。
【0159】
方法
無作為交差法研究では、10名の健常者(5名の男性および5名の女性、x±SEM 年齢:21±2y)をこの研究に含めた。糖尿病や高血圧、肥満などの、任意の知られている健康状態を有する被験体は、この研究から除外した。各研究参加者は、無作為二重盲検交差法において、合計で8つの処置を受けた。種々の食品形態でのVFB100およびVFB300の作用を試験するために、白パンおよびグルコース飲料(GLUCODEX)を以下の通り調製した。VFB100およびVFB300は、実施例1で述べたように調製した。5つの白パン治療薬には、VFB100、VFB300を含め、または標準コントロールとしてVFBを含まずに焼いたものが含まれた。3つの飲料処置には、VFB100、VFB300に混合したもの、またはVFBを含まない(コントロール)ものが含まれた。様々なVFB顆粒サイズを有する全ての調製および白パンのベーキングは、試験サンプル間のばらつきを最小限に抑えるために、1名で行った。研究参加者には、パンまたは飲料中の繊維のコーディングおよび区別がつかない性質によって、プラシーボおよびVFB処置の特定がなされなかった。安定性を確実にするために、VFB100およびVFB300は共に、研究の過程で低温の乾燥箇所で保存した。
【0160】
各被験体に、下記の通り8つの治療薬を与えた:
300mlの水と共に消費された、VFBを含まない白パンコントロール50g(固形食コントロールを、各被験体ごとに3回繰り返した。)
300mlの水と共に消費された、VFB100を3g含む白パン50g
300mlの水と共に消費された、VFB300を3g含む白パン50g
300mlの水と共に消費された、GLUCODEX(液体コントロール)50g
VFB100を3g含む、300ml中に希釈されたGlucodex 50g
VFB300を3g含む、300ml中に希釈されたGlucodex 50g 。
【0161】
研究参加者には、10〜12時間の一晩の絶食後、8日間の別々の朝に、合わせて8つの処置を与えた。この研究を、2カ月間にわたり行った。持越し効果を最小限に抑えるため、各処置の間に少なくとも3日の分離期間をおいた。各参加者には、各処置の前の晩に同じ食事および運動パターンを維持するように、また、各処置の前に3日間にわたり、毎日炭水化物を少なくとも150g消費するように指示を与えた。これらの指示に確実に従わせるため、参加者は、来診のたびに、その食事および生活様式パターンに関する事前情報について詳述する質問表に記入した。研究参加者のいずれによっても、有害な影響は報告されなかった。
【0162】
各処置の始めに、Manoejector Lancet Device(Owen Mumford Ltd.、Woodstock、Oxon、英国)で収集された、250μLのファスティングフィンガープリックキャピラリーを使用して、血液サンプルを各参加者から得た。次いで8つの治療薬のうちの1つを、5分間かけて投与した。追加のフィンガープリック血液サンプルを、処置開始(t=0)から15、30、45、60、90、および120分後に得て、処置当たりの参加者当たり、合計で7つの収集管にした。
【0163】
血中グルコース分析
全ての血液サンプルを、フッ化物オキサラートが入っている試験管に収集し、その直後に、分析するまで−20℃で凍結し、収集から3日以内に分析した。グルコース濃度は、YSI 2300 Statグルコース/L−ラクタート分析器、モデル115(Yellow springs、Ohio)を使用して、グルコース酸化法により決定した。2つのサンプルプールに関するこの方法の分析法間CVは、3.3%(3.99±0.013mmol/L;n=91)および1.8%(14.35±−/26mmol/L;n=89)であった。
【0164】
統計的分析:
食後血清血中グルコース曲線を、経時的な血中グルコースの漸進的変化としてプロットし、正の曲線下漸増面積(AUC)を、各参加者ごとに幾何学的に計算した。血中グルコース濃度を使用して、処置と処置との間の絶食の差を制御した。ナンバークランチャー統計システム(NCSS統計ソフトウェア、Kaysville、Utah)を、統計的分析の目的で使用した。AUCに対する治療薬の用量および食事の、独立および複合的(interactive)な作用は、二元配置分散分析(ANOVA)の反復測定によって評価した。二元配置ANOVAの反復測定は、2つの因子のそれぞれの各対、即ち治療薬×投与時間、治療薬×サンプリング時間、および投与時間×サンプリング時間の、複合的および独立した効果を評価した。相互作用の項が有意な場合、さらなる二元配置ANOVAによって、食後サンプリング点のそれぞれ(15、30、45、60、90、120分)での漸増血糖およびAUCに対する処置および投与時間の複合的および独立した効果について評価した。Turkey−Kramer試験による調節は、多重比較を制御するために、治療薬の用量および投与時間の両方における手段を対比するために行った。一元配置ANOVAの反復測定は、試験における各時点(15、30、45、60、90、および120分)での、AUCおよび漸増血糖での治療薬間のペアワイズ差異を測定するのに使用した。結果を、平均±SDで表し、p<0.05は、統計的に有意であると見なす。
【0165】
結果
二元配置ANOVAは、有意な相互作用(p<0.0001)を有する漸増血糖に対して、治療薬(p<0.001)および時間(p<0.001)の有意な効果を示した。二元配置ANOVAに関する相互作用の項は有意であったので、治療薬の影響は、食後サンプリングのそれぞれの時点でおよびAUCに関して評価した。
【0166】
固形食(白パン)
図10Aは、固形食(白パン)、白パンおよびVFB100、または白パンおよびVFB300を用いた各治療薬に関する血中グルコースの漸進的変化をグラフで示す。これらのデータに適用された二元配置分散分析(ANOVA)の反復測定は、時間および治療薬の有意な効果、ならびに有意な相互作用(p=0.0007)を実証した。図10A中の「*」記号は、特定の時点での、治療薬とコントロールとの間の血中グルコースレベルの有意な差(p<0.05)を表す。図10Aに示されるように、30、45、および60分では、VFB300での血中グルコースレベルがコントロールの場合よりも有意に低かった(p<0.05)。0、90、および120分の時点では、VFB100およびVFB300および白パンコントロール(w/o VFB)の間には、有意な差はなかった。さらに、15、30、45、および60分の時点では、VFB100およびVFB300のパン治療薬の間では、有意な差がなかった。30分の時点では、VFB100およびVFB300のパン治療薬の両方が、白パンコントロールの場合よりも有意に低かった(p<0.05)。図10Bは、固形食(白パン)、白パンおよびVFB100、または白パンおよびVFB300で処置した後の、複数の被験体における食後血中グルコースの曲線下漸増面積(IAUC)をグラフで示す。図10B中の「*」記号は、治療薬とコントロールとの間での、血中グルコースレベルの有意な差(p<0.05)を表す。図10Bに示されるように、VFB300治療薬でのIAUCは、平均的な白パンコントロールと比べた場合に有意に低いが(p<0.05)、VFB100治療薬および白パンでのIAUCには、有意な差がなかった。さらに、VFB100とVFB300治療薬をパンに含めたものの間には、有意な差が検出されなかった。
【0167】
液体(グルコース飲料)
グルコースコントロール飲料、グルコース飲料およびVFB100、またはグルコース飲料およびVFB300での各治療薬に関する血中グルコースの漸進的変化を、図11Aに示す。図11A中の「*」記号は、特定の時点で、治療薬とコントロールとの間で血中グルコースレベルに有意な差を表す(p<0.05)。図示されるように、二元配置分散分析(ANOVA)の反復測定は、時間および治療薬の有意な効果、ならびに有意な相互作用があることを見出した(p=0.0007)。0、90および120分の時点では、VFB100およびVFB300およびグルコース飲料(GLUCODEX)コントロールの間に有意な差が観察されなかった。30、45、および60分では、VFB100は、コントロールと比較したときに有意に低い血中グルコースレベルであることがわかった(p<0.05)。15、45、および60分の時点では、VFB100およびVFB300の飲料治療薬の間に有意な差は観察されなかった。15および60分の時点では、VFB100およびVFB300の両方の飲料治療薬は、コントロールと比較したときに有意に低い血中グルコースが観察された(p<0.05)。また、30分の時点では、VFB100飲料は、VFB300飲料治療薬よりも有意に低かった(p<0.003)。45分の時点では、VFB100飲料は、コントロールよりも有意に低く(p=0.025);しかしこの時点では、VFB300とコントロールとの間に有意な差は観察されなかった。
【0168】
図11Bは、グルコースコントロール飲料、グルコース飲料およびVFB100、またはグルコース飲料およびVFB300で処置した後の食後血中グルコースのIAUCを、グラフで示す。図11B中の「*」記号は、治療薬とコントロールとの間の血中グルコースレベルの、有意な差(p<0.05)を表す。図11Bに示されるように、VFB100治療薬およびVFB300治療薬のIAUCは、コントロールと比較したときに有意に低かったが(p<0.05)、VFB100飲料治療薬およびVFB300飲料治療薬のIAUCに間には、有意な差が観察されなかった。
【0169】
概括および結論
パンでは、VFB100およびVFB300が共に、血漿血中グルコースを低下させることが観察された。VFBを含まないパンコントロールと比較した場合、より大きなVFB300顆粒は、より細かいVFB100顆粒よりも、食後血中グルコースに対して大きな効果を発揮する傾向があることが観察された。理論に拘束されることを望まないが、より大きな粒子(VFB300)は、パンのベーキングプロセスの前に水分子に接触しにくい可能性があり、したがって、パンを消費した後により多くの粒子を水分子との結合に利用することができ、それに対してより小さな粒子(VFB100)は、ベーキングプロセス中および消費前に、水分子の結合で飽和する可能性がある。したがって、より大きい粒度(例えば、300)のVFBは、白パンを消費したときにGI管にグルコースを捕捉する際、より小さな粒度(例えば、100)のVFBよりも粘稠なゲル化を示しかつより良好に機能する。
【0170】
飲料に混合した場合、VFB100およびVFB300は共に、コントロールと比較したときに、パンで観察されたよりも大きな食後血糖応答を発生させたが、これはおそらく、パンと比較した場合、飲料が消費されたときのグルコースの直接吸収に起因する。しかし、より小さな粒度(VFB100)は、より大きなサイズ(VFB300)と比較した場合、飲料中の血中グルコースにより大きな低減をもたらした。理論に拘束されることを望まないが、より小さな粒子はより容易に水分子に結合することができ、それによってより良好なゲル形成が生じるので、飲料中のグルコースのより速い吸収速度がこの結果に寄与する傾向にある。このメカニズムは、パンの場合とは異なるようであるが、それは飲料中のVFBがいかなる処理も受けず、水分子と直接相互に作用することができ、グルコースを捕捉することができるからである。
【0171】
結論:
これらの結果は、飲料形態中のより小さい粒度のVFB(例えば、VFB100)の投与が、健常者の血糖応答を改善するのに最良であることを示す。固形食形態(例えば、パン)中のより大きな粒度のVFB(例えば、VFB300)の投与は、健常者の血糖応答を改善するのに最良である。
【0172】
(実施例12)
この実施例は、消費前に流動食および固形食製剤に添加された様々な用量のVFBの、血糖上昇指数低下能を決定するための、用量応答研究について記述する。
【0173】
方法:
VFB100およびVFB300の血糖上昇指数低下能を、流動食(グルコース飲料)および固形食(白パンおよびマーガリン)製剤に添加したときに決定した。これらの異なる用量を投与し、血糖上昇指数を各用量ごとに計算した。健常者に、別々の日に、治療薬を与えたが、このとき各被験体には、週当たり2つまでの試験を行い、これらの試験と試験との間には少なくとも1日置いた。各試験日に、被験体は、10〜14時間一晩絶食した翌朝に到着した。体重を量った後、およびフィンガープリックで空腹時サンプルを得た後に、被験体は10分以内に試験食を消費し、試験食の開始後15、30、45、60、90、および120分後に、さらに血液サンプルを得た。被験体には、ミルクありまたはミルクなしの1〜2杯の水、紅茶、またはコーヒーの選択も与えた。各被験体によって消費された飲料は、各試験日において同じに維持された。
【0174】
グルコース系
被験体
グルコース系について、以下の表32に示すように、年齢35.6±13.2才、ボディマス指数24.6±2.1kg/m2の、5名の男性および5名の女性を含む10名の健常者で試験をした。
【0175】
【表32】
試験食(グルコース系)
グルコース系の試験食は、小型ハンドミキサを使用して、VFBが添加された水200mlと混合したグルコース50gからなるものであった。試験食の他に、グルコース系の各被験体には、3回にわけて、炭水化物含量に匹敵した標準的なグルコースコントロールも与えた。
【0176】
【表33】
*重量は、含水量に応じてバッチ間でわずかに変化する可能性があり、CHO=炭水化物である。
【0177】
白パン系
被験体
白パン系について、以下の表34に示すように、年齢33.5±11.1才、ボディマス指数26.3±5.2kg/m2の、3名の男性および7名の女性を含む10名の健常者で試験をした。
【0178】
【表34】
試験食(白パン系)
白パン系は、50gの有効炭水化物(全炭水化物から食物繊維を差し引いたものと定義される)を含有する複数人前の白パンからなるものであった。白パンを、製パン機で、250gの有効炭水化物を含有するいくつかの塊で焼いた。各塊に用いられる成分(温水250ml、万能小麦粉340g、砂糖7g、塩4g、およびドライイースト6.5g)を、取扱説明書に従い製パン機に入れ、製パン機のスイッチを入れた。この塊を作製したあと、そのまま1時間冷まし、次いで計量し、パンの耳の端部を廃棄した後に、その残りを、50gの有効炭水化物を含有する一人前サイズに分割した。これらの分割した部分を使用前に冷凍し、消費前にマイクロ波で再加熱した。
【0179】
VFBの損失を回避して口当たりの良さを増すために、VFBを散在させた白パンに、Becelマーガリン10gを添加した。マーガリンがグルコース耐性に及ぼした可能性があるあらゆる影響を制御するために、マーガリンのみ含有する特別な白パンも消費した。全ての試験食は、無作為な順序で与えた。マーガリンを含む白パンの特別な試験食も、VFBと共に与えられたマーガリンに匹敵するように、白パン系に与えられた。
【0180】
【表35】
*重量は、含水量に応じてバッチ間でわずかに変化する可能性があり、CHO=炭水化物である。
【0181】
アッセイ法:
絶食後と、試験食を食べてから15、30、45、60、90、および120分後に、血中グルコースを測定した。血中グルコース応答曲線下漸増面積(IAUC)を、台形規則(trapezoid rule)を使用して、かつベースラインの下の面積を無視することによって、計算した。各試験食を消費した後の、各被験体のIAUCは、同じ被験体によって摂取された3つの白パンコントロールの平均IAUCに対するパーセンテージとして表した。
【0182】
血糖上昇指数は、試験食に関する各被験体のグルコースIAUCを、参照の白パンを摂取した後の同じ被験体の平均応答に対するパーセンテージとして表すことによって計算した。得られた値の平均は、グルコーススケール(即ち、グルコースのGI=100)に基づいた食物GIであった。各時点での血中グルコース濃度およびIAUC値を、反復測定分散分析(ANOVA)にかけて、試験食の影響について試験をした。
【0183】
著しい不均質性が実証された後、個々の平均間の差の有意性を、多重比較に合わせるためにテューキー検定を使用して評価した。さらに、各試験食および白パンに関する血中グルコース濃度および増分の間の差の有意性を、対応のあるt検定により評価した。VFB 1gのGI低下能を評価するために、個々の用量それぞれに関するGI変化を平均し、VFB 1g当たりで計算した。
【0184】
被験体内分散:
白パンコントロールの3つの試験後の、血中グルコース応答曲線下漸増面積(IAUC)を、計算した(データは示さず)。被験体間のIAUCの差は非常に著しかったが、ANOVA統計的方法を使用した順序効果はなかった。グルコースおよび白パン系のIAUCに関する平均被験体内分散係数(CV)は、それぞれ、健常者の平均である21.7±4.9%および26.5±5.2%であった。30%未満の値を、この研究で満足がいくものであると見なした。
【0185】
口当たりの良さを、一端が非常に「おいしくない」でありもう一方の端部が「非常においしい」とした、100mm視覚アナログスケールでランク付けした。したがって、より大きな数は、よりおいしい製品に対する被験体の知覚に対応する。
【0186】
結果
グルコース試験食に関する血中グルコース応答
グルコース試験食研究の結果を、以下の表36にまとめる。「*」記号は、示された時点での、試験条件とグルコースコントロールとの統計的有意差を示す。
【0187】
【表36】
上記の表36に示したように、グルコースコントロールと比較したグルコース+VFB 2.5gは、15分の時点で、血中グルコースレベルで統計的に有意な低下を示した(p=0.0001)。グルコースコントロールと比較したグルコース+VFB 5.0gは、試験食消費後15分(p=0.026)、30分(p=0.009)、45分(p=0.023)、および120分(p=0.014)の時点で、血中グルコースレベルに統計的に有意な低下を示した。グルコースコントロールと比較したグルコース+VFB 7.5gは、15分(p=0.016)、30分(p=0.010)、45分(p=0.011)、および120分(p=0.003)で、血中グルコースレベルに統計的に有意な低下を示した。
【0188】
白パン試験食に関する血中グルコース応答
白パン試験食の結果を、以下の表37にまとめる。「*」記号は、指示された時点での、試験条件とグルコースコントロールとの間の統計的有意差を示す。
【0189】
【表37】
上記表37に示されるように、白パンおよびマーガリンコントロールと比較した場合、白パンのみのコントロールを消費した後の血中グルコース濃度に、有意差は観察されなかった。しかし、白パンおよびマーガリンおよびVFB 2.5gは、白パンコントロールと比較した場合、試験食の消費後30分(p=0.008)、45分(p=0.002)、および60分(p=0.018)で、統計的に有意な差を示した。白パンおよびマーガリンおよびVFB 5.0gは、白パンコントロールと比較した場合、15分(p=0.006)、30分(p=0.0001)、45分(p=0.001)、60分(p=0.001)、および90分(p=0.0001)で、統計的に有意な差を示した。白パンおよびマーガリンおよびVFB 7.5gは、白パンコントロールと比較したときに、15分(p=0.029)、30分(p=0.0001)、45分(p=0.0001)、60分(p=0.0001)、および90分(p=0.001)で、統計的に有意な差を示した。
【0190】
口当たりの良さおよび血糖上昇指数
グルコースおよびパン系に関する口当たりの良さのスコアおよびGI値を、上述のように計算し、以下の表38に示す。口当たりの良さに関して、全ての試験食は容認されたが、3つの用量全てに関するVFBを有するグルコースの口当たりの良さのスコアは、コントロールグルコースに比べて有意に低下し、これはおそらく、全てが消費される前にグルコースのゲル化(VFBの添加後)が生じたことによる。
【0191】
【表38】
上付きの種々の文字を有する値は、有意に異なる(p<0.001)。
【0192】
【表39】
血糖上昇指数に関しては、グルコース系の場合、7.5g VFBのGI値がコントロールグルコース試験食よりも有意に低く(表38参照)、一方、パン系の場合、3つの用量全てのVFB(2.5、5.0、7.5g)は、白パンと白パンおよびマーガリンコントロールとの両方よりも有意に低かった(表39参照)。
【0193】
次いで、流動食(グルコース)および固形食(白パンおよびマーガリン)製剤に添加したときの、VFBの血糖上昇指数低下能を決定した。血糖上昇指数は、VFBの各用量ごとに(2.5、5.0、7.5g)計算した。血中グルコース応答曲線下漸増面積(IAUC)は、上述のように計算した。各試験食消費後の、各被験体のIAUCを、同じ被験体により摂取された3つの白パンコントロールの平均IAUCに対するパーセンテージとして表した。得られた値の平均は、グルコーススケール(即ち、グルコースのGI=100)を基にした食物GIであった。さらに、各製剤の血糖上昇指数低下能を評価した。血糖上昇指数、およびVFB 1g当たりの血糖上昇指数の変化(ΔGI/g VFB)を、グルコース飲料試験食に関して以下の表40に示し、白パン試験食に関して以下の表41に示す。
【0194】
【表40】
上付きの種々の文字が付された数は、統計的に異なっている(p<0.05)。
【0195】
【表41】
上付きの種々の文字を有する数は、統計的に異なっている(p<0.05)。
【0196】
概要および結論
この実施例の結果は、VFBの添加によって、このVFBが添加された食事の種類とは無関係に、食事の全ての血糖上昇指数が低下したことを実証している。図12は、増加用量のVFBを含有するグルコース飲料または白パンで消費後の、血糖上昇指数の変化をグラフで示す。図12に示されるように、VFBの用量を増加させると、それに対応してGI値が低下するが、その関係は線形ではない。
【0197】
VFBのGI低下能の評価を得るために、各用量レベルでの、VFB 1g当たりで観察される低下の平均を計算し、その結果を上記表40および表41に示す。表40に示されるように、流動食(グルコース飲料)に添加したときのVFBの血糖上昇指数低下能は、グルコース系で−4.9±0.9である。表41に示されるように、固形食(白パンおよびマーガリン)に添加したときのVFBの血糖上昇指数低下能は、白パン系で−7.0±1.3である。マーガリンを添加したときには、GIの有意な変化が観察されなかったので(表37参照)、白パン系のGI低下能は、コントロールの白パンGI値を使用して計算した。したがって、2.5〜7.5gの用量範囲で液体にVFBを添加することにより、流動食品では約5GI単位だけ、また固形食品に添加したときは7GI単位だけ、食品のGIが低下することになる。
【0198】
(実施例13)
この実施例は、様々な食物にVFBを添加することは、このVFBが添加される食物の血糖上昇指数を低下させるのに有効であることを実証する。
【0199】
方法
被験体
年齢37.3±3.6才、ボディマス指数23.8±1.3kg/m2である10名の健常者(4名の男性および6名の女性)について、研究した。個々の詳細を、以下の表42に示す。
【0200】
【表42】
試験食
以下の食物の種類を、この研究に含めた:
研究1:コーンフレーク、米、ローストターキー、ヨーグルト、白パン
研究2:グラノーラ1B、1C、2B、3B、Slimfast
全ての試験食は、50gの有効炭水化物(全炭水化物から食物繊維を差し引いたものと定義される)を含有する各食物の、複数人前からなるものであった。VFB300(顆粒化(コンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17))5gを、消費する直前に、一人前のコーンフレーク、米、ローストターキーディナー、またはヨーグルトに散在させた。コーンフレークは、ミルク125mlと共に消費した。
【0201】
ミルクがグルコース耐性に及ぼした可能性があるいかなる影響も制御するために、ミルクを含む特別な白パンも消費した。白パンを製パン機で焼いて、250gの有効炭水化物を含有するいくつかの塊にした。各塊ごとの成分(温水250ml、万能小麦粉340g、砂糖7g、塩4g、およびドライイースト6.5g)を、取扱説明書に従い製パン機に入れ、機械のスイッチを入れた。塊の作製後、そのまま1時間冷まし、次いで計量し、耳の端部を廃棄した後、その残りを、50gの有効炭水化物を含有する一人前サイズに分割した。これら分割されたものを、使用前に冷凍し、消費前にマイクロ波で再加熱した。
【0202】
【表43】
アッセイ法
各被験体は、別々の日に処置を受け、各被験体には、1週当たり2回までの試験を行い、それらの試験と試験との間は少なくとも1日空けた。各試験日に、被験体は、10〜14時間一晩絶食した翌朝に到着した。次いで体重を量った後、およびフィンガープリックで空腹時サンプルを得た後に、被験体は10分以内に試験食を消費し、試験食の開始後15、30、45、60、90、および120分後に、さらに血液サンプルを得た。被験体には、ミルクありまたはミルクなしの1〜2杯の水、紅茶、またはコーヒーの選択も与えた。各被験体によって消費された飲料は、各試験日において同じに維持された。
【0203】
血液サンプルを、少量のフッ化ナトリウム/シュウ酸カリウムが入っている5mlポリプロピレンチューブに収集し、このチューブを激しく回転させることによって混合し、冷蔵庫内に置いた。最後の血液サンプルの後、自動分析機(モデル2300 STAT、Yellow Springs Instruments、Madison、Wisconsin)を使用して、グルコースを分析する前に、チューブを−20℃で保存した。全ての血液サンプルを、収集から1週間以内に分析した。絶食後と、試験食を食べた後15、30、45、60、90、および120分で、血中グルコースを測定した。血漿グルコース曲線下漸増面積(IAUC)を、台形規則を使用してかつベースラインの下の面積を無視することによって、計算した。血糖上昇指数は、試験食に関する各被験体のグルコースIAUCを、参照の白パン後の、同じ被験体の平均応答に対するパーセンテージとして表すことによって計算した。得られた値の平均は、グルコーススケール(即ち、グルコースのGI=100)を基にした食物血糖上昇指数(GI)であった。各時点での血中グルコース濃度およびIAUC値を、反復測定分散分析(ANOVA)にかけ、試験食の影響について検査した。著しい不均質性が実証された後、個々の平均同士の差の有意性を、テューキー検定を使用して評価し、多重比較の調節をした。さらに、各試験食および白パンに関する血中グルコース濃度および増分の差の有意性を、対応のあるt検定によって評価した。GIの低下%は、VFBを有する各食事ごとに計算した。
【0204】
口当たりの良さを、その一端が非常に「おいしくない」ものでありもう一方の端部が「非常においしい」ものである、100mm視覚アナログスケールでランク付けした。数値が大きくなるほど、認知される試験食の口当たりの良さは高くなる。
【0205】
結果
様々な試験食に関する血中グルコース試験の結果を、以下の表44にまとめる。「*」記号は、指示された時点での、試験条件と白パンコントロールとの間の統計的に有意な差を示す。
【0206】
【表44】
上記表44に示されるように、コーンフレーク消費後の血中グルコース濃度は白パンコントロールよりも高く、その統計的な差は、45分で観察された(p=0.001)。コーンフレークおよびVFBを消費した後の血中グルコース濃度は、コーンフレークのみの場合に比べて低下し、これは白パンコントロールを消費した後に観察されたものと非常に類似していた。
【0207】
表44に示されるように、米を消費した後の血中グルコース濃度は、白パンコントロールを消費した後に観察されたものと非常に類似していた。しかし、米およびVFBを消費した後の血中グルコース濃度は、白パンコントロールに比べ、試験食消費後30分(p=0.049)、45分(p=0.005)、および60分(p=0.002)で、統計的に有意に低いレベルに低下した。
【0208】
表44に示されるように、ローストターキーを消費した後の血中グルコース濃度は、最初は、白パンコントロールで観察されたものよりも高く、30分(p=0.025)では著しく高いレベルが観察され、次いで低下する傾向があり、統計的に有意に低いレベルが60分(p=0.037)、90分(p=0.001)、および120分(0.011)で観察された。ローストターキーをVFBと共に消費した後、初期血中グルコースレベルは白パンコントロールと類似しており、次いで白パンで観察されたものよりも低くなる傾向があり、45分(p=0.006)、60分(p=0.001)、および90分(p=0.012)では、白パンコントロールに比べて統計的に有意に低いレベルが観察された。
【0209】
最後に、表44にさらに示されるように、ヨーグルトを消費した後の血中グルコース濃度は、最初は、白パンコントロールで観察されたものよりも高く、次いで低下する傾向があり、45分(p=0.021)、60分(p=0.00)、および90分(p=0.001)では白パンコントロールに比べて統計的に有意に低いレベルが観察された。ヨーグルトをVFBと共に消費した後の血中グルコース濃度は、最初は白パンコントロールと同じであり、次いで低下する傾向があり、白パンコントロールに比べて統計的に有意に低いレベルが45分(p=0.007)、60分(p=0.00)、90分(p=0.00)、および120分(p=0.00)で観察された。
【0210】
口当たりの良さおよび血糖上昇指数
試験食に関する口当たりの良さのスコアおよび血糖値を、以下の表45に示す。
【0211】
【表45】
1血糖上昇指数カテゴリーは、下記の通り定義される:GI≦55は、「低」と分類され;56<GI<69は「中」と分類され;GI≧70は「高」と分類される(the Canadian Diabetes Association website、www.diabetes.ca/Section About glycemic.asp、2002年7月26日アクセス、参照)。
【0212】
上記表45に示されるように、VFBの添加によって、このVFBが添加される食事の種類とは無関係に、試験食の全ての血糖上昇指数(GI)は低下した。特に、VFBをコーンフレークに添加すると、コーンフレークのGIは高GIカテゴリーから中程度のカテゴリーに低下し、VFBを米に添加すると、米のGIは高GIカテゴリーから低GIカテゴリーに低下したことに留意されたい。
【0213】
図13は、平均±SEMで表した、有効炭水化物約50g当たりVFBを5.0g含む、または含まない各試験食に関する血糖上昇指数をグラフで示す。図13に示されるように、VFBをコーンフレーク、米、ターキーディナー、またはヨーグルトに添加した結果、食事のGIがそれぞれ26%、45%、24%、および9%低下した。VFBを添加したときの、コーンフレークおよび米の食事のGIで観察された低下%は、統計的に有意であった(p<0.00001)。
【0214】
口当たりの良さに関しては、全ての試験食は十分に認められるものであった。VFBを様々な食物の種類に添加しても、特定の食品の口当たりの良さを有意に低下させなかったことに留意されたい。したがってこれらの結果は、VFBの添加によって、このVFBが添加される食事の種類とは無関係に試験食の全てのGIが低下し、かつ試験食の口当たりの良さに著しい影響を及ぼさなかったことを実証する。
【0215】
(実施例14)
この実施例は、VFBを様々な種類のグラノーラに添加することが、このVFBが添加されるグラノーラの血糖上昇指数を低下させるのに有効であることを実証する。
【0216】
方法
被験体
年齢37.3±3.6才、ボディマス指数23.8±1.3kg/m2の健常者(男性4名および女性6名)について、研究した。この研究に参加した被験体の個々の詳細を、実施例13の表42に示す。
【0217】
試験食
全ての試験食は、50gの有効炭水化物(全炭水化物から食物繊維を差し引いたものと定義される)を含有する各食物の、数人分からなるものであった。白パンコントロールは、実施例13で記述したように用意した。VFBは、選択的な乾燥および液体グラノーラ成分とVFB(コンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17))とを混合し、次いで混合物全体をベーキングまたはその他の乾燥方法により処理することによって、グラノーラに組み込んでもよい。以下の試験グラノーラ食は、VFBをグラノーラ中に焼き込むことによって調製した。
【0218】
グラノーラ1C=一人前60g(有効CHO 50g)当たりVFB2.5gを有するクランベリーグラノーラ
グラノーラ1B=一人前60g(有効CHO 50g)当たりVFB2.5gを有するブルーベリーグラノーラ
グラノーラ2B=一人前60g(有効CHO 50g)当たりVFB5.0gを有するブルーベリーグラノーラ
グラノーラ3B=一人前60g(有効CHO 50g)のブルーベリーグラノーラコントロール(VFBなし)
【0219】
【表46】
アッセイ法
各被験体は、別々の日に処置を受け、各被験体は、1週当たり2回までの試験を行い、これらの試験と試験との間を少なくとも1日空けた。各試験日に、被験体は、10〜14時間、一晩絶食した翌朝に到着した。次いで体重を量った後、およびフィンガープリックにより空腹時血液サンプルを得た後に、被験体は10分以内に試験食を消費し、試験食の開始後15、30、45、60、90、および120分後に、さらに血液サンプルを得た。被験体には、ミルクありまたはミルクなしの1〜2杯の水、紅茶、またはコーヒーの選択を与えた。各被験体によって消費された飲料は、各試験日において同じに維持された。
【0220】
血中グルコースを、絶食後と、試験食を食べた後15、30、45、60、90、および120分後に、実施例13に示される方法を使用して測定した。口当たりの良さを実施例13に記載された方法を使用して測定した。
【0221】
結果
様々なグラノーラ試験食およびコントロールに関する血中グルコース試験の結果を、以下の表47にまとめる。「*」記号は、指示された時点での、試験条件と白パンコントロールとの間の統計的に有意な差を示す。
【0222】
【表47】
上記表47に示されるように、グラノーラ3B(コントロール)消費後の血中グルコース濃度は、白パン消費後のグルコース濃度に類似しており、統計的に有意な低下が、試験食消費後30分(p=0.034)で観察された。グラノーラ1B(VFB 2.5gを有する)の消費後の血中グルコース濃度は、白パンコントロールで観察されたものよりも有意に低く、統計的に有意な差が、試験食消費後45分(p=0.001)および60分(p=0.0001)で観察された。グラノーラ2B(VFB 5.0gを有する)消費後の血中グルコース濃度は、白パンコントロールに比べてさらに低下し、統計的に有意な低下が、試験食消費後30分(p=0.002)、45分(p=0.0001)、60分(p=0.0001)、および90分(p=0.036)で観察された。グラノーラ1C(VFB 2.5gを有する)消費後の血中グルコース濃度も、白パンコントロールで観察されたものよりも有意に低く、統計的に有意な低下が、試験食消費後30分(p=0.034)、45分(0.001)、60分(0.001)、および90分(0.022)で観察された。
【0223】
口当たりの良さおよび血糖上昇指数
口当たりの良さおよび血糖上昇指数は、実施例13で既に述べたように分析した。その結果を、以下の表48に示す。口当たりの良さに関し、全ての試験食は十分に容認されるものであり;しかし、5gのVFBを有するブルーベリーグラノーラ(Gran2B)の口当たりの良さに関するスコアは、白パンコントロールと比べたときよりも有意に低かった。
【0224】
【表48】
血糖上昇指数に関し、VFBを含有するグラノーラの全ては、白パンコントロールまたはグラノーラコントロールよりも有意に低かった。図14は、平均±SEMとして表される、VFBを含む、または含まない各試験食に関する血糖上昇指数をグラフで示す。図14に示されるように、VFBの添加によって、全てのグラノーラの血糖上昇指数が低下し、統計的に有意な低下が、使用されるグラノーラの種類とは無関係に観察された(p<0.0001)。コントロールグラノーラ(ブルーベリー)と比較すると、クランベリーグラノーラ(2.5g VFB)、ブルーベリーグラノーラ(2.5g VFB)、およびブルーベリーグラノーラ(5.0g VFB)は、それぞれのGIが31%、45%、および64%低下した。
【0225】
この研究は、中および高血糖上昇指数を有する食物摂取後に血中グルコースレベルの急上昇を穏やかにする、効果的で口当たりの良さを増すことができる方法として、VFBをグラノーラおよびその他の食物に組み込むことができることを実証する。VFBの添加によって用量依存的にGIを低下させただけではなく、グラノーラの血糖上昇指数カテゴリーも中から低へと低下させた。その他の中または高血糖上昇指数カテゴリー食物にVFBを添加することは、同様の効果を発揮すると予測することができる。
【0226】
(実施例15)
この実施例は、粘性繊維混合物(VFB)を毎日投与したときに、体重を低下させ、コレステロールレベルを低下させ、空腹時グルコースを低下させるのに有効であることを実証する、過体重および肥満の被験体の14週間の研究について記述する。
【0227】
理論的根拠:
この観察上の遡及的臨床分析の目的は、体重減少、ボディマス指数、ウェスト回り、ウェスト−ヒップ比と、過体重および肥満の成人の、14週に及ぶ、総およびLDLコレステロール、トリグリセリド、空腹時インシュリン、空腹時グルコース、および2時間グルコース耐性試験を含む実験室測定値に対する、VFBミクロ顆粒(VFB 100)(顆粒化したコンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17))の効力を試験することであった。
【0228】
被験体:
合計で29名の、あまり運動しない成人(女性23名;男性6名、概して良好な健康状態)であって、年齢20〜65才、ボディマス指数(BMI)が約23kg/m2〜36kg/m2である成人を、地方紙に掲載された一連の広告を通して参加するように促した。被験体は、このプログラムに参加することの同意書を提出し、研究責任者の一人によって与えられる2週ごとに、かつ最大で14週間、全身の健康状態、食事、および運動に関するグループレクチャーに参加するよう求められた。
【0229】
方法:
被験体のスクリーニングおよび評価は、医師または自然療法師によって、身長(インチ)、体重(ポンド)、ウェスト−ヒップ比の測定に関し、週2回ベースで行った。体脂肪%は、ベースラインでおよびその後2週ごとに、生体電気インピーダンス試験を使用して決定した。BMIおよび体脂肪%を決定するために、全ての被験体に関してコンピュータ化分析(RJRシステム)をさらに用いた。このプログラムに登録された全ての被験体は、最初にベースラインでHDL、LDL、総コレステロール、トリグリセリド、空腹時グルコース、空腹時インシュリン、2時間絶食インシュリン、および75gグルコース耐性試験に関して評価し、異常な危険因子を有する場合のみ、後者の実験室パラメータを14週で使用して再試験した。この時間枠中、ボランティアは、VFBミクロ顆粒(VFB 100)を10gまで、12〜16ozの水と共に1日を通して複数回に分けた用量で摂取することが求められた。
【0230】
有意性は、the Short Term Consulting Service、Department of Statistics、University of British Columbiaの支援を受け、対応のあるT検定分析を使用して決定した。
【0231】
結果:
体重減少およびその他のパラメータ:VFBを使用した14週間中、グループ体重(−12.78±7.84ポンド)、ウェスト回り(−4.75±2.19インチ)、体脂肪%(−2.43±2.39%)、およびBMI(−2.26±1.24kg/m2)に、有意な低下があった。これら後者の結果と同様にかつ協働して、男女共に、以下の表に示されるように試験をした体重減少変数には有意な低下があることを、個々に実証した。
【0232】
【表49】
*0週に対してp<0.05
”単位ポンドで表した体重
””単位インチで表したウェストおよびヒップ
【0233】
【表50】
*0週に対してp<0.05
【0234】
【表51】
*0週に対してp<0.05
【0235】
【表52】
*0週に対してp<0.05
”BMI(単位:kg/m2) 。
【0236】
脂質レベル
ベースライン値と比較すると、14週の研究期間にわたりVFBミクロ顆粒を用いる被験体には、総およびLDLコレステロール値でそれぞれ19.26%(n=17;p<0.05)および25.51%(n=16;p<0.05)の有意な低下があった。トリグリセリドの低下およびHDLコレステロール値の上昇に向かう傾向があるが、得られた変化は統計的に有意ではなかった。
【0237】
空腹時インシュリンおよびグルコース:
グループとして、また研究期間の終わりまでに、VFBを用いる参加者は、ベースラインに比べ、空腹時グルコースで6.96%の低下(n=20;p<0.05)、2時間グルコース耐性で12.05%の低下(n=21;p<0.05)、および空腹時インシュリンレベルで27.26%の低下(n=17;p<0.05)を経験した(グラフ2参照)。2時間空腹時インシュリンレベルが低下する傾向があったが、その結果は、統計的に有意ではなかった。
【0238】
表53は、VFBミクロ顆粒を用いた14週試験中に得られた、全実験室データの概要である。
【0239】
【表53】
*ベースラインに対してp<0.05。
【0240】
自己報告スケールを使用した効力の分析:
研究の終わりに参加者によって完了された自己報告スケールでは、VFB使用者の97.7%が、食物要求を抑制されている(curbing food craving)時および空腹時の両方で製品に対して肯定的な応答をしたことを示した。
【0241】
試験調製物の副作用:
VFBは、報告された苦情全ての大部分を構成する胃腸(GI)症状を有する参加者によって、おおむね十分に容認された。ガス、鼓脹、腸痙攣、便秘、および下痢などの症状が、ボランティアによって認識された。68%は、そのGI症状が、VFB開始から約3週間以内に消散したことを示した。参加者の32%全てには、この研究中に中程度のGI副作用があることがわかったが、その重症度は、使用を中断するほど十分なものではなかった。
【0242】
考察:
この遡及的分析の結果は、14週間にわたる、食事および身体的活動の全体的な変化と共にVFBミクロ顆粒(VFB 100)を使用することは、過体重および/または肥満の人間の代謝および心臓血管の危険因子を修正するのに有益であることを、明らかに実証している。全体的に、グループ体重(−12.78±7.84ポンド)、ウェスト回り(−4.75±2.19インチ)、および体脂肪%(−2.43%±2.39%)に、有意な低下があった。さらに、これら後者の変化は、14週という比較的短い時間帯において。空腹時LDL(−25.51%)、空腹時グルコース(−6.96%)、および空腹時インシュリン(−27.26%)レベルの有意な低下と並行していた。VFBミクロ顆粒によって提供されたこの広範な臨床上の利益は、代謝制御を改善する際のその独自の生理学的利点を反映している。
【0243】
粘性可溶性繊維に富む食物5〜10gの消費は、血清LDLコレステロールを低下させ、後続のCDV事象では10%〜15%低下させることが報告されている(Shamliyanら、J,Fam.Pract. 55巻:761〜9頁(2006年))。この研究から得られた結果に基づき、VFBは、LDLコレステロールを25.1%低下させるのに、より効果的になることが示された。比較において、研究は、最短でも3カ月にわたってコレステロール低下食材の「ポートフォリオ」を用いる者は、約14%というLDLコレステロールの安定した低下をもたらすことを示した(p<0.001)(Jenkinsら、Am.J.Clin.Nutr. 83巻:582〜91頁(2006年))。
【0244】
さらに、この調査に見られるLDLコレステロール値の低下は、VFBを用いて得られた低下%がスタチン型薬物で報告された有効性(20%〜55%)の範囲内に包含されるので、注目に値する(Ritishauser、Swiss Med. Wkly 136巻:41〜9頁(2006年))。
【0245】
この研究の結果は、14週間にわたる短期体重減少を促進するのに、VFBが有効であることを実証する。得られた結果(−12.78ポンド;5.81kg)は、抗肥満薬オルリスタットを摂取したものと同様である。対照研究では、12週間にわたって1日3回、120mgの用量で薬物オルリスタットを用いた過体重(BMI>25kg/m2)2型糖尿病患者は、プラセボ群の0.4kgに比べて2.5kg減少した(p<0.05)(Kuoら、Int.J.Clin.Pract. 60巻(8号):906〜10頁(2006年))。シブトラミンおよびオルリスタットを含む処方薬である体重減少薬物の長期使用(12カ月)は、プラセボに比べ、それぞれ4.5kgおよび2.9kgの平均体重減少をもたらした(Dixon、Australian Fam.Phys. 35巻:576〜79頁(2006年))。
【0246】
現行の14週調査で、男性(−18.32±6.15ポンド)は女性(−11.34±7.69ポンド)よりも、平均して多くの体重を失うことが示されたことは、興味深い。この変化は、安静時エネルギー消費量に見られる基本的性差による可能性がある。ロバート・フェラーロ博士およびその関係者による研究は、あまり動かない場合の24時間エネルギー消費量が、年齢、活動、および身体組成に関する統計的調節後、男性に比べて女性では約5%〜10%低いことを示した(Ferraroら、J.Clin.Invest. 90巻:780〜784頁(1992年))。
【0247】
この研究では、携帯用間接熱量計(MedGemデバイス、HealtheTechによる)の使用を通して、女性は、この研究の最初では男性(2346.67キロカロリー)に比べてより低い平均安静時/基礎代謝率(1841.18キロカロリー)を有していたことが決定された。
【0248】
またこの研究は、VFBを消費した被験体で、体重の減少と並行してBMIスコアも、ベースラインから2.26±1.24%有意に低下したことを実証した(p<0.05)。BMIは、過体重/肥満の程度およびこれが健康上で危険性に及ぼす全体的な影響の評価するために、一般的に用いられる尺度である(usda.gov/cnpp/Insights/Insight16b.pdf)。例えば、30以上のBMIを有する男女は共に、過体重(25kg/m2〜29.9kg/m2のBMI)であると分類されたものよりも高い死亡危険率を有する(Villarealら、Am.J.Clin.Nutr. 82巻:923〜34頁(2005年))。
【0249】
体重およびコレステロールレベルを修正する他に、この研究の結果は、VFBが、空腹時グルコース、2時間グルコース、および空腹時インシュリンレベルを有意に低下させたことを示し、これはVFBが、血糖制御を改善するのに価値があることを実証している。特に、本発明の研究の結果は、総空腹時インシュリンレベルが、14週の調査中に89.41±44.84pmol/Lから65.04±33.21pmol/Lに低下したことを示す。この後者の知見は、過体重または肥満の個体において、インシュリン分泌のベースラインおよび食後4時間での分泌率が、正常体重の場合よりも高いことを確認する。この結果は、健常者および肥満被験体でのインシュリン分泌の24時間プロフィールを測定した別の研究(Polanskyら、J.Clin.Investg. 28巻(supple 2):3〜6頁(1998年))と一致している。
【0250】
さらに、これらの結果は、VFB顆粒による生活スタイルの修正が、インシュリン耐性の処置に役立つことも示唆している。肥満は、インシュリン耐性で重要な役割を演じ、インシュリン耐性の増加または減少は、それぞれ体重増加または減少に結び付いている(Lamounier−Zepterら、Best Pract.Res.Clin.Endocrin.Metabol. 20巻:355〜367頁(2006年))。
【0251】
これら後者の結果は、VFBの処置的使用が、過剰な体重、肥満、および/またはメタボリックシンドロームに罹っている者に実用的な利益をもたらすことを示唆している。
【0252】
(実施例16)
この実施例は、血糖の不安定性を示す肥満であるが糖尿病ではない被験体および糖尿病の被験体に関する研究について記述しており、これら被験体への粘性繊維混合物(VFB)の投与が、その血糖の不安定性を低下させるのに有効であることを実証する。
【0253】
理論的根拠:12名の肥満であるが糖尿病ではない被験体、および数名の糖尿病の被験体について、連続的グルコースモニタリングシステム(MiniMed(登録商標)CGMS、Medtronic Inc.)を使用して研究し、正常体重のコントロール被験体と比較した。CGMSは、医師によって腹部脂肪組織内に挿入されたマイクロ電子センサに接続されている、1週間まで装着される携帯用電子デバイスである。このデバイスは、インシュリン依存性糖尿病での血糖のモニタリングに関し、FDAにより承認されたものであり、典型的には、インシュリンのより精密な調節が可能になるように、糖尿病の血糖をより正確にかつ24時間休みなく見るために、糖尿病専門センターで使用される。フィンガースティックグルコースモニタのように、血糖を1日当たり2〜3回サンプリングするのではなく、CGMSは、血糖を1日当たり数百回サンプリングする。数日後、患者を医師に戻し、血糖データを医師のコンピュータにダウンロードする。次いでデータをグラフ表示し、定量的に分析して、低血糖エピソードの頻度などのパラメータを評価し、ならびに平均およびピーク血糖値を評価する。本発明者らの知る限りでは、ならびにデバイス製造業者が知る限りでは、本発明者らは、肥満であるが糖尿病ではない個体の評価でCGMSを使用した最初のグループである。本発明者らは、血糖偏倚の頻度の増大、血糖の上昇および下降の迅速な性質、増大した血糖の不安定性として理想的な血糖値よりも高く維持された時間について、まとめて言及する。
【0254】
方法:12名の肥満であるが糖尿病ではない被験体および数名の糖尿病の被験体の血糖の不安定性を、連続的グルコースモニタリングシステム(CGMS MiniMed、Medtronic,Inc.)を使用してベースラインでまた5週間の研究後に評価した。5週間の研究中、各被験体は、1日当たりVFB(コンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17))10〜15gを消費した。被験体を、この研究機関中に主観的空腹および食物要求についても評価した。
【0255】
第2の研究では、数名の肥満であるが糖尿病ではない被験体を、低血糖上昇指数食(VFBを含まない)で6カ月間処置し、血糖の不安定性を、低血糖上昇指数食の前のベースラインで、さらに6カ月間の食事の後にも評価した。
【0256】
第3の研究では、インシュリン処置を受ける数名の糖尿病の被験体を、4週間にわたり、1日当たり10〜15gのVFB(コンニャク/キサンタン/アルギナート(70:13:17))で処置した。被験体を、連続的グルコースモニタリングシステムを使用して、ベースラインで、また4週間の研究後にも評価した。
【0257】
結果:
健常者:
図15は、24時間にわたる、肥満でも糖尿病でもない被験体での正常な血糖の不安定性を測定する、代表的な連続的グルコースモニタリングシステム(CGMS)グラフを示す。図15に示されるように、健常者の血中グルコースレベルは、70〜120mmol/dLの理想的な値の間にあり、血糖の不安定性は、24時間にわたる約100mmol/dlの平均血糖グルコースレベルからの、非常に穏やかで低頻度の偏倚を示す。図15に示されるデータは、試験をした数名の健常者を表している。
【0258】
肥満であるが糖尿病ではない被験体(VFB処置の前後):
健常者で得られた結果とは対照的に、肥満の個体は、迅速に変動する血糖レベルを有し、かつ典型的には、以下により詳細に記述するように、年齢が一致したコントロールに比べ、高頻度の高血糖および低血糖性の血糖偏倚を示すことを発見した。
【0259】
図16Aは、VFBで処置する前に24時間にわたり測定された(ベースライン)、肥満であるが糖尿病ではない被験体(ID:10)に関するCGMSグラフを示す。図16Aに示される結果は、VFBで処置する前のこの被験体で、5回連続して24時間にわたり測定された結果を表す。図16Aに示されるように、被験体(ID:10)は、健常者(図15)に比べて増大した血糖の不安定性を有しており、ピーク血中グルコースレベルは180mg/dLを超え、それと共に頻繁な血中グルコース偏倚があり、その結果、健康な固体に比べて(図15)全体的に増大した血糖の不安定性が生じた。図16Bは、VFBを5週間消費させた後(10〜15g/日)の、図16Aに示されたものと同じ被験体ID:10のCGMSグラフを示す。図16Bに示されるように、血糖の不安定性の劇的な低下は、VFBで処置した後の被験体ID:10で観察され、このときの平均血中グルコースレベル約100mmol/dLは、健常者で観察されたものと同様に(図15)、24時間にわたって維持された。
【0260】
図17Aは、VFBで処置する前に24時間にわたり測定された(ベースライン)、第2の肥満であるが糖尿病ではない被験体(ID:90)に関するCGMSグラフを示す。図17Aに示される結果は、VFBで処置する前に、この被験体で5回連続して24時間にわたり測定された結果を表す。図17Aに示されるように、被験体(ID:90)は、健常者(図15)に比べて増大した血糖の不安定性を有し、それと共に頻繁な血中グルコース偏倚を有し、その結果、健康な個体(図15参照)に比べて全体的に増大した血糖の不安定性をもたらす。図17Bは、VFBを5週間消費させた後(10〜15g/日)の、図17Aに示されるものと同じ被験体ID:90のCGMSグラフを示す。図17Bに示されるように、血糖の不安定性の劇的な低下は、VFBで処置した後の被験体ID:90で観察され、そのときの平均血中グルコースレベル約100mmol/dLは、健常者で観察された場合と同様に(図15)、24時間にわたって維持された。図17Bに示される結果は、VFBで処置した後のこの被験体で、5回続けて24時間にわたり測定された結果を表す。
【0261】
図18Aは、VFBで処置する前に24時間にわたり測定された、第3の肥満であるが糖尿病ではない被験体(ID:20)のCGMSグラフを示す(ベースライン)。図18Aに示される結果は、VFBで処置する前の被験体で、5回連続して24時間にわたり測定された結果を表す。図18Aに示されるように、被験体(ID:20)は、健常者(図15)に比べて増大した血糖の不安定性を有し、それと共に頻繁な血中グルコース偏倚を有し、その結果、健康な個体(図15参照)に比べて全体的に増大した血糖の不安定性が得られた。図18Bは、VFBを5週間消費させた後(10〜15g/日)の、図18Aに示されるものと同じ被験体ID:20のCGMSグラフを示す。図18Bに示されるように、血糖の不安定性の劇的な低下は、VFBで処置した後の被験体ID:20で観察され、その平均血中グルコースレベル約100mmol/dLは、健常者(図15)で観察された場合と同様に、24時間にわたり維持された。図18Bに示される結果は、VFBで処置した後のこの被験体で、5回続けて24時間にわたり測定された結果を表す。
【0262】
上述の3名の被験体(ID:10、20、90)の結果は、この研究に含めたその他の被験体(データは示さず)を表した。これらの結果は、VFBが、肥満被験体で観察された血糖の不安定性を有意に低下させるのに有効であったことを実証する。さらに、この研究における肥満であるが糖尿病ではない被験体は、5週間の研究の過程で、主観的空腹および食物要求の著しい低下を報告することが示された。
【0263】
肥満であるが糖尿病ではない被験体(低血糖上昇指数食の前後):
CGMSデータは、低血糖上昇指数食(VFBを含まない)で処置する前および後の、数名の肥満であるが糖尿病ではない被験体から得られた。重要なことは、VFBで観察された結果とは対照的に、低血糖上昇指数食が、これら被験体の血糖の不安定性を有意に低下させることはないことが観察されたことである。図19Aは、低血糖上昇指数食で処置する前の(ベースライン)、肥満であるが糖尿病ではない被験体(ID:1098)の24時間にわたるCGMSグラフを示す。図19Bは、6カ月間の低血糖上昇指数食の後の、24時間にわたるCGMSグラフを示す(図19Aに示されるものと同じ、肥満であるが糖尿病ではない被験体から)。図示されるように、食事前の被験体で示される血糖の不安定性(図19A)は、低血糖上昇指数食によって有意に低下することはないことを示した(図19B)。別の例として、図19Cは、低血糖上昇指数食で処置する前の(ベースライン)、第2の肥満であるが糖尿病ではない被験体(ID:1146)の、24時間にわたるCGMSグラフを示す。図19Dは、6カ月間の低血糖上昇指数食の後の、24時間にわたるCGMSグラフを示す(図19Cに示されるものと同じ肥満であるが糖尿病ではない被験体から)。図示されるように、食事の前の被験体で示された血糖の不安定性は(図19C)、低血糖上昇指数食によって有意に低下することはなかった(図19D)。したがってこれらの結果は、低血糖上昇指数食が、肥満被験体で観察された血糖の不安定性を低下させるのに有効ではなかったことを実証する。
【0264】
糖尿病被験体(VFB処置の前後)
CGMSデータを、VFBで処置する前および後の(4週間にわたり10〜15g/日)、インシュリン処置を受けている数名の糖尿病の被験体から得た。図20Aは、VFBで処置する前(ベースライン)の、インシュリンを受けている肥満の糖尿病被験体(ID:60)の、24時間にわたるCGMSグラフを示す。図20Aに示されるように、血糖は、この被験体で不十分に制御され、ピーク血中グルコースレベルが300mg/dLを超え、低血中グルコースレベルは70mg/dLよりも低く、それと共に頻繁な血中グルコース偏倚があり、その結果、健康な個体に比べて全体的に増大した血糖の不安定性が生じた。図20Aに示される結果は、VFBで処置する前に、この被験体で5回続けて24時間にわたり測定された結果を表す。
【0265】
図20Bは、4週間にわたりVFBで処置した後の(10〜15g/日)、図20Aに示されるものと同じ糖尿病の被験体の、24時間にわたるCGMSのグラフを示す。図20Bに示されるように、血糖レベルは、VFB処置によってさらにより良く制御され、重要なことは、インシュリン要求が、VFB処置前に前もって必要とされる用量の1/2未満であることであった。図20Aに示される結果は、VFBで処置した後のこの被験体で、5回続けて24時間にわたり測定された結果を表す。同様の効果が、その他の糖尿病の被験体で観察された。
【0266】
結論:
まとめると、これらの結果は、血糖の不安定性に対してVFB処置の有意かつ意外な影響が発揮され、肥満であるが糖尿病ではない被験体では、低血糖上昇指数食のみでの処置よりもVFB処置が優れていることを実証する。この研究で分析された肥満であるが糖尿病ではない被験体の全ては、この研究の開始前に24時間にわたり測定したとき(ベースライン)に増大した血糖の不安定性を有し、それに比べて健康なコントロール被験体では、VFBで処置した後に有意に低下したことが観察された。さらに、VFB処置は、肥満のインシュリン依存性糖尿病の被験体で血糖調節を著しく改善するのに有効であることが実証された。
【0267】
本発明の好ましい実施形態が例示され、記載されたが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、それらの実施形態において種々の変更をなし得ることが理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物、ならびに少なくとも1種の脂質またはその混合物を含む食物繊維組成物であって、該脂質またはその混合物が、該食物繊維組成物全体の少なくとも20% w/wを構成する、食物繊維組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の食物繊維組成物であって、胃条件下で15分後に少なくとも2,000センチポアズの粘度を有する、食物繊維組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の食物繊維組成物であって、胃条件下で15分後に少なくとも10,000センチポアズの粘度を有する、食物繊維組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の食物繊維組成物であって、前記繊維混合物が、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の食物繊維組成物であって、前記繊維混合物が、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の食物繊維組成物であって、前記繊維混合物が、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約9%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の食物繊維組成物であって、前記繊維混合物が、約70%(w/w)のグルコマンナン、約13%(w/w)のキサンタンガム、および約17%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
【請求項8】
請求項6に記載の食物繊維組成物であって、前記繊維混合物が、約70%のグルコマンナン、約17%(w/w)のキサンタン、および約13%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の食物繊維組成物であって、前記脂質またはその混合物が、中鎖トリグリセリドを含む、食物繊維組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の食物繊維組成物であって、前記脂質またはその混合物が食用油を含む、食物繊維組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の食物繊維組成物であって、前記食用油が、ダイズ油、パーム核油、魚油、キャノーラ油、またはこれらの混合物からなる群から選択される、食物繊維組成物。
【請求項12】
請求項9に記載の食物繊維組成物であって、前記繊維混合物(VFB)および前記中鎖トリグリセリド(MCT)を、約30:70(w/w VFB:MCT)〜約80:20(w/w VFB:MCT)の比で含む、食物繊維組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の食物繊維組成物であって、外側のソフトゼラチンカプセルをさらに含む、食物繊維組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の食物繊維組成物であって、前記外側のソフトゲルカプセルが、ゼラチン、グリセリン、および水の組み合わせを含む、食物繊維組成物。
【請求項15】
(a)グルコマンナン、キサンタンガム、およびアルギナートを含む繊維混合物、ならびに
(b)少なくとも1種の脂質またはその混合物
を含む食物繊維組成物であって、該繊維混合物および少なくとも1種の脂質が、胃条件に暴露されて5分後に該食物繊維組成物が約1〜約3,500センチポアズの水中粘度、および15分以内に少なくとも5倍の粘度の増大を示すことを可能にするのに十分な量でそれぞれ存在する、食物繊維組成物。
【請求項16】
請求項15に記載の食物繊維組成物であって、前記繊維混合物が、約50%〜約90%(w/w)のグルコマンナンを含む、食物繊維組成物。
【請求項17】
請求項15に記載の食物繊維組成物であって、前記繊維混合物および少なくとも1種の脂質が、胃条件で5分後に該組成物が約1〜約3,500センチポアズの水中粘度、および15分後に少なくとも20,000センチポアズの粘度を示すことを可能にするのに十分な量でそれぞれ存在する、食物繊維組成物。
【請求項18】
請求項15に記載の食物繊維組成物であって、ゼラチン、グリセリン、および水の組み合わせを含む外側のソフトゲルカプセルをさらに含む、食物繊維組成物。
【請求項19】
食品の有効炭水化物50g当たり2.5g〜7.5gの、繊維混合物を含む組成物を含む食品であって、該繊維混合物が、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、食品。
【請求項20】
請求項19に記載の食品であって、固形食である、食品。
【請求項21】
請求項20に記載の食品であって、穀物を含む、食品。
【請求項22】
請求項21に記載の食品であって、米、シリアル、グラノーラ、オートミール、焼いた食品、およびパスタからなる群から選択される、食品。
【請求項23】
請求項20に記載の食品であって、家禽肉、牛肉、豚肉、および魚肉からなる群から選択される肉を含む、食品。
【請求項24】
請求項19に記載の食品であって、乳、ヨーグルト、チーズ、バター、マーガリン、およびアイスクリームからなる群から選択される乳製品である、食品。
【請求項25】
請求項19に記載の食品であって、食事代替飲料、スムージー、栄養補助食品、スープ、およびジュースからなる群から選択される流動体または半流動体である、食品。
【請求項26】
請求項19に記載の食品であって、前記繊維混合物が、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約9%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む、食品。
【請求項27】
請求項19に記載の食品であって、前記繊維混合物が、約60%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、食品。
【請求項28】
請求項19に記載の食品であって、前記組成物が、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む、食品。
【請求項29】
食品の血糖上昇指数を低下させるための方法であって、該方法は、該食品の血糖上昇指数を、少なくとも5血糖上昇指数単位だけ低下させるのに有効な量で食物繊維混合物を含む組成物を、消費前に該食品に加える工程を包含し、該繊維混合物が、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、前記組成物を焼いて前記食品にする、方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法であって、前記組成物を、消費前に前記食品と混合する、方法。
【請求項32】
請求項29に記載の方法であって、前記組成物を、消費前に、前記食品上に散在させる、方法。
【請求項33】
請求項29に記載の方法であって、前記食品が、米、シリアル、グラノーラ、焼いた食品、パスタ、および肉からなる群から選択される固形食品である、方法。
【請求項34】
請求項29に記載の方法であって、前記食品が、乳、ヨーグルト、チーズ、バター、マーガリン、およびアイスクリームからなる群から選択される乳製品である、方法。
【請求項35】
請求項29に記載の方法であって、前記食品に加えられる前記組成物の量が、該食品の有効炭水化物50g当たり組成物2.5g〜7.5gの範囲である、方法。
【請求項36】
請求項29に記載の方法であって、前記組成物が、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む、方法。
【請求項37】
血糖の不安定性を低減する必要のある被験体における、血糖の不安定性の低減方法であって、該方法は、その必要のある該被験体に、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法であって、前記組成物が、1日当たり5.0g〜15.0gの量で前記被験体に投与される、方法。
【請求項39】
請求項37に記載の方法であって、前記組成物が、前記被験体に少なくとも4週間投与される、方法。
【請求項40】
請求項37に記載の方法であって、前記血糖の不安定性を低減する必要のある被験体が、過体重の被験体、肥満であるが糖尿病ではない被験体、およびII型糖尿病の被験体からなる群から選択されるヒト被験体である、方法。
【請求項41】
請求項37に記載の方法であって、前記繊維混合物が、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約9%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
【請求項42】
請求項37に記載の方法であって、前記繊維混合物が、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約9%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
【請求項43】
請求項37に記載の方法であって、前記組成物が、少なくとも1種の脂質またはその混合物をさらに含み、該脂質またはその混合物が、食物繊維組成物全体の少なくとも20% w/wを構成する、方法。
【請求項44】
請求項37に記載の方法であって、前記組成物が、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む、方法。
【請求項45】
被験体における血糖の不安定性の低減方法であって、該方法は:
(a)該被験体のベースラインの血糖の不安定性を求めるために、連続的グルコースモニタリングシステムを用いて、指定された時間、該被験体を測定する工程と、
(b)約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む有効投与量の組成物を、工程(a)において測定されたベースラインの血糖の不安定性と比較して、該被験体の血糖の不安定性を低減するのに有効な期間、該被験体に投与する工程と、
を含む方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法であって、前記被験体が、連続的グルコースモニタリングシステムを用いて少なくとも24時間測定される、方法。
【請求項47】
請求項45に記載の方法であって、前記被験体が、1日当たり5.0g〜15.0gの前記組成物の投与量で、少なくとも4週間処置される、方法。
【請求項48】
請求項45に記載の方法であって、前記被験体が、120mmol/Lを超えるピークグルコースレベルを伴うベースラインの血糖の不安定性を有する、糖尿病ではない過体重または肥満の被験体であり、前記繊維混合物を用いた処置が、前記血糖の不安定性を120mmol/L未満のピークグルコースレベルに低減する、方法。
【請求項49】
請求項45に記載の方法であって、前記被験体が、220mmol/Lを超えるピークグルコースレベルを伴うベースラインの血糖の不安定性を有する、糖尿病かつ肥満である被験体であり、前記繊維混合物を用いた処置が、前記血糖の不安定性を220mmol/L未満のピークグルコースレベルに低減する、方法。
【請求項50】
請求項45に記載の方法であって、前記組成物が、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む、方法。
【請求項51】
食物繊維組成物の製造方法であって、該方法は:
(a)約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを混合する工程と、
(b)約20%〜約70%の脂質またはその混合物を加え、混合して、該食物繊維組成物を生成する工程と
を含む方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法であって、工程(b)の前に工程(a)の前記混合物を顆粒化する工程をさらに含む、方法。
【請求項53】
請求項51または請求項52に記載の方法によって製造される食物繊維組成物。
【請求項1】
約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物、ならびに少なくとも1種の脂質またはその混合物を含む食物繊維組成物であって、該脂質またはその混合物が、該食物繊維組成物全体の少なくとも20% w/wを構成する、食物繊維組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の食物繊維組成物であって、胃条件下で15分後に少なくとも2,000センチポアズの粘度を有する、食物繊維組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の食物繊維組成物であって、胃条件下で15分後に少なくとも10,000センチポアズの粘度を有する、食物繊維組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の食物繊維組成物であって、前記繊維混合物が、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の食物繊維組成物であって、前記繊維混合物が、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の食物繊維組成物であって、前記繊維混合物が、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約9%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の食物繊維組成物であって、前記繊維混合物が、約70%(w/w)のグルコマンナン、約13%(w/w)のキサンタンガム、および約17%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
【請求項8】
請求項6に記載の食物繊維組成物であって、前記繊維混合物が、約70%のグルコマンナン、約17%(w/w)のキサンタン、および約13%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の食物繊維組成物であって、前記脂質またはその混合物が、中鎖トリグリセリドを含む、食物繊維組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の食物繊維組成物であって、前記脂質またはその混合物が食用油を含む、食物繊維組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の食物繊維組成物であって、前記食用油が、ダイズ油、パーム核油、魚油、キャノーラ油、またはこれらの混合物からなる群から選択される、食物繊維組成物。
【請求項12】
請求項9に記載の食物繊維組成物であって、前記繊維混合物(VFB)および前記中鎖トリグリセリド(MCT)を、約30:70(w/w VFB:MCT)〜約80:20(w/w VFB:MCT)の比で含む、食物繊維組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の食物繊維組成物であって、外側のソフトゼラチンカプセルをさらに含む、食物繊維組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の食物繊維組成物であって、前記外側のソフトゲルカプセルが、ゼラチン、グリセリン、および水の組み合わせを含む、食物繊維組成物。
【請求項15】
(a)グルコマンナン、キサンタンガム、およびアルギナートを含む繊維混合物、ならびに
(b)少なくとも1種の脂質またはその混合物
を含む食物繊維組成物であって、該繊維混合物および少なくとも1種の脂質が、胃条件に暴露されて5分後に該食物繊維組成物が約1〜約3,500センチポアズの水中粘度、および15分以内に少なくとも5倍の粘度の増大を示すことを可能にするのに十分な量でそれぞれ存在する、食物繊維組成物。
【請求項16】
請求項15に記載の食物繊維組成物であって、前記繊維混合物が、約50%〜約90%(w/w)のグルコマンナンを含む、食物繊維組成物。
【請求項17】
請求項15に記載の食物繊維組成物であって、前記繊維混合物および少なくとも1種の脂質が、胃条件で5分後に該組成物が約1〜約3,500センチポアズの水中粘度、および15分後に少なくとも20,000センチポアズの粘度を示すことを可能にするのに十分な量でそれぞれ存在する、食物繊維組成物。
【請求項18】
請求項15に記載の食物繊維組成物であって、ゼラチン、グリセリン、および水の組み合わせを含む外側のソフトゲルカプセルをさらに含む、食物繊維組成物。
【請求項19】
食品の有効炭水化物50g当たり2.5g〜7.5gの、繊維混合物を含む組成物を含む食品であって、該繊維混合物が、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、食品。
【請求項20】
請求項19に記載の食品であって、固形食である、食品。
【請求項21】
請求項20に記載の食品であって、穀物を含む、食品。
【請求項22】
請求項21に記載の食品であって、米、シリアル、グラノーラ、オートミール、焼いた食品、およびパスタからなる群から選択される、食品。
【請求項23】
請求項20に記載の食品であって、家禽肉、牛肉、豚肉、および魚肉からなる群から選択される肉を含む、食品。
【請求項24】
請求項19に記載の食品であって、乳、ヨーグルト、チーズ、バター、マーガリン、およびアイスクリームからなる群から選択される乳製品である、食品。
【請求項25】
請求項19に記載の食品であって、食事代替飲料、スムージー、栄養補助食品、スープ、およびジュースからなる群から選択される流動体または半流動体である、食品。
【請求項26】
請求項19に記載の食品であって、前記繊維混合物が、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約9%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む、食品。
【請求項27】
請求項19に記載の食品であって、前記繊維混合物が、約60%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、食品。
【請求項28】
請求項19に記載の食品であって、前記組成物が、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む、食品。
【請求項29】
食品の血糖上昇指数を低下させるための方法であって、該方法は、該食品の血糖上昇指数を、少なくとも5血糖上昇指数単位だけ低下させるのに有効な量で食物繊維混合物を含む組成物を、消費前に該食品に加える工程を包含し、該繊維混合物が、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、前記組成物を焼いて前記食品にする、方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法であって、前記組成物を、消費前に前記食品と混合する、方法。
【請求項32】
請求項29に記載の方法であって、前記組成物を、消費前に、前記食品上に散在させる、方法。
【請求項33】
請求項29に記載の方法であって、前記食品が、米、シリアル、グラノーラ、焼いた食品、パスタ、および肉からなる群から選択される固形食品である、方法。
【請求項34】
請求項29に記載の方法であって、前記食品が、乳、ヨーグルト、チーズ、バター、マーガリン、およびアイスクリームからなる群から選択される乳製品である、方法。
【請求項35】
請求項29に記載の方法であって、前記食品に加えられる前記組成物の量が、該食品の有効炭水化物50g当たり組成物2.5g〜7.5gの範囲である、方法。
【請求項36】
請求項29に記載の方法であって、前記組成物が、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む、方法。
【請求項37】
血糖の不安定性を低減する必要のある被験体における、血糖の不安定性の低減方法であって、該方法は、その必要のある該被験体に、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法であって、前記組成物が、1日当たり5.0g〜15.0gの量で前記被験体に投与される、方法。
【請求項39】
請求項37に記載の方法であって、前記組成物が、前記被験体に少なくとも4週間投与される、方法。
【請求項40】
請求項37に記載の方法であって、前記血糖の不安定性を低減する必要のある被験体が、過体重の被験体、肥満であるが糖尿病ではない被験体、およびII型糖尿病の被験体からなる群から選択されるヒト被験体である、方法。
【請求項41】
請求項37に記載の方法であって、前記繊維混合物が、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約9%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
【請求項42】
請求項37に記載の方法であって、前記繊維混合物が、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約9%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
【請求項43】
請求項37に記載の方法であって、前記組成物が、少なくとも1種の脂質またはその混合物をさらに含み、該脂質またはその混合物が、食物繊維組成物全体の少なくとも20% w/wを構成する、方法。
【請求項44】
請求項37に記載の方法であって、前記組成物が、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む、方法。
【請求項45】
被験体における血糖の不安定性の低減方法であって、該方法は:
(a)該被験体のベースラインの血糖の不安定性を求めるために、連続的グルコースモニタリングシステムを用いて、指定された時間、該被験体を測定する工程と、
(b)約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む繊維混合物を含む有効投与量の組成物を、工程(a)において測定されたベースラインの血糖の不安定性と比較して、該被験体の血糖の不安定性を低減するのに有効な期間、該被験体に投与する工程と、
を含む方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法であって、前記被験体が、連続的グルコースモニタリングシステムを用いて少なくとも24時間測定される、方法。
【請求項47】
請求項45に記載の方法であって、前記被験体が、1日当たり5.0g〜15.0gの前記組成物の投与量で、少なくとも4週間処置される、方法。
【請求項48】
請求項45に記載の方法であって、前記被験体が、120mmol/Lを超えるピークグルコースレベルを伴うベースラインの血糖の不安定性を有する、糖尿病ではない過体重または肥満の被験体であり、前記繊維混合物を用いた処置が、前記血糖の不安定性を120mmol/L未満のピークグルコースレベルに低減する、方法。
【請求項49】
請求項45に記載の方法であって、前記被験体が、220mmol/Lを超えるピークグルコースレベルを伴うベースラインの血糖の不安定性を有する、糖尿病かつ肥満である被験体であり、前記繊維混合物を用いた処置が、前記血糖の不安定性を220mmol/L未満のピークグルコースレベルに低減する、方法。
【請求項50】
請求項45に記載の方法であって、前記組成物が、約40メッシュ〜約60メッシュのサイズ範囲の顆粒を含む、方法。
【請求項51】
食物繊維組成物の製造方法であって、該方法は:
(a)約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガム、および約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを混合する工程と、
(b)約20%〜約70%の脂質またはその混合物を加え、混合して、該食物繊維組成物を生成する工程と
を含む方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法であって、工程(b)の前に工程(a)の前記混合物を顆粒化する工程をさらに含む、方法。
【請求項53】
請求項51または請求項52に記載の方法によって製造される食物繊維組成物。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図19D】
【図20A】
【図20B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図19D】
【図20A】
【図20B】
【公表番号】特表2010−534687(P2010−534687A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518466(P2010−518466)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【国際出願番号】PCT/CA2008/001395
【国際公開番号】WO2009/015475
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(510028224)イノボバイオロジック, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【国際出願番号】PCT/CA2008/001395
【国際公開番号】WO2009/015475
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(510028224)イノボバイオロジック, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
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