説明

グルーピング装置

【解決手段】 グルーピング装置3は、物品1を供給する供給コンベヤ5と、複数の物品1を所定数毎に処理するケーサ6と、一つの物品1を保持する15個のキャリア11と、各キャリア11を磁力により移動させるリニアモータ12と、上記リニアモータ12を制御する制御手段とを備えている。
上記供給コンベヤ5が供給ステーションAで各キャリア11に物品1を供給すると、上記制御手段は上記リニアモータ12を制御して、上記物品1が供給された5つのキャリア11を一体的にグルーピングしてケーサ6に移動させるようになっている。
【効果】 騒音等の発生を抑え、容易に処理手段の処理数の変更に対応することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグルーピング装置に関し、詳しくは物品供給手段が供給する物品を供給位置で受け取り、供給位置の下流側に配置された物品処理手段の処理位置へ複数個数の物品を移動させるグルーピング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品供給手段が供給する物品を供給位置で受け取り、供給位置の下流側に配置された物品処理手段の処理位置へ複数個数の物品を移動させるグルーピング装置が知られ、例えば上流側に設けられた供給コンベヤが物品を1つずつ供給するとともに、下流側に設けられたプッシャーがグルーピングされた複数の物品を排出するようになっている(特許文献1)。
上記特許文献1のグルーピング装置は、複数の保持部材を備えた2組のチェンコンベヤを備えており、一方のチェンコンベヤを連続的に移動させて上記供給コンベヤが上記保持部材に1つずつ物品を供給し、他方のチェンコンベヤは保持部材をプッシャーの位置に停止させ、該プッシャーにより保持部材から物品を排出するようになっている。
【特許文献1】登録第2651555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1のグルーピング装置は、チェンコンベヤの駆動による騒音や振動、粉塵などの問題があり、また各チェンコンベヤの保持手段は所定個数の物品の個数に合わせて複数の保持部材から構成されているため、上記プッシャーによる処理数を変更する場合には、上記保持部材の交換が必要であった。
このような問題に鑑み、本発明は騒音や粉塵等の発生を抑え、容易に処理手段による物品の処理数の変更に対応可能なグルーピング装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、本発明におけるグルーピング装置は、物品供給手段が供給する物品を供給位置で受け取り、供給位置の下流側に配置された物品処理手段の処理位置へ複数個数の物品を移動させるグルーピング装置において、
物品を保持可能な複数のキャリアと、各キャリアを磁力により移動させるリニアモータと、上記リニアモータを制御する制御手段とを設け、
上記物品供給手段が供給する物品を各キャリアが順次受け取るとともに、上記制御手段は上記リニアモータを制御して、物品を受け取ったキャリアを上記処理位置に移動させて所定個数ごとにグルーピングすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
上記発明によれば、上記キャリアの移動をリニアモータによって行うため、上記チェンコンベヤに対して騒音や粉塵等を抑えることができる。
また、上記制御手段がリニアモータを制御して、キャリアを所定個数ごとにグルーピングすることから、物品処理手段による物品の処理数が変更されても、制御手段によってグルーピングするキャリアの数量を容易に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下図示実施例について説明すると、図1は一つずつ供給される物品1を複数個数ごとにグルーピングしてからケース2に収容するグルーピング装置3の平面図を示している。
上記グルーピング装置3は、物品1を搬送する搬送手段4と、物品1を供給する物品供給手段としての供給コンベヤ5と、物品1をケース2に収容する物品処理手段としてのケーサ6とから構成され、これらは図示しない制御手段によって制御される。
上記搬送手段4はいわゆるリニア駆動を用いた搬送手段であって、物品1を保持する15個のキャリア11と、複数の電磁石12aを備えたリニアモータ12と、キャリア11を図示下側の搬送経路から図示上側の搬送経路に移動させる図示左方の第1回転ホイール13と、キャリア11を図示上側の搬送経路から図示下側の搬送経路に移動させる図示右方の第2回転ホイール14とから構成されている。
搬送手段4は、上記リニアモータ12および第1、第2回転ホイール13、14を囲繞するように図示しないスライドレールを備えており、上記キャリア11は該スライドレールに形成されたカム溝に沿って移動する図示しないカムフォロアを備え、上記スライドレールに沿って図示時計方向に循環走行するようになっている。
該搬送手段4には、図示上側左方に設けられた上記供給コンベヤ5の位置する供給位置として供給ステーションAと、図示上側右方に設けられた上記ケーサ6の位置する処理位置としての排出ステーションBと、図示下側左方に設けられたキャリア11を待機させるための待機ステーションCとが設定されている。
【0007】
上記供給コンベヤ5は、搬送手段4の搬送方向に対して直交する方向に物品1を搬送して、上記供給ステーションAに位置するキャリア11に一つずつ物品1を供給するようになっている。
上記ケーサ6は、搬送手段4と平行に設けられたケースコンベヤ21と、該ケースコンベヤ21を挟んで搬送手段4の反対側に設けられたロボット22とから構成され、上記ロボット22のアーム22aの先端には、図示しない5つのグリッパを有するハンド22bが設けられている。
上記グリッパの間隔は変更可能となっており、ここでは上記5つのキャリア11に保持された物品1の間隔と、上記ケース2に収納した際の物品1の間隔とに変更するようになっている。
本実施例では、5つのキャリア11が上記排出ステーションBに停止するようになっており、上記ケースコンベヤ21は空のケース2を排出ステーションBに隣接した所定の収納位置で停止させるようになっている。
そして上記ロボット22がキャリア11から物品1を取り出してケースコンベヤ21上のケース2に収納すると、ケースコンベヤ21は物品1を収納したケース2を下流側に搬送し、新たな空のケース2を上記収納位置に位置させるようになっている。
なお、上記供給コンベヤ5、ケーサ6は従来公知であるのでこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0008】
上記搬送手段4において、キャリア11はそれぞれ一つの物品1を保持可能となっており、その側面にはN極およびS極を交互にリニアモータ12側に向けた複数の磁石が設けられている。
上記リニアモータ12は複数の電磁石12aから構成され、上記制御手段の制御によって磁力を発生したり消勢したりすることで、キャリア11の移動および停止を制御するようになっている。
搬送手段4の図示上側には上記電磁石12aが上記第1、第2回転ホイール13,14の間に隙間なく設けられ、図示下側には上記電磁石12aが上記待機ステーションCの位置に隙間なく設けられるとともに、該待機ステーションCよりも図示右方側には所定の間隔で設けられている。
上記第1、第2回転ホイール13,14はそれぞれ図示しないモータによって回転し、その外周には磁石が等間隔に設けられている。例えば、上記キャリア11に設けた磁石のS極の間隔と等間隔に、磁石のN極が外周を向くように設けられている。
このような構成により、上記キャリア11の磁石と第1、第2回転ホイール13,14に設けられた磁石の相反する磁極が相互にひきつけあい、キャリア11は第1、第2回転ホイール13,14の回転に伴って搬送されることとなる。
それゆえ、例えばキャリア11が第1回転ホイール13に到達すると、上記キャリア11の磁石と第1回転ホイール13の磁石とが相互にひきつけあい、キャリア11は該第1回転ホイール13の回転に伴って上記スライドレールに沿って移動するようになっている。
なお、上記上記第1、第2回転ホイール13、14の外周を鉄等の磁性体で製造すれば、必ずしもその外周に磁石を設ける必要はない。この場合、上記キャリア11は磁石の磁力によって第1、第2回転ホイール13、14の外周にひきつけられるので、キャリア11は第1、第2回転ホイール13、14の回転に伴って上記スライドレールに沿って移動することとなる。
そして、各電磁石12aと電磁石12aとの間には、上記キャリア11を検出する図示しないセンサが設けられており、上記制御手段はこのセンサからの信号により、搬送手段4における全てのキャリア11の位置を認識することが可能となっている。
【0009】
以下、上記構成を有するグルーピング装置3の動作について説明する。
まず、グルーピング装置3の動作前は、上記供給ステーションAにキャリア11が停止するとともに、その図示左方の上流側に隣接して4つのキャリア11が隙間なく整列している。また、上記待機ステーションCには10個のキャリア11が隙間なく整列している。
この状態からグルーピング装置3を作動させると、供給コンベヤ5が物品1の供給を開始し、上記供給ステーションAに隣接して設けた図示しないセンサが物品1がキャリア11に収納されたことを認識する。
すると、制御手段はリニアモータ12を制御して、該物品1を収納したキャリア11を1ピッチだけ図示右方の下流側に移動させるとともに、該物品1を収納したキャリア11の上流側に位置するキャリア11も1ピッチずつ下流側に移動させる。
このようにして、供給ステーションAにおいて順次5つのキャリア11に物品1が受け渡されると、制御手段はリニアモータ12を制御して、この5つのキャリア11を一体的に上記排出ステーションBへ向けて移動させる。
一方、制御手段はリニアモータ12を制御して、待機ステーションCのキャリア11を移動させ、最も下流側(供給ステーションAに最も近い位置)に位置するキャリア11から順に、一つずつ第1回転ホイール13へと供給する。
第1回転ホイール13の回転により、キャリア11が搬送手段4の図示上側に移動すると、制御手段はリニアモータ12を制御して、このキャリア11を供給コンベヤ5の供給ステーションAに向けて移動させる。
このとき、制御手段はリニアモータ12を制御して、上記供給ステーションAまたはその上流側に整列しているキャリア11に衝突しないようにキャリア11を移動させ、供給ステーションAの上流側にはキャリア11が隙間なく整列するようになっている。
【0010】
上記供給ステーションAにおいて物品が受け渡された5つのキャリア11は、制御手段がリニアモータ12を制御することにより、上記排出ステーションBに停止する。換言すると、排出ステーションBにはキャリア11がグルーピングされた状態で移動されるようになっている。
すると、上記ケーサ6は上記ロボット22のアーム22aによってハンド22bを各キャリア11の上方に移動させ、該ハンド22bに設けられたグリッパが物品1を把持したら、アーム22aはケースコンベヤ21上のケース2の上方に物品1を移動させながら各グリッパを相互に接近させて、物品1をケース2に収納する。
ここで、上記ケーサ6の排出ステーションBに5つのキャリア11が停止している間においても、制御手段はリニアモータ12を制御して、上記供給ステーションAにおいて各キャリア11順次移動させ、上記供給ステーションAでは連続的に物品1の供給が行われている。
【0011】
上記排出ステーションBで停止した5つのキャリア11からケーサ6が物品1を取り出すと、制御手段はリニアモータ12を制御して、該5つのキャリア11を整列した状態を維持したまま下流側に移動させ、ケースコンベヤ21は物品1の収容されたケース2を下流側に移動させるとともに、上流側から空のケース2を供給位置に移動させる。
その後、キャリア11が第2回転ホイール14に隣接した位置まで到達すると、制御手段はリニアモータ12を制御して、最も下流側に位置するキャリア11から順に上記第2回転ホイール14へと供給する。
そして、第2回転ホイール14の回転によってキャリア11が搬送手段4の図示下側に移動すると、該キャリア11は所定間隔に設けられた電磁石12aによって再び上記待機ステーションCまで移動されることとなる。
その後、グルーピング装置3は上述したような動作を繰り返すことで、供給コンベヤ5から供給される物品1を順次ケース2に収納するようになっている。
【0012】
以上のように、本実施例のグルーピング装置3によれば、制御手段がリニアモータ12を制御してキャリア11を移動させるため、チェーンのような騒音や振動や粉塵、チェーンの延び等の問題を可及的に抑えることができる。
また、上記制御手段がリニアモータ12を制御することで、ケーサ6の排出ステーションBに5つのキャリア11をグルーピングして停止させている状態であっても、供給コンベヤ5の供給ステーションAでキャリア11を連続的に移動させることができる。
さらに、特許文献1では各チェンコンベヤに対してそれぞれ2組の保持手段を設け、合計で4組の保持手段が必要であり、本実施例のように5個の物品1をグルーピングする場合には合計で20個の保持手段が必要とされていた。
これに対し、本実施例のグルーピング装置3では3組、計15個のキャリア11でグルーピングを行うことができるため、部品点数を抑えると共に、設置スペースを削減することが可能となっている。
【0013】
次に、本実施例のグルーピング装置3によれば、予め上記制御手段に所要の設定を行うことで、排出ステーションBでグルーピングするキャリア11の数を容易に変更することが可能となっている。
図2は図1に示すグルーピング装置3とまったく同じ構成のグルーピング装置3であるが、上記ケーサ6が処理するケース2は4つの物品1を収納するようになっている。
このような場合であっても、制御手段はリニアモータ12を制御して、供給ステーションAにおいて供給コンベヤ5が4つのキャリア11に物品1が受け渡されると、この4つのキャリア11を一体的に上記排出ステーションBへと移動させ、排出ステーションBには4つのキャリア11がグルーピングされた状態で移動するようになっている。
そして、排出ステーションBにおいて物品1が排出されたキャリア11は、上記制御手段がリニアモータ12を制御することにより、順次上記待機ステーションCへと移動され、その後再び上記供給ステーションAへと移動するようになっている。
この場合、キャリア11の数はケーサ6の処理数の3組分(12個)よりも多くなってしまうが、制御手段は各キャリア11を個別に制御して、5つのキャリア11ではなく4つのキャリア11ごとに排出ステーションBに移動させるため、処理速度が低下してしまうことはない。
【0014】
なお上記実施例では、上記供給ステーションAで5つまたは4つのキャリア11に物品1が受け渡されるごとに、これらのキャリア11を一体的に整列した状態で移動させるようになっているが、供給ステーションAにおいて物品1がキャリア11に受け渡されるごとに、各キャリア11を順次排出ステーションBに移動させるようにしてもよい。
つまり、制御手段はリニアモータ12を制御して、上記供給コンベヤ5の供給ステーションAでキャリア11に物品1が供給されると、該キャリア11を個別にケーサ6の供給ステーションAに移動させ、該供給ステーションAの下流側から順に5つまたは4つのキャリア11を停止させることで、キャリア11をグルーピングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例にかかるグルーピング装置の平面図。
【図2】上記グルーピング装置においてケーサによる処理数を変更した場合の平面図。
【符号の説明】
【0016】
1 物品 2 ケース
3 グルーピング装置 4 搬送手段
5 供給コンベヤ 6 ケーサ
11 キャリア 12 リニアモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品供給手段が供給する物品を供給位置で受け取り、供給位置の下流側に配置された物品処理手段の処理位置へ複数個数の物品を移動させるグルーピング装置において、
物品を保持可能な複数のキャリアと、各キャリアを磁力により移動させるリニアモータと、上記リニアモータを制御する制御手段とを設け、
上記物品供給手段が供給する物品を各キャリアが順次受け取るとともに、上記制御手段は上記リニアモータを制御して、物品を受け取った所定個数のキャリアを上記処理位置に移動させてグルーピングすることを特徴とするグルーピング装置。
【請求項2】
上記制御手段はリニアモータを制御して、物品を保持したキャリアを順次上記供給位置の下流側に隣接した位置に移動させるとともに、
物品供給手段により上記物品処理手段の処理数と同数のキャリアに物品が供給されると、制御手段はリニアモータを制御して、上記処理数と同数のキャリアをグルーピングした状態で移動させることを特徴とする請求項1に記載のグルーピング装置。
【請求項3】
上記制御手段はリニアモータを制御して、
物品供給手段により物品がキャリアに供給されるたびに、該キャリアを個別に上記処理位置まで移動させ、該処理位置で所定個数のキャリアがグルーピングされることを特徴とする請求項1に記載のグルーピング装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−132406(P2010−132406A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309823(P2008−309823)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】