説明

グレージングチャンネル及びグレージングチャンネル付き框並びにサッシ

【課題】複数の厚さの板状体に対応でき、かつ、板状体を良好な保持力をもって確実に保持することができるグレージングチャンネル、及びそのグレージングチャンネルが備えられた框、並びにその框に板状体が取り付けられたサッシを提供する。
【解決手段】本発明のグレージングチャンネル10は、ガラス板14、18、22との接触面30を、基端部10Aから先端部10Bに向けて複数の段部を有する階段状に構成する。すなわち、本発明のグレージングチャンネル10は、ガラス板14、18、22との接触面30を、踏面面32、34、及び蹴上面36、38、40とからなる3段の階段状に構成することによって、グレージングチャンネル10に、ガラス板14、18、22の厚さに追従できる構成を持たせている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグレージングチャンネル及びグレージングチャンネル付き框並びにサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板、樹脂板等の板状体は、サッシを構成する框(枠)の溝に対し水密性を保持しつつ確実に固定するために、グレージングチャンネルを介装させて取り付けられる。
【0003】
特許文献1に開示されたグレージングチャンネルは、保形性のある硬質樹脂部とシール性が得られる軟質樹脂部とによって断面略コ字状に一体成形されたものであり、前記框とは別部品である。サッシを組み立てる場合には、まず、板状体の周縁部に前記グレージングチャンネルを装着し、次に、板状体の周縁部を、グレージングチャンネルを介して框の溝に嵌入する。これによって、サッシが組み立てられる。また、前記グレージングチャンネルは、塩化ビニル樹脂、又はウレタン樹脂等の樹脂製であり、板状体に対する緩衝材としての機能も兼ね備えている。
【0004】
一方、特許文献2には、グレージングチャンネルと框とが一体形成されたグレージングチャンネル付き框が開示されている。このグレージングチャンネル付き框は、硬質樹脂製である框の対向する内壁面に、軟質樹脂製のグレージングチャンネルが一体に形成されている。このグレージングチャンネル付き框によれば、框の溝に板状体の周縁部を嵌め込むだけで、サッシを組み立てることができるので、特許文献1のグレージングチャンネルと比較してサッシの組立性が改善されている。
【0005】
特許文献2のグレージングチャンネルは、ヒレ部と称される軟質の弾性体であり、板状体との接触面が円弧状に形成されている。前記ヒレ部の基端部が前記框の内壁面に固着され、ヒレ部の先端部が前記框の底壁面に向けて垂下されている。なお、グレージングチャンネル付き框としては、特許文献2の他、特許文献3、4等において公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−211524号公報
【特許文献2】特開2007−224565号公報
【特許文献3】特開2008−274605号公報
【特許文献4】実開昭57−52562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された框と別体のグレージングチャンネル、及び特許文献2〜4に開示された框と一体型のグレージングチャンネル(ヒレ部)は、板状体の厚さに対応した一品一葉の専用品なので、厚さの異なる板状体には適用することができない。
【0008】
つまり、従来のグレージングチャンネルは、グレージングチャンネルの弾性力によって両側のヒレ部(特許文献1では、軟質リップ)で板状体を挟み込んで保持する構造である。このため、厚さの厚い板状体と薄い板状体とでは、ヒレ部に生じる弾性力が異なるので保持力に違いが生じる。すなわち、框による板状体の保持力が板状体の厚さによって大きく異なるので、サッシとしての品質がばらつくことになる。このような理由から、従来のグレージングチャンネルは、板状体の厚さに対応した専用品であった。
【0009】
一方、従来のグレージングチャンネルのヒレ部は、板状体との接触面が円弧形状であるので、板状体とグレージングチャンネルとの接触形態は、板状体の縁部に沿った線接触となる。このため、グレージングチャンネルの板状体保持力は強固とは言えず、サッシの開放動作時にガラス板が框に対してぐらつく場合があった。
【0010】
また、ガラス板の厚さとは、JIS R3202−1996に規定された厚さのことを言う。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、厚さの異なる板状体に対応でき、かつ、板状体を良好な保持力をもって保持することができるグレージングチャンネル、及びそのグレージングチャンネルが備えられた框、並びにその框に板状体が取り付けられたサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記目的を達成するために、板状体の縁部が挿入される挿入溝を備えた断面凹形状の框の、対向する両側の内壁面に取り付けられる軟質材のグレージングチャンネルであって、前記グレージングチャンネルのヒレ部の基端部が前記内壁面に固着され、前記ヒレ部の先端部が前記框の底壁に向うように配置されたグレージングチャンネルにおいて、前記グレージングチャンネルの前記板状体との接触面は、前記基端部から前記先端部に向けて複数の段部を有する階段状に構成されていることを特徴とするグレージングチャンネルを提供する。
【0013】
本発明は、グレージングチャンネルの板状体との接触面を、複数の踏面の面(以下、踏面面という)、及び複数の蹴上の面(以下、蹴上面という)からなる階段状に構成することによって、グレージングチャンネルに、板状体の厚さに追従できる構成を持たせたものである。なお、ここで接触面と呼んでいる面は、この面の一部のどこかで板状体と接触すればよく、全面で接触しなくてもよいことを意味している。
【0014】
すなわち、本発明のグレージングチャンネルは、板状体との接触面が階段状に構成されているので、板状体はその厚さに応じた踏面面、又は蹴上面に面接触して保持される。これにより、厚さの異なる板状体に対応できる。また、グレージングチャンネルの接触面と板状体との接触形態は、従来の線接触ではなく面接触なので、板状体を良好な保持力をもって保持できる。
【0015】
更に、本発明のグレージングチャンネルは、框に捩じれが生じた場合でも、前記面接触の作用によって、板状体に対するグレージングチャンネルの保持力が低下しないという利点がある。
【0016】
更にまた、本発明のグレージングチャンネルは、前記階段状の構成によって、板状体を框に押し込む力よりも、框から板状体を引き抜く力の方が大きくなるので、サッシの組立性、及びサッシの品質が向上するという利点もある。
【0017】
本発明の前記グレージングチャンネルは、ショアA硬度が50度から90度の樹脂製、又はゴム製であることが好ましい。グレージングチャンネルのショアA硬度が50度未満であると、軟らか過ぎるため板状体に対する十分な保持力を得ることができず、ショアA硬度が90度を超えると硬くなり過ぎるため、板状体を框に嵌め込み難くなるからである。
【0018】
本発明の前記グレージングチャンネルの前記接触面の裏面には、前記段部に対向する位置に切欠部が備えられていることが好ましい。本発明によれば、前記切欠部を設けることによって、グレージングチャンネルが曲げ易くなるので、框に対する板状体の嵌め込み時の力を小さくできるとともに、サッシの組立性がより一層向上する。
【0019】
本発明の前記グレージングチャンネルの前記接触面の裏面には、該グレージングチャンネルよりも硬質の補強部材が備えられていることが好ましい。本発明によれば、硬質の補強部材によって軟質のグレージングチャンネルを補強することができるとともに、グレージングチャンネルのクリープを抑制することができる。
【0020】
本発明の前記グレージングチャンネルは、前記基端部から前記先端部に向けて厚さが薄くなることが好ましい。本発明によれば、グレージングチャンネルの厚さが基端部から先端部に向けて同一の厚さであると、板状体の厚さが厚くなるに従って、框に対する嵌め込み力が大きくなるが、本発明では、階段状の形状と相まって、板状体の厚さに関係無く前記嵌め込み力を略均一にできる。
【0021】
本発明は、前記目的を達成するために、本発明のグレージングチャンネルと框とが一体化されていることを特徴とするグレージングチャンネル付き框を提供する。本発明のグレージングチャンネル付き框に板状体を嵌め込むだけでサッシを組み立てることができる。
【0022】
本発明の前記框は樹脂製、又は金属製であることが好ましい。本発明のグレージングチャンネルと一体化できるのであれば、框の材質は樹脂製であっても金属製であってもよい。また、グレージングチャンネル(ヒレ部)は框と一体ものでも良く、框の内壁にヒレ部を接着し一体化しても良い。また、ヒレ部以外の部分(壁面、底面など)をもつグレージングチャンネルを框と一体化してもよい。この場合、前述のヒレ部の基端部が框の内壁面に固着されるという構成は、ヒレ部の基端部がグレージングチャンネルのヒレ部以外の部位を介し間接的に框の内壁面に固着すること意味する。 本発明は、前記目的を達成するために、本発明のグレージングチャンネル付き框に、板状体が装着されてなることを特徴とするサッシを提供する。
【0023】
本発明のサッシによれば、本発明のグレージングチャンネルが、板状体の厚さに追従できるため、一つのグレージングチャンネル付き框を用意するだけで、厚さの異なる板状体に対応できる。
【0024】
本発明のサッシによれば、本発明のグレージングチャンネル付き框に、第1の板状体が装着された際には、該第1の板状体が、前記グレージングチャンネルの先端部近傍に備えられた第1の平面部に面接触され、前記グレージングチャンネル付き框に、前記第1の板状体よりも板厚の厚い第2の板状体が装着された際には、該第2の板状体が、前記第1の平面部よりも前記グレージングチャンネルの基端部側に位置する第2の平面部に面接触され、前記グレージングチャンネル付き框に、前記第2の板状体よりも板厚の厚い第3の板状体が装着された際には、該第3の板状体が、前記第2の平面部よりも前記グレージングチャンネルの基端部側に位置する第3の平面部に面接触されることを特徴とする。
【0025】
本発明のサッシは、グレージングチャンネルの複数の平面部(踏面面、蹴上面)によって、厚さの異なる板状体に対応することができる。平面部は後述の図面では3面であるが、限定されるものではなく、2面以上あればよい。
【0026】
なお、本発明の板状体とは、単板のガラス板、複層ガラス、及び合せガラス等のガラス板に限定されるものではなく、樹脂製、木材製のパネル材も含む。
【0027】
また、本発明のグレージングチャンネルは、框の対向する一対の内壁面のうち、少なくとも一方の内壁面に取り付けられていればよく、他方の内壁面には、従来のグレージングチャンネルが取り付けられていてもよい。このような形態のグレージングチャンネルにおいても、本発明の目的を達成することができる。
【0028】
更に、本発明のグレージングチャンネルは、框と一体化されたグレージングチャンネルに限定されるものではなく、框と別体のグレージングチャンネルであってもよい。框と別体のグレージングチャンネルの場合、ヒレ部が本発明のグレージングチャンネルに対応する。
【発明の効果】
【0029】
本発明のグレージングチャンネル及びグレージングチャンネル付き框並びにサッシによれば、複数の厚さの板状体に対応でき、かつ、板状体を良好な保持力をもって保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施の形態のグレージングチャンネルが適用された框の断面図
【図2】実施の形態の框に第1の厚さのガラス板が装着されたサッシの断面図
【図3】実施の形態の框に第2の厚さのガラス板が装着されたサッシの断面図
【図4】実施の形態の框に第3の厚さのガラス板が装着されたサッシの断面図
【図5】実施の形態のグレージングチャンネルの第1の変形例を示した框の断面図
【図6】実施の形態のグレージングチャンネルの第2の変形例を示した框の断面図
【図7】実施の形態のグレージングチャンネルの第3の変形例を示した框の断面図
【図8】実施の形態のグレージングチャンネルの第4の変形例を示した框の断面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面に従って本発明に係るグレージングチャンネル及びグレージングチャンネル付き框並びにサッシの好ましい実施の形態について説明する。
【0032】
図1は、実施の形態のグレージングチャンネル10、10が一体化された框12の断面図である。このグレージングチャンネル10、10は框12の長手方向に沿って配置されている。
【0033】
図2は、図1に示した框12に厚さの薄い(例えば、厚さ3mm)ガラス板(板状体)14が嵌め込まれたサッシ16の断面図であり、図3は、図1に示した框12に、図2のガラス板14よりも厚さの厚い(例えば、厚さ5mm)ガラス板18が嵌め込まれたサッシ20の断面図であり、図4は、図1に示した框12に、図3のガラス板18よりも厚さの厚い(例えば、厚さ6.8mm)ガラス板22が嵌め込まれたサッシ24の断面図である。つまり、実施の形態のグレージングチャンネル10、10及び框12は、厚さの異なる3枚のガラス板14、18、22に対応可能である。
【0034】
なお、実施の形態では、グレージングチャンネル10が一体化された框12を例示しているが、グレージングチャンネル10と框12とが別体の形態でもよい。また、グレージングチャンネルは、ショアA硬度が50度から90度の樹脂製(例えば、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂)、又はゴム製であることが好ましい。ショアA硬度が50度未満であると、軟らか過ぎるためガラス板14、18、22に対する十分な保持力を得ることができず、また、ショアA硬度が90度を超えると硬くなり過ぎるため、ガラス板14、18、22を框12に嵌め込み難くなるからである。また、框12は樹脂製、又は金属製であることが好ましい。すなわち、框12は、グレージングチャンネル10と一体化でき、かつ、框12としての強度を得ることができる材質であればよい。
【0035】
以下、3枚のガラス板14、18、22に対応可能な構成のグレージングチャンネル10について説明する。
【0036】
図1〜図4に示すように、框12は、ガラス板14、18、22の縁部が挿入される挿入溝を備えた断面凹形状に構成され、その框12の、対向する両側の内壁面26、26にグレージングチャンネル10が一体化されている。すなわち、グレージングチャンネル10の基端部10Aが内壁面26に固着され、先端部10Bが框12の底壁28に向うように配置されている。そして、グレージングチャンネル10のガラス板14、18、22との接触面30(図1参照)は、基端部10Aから先端部10Bに向けて複数の段部を有する階段状に構成されている。
【0037】
つまり、実施の形態のグレージングチャンネル10は、ガラス板14、18、22との接触面30を、踏面面32、34、及び蹴上面36、38、40からなる3段の階段状に構成することによって、ガラス板14、18、22の厚さに追従できる構成となっている。
【0038】
図2に示すように、ガラス板14の縁部を框12に嵌め込むと、グレージングチャンネル10、10の間隔が押し広げられるようにグレージングチャンネル10、10が弾性変形されて、ガラス板14には蹴上面36(第1の平面部)が接触される。また、図3に示すように、ガラス板18の縁部を框12に嵌め込むと、グレージングチャンネル10、10の間隔が押し広げられるようにグレージングチャンネル10、10が弾性変形することによって、ガラス板18には踏面面32と蹴上面38(第2の平面部)とが接触される。更に、図4の如く、ガラス板22の縁部を框12に嵌め込むと、グレージングチャンネル10、10の間隔がより広く押し広げられるようにグレージングチャンネル10、10がより一層弾性変形することによって、ガラス板22には踏面面34と蹴上面38、40(第3の平面部)とが接触される(第3の平面部は、踏面面34,蹴上面40の場合もある)。このように、ガラス板14、18、22は、グレージングチャンネル10、10に面接触した状態で框12に保持される。なお、符号42は、ガラス板14、18、22の端面が載置されるセッティングブロックである。
【0039】
上記の如く、実施の形態のグレージングチャンネル10は、ガラス板14、18、22との接触面30が階段状に構成されているので、ガラス板14、18、22はその厚さに応じた踏面面32、34、又は蹴上面36、38、40に面接触して保持される。これにより、実施の形態のグレージングチャンネル10は、厚さの異なる3種類のガラス板14、18、22に対応できる。また、グレージングチャンネル10の接触面30とガラス板14、18、22との接触形態は、従来の線接触ではなく面接触なので、ガラス板14、18、22を良好な保持力をもって框12に保持できる。
【0040】
更に、実施の形態のグレージングチャンネル10は、風圧等によって框12に捩じれが生じた場合でも、前記面接触の作用によって、ガラス板14、18、22に対するグレージングチャンネル10の保持力は低下しにくいという利点がある。
【0041】
更にまた、実施の形態のグレージングチャンネル10は、前記階段状の構成によって、ガラス板14、18、22を框12に押し込む力よりも、框12からガラス板14、18、22を引き抜く力の方が大きくなるので、サッシ16、20、24の組立性、及びサッシ16、20、24の品質が向上するという利点もある。
【0042】
つまり、実施の形態のグレージングチャンネル10は、ガラス板14、18、22との接触面30が階段状に構成されているので、ガラス板14、18、22が框12に組み込まれると、ガラス板14、18、22との接触面(踏面面32、34、蹴上面36、38、40)は、グレージングチャンネル10の基端部10Aに向けて圧縮する方向の力を受け、その反発力によってガラス板14、18、22を強固に保持する。これに対して、従来のグレージングチャンネルのヒレ部は、接触面が円弧状に構成されているので、ガラス板が組み込まれると、ヒレ部はガラス板に押されて円弧状に撓むだけである。よって、従来のグレージングチャンネルは、前記圧縮する方向の力は受けず、ヒレ部からガラス板に加わる力はヒレ部の弾性復元力のみとなる。このような理由から、実施の形態のグレージングチャンネル10による前記引き抜き力が、従来のグレージングチャンネルよりも大きくなる。
【0043】
また、従来のグレージングチャンネルは、大きな前記弾性復元力を得るために、対向するヒレ部の間の隙間(間隔)を極力小さくしたり、ヒレ部の厚さを厚くしたりしていたが、これが原因で、ガラス板を框に押し込む力が必要以上に大きくなっていた。これに対して実施の形態のグレージングチャンネル10は、階段状の面によってガラス板14、18、22を面接触で保持する構成なので、グレージングチャンネル10、10の間の隙間を必要以上に小さくする必要がなく、また、グレージングチャンネル10の厚さを必要以上に厚くする必要もない。このような理由から、実施の形態のグレージングチャンネル10による前記押し込み力が、従来のグレージングチャンネルよりも小さくなる。
【0044】
なお、実施の形態のグレージングチャンネル10は、接触面30を3段の階段状に構成したが、厚さの異なる2枚のガラス板に対応させる場合には、接触面30を2段の階段状に構成し、また、厚さの異なる4枚以上のガラス板に対応させる場合には、接触面30を4段以上の階段状に構成すればよい。
【0045】
また、実施の形態のグレージングチャンネル10は、基端部10Aから先端部10Bに向けて厚さが薄くなるように製造されている。グレージングチャンネルの厚さが基端部から先端部に向けて同一の厚さであると、ガラス板の厚さが厚くなるに従って、框に対する嵌め込み力が大きくなるが、実施の形態のグレージングチャンネル10は、階段状の形状と相まって、ガラス板14、18、22の厚さに関係無く前記嵌め込み力を略均一にできる。
【0046】
一方、実施の形態のグレージングチャンネル10が一体化された框12によれば、この框12にガラス板14、18、22の縁部を嵌め込むだけでサッシ16、20、24を組み立てることができるので、サッシ16、20、24の組立性が向上する。
【0047】
図5は、グレージングチャンネル10の第1の変形例を示した框12の断面図である。
【0048】
同図に示すグレージングチャンネル10の接触面30の裏面には、接触面30の段部である、踏面面32と蹴上面36との境界部に対向する位置に切欠部44が備えられるとともに、踏面面34と蹴上面40との境界部に対向する位置に切欠部46が備えられている。
【0049】
図5に示したグレージングチャンネル10によれば、切欠部44、46を設けることによって、グレージングチャンネル10が曲がり易くなるので、框12に対するガラス板14、18、22の嵌め込み時の力を小さくできるとともに、サッシ16、20、24の組立性がより一層向上する。
【0050】
図6、グレージングチャンネル10の第2の変形例を示した框12の断面図である。
【0051】
同図に示すグレージングチャンネル10の接触面30の裏面には、グレージングチャンネル10よりも硬質で板状の補強部材48が備えられている。これにより、硬質の補強部材48によって軟質のグレージングチャンネル10を補強することができるとともに、グレージングチャンネル10のクリープを抑制することができる。補強部材48を樹脂製として、グレージングチャンネル10の押し出し成形とともに押し出し成形することでグレージングチャンネル10の裏面に一体成形することが製造上好ましい。
【0052】
図7、グレージングチャンネル10の第3の変形例を示した框12の断面図である。
【0053】
同図に示すグレージングチャンネル10は、図5に示した切欠部44、46付きのグレージングチャンネル10に、図6に示した補強部材48を備えたものである。また、補強部材48の切欠部44、46に対向する位置には切欠部50、52が備えられている。すなわち、図7に示したグレージングチャンネル10は、図5、図6に示したグレージングチャンネル10、10の効果を備えている。
【0054】
図8は、グレージングチャンネル10の第3の変形例を示した框12の断面図である。
【0055】
同図によれば、実施の形態のグレージングチャンネル10は、框12の対向する一対の内壁面26、26のうち、一方の内壁面26に取り付けられおり、他方の内壁面26には、従来のヒレ状のグレージングチャンネル54が取り付けられていている。このような形態の框12においても、本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0056】
10…グレージングチャンネル、12…框、14…ガラス板、16…サッシ、18…ガラス板、20…サッシ、22…ガラス板、24…サッシ、26…内壁面、28…底壁、30…接触面、32、34…踏面面、36、38、40…蹴上面、42…セッティングブロック、44、46…切欠部、48…補強部材、50、52…切欠部、54…従来のグレージングチャンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体の縁部が挿入される挿入溝を備えた断面凹形状の框の、対向する両側の内壁面に取り付けられる軟質材のグレージングチャンネルであって、前記グレージングチャンネルのヒレ部の基端部が前記内壁面に固着され、前記ヒレ部の先端部が前記框の底壁に向うように配置されたグレージングチャンネルにおいて、
前記グレージングチャンネルの前記板状体との接触面は、前記基端部から前記先端部に向けて複数の段部を有する階段状に構成されていることを特徴とするグレージングチャンネル。
【請求項2】
前記グレージングチャンネルは、ショアA硬度が50度から90度の樹脂製、又はゴム製である請求項1に記載のグレージングチャンネル。
【請求項3】
前記グレージングチャンネルの前記接触面の裏面には、前記段部に対向する位置に切欠部が備えられている請求項1、又は2に記載のグレージングチャンネル。
【請求項4】
前記グレージングチャンネルの前記接触面の裏面には、該グレージングチャンネルよりも硬質の補強部材が備えられている請求項1、2又は3に記載のグレージングチャンネル。
【請求項5】
前記グレージングチャンネルは、前記基端部から前記先端部に向けて厚さが薄くなる請求項1から4のいずれかに記載のグレージングチャンネル。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のグレージングチャンネルと框とが一体化されていることを特徴とするグレージングチャンネル付き框。
【請求項7】
前記框は樹脂製、又は金属製である請求項6に記載のグレージングチャンネル付き框。
【請求項8】
請求項6、又は7に記載のグレージングチャンネル付き框に、板状体が装着されてなることを特徴とするサッシ。
【請求項9】
請求項6、又は7に記載のグレージングチャンネル付き框に、第1の板状体が装着された際には、該第1の板状体が、前記グレージングチャンネルの先端部近傍に備えられた第1の平面部に面接触され、
前記グレージングチャンネル付き框に、前記第1の板状体よりも板厚の厚い第2の板状体が装着された際には、該第2の板状体が、前記第1の平面部よりも前記グレージングチャンネルの基端部側に位置する第2の平面部に面接触され、
前記グレージングチャンネル付き框に、前記第2の板状体よりも板厚の厚い第3の板状体が装着された際には、該第3の板状体が、前記第2の平面部よりも前記グレージングチャンネルの基端部側に位置する第3の平面部に面接触されることを特徴とするサッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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