説明

グレーチング支持部材および建物

【課題】設計自由度を確保しつつグレーチングを設置することができるグレーチング支持部材および建物を提供する。
【解決手段】基礎3に取り付けられるベース部材11と、ベース部材11に取り付けられるとともに、基礎3から水平に張り出すように配され、載置面14(上面)にグレーチング5が載置可能に構成された受け部材13と、を有し、受け部材13の載置面14には、+Z側に突出しスリット5aと嵌合する切り起こし片15a,15b,15c,15d(凸部)が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、グレーチング支持部材およびこれを用いたテラスを有する建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の屋内側から張り出されるように設けられたデッキまたはテラスが知られている(例えば特許文献1参照)。
デッキの場合、一般的に、床材としてウッド材料が使用される。床面にウッド材料を設置すると、複数のウッド材料間に隙間が形成される。これにより、降雨時の雨水等はウッド材料間の隙間から地面に排水されるので、雨水等が屋内へ浸入するのを防ぐことができる。
一方、テラスの場合、一般的に、床材として樹脂パネルやタイル等が使用される。このとき、樹脂パネルやタイル等をコンクリート床上に載置して床面を形成するが、コンクリート床の床面には隙間が形成されていない。このため、降雨時の雨水等が地面に排水されずにコンクリート床と建物との当接部に溜まることがある。したがって、コンクリート床と建物との当接部における建物の木部が腐食するおそれがある。また、近年は、庭と建物との一体設計やバリアフリー等の観点から、建物の屋内の床面と屋外のテラスの床面との間で段差を設けずフラットに配置する建物が提案されている。このような建物の場合、降雨時の雨水等が地面に排水されずに建物の屋内へ浸入するおそれがある。
そこで、雨水等を効果的に排水するために、屋内の床面と屋外のテラスとの間に排水溝を設ける必要がある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−13259号公報
【特許文献2】特開平11−256874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献2では、排水溝の開口部に有孔構造の蓋板(本願のグレーチングに相当)をU字状の排水溝に掛け置きしている。具体的には、特許文献2の蓋板上部に排水溝の幅よりも広い幅広部を形成し、排水溝の縁に蓋板上部の幅広部を載置している。また、蓋板下部を排水溝内に落とし込んで、グレーチングのずれを規制している。
【0005】
しかし、特許文献2に記載された技術では、建物と排水溝との間およびテラスと排水溝との間に、蓋板上部の幅広部を載置するためのスペースを確保する必要がある。したがって、テラスおよび建物の設計自由度が小さくなるおそれがある。特に、建物を建てた後にテラスを増設する場合には、建物側に蓋板上部の幅広部を載置するためのスペースを形成する必要が生じる。したがって、建物側の改修が必要となるため、建物に影響を与えてしまう。
【0006】
そこで本発明は、設計自由度を確保しつつグレーチングを設置することができるグレーチング支持部材および建物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のグレーチング支持部材は、複数のスリットを有するグレーチングを地中に埋設された基礎に対して設置するグレーチング支持部材であって、前記基礎に取り付けられるベース部材と、前記ベース部材に取り付けられるとともに、前記基礎から水平に張り出すように配され上面に前記グレーチングが載置可能に構成された受け部材と、を有し、前記受け部材の前記上面には、上方に突出し前記スリットと嵌合する凸部が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、基礎にグレーチング支持部材を設置し、基礎から水平に張り出すように受け部材を配することにより、受け部材にグレーチングを載置することができる。これにより、設計自由度を確保しつつグレーチングを設置することができる。また、凸部はグレーチングが載置される受け部材の上面に、上方に突出して形成されており、グレーチングを受け部材の上面に載置すると、グレーチングのスリットと凸部とが嵌合する。これにより、グレーチングがずれそうになっても、凸部の側面とスリットの内面とが当接するので、グレーチングのずれが規制される。したがって、受け部材の上面に凸部を形成することにより、別部材を設けることなくグレーチングのずれを低コストに抑制することができる。
【0008】
また、前記凸部は、前記受け部材の前記上面の一部が上方に向かって切り起こされて形成された切り起こし片であることが望ましい。
本発明によれば、受け部材の上面をプレス加工により切り起こすことができる。したがって、簡単かつ低コストに凸部を形成することができる。また、プレス加工により、嵌合するスリットに合わせて切り起こし片を精度よく形成することができるので、グレーチングがずれるのを確実に抑制することができる。
【0009】
また、前記凸部は、前記上面において前記受け部材の張り出し方向に対する直交方向にずれた位置に複数形成されていることが望ましい。
本発明によれば、凸部は、張り出し方向に対する直交方向にずれた位置に複数形成されている。ここで、前記直交方向に沿って複数のグレーチングを配置する際に、前記直交方向に配置された複数の凸部の間に、隣接するグレーチングの側面を配置することができる。これにより、各グレーチングの前記直交方向におけるスリットの内側面と凸部の側面とを当接させつつ、スリットに受け部材の凸部を嵌合して、受け部材の上面にグレーチングを載置することができる。したがって、前記張り出し方向および前記直交方向にグレーチングがずれるのを確実に抑制することができる。
【0010】
また、本発明の建物は、グレーチング支持部材が、建物の屋外に設置されるテラスの基礎に取り付けられ、前記受け部材に前記グレーチングを載置することにより、前記建物と前記テラスとの間に前記グレーチングが設置され、前記建物の屋内の床面、前記グレーチングの表面および前記テラスの床面が略面一の高さに配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、グレーチング支持部材がテラスの基礎に取り付けられているので、建物基礎および建物に影響を与えることなく、グレーチングを設置することができる。また、建物の屋内の床面、グレーチングの表面およびテラスの床面が略面一の高さに配置されている。これにより、バリアフリーに対応し、かつデザイン性に優れたテラスを有する建物を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基礎にグレーチング支持部材を設置し、基礎から水平に張り出すように受け部材を配することにより、受け部材にグレーチングを載置することができる。これにより、設計自由度を確保しつつグレーチングを設置することができる。また、凸部はグレーチングが載置される受け部材の上面に、上方に突出して形成されており、グレーチングを受け部材の上面に載置すると、グレーチングのスリットと凸部とが嵌合する。これにより、グレーチングがずれそうになっても、凸部の側面とスリットの内面とが当接するので、グレーチングのずれが規制される。したがって、受け部材の上面に凸部を形成することにより、別部材を設けることなくグレーチングのずれを低コストに抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】グレーチング支持部材の斜視図である。
【図2】グレーチング支持部材の側面図である。
【図3】グレーチングの斜視図である。
【図4】グレーチング支持部材の背面図である。
【図5】図2のA−A線における断面図である。
【図6】建物およびテラスの側面断面図である。
【図7】建物およびテラスの斜視図である。
【図8】幅広グレーチング支持部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態におけるグレーチング支持部材について、図面を参照して説明する。
図1はグレーチング支持部材の斜視図である。
図2はグレーチング支持部材の側面図である。
なお、以下の説明では、受け部材13の張り出し方向をX方向とし、受け部材13の張り出し側を+X側とし、反対側を−X側とする。また、水平面上でX方向と直交する方向をY方向とし、一方側を+Y側とし、他方側を−Y側とする。また、地面に対する鉛直方向をZ方向とし、上方を+Z側とし、下方を−Z方向とする。
【0014】
(グレーチング)
図3はグレーチングの斜視図である。
図3に示すように、グレーチング5は、例えばステンレスやアルミ等の金属からなる長尺の板状部材であり、プレスや押出成型により形成される。グレーチング5には、グレーチング5の上面と下面とを連通するスリット5aが形成されている。本実施形態のスリット5aは、グレーチング5のY方向に沿って、所定間隔をおいて幅方向に平行に複数本(本実施形態では6本)形成されている。スリット5aにより、雨水等の排水が可能となる。スリット5aのX方向の幅は、後述する切り起こし片15(図1および図2参照)のX方向の幅よりも若干広く設定される。これにより、切り起こし片15をスリット5aに嵌合することができる。グレーチング5には、スリット支持部5bがグレーチング5の幅方向に沿って形成されている。スリット支持部5bは、所定間隔を空けてY方向に平行に複数本(本実施形態では3本)形成されている。これにより、グレーチング5を補強するとともに、スリット5aの間隔を所定の間隔に保持することができる。また後述するように、本実施形態では、グレーチング5が建物および建物の窓枠と接している場合に、窓枠の出幅と建物の壁との段差を吸収するために、幅の異なるグレーチングを用いている。なお、グレーチング5は市販品を用いてもよい。
【0015】
(グレーチング支持部材)
図1および図2に示すように、本実施形態のグレーチング支持部材1は、基礎3に取り付けられるベース部材11と、ベース部材11に取り付けられ、基礎3から水平に張り出すように配され、グレーチング5が上面に載置可能に構成された受け部材13と、を有している。
【0016】
(ベース部材)
図1および図2に示すベース部材11は、ステンレスやアルミ等の金属からなる部材であり、プレスまたは押出成型により形成される。ベース部材11は、Y方向から見て略L字形状をしており、基礎3に固定される基礎固定部11aと、受け部材13を固定する受け部材固定部11bとを有している。ベース部材11は、グレーチング5を設置する範囲に応じた長さで、Y方向に延出して形成される。
【0017】
基礎固定部11aは、基礎3の+Z側に固定される。また、基礎固定部11aには、基礎3から立設されたアンカボルト50を挿通可能なアンカボルト孔12が形成されている。具体的な基礎固定部11aの固定方法としては、基礎3から+Z方向に立設されたアンカボルト50を、アンカボルト孔12に挿通する。そして、アンカボルト50にナット48を締結することにより、基礎固定部11aを基礎3に固定している。なお、アンカボルト孔12は、Z方向から見てY方向を長軸方向とし、X方向を短軸方向とし、アンカボルト50の直径よりも大きな径を有した略長円形状に形成されている。これにより、ベース部材11を基礎3に対してX方向およびY方向に移動しつつ位置決めを容易に行うことができる。
また、基礎固定部11aの−X側の端部には、Y方向に沿ってフランジ11cが形成されている。フランジ11cは、基礎固定部11aの端部を+Z側に折り曲げて、+Z側に立設されるように形成されている。これにより、基礎固定部11aの強度を上げることができる。
【0018】
受け部材固定部11bは、基礎固定部11aの+X側の端部から+Z側に立設されており、後述する受け部材13および補強部材18が取り付けられる。図2に示すように、受け部材固定部11bには、後述する受け部材13および補強部材18を固定するボルト51を挿通するための固定孔11eが形成されている。なお、基礎固定部11aと同様に、受け部材固定部11bの+Z側の端部には、Y方向に沿ってフランジ11dが形成されている。本実施形態では、受け部材固定部11bの端部を−X側に折り曲げ、さらに−Z側に折り曲げることにより形成されている。
【0019】
(補強部材)
図4は、グレーチング支持部材1の背面図である。
図2および図4に示すように、基礎固定部11aの+Z側かつ受け部材固定部11bの−X側には、補強部材18が設置されている。補強部材18は、ステンレスやアルミ等からなる部材であり、プレスにより成型される。図4に示すように、補強部材18は−X側から見て略U字形状をしており、補強部材18の−Z側に配置され基礎固定部11aに固定される底部18aと、底部18aのY方向における両側に配置される補強部18bと、受け部材固定部11bに固定される補強固定部18cと、を有している。
【0020】
補強部材18の底部18aは、基礎固定部11aに固定されている。具体的には、アンカボルト50を底部18aの取付孔(不図示)に挿通し、アンカボルト50にナット48を締結する。このとき、ナット48で基礎固定部11aと底部18aとを共締めすることにより、底部18aが基礎固定部11aの+Z側に固定される。なお、底部18aと基礎固定部11aとを予めスポット溶接等により固定しておいてもよい。
補強固定部18cは、−X方向から見て略矩形状の平板状の部材であり、受け部材固定部11bに対して平行に形成されている。補強固定部18cは、受け部材固定部11bの−X側に固定される。具体的には、図2に示すように、後述する受け部材13の固定孔13c、受け部材固定部11bの固定孔11eおよび補強固定部18cの固定孔18dに、ボルト51を+X側から−X側に向かって挿通する。そして、−X側からナット53で受け部材13、受け部材固定部11bおよび補強固定部18cを共締めすることにより、補強固定部18cが受け部材固定部11bの−X側に固定される。
補強部18bは、底部18aのY方向における両側において、底部18aと補強固定部18cとを接続している。本実施形態では、補強部18bは長尺の板状をしており、−X側から+X側に向かって、上方に傾斜した状態で、底部18aと補強固定部18cとを接続している。これにより、補強部18bがリブとなって基礎固定部11aと受け部材固定部11bとを接続して支持するので、グレーチング支持部材1の強度を向上することができる。
【0021】
(受け部材)
図1および図2に示すように、受け部材13は、ベース部材11に取り付けられ、基礎3から+X側に向かって水平に張り出すように配されている。
受け部材13は、ステンレスやアルミ等の金属からなる部材であり、プレスにより形成される。受け部材13は、X方向から見て略U字形状をしており、+Y側および−Y側には側面13aを有し、+Z側にはグレーチング5を載置する載置面14を有している。
【0022】
受け部材13の−X側には、受け部材取り付け部13bが形成される。受け部材取り付け部13bは、受け部材13の側面13aの−X側端部を外側に折り曲げることにより形成される。図2に示すように、受け部材取り付け部13bには、受け部材固定部11bの固定孔11eに対応した位置に、ボルト51を挿通するための固定孔13cが形成されている。そして、前述のとおり、受け部材13の固定孔13c、受け部材固定部11bの固定孔11eおよび補強固定部18cの固定孔18dに、+X側から−X側に向かってボルト51を挿通する。そして、−X側からナット53で受け部材13、受け部材固定部11bおよび補強固定部18cを共締めすることにより、ベース部材11に受け部材13を取り付けることができる。なお、受け部材13は、グレーチング5の設置する範囲に応じて、Y方向に複数個並んで設置される。隣り合う受け部材13のピッチ幅は、設置するグレーチング5と略同一か、若干広く設定される。これにより、グレーチング5の両端に受け部材13を配置することができる。
【0023】
図1および図2に示すように、載置面14には+Z側に突出した凸部が形成されている。本実施形態では、凸部として、4個の切り起こし片15(15a,15b,15c、15d)が形成されている。切り起こし片15は受け部材13の外形を形成した後にプレスで成型される。したがって、精度よく低コストに切り起こし片15を形成することができる。
切り起こし片15は、Z方向から見て略半円弧形状に形成されている。切り起こし片の半円弧部は載置面14から+Z側に切り起こされており、端部は載置面14と接続されている。本実施形態では、載置面14の−X側に配置された切り起こし片15a,15bは、+X側の端部が載置面14と接続され、半円弧部が載置面14と切り離され、+X側から−X側に向かって+Z側に傾斜するように切り起こされている。また、載置面14の+X側に配置された切り起こし片15c,15dは、−X側の端部が載置面14と接続され、半円弧部が載置面14と切り離され、−X側から+X側に向かって+Z側に傾斜するように切り起こされている。
図2に示すように、切り起こし片15のX方向の幅は、グレーチング5のスリット5aの幅と略同一か、若干狭く形成されている。したがって、切り起こし片15を形成するときのX方向の切り込みの長さは、グレーチング5のスリット5aの幅よりも若干長く形成される。
【0024】
切り起こし片15は、X方向において、載置面14にグレーチング5を載置したときのスリット5aに対応した位置に形成される。
本実施形態では、−X側に配置された切り起こし片15a,15bは、−X側から+X側に向かって2列目のスリットに対応した位置に形成されている。これにより、図2に示すように、切り起こし片15a,15bの−X側の先端16a,16bを、スリット5aの−X側内面6aに当接させて、スリット5aに切り起こし片15a,15bを嵌合することができる。
また、+X側に配置された切り起こし片15c,15dは、グレーチング5の+X側に向かって5列目のスリットに対応した位置に形成されている。これにより、図2に示すように、切り起こし片15c,15dの+X側の先端16c,16dを、スリット5aの+X側内面6bに当接させて、スリット5aに切り起こし片15c,15dを嵌合することができる。
このように各切り起こし片15をスリット5aに嵌合することにより、各切り起こし片15の先端がスリット5aの内面と当接して配置される。したがって、グレーチング5のX方向の移動を規制することができるので、グレーチング5のずれを抑制することができる。
【0025】
図5は、図2のA−A線における断面図である。
各切り起こし片15は、Y方向において、所定距離を開けて配置されている。具体的には、図5に示すように、各切り起こし片15のY方向の離間距離は、Y方向に沿って複数のグレーチング5を隣接して配置したときの、−Y側のグレーチングの−Y側内面6cと、+Y側のグレーチングの+Y側内面6dとの離間距離と略同一か、それよりも若干広く設定される。これにより、−Y側のグレーチングの−Y側内面6cと切り起こし片15c(15a)の+Y側面とを当接させ、+Y側のグレーチングの+Y側内面6dと切り起こし片15d(15b)の−Y側面とを当接させることができる。また、各切り起こし片15により、各グレーチング5のY方向の移動を規制できるので、各グレーチング5がY方向にずれるのを防止して、受け部材13の載置面14にグレーチング5を載置することができる。
【0026】
このように各切り起こし片15をスリット5aに嵌合することで、X方向およびY方向にグレーチング5がずれるのを確実に抑制することができる。また、受け部材13の載置面14をプレスで成型して各切り起こし片15を形成しているので、精度よく各切り起こし片15を形成することができる。さらに、別部材を設けずに各切り起こし片15を形成できるので、グレーチング5のずれを低コストに抑制することができる。
【0027】
(グレーチング支持部材を用いたテラスを有する建物)
次に、本実施形態のグレーチング支持部材を用いたテラスを有する建物について、図面を参照して説明する。
図6は建物7およびテラス20の側面断面図である。
図7は建物7およびテラス20の斜視図である。
図6および図7に示すように、本実施形態の建物7は、通風孔80を有する建物基礎79と、屋内の床面77と略同一の高さの面を有するレールサッシ75と、レールサッシ75に取り付けられる窓枠72を有する窓73と、外壁71と、を有している。
建物基礎79は、例えばコンクリートにより形成され、建物基礎79の内部と外部とを連通する通風孔80が形成されている。そして、建物基礎79と後述するテラス20の基礎3とで形成する空間が通風路Gとなり、グレーチング5のスリット5aを介して建物7の床下の換気が行われる。
レールサッシ75は、例えばアルミからなり、押出成型により形成される。レールサッシ75は、屋内の床面77との段差を極力少なくした、いわゆるフラットレールサッシであり、市販品を用いてもよい。
【0028】
(テラス)
建物7の屋外には、本実施形態のグレーチング支持部材1を用いたテラス20が設置されている。テラス20は、グレーチング支持部材1と、テラス20の基礎3と、下地部23と、床構成部材25と、仕上げ部材27と、で構成されている。
テラス20の基礎3および床構成部材25は、例えばコンクリートにより形成される。テラス20の基礎3には、建物基礎79の通風孔80の−Z側において、+X側に向かって排水溝3aの底面が張り出し形成されている。これにより、テラス20の基礎3と建物基礎79とで排水溝3aが構成される。そして、雨水等は、グレーチング5のスリット5aを介して排水溝3aに排出される。なお、排水溝3aは、テラス20の基礎3および建物基礎79とは別部材として形成してもよい。
【0029】
グレーチング5は、建物7とテラス20との間に設置されている。グレーチング5は、前述のように切り起こし片15をスリット5aに嵌合して、受け部材13の+Z方向に載置される。そして、建物7の屋内の床面77、グレーチング5の表面5cおよびテラス20の床面20aが略面一の高さになるように配置される。
【0030】
図7に示すように、窓枠72は建物7の外壁71から−X側に飛び出している。そのため、窓枠72の+Y側および−Y側における外壁71とテラス20との間に、グレーチング5を設置した場合には、グレーチング5と建物7との間に隙間が生じる。したがって、窓枠72の出幅を吸収するために、窓枠72の+Y側および−Y側における外壁71とテラス20との間に、グレーチング5よりも幅が広く形成された幅広グレーチング55を設置している。幅広グレーチング55は、グレーチング5と同様に、ステンレスやアルミ等からなる長尺の板状部材である。幅広グレーチング55のスリットの本数は、グレーチング5のスリットの本数よりも多く(本実施形態では9本)設定されている。
【0031】
図8は、幅広グレーチング55を支持するための幅広グレーチング支持部材100の斜視図である。幅広グレーチング支持部材100は、受け部材13が+X側に延長して形成されている点で、グレーチング支持部材1(図1参照)と異なっている。なお、その他の構成については、グレーチング支持部材1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
幅広グレーチング支持部材100の受け部材13のX方向における長さは、幅広グレーチング55のX方向の幅と略同一となるように形成されている。仮に、グレーチング支持部材1(図1参照)に幅広グレーチング55を載置した場合には、幅広グレーチング55の+X側を受け部材13で支持することができない。このため、幅広グレーチング55が傾いて設置されるおそれや、最悪の場合には建物7と受け部材13との隙間から、排水溝3aに幅広グレーチング55が脱落するおそれがある。
しかし、受け部材13を+X側に延長した幅広グレーチング支持部材100で幅広グレーチング55を支持することにより、幅広グレーチング55の下面の全体を載置面14に当接させて幅広グレーチング55を載置することができる。これにより、幅広グレーチング支持部材100で幅広グレーチング55を確実に支持できるので、幅広グレーチング55が傾いて設置されたり、脱落したりするのを防止できる。
【0032】
(テラスおよびグレーチングの施工)
次に、図6を用いて、テラス20およびグレーチング5の施工について説明する。
最初に、図6に示すテラス20の基礎3を打設し、下地部23として砕石を敷き詰めてテラス20の土台を形成する。
【0033】
続いて、アンカボルト50を用いて、ベース部材11の基礎固定部11aを基礎3に固定することにより、グレーチング支持部材1を基礎3に取り付ける。これにより、受け部材13を、基礎3に対してX方向に沿って、+X側に張り出すように配することができる。なお、前述の通り、基礎固定部11aのアンカボルト孔12を、アンカボルト50の直径よりも大きな径を有した略長円形状に形成にすることで、基礎3に対してX方向およびY方向に移動することができる。これにより、受け部材13と建物7の外壁71との位置決めを容易に行うことができる。
【0034】
次に、基礎3および下地部23の+Z側に床構成部材25を打設する。このとき、床構成部材25に補強部材18を埋設させながら床構成部材25を打設する。これにより、補強部材18が基礎3上に設けられる床構成部材25により固定されるので、受け部材13の支持強度を高めることができる。
なお、床構成部材25を打設する際に、ベース部材11は床構成部材25の型枠としても機能する。具体的には、基礎3の+Z側に向かって立設されている受け部材固定部11bが、床構成部材25の流出を防止する受け型枠として機能する。これにより、受け部材固定部11bが立設されている部分には、新たに型枠を設ける必要がない。したがって、製造コストを削減することができる。
【0035】
続いて、床構成部材25が乾燥して硬化した後、仕上げ部材27を設置する。仕上げ部材27は、例えばウッド材や樹脂パネル、タイル等を用い、仕上げ部材27の隙間をモルタル等で埋めることにより形成する。仕上げ部材27となるウッド材や樹脂パネル、タイル等は市販品を用いてもよい。
【0036】
最後に、受け部材13の+Z側にグレーチング5を設置する。前述のとおり、Y方向に沿って複数のグレーチング5を隣接して配置し、各切り起こし片15をスリット5aに嵌合して、受け部材13の載置面14にグレーチング5を載置する。これにより、X方向およびY方向にグレーチング5がずれるのを確実に抑制することができる。また、上述のように、グレーチング5は、受け部材13や建物の外壁71等には固定されておらず、受け部材13の+Z側に載置されている。したがって、グレーチング5は、グレーチング支持部材1から簡単に取り外すことができるので、設置後における塵埃の清掃や基礎部分の点検補修等のメンテナンスも容易である。
【0037】
本実施形態によれば、図2に示すように、基礎3にグレーチング支持部材1を設置し、基礎3から+X側に向かって、水平に張り出すように受け部材13を配することにより、受け部材13にグレーチング5を載置することができる。ここで、特許文献2に記載された技術では、建物と排水溝との間およびテラスと排水溝との間に、グレーチングの上部に幅広部を形成していた。そして、この幅広部を載置するためのスペースをテラス側および建物側に確保する必要があった。したがって、テラスおよび建物の設計自由度が小さくなっていた。しかし、本実施形態では、水平に張り出すように配された受け部材13にグレーチング5を載置することができる。これにより、建物に影響を与えることなくグレーチング5を設置することができる。また、切り起こし片15a,15b,15c,15dは、グレーチング5が載置される受け部材13の載置面14に、+Z側に突出して形成されている。そして、グレーチング5を受け部材13の載置面14に載置すると、グレーチング5のスリット5aと各切り起こし片15a,15b,15c,15dとが嵌合する。これにより、グレーチング5がずれそうになっても、各切り起こし片15a,15b,15c,15dの先端および側面と、スリット5aの内面とが当接するので、グレーチング5のずれが規制される。したがって、受け部材13の載置面14に切り起こし片15a,15b,15c,15dを形成することにより、別部材を設けることなくグレーチング5のずれを低コストに抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、図6に示すように、グレーチング支持部材1がテラス20の基礎3に取り付けられているので、建物基礎79および建物7に影響を与えることなく、グレーチング5を設置することができる。また、建物7の屋内の床面77、グレーチング5の表面5cおよびテラス20の床面20aが略面一の高さに配置されている。これにより、バリアフリーに対応し、かつデザイン性に優れたテラス20を有する建物7を提供することができる。
【0039】
なお、この発明は上述した実施の形態に限られるものではない。
本実施形態のグレーチング支持部材は、ステンレスやアルミ等の金属を使用して形成しているが、樹脂等で形成してもよい。ただし、強度確保の観点から、本実施形態のようにステンレスやアルミ等の金属により形成するのが望ましい。
【0040】
本実施形態のグレーチングは、グレーチングの長手方向に沿ってスリットが形成されている。しかし、スリットは、グレーチングの幅方向に沿って形成されてもよいし、グレーチングの長手方向および幅方向に沿って格子状に形成されてもよい。
【0041】
本実施形態では、受け部材に凸部として切り起こし片を形成しているが、例えばプレスにより絞り加工をして凸部を形成してもよい。ただし、絞り加工で凸部を形成すると、凸部の側面に抜き勾配が形成されるため、グレーチングのスリットに凸部を嵌合した際に、隙間が発生し、グレーチングがずれるおそれがある。したがって、グレーチングのずれを確実に抑制できる点で本実施形態に優位性がある。
【0042】
本実施形態のグレーチング支持部材は、建物の屋外に設置されるテラスの基礎に設けられているが、建物の基礎にグレーチング支持部材を設けてもよい。ただし、建物を建てた後にテラスおよびグレーチングを設置する場合や、破損等によりグレーチング支持部材を交換する場合に、建物に影響を与えることなく施工できる点で本実施形態に優位性がある。
【符号の説明】
【0043】
1・・・グレーチング支持部材 3・・・基礎 5・・・グレーチング 5a・・・スリット 7・・・建物 11・・・ベース部材 13・・・受け部材 14・・・載置面(上面) 15(15a,15b,15c,15d)・・・切り起こし片 20・・・テラス 20a・・・テラスの床面 77・・・屋内の床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスリットを有するグレーチングを地中に埋設された基礎に対して設置するグレーチング支持部材であって、
前記基礎に取り付けられるベース部材と、
前記ベース部材に取り付けられるとともに、前記基礎から水平に張り出すように配され上面に前記グレーチングが載置可能に構成された受け部材と、
を有し、
前記受け部材の前記上面には、上方に突出し前記スリットと嵌合する凸部が形成されていることを特徴とするグレーチング支持部材。
【請求項2】
請求項1に記載のグレーチング支持部材であって、
前記凸部は、前記受け部材の前記上面の一部が上方に向かって切り起こされて形成された切り起こし片であることを特徴とするグレーチング支持部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載のグレーチング支持部材であって、
前記凸部は、前記上面において前記受け部材の張り出し方向に対する直交方向にずれた位置に複数形成されていることを特徴とするグレーチング支持部材。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のグレーチング支持部材が、建物の屋外に設置されるテラスの基礎に取り付けられ、
前記受け部材に前記グレーチングを載置することにより、前記建物と前記テラスとの間に前記グレーチングが設置され、
前記建物の屋内の床面、前記グレーチングの表面および前記テラスの床面が略面一の高さに配置されていることを特徴とする建物。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−12905(P2012−12905A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153026(P2010−153026)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(391024696)住友林業緑化株式会社 (39)
【出願人】(000133319)株式会社ダイケン (53)
【Fターム(参考)】