説明

グロメット

【課題】 取り付け対象部に対して確実に固定でき、繰り返して屈曲されてもワイヤーハーネスが損傷するのを確実に防ぐことができるグロメットを提供する。
【解決手段】ホルダ500は、第1保持部分301と、第1保持部分301とによりホルダ固定部32の周囲を保持する第2保持部分302と、第1保持部分301の先端部に設けられる第1取り付け部310と、第2保持部分302の先端部に設けられて第1取り付け部310に挿入して固定される突起部分311と、第2保持部分302の先端部に設けられる第2取り付け部312と、突起部分311が第1取り付け部310に固定された状態で、第1取り付け部310と第2取り付け部312に対して挿入して第1取り付け部310と第2取り付け部312を固定するためのブラケット800を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グロメットに関し、特に取り付け対象部にホルダを用いて取り付けてワイヤーハーネスを覆って保護するためのグロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤーハーネス用のグロメットは、例えば自動車の車体とドアの間に配置されるワイヤーハーネスを覆って保護するのに用いられている。 このグロメットの断面は円形状であり柔らかい材質で作られ、グロメットの中にはワイヤーハーネスが通っており、グロメットは、車体に対してホルダを用いて取り付けられる。
【0003】
ホルダは、第1半円環部と第2半円環部をヒンジ部で連結した構造を有しており、このホルダは、グロメットのクランプしようとする部分の断面円形形状に合わせた円筒状の部材である。第1半円環部のロック片が第2半円環部の枠部の係止部に差し込まれて、ロック片の2つのロック爪によりロックするようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002―369354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のグロメットをクランプ部材で固定する構造では、単に第1半円環部のロック片が第2半円環部の枠部の係止部に差し込まれて、ロック片の2つのロック爪によりロックだけであるので、グロメットを車体に対して固定するためには不十分であり、より確実に固定することできることが望まれている。
【0005】
また、グロメットの断面が円形状であり、しかもクランプ部材も円筒状の部材であるので、例えば車体とドアの間にグロメットを装着した場合に、ドアを開閉することによりグロメットが繰り返して屈曲されるので、グロメットがクランプ部材に対して回転してしまって、車体に対するグロメットの取り付け姿勢が変化してしまうおそれがある。このため、グロメットが車体などの取り付け対象部に対して確実に固定できず、ワイヤーハーネスが損傷するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解消するために、取り付け対象部に対して確実に固定でき、繰り返して屈曲されてもワイヤーハーネスが損傷するのを確実に防ぐことができるグロメットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解消するために、本発明のグロメットは、第1取り付け対象部と第2取り付け対象部の間に配置されてワイヤーハーネスを覆って保護するグロメットであって、
前記第1取り付け対象部に装着されて前記ワイヤーハーネスを通す第1装着部と、前記第2取り付け対象部に装着されて前記ワイヤーハーネスを通す第2装着部と、
前記第1装着部と前記第2装着部との間に設けられて前記ワイヤーハーネスを通す屈曲可能なチューブと、
前記チューブの途中に形成されるホルダ固定部と、
前記ホルダ固定部に固定されるホルダと、を備え、
前記ホルダは、第1保持部分と、前記第1保持部分に接続されており、前記第1保持部分とにより前記ホルダ固定部の周囲を保持する第2保持部分と、
前記第1保持部分の先端部に設けられる第1取り付け部と、
前記第2保持部分の先端部に設けられて前記第1取り付け部に挿入して固定される突起部分と、
前記第2保持部分の先端部に設けられる第2取り付け部と、
前記突起部分が前記第1取り付け部に固定された状態で、前記第1取り付け部と前記第2取り付け部に対して挿入して前記第1取り付け部と前記第2取り付け部を固定するためのブラケットと、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のグロメットは、好ましくは前記突起部分は、前記第1取り付け部に対して固定されて前記突起部分が前記第1取り付け部から抜け出るのを防止する第1抜け止め防止部を有し、
前記第1取り付け部は、前記ブラケットに対して固定されて前記ブラケットの抜け止めを防止する第2抜け止め防止部を有していることを特徴とする。
【0009】
本発明のグロメットは、好ましくは前記ホルダ固定部には、複数のリブが突出して設けられており、前記第1保持部分と前記第2保持部分には、各前記リブがはまり込む開口部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明のグロメットは、好ましくは前記ホルダ固定部は、断面楕円形状を有しており、前記第1保持部分と前記第2保持部分は前記ホルダ固定部の外周面を保持する断面楕円形状を有する筒状部材を構成していることを特徴とする。
【0011】
本発明のグロメットは、好ましくは前記第1取り付け対象部は固定部位であり、前記第2取り付け対象部は、前記固定部位に対して可動する可動部位であることを特徴とする。
本発明のグロメットは、好ましくは前記第1取り付け対象部は車体であり、前記第2取り付け対象部は、前記車体に対して開閉自在なバックドアであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のグロメットによれば、取り付け対象部に対して確実に固定でき、繰り返して屈曲されてもワイヤーハーネスが損傷するのを確実に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明のグロメットの好ましい実施形態を示す斜視図であり、図2は、グロメットを取り付け対象部に対して装着した例を示す斜視図である。
【0015】
図1に示すグロメット10は、図2に例示する装着例のように、第1取り付け対象部101と第2取り付け対象部102の間に配置されて、ワイヤーハーネス200を覆って保護するのに用いられる。図1に示すように、グロメット10は、第1装着部21と、第2装着部22と、チューブ23と、ホルダ固定位置30とを有している。ホルダ固定位置30は、第1ホルダ固定部31と第2ホルダ固定部32を有している。
【0016】
図1に示す第1装着部21と第2装着部22とチューブ23は、柔軟性を有する材料である例えば合成ゴムやエラストマーにより作られている。 図示の本発明の実施形態では、例えば、図2の第1取り付け対象部101は自動車の車体であり、第2取り付け対象部102は自動車の跳ね上げ開閉式のバックドアである。
【0017】
図1に示すように、第1装着部21は、ワイヤーハーネス200を通す空間を有する中空状の成形部材であり、図2に示す第1取り付け対象部101に装着されてワイヤーハーネス200を通す。このワイヤーハーネス200は、例えば車体側からバックドアのランプ類などに通電するための配線である。
【0018】
図1と図2に示す第2装着部22は、ワイヤーハーネス200を通す空間を有する中空状の成形部材であり、図2に示す第2取り付け対象部102に装着されてワイヤーハーネス200を通す。
【0019】
図1のチューブ23は、ワイヤーハーネス200を通す空間を有する中空状の部材であり、第1装着部21と第2装着部22との間に設けられ、第1チューブ部分41と第2チューブ部分42を有している。図示例では、第1チューブ部分41の外形形状は第2チューブ部分42に比べて大きい。チューブ23の第1チューブ部分41と第2チューブ部分42は、屈曲可能な蛇腹状のチューブである。
【0020】
図1に示すグロメット10の各部の形状は、図3〜図6に示している。図3は、グロメット10の正面図であり、図4は、グロメット10の底面図である。図5は、グロメット10の第1装着部21側の側面図である。図6は、図4のG−G線における第2装着部22の断面図である。
【0021】
まず、図1と図3〜図6を参照しながら、さらにグロメット10の各構成要素を説明する。
図1に示すように、第1装着部21は、挿入端部70と、この挿入端部70に連続して形成されている成形部71を有している。成形部71の第1部分71B側に挿入端部70が形成されている。図3に示すように、挿入端部70は、第1取り付け対象部101の挿入用の穴103に対してはめ込んで取り付けられる。
【0022】
挿入端部70は先細り形状になっており、図4と図5に示すような楕円形状の開口部72を有している。図1に示すように、挿入端部70におけるワイヤーハーネス200の案内経路は、成形部71におけるワイヤーハーネス200の案内経路に対して交差している。
【0023】
図1と図3に示すように、第2装着部22は、挿入端部75と、この挿入端部75に連続して形成されている成形部76と、突起部77を有している。挿入端部75は、成形部76の第1端部76B側に設けられている。成形部76の第2端部76Cは、第2チューブ部分42の第2端部42Cに接続されている。
【0024】
図3に示すように、挿入端部75は、第2取り付け対象部102の挿入用の穴104に対してはめ込んで取り付けられる。挿入端部75は先細り形状になっており、図6に示すような楕円形状の開口部73を有している。 図6に示す突起部77は、挿入端部75の内部から開口部73の外部に突出して設けられている。この突起部77は、ワイヤーハーネス200を、ビニールテープを用いることにより固定するためのものである。延長部76におけるワイヤーハーネス200の案内経路は、挿入端部75におけるワイヤーハーネス200の案内経路に対して交差している。
【0025】
図1に示すように、第1ホルダ固定部31は、成形部71の第2部分70Cと、第1チューブ部分41の第1端部41Bとの間に接続されている。また、第2ホルダ固定部32は、第1チューブ部分41の第2端部41Cと、第2チューブ部分42の第1端部42Bとの間に接続されている。第2チューブ部分42の第2端部42Cは、成形部76の第2端部76Cに接続されている。
【0026】
図7(A)〜図7(E)は、図4に示すグロメット10の各部の断面形状例を示している。
図7(A)は、図4のグロメット10の第2ホルダ固定部32のH―H線における断面形状例を示しており、第2ホルダ固定部32は長い楕円形状を有している。図7(B)は、図4のグロメット10の第2チューブ部分42の大径部のA―A線における断面形状例を示しており、第2チューブ部分42の大径部は円形状を有している。
【0027】
図7(C)は、図4のグロメット10の第2チューブ部分42の小径部のB―B線における断面形状例を示しており、第2チューブ部分42の小径部は大径部に比べて小さな円形状を有している。
【0028】
図7(D)は、図4のグロメット10の第1チューブ部分41の小径部のC―C線における断面形状例を示しており、第1チューブ部分41の小径部は長い楕円形状を有している。図7(E)は、図4のグロメット10の第1チューブ部分41の大径部のD―D線における断面形状例を示しており、第1チューブ部分41の大径部は小径部に比べて小さな長い楕円形状を有している。
【0029】
次に、図1に示すホルダ500の構造について、図8〜図11を参照して詳しく説明する。ホルダ500は、例えばプラスチックにより作られており、クランプ部材とも呼ぶことができる。
ホルダ500は第2ホルダ固定部32に取り付けられ、ホルダ500は図2に示すヒンジ機構1000のヒンジ部材1002側に固定される。
【0030】
図8は、ホルダ500とヒンジ部材1002のブラケット800を示す斜視図であり、図9は、ホルダ500を第2ホルダ固定部32に装着する前の状態を示す斜視図である。図10は、ホルダ500を第2ホルダ固定部32に装着した後の状態を示す斜視図である。図11(A)〜図11(C)は、ホルダ500の各部の形状を示している。
【0031】
図8と図9に示すように、ホルダ500は、第1保持部分301と第2保持部分302を有しており、第1保持部分301の一端部と第2保持部分302の一端部は連結部(ヒンジ部)303により連結されている。第1保持部分301の他端部は箱状の第1取り付け部310を有しており、第2保持部分302の他端部は、ロック用の舌状の突起部分311と第2取り付け部312を有している。
【0032】
図11(A)は、図8のホルダ500の平面図であり、図11(B)は、図8のホルダ500の側面図であり、図11(C)は、図8のホルダ500の底面図である。
図8と図11(B)に示すように、第1保持部分301と第2保持部分302の断面は、半楕円形状であり、図10に示すように第1保持部分301の他端部と第2保持部分302の他端部を結合することにより、第1保持部分301と第2保持部分302は、楕円形状の断面を有する筒状の部材となる。
【0033】
図8と図11(A)と図11(C)に示すように、第1保持部分301と第2保持部分302は、それぞれ中央位置に長方形状の開口部321,322を有している。図10のように第1保持部分301と第2保持部分302を結合すると、開口部321,322は対面する。
【0034】
一方、図9と図7(A)に示すように、グロメット10の第2ホルダ固定部32には、2つのリブ(固定用の突起部)700,700が反対方向に向いて突出して設けられている。リブ700,700は、第2ホルダ固定部32の楕円形状断面の長軸方向に沿って配置されている。図9の矢印で示すように、リブ700,700は、それぞれ開口部321,322に挿入されるようになっている。
【0035】
図8と図9に示す第1保持部分301の第1取り付け部310は、ボックス状の部材であり、第1取り付け部310は中空部を有しており、第1挿入穴331と第2挿入穴332を有している。第1挿入穴331は、ホルダ500の軸方向Lに対して直交する方向に形成されており、第2挿入穴332は、軸方向Lと平行な方向L1に対して角度θで交差する方向L2に沿って形成されている。
【0036】
図8に示すように、第1挿入穴331は平行四辺形の開口部333を有しており、第2挿入穴332はほぼT字形の開口部334を有している。
図12は、第1取り付け部310の構造例を示しており、第1取り付け部310を正面から見ている。
図8と図12に示すように、第1取り付け部310の第1挿入穴331の内部には、平板状の係止部340と、第2抜け止め防止部341が設けられている。図8に示すように、第1取り付け部310は、付勢部360を有しており、付勢部360は、片持ち式のスプリング部分であり、付勢部360の内面側には断面三角形状の第2抜け止め防止部341が設けられている。
【0037】
図8と図10に示すように、第1取り付け部310の第1挿入穴331には、ブラケット800が挿入されるようになっている。このため、ブラケット800は、平板状の本体801と突起部802を有しており、平板状の本体801と突起部802がR1方向にそって第1挿入穴331にはまり込む。ブラケット800は、図2に示すヒンジ機構1000のヒンジ部材1002に固定されている。
【0038】
次に、図8と図9に示す第2保持部分302のロック用の突起部分311と第2取り付け部312について説明する。
ロック用の突起部分311は、平板状の部材であるが、先端部には第1抜け止め防止部345を有している。突起部分311が第1挿入穴331に挿入されると、この第1抜け止め防止部345は第1取り付け部310内の平板状の係止部340の端面に係合されるようになっている。
【0039】
図8と図9に示す第2取り付け部312は、突起部分311と平行に突出して形成されており、第2取り付け部312は第3挿入穴350を有している。第3挿入穴350は、図8に示すブラケット800の平板状の本体801の先端部分815が挿入されるようになっている。図8のブラケット800の平板状の本体801が第2挿入穴322と第3挿入穴350に対して順に挿入されると、第1取り付け部310の第2抜け止め防止部341がブラケット800のはめ込み穴820にはまり込むようになっている。
【0040】
次に、上述したグロメット10の第2ホルダ部分32にホルダ500を装着して、図2に示すようにグロメット10を第1取り付け対象部101と第2取り付け対象部102に取り付ける例について説明する。
【0041】
まず、ホルダ500がグロメット10の第2ホルダ部分32に装着される例を、図8〜図10と、図12と図13を参照して説明する。
図12(A)と図13(A)に示すのは、第1取り付け部310であり、ロック用の突起部分311が挿入されが挿入される前の状態を示している。
【0042】
図9に示すように、ホルダ500の第1保持部分301と第2保持部分302は、第2ホルダ固定部32の外周囲に密着して配置して、図8と図12(A)において矢印R2,R3示すように、第1取り付け部310の第1挿入穴331にはロック用の突起部分311が挿入されると共に、第1取り付け部310の隣には第2取り付け部312が並べて配置される。
第1保持部分301と第2保持部分302が第2ホルダ固定部32の外周囲に密着して配置されると、第2ホルダ固定部32のリブ700,700は、それぞれ開口部321,322にはめ込まれる。これにより、第1保持部分301と第2保持部分302と第2ホルダ固定部32の相対的な位置決めが確実に行える。
【0043】
図8と図12(A)の矢印R2,R3に示すように、第1取り付け部310の第1挿入穴331にはロック用の突起部分311が挿入されると共に、第1取り付け部310の隣には第2取り付け部312が並べて位置されると、図12(A)と図13(A)に示す何も挿入されていない第1取り付け部310の状態から、図12(B)と図13(B)に示す状態に変化する。すなわち、第1取り付け部310の第1挿入穴331には突起部分311が位置され、突起部分311の第1抜け止め防止部345が、第1取り付け部310内の平板状の係止部340の側面349に係合される。
これにより、突起部分311は第1取り付け部310に対して確実に固定でき、図10に示すように第1保持部分301と第2保持部分302は、第2ホルダ固定部32に対して密着して固定できる。
【0044】
次に、図8に示すように、ブラケット800が、R1方向に挿入されることにより、図12(C)と図13(C)に示すように、第1取り付け部310内の第2抜け止め防止部341がブラケット800のはめ込み穴820にはまり込む。しかも、図13(C)に示すように、ブラケット800の先端部315が、第1取り付け部310の第2挿入穴332を通過して、第2取り付け部312の第3挿入穴350にはまり込む。
【0045】
これにより、第1取り付け部310内の第2抜け止め防止部341がブラケット800のはめ込み穴820にはまり込むことで、ブラケット800がホルダ500からR5方向に抜け出るのを確実に防止することができる。しかも、ブラケット800の先端部315が第1取り付け部310の第2挿入穴332を通過して第2装着部212の第3挿入穴350にはまり込むことで、第1取り付け部310と第2取り付け部312の相対的な位置を確実に固定することができる。従って、図10に示すように第1保持部分301と第2保持部分302は、第2ホルダ固定部32に対して密着して確実に固定できる。
【0046】
また、図9と図10に示すように、第2ホルダ固定部32のリブ700,700が、第1保持部分301と第2保持部分302の開口部321,322にそれぞれはまり込んでいることから、ホルダ500と第2ホルダ固定部32とは、互いに回転しないように回り止めした状態で確実に固定できる。
しかも、第1保持部分301と第2保持部分302は断面楕円形状の内部空間を有しており、第2ホルダ固定部32の断面形状も第1保持部分301と第2保持部分302に合った断面楕円形状を有していることから、ホルダ500は第2ホルダ固定部32の外周面に対して、互いに回転しないように回り止めした状態で確実に固定できる。
【0047】
次に、図2を参照して、グロメット10が第1取り付け対象部101と第2取り付け対象部102に対して装着された例を説明する。
図2では、第1取り付け対象部101が自動車の車体であり、第2取り付け対象部102がこの自動車のバックドアである。この自動車は、例えば5ドア車あるいは3ドア車などである。
第2取り付け対象部102は、第1取り付け対象部101に対して、ヒンジ機構1000により開閉可能に保持されている。このヒンジ機構1000は、車体側のヒンジ部材1001とバックドア側のヒンジ部材1002を有しており、ヒンジ部材1001とヒンジ部材1002はピン1003により回転できるように連結されている。
【0048】
グロメット10の第1装着部21は、第1取り付け対象部101側の装着穴に対してはめ込んで取り付けられており、グロメット10の第2装着部22は、第2取り付け対象部102側の装着穴に対してはめ込んで取り付けられている。第1ホルダ固定部31は、車体側のヒンジ部材1001に対してホルダ400を用いて固定され、第2ホルダ固定部32は、バックドア側のヒンジ部材1002に対してホルダ500を用いて固定されている。この装着状態では、第1チューブ部分41と第2チューブ部分42は、屈曲している。ホルダ400,500は同じ構造のものであっても、異なる構造のものであっても良い。
【0049】
このグロメット10は、例えばバックドア側のライト類への配線等を収容している。第2チューブ部分42は、第2装着部22を第2取り付け対象部102の所定位置に装着するために屈曲されている。
第2取り付け対象部102を第1取り付け対象部101に対して開閉する際には、ヒンジ部材1001に対してヒンジ部材1002の位置がピン1003を中心にして回転するのに合わせて、第1チューブ部分41が第1ホルダ固定部31と第2ホルダ固定部32の間で屈曲される。
【0050】
第1取り付け対象部101が自動車の車体であって、第2取り付け対象部102が自動車のバックドアである場合であって、バックドアが繰り返して開閉動作されたとしても、バックドアの開閉動作により生じる屈曲によりワイヤーハーネス200に損傷が生じるといった現象を防ぐことができる。つまり、グロメット10とともにワイヤーハーネス200が繰り返して屈曲されても、ワイヤーハーネス200はグロメット10内では拘束されず、ワイヤーハーネス200が損傷するのを確実に防ぐことができる。
また、第1ホルダ固定部31と第2ホルダ固定部32の外形形状が、図示例では第1装着部21と第1チューブ部分41の外形形状に合わせてあるので、グロメット10の大きさがむやみに大きくなってしまうことはない。
【0051】
本発明の実施形態のグロメット10は、チューブの途中に形成される第2ホルダ固定部32と、第2ホルダ固定部32に固定されるホルダ500を備えている。ホルダ500は、第1保持部分301と、第1保持部分301に接続され第1保持部分301とにより第2ホルダ固定部32の周囲を保持する第2保持部分302を有する。このグロメット10は、第1保持部分301の先端部に設けられる第1取り付け部310と、第2保持部分302の先端部に設けられて第1取り付け部310に挿入して固定される突起部分311と、第2保持部分302の先端部に設けられる第2取り付け部312と、突起部分311が第1取り付け部310に固定された状態で、第1取り付け部310と第2取り付け部312に対して挿入して第1取り付け部310と第2取り付け部312を固定するためのブラケット800を有する。
【0052】
これにより、突起部分311が第1取り付け部310に固定された状態で、ブラケット800が第1取り付け部310と第2取り付け部312を固定することで、2重ロック機構の役割を果たすことから、グロメットはホルダ500とブラケット800を用いて、取り付け対象部に対して確実に固定でき、繰り返して屈曲されてもワイヤーハーネスが損傷するのを確実に防ぐことができる。
【0053】
本発明の実施形態のグロメット10では、突起部分311は、第1取り付け部310に対して固定されて突起部分311が第1取り付け部310から抜け出るのを防止する第1抜け止め防止部345を有する。しかも、第1取り付け部310は、ブラケット800に対して固定されてブラケット800の抜け止めを防止する第2抜け止め防止部341を有している。これにより、グロメットは確実に固定することができる。
【0054】
第2ホルダ固定部32には、複数のリブ700が突出して設けられており、第1保持部分301と第2保持部分302には、各リブがはまり込む開口部321,322が設けられている。これにより、ホルダ500とホルダ固定部32との間の回り止めを図ることができ、ドアの開閉によりグロメットが屈曲されてもグロメットは確実に固定できる。
第2ホルダ固定部32は、断面楕円形状を有しており、第1保持部分301と第2保持部分302は第2ホルダ固定部32の外周面を保持する断面楕円形状を有する筒状部材を構成している。これにより、ホルダ500とホルダ固定部32との間の回り止めを図ることができ、ドアの開閉によりグロメットが屈曲されてもグロメットは確実に固定できる。
【0055】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されず種々の変形例を採用できる。図示例では、チューブ23は、第1チューブ部分41と第2チューブ部分42を有しており、第1チューブ部分41の外形形状は第2チューブ部分42の外形形状に比べて大きいが、これに限らず第1チューブ部分41の外形形状と第2チューブ部分42の外形形状は、第1ホルダ固定部31と第2ホルダ固定部32の外形形状と同じかほぼ同じにしても良い。 チューブ23の第1チューブ部分41と第2チューブ部分42は、屈曲可能でしかも伸縮可能であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のグロメットの好ましい第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のグロメットを装着した例を示す斜視図である。
【図3】グロメットの正面図である。
【図4】グロメットの底面図である。
【図5】グロメットの側面図である。
【図6】図4のG−G線における第2装着部の断面図である。
【図7】図4に示すグロメットの各部の断面形状例である。
【図8】ホルダとヒンジ部材のブラケットを示す斜視図である。
【図9】ホルダを第2ホルダ部分に装着する前の状態を示す斜視図である。
【図10】ホルダを第2ホルダ部分に装着した後の状態を示す斜視図である。
【図11】ホルダの各部を示す図である。
【図12】第1装着部の構造と使用状態を示す第1装着部の正面図である。
【図13】第1装着部の構造と使用状態を示す第1装着部の断面図である。
【符号の説明】
【0057】
10 グロメット
21 第1装着部
22 第2装着部
23 チューブ
31 第1ホルダ固定部
32 第2ホルダ固定部
41 第1チューブ部分
42 第2チューブ部分
101 第1取り付け対象部(自動車の車体)
102 第2取り付け対象部(自動車のバックドア)
103 取り付け用の穴
104 取り付け用の穴
200 ワイヤーハーネス
301 第1保持部分
302 第2保持部分
310 第1取り付け部
311 突起部分
312 第2取り付け部
321,322 開口部
340 平板状の係止部
345 第1抜け止め部
341 第2抜け止め部
500 ホルダ
700 リブ
800 ブラケット
1002 ヒンジ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1取り付け対象部と第2取り付け対象部の間に配置されてワイヤーハーネスを覆って保護するグロメットであって、
前記第1取り付け対象部に装着されて前記ワイヤーハーネスを通す第1装着部と、前記第2取り付け対象部に装着されて前記ワイヤーハーネスを通す第2装着部と、
前記第1装着部と前記第2装着部との間に設けられて前記ワイヤーハーネスを通す屈曲可能なチューブと、
前記チューブの途中に形成されるホルダ固定部と、
前記ホルダ固定部に固定されるホルダと、を備え、
前記ホルダは、第1保持部分と、前記第1保持部分に接続されており、前記第1保持部分とにより前記ホルダ固定部の周囲を保持する第2保持部分と、
前記第1保持部分の先端部に設けられる第1取り付け部と、
前記第2保持部分の先端部に設けられて前記第1取り付け部に挿入して固定される突起部分と、
前記第2保持部分の先端部に設けられる第2取り付け部と、
前記突起部分が前記第1取り付け部に固定された状態で、前記第1取り付け部と前記第2取り付け部に対して挿入して前記第1取り付け部と前記第2取り付け部を固定するためのブラケットと、
を備えることを特徴とするグロメット。
【請求項2】
前記突起部分は、前記第1取り付け部に対して固定されて前記突起部分が前記第1取り付け部から抜け出るのを防止する第1抜け止め防止部を有し、
前記第1取り付け部は、前記ブラケットに対して固定されて前記ブラケットの抜け止めを防止する第2抜け止め防止部を有していることを特徴とする請求項1に記載のグロメット。
【請求項3】
前記ホルダ固定部には、複数のリブが突出して設けられており、前記第1保持部分と前記第2保持部分には、各前記リブがはまり込む開口部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のグロメット。
【請求項4】
前記ホルダ固定部は、断面楕円形状を有しており、前記第1保持部分と前記第2保持部分は前記ホルダ固定部の外周面を保持する断面楕円形状を有する筒状部材を構成していることを特徴とする請求項3に記載のグロメット。
【請求項5】
前記第1取り付け対象部は固定部位であり、前記第2取り付け対象部は、前記固定部位に対して可動する可動部位であることを特徴とする請求項4に記載のグロメット。
【請求項6】
前記第1取り付け対象部は車体であり、前記第2取り付け対象部は、前記車体に対して開閉自在なバックドアであることを特徴とする請求項5に記載のグロメット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−21425(P2008−21425A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189755(P2006−189755)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】