グロメット
【課題】グロメットの遮音性能を高める。
【解決手段】ゴムまたはエラストマーから成形され、電線群を密嵌して貫通する小径の内筒と、該内筒の外周面と遮音用空間をあけて外嵌すると共に車体係止用凹部を環状に設けている外筒と、前記内筒の外周面から外径方向に突出して前記外筒の軸線方向の一端側と連結する閉鎖壁を備え、前記内筒と外筒の軸線方向の他端側は環状開口となっているグロメットであって、前記内筒の先端の一側部から固定片を突設すると共に他側部から前記固定片より長いベルトを突設し、該ベルトの根元部に斜め方向の折目線を設け、該折目線で前記ベルトを90度折り曲げて前記固定片の外周に巻き付けると共に少なくとも一回転は巻回して前記内筒と外筒の間の環状開口を塞ぎ、前記内筒と外筒で囲まれた中空を密閉された遮音用空間とする構成としている。
【解決手段】ゴムまたはエラストマーから成形され、電線群を密嵌して貫通する小径の内筒と、該内筒の外周面と遮音用空間をあけて外嵌すると共に車体係止用凹部を環状に設けている外筒と、前記内筒の外周面から外径方向に突出して前記外筒の軸線方向の一端側と連結する閉鎖壁を備え、前記内筒と外筒の軸線方向の他端側は環状開口となっているグロメットであって、前記内筒の先端の一側部から固定片を突設すると共に他側部から前記固定片より長いベルトを突設し、該ベルトの根元部に斜め方向の折目線を設け、該折目線で前記ベルトを90度折り曲げて前記固定片の外周に巻き付けると共に少なくとも一回転は巻回して前記内筒と外筒の間の環状開口を塞ぎ、前記内筒と外筒で囲まれた中空を密閉された遮音用空間とする構成としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に配索するワイヤハーネスに外装するグロメットに関し、特に、エンジンルームと車室とを仕切る車体パネルの貫通穴に装着するグロメットにおいて、エンジンルーム側から車室への遮音性能を高めたグロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、車室内の静寂性を保つため、エンジンルームから車室への騒音の伝達を防止する遮音機能が高いグロメットが求められている。この種の遮音性を高めたグロメットとして、本出願人は特開2002−10451号公報で、図15(A)(B)に示すグロメット100を提供している。
【0003】
前記グロメット100は、ワイヤハーネス120を密着して挿通する小径の内筒101の一端を外側へ折り返して外筒102を設け、該外筒102の折り返し側の拡径した外周面に環状の車体係止凹部103を設け、外筒102と内筒101との間の他端側の開口104は外筒102の外周に粘着テープ105を巻き付けることにより閉鎖し、内筒101と外筒102に囲まれた密閉空間からなる遮音空間110を設けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−10451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のようにグロメットを内筒と外筒の二重筒構造とし、内筒と外筒の間に密閉された中空部からなる騒音吸収用の遮音空間110を設ける場合、内筒と外筒との間の前記開口104を確実に塞ぐ必要がある。この開口104はグロメット100を金型で射出成形する際に中子取出用として必須であり、開口104の幅を小さくすると中子が容易に取り出せなくなり、中子を容易に取り出すために大きな開口104とすると、粘着テープ105の巻き付けだけでは外筒102の弾性復元力が作用して内筒101と外筒102との間に隙間が発生しやすく、その場合には遮音性能が劣ることになる。さらに、粘着テープ105をしっかりと巻き付けて固定しても、開口104が塞がれて密封されているかが分かりにくい問題がある。
【0006】
本発明は前記問題を解消せんとするもので、グロメットの遮音空間を構成する内筒と外筒との先端開口を確実に塞ぐと共に、該塞いだ状態が外観で確認できるグロメットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、ゴムまたはエラストマーから成形され、電線群を密嵌して貫通する小径の内筒と、該内筒の外周面と遮音用空間をあけて外嵌すると共に車体係止用凹部を環状に設けている外筒と、前記内筒の外周面から外径方向に突出して前記外筒の軸線方向の一端側と連結する閉鎖壁を備え、前記内筒と外筒の軸線方向の他端側は環状開口となっているグロメットであって、
前記内筒の先端の一側周縁から固定片を突設すると共に他側周縁から前記固定片より長いベルトを突設し、該ベルトの根元部に斜め方向の折目線を設け、該折目線で前記ベルトを折り曲げて前記固定片の外周または内筒の先端外周に少なくとも1回転は巻回して前記内筒と外筒の間の環状開口を塞ぎ、前記内筒と外筒で囲まれた中空を密閉された遮音用空間とする構成としているグロメットを提供している。
【0008】
前記のように、内筒の先端からベルトを突設し、該ベルトの根元側に設けた斜めの折目線に沿ってベルトを略90度で折り曲げると、内筒および外筒の環状にそって巻回させ、丁度、内筒と外筒との間の環状開口を塞ぐように位置させることができる。かつ、このベルトにより環状開口を塞いでいる状態を外観で確認できる。
また、この状態で従来と同様に外筒の外周面からグロメットより引き出されるワイヤハーネスの外周面にかけて粘着テープを強く巻き付けることで、外筒の内周面を内筒の外周面に接触させて開口を閉鎖できると共に、若干隙間が生じてもベルトにより隙間が閉鎖されるため、遮音用空間に隙間が生じず、遮音性能を高めることができる。
【0009】
前記内筒先端と外筒先端とは同等位置とし、前記ベルトに設ける折目線を内筒先端からベルトの突出側に向けて設けた場合は折り曲げた前記ベルトを固定片の外周面に接触させて巻き付け、あるいは内筒先端を外筒先端より外方へ突出させ、前記折目線を内筒の外周面から内筒先端でベルトの基端となる位置に向けて設けた場合は、前記ベルトを折り曲げた後に内筒の外周面に接触させて巻つけている。
【0010】
前記内筒の先端より突出する前記ベルトと固定片は内筒の中心を挟んで対称位置に設け、かつ、該ベルトの周方向の長さ(幅)は前記内筒の周長の1/4〜1/5とし、ベルトは断面平板状とすると共に、固定片は断面円弧状としていることが好ましい。
【0011】
ベルトは細幅で断面平板状とすると巻回しやすくなり、その幅は狭くする方が操作性がよい。一方、固定片はワイヤハーネスの電線群の外周に位置させて粘着テープで巻き付けるものであるため、電線群の外周に沿い易い円弧状とすることが好ましい。また、該固定片の周方向長さの幅は限定されず、ベルトの部分を除いた部分を固定片としてもよく、また、ベルトと同等な幅としてもよい。
【0012】
前記ベルトの長さは環状開口の周方向の長さと丁度対応した長さとし、ベルトを1回転させると、丁度、環状開口に沿って1回転した長さとなることが好ましい。これにより、ベルトの巻回部の外径が外筒の外径より大となって局部的な肥大化の発生を防止でき、かつ、ベルトにより塞がれない環状開口の発生を防止できる。
【0013】
また、前記ベルトは根元部分の厚さは薄くすると共に次第に厚くし、突出端側は次第に薄くしていることが好ましい。
前記のように、ベルトは折目線を設けた根元部分を薄肉とすると折り曲げ易くなり、また、先端を次第に薄くすることでベルトの巻き終わり端に段差が生じるのを防止できる。かつ、ベルトの長さ方向の中間部の肉厚を大とすると、折り目線に沿って90度曲げて折り返した際にベルトの厚さ方向が巻回するベルトの径方向となり、内筒と外筒との間の隙間の径方向寸法が大きい場合にもベルトで塞ぐことができる。
【0014】
前記ベルトには、前記折目線に近接した根元側から突出端にかけて、ベルト本体の長さ方向の一端縁に沿って段差幅広部を設け、前記折目線に沿って折り曲げて巻回すると、前記段差幅広部はベルト本体の外周側に位置し、前記内筒と外筒の環状開口を塞ぐベルト幅を拡大してもよい。
【0015】
前記ベルトの長さ方向に沿った段差幅広部はベルトの厚さを大とする代わりに設けている。ベルトの長さ方向の一端に沿って段差幅広部を設けると、折り目に沿って90度折り曲げて巻回した時に、段差幅広部がベルト本体の外周に沿って位置し、径方向の長さを拡大した状態となり、径方向に大きな寸法を有する環状開口を塞ぐことができる。
【0016】
さらに、本発明は前記したグロメットの内筒にワイヤハーネスを構成する電線群を挿通し、前記グロメットのベルトを折目線にそって折り曲げて前記固定片の外周面に接触させて巻回し、前記外筒先端と内筒の間の環状開口を前記ベルトで塞いた状態で、前記外筒の外周面、巻回したベルトの外周面、内筒から引き出されるワイヤハーネスの外周面にかけて粘着テープを巻き付けているグロメットの取付構造を提供している。
【発明の効果】
【0017】
前記のように、本発明のグロメットは、内筒の先端からベルトを突設し、該ベルトの根元側に折目線を設けて折り曲げ、該ベルトを巻回して内筒と外筒の間の環状開口を塞いでいる。このように、内筒と外筒との間の先端開口をグロメットと一体成形したベルトで塞ぐことで、内筒と外筒との間の遮音用空間を密閉空間として保持して遮音性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のグロメットの第1実施形態の断面図である。
【図2】図1のグロメットのA−A線断面図である。
【図3】図1のグロメットの要部斜視図である。
【図4】図1のグロメットにワイヤハーネスを通した状態を示し、(A)は要部側面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図5】グロメットのベルトを折り曲げた状態を示す要部側面図である。
【図6】グロメットのベルトを巻回した状態を示し、(A)は要部斜視図、(B)は(A)のC−C線断面図、(C)は要部側面図、(D)は(C)のD−D線断面図である。
【図7】(A)は前記グロメットのベルトを巻回した状態を示す全体概略断面図、(B)はベルトを巻回した後に粘着テープを巻き付けている状態を示す全体概略断面図でる。
【図8】第2実施形態を示し、(A)が要部斜視図、(B)は断面図である。
【図9】第3実施形態を示し、(A)は要部断面図、(B)は(A)の平面図である。
【図10】(A)〜(C)は第3実施形態のベルト巻き工程を示す断面図である。
【図11】第4実施形態のグロメットの断面図である。
【図12】第4実施形態のグロメットを示し、(A)は断面図、(B)は平面図である。
【図13】(A)〜(C)は第4実施形態のグロメットのベルトの巻回工程を示す断面図である。
【図14】(A)は第4実施形態のグロメットのベルトを巻回した状態を示す全体概略断面図、(B)はベルトを巻回した後に粘着テープを巻き付けている状態を示す全体概略断面図である。
【図15】(A)(B)(C)は従来例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図7に第1実施形態のグロメット1を示す。
グロメット1は、自動車のエンジンルームと車室を仕切る車体パネルに設けた貫通穴に、ワイヤハーネス2に外装して装着するものであり、エンジンルームから車室への浸水防止を図ると共に、エンジンルームの騒音が車室へ伝わらないように遮音機能も保持している。なお、後述する他の実施形態のグロメットの適用箇所は該第1実施形態のグロメットと同様である。
【0020】
前記グロメット1は、ゴムまたはエラストマー(本実施形態はEPDM)を金型に射出して成形した一体物のグロメットである。
グロメット1は、ワイヤハーネス2(図7に示す)の電線群を密嵌して貫通する小径の内筒5と、該内筒5の外周面と遮音用空間10をあけて外嵌すると共に車体係止用凹部7を環状に設けている外筒6と、前記内筒5の軸線方向の中間位置の外周面から外径方向に突出して前記外筒6の軸線方向の一端側と連結する閉鎖壁8を備えている。該閉鎖壁8と反対側の内筒5と外筒6で囲まれる他端側は環状開口11となっている。該環状開口11は遮音用空間10と連通するため、該環状開口11を閉鎖すると遮音用空間10が密閉された空気層として遮音性が高まり、環状開口11に隙間が生じると音漏れが生じて遮音性能が低下することになる。
【0021】
前記外筒6に開口すると共に対向する閉鎖壁8から軸線方向に突出する筒部9A、9Bはウオッシャホースとフードオープナーケーブルとからなる線材を挿通するための筒部であり、前記線材の挿通時には筒部9A、9Bの先端閉鎖部を切断するものとしている。
【0022】
前記環状開口11を囲む内筒5の先端5aと外筒6の先端6aは略同一位置にある。内筒5の先端5aの一側部から固定片12を突設すると共に他側部から固定片12より長いベルト13を突設している。該ベルト13は平板状の細長い帯状としており、該ベルト13の幅Sは内筒5の周長の略1/4としている。また、内筒5との連結側のベルト根元部に斜め方向の折目線14を、該折目線14に沿ってベルト13を90度折り曲げられるようにしている。折り目線14は斜め傾斜した溝部を設けて薄肉とした折目線14を形成している。折目線14の長さは7mmとしている。なお、溝を間欠的に設けてもよいし、穴を間欠的に設けて折目線14を形成してもよい。
【0023】
ベルト13は折目線14に沿って折り曲げてベルト13の突出方向を90度変換した後に固定片12の外面に接触するように巻回した時、環状開口11を丁度1回転できる長さとしている。かつ、折目線14の形成位置がベルト13を折り曲げた状態でベルト13の長さ方向の一端縁13aに沿った厚さ面13tが外筒6の先端面に当接する位置になると共に、該ベルト13の厚さ面13tで環状開口11を塞ぐようにしている。
【0024】
前記固定片12はベルト13と直径方向の対向位置に設け、断面円弧状とし、その周長は内筒5の周長の略1/4としている。固定片12の長さはベルト13より短いが、内筒5の先端5aから引き出される電線群Wと巻き付ける粘着テープT1の幅より長くしている。
【0025】
前記形状としたグロメット1は内筒5を拡げ治具で拡げながら、図4に示すように、ワイヤハーネス2を挿通する。その後、図5に示すように、グロメット1のベルト13を折目線14に沿って90度折り曲げた後に固定片12の外周面に接触させて巻回する。この時、図6に示すように、ベルト13の長さ方向の一端縁13aの厚さ面13tが外筒6の先端6aの端面に当接し、丁度、1回転した状態で、内筒5と外筒6の先端間の環状開口11をベルト13で塞ぐこととなる。即ち、図7(A)に示す状態として外観して隙間がないことをチェックできる。
【0026】
図7(B)に示すように、粘着テープT1を外筒6の外周面から巻回したベルト13の外周面へとハーフラップ巻きし、さらに、ベルト13の外周面から固定片12およびワイヤハーネスの電線群Wの外周にかけて粘着テープT1を巻き付けてベルト13を巻回状態で固着すると共に、グロメット1とワイヤハーネスとを固着する。
【0027】
このように、グロメット1の内筒5の先端から一体的に突設したベルト13を折目線14に沿って90度折り曲げて巻回することで、内筒5と外筒6の先端間に形成される環状開口11をベルト13で塞ぐことができる。よって、内筒5と外筒6で囲まれる遮音用空間11を密閉した中空空気層とすることができ、遮音性能を高めることができる。
【0028】
図8に第2実施形態のグロメットを示す。
該グロメットでは内筒5を外筒6より突出させ、ベルト13の根元に設ける折目線14は、その内端14aを内筒5の外周面として先端14bを内筒5の先端でベルト13の基端に設けている。内端14aから軸線方向に切り込み13sをいれて、ベルト13を内筒5に延在させて設けた形状としている。
【0029】
第2実施形態ではベルト13を内筒5の外周面に沿って1回転できるため、安定した巻き付けができると共にベルト13は内筒5の外周面に位置するため環状開口11をより確実に塞ぐことができる。
【0030】
図9および図10に第3実施形態のグロメットを示す
該グロメットでは、ベルト13の肉厚tを長さ方向で変化させている。即ち、ベルト13は折目線14を設けた側の根元部分13rの厚さは薄くすると共に次第に厚くし、突出端部13pの厚さは次第に薄くし、中間部13mの厚さは厚くしている。
前記根元部分13rの長さは略10mm、先端部分の長さも約10mm、中間の厚肉部分の長さは40mmとしている。
他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
前記のようにベルト13の厚さを長さ方向で変え、突出端部13pの厚さを薄くすると、ベルト13を折り曲げて巻回した時に、巻き終わり端に段差を発生させない。また、折目線に近接した根元部分13rの肉厚を薄くすると、折り曲げ易くなる。かつ、ベルト13の中間部13mの厚さtを厚くすると、該厚さtで環状開口11を塞ぐため、隙間の発生を無くし易くなると共に、径方向寸法が大きな環状開口11を塞ぐことができる。
【0032】
図11乃至図14に第4実施形態のグロメットを示す。
該グロメットでは、ベルト13の折目線14に近接した根元側から突出端にかけて、ベルト本体13hの長さ方向の一端13aに沿ってL形状とした段差幅広部13dを設けている。他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0033】
ベルト13の折目線14に沿って90度折り曲げて巻回すると、段差幅広部13dはベルト本体13hの側縁に位置し、内筒5と外筒6の環状開口11を塞ぐベルト幅を拡大する機能を有する。即ち、第3実施形態のベルトの中間部分の肉厚を大とする代わりに段差幅広部13dを設けることで、環状開口11を確実に塞ぐことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 グロメット
2 ワイヤハーネス
5 内筒
6 外筒
10 遮音用空間
11 環状開口
12 固定片
13 ベルト
14 折目線
T1 粘着テープ
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に配索するワイヤハーネスに外装するグロメットに関し、特に、エンジンルームと車室とを仕切る車体パネルの貫通穴に装着するグロメットにおいて、エンジンルーム側から車室への遮音性能を高めたグロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、車室内の静寂性を保つため、エンジンルームから車室への騒音の伝達を防止する遮音機能が高いグロメットが求められている。この種の遮音性を高めたグロメットとして、本出願人は特開2002−10451号公報で、図15(A)(B)に示すグロメット100を提供している。
【0003】
前記グロメット100は、ワイヤハーネス120を密着して挿通する小径の内筒101の一端を外側へ折り返して外筒102を設け、該外筒102の折り返し側の拡径した外周面に環状の車体係止凹部103を設け、外筒102と内筒101との間の他端側の開口104は外筒102の外周に粘着テープ105を巻き付けることにより閉鎖し、内筒101と外筒102に囲まれた密閉空間からなる遮音空間110を設けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−10451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のようにグロメットを内筒と外筒の二重筒構造とし、内筒と外筒の間に密閉された中空部からなる騒音吸収用の遮音空間110を設ける場合、内筒と外筒との間の前記開口104を確実に塞ぐ必要がある。この開口104はグロメット100を金型で射出成形する際に中子取出用として必須であり、開口104の幅を小さくすると中子が容易に取り出せなくなり、中子を容易に取り出すために大きな開口104とすると、粘着テープ105の巻き付けだけでは外筒102の弾性復元力が作用して内筒101と外筒102との間に隙間が発生しやすく、その場合には遮音性能が劣ることになる。さらに、粘着テープ105をしっかりと巻き付けて固定しても、開口104が塞がれて密封されているかが分かりにくい問題がある。
【0006】
本発明は前記問題を解消せんとするもので、グロメットの遮音空間を構成する内筒と外筒との先端開口を確実に塞ぐと共に、該塞いだ状態が外観で確認できるグロメットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、ゴムまたはエラストマーから成形され、電線群を密嵌して貫通する小径の内筒と、該内筒の外周面と遮音用空間をあけて外嵌すると共に車体係止用凹部を環状に設けている外筒と、前記内筒の外周面から外径方向に突出して前記外筒の軸線方向の一端側と連結する閉鎖壁を備え、前記内筒と外筒の軸線方向の他端側は環状開口となっているグロメットであって、
前記内筒の先端の一側周縁から固定片を突設すると共に他側周縁から前記固定片より長いベルトを突設し、該ベルトの根元部に斜め方向の折目線を設け、該折目線で前記ベルトを折り曲げて前記固定片の外周または内筒の先端外周に少なくとも1回転は巻回して前記内筒と外筒の間の環状開口を塞ぎ、前記内筒と外筒で囲まれた中空を密閉された遮音用空間とする構成としているグロメットを提供している。
【0008】
前記のように、内筒の先端からベルトを突設し、該ベルトの根元側に設けた斜めの折目線に沿ってベルトを略90度で折り曲げると、内筒および外筒の環状にそって巻回させ、丁度、内筒と外筒との間の環状開口を塞ぐように位置させることができる。かつ、このベルトにより環状開口を塞いでいる状態を外観で確認できる。
また、この状態で従来と同様に外筒の外周面からグロメットより引き出されるワイヤハーネスの外周面にかけて粘着テープを強く巻き付けることで、外筒の内周面を内筒の外周面に接触させて開口を閉鎖できると共に、若干隙間が生じてもベルトにより隙間が閉鎖されるため、遮音用空間に隙間が生じず、遮音性能を高めることができる。
【0009】
前記内筒先端と外筒先端とは同等位置とし、前記ベルトに設ける折目線を内筒先端からベルトの突出側に向けて設けた場合は折り曲げた前記ベルトを固定片の外周面に接触させて巻き付け、あるいは内筒先端を外筒先端より外方へ突出させ、前記折目線を内筒の外周面から内筒先端でベルトの基端となる位置に向けて設けた場合は、前記ベルトを折り曲げた後に内筒の外周面に接触させて巻つけている。
【0010】
前記内筒の先端より突出する前記ベルトと固定片は内筒の中心を挟んで対称位置に設け、かつ、該ベルトの周方向の長さ(幅)は前記内筒の周長の1/4〜1/5とし、ベルトは断面平板状とすると共に、固定片は断面円弧状としていることが好ましい。
【0011】
ベルトは細幅で断面平板状とすると巻回しやすくなり、その幅は狭くする方が操作性がよい。一方、固定片はワイヤハーネスの電線群の外周に位置させて粘着テープで巻き付けるものであるため、電線群の外周に沿い易い円弧状とすることが好ましい。また、該固定片の周方向長さの幅は限定されず、ベルトの部分を除いた部分を固定片としてもよく、また、ベルトと同等な幅としてもよい。
【0012】
前記ベルトの長さは環状開口の周方向の長さと丁度対応した長さとし、ベルトを1回転させると、丁度、環状開口に沿って1回転した長さとなることが好ましい。これにより、ベルトの巻回部の外径が外筒の外径より大となって局部的な肥大化の発生を防止でき、かつ、ベルトにより塞がれない環状開口の発生を防止できる。
【0013】
また、前記ベルトは根元部分の厚さは薄くすると共に次第に厚くし、突出端側は次第に薄くしていることが好ましい。
前記のように、ベルトは折目線を設けた根元部分を薄肉とすると折り曲げ易くなり、また、先端を次第に薄くすることでベルトの巻き終わり端に段差が生じるのを防止できる。かつ、ベルトの長さ方向の中間部の肉厚を大とすると、折り目線に沿って90度曲げて折り返した際にベルトの厚さ方向が巻回するベルトの径方向となり、内筒と外筒との間の隙間の径方向寸法が大きい場合にもベルトで塞ぐことができる。
【0014】
前記ベルトには、前記折目線に近接した根元側から突出端にかけて、ベルト本体の長さ方向の一端縁に沿って段差幅広部を設け、前記折目線に沿って折り曲げて巻回すると、前記段差幅広部はベルト本体の外周側に位置し、前記内筒と外筒の環状開口を塞ぐベルト幅を拡大してもよい。
【0015】
前記ベルトの長さ方向に沿った段差幅広部はベルトの厚さを大とする代わりに設けている。ベルトの長さ方向の一端に沿って段差幅広部を設けると、折り目に沿って90度折り曲げて巻回した時に、段差幅広部がベルト本体の外周に沿って位置し、径方向の長さを拡大した状態となり、径方向に大きな寸法を有する環状開口を塞ぐことができる。
【0016】
さらに、本発明は前記したグロメットの内筒にワイヤハーネスを構成する電線群を挿通し、前記グロメットのベルトを折目線にそって折り曲げて前記固定片の外周面に接触させて巻回し、前記外筒先端と内筒の間の環状開口を前記ベルトで塞いた状態で、前記外筒の外周面、巻回したベルトの外周面、内筒から引き出されるワイヤハーネスの外周面にかけて粘着テープを巻き付けているグロメットの取付構造を提供している。
【発明の効果】
【0017】
前記のように、本発明のグロメットは、内筒の先端からベルトを突設し、該ベルトの根元側に折目線を設けて折り曲げ、該ベルトを巻回して内筒と外筒の間の環状開口を塞いでいる。このように、内筒と外筒との間の先端開口をグロメットと一体成形したベルトで塞ぐことで、内筒と外筒との間の遮音用空間を密閉空間として保持して遮音性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のグロメットの第1実施形態の断面図である。
【図2】図1のグロメットのA−A線断面図である。
【図3】図1のグロメットの要部斜視図である。
【図4】図1のグロメットにワイヤハーネスを通した状態を示し、(A)は要部側面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図5】グロメットのベルトを折り曲げた状態を示す要部側面図である。
【図6】グロメットのベルトを巻回した状態を示し、(A)は要部斜視図、(B)は(A)のC−C線断面図、(C)は要部側面図、(D)は(C)のD−D線断面図である。
【図7】(A)は前記グロメットのベルトを巻回した状態を示す全体概略断面図、(B)はベルトを巻回した後に粘着テープを巻き付けている状態を示す全体概略断面図でる。
【図8】第2実施形態を示し、(A)が要部斜視図、(B)は断面図である。
【図9】第3実施形態を示し、(A)は要部断面図、(B)は(A)の平面図である。
【図10】(A)〜(C)は第3実施形態のベルト巻き工程を示す断面図である。
【図11】第4実施形態のグロメットの断面図である。
【図12】第4実施形態のグロメットを示し、(A)は断面図、(B)は平面図である。
【図13】(A)〜(C)は第4実施形態のグロメットのベルトの巻回工程を示す断面図である。
【図14】(A)は第4実施形態のグロメットのベルトを巻回した状態を示す全体概略断面図、(B)はベルトを巻回した後に粘着テープを巻き付けている状態を示す全体概略断面図である。
【図15】(A)(B)(C)は従来例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図7に第1実施形態のグロメット1を示す。
グロメット1は、自動車のエンジンルームと車室を仕切る車体パネルに設けた貫通穴に、ワイヤハーネス2に外装して装着するものであり、エンジンルームから車室への浸水防止を図ると共に、エンジンルームの騒音が車室へ伝わらないように遮音機能も保持している。なお、後述する他の実施形態のグロメットの適用箇所は該第1実施形態のグロメットと同様である。
【0020】
前記グロメット1は、ゴムまたはエラストマー(本実施形態はEPDM)を金型に射出して成形した一体物のグロメットである。
グロメット1は、ワイヤハーネス2(図7に示す)の電線群を密嵌して貫通する小径の内筒5と、該内筒5の外周面と遮音用空間10をあけて外嵌すると共に車体係止用凹部7を環状に設けている外筒6と、前記内筒5の軸線方向の中間位置の外周面から外径方向に突出して前記外筒6の軸線方向の一端側と連結する閉鎖壁8を備えている。該閉鎖壁8と反対側の内筒5と外筒6で囲まれる他端側は環状開口11となっている。該環状開口11は遮音用空間10と連通するため、該環状開口11を閉鎖すると遮音用空間10が密閉された空気層として遮音性が高まり、環状開口11に隙間が生じると音漏れが生じて遮音性能が低下することになる。
【0021】
前記外筒6に開口すると共に対向する閉鎖壁8から軸線方向に突出する筒部9A、9Bはウオッシャホースとフードオープナーケーブルとからなる線材を挿通するための筒部であり、前記線材の挿通時には筒部9A、9Bの先端閉鎖部を切断するものとしている。
【0022】
前記環状開口11を囲む内筒5の先端5aと外筒6の先端6aは略同一位置にある。内筒5の先端5aの一側部から固定片12を突設すると共に他側部から固定片12より長いベルト13を突設している。該ベルト13は平板状の細長い帯状としており、該ベルト13の幅Sは内筒5の周長の略1/4としている。また、内筒5との連結側のベルト根元部に斜め方向の折目線14を、該折目線14に沿ってベルト13を90度折り曲げられるようにしている。折り目線14は斜め傾斜した溝部を設けて薄肉とした折目線14を形成している。折目線14の長さは7mmとしている。なお、溝を間欠的に設けてもよいし、穴を間欠的に設けて折目線14を形成してもよい。
【0023】
ベルト13は折目線14に沿って折り曲げてベルト13の突出方向を90度変換した後に固定片12の外面に接触するように巻回した時、環状開口11を丁度1回転できる長さとしている。かつ、折目線14の形成位置がベルト13を折り曲げた状態でベルト13の長さ方向の一端縁13aに沿った厚さ面13tが外筒6の先端面に当接する位置になると共に、該ベルト13の厚さ面13tで環状開口11を塞ぐようにしている。
【0024】
前記固定片12はベルト13と直径方向の対向位置に設け、断面円弧状とし、その周長は内筒5の周長の略1/4としている。固定片12の長さはベルト13より短いが、内筒5の先端5aから引き出される電線群Wと巻き付ける粘着テープT1の幅より長くしている。
【0025】
前記形状としたグロメット1は内筒5を拡げ治具で拡げながら、図4に示すように、ワイヤハーネス2を挿通する。その後、図5に示すように、グロメット1のベルト13を折目線14に沿って90度折り曲げた後に固定片12の外周面に接触させて巻回する。この時、図6に示すように、ベルト13の長さ方向の一端縁13aの厚さ面13tが外筒6の先端6aの端面に当接し、丁度、1回転した状態で、内筒5と外筒6の先端間の環状開口11をベルト13で塞ぐこととなる。即ち、図7(A)に示す状態として外観して隙間がないことをチェックできる。
【0026】
図7(B)に示すように、粘着テープT1を外筒6の外周面から巻回したベルト13の外周面へとハーフラップ巻きし、さらに、ベルト13の外周面から固定片12およびワイヤハーネスの電線群Wの外周にかけて粘着テープT1を巻き付けてベルト13を巻回状態で固着すると共に、グロメット1とワイヤハーネスとを固着する。
【0027】
このように、グロメット1の内筒5の先端から一体的に突設したベルト13を折目線14に沿って90度折り曲げて巻回することで、内筒5と外筒6の先端間に形成される環状開口11をベルト13で塞ぐことができる。よって、内筒5と外筒6で囲まれる遮音用空間11を密閉した中空空気層とすることができ、遮音性能を高めることができる。
【0028】
図8に第2実施形態のグロメットを示す。
該グロメットでは内筒5を外筒6より突出させ、ベルト13の根元に設ける折目線14は、その内端14aを内筒5の外周面として先端14bを内筒5の先端でベルト13の基端に設けている。内端14aから軸線方向に切り込み13sをいれて、ベルト13を内筒5に延在させて設けた形状としている。
【0029】
第2実施形態ではベルト13を内筒5の外周面に沿って1回転できるため、安定した巻き付けができると共にベルト13は内筒5の外周面に位置するため環状開口11をより確実に塞ぐことができる。
【0030】
図9および図10に第3実施形態のグロメットを示す
該グロメットでは、ベルト13の肉厚tを長さ方向で変化させている。即ち、ベルト13は折目線14を設けた側の根元部分13rの厚さは薄くすると共に次第に厚くし、突出端部13pの厚さは次第に薄くし、中間部13mの厚さは厚くしている。
前記根元部分13rの長さは略10mm、先端部分の長さも約10mm、中間の厚肉部分の長さは40mmとしている。
他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
前記のようにベルト13の厚さを長さ方向で変え、突出端部13pの厚さを薄くすると、ベルト13を折り曲げて巻回した時に、巻き終わり端に段差を発生させない。また、折目線に近接した根元部分13rの肉厚を薄くすると、折り曲げ易くなる。かつ、ベルト13の中間部13mの厚さtを厚くすると、該厚さtで環状開口11を塞ぐため、隙間の発生を無くし易くなると共に、径方向寸法が大きな環状開口11を塞ぐことができる。
【0032】
図11乃至図14に第4実施形態のグロメットを示す。
該グロメットでは、ベルト13の折目線14に近接した根元側から突出端にかけて、ベルト本体13hの長さ方向の一端13aに沿ってL形状とした段差幅広部13dを設けている。他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0033】
ベルト13の折目線14に沿って90度折り曲げて巻回すると、段差幅広部13dはベルト本体13hの側縁に位置し、内筒5と外筒6の環状開口11を塞ぐベルト幅を拡大する機能を有する。即ち、第3実施形態のベルトの中間部分の肉厚を大とする代わりに段差幅広部13dを設けることで、環状開口11を確実に塞ぐことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 グロメット
2 ワイヤハーネス
5 内筒
6 外筒
10 遮音用空間
11 環状開口
12 固定片
13 ベルト
14 折目線
T1 粘着テープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムまたはエラストマーから成形され、電線群を密嵌して貫通する小径の内筒と、該内筒の外周面と遮音用空間をあけて外嵌すると共に車体係止用凹部を環状に設けている外筒と、前記内筒の外周面から外径方向に突出して前記外筒の軸線方向の一端側と連結する閉鎖壁を備え、前記内筒と外筒の軸線方向の他端側は環状開口となっているグロメットであって、
前記内筒の先端の一側周縁から固定片を突設すると共に他側周縁から前記固定片より長いベルトを突設し、該ベルトの根元部に斜め方向の折目線を設け、該折目線で前記ベルトを折り曲げて前記固定片の外周または内筒の先端外周に少なくとも1回転は巻回して前記内筒と外筒の間の環状開口を塞ぎ、前記内筒と外筒で囲まれた中空を密閉された遮音用空間とする構成としているグロメット。
【請求項2】
前記内筒先端と外筒先端とは同等位置とし、前記ベルトに設ける折目線を内筒先端からベルトの突出側に向けて設け、折り曲げた前記ベルトを固定片の外周面に接触させて巻き付け、あるいは内筒先端を外筒先端より外方へ突出させ、前記折目線を内筒の外周面から内筒先端でベルトの基端となる位置に向けて設け、該ベルトを折り曲げた後に内筒の外周面に接触させて巻つけている請求項1に記載のグロメット。
【請求項3】
前記内筒の先端より突出する前記ベルトと固定片は内筒の中心を挟んで対称位置に設け、かつ、該ベルトと固定片の各周方向の長さは前記内筒の周長の1/4〜1/5であり、ベルトは断面平板状とすると共に固定片は断面円弧状としている請求項1または請求項2に記載のグロメット。
【請求項4】
前記ベルトは根元部分の厚さは薄くすると共に次第に厚くし、突出端側は次第に薄くしている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のグロメット。
【請求項5】
前記ベルトには、前記折目線に近接した根元側から突出端にかけて、ベルト本体の長さ方向の一端縁に沿って段差幅広部を設け、前記折目線に沿って折り曲げて巻回すると、前記段差幅広部はベルト本体の側縁に位置し、前記内筒と外筒の環状開口を塞ぐベルト幅を拡大している請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のグロメット。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のグロメットの内筒にワイヤハーネスを構成する電線群を挿通し、前記グロメットのベルトを折目線にそって90度で折り曲げて前記固定片の外周面に接触させて巻回し、前記外筒先端と内筒の間の環状開口を前記ベルトで塞いた状態で、前記外筒の外周面、巻回したベルトの外周面、内筒から引き出されるワイヤハーネスの外周面にかけて粘着テープを巻き付けているグロメットの取付構造。
【請求項1】
ゴムまたはエラストマーから成形され、電線群を密嵌して貫通する小径の内筒と、該内筒の外周面と遮音用空間をあけて外嵌すると共に車体係止用凹部を環状に設けている外筒と、前記内筒の外周面から外径方向に突出して前記外筒の軸線方向の一端側と連結する閉鎖壁を備え、前記内筒と外筒の軸線方向の他端側は環状開口となっているグロメットであって、
前記内筒の先端の一側周縁から固定片を突設すると共に他側周縁から前記固定片より長いベルトを突設し、該ベルトの根元部に斜め方向の折目線を設け、該折目線で前記ベルトを折り曲げて前記固定片の外周または内筒の先端外周に少なくとも1回転は巻回して前記内筒と外筒の間の環状開口を塞ぎ、前記内筒と外筒で囲まれた中空を密閉された遮音用空間とする構成としているグロメット。
【請求項2】
前記内筒先端と外筒先端とは同等位置とし、前記ベルトに設ける折目線を内筒先端からベルトの突出側に向けて設け、折り曲げた前記ベルトを固定片の外周面に接触させて巻き付け、あるいは内筒先端を外筒先端より外方へ突出させ、前記折目線を内筒の外周面から内筒先端でベルトの基端となる位置に向けて設け、該ベルトを折り曲げた後に内筒の外周面に接触させて巻つけている請求項1に記載のグロメット。
【請求項3】
前記内筒の先端より突出する前記ベルトと固定片は内筒の中心を挟んで対称位置に設け、かつ、該ベルトと固定片の各周方向の長さは前記内筒の周長の1/4〜1/5であり、ベルトは断面平板状とすると共に固定片は断面円弧状としている請求項1または請求項2に記載のグロメット。
【請求項4】
前記ベルトは根元部分の厚さは薄くすると共に次第に厚くし、突出端側は次第に薄くしている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のグロメット。
【請求項5】
前記ベルトには、前記折目線に近接した根元側から突出端にかけて、ベルト本体の長さ方向の一端縁に沿って段差幅広部を設け、前記折目線に沿って折り曲げて巻回すると、前記段差幅広部はベルト本体の側縁に位置し、前記内筒と外筒の環状開口を塞ぐベルト幅を拡大している請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のグロメット。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のグロメットの内筒にワイヤハーネスを構成する電線群を挿通し、前記グロメットのベルトを折目線にそって90度で折り曲げて前記固定片の外周面に接触させて巻回し、前記外筒先端と内筒の間の環状開口を前記ベルトで塞いた状態で、前記外筒の外周面、巻回したベルトの外周面、内筒から引き出されるワイヤハーネスの外周面にかけて粘着テープを巻き付けているグロメットの取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−231614(P2012−231614A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98818(P2011−98818)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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