説明

グローブボックス用インナーリングの切断装置

【課題】 放射能汚染物質等危険物質の廃棄に際して、保管設備の保管スペースに限界があるので、環状のインナーリングを適宜形状に裁断して減容を図って保管できるようにするグローブボックス用インナーリングの切断装置を提供する。
【解決手段】 上刃22aと下刃22bを有する電動式切断具22を切断具用筐体21に、切断具22の電源装置36(図3示)を電源用筐体30に収容させる。インナーリング11の切断作業時には、電源用筐体30に切断具用筐体21を載置させて結合させ、電源装置36からの出力用ケーブル31を切断具22に接続させ、電源装置36の入力用ケーブル32をグローブボックス1(図7)内のコンセントに接続させる。インナーリング11をリング保持部23a、23bに保持させて切断具22を駆動すると、上刃22aと下刃22bとでインナーリング11が切断される。不使用時には、筐体21、30を分離させてグローブボックス1内に保管させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、原子力施設における放射性物質を取り扱う際に使用されるグローブボックスで用いられるインナーリングその他の部品を減容するためのグローブボックス用インナーリングの切断装置に関し、特にグローブポートを利用してグローブボックスに対して搬出入させることができるグローブボックス用インナーリングの切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性物質や有毒ガス等の人体に悪影響を及ぼす危険物質は、閉鎖された空間で、作業者がこれら危険物質環境に触れないようにして扱う必要がある。この種の危険物質を閉塞し、外部から扱えるようにした装置にグローブボックスがある。図7は、放射性物質を取り扱う原子力施設で用いられるグローブボックス1の概略構造を示している。このグローブボックス1の内部に放射性物質のための各種の取扱装置2が配置されており、正面壁に作業者Pが該取扱装置2を操作したりするためのグローブポート3が設けられている。なお、正面壁は内部を視認することができる素材によって形成されている。また、グローブボックス1の側壁にはグローブボックス1の内部で必要な工具や装置等を該グローブボックス1内に供給したり、グローブボックス1内の不要な部品や装置等を取り出したりするためのラージポート4が設けられている。また、グローブボックス1内の換気は、給気設備5と排気設備6とによって行われ、排気設備6によって浄化されて放射性物質を確実に除去して排気されるようにしてある。なお、該グローブボックス1内は負圧に維持されて、内部の環境空気が外部に漏洩しないようにしてある。また、警報盤7が設けられており、異常時には警報を発するようにしてある。
【0003】
図6は、前記グローポート3の構造を示す断面図である。グローブポート3はグローブボックス1の正面壁に固定された樹脂製の円筒物であり、その内周面にインナーリング11が挿入されている。インナーリング11の外側面であって、中央部からグローブボックス1側となる前側には、2連のリング溝11aが設けられており、該リング溝11aの後方に、カフ取付部11bが形成されている。これらリング溝11aにゴム製のグローブ12が被せられて、該グローブ12のカフ12aが前記カフ取付部11bに当接させてあり、前記リング溝11aに係合するOリング13により固定されている。また、前記カフ取付部11bの後方には適宜数のパッキン溝11cが形成され、このパッキン溝11cにパッキン14が収容され、グローブポート3の内周面に密着させて、該グローブポート3とインナーリング11との間をシールしている。インナーリング11の内側面であって後端部には、係止溝11dが形成されている。他方、グローブポート3の外側面の後端部には係止溝10aが形成されている。そして、前記係止溝11dと係止溝10aとのそれぞれに係止する係合部15a、15bを有する固定環15が設けられる。すなわち、該固定環15は環状で、該環状の軸を含む面で切断した断面がほぼコ字形であって、該コ字形の一方の脚部を長尺にしてあり、これら脚部の先端部に前記係合部15a、15bが形成されている。したがって、該固定環15を、係合部15a、15bによってグローブポート3とインナーリング11とに係合させると、インナーリング11がグローブポート3に連繋して、インナーリング11がグローブポート3から脱落しない状態となる。
【0004】
さらに、インナーリング11を交換するために、固定環15の外側から押し込み冶具16が挿入されるようにしてある。この押し込み冶具16は底16a付きの筒型で、胴部16bの外側の一部にはフランジ部16cが設けられており、この押し込み冶具16をグローブポート3に装着する場合に、該フランジ部16cが前記固定環15の外側面に当接するようにしてある。胴部16bの前側端部の外側面にはリング溝16dが形成されて、Oリング17が嵌装されており、この押し込み冶具16を固定環15に挿入した状態で、該押し込み冶具16と固定環15との間で滑りが生じないように固定している。グローブポート3を利用するには、図7に示すように、作業者Pが該グローブポート3から腕を差し込めば、前記グローブ12が手及び腕に被せされて、該グローブポート3に臨んでいる放射性物質取扱装置2を操作することができるようになる。
【0005】
前記グローブ12はゴム製のものであり、経年変化によって劣化するおそれがあるから、適時に交換する必要がある。このグローブ12の交換は、固定環15を外し、新たなグローブ12を装着した新たなインナーリング11を、既存のインナーリング11の後端部に当接させた状態で、固定環15を取り付け、この状態で押し込み治具16によりグローブポート3内に押し込み、既存のグローブ12を既存のインナーリング11と共にグローブボックス1内に落下させるのである。
【0006】
ところで、放射能汚染物質の廃棄については厳しい条件があり、不用意に廃棄できない。焼却できるものは焼却により廃棄することになるが、焼却できないものは、例えば深地下に埋めることが考えられる。深地下に埋めて廃棄するまで放射性廃棄物を保管する際には多重に梱包する必要があり、廃棄物量が増大すると梱包物の量も増大し、保管物の量が増大することにもなり、保管に要する管理費用等も増加してしまうこととなる。この保管倉庫等のスペースには限界があるため、今後発生する放射能汚染物質の量を減じることが必要となることは勿論、現在廃棄待ちにある放射能汚染物質の量を減じることが望まれている。前述した交換後の古いインナーリング11とグローブ12とは、これらを切り離して廃棄待ちのものとして保管されている。前述したように該インナーリング11の外周面にはグローブポート3との間で気密性を確保するパッキン14を配置し、該パッキン14を配した部分の前方にグローブ12が取り付けられて、パッキン14の配設部とグローブ12の取り付け部とが軸方向に並んで設けられている構造となっているため、このインナーリング11は相当長のものとされている。このため、このインナーリング11を軸方向に重ねて保管する場合には、内側に中空部分が形成され、この部分が無駄なスペースとなってしまい、保管倉庫等の保管スペースを無駄にし、今後発生する放射性廃棄物の保管スペースの確保を困難にする一因となっている。
【0007】
前記保管スペースの確保に鑑みて、インナーリング11を適宜な形状に切断して保管できるようにするグローブボックス用インナーリングの切断装置が提案されている。(特許文献1)。この切断装置は、前記インナーリングをリング保持手段に保持させた状態で、該リング保持手段に連繋させて取り付けた固定刃と、該固定刃に対し進退し、前進時には該固定刃と一部が重畳する可動刃とによりせん断力を加えて切断するようにしたものである。なお、この切断装置の駆動用電力は、グローブボックス1内に導入された商用電源が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−121070
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示された前記グローブボックス用インナーリングの切断装置は、前記リング保持手段と固定刃、可動刃等はフレームに配置させた構造とされているため、次のような問題が生じるおそれがある。廃棄されるインナーリングは所定の保管場所に保管されるまでの間は、保管すべき個数がある程度まとまるまで、適宜なグローブボックス内に一時的に仮保管されることになる。このため、このグローブボックス用インナーリングの切断装置は、当該グローブボックス内に設置されている。廃棄インナーリングはそれぞれのグローブボックスから生じるものであるから、これを切断処理するためには、それぞれのグローブボックスから前記仮保管用のグローブボックスに搬入して切断装置に供することになる。すなわち、廃棄インナーリングを切断装置が設置されているグローブボックスまで移送する必要がある。移送の際には、廃棄インナーリングは放射能に汚染されているため、ビニールバッグに密封する必要がある。このビニールバッグに密封する作業は煩雑であり、作業時間を要してしまう。また、移送時にはグローブボックスから取り出されるため、例えば不測の状況によりビニールバッグの損傷等、万一の場合には作業者Pが被曝してしまうおそれがあるから、移送作業は慎重に行わなければならず、煩雑な作業となっている。また、密封するために使用したビニールバッグも廃棄物となるため、廃棄物量がわずかに増大してしまう。このため、仮保管用のグローブボックスまで移送する必要がなく、それぞれのグローブボックス内で廃棄インナーリングを切断処理して、当該グローブボックスで仮保管することができるようにすることが要望されている。
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されたグローブボックス用インナーリングの切断装置では、前述したように、フレームにリング保持手段等が組み込まれた構造であるから、大型のものとなってしまって、十分な設置スペースがないグローブボックスには設置することができず、グローブボックスに個別に設置することが困難となっている。したがって、インナーリング切断装置を収容するには、専用のグローブボックスを設置する等の措置が必要となる。
【0011】
また、それぞれのグローブボックス内に個別に設置する切断装置は、不使用時には保管スペースが極力小さいことが望ましく、また、必要に応じてグローブボックスから出し入れする際には、前記ラージポート4を使わずに、グローブポート3から行えるようにすることが、作業の煩雑さが軽減されて好ましい。
【0012】
そこで、この発明は、グローブボックスに個別に設置することができる小型のグローブボックス用インナーリングの切断装置であって、必要な場合には適宜な位置にあるグローブポートから出し入れすることができ、しかも、不使用時におけるグローブボックス内の保管スペースを極力小さくすることができるようにしたグローブボックス用インナーリングの切断装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するための技術的手段として、この発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置は、グローブボックス内に設置されて、該グローブボックス内のインナーリングを適宜な形状に裁断するグローブボックス用インナーリングの切断装置において、開閉可能な一対の刃を備えた電動式切断具と、前記電動式切断具を収容する切断具用筐体と、前記電動式切断具の電源装置を収容する電源用筐体とからなり、前記切断具用筐体と電源用筐体とを結合させ、電源ケーブルを切断具に接続させて、これら切断具用筐体と電源用筐体とを一体化させることにより、前記切断具でインナーリングの切断を行えるようにすることを特徴としている。
【0014】
この切断装置を使用する場合には、前記切断具用筐体と電源用筐体とを結合させる。電源用筐体に収容された電源装置は、商用の交流電圧を、切断具の駆動のための直流電圧に変換するものとしてあり、この電源装置の出力側の電源ケーブルを切断具に接続すれば、商用電源によって切断具を駆動することができるようになる。なお、電源ケーブルの切断具への接続は、切断具用筐体の側壁等にコネクタを設け、電源ケーブルの先端のプラグをコネクタに挿入することにより行われるようにすることが好ましい。この状態でインナーリングを切断具に供して、切断具を作動させれば、所望の位置でインナーリングを切断することができる。
【0015】
また、請求項2の発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置は、前記切断具用筐体を前記電源用筐体に載置させることにより、これら切断具用筐体と電源用筐体とを結合させることを特徴としている。
【0016】
切断具用筐体と電源用筐体とを結合させる態様としては、水平方向で結合させる構造とすることもできるが、鉛直方向で結合させるようにしたものである。なお、電源用筐体に対して切断具用筐体の位置がずれないように、位置決め手段を設けて、電源用筐体に切断具用筐体を載置させた状態でこれらの位置関係を維持できるようにすることが好ましい。
【0017】
また、請求項3の発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置は、切断具用筐体の一部に、切断すべきインナーリングを保持するための保持部を設けたことを特徴としている。
【0018】
インナーリングを切断する場合には、例えば、作業者が該インナーリングを把持して切断具に供するようにしても構わないが、グローブボックス内における作業となるため、煩雑な作業は極力回避することが好ましい。そのため、インナーリングを把持する必要がないように、該インナーリングの保持部を設け、切断時にはインナーリングをこの保持部に保持させるようにしたものである。
【0019】
また、請求項4の発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置は、前記切断具用筐体と電源用筐体は、それぞれが前記グローブボックスに対してグローブポートを用いて搬出入可能な大きさとしたことを特徴としている。
【0020】
グローブポートはグローブボックス内の各種の取扱装置を操作できるように、グローブボックスの前面に行列状に配設されており、いずれのグローブポートも同一の形状・寸法に形成されているもので、このグローブポートを介してグローブボックス内に搬出入させることができるようにしたものである。すなわち、切断具用筐体と電源用筐体とを分割した状態で、グローブポートを用いてグローブボックスに搬出入できるようにしたものである。
【0021】
また、請求項5の発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置は、前記電動式切断具の動作電力を、グローブボックス内に装備された電源から供給することを特徴としている。
【0022】
グローブボックスには、取扱装置に動作電力を供給するための電源が装備されているから、この電源から前記電動式切断具へも動作電力を供給するようにしたものである。グローブボックス内に装備された電源は交流電圧であり、電動式切断具の作動には直流電圧が用いられるから、前記電源用筐体には、交流電圧を直流電圧に変換するインバータ回路等が配されている。
【発明の効果】
【0023】
この発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置によれば、使用時に切断具用筐体と電源用筐体とを結合させるようにしたから、不使用時にはこれら筐体を分離させて保管することができる。このため、グローブボックス内における保管スペースが小さくてよい。しかも、切断具用筐体と電源用筐体とを分離できるため、グローブボックスに対する出し入れにグローブポートを利用でき、出し入れの際の作業の煩雑さを極力回避することができる。
【0024】
また、請求項2の発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置によれば、切断具用筐体を電源用筐体に載置させることによりこれらを結合できるので、簡便な作業で、これらを確実に結合させることができる。
【0025】
また、請求項3の発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置によれば、作業者は切断具を作動させるためにスイッチを操作することにより保持部に保持されたインナーリングを切断することができるから、切断作業を簡便にすることができ、作業性を向上させることができる。
【0026】
また、請求項4の発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置によれば、グローブボックスの前面に行列状に配されたグローブポートから搬出入させることができるから、所望の位置のグローブポートを利用でき、切断装置を必要とする場所にとって便利な位置にあるグローブポートを利用することができる。
【0027】
また、請求項5の発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置によれば、切断装置の駆動電源を容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置の使用時の状態を示す斜視図である。
【図2】この発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置を、切断具用筐体と電源用筐体とを分離して示す斜視図である。
【図3】この発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置の側面図である。
【図4】この発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置の平面図である。
【図5】この発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置の背面図である。
【図6】グローブポートの構造を説明する断面図である。
【図7】グローブボックスの概略構造を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図示した好ましい実施の形態に基づいて、この発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置を具体的に説明する。
【0030】
図1は、この発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置20によりインナーリング11を切断する状態を示す斜視図である。また、図2はこの切断装置20を使用するに際して、切断具用筐体21を電源用筐体30に結合させようとする状態を示す斜視図である、
【0031】
前記切断具用筐体21には、電動式切断具22が収容されており、その上刃22a及び下刃22bが、この切断具用筐体21の一端部に露呈させてあり、これらの刃22a、22bに、図1に示すように、インナーリング11を位置させることができるようにしてある。これら刃22a、22bを水平方向で挟む位置には、リング保持部23a、23bが設けられている。このリング保持部23a、23bは、切断具用筐体21の側壁21a、21bの下半部を伸長させて形成されており、先端部には上方を指向させた係止部23cを突設させ、この係止部23cの後方の凹所にインナーリング11を載置させることができるようにしてある。また、このリング保持部23a、23bの上方に位置するように、一対の邪魔用ロッドを突出させてあり、切断作業時に作業者が不用意に上刃22aと下刃22bとの間に手を差し込んでしまうことが阻止されるようにしてある。
【0032】
切断具用筐体21の上面には、電動式切断具22を作動させるためのスイッチボタン25a、25bが配されており、これらスイッチボタン25a、25bの操作で、上刃22aと下刃22bの開閉を行ってインナーリング11を切断する。
【0033】
前記電源用筐体30には入力された交流電圧を直流電圧に変換して出力するインバータ回路を有する電源装置36(図3参照)が収容されており、この電源装置36の出力用ケーブル31の先端部にはプラグ31aが取り付けられている。また、入力用ケーブル32には、グローブボックス1内に設置された電源用のコンセント(図示せず)に接続できるように、図示しないプラグが取り付けられている。
【0034】
電源用筐体30の上面の三辺には位置決め突起33が設けられており、一辺には位置決め突起34が設けられている。前記切断具用筐体21は前記位置決め突起33の内側部分に収められるようにしてあり、位置決め突起34が、切断具用筐体21の底板(図示せず)の端部に当接するようにしてある。すなわち、切断具用筐体21を電源用筐体30に、前記位置決め突起33、34の内側に収められるように載置することで、切断具用筐体21と電源用筐体30とが結合するようにしてある。
【0035】
また、図4に示すように、前記切断具用筐体21の側面には揺動自在に把持用ノブ26が設けられており、この把持用ノブ26を、図5に示すように、側方に張り出させた状態に起立させてこれを把持して切断具用筐体21を運搬し、それ以外の場合には、この把持用ノブ26を倒しておく。
【0036】
そして、前記切断具用筐体21と電源用筐体30のそれぞれは、図2に示すように、インナーリング11を挿通させることができる大きさとされている。したがって、このインナーリング11が装着されるグローブポート3から、これら切断具用筐体21と電源用筐体30とをグローブボックス1に対して搬出入することができるようにしてある。
【0037】
以上により構成されたこの発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置の作用を、以下に説明する。
【0038】
この切断装置20をグローブボックス1内に設置する場合には、切断具用筐体21と電源用筐体30とのそれぞれが十分に小型であるため、グローブポート3を利用してグローブボックス1内に搬入させることができる。
【0039】
この切断装置20を使用する場合には、前記電源用筐体30の上部に切断具用筐体21を載置させる。このとき、切断具用筐体21が電源用筐体30の上面の位置決め突起33の内側に収まるようにすると共に、底板の端部が前記位置決め突起34に係止される状態とする。この状態で、切断具用筐体21と電源用筐体30が結合されるので、前記出力用ケーブル31のプラグ31aを切断具用筐体21の壁面に設けられた図示しないコネクタに接続させる。これにより、電源用筐体30に収容された電源装置36と電動式切断具22とが電気的に接続される。一方、電源装置36に接続された入力用ケーブル32の図示しないプラグを、グローブボックス1内に配設された電源のコンセントに接続させれば、電動式切断具22が電源に接続されて、電動式切断具22を駆動させることができるようになる。
【0040】
この切断装置20の前記リング保持部23a、23bに切断すべきインナーリング11を載置させる。このとき、図1に示すように、インナーリング11の内側に前記上刃22aが位置するようにして、前記スイッチボタン25aを操作すれば、上刃22aと下刃22bとが互いに重畳する方向に移動して、これら上刃22aと下刃22bとによるせん断力により、インナーリング11が切断されることになる。インナーリング11が切断されたならば、スイッチボタン25aを操作して上刃22aと下刃22bの動作を停止させる。次いで、前記スイッチボタン25bを操作して上刃22aから下刃22bが退避させて、これらの刃22a、22bを開放させ、次のインナーリング11の切断に待機する状態となる。
【0041】
インナーリング11の切断に供されないときには、前記切断具用筐体21と電源用筐体30とを分離させて保管する。なお、出力用ケーブル31のプラグ31aは図示しないコネクタから抜去しておく。分離された切断具用筐体21と電源用筐体30のそれぞれは小型なものであるため、グローブボックス1内の隅に保管させた状態でも、グローブボックス1内における各種の作業の邪魔とならない。万一、支障となる場合には、小型であり、それぞれの筐体21、30の重量が大きくないため、その位置を簡単に移動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明に係るグローブボックス用インナーリングの切断装置によれば、グローブボックス内における保管スペースを小さくすることができ、しかも、グローブボックスに対してグローブポートから出し入れすることができるから、グローブボックス毎に容易に設置することができ、危険物質を取り扱う施設においてより高度の安全性を確保することに寄与する。
【符号の説明】
【0043】
P 運転者
1 グローブボックス
3 グローブポート
4 ラージポート
11 インナーリング
12 グローブ
20 切断装置
21 切断具用筐体
22 電動式切断具
22a 上刃
22b 下刃
23a、23b リング保持部
24 係止ロッド
30 電源用筐体
31 出力用ケーブル
32 入力用ケーブル
33 位置決め突起
34 位置決め突起
36 電源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グローブボックス内に設置されて、該グローブボックス内のインナーリングを適宜な形状に裁断するグローブボックス用インナーリングの切断装置において、
開閉可能な一対の刃を備えた電動式切断具と、
前記電動式切断具を収容する切断具用筐体と、
前記電動式切断具の電源装置を収容する電源用筐体とからなり、
前記切断具用筐体と電源用筐体とを結合させ、電源ケーブルを切断具に接続させて、これら切断具用筐体と電源用筐体とを一体化させることにより、前記切断具でインナーリングの切断を行えるようにすることを特徴とするグローブボックス用インナーリングの切断装置。
【請求項2】
前記切断具用筐体を前記電源用筐体に載置させることにより、これら切断具用筐体と電源用筐体とを結合させることを特徴とする請求項1に記載のグローブボックス用インナーリングの切断装置。
【請求項3】
切断具用筐体の一部に、切断すべきインナーリングを保持するための保持部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のグローブボックス用インナーリングの切断装置。
【請求項4】
前記切断具用筐体と電源用筐体は、それぞれが前記グローブボックスに対してグローブポートを用いて搬出入可能な大きさとしたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のグローブボックス用インナーリングの切断装置。
【請求項5】
前記電動式切断具の動作電力を、グローブボックス内に装備された電源から供とすることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のグローブボックス用インナーリングの切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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