説明

グローブボックス用接続端子付き閉塞栓

【課題】 グローブボックス内に給電や作動空気等を要する機器装置を増設した場合に、この機器装置との給電線や信号線、空気配管等を極力短くして、これら配線や配管の経路を簡潔にし、グローブボックスにおける作業の際の支障とならないようにするグローブボックス用接続端子付き閉塞栓を提供する。
【解決手段】 グローブポート3(図9示)に装着される形状に形成された接続端子付き閉塞栓20を構成する閉止板部22に、通電コネクタ24(図2示)やエアコネクタ27、信号用コネクタ31等の所望の接続手段を取り付ける。通電コネクタ24を介して電力を、エアコネクタ27を介して圧縮空気を、信号用コネクタ31を介して情報信号を、それぞれグローブボックス1(図9示)の内外部の機器装置等を接続する。前記接続手段にはOリング25a(図3示)等のシール手段を具備させて、接続手段の取付部の気密性を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原子力施設における放射性物質や人体に悪影響を及ぼす有毒ガス等を封じ込めているグローブボックス内に各種の機器装置等を配設した場合に、この機器装置への給電線や信号線の配線あるいは空気配管を簡潔に行えるようにしたグローブボックス用接続端子付き閉塞栓に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性物質や有毒ガス等の人体に悪影響を及ぼす危険物質は、閉鎖された空間で、作業者がこれら危険物質環境に触れないようにして扱う必要がある。この種の危険物質を閉塞し、外部から扱えるようにした装置にグローブボックスがある。図12は、放射性物質を取り扱う原子力施設で用いられるグローブボックス1の概略構造を示している。このグローブボックス1の内部に放射性物質のための各種の取扱装置2が配置されており、正面壁に運転者Pがこれらの取扱装置2を操作したりするためのグローブポート3が設けられている。なお、正面壁は内部を視認することができる素材によって形成されている。このグローブボックス1の側壁にはグローブボックス1の内部で必要な工具や装置等をこのグローブボックス1内に供給したり、グローブボックス1内の不要な部品や装置等を取り出したりするためのラージポート4が設けられている。また、グローブボックス1内の換気は、給気設備5と排気設備6とによって行われ、排気は浄化されて放射性物質を確実に除去して行われるようにしてある。なお、グローブボックス1内は負圧に維持されて、内部の環境空気が外部に漏洩しないようにしてある。また、警報盤7が設けられており、異常時には警報を発するようにしてある。
【0003】
他方、図11は、前記グローポート3の構造を示す断面図である。グローブポート3はグローブボックス1の正面壁に固定された樹脂製の円筒物であり、その内周面にインナーリング11が挿入されている。インナーリング11の外側面であって、中央部からグローブボックス1側となる前側には、2連のリング溝11aが設けられており、このリング溝11aの後方に、カフ取付部11bが形成されている。これらリング溝11aにゴム製のグローブ12が被せられて、このグローブ12のカフ12aが前記カフ取付部11bに当接させてあり、前記リング溝11aに係合するOリング13により固定されている。また、前記カフ取付部11bの後方には適宜数のパッキン溝11cが形成され、このパッキン溝11cにパッキン14が収容され、グローブポート3の内周面に密着させて、グローブポート3とインナーリング11との間をシールしている。インナーリング11の内側面であって後端部には、係止溝11dが形成されている。他方、グローブポート3の外側面の後端部には係止溝10aが形成されている。そして、前記係止溝11dと係止溝10aとのそれぞれに係止する係合部15a、15bを有する固定環15が設けられる。すなわち、この固定環15は環状で、その環状の軸を含む面で切断した断面がほぼコ字形であって、このコ字形の一方の脚部を長尺にしてあり、これら脚部の先端部に前記係合部15a、15bが形成されている。したがって、この固定環15を、係合部15a、15bによってグローブポート3とインナーリング11とに係合させると、インナーリング11がグローブポート3に連繋して、インナーリング11がグローブポート3から脱落しない状態となる。
【0004】
前記インナーリング11を交換するために、固定環15の外側から押し込み治具16が挿入されるようにしてある。この押し込み治具16は底16a付きの筒型で、胴部16bの外側の一部にはフランジ部16cが設けられており、この押し込み治具16をグローブポート3に装着した場合に、該フランジ部16cが前記固定環15の外側面に当接するようにしてある。胴部16bの前側端部の外側面にはリング溝16dが形成されて、Oリング17が嵌装されており、この押し込み治具16を固定環15に挿入した状態で、該押し込み治具16と固定環15との間で滑りが生じないように固定している。なお、グローブ12の交換はこのインナーリング11ごと交換することによる。そして、グローブポート3を利用するには、図12に示すように、運転者Pが該グローブポート3から腕を差し込めば、前記グローブ12が手及び腕に被せられて、該グローブポート3に臨んでいる放射性物質取扱装置2を操作することができるようになる。
【0005】
ところで、前記グローブボックス1内の取扱装置2や図示しない計装機器、監視カメラ等の各種の機器装置へ給電や作動空気の供給、信号線の接続等は、グローブボックス1の天井壁に配された給電端子箱8に予め取り付けられているそれぞれに対応する接続端子を介して行われる。端子が配されている部分には気密性を確保する構造とされていなければならないが、例えば、特許文献1には、高放射性環境セル内の配線構造として、遮蔽壁のセル外面に気密箱を設けてセル内外間を気密状態とし、遮蔽壁内に両端部を直線上からずらしてオフセットしたオフセット電線管を貫通させその一端部に前記気密箱を配置することにより、気密箱とオフセット電線管とで気密状態と放射能の遮蔽を行う構造が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、気密性が要求される気密装置の壁面に取り付けられる気密アダプタであって、前記壁面に気密に装着される外筒アダプタが開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−8336号
【特許文献2】特開平11−231095号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述した特許文献1と特許文献2に開示されている気密性を確保する構造では、前記給電端子箱8内の構造として採用されているものであり、グローブボックス1に予め設定されている部分における構造である。この給電端子箱8には予備となる給電用のコネクタ端子や信号線接続用のコネクタ端子等の接続手段が設けられており、グローブボックス1内に計装機器や監視カメラ等の機器装置を増設する場合には、これら機器装置の電源や信号線の接続にこの予備の接続手段が用いられる。あるいは、グローブボックス1の側壁には閉塞栓(図示せず)が取り付けられて予備の空気配管接続用のコネクタ端子が設けられており、グローブボックス1内に作動空気を必要とする機器装置が設置された場合にはこの閉塞栓を通して空気配管の接続が行われる。このとき、前記機器装置の配設位置が給電端子箱8や空気配管のための前記閉塞栓から離れた位置にある場合には、給電用や信号用のケーブル、あるいは作動空気用配管が長くなってしまい、これらの経路の配線や配管が複雑となり作業性が悪くなるおそれがある。あるいは、他の機器装置の操作を行う場合にこれら配線や配管が支障となるおそれがある。
【0009】
他方、前記機器装置の近傍に新たに接続手段を設けるためには、グローブボックス1の一部を改造する必要がある。しかし、既設のグローブボックス1では既に運転されて内部が放射性物質が存する環境となっているため、この改造は放射性物質の外部への漏洩を防止するよう気密性を確保した状態で行う必要があり、その養生のための構造が複雑となり、煩雑な改造工事が必要となる。
【0010】
ところで、前述したグローブポート3は、全てのグローブポート3にグローブが装着されるものではなく、グローブボックス1内部の取扱装置2等の操作性が良好となる位置に配されている。したがって、使用されていないグローブポート3が存しており、前記増設に係る機器装置の配置位置に近い位置にあるグローブポート3を利用することができれば、前記ケーブルや空気配管の長さを小さくでき配線を簡潔にすることができる。
【0011】
そこで、この発明は、グローブボックス内に機器装置が増設された場合等に、余剰のグローブポートを利用してこの機器装置へのケーブルや空気配管を接続できるようにし、グローブボックスの改造を必要とせず、従って放射能物質漏洩のための養生をする必要がなく、簡単に接続手段を増設できるようにしたグローブボックス用接続端子付きグローブポート閉塞栓を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するための技術的手段として、この発明に係るグローブボックス用接続端子付き閉塞栓は、人体に有害となる雰囲気の閉鎖空間を形成し、該閉鎖空間内における作業を、該閉鎖空間を形成する壁体に設けられたグローブを介して外部から行うことができるようにしたグローブボックスにおいて、前記グローブを装着されるグローブポートを閉塞する閉塞栓に、グローブボックス内部の機器装置と接続可能な接続手段を取り付け、この接続手段を介してグローブボックス外部の前記機器装置のための駆動源を接続可能とし、前記接続手段の取り付け部にシール手段を設けてあることを特徴としている。
【0013】
すなわち、グローブポートを閉塞している閉塞栓に各種の接続用端子となる接続手段を取り付けたものである。この接続手段の取付部分にシール手段を設けることにより、閉塞栓による気密性は確保された状態が維持される。グローブボックス内部の機器装置に必要な電源や作動空気は、この接続手段を介して供給できる。なお、シール手段としては、Oリングやパッキン等を介在させる構造とすれば、簡単で好ましい。
【0014】
また、請求項2の発明に係るグローブボックス用接続端子付き閉塞栓は、前記接続手段が、前記機器装置に接続された電源ケーブルと、グローブボックス外部の電源に接続された電源ケーブルとを接続するための通電コネクタであることを特徴としている。
【0015】
前記接続手段を、機器装置の電源ケーブルを接続するためのものとしたものである。機器装置としては前記取扱装置を新設、増設する場合や電動工具その他給電を要するものである。
【0016】
また、請求項3の発明に係るグローブボックス用接続端子付き閉塞栓は、前記接続手段が、前記機器装置に接続された空気配管と、グローブボックス外部の空気圧縮機に接続された空気配管とを接続するためのエアコネクタであることを特徴としている。
【0017】
前記接続手段を、機器装置の空気配管を接続するためのものとしたものである。機器装置としては、空気圧により作動する計装機器等がある。
【0018】
また、請求項4の発明に係るグローブボックス用接続端子付き閉塞栓は、前記接続手段が、前記機器装置に接続された信号ケーブルと、グローブボックス外部の制御手段に接続された信号ケーブルとを接続するための信号用コネクタであることを特徴としている。
【0019】
前記接続手段を、機器装置の制御信号や入出力信号のための信号ケーブルを接続するためのものとしたものである。機器装置としては、制御信号を要する各種の装置や映像信号を出力するカメラ等がある。
【0020】
また、請求項5の発明に係るグローブボックス用接続端子付き閉塞栓は、前記通電コネクタとエアコネクタと信号用コネクタとが、任意に組み合わされて取り付けられていることを特徴としている。
【0021】
例えば、前記カメラを増設する場合等には、少なくとも電力の供給と映像信号の出力とを要するから、給電線と信号線とを必要とするもので、通電コネクタと信号用コネクタとが閉塞栓に設けられていることが好ましい。すなわち、用途に応じ複数種類の接続手段を設けたものである。
【発明の効果】
【0022】
この発明に係るグローブボックス用接続端子付き閉塞栓によれば、グローブポートを利用して電源ケーブルや空気配管、信号ケーブル等をグローブボックス内部に設置された機器装置の必要な場所と接続させられるから、これら電源ケーブル等を極力短くでき、配線を簡潔にすることができる。したがって、作業の際に電源ケーブル等が支障となることがなく、作業性を向上させることができる。しかも、グローブボックスを改造する必要がないから、外部への放射性物質の漏洩がない。
【0023】
また、請求項2または請求項3、請求項4のそれぞれの発明に係るグローブボックス用接続端子付き閉塞栓によれば、グローブボックス内に設置される機器装置に給電し、作動空気を供給し、あるいは外部の制御装置等と情報信号の交換を、グローブポートを利用して簡単に行うことができる。
【0024】
また、請求項5の発明に係るグローブボックス用接続端子付き閉塞栓によれば、カメラのように電源ケーブルと信号ケーブルとを必要とする機器装置であっても、同じグローブポートを利用して配線を行うことができる。しかも、機器装置の設置位置の近傍にあるグローブポートを利用することにより電源ケーブル等を短くでき、配線を簡潔にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図示した好ましい実施の形態に基づいて、この発明に係るグローブボックス用接続端子付き閉塞栓を具体的に説明する。
【0026】
図1はこの接続端子付き閉塞栓20の縦断面図であり、この接続端子付き閉塞栓20は、前記インナーリング11と同様にグローブポート3に挿入されて、グローブポート3の内面に嵌合してこの内面との間をシールすることができる円筒状の周壁環部21と、この周壁環部21の一端部に一体となって連続している閉止板部22とで形成されている。なお、この接続端子付き閉塞栓20はポリカーボネイト等によって形成されている。周壁環部21の外側面には、前記インナーリング11と同様に、パッキン14が収容されるパッキン溝21aが形成されており、グローブポート3に嵌合された状態で、このパッキン溝21aに収容されているパッキン(図示せず)が圧潰されて、周壁環部21とグローブポート3の内面とがシールされる。また、前記固定環15と係合する係止溝21bが形成されている。
【0027】
そして、前記閉止板部22には、図1及び図2に示すように、通電コネクタ24とエアコネクタ27、信号用コネクタ31とが設けられている。通電コネクタ24は通電のための接続手段であり、この通電コネクタ24を介してグローブボックス1の外部の電源と、グローブボックス1の内部の機器装置とが接続される。エアコネクタ27は圧縮空気を流通させるための接続手段であり、このエアコネクタ27を介してグローブボックス1外部の空気圧縮機と、グローブボックス1内部に設置された作動のための作動用空気を必要とする機器装置、または、グローブボックス1内の圧力計等とグローブボックス1外の計装機器とが接続される。また、信号用コネクタ31は信号の送受信を行うための接続手段であり、この信号用コネクタ31を介してグローブボックス1外部の制御装置等とグローブボックス1内の制御信号の入出力を行う機器装置とが接続される。例えば、信号用コネクタ31では、グローブボックス1内の監視カメラから出力される映像信号をグローブボックス1外部のモニター装置等に送出する場合の信号ケーブルの接続に用いられる。
【0028】
前記通電コネクタ24の取付構造を、図3〜図5を参照して説明する。図4に示すように、円筒状で外周面に雄ネジ24aが形成されているコネクタホルダ24bの一端部には、フランジ部24cが形成されている。このフランジ部24cは図4(c)に示すように、円形の一部が一対の平行面24dで切断された形状とされており、この平行面に所定の治具を係合させることができるようにしてある。フランジ部24cの内側面には、前記雄ネジ24aの外径よりも大きい径の円周に沿ったシール溝24eが形成されており、このシール溝24eに図3に示すように、シール手段を構成するOリング25aが嵌装されるようにしてある。なお、このフランジ部24c側がグローブボックス1の外部側となる。このフランジ部24cの外側面とコネクタホルダ24bの内部側面とには、コネクタ部材25bが取り付けられる取付雌ネジ部24fが、適宜な径の円周上にほぼ等間隔に配されて形成されている。なお、コネクタ部材25bが取り付けられた状態で、このコネクタ部材25bとフランジ部24c及びコネクタホルダ24bとにより、Oリング25cが挟持されるようにしてあり、内外部のコネクタ部材25bがコネクタホルダ24b内で接続されている。前記雄ネジ24aには、図5に示すナット26が螺合する。このナット26は、図5(b)に示すように、円形の一部が一対の平行面26aで切断された形状に形成されている。また、この平行面26aの二面幅と、前記一対の平行面24dの二面幅とはほぼ等しくされている。図3はこの通電コネクタ24が前記閉止板部22に取り付けられた状態を示しており、前記ナット26と閉止板部22との間には座金26bが介在されるようにしてある。また、前記コネクタ部材25b同士は、コネクタホルダ24bの内部で接続されるようにしてある。
【0029】
図6は前記エアコネクタ27を示しており、いわゆるワンタッチで空気配管の端部に取り付けられたエアコネクタと接続されるようにしてある。中空円筒の外周面に雄ネジ27aが形成されているコネクタ主体27bの外側端部には、ほぼ正六角形の頭部27cが形成されている。この頭部27cの内部側には、シール手段を構成するOリング28aが嵌装されるようにしてある。また、前記雄ネジ27aには六角ナット29が螺合し、この六角ナット29と閉止板部22との間に座金29aが介在されるようにしてある。このコネクタ主体27bの内部側の端部には、ワンタッチでエアコネクタと接続させられるコネクタ部材28bが装着されている。また、コネクタ主体27bの外部側には、開閉弁30が取り付けられている。図示しない空気圧縮機等に接続されている空気配管の先端部には、この開閉弁30と接続させられるコネクタが取り付けられている。なお、前記コネクタ部材28bには逆止弁が備えられており、グローブボックス1の内部側から外部側へ向かう方向の流れが阻止されている。
【0030】
また、図7〜図9には他の形態のエアコネクタ40を示してある。このエアコネクタ40は、図8に示すコネクタ主体41と、図9に示すナット42とにより構成されている。コネクタ主体41は、雄ネジ41aが形成された中空円筒の外側端部にフランジ部41bが形成され、さらに両端部にニップル部41cが形成されて構成されている。前記フランジ部41bは図8(b)に示すように、円形の一部が一対の平行面41dで切断された形状とされており、この平行面に所定の治具を係合させることができるようにしてある。フランジ部41bの内側面には、雄ネジ41aの外径よりも大きい径の円周に沿ってシール溝43が形成さており、このシール溝43に、図7に示すように、シール手段を構成するOリング43aが嵌装されるようにしてある。前記雄ネジ41aには前記ナット42が螺合する。このナット42は、図9(b)に示すように、円形の一部が一対の平行面42aで切断された形状に形成されており、この平行面42aの二面幅と、前記一対の平行面41dの二面幅とはほぼ等しくされている。このナット42と閉止板部22との間に座金44が介在される。そして、このエアコネクタ40の前記ニップル部41cであって外側のニップル部41cにはプラグ45が、内側のニップル部41cにはソケット46が、それぞれ装着されている。なお、プラグ45には逆止弁が備えられており、内側から外側への空気の流れが阻止されている。
【0031】
また、図10は前記信号用コネクタ31を示しており、コネクタ主体31aと、このコネクタ主体31aの外周面に形成された雄ネジ31bと螺合するナット32とにより構成されている。コネクタ主体31aは両端部に信号ケーブルを接続した状態で、これらの信号ケーブル間を導通させることができるものとしてある。このコネクタ主体31aの中間部が両端部よりも拡径されて係止部31cとされており、この係止部31cの外周面に前記雄ネジ31bが形成されている。他方、この係止部31cの外部側の端部にはフランジ部31dが形成されており、このフランジ部31dの内部側に、シール手段を構成するOリング33が嵌装されるようにしてある。また、前記ナット32と閉止板部22との間には座金34が介在される。
【0032】
以上により構成されたこの発明に係るグローブボックス用接続端子付き閉塞栓であって、前記通電コネクタ24では、コネクタホルダ24bを閉止板部22に形成された透孔に、フランジ部24cが外部側となる状態で挿通させる。このとき、フランジ部24cの内側面に形成された前記シール溝24eにOリング25aを装着させておき、このOリング25aが閉止板部22に押圧されるようにする。このコネクタホルダ24bの前記雄ネジ24aに前記座金26bを嵌装させ前記ナット26を螺合させて締め付ける。これにより、前記Oリング25aが閉止板部22とフランジ部24cとで圧潰され、コネクタホルダ24bを挿通させた透孔とコネクタホルダ24bとの間隙が閉止されて、グローブボックス1の内部の環境空気が外部に排出することが防止される。このコネクタホルダ24aには前記コネクタ部材25bがグローブボックス1の内外の端部に取り付けられているから、このコネクタ部材25bにグローブボックス1の外部側に設置された電源装置の電源ケーブルを外部側のコネクタ部材25bに接続させ、グローブボックス1の内部に設置された電源を必要とする機器装置の電源ケーブルを内部側のコネクタ部材25bに接続すれば、この機器装置に給電させることができる。
【0033】
この接続端子付き閉塞栓20は、グローブ12を装着するためのインナーリング11に代えてグローブポート3に装着できるから、電源を必要とする前記機器装置の近傍にあるグローブポート3にこの接続端子付き閉塞栓20を装着することにより、グローブボックス1内の電源ケーブルを短くすることができると共に、その配線経路を簡潔にできる。
【0034】
また、前記エアコネクタ27の場合にも、Oリング28aを装着させた前記頭部27cを外部側にして閉止板部22に形成された透孔にコネクタ主体27bを挿通させ、座金29aを嵌装し、前記ナット29を締め付ければ、前記Oリング28aが圧潰されてこのコネクタ主体27bが挿通された部分の気密性が確保される。そして、このコネクタ主体27bの内部側に取り付けられたコネクタ部材28bにグローブボックス1の内部に設置された作動空気を必要とする機器装置の空気配管を接続させる。他方、外部側に接続されている開閉弁30に外部側の空気圧縮機等の空気配管を接続させ、この開閉弁30を開放すれば、圧縮空気が前記機器装置に供給される。このエアコネクタ27が取り付けられている接続端子付き閉塞栓20を機器装置の近傍にあるグローブポート3に装着すれば、空気配管の長さを短くでき、配管経路を簡潔にできる。
【0035】
また、前記エアコネクタ40の場合にも、Oリング43aをリング溝43に装着させたフランジ部41bを外部側にして閉止板部22に形成された透孔に前記コネクタ主体41を挿通させ、座金44を嵌装し、前記ナット42を締め付ければ、前記Oリング43aが圧潰されてこのコネクタ主体41が挿通された部分の気密性が確保される。そして、外側のニップル部41cにプラグ45を、内側のニップル部41cにソケット46を、それぞれ接続させる。このエアコネクタ40が取り付けられている接続端子付き閉塞栓20をグローブボックス1の内部に設置された作動空気を必要とする機器装置の近傍にあるグローブポート3に装着する。そして、前記機器装置に接続された空気配管の先端に取り付けられているプラグを前記ソケット46に接続させ、前記プラグ45に空気圧縮機等の空気配管の先端に取り付けられているソケットを接続させれば、空気圧縮機等から機器装置へ作動空気を供給することができるようになる。しかも、空気配管の長さを短くでき、配管経路を簡潔にできる。
【0036】
また、前記信号用コネクタ31の場合も、前記通電コネクタ24やエアコネクタ27の場合と同様に、Oリング33が嵌装されたコネクタ主体31aを、フランジ部31dを外部側にして閉止板部22に形成された透孔に挿通させ、前記係止部31cに座金34を嵌装してナット32を締め付ければ、前記Oリング33が圧潰されて、このコネクタ主体31aが挿通された部分の気密性が確保される。そして、このコネクタ主体31aの内部側端にグローブボックス1内に設置された制御信号等の各種信号の入出力を要する機器装置の信号ケーブルを接続し、外部側端にこの機器装置との間で信号の交換を行う制御装置等の信号ケーブルを接続させる。これにより、この信号用コネクタ31を介して、前記機器装置と制御装置等との間で信号の交換を行うことができる。この信号用コネクタ31が取り付けられている接続端子付き閉塞栓20を機器装置の近傍にあるグローブポート3に装着すれば、空気配管の長さを短くでき、配管経路を簡潔にできる。
【0037】
以上の説明は、前記通電コネクタ24とエアコネクタ27、信号用コネクタ31を、接続端子付き閉塞栓20に個別に取り付けた場合として説明したが、グローブボックス1の内部に設置される機器装置によっては複数種類の接続手段を要する場合がある。例えば、グローブボックス1内を監視するカメラを設置する場合には、このカメラを作動させるための電源とカメラで撮影された画像をグローブボックス1の外部に設置されたモニターに表示するための信号を出力する必要がある。このような場合には、前記通電コネクタ24と信号用コネクタ31とが取り付けられている接続端子付き閉塞栓20を、このカメラの近傍にあるグローブポート3に装着すればよい。さらに、図1及び図2に示すように、複数種類の接続手段を取り付けたグローブボックス用接続端子付き閉塞栓20とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明に係るグローブボックス用接続端子付き閉塞栓によれば、グローブボックス内に増設等された機器装置に対して必要な電源や作動空気を供給したり、機器装置から信号を取り出す場合に、この機器装置に最も近いグローブポートを利用できるから、ケーブルや空気配管等の長さを小さくして、配線や配管を簡潔にすることができ、グローブボックスを使用する際にケーブル等が支障とならず、グローブボックスの使い勝手を向上させることができる。しかも、既存のグローブボックスにもこのグローブボックス用接続端子付き閉塞栓を装着できるので、既存のグローブボックスの使い勝手の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明に係るグローブボックス用接続端子付き閉塞栓の縦断面図である。
【図2】図1に示す断面図の右側面図である。
【図3】この発明に係る閉塞栓に取り付けられる接続手段である通電コネクタの取付状態を説明する縦断面図である。
【図4】図3に示す通電コネクタの構造を説明する分解図である。
【図5】図3に示す通電コネクタのナットを示す図である。
【図6】この発明に係る閉塞栓に取り付けられる接続手段であるエアコネクタの取付状態を説明する縦断面図である。
【図7】エアコネクタの他の実施形態を説明する図で、このエアコネクタの取付状態を説明する縦断面図である。
【図8】図7に示すエアコネクタの構造を説明する分解図である。
【図9】図7に示すエアコネクタのナットを示す図である。
【図10】この発明に係る閉塞栓に取り付けられる接続手段である信号用コネクタの取付状態を説明する縦断面図である。
【図11】グローブポートの構造を説明する断面図である。
【図12】グローブボックスの概略構造を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
20 接続端子付き閉塞栓
24 通電コネクタ(接続手段)
24a 雄ネジ
24b コネクタホルダ
24c フランジ部
24e シール溝
25a Oリング(シール手段)
25b コネクタ部材
26 ナット
27 エアコネクタ(接続手段)
27a 雄ネジ
27b コネクタ主体
27c 頭部
28a Oリング(シール手段)
28b コネクタ部材
29 六角ナット
30 開閉弁
31 信号用コネクタ(接続手段)
31a コネクタ主体
31b 雌ネジ
31d フランジ部
32 ナット
33 Oリング(シール手段)
40 エアコネクタ(接続手段)
41 コネクタ主体
41a 雄ネジ
41b フランジ部
41c ニップル部
42 ナット
43 シール溝
43a Oリング(シール手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に有害となる雰囲気の閉鎖空間を形成し、該閉鎖空間内における作業を、該閉鎖空間を形成する壁体に設けられたグローブを介して外部から行うことができるようにしたグローブボックスにおいて、
前記グローブを装着されるグローブポートを閉塞する閉塞栓に、グローブボックス内部の機器装置と接続可能な接続手段を取り付け、
前記接続手段を介してグローブボックス外部の前記機器装置のための駆動源を接続可能とし、
前記接続手段の取り付け部にシール手段を設けてあることを特徴とするグローブボックス用接続端子付き閉塞栓。
【請求項2】
前記接続手段が、前記機器装置に接続された電源ケーブルと、グローブボックス外部の電源に接続された電源ケーブルとを接続するための通電コネクタであることを特徴とする請求項1に記載のグローブボックス用接続端子付き閉塞栓。
【請求項3】
前記接続手段が、前記機器装置に接続された空気配管と、グローブボックス外部の空気圧縮機に接続された空気配管とを接続するためのエアコネクタであることを特徴とする請求項1に記載のグローブボックス用接続端子付き閉塞栓。
【請求項4】
前記接続手段が、前記機器装置に接続された信号ケーブルと、グローブボックス外部の制御手段に接続された信号ケーブルとを接続するための信号用コネクタであることを特徴とする請求項1に記載のグローブボックス用接続端子付き閉塞栓。
【請求項5】
前記通電コネクタとエアコネクタと信号用コネクタとが、任意に組み合わされて取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のグローブボックス用接続端子付き閉塞栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−229820(P2007−229820A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50903(P2006−50903)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】(597006470)日本原燃株式会社 (21)
【Fターム(参考)】