説明

ケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物を有効成分として含む組成物

【課題】本発明は、ケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物を有効成分として含む組成物に関するものである。
【解決手段】本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物は、肝機能指標である、GOT、GPT、ALP、BUN、総ビリルビン量が低く現われるので、肝機能改善効果が優秀である。また、ALP、BUN数値は、肝機能のみならず腎臓機能診断指標にも利用されるので、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物は、腎臓機能改善効果も優れていることが分かる。
また、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物は、ヒドロキシプロリンの量が肝組織では低く現われて腎臓組織では高く現われるので、抗繊維化効果及び腎臓保護効果が優れている。
また、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物は、肝組織及び腎臓組織で脂質過酸化の指標であるマロンジアルデヒドの量が低く現われるので、抗酸化効果が優れている。
また、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物は、肝細胞株及び腎臓細胞株で細胞生存率が高く現われるので、肝細胞保護及び腎臓細胞保護効果が優れていることが分かる。
したがって、本発明の組成物は、抗酸化、抗繊維化、肝機能改善だけではなく、腎臓保護及び腎臓機能改善にも有用に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物を有効成分として含む組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な成人病のひとつの肝疾患は、ストレス性慢性疲労及び大部分の外因性物質によって、肝が損傷されることにより発病される疾患である。現在、韓国での肝疾患の発生率は、外国に比べて相当に高い方で、最近の肝臓癌による死亡率は世界1位で、慢性肝疾患の場合もその死亡率が3番目であるという調査結果である。最近の統計庁報告によると、韓国の40代の場合、肝疾患が一番高い死亡原因であると発表された。国内の肝疾患の中で一番高い死亡率を示すのがウイルス性肝炎であるが、西欧ではウイルス性肝炎よりは肝硬変による死亡が5〜10倍程度高く報告されている。
【0003】
肝臓は、人間の身体臓器の中で生体内代謝が最も活発に起きる臓器であり、脂肪成分が含まれた食べ物またはアルコールの過多摂取、ウイルスの感染、各種薬品のような有害物質、栄養不足等、多様な原因によって急性または慢性の障害が起き、脂肪肝、肝炎、黄疸、肝硬変、肝臓癌等が惹起され得る。特に、食べ物を通じた過多な脂肪摂取または過度なアルコール摂取は、肝組織に脂質が蓄積する脂肪肝を誘発し、この時血清の中のGOT(glutamate−oxaloacetate transaminase)、GPT(glutamate−pyruvate transaminase)、γ−GTP(γ−glutamyl transpeptidase)等が増加するようになる。肝臓は、緩衝能力が大きい器官であり疾患の初期段階ではあまり症状を示さず、かなり悪くなった後になってはじめて疾患の症状を示すようになる。
【0004】
また、肝臓は、人体で血液の貯蔵及び循環、血流量調節と防御解毒作用をして精神的活動と密接に関連していると知られている。産業化による公害物質、有毒物質に対して私たちの体はいつも露出していて、私たちの肝臓は絶え間なく解毒作用の負担を負っている。さらに、深刻なことは精神的なストレスによる肝損傷である。精神的休息を取れば、損傷した肝細胞は復旧されるが、切迫した現代社会では精神的休息の余裕を持つことができないため精神的ストレス、飲み過ぎ、喫煙によって肝損傷を加重させ、人体が防御解毒作用をできずに免疫体系に異常を来たして他の疾病の原因になったりする。
【0005】
肝硬変(liver cirrhosis)は、肝組織が繊維化して起きる。結合組織の生成と分解過程恒常性が喪失した状態で、肝組織内に結合組織が過度に蓄積して壊死や炎症が伴う。特に筋繊維芽細胞形態に転移した肝放射状細胞(hepatic stellate cells:HSCs)が増殖、移動して過度な結合組織を生成することにより、このような、肝の繊維化過程を進行させると知られている(非特許文献1)。肝硬変は、各種肝疾患が慢性的に進行する場合に共通的に至る最後の段階で、肝血流量低下、肝内血流の短縮、代謝酵素の機能低下、血中タンパク質の質的・量的変化及び胆汁流量の変化等、全般的な肝機能が低下する。
【0006】
肝毒性を起こす誘発物質としては、四塩化炭素(carbon tetrachloride;CCl)、D−ガラクトースアミン、リポ多糖類(lipopolysaccharide;LPS)、ブロモベンゼン等があるが、四塩化炭素は、肝細胞の過酸化脂質反応を起こして肝毒性を示すと知られている(非特許文献2〜4)。肝毒性を起こす四塩化炭素は、肝毒性保護作用を検定するために肝細胞培養、肝組織培養及びマウスやラットに直接投与して人為的に肝毒性を起こさせる物質である。四塩化炭素は、複合的な機能をするチトクロム(cytochrome)P450のような代謝酵素によって、小胞体内で非常に反応性が強いフリーラジカルであるCCl・の分子構造に転換しながら強い肝毒性効果を示す。フリーラジカルであるCCl・は、アルコールによって蓄積された肝中性脂肪や膜リン脂質にある脂肪酸の酸化を誘発させて脂質の酸敗が始まって酸素と結合した後、過酸化脂質反応を通じて有機過酸化物を形成する。過酸化脂質反応を通じて肝に脂肪が蓄積してタンパク質合成能力が減少し、グリコーゲンが分解されて血管内の細胞質酵素が破壊されて肝組織の壊死が起きるようになる(非特許文献5)。このようなフリーラジカルは、ゴルジ体(Golgi apparatus)に損傷を与えて細胞からタンパク質放出に悪影響を与えることにより、肝だけでなく腎臓にも損傷を与えることが知られている。
【0007】
また、脂質過酸化を抑制または防止することができる機能である抗酸化効果は、肝保護効果及び抗炎症作用があると報告されていて、抗酸化物質(antioxidant compound)は、反応性酸素中間生成物(reactive oxygen intermediate)による攻撃に対抗し、肝と肝細胞保護の目的に使用されている。
【0008】
天然物から抽出されたフラボノイド、ケルセチン(quercetin)、シリマリン(silymarin)またはビタミンEのような抗酸化剤は、脂質過酸化と肝繊維化に効果がある物質として報告されていて、N−アセチルシステイン(N−acetylcysteine;NAC)は、抗酸化活性を通じて肝繊維化の初期段階で肝繊維化と酸化的ストレス(oxidative stress)を阻害すると知られている。また、胡黄連(kutkin)は、脂質過酸化とフリーラジカルによる損傷を減少させて肝保護、抗繊維化効果だけでなく、肝保護効果を助ける抗酸化効果がある天然物として報告されている。
【0009】
現在一般的に利用されている肝疾患の治療方法は、大きく分けて食餌療法と薬剤療法に分けられ、大部分の場合にこの二つの方法を併用している。肝疾患に対する薬剤療法としては、肝疾患の発病原因及び種類によって多様な作用機序を有する薬剤を利用されることができる。例えば、ウルソデオキシコール酸(ursodeoxycholic acid)、シリマリン(silymarin;非特許文献6)、DDB(biphenyl dimethyl dicarboxylate;非特許文献7)、グルタチオン(glutathione)、グリシリジン(glycyrrhizin)等のような肝細胞再生促進剤及び肝機能補助剤、アシクロビル(acyclovir)のような抗ウイルス剤、コルチコステロイド(corticosteroid)、6−メルカプトプリン(6−mercaptopurine、6−MP)、アザチオプリン(azathioprine)等のような免疫抑制剤等の薬剤が一般的に使われている。しかし、肝疾患は一つの原因によってだけ発生するのではなく、多くの要因の複合的な作用によって発病するので、一つの作用機序を持つ薬剤だけでは総の肝疾患に対して十分に満足できる高い治療効果を期待することはできない。また、現在使用されている公知の肝疾患治療薬は、急激な作用が発生したり、大量または長期間投与時には副作用が現われたりする短所がある。
【0010】
一方、腎臓は、体内の水(体液)の量とイオン濃度を適切に調節して、老廃物(要素、尿酸、クレアチニン等)を小便として排出して、毒性物質や薬物、そして代謝産物は毒を無くした後、排泄する作用をする。組織で脂質過酸化の分解産物であるマロンジアルデヒド(malonedialdehyde;MDA)と4−ヒドロキシノネナール(4−hydroxynonenal;HNE)は、細胞損傷の指標として知られていて、脂質過酸化物を触媒するスーパーオキシドジスムターゼ(superoxide dismutase)は、細胞損傷を回復させるのに関与すると報告されている(非特許文献8〜10)。アルカリホスファターゼ(Alkaline phosphatase;ALP)と血液尿素窒素(blood urea nitrogen;BUN)は、腎臓機能代謝の診断指標として臨床で使用されている。特に、BUN数値の増加は高窒素血症(azotemia)による糸球体ろ過率(glomerular filtration rate;GFR)の減少として現われる。参考に、腎前性(prerenal)高窒素血症は、鬱血性心不全(congestive heart failure)、ショック、血液量減少(hypovolemia)及び出血等、腎臓に低潅流状態によって腎臓の損傷なしに機能低下が招来されることであり、腎後性(postrenal)高窒素血症は、腎臓下部で小便の流れが詰まった場合に起きるが、その原因がなくなれば回復が可能である。高窒素血症がさまざまな臨床症状、症侯及び生化学的異常を伴えば尿毒症(uremia)と言う。したがって尿毒症は、単純な生化学的異常ではない臨床症侯群で腎臓の排泄機能の異常のみならず代謝性、内分泌機能障害、胃腸管系、神経筋肉系及び心脈管系にも障害が招来される。腎臓機能の異常により発病する疾病は、急性腎盂腎炎(Acute pyelonephritis)、慢性腎盂腎炎(chronic pyelonephritis)、腎臓結核(Renal tuberculosis)、尿路感染症(UTI)、尿路結石(Urinary stone)、腎臓癌(Renal cell cancer)等がある。
【0011】
一方、ケンボナシ(Hovenia dulcis Thunb.)はクロウメモドキ科の落葉闊葉喬木で漢方では「地球木」と言う。本草綱目ではケンボナシは、味が甘くて淡白で毒性がなく、五臓を柔らかくして潤滑にして、胸の煩熱をなくして喉の渇きを癒してくれ、酒毒を解いて、嘔吐症を除去して、虫毒を無くして五種類の痔疾を治癒するとなっている。また、肝保護効果があることが知られていて、口臭除去、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、特に抗癌効果、血圧調節、血糖降下、肝解毒、便秘にも卓越した効果があることが明らかにされた。
【0012】
ダンコウバイ(Lindera obstiloba)は、くすのき科(Lauraceae)に属する落葉闊葉喬木で、韓国を含む日本、中国、満洲等に分布する。ダンコウバイの花、葉脈が独特の香りを発する特徴があり、その幹は薬用に使用され、抗菌効果が知られている。また新芽は、お茶の原料に使用されている。
【0013】
以上のことに鑑みて本発明者らは、さまざまな作用機序を有していて毒性が少ない薬物を天然物のなかで捜していた中で、ケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物が抗酸化、抗繊維化、肝機能改善だけではなく、腎臓保護及び腎臓機能改善作用があることを確認して本発明を完成した。
【非特許文献1】Gressner等, Biochem. Biophys. Res. Commun. 1988年, 151〜222頁
【非特許文献2】Recknagel等, Pharmacol. Rev. 1967年,第19巻,145−208頁
【非特許文献3】Alpers等, Mol. Pharmacol. 1968年,第4巻,566−573頁
【非特許文献4】Slater T. F.Biochem. J. 1968年,第222巻, 1〜15頁
【非特許文献5】Chang I. M.等, Drug and chemical toxicology, 1983年, 第6巻, 443−453頁
【非特許文献6】Biotech. Therapeutics, 1993年 第4巻, 263−270頁
【非特許文献7】Biochem. Biophy. Res. Comm., 1981年 第103巻, 1131−1137頁
【非特許文献8】Slater TF.Biochem.J., 1994年,第222巻,1−15頁
【非特許文献9】Esterbauer H, Schauer RJ, Zollner H., 1994年
【非特許文献10】Free Radical Biology & Medicine 1992年,第11巻, 81−128頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、ケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物を有効成分として含む組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、ケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物を有効成分として含む組成物を提供する。
【0016】
本発明の組成物は、抗酸化用組成物、抗繊維化用組成物、肝機能改善用組成物、及び腎臓機能改善用組成物を含む。
【0017】
以下、本発明に対して詳しく説明する。
本発明によるケンボナシ、ダンコウバイ、またはその混合生薬抽出物の抽出方法を下記に示す。
【0018】
ケンボナシまたはダンコウバイを水できれいに洗浄した後、日陰で乾燥させる。乾燥したケンボナシまたはダンコウバイを還流抽出器に入れて、そこに蒸留水を入れて100℃で90分間加熱して熱水抽出する。前記熱水抽出液を熱い間にろ過紙で減圧ろ過した後、前記ろ過液を真空蒸発器を利用して濃縮する。長期間保存時には、凍結乾燥器を利用して乾燥する。本発明ではケンボナシ及びダンコウバイの幹、花、葉、種子等を全て使うことができる。
【0019】
本発明の組成物で生薬成分の組成比率は、それぞれの乾燥重量を基準にして、ケンボナシとダンコウバイの比率を3:2〜1:1で配合して使用し、好ましくはケンボナシとダンコウバイの比率を2:1〜1:1で配合して使用する。このような組成比は、それぞれの生薬成分が持つ有効用量と副作用等を考慮して捜し出したものであり、その比率の範囲を脱する場合には、効果が急激に落ちたりする副作用の憂慮がある。
【0020】
本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物投与群は、肝機能の指標であるGOT、GPT、ALP、BUN、総ビリルビン量が低く現われるので、肝機能改善効果が優秀である。また、ALP、BUN数値は、肝機能のみならず腎臓機能診断指標にも利用できるので、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物は、腎臓機能改善効果も優秀であることが分かる。
【0021】
また、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物は、ヒドロキシプロリンの量が肝組織では低く現われて腎臓組織では高く現われるので、抗繊維化効果及び腎臓保護効果が優秀である。特に、混合生薬抽出物の場合、ケンボナシ抽出物及びダンコウバイ抽出物よりヒドロキシプロリンの量が肝組織ではさらに低く現われて腎臓組織ではさらに高く現われる。
【0022】
また、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物は、肝組織及び腎臓組織で脂質過酸化指標であるマロンジアルデヒドの量が低く現われるので、抗酸化効果が優秀である。
【0023】
また、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物は、肝細胞株及び腎臓細胞株で細胞生存率が高く現われるので、肝細胞保護及び腎臓細胞保護効果が優秀であることが分かる。
【0024】
したがって、本発明の組成物は、抗酸化、抗繊維化、肝機能改善だけでなく、腎臓保護及び腎臓機能改善にも有用に使用することができる。
【0025】
本発明の組成物は、前記ケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物に、追加で同一または類似の機能を示す有効成分を1種以上含むことができる。
【0026】
前記ケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物は、臨床投与時に経口または非経口で投与が可能で一般的な医薬品製剤の形態で使用することができる。すなわち、本発明の混合生薬抽出物は、実際の臨床投与時に経口及び非経口のさまざまな剤形で投与することができる。製剤化する場合には、普通に使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤及び界面活性剤等の希釈剤または賦形剤を使用して調剤する。
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸薬、散剤、顆粒剤及びカプセル剤等が含まれ、このような固形製剤は、ケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース及びゼラチン等を混ぜて調剤する。また、単純な賦形剤以外にマグネシウムステアリン酸タルクのような潤滑剤も使用できる。経口投与のための液状製剤では、懸濁剤、内用液剤、油剤及びシロップ剤等が該当し、よく使われる単純希釈剤である水、流動パラフィン以外にもさまざまな賦形剤、例えば湿潤剤、甘味料、香料及び保存剤等を含むことができる。非経口投与のための製剤には、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、油剤、凍結乾燥製剤及び座薬が含まれる。非水性溶剤と懸濁剤では、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレイン酸のような注射可能なエステル等が使用できる。座薬の基剤には、ハードファット、マクロゴ−ル、トゥイーン61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロール及びゼラチン等が使用できる。
【0027】
投薬単位は、例えば個別投薬量の1、2、3または4倍を含んだりまたは1/2、1/3または 1/4倍を含むことができる。個別投薬量は、有効薬物が1回で投与される量を含むことが好ましく、これは通常1日投与量の全部、1/2、1/3 または1/4倍に該当する。ケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物の有効用量は、それぞれ200ないし600mg/kgで、好ましくは、300ないし400mg/kgであり、一日に1〜6回投与することができる。
【0028】
本発明の組成物は、抗酸化、抗繊維化、肝機能及び腎臓機能改善のために単独で、または手術、放射線治療、ホルモン治療、化学治療及び生物学的反応調節剤を使用する方法等と併用して使用できる。
【0029】
本発明の組成物は、抗酸化、抗繊維化、肝機能及び腎臓機能改善を目的に健康食品に添加することができる。本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物を食品添加物に使用する場合、前記ケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物をそのまま添加したり他の食品または食品成分と共に使用することができ、通常的な方法によって適切に使用することができる。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康または治療的処置)に相応して決めることができる。一般的に、食品または飲料の製造時には、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物を原料に対して15重量%以下、好ましくは10重量%以下の量で添加する。しかし、健康及び衛生を目的としたりまたは健康調節を目的にする長期間の摂取の場合には、前記の量は前記範囲以下があり得、安全性面で何らの問題がないので有効成分は、前記範囲以上の量でも使用することができる。
【0030】
前記食品の種類には、特別な制限はない。前記物質を添加することができる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンデー類、スナック類、お菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤等があり、通常の意味での健康食品を全て含む。
【0031】
本発明の健康飲料組成物は、通常の飲料のようにさまざまな香味料または天然炭水化物等を追加成分として含むことができる。上述した天然炭水化物は、ブドウ糖、果糖のようなモノサッカライド、マルトース、スクロースのようなジサッカライド、及びデキストリン、シクロデキストリンのようなポリサッカライド、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール等の糖アルコールである。甘味料としては、タウマチン、ステビア抽出物のような天然甘味料や、サッカリン、アスパルテームのような合成甘味料等を使用することができる。前記天然炭水化物の比率は、本発明の組成物100ml当たり一般的に約0.01〜0.04g、好ましくは約0.02〜0.03gである。
【0032】
前記の他に本発明の組成物は、さまざまな栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使われる炭酸化剤等を含むことができる。その他に本発明の組成物は、天然果物ジュース、果物ジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含むことができる。このような成分は、独立にまたは組み合わせて使用することができる。このような添加剤の比率は、それほど重要ではないが本発明の組成物100重量部当たり0.01〜0.1重量部の範囲で選択することが一般的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は、本発明をより易しく理解するために提供するものであって、実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【実施例1】
【0034】
実施例1:ケンボナシ抽出物の製造
ケンボナシを水できれいに洗浄した後、日陰で乾燥させた。乾燥したケンボナシ20gを還流抽出器に入れて、1.5lの蒸留水を入れて100℃で90分間加熱して熱水抽出した。前記熱水抽出液を熱い間にろ過紙で減圧ろ過した。前記ろ過液を真空蒸発器を利用して濃縮した。長期間保存時には、凍結乾燥器を利用して乾燥した。
前記濃縮液は、動物実験(2ml/ラット/日)に使用した。
【実施例2】
【0035】
実施例2:ダンコウバイ抽出物の製造
ダンコウバイを使用し、前記実施例1と同一の方法で製造して使用した。
前記濃縮液は、動物実験(2ml/ラット/日)に使用した。
【実施例3】
【0036】
実施例3:混合生薬抽出物の製造
乾燥したケンボナシ20gとダンコウバイの幹10gを使用して、前記実施例1と同一の方法で製造して使用した。
前記濃縮液は、動物実験(2ml/ラット/日)に使用し、MTT、NR assay(50μl/ウェル)には4倍に濃縮して使用した。
【0037】
実験例1:ラットで四塩化炭素の臓器投与に誘発された肝損傷及び腎臓損傷に対する抗酸化、抗繊維化、肝機能改善及び腎臓保護、腎臓機能改善効果
【0038】
本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物の肝損傷及び腎臓損傷に対する抗酸化、抗繊維化、肝機能改善及び腎臓保護、腎臓機能改善効果を調べるために下記のような実験を遂行した。
【0039】
1.実験動物
実験動物は、体重が約180〜210gの12週齢スプラグダウリ(Sprague−Dawley)ラット(ダムルサイオンス、オサン、韓国)を使用し、飼育環境は温度23±2℃、相対湿度60±10%を維持した。飼料(ピュリナ飼料)と飲み水は自由に供給し、夜と昼に区分して供給した。
【0040】
2週間実験室環境に適応させた実験動物を(1)正常群、(2)CCl投与群、(3)CCl+混合生薬抽出物投与群、(4)CCl+ケンボナシ抽出物投与群、(5)CCl+ダンコウバイ抽出物投与群の5群に分け、各群当たり10匹ずつ割り当てた。
【0041】
2.肝繊維化(硬化)及び腎臓損傷誘導
正常群を除いた残りの実験群のラットに、オリーブオイルとCClの混合液1ml/ラット/日を一週間に3回ずつ4週間投与して肝繊維化(硬化)及び腎臓損傷を誘導した。
【0042】
CCl投与群には蒸留水を、CCl+混合生薬抽出物投与群には前記実施例3で製造した混合生薬抽出物を、CCl+ケンボナシ抽出物投与群には前記実施例1で製造したケンボナシ抽出物を、CCl+ダンコウバイ抽出物投与群には実施例2で製造したダンコウバイ抽出物をそれぞれ2ml/ラット/日を経口投与した。
【0043】
正常群を含む各群のラットの体重を測定後、エーテルで麻酔して、心臓穿刺(heart puncture)によって心臓で採血して2時間以上室温に放置した後、3000rpmで10分間遠心分離して血清を得て−20℃で保管した。保管した血清は、血清生化学的検査であるトランスアミナーゼ(GOT及びGPT)とアルカリホスファターゼ、BUN及び総ビリルビン値を測定するのに使用した。
【0044】
また、肝繊維化(硬化)及び腎臓損傷が誘導されたラットの肝と腎臓を摘出してリン酸塩緩衝液(pH7.0)で洗浄した後、重さを測定した。肝と腎臓組織の一部は、−75℃で保管してヒドロキシプロリン(hydroxyproline)、マロンジアルデヒド(malondialdehyde;MDA)測定に使用した。
【0045】
体重変化は、毎週測定し、耳、尾、足で黄疸の有無を確認して屠殺時、肝の重さ変化を観察した。
【0046】
実験成績は、平均値±標準偏差で示し、対照群と実験群との平均の差を検定する時には スチューデントtテスト(Student’s t−test)で検定してP値が0.005未満の時、統計的に有意な差があると判定した。
結果は、表1に示した。
【0047】
【表1】

【0048】
*:p<0.005
【0049】
表1に示したように、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物投与群の体重と肝の重さの比率変化は、対照群に比べて低く現われ、体重と腎臓重さの比率変化も対照群に比べて低く現われた。
【0050】
3.血清生化学的検査
1) GOT(AST)測定(EMBIELキット使用)
2個のファルコン試験管(falcon tube)にAST基質液500μlを入れて、37℃で3〜5分間加温した。一方の試験管には標準液を加えて希釈し、もう一方の試験管には血清試料100μlを加えた後、37℃で60分間反応させた。各試験管に蒸留水100μlと発色液(2,3−ジ−ニトロフェニルヒドラジン)500μlを加えて、室温で20分間放置した。各試験管に0.4N NaOH 5mlを加えて室温で10分間再び反応させた後、505nmで吸光度を測定した。
【0051】
2) GPT(ALT)測定(EMBIELキット使用)
2個のファルコン試験管にALT基質液150μlを入れて、37℃で4分間加温した。一方の試験管には標準液を加えて希釈し、もう一方の試験管には血清試料100μlを加えて37℃で30分間反応させた。各試験管に蒸留水100μlと発色液(2,3−ジ−ニトロフェニルヒドラジン)500μlを加えて、室温で20分間放置した。各試験管に0.4N NaOH 1.5mlを加えて室温で10分間再び反応させた後、505nmで吸光度を測定した。
【0052】
3) ALP(Alkakine phosphatase)測定
3個の試験管にALP基質緩衝液(フェニルリン酸−2−ナトリウム)2.0mlを入れて37℃で3〜5分間加温した。各試験管に血清試料50μl、蒸留水50μl、標準液50μlをそれぞれ加えて混合して37℃で15分間加温した。各試験管に呈色試薬2.0mlを入れて室温で10分間放置した後、60分以内に570nmで吸光度を測定した。
【0053】
4) BUN(Blood urea nitrogen)測定
3個の試験管に血清試料20μl、蒸留水20μl、標準液20μlをそれぞれ加えて、酵素溶液2.0mlをそれぞれ入れた後、混合して37℃で5分間反応させた。各試験管に呈色試薬 2.0mlを加えて混合して37℃で10分間加温後、60分以内に580nmで吸光度を測定した。
【0054】
5) 総ビリルビン量測定
3個の試験管に血清試料100μl、蒸留水100μl、標準液100μlをそれぞれ加えて、総ビリルビン呈色試薬600μlをそれぞれ加えた。各試験管にジアゾ混合液600μlを入れて混合した後、室温で10分間放置した。各試験管にフェリン試薬600μlを加えて反応させた後、2時間以内に600nmで吸光度を測定した。
結果は、表2に示した。
【0055】
【表2】

【0056】
*:p<0.05, **:p<0.005
【0057】
表2に示したように、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、及びその混合生薬抽出物投与群では、肝機能指標であるGOT、GPT、ALP、BUN、総ビリルビン量が対照群より有意性をもって低く現われ、特に混合生薬抽出物投与群の場合、ケンボナシ抽出物及びダンコウバイ抽出物投与群よりもさらに低く現われた。
【0058】
したがって、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、及びその混合生薬抽出物は、肝機能改善効果が優れていることが分かる。
【0059】
また、ALP、BUN数値は、肝機能のみならず腎臓機能診断指標にも利用されるので、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、及びその混合生薬抽出物は、腎臓機能改善効果も優れていること分かる。
【0060】
4.ヒドロキシプロリン(Hydroxyproline:hyp)量測定
1) 試薬の調剤
(1)酢酸クエン酸緩衝液(Acetate citrate buffer)
酢酸ナトリウム三水和物(sodium acetate trihydrate)50g、クエン酸三ナトリウム(trisodium citrate)37.5g、クエン酸一水和物(citric acid monohydrate)5.5g、イソプロパノール395mlに蒸留水を加えて、全体で1lになるようにした後、pHを6.0にして4℃で保管して使用した。
【0061】
(2)クロラミン−T(Chloramine−T)溶液
クロラミン−T 84mgを酢酸クエン酸緩衝液10mlに溶解させて使用した。
【0062】
(3) エリリッチ試薬(Ehrilich’s reagents)
p−ジメチルアミノベンズアルデヒド(p−Dimethylaminobenzaldehyde)10gと60%過塩素酸(perchloric acid)11mlを混合して貯蔵溶液を作った。貯蔵溶液3mlを取った後、イソプロパノール8.0mlと混合して使用した。エリリッチ試薬は、使用直前に調剤して使用し、貯蔵溶液は遮光して4℃で保管した。
【0063】
2) ヒドロキシプロリン量測定
フリーズドライ(−50℃、72時間)または冷凍した肝組織(または腎臓組織)0.2gを10mlガラス瓶に坪量した後、6N HCl 4mlを入れて均質器(homogenizer)で均質化させて110℃で10〜24時間乾燥オーブンで加水分解させた後、ワットマンろ過紙を使用してろ過した。ここで、0、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0ug/50μlのトランス−ヒドロキシプロリン(trans−hydroxyproline) 6N HClで希釈した標準溶液を試料のように110℃から 12〜14時間加水分解させた。各試料と標準溶液を50μlガラス瓶に取って完全に乾燥させて塩酸を除去した。その後に、50%イソプロパノール1.2mlを入れて沈殿物を溶解させ、クロラミン−T溶液200μlを加えて10分間室温で反応させた後、1.2mlのエリリッチ反応試薬を入れた。50℃で90分間発色させて常温で冷却した後、558nmで分光光度計を使用して吸光度を測定した。
【0064】
肝組織(または腎臓組織)中のヒドロキシプロリンの濃度は、下記の式によって計算した。
C[の肝組織(または腎臓組織)0.2gのヒドロキシプロリンの濃度]=[HA(試料の吸光度)/SA(1.0ug/50μlのトランス−ヒドロキシプロリン(trans−hydroxyproline) 6N HClで希釈した標準溶液の吸光度)]×80
C×5=ヒドロキシプロリン量/gの肝組織(または腎臓組織)
結果は、表3に示した。
【0065】
【表3】

【0066】
*:p<0.005
【0067】
表3に示したように、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物及びその混合生薬抽出物投与群でヒドロキシプロリンの量は、肝組織では対照群より低く現われ、腎臓組織では対照群より高く現われた。特に、混合生薬抽出物投与群の場合ヒドロキシプロリンの量は、肝組織では対照群より50.8%有意性をもって低く現われ、腎臓組織では対照群より5.5%、ケンボナシ単独投与群より3.0%、ダンコウバイ単独投与群より1.2%高く現われた。
【0068】
したがって、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物及びその混合生薬抽出物は、抗繊維化効果及び腎臓保護効果が優れていること分かる。
【0069】
5.MDA(Malondialdehyde)測定
均質化させた組織試料[1.15% KCl 1.8ml中に0.2g肝組織(または腎臓組織)]と希釈した標準物質(0、4、8、16、32nmol/200μl テトラメトキシプロパン)200μlをファルコン試験管に加えた。試料と希釈した標準溶液200μlに0.2%SDS 100μlを入れて混合し、室温で10分間反応させた。そして20%アセト酸750μlと0.8%チオバルビツレート(thiobarbiturate)750μlを加えて混合した。その後に95℃で30分間反応させて氷に入れて冷却した。完全に冷却したことを確認した後、n−ブタノール2mlを加えて遠心分離して上層液の吸光度を532nmで分光光度計を使用して測定した。
【0070】
血清と組織中MDA濃度は、次のように計算した。
C[の肝組織(または腎臓組織)0.2g(または血清200μl)のマロンジアルデヒドの濃度]=[HA(試料の吸光度)/SA(標準溶液の吸光度(8μmol/1.15% KCl 200μl))×80
C×5=マロンジアルデヒド量(μmol/ml)
結果は、表4に示した。
【0071】
【表4】

【0072】
*:p<0.05
【0073】
表4に示したように、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物及びその混合生薬抽出物投与群で脂質過酸化の指標であるマロンジアルデヒドの量は、肝組織及び腎臓組織で対照群より低く現われ、特に混合生薬抽出物投与群の場合の肝組織では対照群より31.0%有意性をもって低く現われ、腎臓組織では対照群より13.0%低く現われた。
【0074】
したがって、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物及びその混合生薬抽出物は、抗酸化及び腎臓保護効果が優れていること分かる。
【0075】
実験例2:毒性実験
本実験に使用した細胞株は、NCTC clone 1469(肝細胞株)とvero(腎臓細胞株)で、韓国細胞株銀行(KCLB)から購入した。
【0076】
MTT貯蔵溶液は、リン酸緩衝溶液1mlにMTT粉末5mgを溶解させた後、よく振った後、0.4μm フィルターでろ過して準備した。
【0077】
NR貯蔵溶液は、3次蒸留水1mlにNR粉末4mgを溶解させた後、よく振った後、0.4μmフィルターでろ過して準備した。
【0078】
トリプシン−EDTAは、0.5%トリプシン、5.3mM EDTAを含んだものが販売されていて、それをPBSで10倍に希釈して使用した。
【0079】
1) MTT[3−(4,5−ジメチルチアゾル−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド]分析
培地を除去した後、トリプシン−EDTA溶液1mlを入れて10〜20分間放置して細胞を容器から分離して15mlファルコンチューブに入れた。培養フラスコに残っている細胞を全て回収するために培地1mlを入れて振り、残留細胞を回収して前記ファルコンチューブに入れた。細胞浮遊液10μlを血球計(hemocytometer)に入れて細胞数を数えた(細胞2.5×10個/ml)。細胞を96ウェルプレートに50μlずつ(細胞1〜2×10個)入れた後、培地(DMEM+10%FBS+抗生物質)150μlを入れて、37℃、5%CO培養器で24時間放置して細胞を付着させた。
【0080】
24時間経過後、96ウェルプレートに付着させた細胞から培地を注意深く除去した(この時、底に付着した細胞が付いて出て来ないように、汚染に気を付ける)。培地150μlに前記実施例1で製造したケンボナシ抽出物、実施例2で製造したダンコウバイ抽出物、または実施例3で製造した混合生薬抽出物50μlをそれぞれ入れて、総体積が200μlになるようにして、37℃、5%CO培養器で24時間培養させた。ここで、薬剤から入れると細胞の損傷が大きいので培地を先に入れた後で薬剤を処理した。培養した後、96ウェルプレートを取り出して培地を除去した。ここにMTT染料50μl/ml(貯蔵液50μl+培地950μl)を入れて希釈して、各ウェルに50μlずつ入れて、CO培養器に入れて4時間培養した。上澄み液を除去した後、DMSO 100μlを加えた後、10分間よく振った後、エライザリーダー(ELISA reader)で540nmでOD(吸光度)を測定した。
【0081】
対照群には、培地だけを入れたものを使用して生存率を計算した。
【0082】
2) NR(Neutral Red:3−アミノ−7−ジメチルアミノ−2−メチルフェナジン)分析
培地を除去した後、トリプシン−EDTA溶液1mlを入れて10〜20分間放置して細胞を容器から分離して15mlファルコンチューブに入れた。培養フラスコに残っている細胞を全て回収するために培地1mlを入れて振って残留する細胞を回収して前記ファルコンチューブに入れた。細胞浮遊液10μlを血球計に入れて細胞数を数えた(細胞2.5×10個/ml)。細胞を96ウェルプレートに50μlずつ(細胞1〜2×10個)入れた後、培地(DMEM+10%FBS+抗生物質)150μlを入れて、37℃、5%CO培養器で24時間放置して細胞を付着させた。
【0083】
24時間経過後、96ウェルプレートに付着した細胞から培地を注意深く除去した(ここで、底に付着した細胞が付いて出て来ないように、汚染に気を付ける)。培地150μlに前記実施例1で製造したケンボナシ抽出物、実施例2で製造したダンコウバイ抽出物、または実施例3で製造した混合生薬抽出物50μlをそれぞれ入れて総体積が200μlになるようにして、37℃、5%CO培養器で24時間培養させた。この時、薬剤から入れると細胞の損傷が大きいので培地を先に入れた後、薬剤を処理した。
【0084】
培養した後、96ウェルプレートを取り出して培地を除去した。そこにNR染料10μl/ml(貯蔵液10μl+培地990μl)を入れて希釈して各ウェルに200μlずつ入れて、37℃、5%CO培養器に入れて3時間培養した。また、培地を除去した後、1%CaCl、0.5%ホルムアルデヒド100μlを入れて洗浄した。上澄み液を除去した後、1%アセト酸、50%エチルアルコールを200μl加えた後、10分間振った後、エライザリーダー(ELISA reader)で540nmでOD(吸光度)を測定した。
【0085】
対照群には、培地だけを入れたものを使用して生存率を計算した。
結果は、表5に示した。
【0086】
【表5】

【0087】
表5に示したように、本発明のダンコウバイ抽出物及び混合生薬抽出物は、肝細胞株で細胞生存率が高く現われ、特に混合生薬抽出物はケンボナシ抽出物より肝細胞株で細胞生存率が高く現われた。また、腎臓細胞株では、ケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物及び混合生薬抽出物の全てが、生存には危害を与えないことが分かった。
【0088】
したがって、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物及びその混合生薬抽出物は、肝保護及び腎臓保護効果が優れていること分かる。
【0089】
本発明の組成物のための製剤例を例示する。
本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物含む薬学的製剤を下記のように製造した。
【0090】
製剤例1:薬学的製剤の製造
1.散剤の製造
ケンボナシ抽出物 2g
(またはダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物)
乳糖 1g
前記の成分を混合して気密包に充填して散剤を製造した。
【0091】
2.錠剤の製造
ケンボナシ抽出物 100mg
(またはダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物)
とうもろこし澱粉 100mg
乳糖 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
前記の成分を混合した後、通常の錠剤の製造方法にしたがって打錠して錠剤を製造した。
【0092】
3.カプセル剤の製造
ケンボナシ抽出物 100mg
(またはダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物)
とうもろこし澱粉 100mg
乳糖 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
前記の成分を混合した後、通常のカプセル剤の製造方法にしたがってゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【0093】
製剤例2:食品の製造
本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物を含む食品を下記のように製造した。
【0094】
1.料理用味付けタレの製造
本発明のケンボナシ抽出物(またはダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物)20〜95重量%で健康増進用料理用味付けタレを製造した。
【0095】
2.トマトケチャップ及びソースの製造
本発明のケンボナシ抽出物(またはダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物)0.2〜1.0重量%をトマトケチャップまたはソースに添加して、健康増進用トマトケチャップまたはソースを製造した。
【0096】
3.小麦粉食品の製造
本発明のケンボナシ抽出物(またはダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物)0.5〜5.0重量%を小麦粉に添加して、その混合物を利用してパン、ケーキ、クッキー、クラッカー及び麺類を製造して健康増進用食品を製造した。
【0097】
4.スープ及び肉汁(gravies)の製造
本発明のケンボナシ抽出物(またはダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物)0.1〜5.0重量%をスープ及び肉汁に添加して健康増進用肉加工製品、麺類のスープ及び肉汁を製造した。
【0098】
5.牛挽肉(ground beef)の製造
本発明のケンボナシ抽出物(またはダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物)10重量%を牛挽肉に添加して、健康増進用牛挽肉を製造した。
【0099】
6.乳製品(dairy products)の製造
本発明のケンボナシ抽出物(またはダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物)5〜10重量%を牛乳に添加して、前記牛乳を利用してバター及びアイスクリームのような多様な乳製品を製造した。
【0100】
7.禅食の製造
玄米、麦、もち米、鳩麦を公知の方法でアルファ化させて乾燥させたものを焙煎した後、粉砕機で粒度60メッシュの粉末に製造した。
【0101】
黒豆、黒ごま、えごまも公知の方法で蒸して乾燥させたことを焙煎した後、粉砕機で粒度60メッシュの粉末に製造した。
【0102】
本発明のケンボナシ抽出物(またはダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物)を真空濃縮機で減圧濃縮して、噴霧、熱風乾燥器で乾燥して得た乾燥物を粉砕機で粒度60メッシュに粉砕して乾燥粉末を得た。
【0103】
前記で製造した穀物類、種実類及びケンボナシ抽出物(またはダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物)の乾燥粉末を次の比率で配合して製造した。
【0104】
穀物類(玄米30重量%、鳩麦15重量%、麦20重量%)、種実類(えごま7重量%、黒豆8重量%、黒ごま7重量%)、ケンボナシ抽出物(またはダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物)の乾燥粉末(3重量%)、霊芝(0.5重量%)、地黄(0.5重量%)
【0105】
製剤例3:飲料の製造
1.炭酸飲料の製造
砂糖5〜10%、クエン酸0.05〜0.3%、カラメル0.005〜0.02%、ビタミンC0.1〜1%の添加物を混合して、そこに79〜94%の蒸留水を混ぜてシロップを作り、前記シロップを85〜98℃で20〜180秒間殺菌して冷却水と1:4の比率で混合した後、炭酸ガスを0.5〜0.82%注入して本発明のケンボナシ抽出物(またはダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物)を含む炭酸飲料を製造した。
【0106】
2.健康飲料の製造
液状果糖(0.5%)、オリゴ糖(2%)、砂糖(2%)、食塩(0.5%)、水(75%)のような部材料とケンボナシ抽出物(またはダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物)を均質に配合して瞬間殺菌をした後、それをガラス瓶、ペットボトル等の小容器に包装して健康飲料を製造した。
【0107】
3.野菜ジュースの製造
本発明のケンボナシ抽出物(またはダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物)5gをトマトまたはにんじんジュース1,000mlに加えて、健康増進用野菜ジュースを製造した。
【0108】
4.果物ジュースの製造
本発明のケンボナシ抽出物(またはダンコウバイ抽出物またはその混合生薬抽出物)1gをリンゴまたはブドウジュース1,000mlに加えて、健康増進用果物ジュースを製造した。
【0109】
産業上の利用可能性
本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物は、肝機能指標である、GOT、GPT、ALP、BUN、総ビリルビン量が低く現われるので、肝機能改善効果が優秀である。また、ALP、BUN数値は、肝機能のみならず腎臓機能診断指標にも利用されるので、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物は、腎臓機能改善効果も優れていることが分かる。
【0110】
また、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物は、ヒドロキシプロリンの量が肝組織では低く現われて腎臓組織では高く現われるので、抗繊維化効果及び腎臓保護効果が優れている。
【0111】
また、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物は、肝組織及び腎臓組織で脂質過酸化の指標であるマロンジアルデヒドの量が低く現われるので、抗酸化効果が優れている。
【0112】
また、本発明のケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物は、肝細胞株及び腎臓細胞株で細胞生存率が高く現われるので、肝細胞保護及び腎臓細胞保護効果が優れていることが分かる。
【0113】
したがって、本発明の組成物は、抗酸化、抗繊維化、肝機能改善だけではなく、腎臓保護及び腎臓機能改善にも有用に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケンボナシ抽出物を有効成分として含む抗酸化用組成物。
【請求項2】
ダンコウバイ抽出物を有効成分として含む抗酸化用組成物。
【請求項3】
ケンボナシ抽出物とダンコウバイ抽出物の混合生薬抽出物を有効成分として含む抗酸化用組成物。
【請求項4】
前記ケンボナシ抽出物とダンコウバイ抽出物を2:1〜1:1で配合して得る請求項3記載の抗酸化用組成物。
【請求項5】
ケンボナシ抽出物を有効成分として含む抗酸化用組成物。
【請求項6】
ダンコウバイ抽出物を有効成分として含む抗酸化用組成物。
【請求項7】
ケンボナシ抽出物とダンコウバイ抽出物の混合生薬抽出物を有効成分として含む抗酸化用組成物。
【請求項8】
前記ケンボナシ抽出物とダンコウバイ抽出物を2:1〜1:1で配合して得る請求項7記載の抗酸化用組成物。
【請求項9】
ケンボナシ抽出物を有効成分として含む肝機能改善用組成物。
【請求項10】
ダンコウバイ抽出物を有効成分として含む肝機能改善用組成物。
【請求項11】
ケンボナシ抽出物とダンコウバイ抽出物の混合生薬抽出物を有効成分として含む肝機能改善用組成物。
【請求項12】
前記ケンボナシ抽出物とダンコウバイ抽出物を2:1〜1:1で配合して得る請求項11記載の肝機能改善用組成物。
【請求項13】
ケンボナシ抽出物を有効成分として含む腎臓機能改善用組成物。
【請求項14】
ダンコウバイ抽出物を有効成分として含む腎臓機能改善用組成物。
【請求項15】
ケンボナシ抽出物とダンコウバイ抽出物の混合生薬抽出物を有効成分として含む腎臓機能改善用組成物。
【請求項16】
前記ケンボナシ抽出物とダンコウバイ抽出物を2:1〜1:1で配合して得る請求項11記載の腎臓機能改善用組成物。

【公表番号】特表2007−519715(P2007−519715A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550953(P2006−550953)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000283
【国際公開番号】WO2005/072758
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(506260674)
【Fターム(参考)】