説明

ケーキカッター

【課題】ホールケーキからカットケーキを損傷することなく同時に正確に等分割にカットできてケーキの商品価値を損なわないケーキカッターを提供する。
【解決手段】ホールケーキKを載置する台部Aと、ケーキKを多分度に線で切り分ける切断部BとケーキKを上から覆う蓋部Cと、前記各部の各センター位置が共通となるように着脱可能とする着脱手段Dとから成るケーキカッターであって、台部Aは、蓋載置台1と該蓋載置台1上に連結されたケーキ載置板2とから成り、切断部Bは、円形枠体3とその円形枠体3に円周方向等間隔で複数設けた線材係止部4と、該線材係止部4に張架した線材5とから成り、蓋部Cは、円筒部6の天面を天板部7で塞いで成り、着脱手段Dは、台部A、切断部B及び蓋部Cの各センター位置が共通となる位置において、周辺部の各当接対向部位にそれぞれ設けた切欠部9、10と突出折曲部33との組み合わせによる掛止構造8を設けて成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーキカッターに関し、詳しくはケーキ屋等において円柱状のホールケーキを中心から放射状に等分にカットする際に使用するケーキカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーキ屋においてホールケーキを中心から放射状に等分割する際には、人が両手に糸を張り、その糸をケーキの上方から押し下げて切り離す作業を繰り返すことでカットしていたが、目分量であるため、作業をする人には習熟した技能が求められるが、習熟したパティシェであっても、完全に等分割することは不可能であり幾分かの誤差を生じ、均一に分割できない場合もあった。
そこで、熟練したパティシェの技能に頼ることなく、正確かつ簡単にケーキを等分割する器具の出現が望まれていた。
そのための手段として、糸を用いてホールケーキを等間隔にカットする器具としては、下記特許文献1に記載されている「ケーキ用ボックス」や、下記特許文献2に記載されている「等分配器」が提案されている。
また、下記特許文献3には、細長い形状をした本体と、該本体の両端に枢支された1対のアームとが略コ字形に保持され、そのアームの先端間には糸が張架され、これらの複数を、各本体の略中央部分を互いに交差させた状態で保持具により連結保持したケーキカッターが提案されている。このケーキカッターによって、ケーキの中心部を損傷することなく同時に正確且つ簡単に等分割にカットすることが可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−91380号公報
【特許文献2】実開平5−20898号公報
【特許文献3】特開2009−125823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の「ケーキ用ボックス」や、特許文献2の「等分配器」は、いずれも家庭用であり、ケーキ屋で業務用に使用するには、作業能率の点で不充分であり、また、ホールケーキの中心部に糸の一端を接続した支柱を挿入するため、カットしたケーキの中心部が損傷されてしまい、商品としての見栄えが良くないという問題があった。
また、上記特許文献3の「ケーキカッター」は、保持具での連結や角度設定が面倒で、ケーキを糸でカットした後、その糸を外そうとして引上げると、その糸がカットケーキの側面を引き摺るためデコレーションやトッピング材に糸が引っ掛かりカットケーキを破損してしまうため業務用として使用することができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、ケーキ屋で業務用として使用した場合でも、切ったカットケーキを損傷することなく同時に正確に等分割にカットでき、カットケーキの商品価値を損なわず、しかも作業性の優れたケーキカッターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のケーキカッターは、ホールケーキを載置する台部と、該ケーキを多分度に線で切り分ける切断部と、該ケーキ全体を上から覆う蓋部と、前記各部の各センター位置が共通となるように着脱可能とする着脱手段とから成るケーキカッターであって、a)前記台部は、前記ケーキの外径より大きい蓋載置台と、該蓋載置台上に重ねて連結された円形のケーキ載置板とから成り、b)前記切断部は、前記ケーキの外径より大きい内径に形成した円形枠体と、その円形枠体に円周方向等間隔で複数設けた線材係止部と、対向した前記線材係止部に着脱自在に係止して張架した線材とから成り、c)前記蓋部は、前記ケーキの外径より大きい内径を有するとともに前記ケーキの高さよりも高い円筒部の天面を天板部で塞いで成り、d)前記着脱手段は、前記台部、切断部及び蓋部の各センター位置が共通となる位置において、周辺部の各当接対向部位にそれぞれ設けた切欠部と突出折曲部との組み合わせによる掛止構造としたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記掛止構造を、台部、切断部及び蓋部に各センター位置を貫通する中心軸孔を設けて該中心軸孔にセンター軸ネジを貫着し、相互に回転可能に枢支するとともに、各センター位置を中心とした相互の回転により各周辺部を着脱可能とした掛止構造としたことを特徴とする
【0008】
請求項3に記載の発明は、上記各発明において、前記台部の外周の中心線対向部位に直接又は取っ手保持台を介して放射方向に突出した一対の取っ手を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、上記各発明において、各取っ手の両側に細長い引出しガイド孔を有する取っ手側枠を一体的に設け、台部下の取っ手保持台に形成した取っ手挟持枠の台部外周からの突出部位に設けたスライド保持鋲をガイドとして、前記取っ手側枠を放射方向水平にスライドさせることで、取っ手を出没可能としたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、上記発明において、前記取っ手側枠の引出しガイド孔を取っ手側枠の基端部近くまで開設し、前記取っ手側枠を上方へ角度90度まで回動可能に設け、直立した前記取っ手側枠の直立保持機構を前記取っ手挟持枠との間に設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、上記各発明において、前記線材に複数の細いワイヤーを用い、各ワイヤーの中央の交差部分を1点に巻いて止めたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、上記各発明において、前記切断部が、円形枠体の周囲に備えた前記線材係止部より内側の円形枠体上に線材挿通孔を貫設するとともに該線材挿通孔に線材を、センター側が下で外側が上になるように挿通して前記線材係止部に止めたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のケーキカッターは、前記台部にはホールケーキを丸ごと載置台上に連結された円形のケーキ載置板に載置し、切断部に複数放射状に張架した線材を、前記ホールのケーキの上に押しつけて台部にまで下げることにより、作業に特別の熟練技能を必要とすることなく、一度の作業で複数のカットケーキを確実に当分度で均等な量にカットすることが可能となる。
そして、カット後に、線材は上に持ち上げずに、ケーキ載置板の上に切断部をそのまま載せ置いたままで、カットされたカットケーキを皿等に移し変えて取り置くことができるので、カットケーキのカット面の損傷が起こらず、見栄えの良い状態で提供することが可能となる。
また、台部に載せたケーキは、着脱手段によって蓋部を被せ置き、各センター位置が共通となるように中央合わせて固定することが可能となるので、ケーキはカットする前でも、また後でも、台部に載置したまま、蓋部を被せて覆おうここができ、持ち運びする際に傾いたり、ずり落ちたりさせずにテーブル間を安心して移動でき、また、そのままで衛生的に且つ表面の乾燥を起こさせずに保管することが容易となる。
そして、いつでもしっとりとして美味しいケーキを味わうことが可能となる。
【0014】
また、前記切断部の円形枠体に円周方向等間隔で複数設けた線材係止部には線材を自由に張ることができるが、対向した前記線材係止部に、ケーキを分配する数に応じて等間隔に線材を張架すれば、カットケーキを全て均等な大きさに揃えてカットすることが可能となる。
なお、台部にはホールケーキがそのまま丸ごと載置可能なので、ケーキを製作するときには、蓋部を載せずに、台部上の円柱形のケーキをそのままでデコイレーション作業をすることが可能となる。
【0015】
請求項2に記載の発明では、前記台部、切断部及び蓋部に各センター位置を貫通する中心軸孔設けて該中心軸孔にセンター軸ネジを貫着して、各部が相互に回転可能に枢支されるので、ケーキ載置板がセンター位置を中心にターンテーブルのように回転できようになる。
ケーキをカットするときには、センター位置を中心としてホールケーキを回転させて、切断部でカットする作業や、ケーキサーバーで取り分けする作業を一箇所の座り位置で人が場所の移動をせずに、行うことが可能となるので、無理な姿勢による作業はなくなり均等で綺麗なカットケーキが得られる。
また、ケーキを製作するときにも、人が場所の移動をせずにケーキの方を回転させつつ生クリームの塗りつけなどのケーキ製作作業を楽に行うことが可能となる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、前記台部の外周の中心線対向部位に放射方向に突出した一対の取っ手を設けることによって、取っ手を持てば自動的に台部を水平にして持ち上げることが可能となり、ケーキを傾かせずに安定的に持ち運びすることが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、前記取っ手が台部下の取っ手挟持枠のスライド保持鋲をガイドとして放射方向水平に出没できるので、持ち運びするときには引出して使い、運ばずに置くときには台部下に没入して置くことができるので、狭いテーブルに置いたときに嵩張らずに置くことができる。
【0018】
請求項5に記載の発明では、前記取っ手を水平方向から上方へ回動させたときに、直立保持機構によって、台部に対して取っ手側枠を直立状態に支持し、その状態を保持しておくことができ、ケーキを載せて持ち運ぶ際に、持ち位置よりも重心が低い位置になるので吊るようにして安定的に持ち運ぶことが可能となる。
【0019】
請求項6に記載の発明では、前記線材に複数の細いワイヤーを用いるとで、各ワイヤーの中央の交差部分を1点に巻いて止めても団子状にならず、押し切るときにホールケーキの中央部分に対する大きな切断抵抗となるのを避け、カットされたカットケーキの鋭角となった先端部分の破損を最小限に抑えることが可能となる。
【0020】
請求項7に記載の発明では、前記切断部の円形枠体の線材挿通孔に対して、線材を、中央側が円形枠体の下から出るように挿通させることで、切断部を台部に載せたとき線材がケーキ載置板の上に隙間なく密着状態に当接させることが可能となる。したがって、ケーキ載置板の上面に接したケーキの最下部までを完全に線材で綺麗にカットするこが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の前記台部、切断部及び蓋部を離した状態を示す斜視図である。
【図2】蓋部を離して台部と切断部を重ねた状態を示す斜視図である。
【図3】前記台部、切断部及び蓋部を重ねた状態を示す斜視図である。
【図4】別態様の切断部を示す斜視図である。
【図5】取っ手を引っ込めた状態を示す台部の斜め下から見た斜視図である。
【図6】取っ手を引出した状態を示す台部の斜め下から見た斜視図である。
【図7】取っ手を上に折り曲げた状態を示す台部の斜め下から見た斜視図である。
【図8】取っ手部分を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図に基づいて本発明の実施形態を説明する。
本発明のケーキカッターは、図1に示すように、ホールケーキKを載置する台部Aと、該ケーキKを多分度に線で切り分ける切断部Bと、該ケーキ全体を上から覆う蓋部Cと、前記各部の各センター位置が共通となるように着脱可能とする着脱手段Dとで構成する。
【0023】
前記台部Aは、前記ケーキKの外径より大きいステンレス製の蓋載置台1と、該蓋載置台1上に重ねて連結された円形のステンレス製のケーキ載置板2とから成る。
前記ケーキ載置板2の外径は前記ケーキKの外径より大きく、且つ前記蓋載置台1より小径とする。
即ち、前記蓋載置台1上に前記ケーキ載置板2が厚み分の段差を持って載せられる。
これは、ケーキ載置板2に線材5を載せたときに、ケーキ載置板2に線材5との間に隙間ができないように密接させるための段差であり、これによってケーキをカットしたときにケーキの下側まで綺麗にカットができるようになる。
なお、図示しないが、前記蓋載置台1とケーキ載置板2とは一枚のステンレス板で一体形成することも可能である。
【0024】
前記切断部Bは、前記ケーキKの外径より大きい内径に形成したステンレス製の円形枠体3と、その円形枠体3に円周方向等間隔で複数設けた線材係止部4と、対向した前記線材係止部4に着脱自在に係止して張架した線材5とから成る。
前記線材5は引っ張り強度の高いものを用い、弛まないように適度なテンションを付与する。
また該線材5は、ケーキをカットする刃の如きものとして用いるので、太いとケーキが潰れてしまうので、できるだけ細いナイロン製の糸や金属製のワイヤー5b等を使用することが好ましい。
例えば、図1に示すように、細いワイヤー5bを使用した場合、片方を先に線材押さえネジ13で線材係止部4に固定しておき、もう一方を引っ張った状態で線材押さえネジ13を締めて固定することで適度なテンションを付与することが可能となる。
【0025】
前記線材係止部4は、図1に示すように、ステンレス製の円形枠体3の外周に周方向等間隔に複数突出させて、この突出部分を上に折り曲げて線材係止部の取付け片11を形成し、これにネジ孔12を設けて前記線材係止部の取付け片11のネジ孔12に線材押さえネジ13を外側から螺着可能とする態様が可能である。
この態様では、線材押さえネジ13の頭側に該線材5を引きつつテンションを与えて巻き、前記線材押さえネジ13を締め付けて張架した線材5の端部を固定する。
【0026】
また、用いる線材5は、複数の細いワイヤー5bを用いた場合、各ワイヤー5bの中央の交差部分5aを1点に巻くと、その巻き目が大きな塊にはならずに止めることができる。
こうすれば、各ワイヤー5bの中央の交差部分5aを1点に巻いて止めても団子状にならず、ケーキを押し切るときにホールケーキKの中央部分に対する大きな切断抵抗となるのが避がれ、カットされたカットケーキの鋭角な先端部分の破損を最小限に抑えることが可能となる。
【0027】
そして、前記線材5を4本用いたときには、その取付けは中心の角度は、図1に示すように、45度にすれば8個の割付が均等にでき、また、図4に示すように、60度にすれば6個の割付が均等にできる。なお、この割付数は限定されるものではなく、例えば、4個とする場合では90度にし、また3個とする場合には120度にすることが可能である。
この線材5の固定方法については、V溝に結び目を掛けて止める方法や、縛り付ける方法など各種方法が可能であるので、本発明ではそのうち1つの方法に限定するものではない。
【0028】
また、前記切断部Bには、円形枠体3の周囲に、前記線材係止部4より内側の円形枠体4上に線材挿通孔28を貫設する。そして該線材挿通孔28に線材5を円形枠体3の下側から上側に通して前記線材係止部4に固定する。
即ち、前記切断部Bの円形枠体3の線材挿通孔28に対して、線材5の中央側が円形枠体3の下から出るように挿通される。このため、図2に示すように、ケーキをカットする線材5の中央側が、切断部Bを台部Aに載せたときケーキ載置板2の上に密着状態に当接させせることができ、前記ケーキ載置板2の上面に乗って接したケーキの最下部までを完全にカットするこが可能となる。
【0029】
前記蓋部Cは、図1に示すように、前記ホールケーキKの外径より大きい内径を有するとともに前記ホールケーキKの高さよりも高い円筒部6の天面を天板部7で塞いだものである。
その材質は、ステンレスやアクリル樹脂などの合成樹脂が強度的にも適している。また透明なアクリル樹脂を用いれば、内部のケーキを見ることができて、食欲を刺激し美味しく食べることができる。
その上部中央にはつまみ30を形成し、手で摘み上げることができるようにすると、該蓋部Cの開閉を衛生的に行うことができるようになるので好ましい。
また、ステンレス製の場合は前記蓋部の開口部29の外周側に直接環状のフランジ31を形成し、アクリル樹脂製の場合は、前記蓋部の開口部29には外周側に環状に形成したステンレス製のフランジ31を配し、フック32で固定する。
このフランジ31のフック32による取り付け方は、蓋部Cの開口部29寄りに孔又は溝を設けてフック32に設けた突起をその孔又は溝に嵌合させることで蓋部Cの開口部29にフランジ31を固定する。
【0030】
前記着脱手段Dは、前記台部A、切断部B及び蓋部Cの各センター位置(図1中センター線Xで示した位置)が共通となる位置において、図1に示すように、周辺部の各当接対向部位にそれぞれ設けた切欠部9、10と突出折曲部33との組み合わせによる掛止構造8を用いる。
【0031】
そのために、前記台部Aを、前記センター位置を貫通する中心軸孔(図1中のセンター軸ネジ26に隠れた部分に形成された中心軸孔34)を設けて該中心軸孔34にセンター軸ネジ26を貫着し、相互に回転可能に枢支する。この態様の場合では、ターンテーブルのようにテーブル上に置いたままでケーキ載置板2の回転が可能となる。そして前記掛止構造8は該台部Aの上に切断部B及び蓋部Cが中心各センター位置を中心とした相互の回転により各周辺部で着脱可能とする。
なお、ケーキ載置板2の板面上は突起物がないように、図2に示すように、ネジ頭は上面下に埋設して差込み、図6に示すように、蓋載置台1とケーキ載置板2とを、前記蓋載置台1の下からワッシャー27を介してナットで止めると良い。
【0032】
この掛止構造8をさらに詳述すると、例えば、図3に示すように、周辺部の各当接対向部位において、前記台部Aの切欠部10と、切断部Bの切欠部9と、蓋部Cの突出折曲部33とを関連して組み合わせた構造とする。
図1示すように、前記台部Aと切断部Bとに重なるように切欠部10、9を設け、この切欠部10、9に通過可能な突出折曲部33を蓋部Cの対応位置に設け、前記蓋部Cの突出折曲部33はフック32の下部に前記台部Aと切断部Bの板厚分突出し、そこからさらに内向きに屈曲させて形成する。
この構造では、前記台部Aに対して、切断部Bのセンター位置と蓋部Cのセンター位置を一致させ、前記台部Aと切断部Bの切欠部10、9の位置を合わせ、さらに前記蓋部Cの突出折曲部33を切欠部10、9内に落とし込みんで回転させると、切欠部9、10にある蓋部Cの突出折曲部33が横ずれる移動をし、フック32の下部の突出折曲部33が前記台部Aと切断部Bの板面を挟んで、前記台部Aの前記蓋載置台1の外周と、切断部Bの円形枠体3の外周と、蓋部Cのフランジ31部分とを密着状態に固定させることができる。
【0033】
なお、前記掛止構造8は、この他にもネジ止め、ピン止めなど各種の掛止構造が可能である。
【0034】
また、台部Aの蓋載置台1外周の中心線対向部位には、図5に示すように、取っ手保持台15を介して放射方向に突出した一対の取っ手14を設けることができる。
なお、取っ手14は前記蓋載置台1の外周に直接固定しても良い。
また、前記取っ手保持台15は、前記蓋載置台1とケーキ載置板2とに、前記センター位置を貫通する中心軸孔を設けて該中心軸孔にセンター軸ネジ26を貫着し、相互に回転可能に枢支する。この際、センター軸ネジ26を前記取っ手保持台15の下からワッシャー27を介してナットで止めると良い。
【0035】
前記取っ手14を前記蓋載置台1に取っ手保持台15を介して設ける場合には、前記台部Aの前記蓋載置台1下の取っ手保持台15をガイドとして、このガイドに拘束された各取っ手14の両側に設けた取っ手側枠16を放射方向に出没させて、前記取っ手14を出没させることができる。
この取っ手14を前記取っ手保持台15に出没させる構造は、図5及び図6に示すように、前記取っ手保持台15に枠縦面16aと枠横面16bを内側に屈曲させて形成した取っ手挟持枠16を、前記蓋載置台1の外周から先端部が突き出るように形成する。
なお、取っ手保持台15本体には、図8に示すように、両取っ手挟持枠16の間の板面から横方向に突出させた水平支持部25を一体的に設けて、水平面に接するように設けられた該水平支持部25、25部分と前記取っ手挟持枠16の枠横面16b、16b部分の4箇所で安定して台部Aの水平状態が保てるようにする。
【0036】
そして、前記取っ手挟持枠16の枠縦面16aと枠横面16bの先端側には、前記取っ手14の両側端を一体的に固定する。
また両側の取っ手側枠17の板面中央には長手方向に細長い引出しガイド孔18を設け、他方、前記蓋載置台1の外周から突出した両前記取っ手挟持枠16の枠横面16b部分の先端部には前記引出しガイド孔18に向けて突出したスライド保持鋲19を設けて、前記ガイド孔18内にスライド保持鋲19を嵌めて、前記取っ手14を引出しガイド孔18の案内されて水平方向に出没できるようにする。
【0037】
また、上記構造においては、図7に示すように、台部Aの前記蓋載置台1の外周から突出して設けられたスライド保持鋲19を中心に、該スライド保持鋲19を前記引出しガイド孔18で挟んだ取っ手側枠17が水平方向から上方へと回動させることが可能となる。
一旦直立させた取っ手側枠17は、そのままでは倒れてしまうので、該取っ手挟持枠16の直立状態を保持させるための直立保持機構35を設ける。
【0038】
前記直立保持機構35は、前記取っ手14の取っ手側枠17の後端部と、前記取っ手保持台15の取っ手挟持枠16との間に設けられ、図7及び図8に示すように、前記取っ手挟持枠16の後端部には枠縦面16aの端部を内側に屈曲させて球体保持板20を形成し、該球体保持板20の後方に向けて球体支持体22を設ける。該球体支持体22には先端には球体嵌合孔23を形成し、該球体嵌合孔23に球体21を落とし込んで固定する。
【0039】
また、前記取っ手側枠17が前記直立保持機構35によって直立状態に保持されているとき、前記台部Aと切断部Bとを前記取っ手側枠17で押さえつけて動かないように固定することが可能である。
この構造としては、例えば、図7に示すように、台部Aの蓋載置台1と切断部Bの円形枠体3の周囲を、前記取っ手側枠17に設けた押さえ板24で上から押さえる構造とすることが可能である。
この構造では、図7に示すように、直立した状態となった前記取っ手側枠17の内側の下方に向けて前記取っ手側枠17の中間部位にバネ板を屈折させた押さえ板24を固定ネジ24aで固定する。
この押さえ板24の先端は前記切断部Bの円形枠体3の周囲上面に当たる位置になるように設ける。
【0040】
前記押さえ板24で確実に押さえるために、前記切断部Bの円形枠体3外周側の一部に押さえ板受け用突出板36を突出させておけば、前記押さえ板24に対して押さえ板受け用突出板36部分を確実に押し当てることができ、前記取っ手側枠17を直立させたとき、台部Aと切断部Bとを円形枠体3の上から押さえて固定することが可能となる。
【0041】
なお、台部Aの蓋載置台1にも前記押さえ板受け用突出板36と上下重なるように同様の押さえ板受け用突出板を設ければ、前記押さえ板受け用突出板36と一緒に同じ位置に切欠部9、10を容易に合わせることができるので好ましい。
【0042】
次に本発明の使用方法を説明する。
【0043】
先ず、図1に示すように、台部Aのケーキ載置板2の上に中心に位置を合わせてホールケーキKを載せる。
次に、図2に示すように、ケーキ載置板2の上に載置したままケーキKの上方から、切断部Bを線材5の中心部をセンターに合わせて垂直に押し下げる。これで図2に示すように、そのまま切断部Bをケーキ載置板2の上に当たるまで下げると8等分にカットしたカットケーキが得られる。
その後、切断部Bは持ち上げないで、ケーキサーバー当でカットケーキを各個取り分ける。
その際、台部Aはターンテーブルのように使用して回転させることができる形態では、ケーキ載置板2を、取り分けるカットケーキが手前に来るように回転させて取りやすい位置で取り分けることが可能となる。
このため、ケーキ載置板2を回してから、順次カットケーキを取り出し、各自の皿上に運んで載せる。
【0044】
残ったカットケーキは、図3に示すように、蓋部Cを被せて、前記掛止構造8により蓋部Cを台部Aの蓋載置台1に固定する。この状態の中にケーキを置けば乾燥させずに衛生的に保管できる。
【0045】
また、図3に示すように、ホールケーキを運ぶときには、取っ手14を台部Aの下から引出して、上に回動して取っ手側枠17を直立させると、取っ手14を持って吊り下げるようにして安定状態で運ぶことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、ホールケーキのカット以外に、プリン、ゼリー、ピザ、パン等の円柱状を成す食品の切り分けにも使用が可能である。
【符号の説明】
【0047】
K ケーキ
A 台部
B 切断部
C 蓋部
D 着脱手段
X センター線
1 蓋載置板
2 ケーキ載置板
3 円形枠体
4 線材係止部
5 線材
5a 線材の交差部分
5b ワイヤー
6 円筒部
7 天板部
8 掛止構造
9 切欠部
10 切欠部
11 線材係止部の取付け片
12 ネジ孔
13 線材押さえネジ
14 取っ手
15 取っ手保持台
16 取っ手挟持枠
16a 枠縦面
16b 枠横面
17 取っ手側枠
18 引出しガイド孔
19 スライド保持鋲
20 球体保持板
21 球体
22 球体支持体
23 球体嵌合孔
24 押さえ板
24a 固定ネジ
25 水平支持部
26 センター軸ネジ
27 ワッシャー
28 線材挿通孔
29 開口部
30 つまみ
31 フランジ
32 フック
33 突出折曲部
34 中心軸孔
35 直立保持機構
36 押さえ板受け用突出板
37 固定ネジ
38 固定ナット
39 ネジ孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホールケーキを載置する台部と、該ケーキを多分度に線で切り分ける切断部と、該ケーキ全体を上から覆う蓋部と、前記各部の各センター位置が共通となるように着脱可能とする着脱手段とから成るケーキカッターであって、
a)前記台部は、前記ケーキの外径より大きい蓋載置台と、該蓋載置台上に重ねて連結された円形のケーキ載置板とから成り、
b)前記切断部は、前記ケーキの外径より大きい内径に形成した円形枠体と、その円形枠体に円周方向等間隔で複数設けた線材係止部と、対向した前記線材係止部に着脱自在に係止して張架した線材とから成り、
c)前記蓋部は、前記ケーキの外径より大きい内径を有するとともに前記ケーキの高さよりも高い円筒部の天面を天板部で塞いで成り、
d)前記着脱手段は、前記台部、切断部及び蓋部の各センター位置が共通となる位置において、周辺部の各当接対向部位にそれぞれ設けた切欠部と突出折曲部との組み合わせによる掛止構造とした、
ことを特徴とするケーキカッター。
【請求項2】
掛止構造を、台部、切断部及び蓋部に各センター位置を貫通する中心軸孔を設けて該中心軸孔にセンター軸ネジを貫着し、相互に回転可能に枢支するとともに、各センター位置を中心とした相互の回転により各周辺部を着脱可能とした掛止構造としたことを特徴とする請求項1に記載のケーキカッター。
【請求項3】
台部の外周の中心線対向部位に直接又は取っ手保持台を介して放射方向に突出した一対の取っ手を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のケーキカッター。
【請求項4】
各取っ手の両側に細長い引出しガイド孔を有する取っ手側枠を一体的に設け、台部下の取っ手保持台に形成した取っ手挟持枠の台部外周からの突出部位に設けたスライド保持鋲をガイドとして、前記取っ手側枠を放射方向水平にスライドさせることで、取っ手を出没可能としたことを特徴とする請求項3に記載のケーキカッター。
【請求項5】
取っ手側枠の引出しガイド孔を取っ手側枠の基端部近くまで開設し、前記取っ手側枠を上方へ角度90度まで回動可能に設け、直立した前記取っ手側枠の直立保持機構を前記取っ手挟持枠との間に設けたことを特徴とする請求項4に記載のケーキカッター。
【請求項6】
線材に複数の細いワイヤーを用い、各ワイヤーの中央の交差部分を1点に巻いて止めたことを特徴とする請求項1から5のうちのいずれかに記載のケーキカッター。
【請求項7】
切断部が、円形枠体の周囲に備えた前記線材係止部より内側の円形枠体上に線材挿通孔を貫設するとともに該線材挿通孔に線材を、センター側が下で外側が上になるように挿通して前記線材係止部に止めたことを特徴とする請求項1から6のうちのいずれかに記載のケーキカッター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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