説明

ケーソン構造およびケーソン構造を地下に精確に沈設する方法

ケーソン構造(100)は密閉される井戸壁(102)を含み、該井戸壁(120)は内壁面(110)および該内壁面(110)に相対する外壁面(108)を含む。前記内壁面(110)の間には水平面および縦方向面内で相互に交叉する複数のベースフレーム梁(106,104)及び井戸壁(102)の最下端に近付いたベースフレーム梁(126)が設けられている。前記内壁面(110)上には同じ高さの複数の内側支持ブロック(114)が形成されており、前記外壁面(108)には同じ高さの複数の外側支持ブロック(112)が形成されており、かつ、外側支持ブロック(112)が内側支持ブロック(114)より高くなっており、前記ベースフレーム梁(126)の底面は刃先がない平面であり、井戸壁の最下端には斜面を有する刃先(128)が形成されている。本発明はケーソン構造を正確に地下に沈設する方法を更に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造および施工方法に関し、特に、ケーソン構造および当該ケーソン構造を安定に地下に沈設する施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーソンは地下空間構造物又は高層建築の基礎又は深層坑支保施工に使用される構造であり、独特な工程応用条件を持っている。例えば、一般的に良質な硬土地質条件では、ケーソン技術を採用しなくてその他の床掘り施工技術方法を採用したほうがもっと経済的である。しかし、柔らかい地層では、地層が柔らかくて安定性が低いため、一般的な床掘り支保構造にすると高い支保費用が掛かると共に、施工の時間が長くなり、施工のリスクも高くなる。
【0003】
そのため、ケーソンは河とか海などの柔らかい地層条件での施工に幅広く応用されている。しかし、ケーソンが柔らかい地層条件での施工に応用されるに当たって、設計及び施工操作が不適切である場合、ケーソンの突出、ケーソンの過沈下問題、中心ズレ、平面回転、ケーソンの縦方向歪み、変形断裂、ケーソン内部への土入り、ケーソン外部の潰れなどの重大な安全および品質問題が起こり易い。その主な理由としては、ケーソンのある部位(例えば、長方形ケーソンの対角線)の縦方向の平面剛性(または、最小の縦方向の断面捩り剛性)の先天的な欠点があるためである。また、従来のケーソン構造及びその施工方法では、ケーソンの工程上の安定的な沈下を保障することができないためである。そのため、実際施工工程において、数多くのケーソンには歪み問題が発生し、施工における危険性も高い。沈下過程において、絶えずに修正することによりケーソンのバランスを取るが、これは施工の難度を高めることになり、施工の工期を延ばし、コストアップの結果に至る。このような伝統技術の欠点はケーソン施工において、長期に渡って解決できなかった問題であった。
【0004】
ケーソンを利用して施工する方法により深層坑支保施工を行うことは長い間研究したテーマである。しかし、現在の最大面積を有するケーソンであっても中小規模面積の床掘り施工にしか利用できない。従来において、更に大きい面積、更に大きい円状直径、更に大きい長方形、更に大きい内部分格サイズ、更に複雑な形の非対称の平面形状を有するケーソンを作るのは極めて難しいことである。これはケーソンの自身剛性が足りなくて、安定的に沈下しかつ精確に沈下完了できない特性により決められ、従って、ケーソンの大面積化、平面形状複雑化、コストタウンが難しくなり、ケーソンの応用も制限されている。これらはケーソンの設計と応用において長い間解決できなかった課題でもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的はケーソン構造を提供することにあり、伝統的なケーソン構造上に均一に分布された支持ブロックを設置することにより本発明のケーソン構造を形成し、支持杭体とジャッキを均一に分布かつ支持させることにより、ケーソン構造に対する剛性要求を大幅に低減させることができ、ケーソン構造の変形又は断裂を防止し、施工および使用の安全性を高める。
【0006】
本発明のもう1つの目的はケーソン構造を安定かつ精確に地下に沈設する施工方法を提供することにあり、当該方法によれば、ケーソンを制御しながら精確に地下に沈設することができ、伝統的な施工方法におけるケーソンの突出、ケーソンの過沈下問題、中心ズレ、平面回転、ケーソンの縦方向歪み、変形断裂、ケーソン内部への土入り、ケーソン外部の潰れなどの重大な安全および品質問題を回避することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のケーソン構造は、内壁面と当該内壁面に対向している外壁面を有する、閉合された井戸壁を備えており、前記内壁面の間には、水平面および垂直面内で相互交差するフレーム梁および井戸壁の最下端に近付いたベースフレーム梁が複数設置されている。前記内壁面には同一高さの内側支持ブロックが複数形成され、前記外壁面には同一高さの外側支持ブロックが複数形成され、かつ外側支持ブロックは内側支持ブロックより高く設置されており、前記ベースフレーム梁の底面は刃先がない平面であり、前記井戸壁の最下端には斜面を有する刃先が形成されている。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明に係るケーソン構造を地下に精確に沈設する方法は、下記のようなステップを備えている。
【0009】
(1)施工領域を選び、当該施工領域内に、複数の支持杭体を、その一部の長さが当該施工領域の地面上に露出するように打ち込むステップ;
【0010】
(2)前記施工領域内にケーソン構造を構築し、当該ケーソン構造は、内壁面と当該内壁面に対向している外壁面を有する、閉合された井戸壁を備えており、前記内壁面の間には、水平面および垂直面内で相互交差するフレーム梁および井戸壁の最下端に近付いたベースフレーム梁が複数設置されているケーソン構造であって、前記内壁面には同一高さの内側支持ブロックが複数形成され、前記外壁面には同一高さの外側支持ブロックが複数形成され、かつ外側支持ブロックは内側支持ブロックより高く設置されており、前記ベースフレーム梁の底面は刃先がない平面であり、かつ、当該ケーソン構造のベースフレーム梁および内側支持ブロックは、ジャッキを介して、前記施工領域内の一部の支持杭体上にそれぞれ支持され、当該ケーソン構造の外側支持ブロックは、縦方向に積層された一組のパッドブロックおよび最下端のパッドブロックの下方に支持されたジャッキを介して、前記施工領域の一部の支持杭体上に支持されており、縦方向に積層された複数のパッドブロックの周辺には、当該パッドブロックの位置を制限して、当該パッドブロックを縦方向のみで運動させるストッパー装置が設置されており、前記ベースフレーム梁および前記内側支持ブロックを支持する支持杭体およびジャッキは、それぞれ内部支持杭体および内部ジャッキを構成し、前記外側支持ブロックを支持する支持杭体およびジャッキは、それぞれ外部支持杭体および外部ジャッキを構成し、すべての内部ジャッキおよび外部ジャッキ中の各々は、台座および当該台座内で所定ストロークの伸縮が可能な支え棒を有し、すべてのジャッキの支え棒は初期には伸長状態となっており、すべての内部ジャッキの支え棒の上端は、内側支持ブロックおよびベースフレーム梁に固定されかつその下に懸垂しており、すべての内部ジャッキおよび外部ジャッキを、全体的に、交互する第1バッチのジャッキと第2のジャッキとに分けるステップ;
【0011】
(3)すべての内外部ジャッキを、各々のジャッキの支え棒が台座へ所定の距離が縮むように操作し、かつ前記支え棒と前記台座との間に30mm以上の行程隙間を保留して、ケーソンを、施工領域内で一回目に所定の深さまで沈設し、井戸壁の刃先を地下に挿入するステップ;
【0012】
(4)前記第1バッチのジャッキを20〜50mm縮むように操作して、ケーソンのすべての負荷を前記第2バッチのジャッキに集中させ、当該第1バッチのジャッキを無負荷状態としてから、当該第1バッチのジャッキの各外側支持ブロックと対応する外部ジャッキとの間に設置されている一組のパッドブロックのうちで、一番高いパッドブロックを抜き出し、その後、前記第1バッチのジャッキ中の各外部ジャッキを、その各々の支え棒が台座に対して上に向かって伸長するように操作して、当該組における残りパッドブロック中の最上端に位置するパッドブロックと外側支持ブロックとを接触させ、かつ両方を互いに緊密に押し付け、その後、前記第1バッチのジャッキ中の内部ジャッキの下に位置する内部支持杭体を一定の長さに切断して、第1バッチのジャッキ中の内部ジャッキの台座と切断後の残りの内部支持杭体との間に大きい隙間を形成させ、そして、第1バッチのジャッキ中の各内部ジャッキの台座が支え棒に対して下に向かってドロップするように、その内部ジャッキの各々を操作して、第1バッチのジャッキ中の内部ジャッキの台座と切断後の残りの内部支持杭体とを互いに緊密に押し付けて、ケーソンのすべての負荷を、第1バッチおよび第2バッチのジャッキ上に集中させるステップ;
【0013】
(5)第2バッチのジャッキを操作して20〜50mm縮むように操作して、ケーソンのすべての負荷を前記第1バッチのジャッキに集中させ、当該第2バッチのジャッキを無負荷状態としてから、当該第2バッチのジャッキの各外側支持ブロックと対応する外部ジャッキとの間に設置されている一組のパッドブロックのうちで、一番高いパッドブロックを抜き出し、その後、前記第2バッチのジャッキ中の各外部ジャッキを、その各々の支え棒が台座に対して上に向かって伸長するように操作して、当該組における残りパッドブロック中の最上端に位置するパッドブロックと外側支持ブロックとを接触させ、かつ両方を互いに緊密に押し付け、その後、前記第2バッチのジャッキ中の内部ジャッキの下に位置する内部支持杭体を一定の長さに切断して、第2バッチのジャッキ中の内部ジャッキの台座と切断後の残りの内部支持杭体との間に大きい隙間を形成させ、そして、第2バッチのジャッキ中の各内部ジャッキの台座が支え棒に対して下に向かってドロップするように、その内部ジャッキの各々を操作して、第2バッチのジャッキ中の内部ジャッキの台座と切断後の残りの内部支持杭体とを互いに緊密に押し付けて、ケーソンのすべての負荷を、第1バッチおよび第2バッチのジャッキ上に集中させるステップ;
(6)各外部ジャッキの支え棒の周辺に位置しているストッパー装置を取り外すステップと;
【0014】
(7)各ジャッキの支え棒がすべて台座に向かって一定の距離を縮むように、すべての内部および外部ジャッキを操作して、支え棒と台座との間に30mm以上の行程隙間を保留させて、ケーソンを、施工領域内で再び所定の深さまで沈設するステップ;
【0015】
(8)ケーソンのボトムにある土を一層抉り出して、各内部支持杭体の一部を土から露出させるステップ;
【0016】
(9)ケーソンが次々に沈設されるように、かつ各外部ジャッキ上のパッドブロックがすべて抜き出されるまで、ステップ(4)、(5)、(6)、(7)および(8)を順に繰り返して行って、各外部ジャッキを、対応する外側支持ブロックに直接押しつけるステップ;
【0017】
(10)すべての内部および外部ジャッキを、各ジャッキの支え棒が台座に向かって漸次に縮まれるように操作して、ケーソンを所定の深さまで漸次に沈みこむステップ;
【0018】
(11)ジャッキを回分的に取り外し、且つ、すべての支持杭体の頂部に、支持台のコンクリートを、当該すべての支持杭体の頂部が支持台のコンクリートによりケーソンを支持するまで打設させて、精確に最終の沈設を実現するステップ。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ケーソンの適切な部位に複数の支持ブロック及び支点を設置したため、ケーソンが支持杭体とジャッキにより均一に支持されることができ、ケーソン構造の剛性要求を大幅に低減し、ケーソン構造の変形又は断裂を防止し、施工および使用の安全性を高める。また、支持ブロック及び支点と、ジャッキ及び管杭とを互いに組み合わせて操作する施工方法を採用することにより、ケーソンを制御しながら精確に予定の地下の深さまでに沈設することができ、伝統的な施工方法におけるケーソンの突出、ケーソンの過沈下問題、中心ズレ、平面回転、ケーソンの縦方向歪み、変形断裂、ケーソン内部への土入り、ケーソン外部の潰れなどの重大な安全および品質問題を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明に係るケーソン100の上平面を示す構造図であって、支持杭体全体のがケーソン平面上の分布位置および支持杭体とケーソンとの係合関係を示している。
【図2】図2は、図1に示されたケーソンの正面立面図であって、井戸壁の外壁面の外側支持ブロックとパッドブロックおよび地下に打設された対応する管杭との係合関係を示している。
【図3】図3は、図1に示されたケーソンのB〜B断面の構造図であって、刃先と地面との係合状況、およびケーソンのベースフレーム梁と地下に打設された対応する管杭との係合関係を示している。
【図4】図4は、図3に示されたケーソンのA〜A断面を示す構造図である。
【図5】図5は、図1に示されたケーソンのC〜C断面を示す構造図である。
【図6】図6は、図2に示されたケーソンの一部の外側支持ブロックおよびパッドブロックおよびジャッキおよび地下に打設された管杭の係合関係を局部的に示す図である。
【図7】図7は、図6に示された構成のE〜E断面を示す構造図である。
【図8】図8は、図6に示された構成のD〜D断面を示す構造図である。
【図9】図9は、図8に示されたガイドパッドレールの立面構造図である。
【図10】図10は、図6に示されたパッドブロックの平面構造図である。
【図11】図11は、図6に示されたストッパー板の立面構造図である。
【図12a】図1〜図11に示されたケーソンを地下に打設する途中の外側支持ブロック、パッドブロック、ジャッキおよび対応する管杭の変化状況を順に示す図である。
【図12b】図1〜図11に示されたケーソンを地下に打設する途中の外側支持ブロック、パッドブロック、ジャッキおよび対応する管杭の変化状況を順に示す図である。
【図12c】図1〜図11に示されたケーソンを地下に打設する途中の外側支持ブロック、パッドブロック、ジャッキおよび対応する管杭の変化状況を順に示す図である。
【図12d】図1〜図11に示されたケーソンを地下に打設する途中の外側支持ブロック、パッドブロック、ジャッキおよび対応する管杭の変化状況を順に示す図である。
【図13a】図1〜図11に示されたケーソンを地下に打設する途中の外側支持ブロック、パッドブロック、ジャッキおよび対応する管杭の変化状況を順に示し、ケーソンのベースフレーム梁の下にあるジャッキとジャッキを支持する管杭の変化状況を示す図である。
【図13b】図1〜図11に示されたケーソンを地下に打設する途中の外側支持ブロック、パッドブロック、ジャッキおよび対応する管杭の変化状況を順に示し、ケーソンのベースフレーム梁の下にあるジャッキとジャッキを支持する管杭の変化状況を示す図である。
【図13c】図1〜図11に示されたケーソンを地下に打設する途中の外側支持ブロック、パッドブロック、ジャッキおよび対応する管杭の変化状況を順に示し、ケーソンのベースフレーム梁の下にあるジャッキとジャッキを支持する管杭の変化状況を示す図である。
【図13d】図1〜図11に示されたケーソンを地下に打設する途中の外側支持ブロック、パッドブロック、ジャッキおよび対応する管杭の変化状況を順に示し、ケーソンのベースフレーム梁の下にあるジャッキとジャッキを支持する管杭の変化状況を示す図である。
【図14】図14は、土をケーソン内から取り出す装置とケーソンの配列平面図である。
【図15】図15は、土をケーソン内から取り出す装置とケーソンの配列平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明のケーソンを地下に沈設する方法について詳細に説明する。
【0022】
先ず、本発明のケーソン構造に関して説明を行う。図1〜図11のように、ケーソン100の全体構造は長方体構造であり、例えば、鉄筋コンクリート構造または鋼製構造等でも可能である。該鉄ケーソン100は4つの相互に連結することで密閉される井戸壁102を含み、任意2つの相対する井戸壁102は相互に平行することで、4つの井戸壁102は共に長方体形状を構成する。それぞれの井戸壁120は内壁面110および該内壁面110に相対する外壁面108を含む。任意2つの相対する井戸壁102の内壁面110間には水平面および縦方向面内で相互に平行する複数のベースフレーム梁が設けられている。例えば、2つの横方向に設けられている井戸壁102間にベースフレームサイドメンバ104を設けることが可能で、2つの縦方向に設けられている井戸壁102間にベースフレームクロスメンバ106を設けることが可能である。クロスメンバ106および対応するサイドメンバ104が相互に直交し、これにより、それらは全体構造でケーソン100のために水平に支持する構造強度を提供する。
【0023】
ここで、ケーソン100の最下端(即ち、ケーソンを構成した後、最も地面に隣接する一端)のベースフレームクロスメンバおよびサイドメンバはケーソンの底部水平ベースフレーム梁126(図3を参照)を構成し、その後の施工過程において、主にケーソン100の部分的な支持に使用される。
【0024】
それぞれのベースフレームは井戸壁102の内壁面110上に設けられているベースフレーム柱116を介して相応する井戸壁102上に固定して連結する。また、必要なベースフレーム梁間には内隔離壁124(図3を参照)が設けられ、これにより、更にケーソン100の全体構造の強度を補強する。
【0025】
特に、それぞれの井戸壁102の外壁面108上において、ケーソン100に隣接する頂端(即ち、地面から離れる箇所)上には複数の同一高さ(ケーソンの最下端に相対する高さ)の外側支持ブロック112が設けられている。全ての井戸壁102上の外側支持ブロック112の高さは同じである。これと類似するように、それぞれの井戸壁102の内壁面110上には複数の同一高さ(ケーソンの最下端に相対する高さ)の内側支持ブロック114が設けられている。全ての井戸壁102上の内側支持ブロック114の高さは同じである。特に、全ての内側支持ブロック114の高さは外側支持ブロック112の高さよりはるかに低くて、該内外側支持ブロック(現場用語:牛腿)の存在により、かつ支持杭体およびジャッキを介して均一に分布してケーソンを支持し、これにより、極大的にケーソン構造に対する剛性要求を低減し、即ち、本発明はケーソン構造の構造部材断面を非常に大きくする必要がなくても、ケーソン施工の沈下および使用の安全性を実現することができる。図3および図5に示すように、それぞれの井戸壁102の底部(地面と接触する部分)は斜面を有する刃先128を形成し、その縁が比較的に鋭利であるため、全体のケーソン100を容易に地面以下に沈設することができる。
【0026】
下記では本発明のケーソン100を正確に地下に沈設する方法、即ち、ケーソンがどのように安定および順番に地下に沈み込むかに関して説明する。先ず、該方法と関連する支持構造に関して説明を行う。安定的にケーソンを地下に支持させるため、図2、図3および図5のように、地下300(図5を参照)の下部に所定数の支持杭体(例えば、管杭118)を打設する。優先的に、管杭118を地下の地盤支持層200に接触するまでに沈設する(図5を参照)。管杭の数および分布はケーソンの構造および地下状況に関連する。本実施例において、管杭118を優先的に地下300の下部に打設し、かつ頂端を地面300上に所定距離ほど露出し、かつ管杭118は好ましくケーソン110の任意2つのベースフレーム梁(クロスメンバおよびサイドメンバ)が交叉する部位、外側支持ブロック112および内側支持ブロック114に対応する部位により支持され、管杭118もベースフレーム梁126の下方により支持される(図3を参照)。図1、図2において、黒色円環または白色円環を用いて管杭の分布位置を示す。大量で均一に分布された管杭118はケーソン100の安定な沈下、精確に最終の沈設する過程で重要な作用を果たすことができる。
【0027】
地下に打設された管杭118および内側支持ブロック114間にはケーソンの高さの調整に用いるジャッキ120(図5を参照)が設置され、このように、地下に打設される管杭118およびベースフレーム梁126間にはケーソン高さの調整に用いるジャッキ120(図3を参照)が設けられ、地下に打設される管杭118および外側支持ブロック112間にはジャッキ120が設置されている以外に、ジャッキ120および外側支持ブロック112間には複数のパッドブロック122(図2および図5を参照)が移動可能に設置される。沈み込み作業を便利にするため、井戸内のジャッキの頂部は上部相応構造に相互に固定して懸垂されている。
【0028】
下記では外側支持ブロック112およびジャッキ120、パッドブロック122および管杭118間の位置関係を詳細に説明する。図6〜図11及び図1のように、外側支持ブロック112は井戸壁102の外壁面108から外に向かって突出して形成される。それぞれの外側支持ブロック112は外壁面108から外側に延伸した基部160および該基部160から下に向かって延伸した2つのストッパー壁134を有する。2つの前記ストッパー壁134と前記基部160および外壁面108間は共に半閉空間を形成する。該半閉空間内には中空の長方体状のガイドパッドレール130が設置されており、該ガイドパッドレール130および2つの前記ストッパー壁134間には長方体状のパッドブロック122が収納されている。また、前記2つのストッパー壁134間がストッパー板132を介して互いに接続されることで、パッドブロック122を前記2つのストッパー壁134、ガイドパッドレール130およびストッパー板132により囲まれた空間内に制限し、施工工程において、パッドブロック122は側面から落ちることがない。パッドブロック122が沈み込む過程で側面から落ちないことを確保する構造はパッドブロック122のストッパー装置を構成する。また、それぞれのジャッキ120は従来のジャッキにすることが可能であり、ケーソンの高さ調整に用いられ、例えば、ジャッキ120として、好ましくは、台座504および該台座504上で該台座504に相対して手柄(図に示せず)の操作により上下に位置を移動させる装置であり、即ち、伸縮可能な支え棒502である。注意すべきことは、前記ストッパー壁134はケーソン100の全体の高さで縦方向に延伸する。かつ、前記ストッパー壁134は臨時構造であり、ケーソンが沈み込む全過程において、パッドブロックの漸次抽出に従って漸次に一部が切断され、全てのパッドブロックが抽出された後に、前記ストッパー壁134は完全に除去される。
【0029】
前記の実施例では、長方体状のケーソンを用いて説明したが、本発明のケーソンに対して平面形状の構造に制限することではない。逆に、ケーソンは円形状、正多角形状、長い長方体または各種の対称しない異形平面形状などのケーソン構造でも可能である。
【0030】
本発明のケーソンを安定に地下に沈設する施工方法は、主に全ての負荷の隣接する支持杭体間での交替転移変化原理およびジャッキの高さ調整可能な原理を利用して実現される。図12a〜図13dでは本発明の方法の作業過程を示している。先ず、図12aおよび図13aではそれぞれケーソンの外部および内部の開始状態を示している。即ち、所定数の管杭118を先に地面内に打設することにより、ケーソン100が管杭118上に支持される。具体的には、外側支持ブロック112は複数のパッドブロック122と最下端のパッドブロック122および対応する管杭118間のジャッキ120を介して管杭118上に支持され、ケーソン100内部のベースフレーム梁126は直接にジャッキ120を介して相応する管杭118により支持されると共に、ケーソン100内部の内側支持ブロックも直接にジャッキ120を介して相応の管杭118により支持される(図5を参照)。この際に、ケーソン100の重さ(負荷)は全体(井戸壁内および井戸壁外)の管杭118上に作用し、即ち、全ての管杭118は同時にケーソン100の重さを受取る。かつ、このとき、全体のジャッキ120は伸長状態になり、その台座504上の支え棒502は最高箇所に位置する。ケーソン100の刃先128は地下に挿入し始まる。ここで、便利に説明するため、全ての内外ジャッキは全体的に相互に交叉する第1バッチジャッキ(例えば、図1の黒色円環で表示するジャッキ)および第2バッチジャッキ(例えば、図1に白色円環で表示するジャッキ)に区分する。
【0031】
続いて、図12bおよび図13のように、全てのジャッキ120を操作することで、全体のジャッキ120の支え棒502が縮まれ、その際に、全体のケーソン100が支え棒502の縮みにより所定距離に沈み込むことで、ケーソン100の刃先は再び地下内に挿入され、かつ、全体のケーソン100の一部の重さはその下面の土質を有効的に押圧し、これにより、地層土のケーソン100に対する水平の締め作用を増加し、ケーソン100の安定性を増加する。かつ、地層土がケーソン100の一部の重さを受取り始めるため、ケーソンのジャッキに対する負荷はすぐに低下する。
【0032】
図12cおよび図13cでは本発明の次のステップの操作を示す。便利に説明するため、井戸壁外のパッドブロック122に対して上から下に向かって1から番号を付け、最上面のパッドブロックの番号が1号パッドブロックで、残りはこのように類推する。図6〜図11のように、該操作では、先に第1バッチジャッキ(内部および外部ジャッキを含む)を所定距離(例えば、30〜50ミリメートル)に縮み、最上面のパッドブロック(1号パッドブロック)を外側支持ブロック112の2つのストッパー壁134間から抽出する。その後、即時に第1バッチの中の外部ジャッキを操作することで、外部ジャッキが伸長して次のパッドブロック122を支持し、即ち、2号パッドブロックである。この際に、2号パッドブロックは外側支持ブロック112に接触するパッドブロックに変換する。
【0033】
続いて、第1バッチジャッキの内部ジャッキ下部の内部管杭(即ち、内部ジャッキを支持する管杭、内部支持杭体でも呼ぶ)の最上端を所定長さに切断する。その後、第1バッチジャッキの内部ジャッキの支え棒を再び支持し、これにより、ベースフレーム梁(または内側支持ブロック)および内部管杭間に支持される。このとき、ケーソンの全ての負荷は同時に第1バッチおよび第2バッチジャッキ上に集中される。それから、ストッパー壁134を最下端から一部を切断することで、その最下端のケーソンに対する沈み込みによる障碍を防止する。
【0034】
続いて、第2バッチジャッキ(内部および外部ジャッキ)に対して所定距離(例えば、30〜50mm)に縮み、最上面のパッドブロック(1号パッドブロック)を外側支持ブロック112の2つのストッパー壁134間から抽出する。それから、第2バッチの外部ジャッキをすぐに操作することで、外部ジャッキが伸長されて次のパッドブロック122(即ち、2号パッドブロック)を支持する。この際に、2号パッドブロックは外側支持ブロック112に接触するパッドブロックに変換する。その後、第1バッチジャッキの内部ジャッキ下部の内部管杭(即ち、内部ジャッキを支持する管杭)の最上端を所定長さに切断する。第2バッチジャッキの内部ジャッキの支え棒を再び支持し、これにより、ベースフレーム梁(または内側支持ブロック)および内部管杭間により支持される。これまでに、ケーソンの全ての負荷は再び同時に第1バッチおよび第2バッチブロック上に集中され、かつ全ての外側支持ブロック上の1号パッドブロック122は抽出されており、全ての内部支持杭体の長さは所定長さに切断される。その後、ストッパー壁134の最下端の一部を切断することで、その下端のケーソンに対する沈み込みによる障碍を防止する。
【0035】
その後、図12dおよび図13dのように、内部および外部のジャッキ120の支え棒を再び縮み、これにより、ケーソン100が再び全体的に下へ所定距離に沈み込み、即ち、外部ジャッキの1つの工程が短縮される。
【0036】
続く施工過程は図12cおよび13cで説明する過程とほぼ同じであり、但し、抽出されたパッドブロックが2号パッドブロックである。その後、続いて図12dおよび13dで説明する工程を行う。操作の連続的な循環に従って、全てのパッドブロックが抽出され、ストッパー壁の全てが切断さるまでにパッドブロックが漸次に抽出されてケーソンが漸次に下降する。全ての内外ジャッキを操作することで、それぞれのジャッキの支え棒が台座に向かって漸次に縮まれ、ケーソンが漸次に設定された高さに沈み込む。その後、ジャッキを回分的に取り外し、全ての支持杭体の頂部が支持台のコンクリートによりケーソンを支持するまでに、支持杭体の頂部に支持台のコンクリートを打込むことで、更に精確な最終の沈設を実現する。
【0037】
前記過程において、ケーソンの漸次な沈み込みに従って、内部管杭を切断する必要があるが、内部管杭の大部分が地下に埋め込まれているため、施工の際に連続的に内部管杭周囲(即ち、井戸の内底)の土を掘り出す必要がある。図14,15のように、複合フリッジ式ガントリ吊500および該複合フリッジ式ガントリ吊500に係合するベルト機600により共に実現される。両者はケーソン100の頂部上に設置され、かつ、ケーソン100のベースフレーム梁間に分離空間を有するため、便利に土を掘り出すことができる。それ以外に、複合フリッジ式ガントリ吊500は掘削機を井戸内に吊り入れて土掘り作業を行うことができる。
【0038】
本発明では、先ず、ケーソン構造を提供し、当該ケーソン構造は、内壁面と当該内壁面に対向している外壁面を有する、閉合された井戸壁を備えており、前記内壁面の間には、水平面および垂直面内で相互交差するフレーム梁および井戸壁の最下端に近付いたベースフレーム梁が複数設置されており、前記内壁面には同一高さの内側支持ブロックが複数形成され、前記外壁面には同一高さの外側支持ブロックが複数形成され、かつ外側支持ブロックは内側支持ブロックより高く設置されており、前記ベースフレーム梁の底面は刃先がない平面であり、前記井戸壁の最下端には斜面を有する刃先が形成されている。
【0039】
好ましくて、前記外側支持ブロックは、基部および当該基部から下に向かって延伸した一対のストッパー壁を有している。また、前記基部およびストッパー壁は、井戸壁の全体の高さに沿って縦方向に延伸されている。前記ストッパー壁内には長方体状のガイドパッドレールが設置されている。
また、本発明では、前記ケーソン構造を地下に精確に沈設する方法を提供し、その方法は下記ステップを含む。
【0040】
(1)施工領域を選び、当該施工領域内に、複数の支持杭体を、その一部の長さが当該施工領域の地面上に露出するように打ち込むステップ;
【0041】
(2)前記施工領域内にケーソン構造を構築し、当該ケーソン構造は、内壁面と当該内壁面に対向している外壁面を有する、閉合された井戸壁を備えており、前記内壁面の間には、水平面および垂直面内で相互交差する複数のフレーム梁および井戸壁の最下端に近付いたベースフレーム梁が複数設置されているケーソン構造であって、前記内壁面には同一高さの内側支持ブロックが複数形成され、前記外壁面には同一高さの外側支持ブロックが複数形成され、かつ外側支持ブロックは、内側支持ブロックより高く設置されており、前記ベースフレーム梁の底面は刃先がない平面であり、かつ、当該ケーソン構造のベースフレーム梁および内側支持ブロックは、ジャッキを介して、前記施工領域内の一部の支持杭体上にそれぞれ支持され、当該ケーソン構造の外側支持ブロックは、縦方向に積層された一組のパッドブロックおよび最下端のパッドブロックの下方に支持されたジャッキを介して、前記施工領域の一部の支持杭体上に支持されており、縦方向に積層された複数のパッドブロックの周辺には、当該パッドブロックの位置を制限して、当該パッドブロックを縦方向のみで運動させるストッパー装置が設置されており、前記ベースフレーム梁および前記内側支持ブロックを支持する支持杭体およびジャッキは、それぞれ内部支持杭体および内部ジャッキを構成し、前記外側支持ブロックを支持する支持杭体およびジャッキは、それぞれ外部支持杭体および外部ジャッキを構成し、すべての内部ジャッキおよび外部ジャッキ中の各々は、台座および当該台座内で所定ストロークの伸縮が可能な支え棒を有し、すべてのジャッキの支え棒は初期には伸長状態となっており、すべての内部ジャッキの支え棒の上端は、内側支持ブロックおよびベースフレーム梁に固定されかつその下に懸垂しており、すべての内部ジャッキおよび外部ジャッキを、全体的に、交互する第1バッチのジャッキと第2のジャッキとに分けるステップ;
【0042】
(3)すべての内外部ジャッキを、各々のジャッキの支え棒が台座へ所定の距離が縮むように操作し、かつ前記支え棒と前記台座との間に30mm以上の行程隙間を保留して、ケーソンを、施工領域内で一回目に所定の深さまで沈設し、井戸壁の刃先を地下に挿入するステップ;
【0043】
(4)前記第1バッチのジャッキを20〜50mm縮むように操作して、ケーソンのすべての負荷を前記第2バッチのジャッキに集中させ、当該第1バッチのジャッキを無負荷状態としてから、当該第1バッチのジャッキの各外側支持ブロックと対応する外部ジャッキとの間に設置されている一組のパッドブロックのうちで、一番高いパッドブロックを抜き出し、その後、前記第1バッチのジャッキ中の各外部ジャッキを、その各々の支え棒が台座に対して上に向かって伸長するように操作して、当該組における残りパッドブロック中の最上端に位置するパッドブロックと外側支持ブロックとを接触させ、かつ両方を互いに緊密に押し付け、その後、前記第1バッチのジャッキ中の内部ジャッキの下に位置する内部支持杭体を一定の長さに切断して、第1バッチのジャッキ中の内部ジャッキの台座と切断後の残りの内部支持杭体との間に大きい隙間を形成させ、そして、第1バッチのジャッキ中の各内部ジャッキの台座が支え棒に対して下に向かってドロップするように、その内部ジャッキの各々を操作して、第1バッチのジャッキ中の内部ジャッキの台座と切断後の残りの内部支持杭体とを互いに緊密に押し付けて、ケーソンのすべての負荷を、第1バッチおよび第2バッチのジャッキ上に集中させるステップ;
【0044】
(5)第2バッチのジャッキを操作して20〜50mm縮むように操作して、ケーソンのすべての負荷を前記第1バッチのジャッキに集中させ、当該第2バッチのジャッキを無負荷状態としてから、当該第2バッチのジャッキの各外側支持ブロックと対応する外部ジャッキとの間に設置されている一組のパッドブロックのうちで、一番高いパッドブロックを抜き出し、その後、前記第2バッチのジャッキ中の各外部ジャッキを、その各々の支え棒が台座に対して上に向かって伸長するように操作して、当該組における残りパッドブロック中の最上端に位置するパッドブロックと外側支持ブロックとを接触させ、かつ両方を互いに緊密に押し付け、その後、前記第2バッチのジャッキ中の内部ジャッキの下に位置する内部支持杭体を一定の長さに切断して、第2バッチのジャッキ中の内部ジャッキの台座と切断後の残りの内部支持杭体との間に大きい隙間を形成させ、そして、第2バッチのジャッキ中の各内部ジャッキの台座が支え棒に対して下に向かってドロップするように、その内部ジャッキの各々を操作して、第2バッチのジャッキ中の内部ジャッキの台座と切断後の残りの内部支持杭体とを互いに緊密に押し付けて、ケーソンのすべての負荷を、第1バッチおよび第2バッチのジャッキ上に集中させるステップ;
(6)各外部ジャッキの支え棒の周辺に位置しているストッパー装置を取り外すステップと;
【0045】
(7)各ジャッキの支え棒がすべて台座に向かって一定の距離を縮むように、すべての内部および外部ジャッキを操作して、支え棒と台座との間に30mm以上の行程隙間を保留させて、ケーソンを、施工領域内で再び所定の深さまで沈設するステップ;
【0046】
(8)ケーソンのボトムにある土を一層抉り出して、各内部支持杭体の一部を土から露出させるステップ;
【0047】
(9)ケーソンが次々に沈設されるように、かつ各外部ジャッキ上のパッドブロックがすべて抜き出されるまで、ステップ(4)、(5)、(6)、(7)および(8)を順に繰り返して行って、各外部ジャッキを、対応する外側支持ブロックに直接押しつけるステップ;
【0048】
(10)すべての内部および外部ジャッキを、各ジャッキの支え棒が台座に向かって漸次に縮まれるように操作して、ケーソンを所定の深さまで漸次に沈みこむステップ;
【0049】
(11)ジャッキを回分的に取り外し、且つ、すべての支持杭体の頂部に、支持台のコンクリートを、当該すべての支持杭体の頂部が支持台のコンクリートによりケーソンを支持するまで打設させて、精確に最終の沈設を実現するステップ。
【0050】
具体的には、ケーソン構造の外側支持ブロックは、基部および当該基部から下に向かって延伸した一対のストッパー壁を有し、基部およびストッパー壁は、井戸壁の全体の高さに沿って縦方向に延伸され、前記ストッパー壁内には長方体状のガイドパッドレールが設置されており、前記一組のパッドブロックは、基部とストッパー壁とガイドパッドレールとにより囲まれた空間内に設置され、且つ長方体状のストッパー板により前記二つのストッパー壁を互いに接続することで、パッドブロックが二つのストッパー壁、ガイドパッドレールおよびストッパー板により囲まれた空間に制限され、前記二つのストッパー壁、ガイドパッドレールおよびストッパー板の共により、パッドブロックを縦方向のみに動作させる、前記ストッパー装置を構成する。前記支持杭体は、高強度コンクリート管杭または鉄管杭であり、管杭を地下の地盤支持層まで埋め込める。
【0051】
本発明によれば、支持ブロックとジャッキと管杭とを互いに組み合わせて操作する施工方法を採用することにより、ケーソンを制御しながら精確に予定の地下の深さまで沈設することができ、伝統的な施工方法におけるケーソンの突出、ケーソンの過沈下問題、中心ズレ、平面回転、ケーソンの縦方向歪み、変形断裂、ケーソン内部への土入り、ケーソン外部の潰れなどの重大な安全および品質問題を回避することができる。
【0052】
前記内外支持ブロックは鉄筋コンクリート構造または鋼製構造からなることが可能である。内外支持ブロックは単独的に独立した支持体ブロックでもいいし、水平に連続する囲み桁式又はトップ・ビーム式支持体ブロックでもいい。また、前記ジャッキはいろんな種類の機械式昇降機構であって、上記実施例で特定したジャッキに限られることではない。ケーソンの井戸壁外側支持ブロック、井戸壁内側支持ブロック、井戸内ベースフレーム梁などの底面支持構造は単独でしようすることも可能であり、適切に組み合わせて使用することも可能であり、異なるケーソン構造設計要求に合わせてもいい。また、本発明は平面面積がもっと大きくて、形状がもっと複雑で、サイズが更に大きくて、地盤がもっと軟弱であり、かつ、沈下の深さがもっと深いケーソンのプロジェクトにも適用され、製造コストを低減させ、もっと高い経済性を求めることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁面と当該内壁面に対向している外壁面を有する、閉合された井戸壁を備えており、前記内壁面の間には、水平面および垂直面内で相互交差するフレーム梁および井戸壁の最下端に近付いたベースフレーム梁が複数設置されているケーソン構造であって、前記内壁面には同一高さの内側支持ブロックが複数形成され、前記外壁面には同一高さの外側支持ブロックが複数形成され、かつ外側支持ブロックは内側支持ブロックより高く設置されており、前記ベースフレーム梁の底面は刃先がない平面であり、前記井戸壁の最下端には斜面を有する刃先が形成されている、ことを特徴とするケーソン構造。
【請求項2】
前記外側支持ブロックは、基部および当該基部から下に向かって延伸した一対のストッパー壁を有している、ことを特徴とする請求項1に記載のケーソン構造。
【請求項3】
前記基部およびストッパー壁は、井戸壁の全体の高さに沿って縦方向に延伸され、かつ、前記ストッパー壁は前記外壁面から突出されており、前記ストッパー壁内には長方体状のガイドパッドレールが設置され、当該ガイドパッドレールは前記井戸壁の外壁面に固定されている、ことを特徴とするケーソン構造。
【請求項4】
ケーソン構造を地下に精確に沈設する方法であって、
(1)施工領域を選び、当該施工領域内に、複数の支持杭体を、その一部の長さが当該施工領域の地面上に露出するように打ち込むステップ;
(2)前記施工領域内にケーソン構造を構築し、当該ケーソン構造は、内壁面と当該内壁面に対向している外壁面を有する、閉合された井戸壁を備えており、前記内壁面の間には、水平面および垂直面内で相互交差するフレーム梁および井戸壁の最下端に近付いたベースフレーム梁が複数設置されているケーソン構造であって、前記内壁面には同一高さの内側支持ブロックが複数形成され、前記外壁面には同一高さの外側支持ブロックが複数形成され、かつ外側支持ブロックは内側支持ブロックより高く設置されており、前記ベースフレーム梁の底面は刃先がない平面であり、かつ、当該ケーソン構造のベースフレーム梁および内側支持ブロックは、ジャッキを介して、前記施工領域内の一部の支持杭体上にそれぞれ支持され、当該ケーソン構造の外側支持ブロックは、縦方向に積層された一組のパッドブロックおよび最下端のパッドブロックの下方に支持されたジャッキを介して、前記施工領域の一部の支持杭体上に支持されており、縦方向に積層された複数のパッドブロックの周辺には、当該パッドブロックの位置を制限して、当該パッドブロックを縦方向のみで運動させるストッパー装置が設置されており、前記ベースフレーム梁および前記内側支持ブロックを支持する支持杭体およびジャッキは、それぞれ内部支持杭体および内部ジャッキを構成し、前記外側支持ブロックを支持する支持杭体およびジャッキは、それぞれ外部支持杭体および外部ジャッキを構成し、すべての内部ジャッキおよび外部ジャッキ中の各々は、台座および当該台座内で所定ストロークの伸縮が可能な支え棒を有し、すべてのジャッキの支え棒は初期には伸長状態となっており、すべての内部ジャッキの支え棒の上端は、内側支持ブロックおよびベースフレーム梁に固定されかつその下に懸垂しており、すべての内部ジャッキおよび外部ジャッキを、全体的に、交互する第1バッチのジャッキと第2のジャッキとに分けるステップ;
(3)すべての内外部ジャッキを、各々のジャッキの支え棒が台座へ所定の距離が縮むように操作し、かつ前記支え棒と前記台座との間に30mm以上の行程隙間を保留して、ケーソンを、施工領域内で一回目に所定の深さまで沈設し、井戸壁の刃先を地下に挿入するステップ;
(4)前記第1バッチのジャッキを20〜50mm縮むように操作して、ケーソンのすべての負荷を前記第2バッチのジャッキに集中させ、当該第1バッチのジャッキを無負荷状態としてから、当該第1バッチのジャッキの各外側支持ブロックと対応する外部ジャッキとの間に設置されている一組のパッドブロックのうちで、一番高いパッドブロックを抜き出し、その後、前記第1バッチのジャッキ中の各外部ジャッキを、その各々の支え棒が台座に対して上に向かって伸長するように操作して、当該組における残りパッドブロック中の最上端に位置するパッドブロックと外側支持ブロックとを接触させ、かつ両方を互いに緊密に押し付け、その後、前記第1バッチのジャッキ中の内部ジャッキの下に位置する内部支持杭体を一定の長さに切断して、第1バッチのジャッキ中の内部ジャッキの台座と切断後の残りの内部支持杭体との間に大きい隙間を形成させ、そして、第1バッチのジャッキ中の各内部ジャッキの台座が支え棒に対して下に向かってドロップするように、その内部ジャッキの各々を操作して、第1バッチのジャッキ中の内部ジャッキの台座と切断後の残りの内部支持杭体とを互いに緊密に押し付けて、ケーソンのすべての負荷を、第1バッチおよび第2バッチのジャッキ上に集中させるステップ;
(5)第2バッチのジャッキを操作して20〜50mm縮むように操作して、ケーソンのすべての負荷を前記第1バッチのジャッキに集中させ、当該第2バッチのジャッキを無負荷状態としてから、当該第2バッチのジャッキの各外側支持ブロックと対応する外部ジャッキとの間に設置されている一組のパッドブロックのうちで、一番高いパッドブロックを抜き出し、その後、前記第2バッチのジャッキ中の各外部ジャッキを、その各々の支え棒が台座に対して上に向かって伸長するように操作して、当該組における残りパッドブロック中の最上端に位置するパッドブロックと外側支持ブロックとを接触させ、かつ両方を互いに緊密に押し付け、その後、前記第2バッチのジャッキ中の内部ジャッキの下に位置する内部支持杭体を一定の長さに切断して、第2バッチのジャッキ中の内部ジャッキの台座と切断後の残りの内部支持杭体との間に大きい隙間を形成させ、そして、第2バッチのジャッキ中の各内部ジャッキの台座が支え棒に対して下に向かってドロップするように、その内部ジャッキの各々を操作して、第2バッチのジャッキ中の内部ジャッキの台座と切断後の残りの内部支持杭体とを互いに緊密に押し付けて、ケーソンのすべての負荷を、第1バッチおよび第2バッチのジャッキ上に集中させるステップと、
(6)各外部ジャッキの支え棒の周辺に位置しているストッパー装置を取り外すステップと;
(7)各ジャッキの支え棒がすべて台座に向かって一定の距離を縮むように、すべての内部および外部ジャッキを操作して、支え棒と台座との間に30mm以上の行程隙間を保留させて、ケーソンを、施工領域内で再び所定の深さまで沈設するステップ;
(8)ケーソンのボトムにある土を一層抉り出して、各内部支持杭体の一部を土から露出させるステップ;
(9)ケーソンが次々に沈設されるように、かつ各外部ジャッキ上のパッドブロックがすべて抜き出されるまで、ステップ(4)、(5)、(6)、(7)および(8)を順に繰り返して行って、各外部ジャッキを、対応する外側支持ブロックに直接押しつけるステップ;
(10)すべての内部および外部ジャッキを、各ジャッキの支え棒が台座に向かって漸次に縮まれるように操作して、ケーソンを所定の深さまで漸次に沈みこむステップ;
(11)ジャッキを回分的に取り外し、且つ、すべての支持杭体の頂部に、支持台のコンクリートを、当該すべての支持杭体の頂部が支持台のコンクリートによりケーソンを支持するまで打設させて、精確に最終の沈設を実現するステップ。
【請求項5】
ケーソン構造の外側支持ブロックは、基部および当該基部から下に向かって延伸した一対のストッパー壁を有し、前記基部およびストッパー壁は、井戸壁の全体の高さに沿って縦方向に延伸され、かつ、前記ストッパー壁は前記外壁面から突出されており、前記ストッパー壁内には長方体状のガイドパッドレールが設置されており、前記一組のパッドブロックは、基部とストッパー壁とガイドパッドレールとにより囲まれた空間内に設置され、且つ長方体状のストッパー板により前記二つのストッパー壁を互いに接続することで、パッドブロックが二つのストッパー壁、ガイドパッドレールおよびストッパー板により囲まれた空間に制限され、前記二つのストッパー壁、ガイドパッドレールおよびストッパー板の共により、パッドブロックを縦方向のみに動作させる、前記ストッパー装置を構成する、ことを特徴とする請求項4に記載のケーソン構造を地下に精確に沈設する方法。
【請求項6】
前記支持杭体は、高強度コンクリート管杭または鉄管杭 であり、管杭を地下の地盤支持層まで埋め込める、ことを特徴とする請求項4に記載のケーソン構造を地下に精確に沈設する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図12d】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図13d】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2011−510195(P2011−510195A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543364(P2010−543364)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【国際出願番号】PCT/CN2009/070038
【国際公開番号】WO2009/094912
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(510194286)
【出願人】(510194297)
【Fターム(参考)】