説明

ケーブルの外装鉄線連結装置

【課題】本発明は、電力または通信ケーブルの接続部において両側の外装鉄線の端部を迅速且つ容易に連結できるようにするケーブルの外装鉄線連結装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態によるケーブルの外装鉄線連結装置は、上記ケーブルが貫通できる中空の円筒状連結具200を具備し、上記円筒状連結具200の外周面には、その両側端面から長手方向に延びる複数の挿入溝210が形成され、上記外装鉄線50の端部が上記両側の挿入溝210に長手方向に挿入されるか、上記外装鉄線50の外周が上記円筒状連結具200の半径方向の内側に圧入されて上記挿入溝210に嵌め込まれ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの外装鉄線連結装置に係り、より詳しくは、電力または通信ケーブルの接続部において外装鉄線を迅速且つ容易に連結できるようにするケーブルの外装鉄線連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海底ケーブルに主に使用される電力用ケーブルまたは光複合ケーブルや、陸上用電力ケーブルまたは通信ケーブルなどは、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3などに開示されているように、ケーブルに剛性と引張力を付与するためにケーブルの外周に外装鉄線が巻き取られている。
図1は、外装鉄線(鋼線)を有する電力ケーブルの一例を示す。
図1に示された電力ケーブルは、導体10の周囲に順にカーボン紙と絶縁紙などからなる絶縁層20、絶縁層20外周のシース30、1層以上の強帯40、主に亜鉛めっき鋼材からなる外装鉄線50、及びポリプロピレンヤーンアスファルト層60が配置されてなる。
この種のケーブルは、主に2km以下の単位長さにて製造され、敷設区間では接続箱を介して単位長さのケーブル端部どうしを連結して使用する。または、敷設後、ケーブル線路の途中部分にメンテナンスなどが必要である場合は、ケーブルの当該部分を切断し措置を実施した後に接続箱を介して連結する。
このように接続箱を介してケーブルを連結する際は、切断されている外装鉄線も連結して復元しなければならない。
従来、外装鉄線を復元(連結)する方法としては、ねじ切削用ダイス工具などを利用して両側の外装鉄線50の一方の端部にそれぞれ右ねと左ねじのねじ部を加工し、両側のねじ部にターンバックル型スリーブをねじ止めして連結した。
したがって、従来技術では、現場で数十本の外装鉄線ごとに一々ねじ加工作業などをしなければならないため、その作業に大変手間と時間がかかった。特に、ねじ加工作業の際、ダイスの扱いがうまくできないと、ねじ山に不良が発生することが多く、一旦不良が発生すれば、その不良部分を切断しなくては復旧する方法がなかった。また、ある1本の外装鉄線を切断してしまうと、他の外装鉄線も全て切断してその長さを合わせるか、または切断した不良部の長さ分だけ外装鉄線を新たに溶接した後にねじ加工を実施しなければならないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2004-0084291号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-0533219号公報
【特許文献3】韓国登録実用新案第20-036686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ケーブル接続部において両側の外装鉄線の端部を迅速且つ容易に連結できるようにするケーブルの外装鉄線連結装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明の一実施形態によるケーブルの外装鉄線連結装置は、上記ケーブルが貫通できる中空の円筒状連結具200を具備し、上記円筒状連結具200の外周面には、その両側端面から長手方向に延びる複数の挿入溝210が形成され、上記外装鉄線50の端部が上記両側の挿入溝210に長手方向に挿入されるか、上記外装鉄線50の外周が上記円筒状連結具200の半径方向の内側に圧入されて前記挿入溝210に嵌め込まれることを特徴とする。
上記円筒状連結具200の挿入溝210の幅は、上記外装鉄線50の外径より小さくてよい。
上記外装鉄線50が上記挿入溝210に挿入された後、上記外装鉄線50と上記挿入溝210との間の隙間に溶接が施されてよい。
本発明の他の実施形態によるケーブルの外装鉄線連結装置は、上記ケーブルが貫通できる中空の円筒状連結具300を具備し、上記円筒状連結具300には、その両側端面から長手方向に沿って複数の挿入孔310が形成され、上記両側の挿入孔310に外装鉄線50がそれぞれ挿入できることを特徴とする。
上記円筒状連結具300の挿入孔310に上記外装鉄線50が挿入された後、上記外装鉄線50と上記挿入孔310との間の隙間に溶接が施されてよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の外装鉄線連結装置によれば、ケーブル接続部において外装鉄線を連結及び復元する際、工場であらかじめ製作した円筒状連結具を使用することができるため、現場で別途の連結装置を製作する必要がない。
また、連結装置の挿入溝に外装鉄線を単に挿入するか、または圧入し溶接することによって連結が完了するため、現場でねじを加工したりするなどの別途の追加作業が不要となり、連結部の不良も発生しなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一般的なケーブルの断面を示した図である。
【図2】本発明の一実施形態による外装鉄線連結装置を示した斜視図である。
【図3】図2の断面図である。
【図4】図2の正面図である。
【図5】本発明の一実施形態による連結装置を使用してケーブル接続部の外装鉄線を連結した状態を示した図である。
【図6】本発明の他の実施形態による外装鉄線連結装置を示した斜視図である。
【図7】図6の断面図である。
【図8】図6の正面図である。
【図9】図7の挿入孔に関する他の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態についてより詳しく説明する。
図2は、本発明の一実施形態による外装鉄線連結装置を示した斜視図であり、図3及び4は、それぞれ図2の断面図及び正面図である。
図2ないし図4に示されたように、本発明の一実施形態による外装鉄線連結装置100aは、中空の円筒状連結具200の外周面に両側端面から長手方向に延びる複数の挿入溝210を具備する。ケーブルの外装鉄線50は、上記両側の挿入溝210に挿入できる。
上記円筒状連結具200の内径Dは、後述する接続箱の外径よりも大きいため、接続箱の外部を囲繞することができる。
また、上記挿入溝210は、円筒状連結具200の外周面を内側方向に所定深さ掘り込んでなる形態で構成され、上記挿入溝210の幅wは、外装鉄線50の外径dより小さい(図4参照)。
したがって、図3の右側部分に示されたように、外装鉄線50の端部を円筒状連結具200の端面から挿入溝210に挿入できる。
または、図3の左側部分に示されたように、外装鉄線50の外周を挿入溝210の上部において重ね合わせた後、外装鉄線50を円筒状連結具200の半径方向の内側に圧入して、挿入溝210に嵌め込むことができる。外装鉄線50が挿入溝210に挿入または圧入されると、外装鉄線50の外径dより挿入溝210の幅wの方が小さいため、外装鉄線50が挿入溝210から離脱できなくなる。
上記円筒状連結具200の挿入溝210に外装鉄線50を挿入または圧入した後は、外装鉄線50の先端部を円筒状連結具200に溶接するか(図2及び3参照)、或いは、これと並行してまたは別途に挿入溝210の長手方向に沿って外装鉄線50の外周と挿入溝210との間の隙間に対し溶接を実施して固定する(図2及び4参照)。
図5には、上述した連結装置100aを使用してケーブル接続部において外装鉄線50を連結した状態が示されている。
本発明による円筒状連結具200をケーブル接続部に設置するためには、先ず、円筒状連結具200に一方側のケーブル2aの端部を差し込む。この状態で、接続箱90を使用して両側のケーブル2a、2bを連結する。上記接続箱90の外周には通常、ポリプロピレンヤーンアスファルトを塗布処理する。
上記のようにして接続箱90の設置が終了すると、一方側のケーブル2aの外周に位置する円筒状連結具200を移動させ、図5に示されたように接続箱90の外周に位置させる。円筒状連結具200の内径Dは、接続箱90の外径より大きいため、円筒状連結具200は接続箱の外部を囲繞する。
次いで、上記円筒状連結具200の両側の挿入溝210にそれぞれ両側の外装鉄線50を挿入または圧入し溶接して固定させる。
上記のようにして外装鉄線50を連結した後には、外部に露出している円筒状連結具200及び外装鉄線50の外部にポリプロピレンヤーンアスファルト60を塗布して密封処理する。
このようにケーブル接続部において外装鉄線50を連結及び復元する際、工場であらかじめ製作した円筒状連結具200を使用することができるため、現場で別途の連結装置を製作する必要がない。
また、連結装置100aの挿入溝210に外装鉄線50を単に挿入するか、または圧入し溶接することによって連結が完了するため、現場でねじを加工したりするなどの別途の追加作業が不要となり、連結部の不良も発生しなくなる。
図6は、本発明の他の実施形態による外装鉄線連結装置を示した斜視図であり、図7及び8は、それぞれ図6の断面図及び正面図である。また、図9は、図7の挿入孔に関する他の例を示した図である。
図6ないし図8に示されたように、本発明の他の実施形態による外装鉄線連結装置100bは、中空の円筒状連結具300の長手方向の両側端面から長手方向に掘り込まれてなる複数の挿入孔310を有する。各ケーブルの外装鉄線50は、両側の挿入孔310にそれぞれ挿入できる。
上記円筒状連結具300の内径Dは、接続箱の外径よりも大きいため、接続箱の外部に位置しやすくなる。
本実施形態による円筒状連結具300の挿入孔310に外装鉄線50を挿入した後には、外装鉄線50と挿入孔310との間の隙間に対し溶接を施して固定する(図7及び8参照)。
または、円筒状連結具300の挿入孔310中にあらかじめ錫−鉛合金のような溶接材320を入れておき、外装鉄線50を挿入した後に外装鉄線50と挿入孔310部分を加熱することで溶接材320を溶かした後、固める方法で接合することもできる(図7及び9参照)。
上記のように挿入孔にあらかじめ溶接材320を入れておいた後、それを溶融させて接合する場合には、図9に示されたように奥側に向かうについて径が大きくなるテーパー形状の挿入孔310aが形成されてよい。
以上では、添付図面に示された本発明の具体的な実施形態について詳細に説明したが、これは本発明の好適な形態に関する例示に過ぎないものであり、本発明の保護範囲がこれに限定されるものではない。また、以上のような本発明の実施形態は本発明の技術的思想内で当該分野における通常の知識を有する者によって種々の変形及び均等な他の実施が可能であり、かかる変形及び均等な他の実施形態は、当然に本発明の特許請求の範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0009】
以上で説明したように、本発明のケーブルの外装鉄線連結装置によれば、現場で外装鉄線にねじを加工したりするなどの煩わしい追加作業なしに工場であらかじめ製作した円筒状連結具に外装鉄線をそのまま挿入し簡単に溶接することで外装鉄線の復元が可能となる。
したがって、本発明による外装鉄線連結装置を海底用電力ケーブルまたは光複合ケーブルや、陸上用電力ケーブルまたは通信ケーブルなどの途中接続部に適用すれば、現場での連結作業を迅速且つ容易に遂行することができ、連結部の不良も防止することができる。
【符号の説明】
【0010】
50 外装鉄線
200 連結具
210 挿入溝
300 円筒状連結具
310 挿入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの外装鉄線を連結及び復元するための連結装置であって、
前記ケーブルが貫通できる中空の円筒状連結具が具備され、
前記円筒状連結具の外周面には、その両側端面から長手方向に延びる複数の挿入溝が形成され、
前記外装鉄線の端部が前記両側の挿入溝に長手方向に挿入されるか、前記外装鉄線の外周が前記円筒状連結具の半径方向の内側に圧入されて前記挿入溝に嵌め込まれることを特徴とするケーブルの外装鉄線連結装置。
【請求項2】
前記円筒状連結具の挿入溝の幅は、前記外装鉄線の外径より小さいことを特徴とする請求項1に記載のケーブルの外装鉄線連結装置。
【請求項3】
前記外装鉄線が前記挿入溝に挿入された後、前記外装鉄線と前記挿入溝との間の隙間に溶接が施されることを特徴とする請求項1に記載のケーブルの外装鉄線連結装置。
【請求項4】
ケーブルの外装鉄線を連結及び復元するための連結装置であって、
前記ケーブルが貫通できる中空の円筒状連結具が具備され、
前記円筒状連結具には、その両側端面から長手方向に沿って複数の挿入孔が形成され、前記両側の挿入孔に外装鉄線がそれぞれ挿入できることを特徴とするケーブルの外装鉄線連結装置。
【請求項5】
前記円筒状連結具の挿入孔に前記外装鉄線が挿入された後、前記外装鉄線と前記挿入孔との間の隙間に溶接が施されることを特徴とする請求項4に記載のケーブルの外装鉄線連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−178613(P2010−178613A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240138(P2009−240138)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(505297002)エルエス ケーブル リミテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】LS Cable Ltd.
【住所又は居所原語表記】19−20F ASEM Tower 159 Samsung−dong, Gangnam−gu, Seoul 135−090 Republic of Korea
【Fターム(参考)】