説明

ケーブルの梱包形態

【課題】ケーブル束の円筒形状を崩れにくくし、ケーブルに曲げ癖や結び目が生じにくいケーブルの梱包形態を提供する。
【解決手段】ケーブルの梱包形態20Aである。ケーブル1を8の字状に巻きつけてなる円筒形のケーブル束21と、ケーブル束21の外周部に配置され、ケーブル束21を拘束する拘束部材22と、ケーブル束21及び拘束部材22を収容する収容容器28と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバケーブル等のケーブルの梱包形態に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、ガラス光ファイバの外周に紫外線硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂等からなる被覆を有する、いわゆる光ファイバ心線を用意し、この光ファイバ心線と一対のテンションメンバと、さらに支持線とを所定位置に位置決めしながら、一括被覆を施してシースを形成した光ファイバケーブルが種々製造され、使用されている。
【0003】
ところで、これらの光ファイバケーブルの梱包形態として、ケーブルを8の字型に巻きつけた状態で収納容器に収容したものがある(例えば、特許文献1参照)。本技術は、ケーブルを樽状のマンドレルに8の字状を描くようにケーブルを巻き付けながら、マンドレルの回転速度と巻き付けるピッチを制御することによって、束の半径方向の一箇所に穴を形成しつつ、束を形成するものである。
【0004】
ケーブルの巻き終わり端はこの束を収容する段ボール等の箱状収容容器に固定される。箱状収容容器には上記穴と対応する位置に穴が設けられている。箱状収容容器及び束の穴に筒状のガイド部材を挿入し、ケーブルの巻き始め端をカイド部材に挿通されている。ケーブルがガイド部材から箱状収容容器の外部に引き出されることで、束の内側の部分から順に崩れるようにして、ケーブルが繰り出されることになる。
【0005】
本技術を用いると、ケーブルが8の字型に巻きつけられているので、ケーブルを繰り出した際に捩れが発生せず、また繰り出しをストップさせてもリールのように慣性で空回りしケーブルが巻き崩れることがなく良好に繰り出せることが知られている。このため、LANケーブル、光ドロップケーブル、光インドアケーブル等のある程度剛性を持ったケーブルに一般的に用いられている。
【特許文献1】特開2001−63784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年我々は管路送通性やハンドリングを重視して、外被の低摩擦化や、細径化されたインドアケーブルを開発検討している。このように外被が低摩擦化され、あるいは細径化により低曲げ剛性化されたインドアケーブルを同技術を用いて束形状にすると、束外側のケーブルが崩れやすくなる。このため、束が崩れないように束を箱状収納容器に収納するためには2人がかりで作業しなくてはならなくなり、作業が繁雑になる。
【0007】
また、箱状収容容器から繰り出しケーブルの残長が減ってきた際に、ケーブルに剛性がないため、束全体の円状を保持することができず、全体が楕円状に潰れる。さらにはケーブル同士が滑りやすいため、束内側で今まさに繰り出されようとしている部分のみならず、数周先までの部分が崩れ、崩れた部分を巻き込みながら繰り出される現象が発生し、ケーブルに曲げ癖や結び目が生じてしまう問題があった。
【0008】
本発明の課題は、ケーブル束の円筒形状を崩れにくくし、ケーブルに曲げ癖や結び目が生じにくいケーブルの梱包形態を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ケーブルの梱包形態であって、ケーブルを8の字状に巻きつけてなる円筒形のケーブル束と、前記ケーブル束の外周部に配置され、前記ケーブル束を拘束する拘束部材と、前記ケーブル束及び前記拘束部材を収容する収容容器と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のケーブルの梱包形態であって、前記拘束部材は、ラッピングフィルムであることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のケーブルの梱包形態であって、前記拘束部材が伸び率10%〜200%の範囲内でケーブルを拘束していることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のケーブルの梱包形態であって、前記ケーブル束には、半径方向に貫通するガイド部材が設けられ、前記拘束部材は前記ガイド部材を避けて設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のケーブルの梱包形態であって、前記ケーブル束の両端の開口を閉塞する閉塞部材が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のケーブルの梱包形態であって、前記閉塞部材は、ラッピングフィルムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ケーブル束の円筒形状を崩れにくくし、ケーブルに曲げ癖や結び目が生じにくいケーブルの梱包形態を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の実施形態に係るインドアケーブル1の長さ方向と垂直な断面図である。図1に示すように、インドアケーブル1は、光ファイバ心線11と、2本のテンションメンバ12と、これらを一括被覆するシース13とから概略構成される。
【0017】
インドアケーブル1の断面における長尺方向の両方向に、光ファイバ心線11に対して離間してそれぞれテンションメンバ12が配置されている。テンションメンバ12は、本体部2に作用する張力を負担する。テンションメンバ12には、例えば亜鉛メッキ鋼線等の鋼線や、繊維強化プラスチック(FRP)等を用いることができる。
【0018】
シース13は、光ファイバ心線11及びテンションメンバ12を被覆するものであり、例えばノンハロゲン難燃ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。シース13の中央部には、ノッチ14が形成されており、ノッチ14からシース13を破断することにより容易に光ファイバ心線11を取り出すことが可能である。
【0019】
曲げ剛性の範囲は、60gf以上(IEC60794−1−2 E17準拠 D=40mmにて実施)であるインドアケーブル1に対して、本発明を最適に適用することができる。曲げ剛性が60gfよりも小さいと、ケーブルを管路に押し込むことによって、ケーブルを挿通する工法を用いる場合に既設管路内にインドアケーブル1を挿入するのが困難となるからである。また、曲げ剛性が350gfよりも大きいと、ケーブルの反発により、ケーブルの取り回しが悪化するため曲げ剛性は350gf以下が好ましい。
【0020】
また、インドアケーブル同士の静摩擦係数は0.50以下であり、動摩擦係数は0.40以下であるケーブルに対して、本発明を最適に適用することができる。静摩擦係数が0.50よりも大きく、動摩擦係数が0.40よりも大きいと、ケーブルを管路に押し込むことによって、ケーブルを挿通する工法を用いる場合に既設管路内にインドアケーブル1を挿入するのが困難となるからである。また、静摩擦係数が0.15よりも小さく、動摩擦係数が0.10より小さいと巻き崩れが発生しやすく取り扱いが困難になるだけでなく、製造性も悪化するという問題が生じる。
【0021】
図2は本発明の第1の実施形態に係るケーブルの梱包形態20Aを示す斜視図である。図2に示すように、ケーブルの梱包形態20Aは、ケーブル束21と、拘束部材22と、箱状収容容器28と、ガイド部材29等からなる。
【0022】
図3はケーブル束21の斜視図である。ケーブル束21は、インドアケーブル1を樽状のマンドレル(図示せず)に8の字型に巻きつけた後、マンドレルから取り外したものである。マンドレルの回転速度と巻き付けるピッチを制御することによってケーブル束21には穴が形成され、マンドレルからケーブル取り外した後にこの穴にカイド部材29を取り付けられる。
【0023】
図4はケーブル束21に拘束部材22を巻きつけた状態を示す斜視図である。図4に示す拘束部材22を巻きつけたケーブル束21は、拘束部材22をマンドレルに巻きつけられた状態のケーブル束21の外周部に巻きつけ、その後マンドレルから取り外すことにより得られる。拘束部材22としては、例えばポリエチレン等のラッピングフィルムを用いることができる。拘束部材22はガイド部材29を取り付ける穴を避けて巻きつけられる。
【0024】
拘束部材22としてラッピングフィルムを用いる場合、ラッピングフィルムの伸び率は10%〜200%であることが好ましい。伸び率が10%よりも小さいと拘束力が弱いからである。また、伸び率が200%よりも大きいと巻き付けにくいからである。
【0025】
ケーブル束21は、インドアケーブル1の外被の低摩擦化や、細径化が図られている場合、特に崩れやすくなっている。しかし、ケーブル束21の外周部に拘束部材22を巻きつけることで、ケーブル束21の円筒形状が崩れにくくなり、マンドレルから容易に取り外すことができる。
【0026】
箱状収容容器28には、直方体形状をしており、拘束部材22が巻きつけられたケーブル束21が収容される。箱状収容容器28としては、例えばダンボール製の箱を用いることができる。
ケーブル束21の外周部に拘束部材22を巻きつけることで、ケーブル束21の円筒形状が崩れにくくなっているため、一人でも容易に箱状収容容器28に収容することができる。
【0027】
箱状収容容器28には、ガイド部材29を挿通させる穴が設けられている。インドアケーブル1の内側端部がガイド部材29に挿通され、箱状収容容器28の外部へ引き出されている。インドアケーブル1をガイド部材29から引き出すことで、ケーブル束21の内側の部分から順に崩れるようにして、インドアケーブル1が繰り出されることになる。
【0028】
〔第2実施形態〕
図5は本発明の第2の実施形態に係るケーブルの梱包形態20Bを示す斜視図である。なお、ケーブル束21、拘束部材22、箱状収容容器28やガイド部材29は第1実施形態と同様であるので説明を割愛する。図5に示すように、マンドレルから取り外したケーブル束21に対し、さらに両端の開口を塞ぐように閉塞部材23をケーブル束21全体に巻きつけてもよい。また、図5では両端の開口を完全に塞いでいるが、一部開口が残るように閉塞部材23を巻きつけてもよい。
閉塞部材23としては、例えばポリエチレン等のラッピングフィルムを用いることができる。閉塞部材23はガイド部材29を避けて巻きつけられる。
【0029】
閉塞部材23でケーブル束21の両端の開口を閉塞することで、内側の部分から崩れたインドアケーブル1がケーブル束21の両端の開口から飛び出すことを防ぐことができる。
【0030】
〔第3実施形態〕
図6は本発明の第3の実施形態に係るケーブルの梱包形態20Cを示す模式断面図である。なお、ケーブル束21、箱状収容容器28やガイド部材29は第1実施形態と同様であるので説明を割愛する。本実施形態においては、ケーブル束21の外周部に巻きつけられる拘束部材24として、筒状の部材が用いられている。拘束部材24には、例えばダンボール製の部材を用いることができる。
【0031】
本実施形態においても、ケーブル束21の外周部に拘束部材24を巻きつけることで、ケーブル束21の円筒形状が崩れにくくなり、マンドレルから容易に取り外すことができる。また、一人でも容易に箱状収容容器28に収容することができる。
【0032】
〔第4実施形態〕
図7は本発明の第4の実施形態に係るケーブルの梱包形態20Dを示す模式断面図である。ケーブル束21、箱状収容容器28やガイド部材29は第1実施形態と同様であるので説明を割愛する。本実施形態においては、直方体形状の箱状収容容器28の内部に円筒形のケーブル束21が収容され、箱状収容容器28の四隅にケーブル束21との隙間を塞ぐ拘束部材25が配置されている。拘束部材25は三角柱形状であり、例えばダンボールから形成される。
【0033】
本実施形態においても、ケーブル束21の外周部を拘束部材25及び箱状収容容器28により拘束することで、ケーブル束21の円筒形状が崩れにくくなり、マンドレルから容易に取り外すことができる。
【0034】
〔第5実施形態〕
図8は本発明の第5の実施形態に係るケーブルの梱包形態20Eを示す模式断面図である。ケーブル束21、箱状収容容器28やガイド部材29は第1実施形態と同様であるので説明を割愛する。図8に示すように、箱状収容容器28の四隅に板状の拘束部材26を固定し、ケーブル束21を拘束してもよい。拘束部材26には、例えばダンボール板を用いることができる。
以下、本発明について、実施例を挙げてさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0035】
1000mのインドアケーブルを8の字型に巻きつけたケーブル束の外周部に、ラップフィルムを巻きつけ、ダンボール製の箱状収容容器に収容したものを用いて以下の繰り出し試験を行った。
【0036】
〔インドアケーブルの構成〕
光ファイバ心線の直径は、0.25mmとした。
テンションメンバには、直径0.4mmの亜鉛メッキ鋼線を2本用いた。
シースには、ノンハロゲン難燃ポリオレフィンを用いた。
ケーブル同士の動摩擦係数は0.25、静止摩擦係数は0.20であった。
また、ケーブルの曲げ剛性(IEC60794−1−2 E17C準拠 D=40mmにて実施)が92gfのものを用いた。
【0037】
ここでケーブル同士の動摩擦係数、および静止摩擦係数は、以下のようにして測定した。図9はケーブル同士の摩擦係数を測定する方法を示す概略図である。
具体的には、ベース30上に図1に示す150mm長のインドアケーブル35を2本隣接して並行に並べ、この上に摩擦係数を測定する試料である300mm長のインドアケーブル1を、俵積みした。この試料用(測定サンプル)光ファイバケーブル1上に、前述した150mm長の光ファイバケーブル35、35を図9のようにさらに俵積みした。
その後、ベース30上に垂直に立設させた複数本のスライドガイド31によってガイドしながら上下にスライドする抑え板32をベース30と平行に載せた。インドアケーブル35、1は同じものを使用した。
【0038】
次に、抑え板32上に錘33を載せ、一定の荷重19.6Nを矢印方向に加えた。この
状態でロードセルを用いて試料用のインドアケーブル1を手前方向に100mm/m
inの速度で引き抜いた。静摩擦力Fは、動き始めのピーク摩擦力を採用し、静摩擦力μ=F/19.6Nを求めた。一方動摩擦力Fは、動き初めのピーク摩擦力を過ぎて最低点を示した点より30mm〜80mmの位置での値の平均値を採用し、摩擦係数μ=F/19.6Nを求めた。試料数nはn=3である。
尚、試験環境は、温度23±2℃、湿度50±10%とした。
ところでインドアケーブル15、20は、試験が1回(n=1)完了する毎に交換した。
【0039】
〔拘束部材〕
拘束部材には、幅100mm、厚さ0.03mmのポリエチレン製ラッピングフィルムを用いた。
ラップ巻き強度(ラップ巻きをする際、ラップにかける張力)を100〜200g、巻き数を1回とした。このときラッピングフィルムの伸び率は約10%であった。
【0040】
上記のケーブルの梱包形態に対し、ガイド部材からのインドアケーブルの繰り出しを1000m×10回行い、曲げ癖の発生回数を計測した。
【実施例2】
【0041】
ラップ巻き強度を100〜200g、巻き数を2回とした。それ以外は、実施例1と同様とした。
【実施例3】
【0042】
ラップ巻き強度を100〜200g、巻き数を3回とした。それ以外は、実施例1と同様とした。
【実施例4】
【0043】
ラップ巻き強度を1400〜1600g、巻き数を1回とした。それ以外は、実施例1と同様とした。このときラッピングフィルムの伸び率は約100%であった。
【実施例5】
【0044】
ラップ巻き強度を1400〜1600g、巻き数を2回とした。それ以外は、実施例1と同様とした。
【実施例6】
【0045】
ラップ巻き強度を1400〜1600g、巻き数を3回とした。それ以外は、実施例1と同様とした。
【実施例7】
【0046】
ラップ巻き強度を2800〜3200g、巻き数を1回とした。それ以外は、実施例1と同様とした。このときラッピングフィルムの伸び率は約200%であった。
【実施例8】
【0047】
ラップ巻き強度を2800〜3200g、巻き数を2回とした。それ以外は、実施例1と同様とした。
【実施例9】
【0048】
ラップ巻き強度を2800〜3200g、巻き数を3回とした。それ以外は、実施例1と同様とした。
【0049】
〔比較例1〕
拘束部材を用いなかった。それ以外は、実施例1と同様とした。
【実施例10】
【0050】
ケーブルの曲げ剛性(IEC60794−1−2 E17C準拠 D=40mmにて実施)が253gfのものを用いた。
ラップ巻き強度を100〜200g、巻き数を1回とした。それ以外は、実施例1と同様とした。このときラッピングフィルムの伸び率は約10%であった。
【実施例11】
【0051】
ラップ巻き強度を100〜200g、巻き数を2回とした。それ以外は、実施例10と同様とした。
【実施例12】
【0052】
ラップ巻き強度を100〜200g、巻き数を3回とした。それ以外は、実施例10と同様とした。
【実施例13】
【0053】
ラップ巻き強度を1400〜1600g、巻き数を1回とした。それ以外は、実施例10と同様とした。このときラッピングフィルムの伸び率は約100%であった。
【実施例14】
【0054】
ラップ巻き強度を1400〜1600g、巻き数を2回とした。それ以外は、実施例10と同様とした。
【実施例15】
【0055】
ラップ巻き強度を1400〜1600g、巻き数を3回とした。それ以外は、実施例10と同様とした。
【実施例16】
【0056】
ラップ巻き強度を2800〜3200g、巻き数を1回とした。それ以外は、実施例10と同様とした。このときラッピングフィルムの伸び率は約200%であった。
【実施例17】
【0057】
ラップ巻き強度を2800〜3200g、巻き数を2回とした。それ以外は、実施例10と同様とした。
【実施例18】
【0058】
ラップ巻き強度を2800〜3200g、巻き数を3回とした。それ以外は、実施例10と同様とした。
【0059】
〔比較例2〕
拘束部材を用いなかった。それ以外は、実施例10と同様とした。
【実施例19】
【0060】
両端の開口を開口面積の60%を塞ぐように閉塞部材を巻いた。閉塞部材は、幅100mm、厚さ0.03mmのポリエチレン製ラッピングフィルムを用い、ラップ巻き強度は100〜200gとした。それ以外は、実施例1と同様とした。このとき閉塞部材として用いたラッピングフィルムの伸び率は約10%であった。
【実施例20】
【0061】
拘束部材に、ダンボールからなる図6に示す筒状の拘束部材を用いた。それ以外は、実施例1と同様とした。
【実施例21】
【0062】
拘束部材に、ダンボールからなる図7に示す三角柱形状の拘束部材を用いた。それ以外は、実施例1と同様とした。
【実施例22】
【0063】
ケーブルの曲げ剛性(IEC60794−1−2 E17C準拠 D=40mmにて実施)が253gfのものを用いた。それ以外は、実施例19と同様とした。
【実施例23】
【0064】
拘束部材に、ダンボールからなる図7に示す三角柱形状の拘束部材を用いた。それ以外は、実施例21と同様とした。
【0065】
〔結果〕
結果を表1、表2、表3に示す。
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
実施例1では3回の曲げ癖が発生した。実施例4、7、10では1回の曲げ癖が発生した。実施例2、3、5、6、8、9、11〜18では曲げ癖が発生しなかった。
一方、比較例1では25回、比較例2では11回の曲げ癖が発生した。
また、拘束部材を1周だけ巻いたものよりも、2周、3周巻いたもののほうが曲げ癖が発生しにくかった。これは、拘束部材を複数回巻くことで、ケーブル束の拘束力が強くなるためである。
【0069】
また、拘束部材に加えて、閉塞部材を設けた実施例19においては、曲げ癖が発生しなかった。
また、拘束部材に、ダンボールからなる図6に示す筒状の拘束部材や、図7に示す三角柱形状の拘束部材を用いた実施例20〜23においても曲げ癖が発生しなかった。
【0070】
このように、拘束部材によりケーブル束を拘束することで、曲げ癖の発生頻度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施形態に係るインドアケーブル1の長さ方向と垂直な断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るケーブルの梱包形態20Aを示す斜視図である。
【図3】ケーブル束21の斜視図である。
【図4】ケーブル束21に拘束部材22を巻きつけた状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るケーブルの梱包形態20Bを示す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るケーブルの梱包形態20Cを示す模式断面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係るケーブルの梱包形態20Dを示す模式断面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係るケーブルの梱包形態20Eを示す模式断面図である。
【図9】静摩擦係数および動摩擦係数を測定する方法を示す概略図である。
【符号の説明】
【0072】
1 インドアケーブル
20A,20B,20C,20D,20E ケーブルの梱包形態
21 ケーブル束
22,24,25,26 拘束部材
23 閉塞部材
28 箱状収容容器
29 ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを8の字状に巻きつけてなる円筒形のケーブル束と、
前記ケーブル束の外周部に配置され、前記ケーブル束を拘束する拘束部材と、
前記ケーブル束及び前記拘束部材を収容する収容容器と、
を備えることを特徴とするケーブルの梱包形態。
【請求項2】
前記拘束部材は、ラッピングフィルムであることを特徴とする請求項1に記載のケーブルの梱包形態。
【請求項3】
前記拘束部材が伸び率10%〜200%の範囲内でケーブルを拘束していることを特徴とする請求項2に記載のケーブルの梱包形態。
【請求項4】
前記ケーブル束には、半径方向に貫通するガイド部材が設けられ、
前記拘束部材は前記ガイド部材を避けて設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のケーブルの梱包形態。
【請求項5】
前記ケーブル束の両端の開口を閉塞する閉塞部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のケーブルの梱包形態。
【請求項6】
前記閉塞部材は、ラッピングフィルムであることを特徴とする請求項5に記載のケーブルの梱包形態。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−36978(P2010−36978A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205424(P2008−205424)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(598117171)アクセスケーブル株式会社 (6)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】